【課題を解決するための手段】
【0010】
この課題は本発明に従い、請求項1に記載の特徴を有する撚合わせ機械用撚合わせユニッ
トによって解決される。有利な実施形態、発展形態および変形は従属請求項の対象である。課題はさらに、請求項
19に記載の特徴を有するケージによって解決される。撚合わせユニットに関連する実施は、ケージにも同様に当てはまり、その逆も当てはまる。
【0011】
撚合わせユニットは撚合わせ機械での使用のために形成され、撚合わせ軸線を有し、この撚合わせ軸線は特に撚合わせ機械の撚合わせ軸線でもあり、この撚合わせ軸線に沿って撚合わせ物の製造が行われる。撚合わせユニットは保持器を備え、この保持器内には、ストランド材料を巻き取ったリールを1個ずつ収容するために、少なくとも1個のケージ、好ましくは多数のケージが配置されている。運転中、このストランド材料はリールから繰り出され、撚合わせ機械によって撚合わせ物に撚り合わせられる。本発明では、撚合わせユニットが枠を有する架台を備えている。この枠は撚合わせ軸線回りの回転方向に保持器の周りを特に完全に回転するように形成されている。この場合、保持器は複数の枠支承要素によって枠に支承され、撚合わせ軸線回りに回転可能である。換言すると、保持器は枠に回転可能に支承され、好ましくはもっぱら枠に支承されている。この場合特に、撚合わせ軸線方向の付加的な軸が省略される。その際、保持器は架台に固定連結され、運転中保持器は枠内で撚合わせ軸線回りに回転する。
【0012】
本発明の重要な効果は特に、運転中に発生する遠心力が改善された方法で受け止めおよび分配され、運転中の撚合わせユニットの個々構成要素の変形の危険が防止されるか、少なくとも低減されることにある。これは特に、保持器の支承が通常のように中央の軸によって行われないで、中心から外に保持器の外周部に移動していることによって達成される。枠のきわめて有利な形成により、運転中、枠は撚合わせ軸線に対して垂直なすべての方向に向いた遠心力を最適に受け止める。その際、ケージが撚合わせ軸線の方向において枠支承要素とほぼ同じ縦方向位置に配置されるように、ケージが保持器内に配置されていると有利である。保持器とケージの回転時に発生する遠心力は、半径方向に、すなわち撚合わせ軸線に対して垂直に、枠支承要素を介して枠へ特に最適な方法で直接伝達される。本発明の他の効果は特に、枠を保持器の外側に配置したことにより、枠がほとんど任意の頑丈さ、ひいては高い安定性を有するように設計可能であり、それに相応してきわめて大きな力を受け止めるために合目的に形成されることにある。例えば、枠は撚合わせ軸線回りに周方向に延在する複数の鋼リングによって形成され、この鋼リングはさらに架台に固定されている。枠は保持器と、特にその中に配置されたケージとを完全に取り囲んでいる。すなわち、保持器とケージを駆動するためおよびケージを配置するための従来のやり方とは全く異なっている。
【0013】
保持器を上記のように外側で広く支承したことに基づいて、そうでない場合に中心に配置されかつ撚合わせ軸線に沿って延在する撚合わせユニットの軸を、非常に小さく採寸することができる。従って、従来の軸よりも直径を非常に小さくした軸が使用される。それどころか軸を完全に省略すると有利であり、その場合撚合わせユニットは枠の外に、特に枠の側方に配置された、保持器を駆動する駆動モータを備えている。それによって、保持器の中央にさらに自由空間が生じるので、従来の撚合わせユニットと比べて、ケージを撚合わせ軸線に近接させて配置することができ、合目的には運転中のケージの回転円半径が小さくなるように配置することができる。これにより、撚合わせユニットの運転中、遠心力が小さくなるので、より高い回転数、ひいてはより高い製造速度が可能になるという利点がある。
【0014】
撚合わせユニットの運転中、架台と、この架台に連結された枠は固定されて不動であり、撚合わせユニットの動く部品のための受止め部を形成している。保持器は枠内に支承され、運転中、撚合わせのために必要なストランド材料の回転運動を実現するために、撚合わせ軸線回りに回転させられる。その際、ケージは、保持器の回転時に、撚合わせ軸線周りの1つまたは複数の回転円に沿って移動するように、保持器に連結されている。撚合わせ軸線はさらに、ストランド材料が搬送されかつストランド材料から撚合わせ物が製造される撚合わせ方向または製造方向に延在している。撚合わせユニットの前側は撚合わせ方向において撚合わせユニットの前方に位置し、この前側でストランド材料が撚合わせユニットから出て、撚合わせニップルに好都合に供給される。撚合わせ方向において撚合わせユニットの手前に、撚合わせユニットの後側があり、この後側で例えば中央を案内された走入芯が撚合わせ物の芯として供給される。
