特許第6590925号(P6590925)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6590925
(24)【登録日】2019年9月27日
(45)【発行日】2019年10月16日
(54)【発明の名称】動画像を作成するための方法
(51)【国際特許分類】
   H04N 19/33 20140101AFI20191007BHJP
   H04N 21/854 20110101ALI20191007BHJP
   H04N 1/41 20060101ALI20191007BHJP
【FI】
   H04N19/33
   H04N21/854
   H04N1/41
【請求項の数】15
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-523955(P2017-523955)
(86)(22)【出願日】2014年11月5日
(65)【公表番号】特表2018-501693(P2018-501693A)
(43)【公表日】2018年1月18日
(86)【国際出願番号】FR2014000237
(87)【国際公開番号】WO2016071577
(87)【国際公開日】20160512
【審査請求日】2017年10月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】516106748
【氏名又は名称】コリン,ジャン−クロード
(74)【代理人】
【識別番号】110002398
【氏名又は名称】特許業務法人小倉特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジェルヴェ タン,マルク−エリック
(72)【発明者】
【氏名】ルベ,ブルノ
(72)【発明者】
【氏名】ベッソン,ニコラス
(72)【発明者】
【氏名】ギミオ,イヴ
(72)【発明者】
【氏名】プティタル,ミカエル
(72)【発明者】
【氏名】ローク,セバスティアン
【審査官】 松永 隆志
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−177929(JP,A)
【文献】 特開2008−236758(JP,A)
【文献】 特開2008−244539(JP,A)
【文献】 特開2003−244676(JP,A)
【文献】 特開2006−295886(JP,A)
【文献】 Lucas Hui, et al.,An adaptive hybrid DPCM/DCT method for video coding,Signal Processing, Image Communication (1993),1993年 2月 1日,Vol.5, No.1-2,p. 199-208
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/00− 1/64
H04N 19/00−19/98
H04N 21/854
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マルチページ形式の動画(A)を作成するためのプロセスであって,動画メディア(AM,AG)は,スケーラビリティ特性を有する複数の静止画像(P1,P2,・・・Pn)を含み,各レベル(Nm)が,前のレベル(Nm−1)よりも高い解像度の情報を提供するプロセスにおいて,
前記メディア,前記動画の前記静止画像(P1,P2,・・・Pn)の再生が意図される順序に従う第1のランク(m)の全ての前記レベル(P1:Nm,P2:Nm,・・・Pn:Nm),次いで,すぐ上位のランク(m+1)の全ての前記レベル(P1:Nm+1,P2:Nm+1,・・・Pn:Nm+1)の順序で読出す工程,及び,
前記上位のランク(m+1)の前記レベル(P1:Nm+1,P2:Nm+1,・・・Pn:Nm+1)の解凍中に,前記第1のランク(m)の前記レベル(P1:Nm,P2:Nm,・・・Pn:Nm)による画像のプレビューを再生する工程を含むことを特徴とするプロセス。
【請求項2】
前記スケーラビリティ特性を有する静止画像のそれぞれは,少なくとも2つのレベル(Nm)で記憶され,前記第1のレベル(N1)は,最少のディテールを含み,次の各レベル(Nm)が,前記前のレベル(Nm−1)に追加されるディテールを提供することを特徴とする請求項1記載のプロセス。
【請求項3】
前記各静止画像(P1,P2,・・・Pn)について,前記静止画像(P1,P2,・・・Pn)に利用可能な全ての前記レベルに含まれるデータが解凍され,表示されることを特徴とする請求項記載のプロセス。
