特許第6590919号(P6590919)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ビルツ ヴェルクツォイクファブリーク ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフトの特許一覧

<>
  • 特許6590919-流体供給部を備えた工具ホルダ 図000002
  • 特許6590919-流体供給部を備えた工具ホルダ 図000003
  • 特許6590919-流体供給部を備えた工具ホルダ 図000004
  • 特許6590919-流体供給部を備えた工具ホルダ 図000005
  • 特許6590919-流体供給部を備えた工具ホルダ 図000006
  • 特許6590919-流体供給部を備えた工具ホルダ 図000007
  • 特許6590919-流体供給部を備えた工具ホルダ 図000008
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6590919
(24)【登録日】2019年9月27日
(45)【発行日】2019年10月16日
(54)【発明の名称】流体供給部を備えた工具ホルダ
(51)【国際特許分類】
   B23Q 3/12 20060101AFI20191007BHJP
   B23B 31/00 20060101ALI20191007BHJP
   B23B 31/117 20060101ALI20191007BHJP
   B23B 31/02 20060101ALI20191007BHJP
【FI】
   B23Q3/12 A
   B23B31/00 C
   B23B31/117 610F
   B23B31/00 D
   B23B31/02 D
【請求項の数】14
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-518473(P2017-518473)
(86)(22)【出願日】2015年8月3日
(65)【公表番号】特表2017-534473(P2017-534473A)
(43)【公表日】2017年11月24日
(86)【国際出願番号】EP2015067818
(87)【国際公開番号】WO2016055187
(87)【国際公開日】20160414
【審査請求日】2018年4月11日
(31)【優先権主張番号】202014104802.2
(32)【優先日】2014年10月7日
(33)【優先権主張国】DE
(31)【優先権主張番号】62/066,539
(32)【優先日】2014年10月21日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】501386809
【氏名又は名称】ビルツ ヴェルクツォイクファブリーク ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】110002310
【氏名又は名称】特許業務法人あい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】バベル,ゲルハルト
(72)【発明者】
【氏名】ツィーラー,ウルリヒ
【審査官】 久保田 信也
(56)【参考文献】
【文献】 特表2009−533234(JP,A)
【文献】 特開平08−118119(JP,A)
【文献】 特開平10−138024(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23Q 3/12
B23B 31/00 − 33/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
工具(16)をその工具の軸(18)で収容する工具ホルダであって、前記工具の軸(18)を軸方向の所定の位置に収容するための収容穴(14)と、前記収容穴(14)の内側端部に位置するシーリング(28、28a)とを具備し、前記工具の軸(18)の孔(44)に機械側から送り込むクーラント供給部をさらに具備し、
前記シーリング(28、28a)は、 前記収容穴(14)の端部に所定の取付位置で保持される中央クーラント通路(29)を有するプラグ(28,28a)として構成され、前記プラグ(28,28a)は前記工具ホルダの雌ネジ(32)に嵌合する雄ネジ(30)を備え、前記プラグ(28,28a)は、前記工具の軸(18)に面するその端部に、少なくとも部分的に弾性的に変形可能で、外側に張り出しているシーリング要素(36)を有し、