【0015】
有利な発展形態では、ケージ、好ましくはすべてのケージが保持器内で、撚合わせ軸線に対して平行に延在する各ケージ縦軸線回りに回転可能に支承されている。その際特に、ケージ内に支承されたリールはリール軸線回りに回転可能である。このリール軸線は同様に、撚合わせ軸線に対して平行に延在し、特にケージ縦軸線と同軸である。いろいろな回転軸線のこの縦方向配向によって、運転中、撚合わせユニットの個々の構成要素に対して力が最適に作用する。この場合きわめて適切な態様では、運転中に発生する遠心力がすべての軸線、すなわちケージ縦軸線とリール軸線に対して半径方向にのみ作用し、軸方向には、すなわち各軸線に沿って作用しない。従って、運転中に発生する遠心力がきわめて均一に分布するので、構成要素の均一な負荷が行われ、変化する負荷に基づく変形や損傷が回避される。さらに、巻き取られたストランド材料が半径方向の力にのみ作用することにより、ケージに挿入されたリールに関してさらに利点が生じ、それによってリール軸線方向のストランド材料の滑りがきわめて簡単に防止される。これにより、リールコアとリール側板を有するリールにもやさしく作用する。というのは、ストランド材料がリールコア上で滑って行ったり来たりせず、それによって特にリールコアとリール側板に対する動的負荷が軽減されるからである。
【0016】
枠内での保持器の回転可能な支承のために、基本的にはいろいろな実施が適している。例えば、枠支承要素として適切なボールまたは磁気コイルを備えた玉軸受、滑り軸受または磁気軸受による支承が適している。きわめて簡単で適切な実施形態では、枠支承要素が保持器を支承するために、それぞれ複数の枠ローラを備えている。この枠ローラが枠に関して動かぬように位置決めされているので、運転中保持器がこの枠ローラを介して転動する。そのために、保持器は好ましくは外周に保持器支承面を有し、この保持器支承面に枠ローラが載る。その際、保持器支承面が凸形に形成され、それによって対応して凹形に形成された枠ローラ内に軸方向においてきわめて確実に挿入されるので合目的である。
【0017】
きわめて有利な実施形態では、枠支承要素が2個の枠ローラを備え、この枠ローラが枢着アームによってローラユニットを一緒に形成している。このローラユニットは枠に固定されている。多数のこのようなローラユニットが保持器の周りに周方向に分配されて枠に固定されている。撚合わせユニットは好ましくはさらに、枠支承要素を有する少なくとも2個の枠を備えている。この枠支承要素は撚合わせ軸線に沿った異なる縦方向位置に位置決めされている。このような枠は撚合わせ軸線に沿って延在する円筒状の保持器空間を形成し、この保持器空間内に保持器が回転可能に配置されている。それによって、枠は保持器を少なくとも半径方向から特に完全に取り囲んでいる。
【0018】
枠に対して保持器をきわめて簡単かつ正確に配向するために、枠支承要素はそれぞれ偏心ピンによって枠に固定されている。それによって、枠支承要素が撚合わせ軸線に対して垂直な半径方向平面内で制限されて摺動可能であるので、保持器を枠に挿入する際に枠または保持器のあり得る製作誤差を簡単に補償することができる。枠支承要素の調整により、運転中、保持器のきわめて静かな回転、ひいてはきわめて均一な力が達成される。
【0019】
保持器、ケージおよびストランド材料が通常無視できない自重を有するので、撚合わせ軸線の下方の枠の下側範囲が、上側範囲よりも枠支承要素を密に備えている。それによって特に、下方に作用する重力が考慮され、この重力は、枠のこの下側範囲に枠支承要素を密に備えていることにより、改善された態様で、枠によって受け止められる。枠の上側範囲には、少ない枠支承要素が配置されている。というのは、ここでは運転中に発生する遠心力だけを受け止めればよいからである。
【0020】