【請求項4】
全ての前記静止画像に利用可能な前記第1のランクから任意の上位のランクまでのレベルのみに対応するデータが,解凍され表示されることを特徴とする請求項記載のプロセス。
【請求項5】
前記上位のレベルランク(Pn:Nm+1)のデータが読み出される前に,画像(Pn)が,前記画像のレベル(Pn:Nm)に由来するデータに従って再生され,次いで処理されることを特徴とする請求項1〜いずれか項記載のプロセス。
【請求項6】
要求される前記画像表示解像度を実現するために,処理される前記画像が,再生前にサイズ変更されることを特徴とする請求項1〜いずれか1項記載のプロセス。
【請求項7】
前記静止画像は,ウェーブレットによる変換方法を少なくとも1つを含む方法によって予め圧縮されたことを特徴とする請求項1〜いずれか1項記載のプロセス。
【請求項8】
前記静止画像は,隣接する2つの画素間の少なくとも1つの差分を含む方法によって予め圧縮されたことを特徴とする請求項1〜いずれか1項記載のプロセス。
【請求項9】
少なくとも1つの第1の静止画像が,第1の圧縮方法によって圧縮され,少なくとも第2の静止画像が,第2の圧縮方法によって圧縮されたことを特徴とする請求項1〜いずれか1項記載のプロセス。
【請求項10】
最適な圧縮方法を決定するために,各静止画像の解析段階を含むことを特徴とする請求項記載のプロセス。
【請求項11】
前記第1の圧縮方法は,ウェーブレットによる変換方法を少なくとも1つを含み,前記第2の圧縮方法は,隣接する2つの画素間の少なくとも1つの差分を含むことを特徴とする請求項記載のプロセス。
【請求項12】
前記解析段階は,コントラストレベルによって前記静止画像をファイルし,最も少なく強調された画像が,前記第1の方法によって圧縮され,最も多く強調された画像が,前記第2の方法によって圧縮されることを特徴とする請求項10又は11記載のプロセス。
【請求項13】
前記画像メディアはファイルであることを特徴とする請求項1〜12いずれか1項記載のプロセス。
【請求項14】
選択された前記静止画像のレベルから静止画像メディアを作り出すことを特徴とする請求項10記載のプロセス。
【請求項15】
マルチページ形式の動画(A)を作成するコンピュータプログラムであって,動画メディア(AM,AG)は,スケーラビリティ特性を有する複数の静止画像(P1,P2,・・・Pn)を含み,各レベル(Nm)が,前のレベル(Nm−1)よりも高い解像度の情報を提供するコンピュータプログラムにおいて,
前記メディア,前記動画の前記静止画像(P1,P2,・・・Pn)の再生が意図される順序に従った第1のランク(m)の全ての前記レベル(P1:Nm,P2:Nm,・・・Pn:Nm),次いで,すぐ上位のランク(m+1)の全ての前記レベル(P1:Nm+1,P2:Nm+1,・・・Pn:Nm+1)の順序で読出す工程,及び,
前記上位のランク(m+1)の前記レベル(P1:Nm+1,P2:Nm+1,・・・Pn:Nm+1)の解凍中に,前記第1のランク(m)の前記レベル(P1:Nm,P2:Nm,・・・Pn:Nm)による画像のプレビューを再生する工程を実行することを特徴とするコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は,主にマルチページの動画像を有する動画の分野に関する。
【0002】
マルチページ形式の動画像を有する,特に「Graphics Interchange Format」の略語GIFで知られている動画フォーマットが存在する。「GIF」形式の動画は,画像と映像の間の魅力的な中間物(intermediaire)を提案し,つまり,いくつかの連続する静止画像を別々に記憶して(このためにマルチページと呼ばれる),規則的な間隔で表示することができる。これによって,要求されるコンピュータ処理が映像の場合よりも大幅に少ない動画を提供することができる。これらの動画は,概して,各画像が通常規則的な間隔で再登場するような方法で周期的に再生される。
【0003】
映像では,例えば,MPEGファミリのフォーマットなどにおける動き予測機能のおかげで,画像を別の画像に従って圧縮することができる。一方,マルチページ形式の動画の場合,各静止画像は,他の静止画像から独立しているが,これらのフォーマットは,画像が大きくなると,対応するメディアが重くなり,伝達及び共有が難しくなる,という短所を有する。よって,このような画像で構成される動画は,ウェブサイト上に掲載したり,モバイル機器に送信したりするときに,ロード又は表示に長時間を要する場合がある。