前記シーリング要素(36)は、前記収容穴(14)の端部のアンダーカット(34)に突き出ており、かつ弾性プラスチック材料を含む少なくとも1つのシーリング縁部(38,40)を具備し、前記プラグ(28,28a)は前記雄ネジ(30)を雌ネジ(32)内で前記収容穴(14)の軸方向の所定の位置まで回すことによって調整可能である、工具ホルダ。
【請求項2】
記プラグ(28,28a)の全体が弾性プラスチック材料からなる、請求項1に記載の工具ホルダ。
【請求項3】
前記プラグ(28a)は前記雄ネジ(30)を有するネジとして構成されている金属製のベース本体(41)を具備し、工具の軸(18)に面するその端部に、弾性プラスチック材料製の、前記少なくとも部分的に弾性変形可能なシーリング要素(36)が収容されている、請求項1に記載の工具ホルダ。
【請求項4】
前記少なくとも部分的に弾性変形可能なシーリング要素は金属を含む、請求項1に記載の工具ホルダ。
【請求項5】
前記シーリング要素はプラスチック材料製のコーティングを含む、請求項4に記載の工具ホルダ。
【請求項6】
前記シーリング要素(36)は前記アンダーカット(34)に突き出ている2つのシーリング縁部(38,40)を具備する、請求項5に記載の工具ホルダ。
【請求項7】
前記シーリング要素(36)は、前記収容穴(14)の端部に肩部(39)に対してシールするための第1のシーリング縁部(38)を具備する、請求項6に記載の工具ホルダ。
【請求項8】
前記シーリング要素(36)は、前記工具の軸(18)の端部(42)に対してシールするための第2のシーリング縁部(40)を具備する、請求項7に記載の工具ホルダ。
【請求項9】
前記2つのシーリング縁部(38,40)は、凹形の環状溝(37)によって、互いに接続されている、請求項6請求項8のいずれか1項に記載の工具ホルダ。
【請求項10】
前記プラグ(28,28a)は前記工具の軸(18)に面するその第1端部に、スクリュードライバ工具を受けるための第1の工具受け部(56)を具備する、請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載の工具ホルダ。
【請求項11】
前記プラグ(28,28a)はその第2の機械側端部に、スクリュードライバ工具を受けるための第2の工具受け部(58)を具備する、請求項10に記載の工具ホルダ。
【請求項12】
工具(16)をその工具の軸(18)で収容する工具ホルダであって、前記工具の軸(18)を軸方向の所定の位置に収容するための収容穴(14)と、前記収容穴(14)の内側端部に位置するシーリング(28、28a)とを具備し、
前記シーリング(28、28a)は、中央クーラント通路(29)を有するプラグ(28,28a)として構成され、前記プラグ(28,28a)は、前記工具の軸(18)に面するその端部に、少なくとも部分的に弾性的に変形可能で、外側に張り出しているシーリング要素(36)を具備し、
前記工具の軸(18)の孔(44)に、前記工具ホルダ本体(12)に対してシールされているクーラント_ランス(22)を介してクーラントを機械側から送り込むクーラント供給部をさらに具備し、
前記工具ホルダ本体(12)内の前記収容穴(14)に、漏れを検出するために外側からアクセス可能な制御穴(46)が設けられている、工具ホルダ。
【請求項13】
前記制御穴(46)は、ドイツ工業規格DIN 69090−3に基づく軸方向の調整ネジを収容するように構成されているアンダーカット(34)の領域にあり、前記制御穴(46)にセンサ(48)が設けられている、請求項12に記載の工具ホルダ。
【請求項14】
前記工具ホルダ(10)は工具(16)を焼き嵌めで収容するように構成されている、請求項1〜請求項13のいずれか1項に記載の工具ホルダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工具、特に工具の軸を収容するための工具ホルダに関し、工具の軸を所定の軸方向位置に収容するための収容穴を具備し、収容穴の内側端部にシーリングと、機械側から工具の軸の穴までに至るクーラント供給部とをさらに具備する工具ホルダに関するものである。
【背景技術】
【0002】
このような先行技術は、例えば、特許文献1から、またドイツ工業規格DIN 69090−3からも公知である。
【0003】