完成した撚合わせ物のねじり応力を回避するために、撚合わせは通常いわゆる戻し回転によって、すなわちケージをそれぞれ保持器に対して反対向きに回転することによって行われる。それによって、ケージは枠と相対的に回転しないで、回転円に沿って移動するだけである。きわめて有利な発展形態では特に、このような戻し回転を実現するために、ケージが複数の保持器支承要素、特に保持器ローラによって保持器に支承され、この保持器支承要素がケージの周りの周方向に配置されている。換言すると、保持器が外周で枠に支承されているように、個々のケージは外周で保持器に対して支承されている。それによって、保持器に対するケージの回転時、特に戻し回転時に、遠心力の均一な分布が生じるので有利である。この実施形態は、撚合わせ軸線に対して平行に延在するケージ縦軸線を有する上記の実施形態と共にきわめて有利である。
【0021】
ケージ支承要素が同時に枠支承要素として、好ましくはローラユニットとして形成されていると合目的であり、このローラユニットは偏心ピンによって保持器に取付けられている。類似の方法で、複数の保持器支承要素が、それぞれ特に2個の保持器ローラを備えたローラユニットとして形成され、運転中ケージがこの保持器ローラ上を転動する。
【0022】
特にケージを収容するために、保持器は複数の保持器ディスクを備えると合目的であり、この保持器ディスクは撚合わせ軸線に沿った異なる縦方向位置に撚合わせ軸線に対して垂直に配置され、かつそれぞれ特に円形のケージ切欠きを有し、このケージ切欠き内にケージが挿入されている。撚合わせユニットは好ましくは枠と同じ数の保持器ディスクを備えているので、各枠に1個の保持器ディスクが付設され、この保持器ディスクがこの枠内に配置されているので、異なる縦方向位置にそれぞれ1個の保持ディスクと、この保持ディスクを取り囲む枠が配置されている。撚合わせユニットのきわめて有利な実施形態では、2つの縦方向位置に2個の保持器ディスクが配置され、この保持器ディスクが2個の枠によって取り囲まれている。保持器に挿入されたケージは特に少なくとも、保持器ディスクによって形成された中間空間にわたって延在し、好ましくはリールがケージ内のこの中間空間内に配置されるように延在している。それによって、運転中、半径方向において最適な力伝達が行われる。保持器ディスクは保持器支承要素および枠支承要素と組み合わさって特に保持器とケージとの間の仲介部材として作用し、その際特に荷重または力を伝達する要素を形成する。
【0023】
運転中、保持器の回転に基づいて遠心力が各ケージに作用する。この遠心力は撚合わせ軸線に関して外側に向いている。従って、運転中遠心力をきわめて最適に受け止めるために、保持器支承要素は撚合わせ軸線に関して保持器の外側の範囲が内側の範囲よりも互いに密に配置されていると合目的である。さらにそれによって特に、内側範囲内に少ない保持器支承要素が配置されているので、ケージ全体を撚合わせ軸線に近づけて配置することができ、合目的でもあるので、運転中ケージの回転円が小さいという利点を生じる。
【0024】
保持器支承要素は、その都度の力と構造空間の要求に合わせて、個々に送り調節可能であるので有利である。すなわち、実際に保持器に作用する保持器支承要素の数を調節することができ、特に偏心ピンを介しての取付けに基づいてきわめて簡単に調節することができる。保持器支承要素を偏心して取付ける上記構造はさらに、自己センタリング作用があるので有利である。同じことが枠支承要素についても当てはまる。
【0025】
遠心力の非常に最適な伝達は、有利な発展形態において特に、枠支承要素が撚合わせ軸線に沿って所定の縦方向位置に配置され、保持器支承要素がほぼ同じ縦方向位置に配置されていることによって達成される。従って、保持器支承要素と枠支承要素は言わば同じ高さ位置で撚合わせ軸線に沿って配置されている。これはできるだけ短い力伝達路を実現するという考察に基づいている。それによって、運転中、ケージから保持器に半径方向に伝達される力は、半径方向から枠に直接達する。それにより、軸方向、すなわち撚合わせ軸線方向の機械的負荷は効果的に低減される。特に、枠に作用する曲げモーメントは特に実際に回避される。その際、このような曲げモーメントは特に相殺されないで、特別な配置構造に基づいて最初から回避される。所定の縦方向位置で、保持器支承要素と枠支承要素が半径方向に並べて配置されている。その際、ほぼ同じ縦方向位置とは特に、撚合わせ軸線の方向において保持器支承要素と枠支承要素との間にせいぜい小さなずれしか存在しないことであると理解される。この場合、せいぜい小さなずれは特に支承要素の幅に相当する。例えば、保持器支承要素と枠支承要素は所定の縦方向位置でせいぜい枠支承要素および/または保持器支承要素の幅だけしか互いにずれないように配置されている。