【0004】
本発明の目的は,GIF形式の動画の利点を取り入れる一方で,より円滑かつ高速にダウンロード/アップロードできる動画を得ることができるプロセスを提案することである。
【0005】
本発明によれば,このようなプロセスは,好ましくは全ての画像について,スケーラブルな静止画像,すなわちスケーラビリティ特性を有する画像を使用することを含み,各静止画像は,少なくとも2つのレベル,すなわち,ディテールの少ない第1のレベルと,前のレベルに更なるディテールを提供する次の各レベルとで保存されるべきである。ある利点として,画像を再生するために,好ましくは画像の第1のレベルを始めとして,あるレベルが,上位ランクのレベルよりも前に最初に読み出される。各画像について,前記画像に利用可能な全てのレベルに含まれるデータが解凍され表示されるか,又は,全ての画像に利用可能なレベルのみに対応するデータが解凍され表示されるか,又は,レベルの小グループに対応するデータのみが解凍され表示されるかして,少なくとも特定の画像表示解像度を実現することができる。
【0006】
各画像について,前記メディアの読出し順序で,これらの各レベルを次のレベルよりも前に配置することが好ましい。動画のメディアは,前記メディアの読出し順序で,動画画像の再生が意図される順序に従って,好ましくは第1のレベルを始めとして,第1のランクの全てのレベル,次いで,そのすぐ上位のランクの全てのレベルを認識することができる。
【0007】
上位ランクのデータを読み出す前に,前記画像のレベルに由来するデータに従って画像を再生し,次いで処理することができる。
【0008】
要求される表示解像度を実現するために,処理される画像を再生前にサイズ変更することが好ましい。
【0009】
静止画像をウェーブレット法によって予め圧縮することが好ましい。画像メディアがファイルとなることが好ましい。
【0010】
本発明の一実施形態として,静止画像は,ウェーブレットによる変換方法を少なくとも1つを含む方法によって予め圧縮された。
【0011】
本発明の一実施形態として,静止画像は,隣接する2つの画素間の少なくとも1つの差分を含む方法によって予め圧縮された。
【0012】
本発明の一実施形態として,少なくとも1つの第1の静止画像は,第1の圧縮方法によって圧縮され,少なくとも第2の静止画像は,第2の圧縮方法によって圧縮された。
【0013】
有利には,本発明によるプロセスは,各静止画像を解析して最適な圧縮方法を決定する段階を含む。
【0014】
有利には,第1の圧縮方法は,ウェーブレットによる変換方法を少なくとも1つを含み,第2の圧縮方法は,隣接する画素間の少なくとも1つの差分を含む。
【0015】
本発明の一実施形態として,解析段階は,コントラストレベルによって全ての画像をファイルし,最小コントラストの画像は,第1の方法によって圧縮され,最大コントラストの画像は,第2の方法によって圧縮される。
【0016】
本発明は,本発明によるプロセスを実施するためのメディアにおいて,前記メディアの読出し順序で,好ましくは第1のレベルを始めとして,動画の画像の再生が意図される順序に従って第1のランクの全てのレベル,次いで,すぐ上位のランクの全てのレベルを含むという事実を特徴するメディアにも基づく。
【0017】
本発明は,さらに,このような動画メディアから静止画像を選択するためのプロセスに基づき,あるランクのあるレベルが,上位ランクの画像を読み出さずに,又は読み出さず処理もせずに,メディアの画像プレビューを表示するために使用される。
【0018】
本発明は,さらに,選択された静止画像のレベルから一定の画像メディアを作り出すという事実を特徴とするプロセスに基づく。
【0019】
本発明は,マルチページ形式の動画を作成するコンピュータプログラムにおいて,動画メディアが,好ましくは全ての画像について,スケーラビリティ特性を有する静止画像を含むことを特徴とするコンピュータプログラムにも基づく。
【0020】
スケーラビリティによって,使用する圧縮フォーマットのデータの一部のみによって画像プレビューを得ることができ,またデータを解凍するにつれて,レベルごとに,より正確な画像プレビューを得ることができる。このようなスケーラビリティは,すなわち,Jpeg2000フォーマット及びPGFフォーマットなどにおける単一の画像のために静的に使用される。GIFフォーマットによって,いくつかの画像を同一のメディアに記憶することができるが,スケーラブルではない。