このために、工具をその工具の軸で収容するための工具ホルダは、工具の軸を保持する収容穴と、調整ネジとして構成されているシーリングとを具備し、それによって工具の軸の軸方向の位置を正確に調整することができる。このために、前記DIN 69090−3によると、調整具は工具に面するシーリング面を有し、それに工具の軸の各対向面が当接して機械的シーリングが実現される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際特許出願公開第2005/037484 A2号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第0 830 917 A1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、このようなシーリングは、調整ネジが十分に高い圧力で工具に圧着されるときしか効果的ではない。圧力バイアスが不十分であれば、調整ネジと工具との間の連結部にクーラントが工具ホルダから漏出する漏洩点が生じ、クーラントが工具の軸の通路の中に一切案内されない、または十分に案内されないことになる。
【0006】
クーラント用の内部通路を有する当該工具ホルダは、いわゆる最小量潤滑MMS(または英語で、Minimum Quantity Lubrification)に使用される。ここではクーラントは工具ホルダと工具の軸内に割り当てられた孔を通して直接作業場所まで案内されて、作業場所で、それぞれ効果的な冷却または潤滑を行う。
【0007】
本出願を通して「クーラント」のみに言及するが、これは一般的には、液体、気体もしくは混合形態、とくにエアロゾル形態のあらゆる種類のクーラントまたは潤滑剤と理解される。
【0008】
最小量潤滑MQLが正確に機能するために重要なことは、漏れがあった場合に工具に十分なクーラントの供給が確保されないため、工具の軸と調整ネジとの間のシーリングの質を確保することである。
【0009】
工具は通常、工具ホルダの収容穴の中に圧力嵌め、例えば熱収縮によって固定されるため、工具の軸の所定の軸方向位置は焼き嵌め中にすでに、またはその後調整ネジを設定することによって、正確に決定しなければならない。すなわち、指定の公称寸法への調整を行わなければならない。
【0010】
しかし、調整ネジのシーリング面と工具の軸との間に必要な圧力バイアスがきわめて重要であり、部分的には工具取付中の作業者の腕にかかっている。
【0011】
そのため、実際にはたびたびシールの不十分な工具または長手軸方向の調整が不正確な工具になる。
【0012】
上記に照らし、本発明の目的は最小量潤滑に適し、収容穴の内側端部にある工具ホルダと工具の軸との間の移行部でいかなる場合も安全なシーリングを確保することができる工具ホルダを開示することである。ここで、前記受け部はできれば、耐故障性にして、所定の圧力バイアスを満たすことに左右されない、調整ネジによって安全なシーリングを実現するようにするとよい。
【0013】
さらに、工具ホルダの付近で最小量潤滑の漏れを判断する可能性が提供されると好ましい。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明によると、前記目的は、収容穴の内側端部のシーリングが少なくとも部分的に弾性変形可能なシーリング要素を具備する、冒頭に述べた工具ホルダを用いて達成される。
【0015】
本発明の目的は、このように完全に解決される。
【0016】
弾性変形可能なシーリング要素のおかげで、弾性変形可能なシーリング要素が工具の軸に当接するため、小さな圧力バイアスですでに工具の軸に対する安全なシーリングが確保される。
【0017】
このように、本システムは先行技術の工具ホルダを用いた場合よりも、圧力バイアスの変動に対してより耐性があることが明らかである。小さな圧力バイアスでも安全なシーリングを確保するには十分である。
【0018】
例えば、参照により本書に全部が組み込まれる特許文献2で知られているように、例えば、工具の軸を収容穴内に焼き嵌めする場合、工具が重力によって熱膨張した収容穴に入り込むことから生じる圧力バイアスにより、十分に安全なシーリングが確保される。
【0019】
本発明の好適な展開において、シーリングは、収容穴の端部の所定の取付位置に保持され、中央クーラント通路を具備するプラグとして構成される。
【0020】
このように、工具の軸を収容穴に挿入する前に、プラグを所望の軸方向の取付位置に取付調整することができるので、工具の軸を熱収縮によるなどして締め付けた後には、工具の軸の所望の軸方向の位置および確実な収容が確保される。
【0021】
本発明の別の展開によると、プラグは工具ホルダの雌ネジ内に調整可能に固定された雄ネジによって調整可能に保持されている。