【0026】
保持器、特に保持器ディスクは好ましくはさらに、対応する数のストランドを通過案内するための複数のストランド通過部を備えている。このストランドは例えば撚合わせユニットの手前に接続配置された他の撚合わせユニットからまたは相応して手前に配置された巻き戻し機から出る。
【0027】
有利な実施形態では、ケージが管を備え、この管がケージ縦軸線に沿ってかつこのケージ縦軸線の周りに延在し、この管にヨークが挿入されている。その際、ヨークは特にリールを収容する働きをする。リールは挿入状態で管によって取り囲まれている。管は特に、閉じた外周面を有し、それによって運転中、ケージの回転による不所望な空気渦化が回避される。管は特にストランド材料を案内する働きをしないで、ケージを安定させる外側骨組みをむしろ形成する。管は保持器のように前側と後側を有する。この場合、運転中繰り出されるストランド材料が前側から出る。ケージのきわめて軽量で頑丈な実施形態では、管が好ましくは、CFKまたはGFKとも呼ばれる、炭素繊維またはガラス繊維で補強した合成物質で製作されている。ケージにリールを装填するために、リールは先ず最初にヨークに、続いて管に挿入される。
【0028】
管は外側に、すなわちその外周面に、合目的に複数の支承軌道を備え、この支承軌道に沿って保持器支承要素が案内されている。従って、支承軌道は特に、保持器上でケージを支承する働きをする。これにより、ケージ縦軸線方向においても、きわめて確実な保持が保証される。そのために、例えば支承軌道が特に凹形のローラ軌道として管の外周面に形成され、特にこの外周面の全周にわたって延在しているので、補完的に形成された保持器ローラがこのローラ軌道に沿って案内される。きわめて確実な支承のために、管は好ましくは2つの支承軌道を有し、この支承軌道がケージ縦軸線の方向において異なる縦方向位置に配置されているので、ケージは全体として2つの縦方向位置で保持器に支承されている。
【0029】
特に、管内でヨークを固定および保持するために、ヨークは好ましくはそれぞれ1つの周方向の円錐形の接触面を有する少なくとも1個、好ましくは2個の支承リングを備え、この接触面がヨークの挿入状態で、管の円錐形の内側のヨーク支承面にかみ合い連結的に接触している。それによって、接触面とヨーク支承面はそれぞれリング状の面を形成する。このリング状の面は、ケージ縦軸線に対して所定の角度をなしており、それによって円錐外周面の一部を形成している。ケージ内へのヨークの挿入状態で、それぞれ1つの接触面とヨーク支承面が互いに接触して、ヨークを位置決めする。ケージへのリールの装填は特に、リールがヨークに装着され、ヨークが管に挿入され、それによって接触面とヨーク支承面が互いにかみ合い連結的に接触するように行われる。
【0030】
好ましくは支承軌道はケージ縦軸線から半径方向外側に向いて各接触面の背後に配置されている、すなわち特に軸方向のずれを生じないでほぼ同じ縦方向位置に配置されている。保持器支承要素と枠支承要素に関連して既に上述した内容に類似して、半径方向に直接相前後して配置された接触面と支承軌道によって、半径方向に向けてきわめて最適に力が伝えられる。ヨーク支承面によって受け止められる力は半径方向に向けて管の外面に取付けられた支承軌道に直接伝えられ、そこから同様に半径方向に向けて保持器支承要素に直接伝えられる。これにより、管の軸方向の負荷が非常に効果的に回避される。
【0031】
ケージへのストランド材料のきわめて簡単な装填または装着を可能にするために、円錐形の接触面がケージ縦軸線の方へ同じ方向に細くなるように合目的に形成されている。ヨークは好ましくは、例えば撚合わせユニットの後側から管の端面側に挿入される。特に撚合わせ軸線の方向に向いたケージ縦軸線と組み合わさって、ケージへのストランド材料の非常に簡単化された装填が生じる。管内でのヨークの軸方向保持は好ましくは締付けレバーによって行われる。この締付けレバーは例えばケージの後側に配置され、ヨークはこの締付けレバーによって管内で可逆的に締付け固定されている。後側のアクセスが簡単であることにより、リールを取り替えるためには、締付けレバーを弛め、ヨークを管から引き抜き、そしてリールを交換するだけでよい。