【0021】
「レベル」は,圧縮中に作り出され,前のレベルと組み合わされる一組の整合情報と呼ばれるものであり,決定された解像度で画像を解凍させることができる。有利には,このレベルは,このレベルについて全ての画像レイヤーを含む。例として,画像がYCbCr形式である場合に,レベルは,このレベルについて,Yレイヤー,Cbレイヤー及びCrレイヤーのデータを含むことが好ましい。よって,レベルに含まれ,前のレベルの情報と組み合わされた情報によって,要求される解像度で画像を解凍し,表示することができる。
【0022】
以下では,添付図面を参照して,非限定的な例として,本発明を実行するいくつかの方法について説明する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】圧縮された静止画像のレベルを示すために,2次元で表した図を使用している。各矩形のサイズは,画像の解像度を表し,全てのレベルは,矩形によって表す解像度まで解凍される。
図2図1のモードに従って,各画像について3つの等価な解像度レベルを有する圧縮された5つの画像を含むマルチページ動画を示している。
図3】本発明を実施するための第1のモードに従って,図2の動画データの構成を示しており,画像は,各画像内の連続するレベルによって1つずつ記憶される。
図4】本発明を実施するための第2のモードに従って,図2の動画データの構成を示しており,全ての画像における同じランクのレベルは,第1のレベルから最後のレベルまで1つずつ記憶される。
図5図4の実施方法における本発明のプロセスに従って動画を表示するための可能な方法を1次元の表示によって示している。
図6図4の実施方法における本発明のプロセスに従って動画を表示するための可能な方法を2次元の表示によって示している。
【0024】
図1は,予め圧縮された連続する3つのレベルN1〜N3のそれぞれを解凍する際に得られる解像度を示している。このように,ディテールの少ない単一のN1レベルを解凍することによって,M行列の左上隅を占める範囲の解像度などの解像度の画像が生成される。勿論,画像の表示解像度又はスクリーンサイズを実現するために,この部分的に解凍された画像をサイズ変更してもよい。データの第2のレベルN2を解凍し,第1のレベルN1と組み合わせることによって,ディテールの多い画像が生成され,その解像度は,M行列の左上部,並びにその下部及び右側に位置するM行列の中間範囲を占める範囲全体に等しくなる。最後に,全てのレベルN1,N2及びN3を解凍し,1つに組み合わせることによって,M行列の面と均衡する解像度の完全な画像が生成される。
【0025】
図示する例では,
−第1のレベルN1は,M行列のサイズの1/16をカバーし,つまり,第1のレベルN1のみを解凍した場合に,元の画像のサイズの1/16を表す画像が得られ,
−第1及び第2のレベルN1及びN2のデータは,M行列のサイズの1/4をカバーし,つまり,2つの第1のレベルN1及びN2のみを解凍した場合に,元の画像のサイズの1/4を表す画像が得られ,
−第1,第2及び第3のレベルN1〜N3のデータは,M行列のサイズ全体をカバーし,つまり,3つのレベルN1〜N3を解凍した場合に,元の画像全体が得られる。
【0026】
各レベルは,次のレベルよりも低い解像度の画像を表すデータを有する。各レベルは,それ自体のデータと共に前のレベルのデータを使用する。したがって,このような画像は,スケーラブルであり,スケーラビリティ特性を有し,つまり,あるレベルを,次のレベルを解凍しなくても,前のレベルの後に解凍することができる。
【0027】
3つのレベルの解凍を待つよりも,第1のレベルを解凍して第1の画像プレビューを得る方が早く,第2のレベルを解凍してしまうと,第3のレベルを解凍している間に,改良された画像プレビューを得ることができ,このような画像のスケーラビリティ特性は,このように表される。
【0028】
本発明によって,画像のスケーラビリティ特性をどのように使用するかについては,後で説明する。
【0029】
図2は,図1の方法に従って圧縮された5つの画像P1〜P5のシーケンスを含むマルチページ動画Aを3つのレベルN1〜N3で示している。説明では,動画A中の各画像PnのレベルNmをPn:Nmと記しており,この場合,選択肢1〜5及びmの選択肢1〜3を有する。画像Pnは,スケーラビリティを有するコード化された一組の画像,又はアプリケーションの要求のためにスケーラビリティを有するコード化又は記録された一組の画像である。例えば,これらは,画像ギャラリ中の一組のJPEG画像又はカメラ画像に由来してもよい。