【0022】
これにより、工具の軸の所定の軸方向の取付位置の調整が容易になる。
【0023】
本発明の別の展開において、プラグは工具の軸に面するその端部に、外側に張り出しているシーリング要素を具備する。
【0024】
これにより、工具の軸との封止のための所望の弾性が、非常に低い圧力バイアスですでに確保される。
【0025】
本発明の好適な展開において、少なくとも部分的に変形可能なシーリング要素は弾性プラスチック材料からなる。
【0026】
それにより、とくに高い弾性および工具の軸に対するとくに効果的なシーリングが、非常に低い圧力バイアスですでに得られる。
【0027】
弾性プラスチック材料はとくに工具の軸の熱収縮中に生じうる熱負荷に耐えられるように十分な熱安定性がなければならないことは、理解されるであろう。また、「弾性プラスチック材料」という用語は少なくとも部分的に可逆弾性挙動を有するプラスチック材料を含み、これにはゴムおよびゴム状材料も同様に含まれることも理解されるであろう。
【0028】
できれば弾性変形可能なシーリング要素はフッ素ゴムから作られてもよい。
【0029】
本発明の別の設計によると、プラグは全体が弾性プラスチック材料からなる。
【0030】
これにより単純で費用対効果の高い製造が可能である。
【0031】
本発明の別の変形例によると、プラグは雄ネジ付きのネジとして構成される金属製のベース本体を具備し、工具の軸に面する端部に、弾性プラスチック材料製の少なくとも部分的に弾性変形可能なシーリング要素が収容されている。
【0032】
金属とプラスチックの複合部品としてのシーリングのこの設計はシーリングの製造コストをやや増やすことになるが、工具ホルダ軸の軸方向の位置の調整が可能であると同時に、軸方向の変動に対するシーリングの効果の許容量があることによって特別な利点が得られる。
【0033】
本発明の別の展開によると、少なくとも部分的に弾性変形可能なシーリング要素は、好ましくはプラスチック材料のコーティングを施されている金属を具備する。
【0034】
これにより、大きな圧力バイアスに対してより大きいシーリング効果の許容量を確保することができる。
【0035】
本発明の別の展開において、シーリング要素は収容穴の端部に設けられているアンダーカットまで張り出している少なくとも1つのシーリング縁部を具備する。
【0036】
これにより、シーリングの効果が改善される。
【0037】
本発明の別の展開によると、シーリング要素はアンダーカットまで張り出している2つのシーリング縁部を具備する。
【0038】
それにより、シーリングの効果はさらに一層改善される。
【0039】
本発明の好適な展開において、シーリング要素は、収容穴の端部に肩部に対してシールするための第1のシーリング縁部を具備する。
【0040】
本発明の別の展開によると、シーリング要素は工具の軸の端部に対してシールするための第2のシーリング縁部を具備する。
【0041】
好ましくは、2つのシーリング縁部は凹形の環状溝を介して互いに接続されている。
【0042】
シーリングの効果はこれらの手段によってさらに改善される。
【0043】
本発明の好適な展開において、プラグは工具の軸に面するその第1の端部に、ネジ締め具を付けるための第1の工具受け部を具備する。
【0044】
これによりプラグを工具側から収容穴にねじ込むことができる。
【0045】
本発明の別の展開において、プラグは機械側に面するその第2の端部に、ネジ締め具を収容するための第2の工具受け部を具備する。
【0046】
それにより、収容穴内に工具をその工具の軸とともに締め付けた後、例えば、工具の軸方向の位置を調整するために、プラグの調整が可能になる。
【0047】
さらに、本発明の目的は、工具をその工具の軸において保持するための他の工具ホルダによって解決される。前記他の工具ホルダは工具の軸を所定の軸方向の位置で収容するための収容穴と、収容穴の内側端部にシーリングとを具備し、工具ホルダ本体に対してシールされているクーラント縁部によって機械側から工具の軸の孔までクーラントを供給する供給部を具備し、前記工具ホルダ本体は前記収容穴に、漏れを検出するために外側からアクセスすることのできる制御穴をさらに具備する。
【0048】
このように、また本発明の目的が解決される。すなわち、外側からアクセスすることができ、収容穴と連通している制御穴によって、クーラント供給部と工具の軸とのシーリングが完全に緊密であるかどうか、またはクーラントがこの箇所で漏出するおそれがあるかどうかを簡単に検出することができる。