【0032】
リールを収容するために、ヨークは好ましくはリールホルダを備えている。このリールホルダは管内でリールを位置決めするためにも両接触面の間の範囲内に設けられている。リールをこのように接触面の間に配置したことにより、特にリールを巻き戻し回転する際に生じる遠心力が、接触面を経てヨーク支承面に、大幅に改善された態様で伝達される。すなわち、接触面はエッジ範囲内におよびヨークに装着されたリールの端面側に配置されている。
【0033】
リールを挟み込むために、リールホルダは、2個の円錐形の締付けヘッドを合目的に備え、この締付けヘッドの一方だけがヨークに対しておよびケージ縦軸線に沿って摺動可能である。締付けヘッドによって、リールはヨーク内で挟み込まれて固定される。その際、円錐形の締付けヘッドはリールの端面の対応する適当な凹部に係合する。摺動可能な締付けヘッドの摺動によって、リールを締付け固定することができる。その際、摺動可能な締付けヘッドは、例えば、ねじ、特に細目ねじを介して回転可能でかつケージ縦軸線に沿って摺動可能である。合目的には摺動可能な締付けヘッドはケージの端面から、特に撚合わせユニットの後側からきわめて簡単にアクセス可能である。それに対して、他方の締付けヘッドは好ましくはアクセス可能である必要はなく、リールのロックは摺動可能な締付けヘッドだけによって行われる。
【0034】
リール交換をきわめて簡単に行うために、少なくとも1本、好ましくは2本の引き出しレールが管に配置されている。この引き出しレールはヨークを管からおよびケージ縦軸線方向に可逆的に挿入および引き出すことを可能にする。ヨークは特に後方に、すなわち後側で管から引き出すことができ、そしてヨークに装着されたリールを簡単に交換することができる。この場合、手間のかかるヨークの分解や保持器からの分離は不要である。その代わりに、交換のために先ず最初に締付けレバーを弛め、管からヨークを引き出し、そして最後にリールホルダを弛めてリールを交換する。
【0035】
リールの縦方向配向に基づいて、運転中ストランド材料を撚合わせ方向に直接繰り出すことは不可能である。従って、ケージはリールから繰り出されたストランド材料のための方向変更機構を好ましくは備え、この方向変更機構はストランド材料を反対に曲がらないようにケージの端面の方に、特に撚合わせユニットの前側の方に方向変更する。方向変更時に、ストランド材料は必ず1つまたは複数の方向に曲げられ、例えば方向変更時に方向変更ローラを用いて曲げられる。この場合、戻し曲げ、すなわち反対向きの曲げが行われない、すなわち方向変更が反対向きの曲げを生じないことによって、ストランド材料の機械的な負荷が低減される。従って、方向変更機構は複数の方向変更要素、例えば方向変更ローラを備え、この方向変更要素によってストランド材料が案内されて方向変更される。しかし、方向変更機構全体において所定の方向変更軸線周りに所定の1つの変更方向に方向変更する際に、反対向きの他の方向変更は行われない。換言すると、方向変更機構全体において、互いに逆並列の2つの方向にストランド材料を折り曲げることは行われない。
【0036】
ストランド材料を繰り出す際にきわめて簡単に長さを補正するために、方向変更機構は撚合わせ方向に摺動可能なダンサを有するダンサーガイドを適切に備えている。そのために、ダンサは調節要素を備え、この調節要素によって方向変更要素の少なくとも1個が撚合わせ方向に摺動可能であり、それによって方向変更機構を通って走行するストランド材料のための経路長さの差を調節することができる。
【0037】
基本的には、このようなダンサ位置調整の調節要素として、空気圧シリンダが適している。この空気圧シリンダはきわめて良好に調節可能なピストン押圧力を生じ、このピストン押圧力は調節要素の調節範囲全体にわたってほぼ一定である。しかし、運転中のケージの高い回転数に基づいて、このような調節要素への圧縮空気の供給は困難である。従って、適切な代替法では、調節要素が、磁気ばねとして、リニアモータとしてまたは交換可能な圧縮ばねセットとして形成されている。調節範囲に沿って一定の引張り力を有していないが十分な精度を有する調節要素が使用可能でありかつ使用されるように、ストランド材料の繰り出し時に予想される長さの変動が小さいと有利である。
【0038】