【0030】
次いで,画像の解凍及び表示を可能にする全てのデータを「メディア」と呼ぶ。これらのデータは,「ファイル」又は「画像ファイル」に含まれてもよい。これらは,電話又はデジタルカメラなどのモバイル機器のメモリに含まれてもよく,ネットワークプロトコルによって送信されてもよい。
【0031】
図3は,本発明を実施するための第1のモードに従って,動画Aに関するメディアAMのレイアウトを示している。メディアAMは,5つのページAM1〜AM5で構成され,それぞれが,表示される順序で,それぞれの画像P1〜P5に対応する。各AMnページでは,データは,レベルN1〜N3の順序でファイルされ,それによって,画像Pnの第1のレベルPn:N1のデータが,第2のレベルPn:N2のデータよりも前に配置され,第2のレベルPn:N2のデータが,第3のレベルPn:N3のデータよりも前に配置される。このように,各画像について,各レベルを次のレベルの前に読み出し,解凍することができる。
【0032】
各ページについて,AMnは,動画のペースに対応する所与の表示時間に対応する。レベルによるこの表示によって,各画像について,必要とされる解像度のみを解凍し表示することができる。例えば,各画像のレベルN1及びN2の解凍が,動画が読み出される機器のスクリーンの解像度で各画像を表示するのに十分である場合に,データのこの表示によって,各画像のレベルN1及びN2のみを解凍し表示し,よって全てのレベルを完全に解凍する場合と比べてリソースを節約することができる。
【0033】
本発明の第2の実施形態では,全レベルのデータは,図4に示すように,動画化された特定のメディアAGに再構成され,それによって,全ての第1のレベルN1が,画像Pnの順序でメディアAGの最初にコピーされ,同じ順序で,第2のレベルN2,第3のレベルN3が続けてコピーされる。この配置では,全ての第1のレベルPn:N1が,第2のレベルPn:N2よりも前に読み出され,第2のレベルPn:N2が,第3のレベルPn:N3よりも前に読み出される。
【0034】
この構成では,対応する第1のレベルP1:N1を読出し解凍してしまうと,第1の画像を表示することができ,同じように続けることができ,それによって,このような動画を見るいかなる人も,対応する画像を完全に解凍する必要がない。画像Pnの再生を計画する度に,希望される場合には,この画像に利用可能な全てのデータを使用して画像を再生することができる。
【0035】
結果として,いくつかの方法によって動画を再生することができ,つまり,配置される各画像について,この画像に利用可能な全てのレベルを解凍することができる。この読出し方法を図5及び図6に表している。図5に示す段階では,全ての第1のレベルPn:N1,及び2つの第1の画像の第2のレベルP1:N2 P2:N2のみが,読出され解凍された。次いで,図6のように動画Aを再生することができ,第1の画像P1及びP2の両方が,第2のレベルN2のディテールに対応するそれらの中間解像度で再生されるときに,次の画像P3〜P5は,それらの対応する第1のレベルN1のディテールに対応するそれらの最小解像度で再生される。
【0036】
全ての画像に利用可能な最大解像度によって,画像を解凍することもできる。例えば,全ての画像PのレベルN1を利用可能であるが,N2レベルのうちの一部のみを利用可能である場合には,連続する2つの画像間の解像度に変化をもたらさないように,各画像についてレベルN1のみを解凍し表示することができる。このように,図5に示す場合では,全ての画像は,レベルN1の解像度によって再生される。
【0037】
「有効な」解像度,すなわち,動画を再生する解像度と少なくとも同じ解像度が得られるまで,画像を解凍してもよい。
【0038】
圧縮によって空間的なスケーラビリティが許容される瞬間から,様々な圧縮方法によってメディア中の画像を圧縮解凍することができ,その場合には,連続するレベルの情報を組み合わせて,より高い解像度の画像を得ることができる。
【0039】
本発明の一実施形態として,ウェーブレット法によって少なくとも1つの画像Pnを圧縮することができる。ウェーブレットに基づく圧縮方法は,写真などの「自然」画像を圧縮するのに特に効果的である。さらに,ウェーブレットに基づく方法によって圧縮された画像は,本発明によって,概して,メディアによって構成されるいくつかのレベルを有する。
【0040】