【0049】
好ましくは、制御穴は、ドイツ工業規格DIN 69090−3に従う軸方向の調整ネジを受けるために設けられているアンダーカットの領域にある。
【0050】
調整ネジと工具の軸の軸方向端部との間の封止によるシーリングが緊密な場合、クーラントはアンダーカットに漏出しない。しかし、いくらか漏れがある場合、クーラントはアンダーカットによって形成される空洞から漏出して、そこから制御穴に入る。
【0051】
本発明の適切な展開において、制御穴には、漏れが直接検出でき、できれば警告信号を出力するために利用することのできるセンサが設けられている。
【0052】
すでに上記述べたように、工具ホルダは好ましくは工具を焼き嵌めで収容するように構成される。
【0053】
プラグを工具ホルダのネジ山にねじ込むために、スクリュードライバ工具の受け部をその外側端部に有する挿入用工具を利用することが有利である。プラグを工具ホルダの収容穴の中に取り付けることが容易になる。
【0054】
本発明の好適な展開において、挿入用工具に、プラグの軸方向の取付位置を判断するための制御用側面が設けられている。
【0055】
これは、刻み目、肩部または同様なものであってもよく、それによって工具ホルダのある側面に関連して、例えば工具ホルダの前面によって、工具ホルダ内のプラグの軸方向の取付位置を正確に調整することができる。
【0056】
本発明の追加の展開において、挿入用工具に、プラグの安全なセンタリングを確保するために、プラグ内に係合するように構成されているセンタリングマンドレルが設けられている。
【0057】
前述の特徴およびこれ以降説明する本発明の特徴は記載される組み合わせで使用できるだけでなく、本発明の範囲を逸脱することなく、異なる組み合わせまたは独立して使用することもできることが理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0058】
図1】挿入される工具を含めた本発明の工具ホルダを示す縦断面図である。
図2図1による工具ホルダの拡大断面図であり、図1による工具ホルダ軸の軸方向端部およびプラグの付近を示しており、そこからシーリングの構造がより詳細に見て取れる。
図3図1による工具ホルダの縦断面図であるが、制御穴を通る異なる断面で示す。
図4図3による工具ホルダの縦断面図であり、代わりにプラグを取り付けるための挿入用工具が示されている。
図5図4によるプラグの代替構成の一部を示す側断面図である。
図6】右側から見た図5によるプラグの図である。
図7】左側から見た図5によるプラグの図である。
【発明を実施するための形態】
【0059】
本発明のさらなる特徴および利点は、図面を参照して以下の好適な実施形態の説明から把握することができる。
【0060】
図1は、本発明による工具ホルダの断面図を示しており、全体を数字10で示す。
【0061】
工具ホルダ10は、工具側には、工具16を焼き嵌めで収容するためのクランプコーンを有する工具ホルダ本体12を具備する。機械側には、一般に知られているように、工具交換機または同様なものによって自動ハンドリングを可能にする周縁溝を含む環状フランジを有する固定部13を具備する。
【0062】
工具16を工具ホルダ本体12の中に収容するために、焼き嵌めによって一般に知られているように圧力嵌めで工具の軸18を収容するように構成されている収容穴14が設けられている。
【0063】
収容穴14に隣接して、エラストマ材料またはプラスチック材料製のプラグ28が雄ネジ30により工具ホルダ本体12の対応する雌ネジ32にねじ込まれている。図2に関して後でより詳細に説明するように、プラグ28は、プラグ28の残りの部分に対して径が拡張しており、かつ収容穴14の端部に張り出しているシーリング要素36を有する。
【0064】
プラグ28は機械側から工具ホルダ軸18の中央穴44まで最小量潤滑によって送り込まれるクーラントの通過を可能にする中央クーラント通路29を具備する。
【0065】
各クーラントは機械側から、ネジ接続24によって工具ホルダ本体12にねじ込まれ、シーリングリング25,26として構成される適切なシーリング要素によって工具ホルダ本体12に対してシールされているクーラント_ランス(lance)22を介して送り込まれる。このように、クーラント_ランス22を介してプラグ28のクーラント通路29までのクーラントの緊密な送り込みが行われる。
【0066】
ここで、本発明によると、図2を参照して後でより詳しく説明するように、プラグ28は工具の軸18の軸方向端部に対してシールされている。
【0067】
図2によると、第1のシーリング縁部(lip)38および第2のシーリング縁部40が、プラグ28のシーリング要素36に形成されている。第1のシーリング縁部は収容穴の内側端部を形成する収容穴の肩部39に当接する(rest)ように構成されている。
【0068】
第2のシーリング縁部40は第1のシーリング縁部38に対して工具の軸18の方向に張り出していて、第1のシーリング縁部38よりもやや大きい直径を有している。よって、アンダーカット34の領域の内面に当接することになり、そのため収容穴14は内側端部で直径がやや大きくなっている。2つのシーリング縁部38,40は凹形の環状溝37を介して互いに接続している。
【0069】
第2のシーリング縁部40は工具の軸18の傾斜端部42に直接当接するように、すなわち、第2のシーリング縁部40が工具の軸14の傾斜面42によって外側に向けてアンダーカット34の内面に押されるように構成されており、そのため工具の軸18が機械側の方向に圧入されるときにシーリング効果が改善される。
【0070】
このように、二倍のシーリング効果が得られる。すなわち、一方では第1のシーリング縁部38が収容穴14の肩部39に当接することにより、他方では工具の軸18の傾斜端部42によるさらなる圧力バイアスに伴って第2のシーリング縁部40がアンダーカット34の内面に当接することによる。
【0071】
このように、工具の軸16の工具ホルダ10への焼き嵌めによって生じるような低い圧力バイアスですでに、工具の軸18の端部42に確実なシーリングが確保される。
【0072】
図2には、アンダーカット34まで通じる半径方向の制御穴46が描かれている。制御穴の外側端部に、さらに点線でセンサ48が描かれている。
【0073】
シーリングがプラグ28によって良好な状態であれば、クーラントはアンダーカット34の付近に漏出することはできない。
【0074】
しかし、なんらかの理由のために、シーリング要素36によって形成されているシーリングが破損する場合、これがアンダーカット34の付近へのクーラントの漏出につながるので、クーラントが制御穴46に現れ、漏出したクーラントはセンサ48によって検出できるであろう。
【0075】
図4には、さらに、雄ネジ30を備えるプラグ28を工具ホルダ本体12の対応する雌ネジ32に所望の軸方向の取付位置までもってくることができる挿入用工具50が描かれている。ここでプラグ28を正確にセンタリングするために、挿入用工具50の前端部に、プラグ28の中央クーラント通路29と係合するセンタリングマンドレル53が設けられている。
【0076】
挿入用工具50で、軸方向の取付位置のそれぞれ簡単な調整または制御を確実にするために、制御用側面(control feature)52が設けられている。ここに図示するケースでは、制御用側面52は挿入用工具50の肩部によって形成されており、工具ホルダ10の前面54までの距離dが制御変数となる。このように、プラグは、のちに工具の軸18の軸方向位置を決定する所望の軸方向取付位置になるように簡単に調整することができる。
【0077】
図5から図7には、プラグの変型例が示されており、全体が28aで表される。それ以外は、対応する部品については、対応する参照記号を利用する。
【0078】
プラグ28aは工具ホルダ本体12の雌ネジ32にねじ込むための雄ネジ30を有するスチール製のベース本体41を具備する。ベース本体41の工具側端部に、弾性プラスチック材料、例えばフッ素ゴム製のシーリング要素36が設けられている。
【0079】
それ以外は、プラグ28aは形状および設計に関して上記説明したプラグ28とまったく同じである。
【0080】
プラグ28aを二構成要素を含む部品として設計することにより、工具16を収容穴14に焼き嵌めした後でも、のちに調整する可能性が得られ、幅広い調整領域により工具端部42とのシーリングが完全に維持される。
【0081】
図6は、プラグ28aを工具側から見た図であり、プラグ28aを工具ホルダ本体12の雌ネジ32にねじ込むためのスクリュードライバの受け部56を示す。
【0082】
図7は、プラグ28aの反対側から見た、六角ソケットとして構成されているスクリュードライバの受け部58を示しており、工具16を収容穴14内で焼き嵌めした後でも、プラグ28aのその後の調整が可能となっている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7