本発明の第2の実施形態では,メディア中の少なくとも1つの画像が,隣接する画素間の差分値に基づく方法によって符号化される。隣接する画素間の差分に基づく圧縮方法は,概して,強く強調された合成画像を圧縮するのに特に効果的である。隣接する画素間の差分値に基づく方法によって圧縮された画像は,いくつかの連続するレベルを含んでもよく,これは,それらのレベルが,画像の画素サイズが増大する部分集合を表し,あるレベルの画素が,前のレベルの画素との差分に基づいて少なくとも部分的に符号化されるような場合である。図3及び図4によって説明する作成方法のうちの1つに従って構成できる,いくつかの連続するレベルがある。
【0041】
第3の実施形態では,少なくとも2つの画像が,異なる2つの圧縮方法によって圧縮される。例えば,ウェーブレットによって変換された画像を含む圧縮方法によって,少なくとも1つの第1の画像を圧縮することができ,隣接する2つの画素間の差分を含む圧縮方法によって,少なくとも第2の画像を圧縮することができる。
【0042】
この実施形態によって,画像形式に応じて可能となる最も効果的な圧縮を得ることができる。ウェーブレットによって変換された画像を含む方法によって,低コントラストの画像を符号化してもよく,隣接する2つの画素間の差分を含む方法によって,強調された画像を符号化してもよい。
【0043】
本発明の一実施形態として,マルチページ動画を作り出すための方法は,最適な圧縮方法を適用するために画像形式を検出する段階を含む。
【0044】
適切な方法によって各画像を復号可能にするために,本発明によるメディアは,各画像について,使用された圧縮方法を示す見出し情報を含んでもよい。
【0045】
毎秒当り再生される画像の数を示す時間情報をメディアAM,AGと組み合わせてもよく,所与の時間情報に従って動画を再生してもよい。スローモーション効果又はスピードアップ効果を使用可能にするために,メディアを書き込み及び/又は読み出すときにメディアの表示レートを修正するように,手段及び段階を計画してもよく,あるいは,さらに,ユーザ又はアプリケーションが要求するときに,各画像の全体又は一部を復元することによってもよい。
【0046】
動画化されたメディアAM,AGのデータに基づいて,画像Pnに対応するデータを動画の画像から抽出することもできる。このように,画像のレベルPn:N1,Pn:N2などを抽出し又は読み出し,再構成することによって,必要とされるものに応じて画像Pnを静止画像として復元し,圧縮されたデータをそのままに保つことができる。
【0047】
動画化されたメディアAGを,タイミングに基づいて動画の形式で再生するよりも,画像P1〜P5のフォルダとして使用してもよい。アイコンの形式で表示するために下位N1又は中位N2のレベルを使用してもよく,ユーザが画像P1〜P5から画像Pnを選択すると,第3のレベルPn:N3に対応する情報に基づいて,画像Pnのみが,完全に読み出され解凍されて,最大解像度の静止画像として表示される。
【0048】
本発明を実行すると,このようなメディアは,いくつかの静止画像を連続して撮影するために使用される。静止画カメラ若しくはフィルムカメラ,又は連続したスクリーンショットによって,このキャプチャを行ってもよい。キャプチャされた後に,画像は,いくつかのレベルに圧縮され記憶される。キャプチャが終了すると,ユーザは,記憶された画像から,動画像に変換したい画像を選択する。この選択は,全ての画像,2つの画像のうちの1つ,複数の画像の後半部などに関わってもよい。ユーザは,キャプチャ速度のみならず,スローモーション効果又はスピードアップ効果を作り出すように加減された速度にも対応し得る読出し速度を,このメディアと組み合わせる。アプリケーションは,圧縮された画像から,図4の動画化されたメディアAGなど,レベルによって構成された画像メディアを作り出す。
【0049】
メディアから抽出された画像を,単一の静止画像を含むメディアの形式で別途に記憶してもよい。
【0050】
もちろん,本発明は,これまで説明してきた例には限定されない。
【0051】
このように,レベルの数は3つに限定されず,2つ若しくは4つ又は4つより多くてもよく,よって,本発明によるプロセスのおかげで,GIFで一般に使用される画像よりも段階的に大きなサイズの画像を,特にレベルの数を増やすことによって,高速に表示することができる。
【0052】
したがって,本発明は,スケーラビリティによって動画像を圧縮解凍するためのプロセスを提案する。これらのプロセスによって,動画受信機は,必ずしも全てを受領していなくても,到達済みのデータにより動画を表示することができる。

図1
図2
図3
図4
図5
図6