特に上述の戻し回転を実現するために、有利な発展形態では、保持器の回転時にケージを戻し回転するために、ケージが連結機構によって保持器に連結されている。ここでは、この連結機構は連結部材を備え、この連結部材は2個の車輪、すなわち枠上を転動する枠車とケージを駆動するケージ車を備えている。その際、両車輪は中間軸を介して互いに固定連結されている。これにより、枠と相対的な保持器の回転が、特に一定の変速比で、保持器内のケージの回転に変速される。その際、中間軸は特に撚合わせ方向に対して平行に案内され、好ましくは保持器の壁を通過し、かつこの保持器に支承されている。特に複数の保持器ディスクを用いた保持器の形成と組み合わせて、中間軸はそれぞれの保持器ディスクを通過し、かつこの保持器ディスクに支承されている。すなわち、中間軸は運転中保持器と一緒に撚合わせ軸線回りに回転する。連結部材は互いに相対回転しないように連結された2個の車輪を備えている。この場合、枠車としての一方の車輪は固定された枠に作用連結され、保持器車はケージに作用連結されている。
【0039】
ケージの相対回転を完全に回避するために、すなわち最適な戻し回転を実現するために、ケージの回転は1の変速比で行われる。そのために、両車輪はその直径および直径の比に関して互いに適切に採寸されている。
【0040】
コスト的にきわめて有利で頑丈な実施形態では、枠車がチェーンスプロケットとして形成され、枠に固定されたチェーン上を走行する。この場合、チェーンは、例えばフランジ側板を介して、特に枠の内面に取付けられている。チェーンの使用によってさらに、要求に合わせて場合によりきわめて大きくなる枠の歯付き成形部を省略することができる。この場合、チェーンが静的な構成部品として使用されるので、このチェーンは運転中、例えば遠心力または最高回転数に関する通常の制約を受けない。チェーンは好ましくは非常に低コストのピンチェーンである。
【0041】
ケージへの連結部材の連結が、ケージの外側、すなわち管の外周面で行われると合目的である。ケージ車は好ましくはベルト車として形成され、ベルトを駆動する。このベルトはケージを回転し、歯状輪郭部に作用する。この歯状輪郭部はケージの外側に取付けられている。歯状輪郭部が管の製作時に既に管に形成されていると合目的である。すなわち、管と一体に製作されると合目的である。枠車に対するケージ車の大きさの比は、ケージの直径と保持器の直径を考慮して、保持器について枠との相対回転運動がなくなるように、すなわち1の変速比が生じるように選定される。
【0042】
ストランド材料が撚合わせユニットの前側から出る際に、ストランド材料は回転運動に基づいて遠心力を受ける。この遠心力は有利な発展形態では、撚合わせユニットが、撚合わせニップルへストランド材料を案内するために、少なくとも1個の案内要素を備えていることによって受け止められる。その際、案内要素は撚合わせ方向において保持器の前方に、すなわち保持器の前側に配置され、合目的には運転中繰り出されるストランド材料と一緒に走行する。それによって、案内要素に対するストランド材料のできるだけ小さな相対運動が達成される。摩擦力を最小限に抑えるためおよび案内要素に沿って案内する際のストランド材料の摩耗をできるだけ低減するために、案内要素は、ストランド材料との接触時にできるだけ小さな摩擦を生じる材料から作られた案内面を備えている。案内要素は特に好ましくは一緒に走行する支持要素であり、主として、遠心力の負荷の際にストランド材料の自重による損傷を回避する働きをする。従って、案内要素は特に予備撚合わせディスクではない。
【0043】
課題はさらに、請求項
19に記載の特徴を有するケージによって解決される。有利な発展形態は上述から明らかである。ケージは管を備え、この管はケージ縦軸線に沿ってこのケージ縦軸線周りに延在し、ストランド材料を巻き取ったリールを収容するために、ヨークが管に挿入され、リールに関して側方にストランド材料を繰り出すために、ストランド材料のための方向変更機構が端面側に配置されている。方向変更機構を端面側に配置することにより、ケージは半径方向においてきわめて小さく形成され、それによって運転時にケージの回転円を非常に小さくすることができ、かつケージを備えた撚合わせユニットをはるかに高い回転数で運転することができる。
【0044】
ヨークは特に端面側から管に挿入され、特に方向変更機構とは反対側の管の端面に挿入される。それによって、リールは端面からきわめて簡単にアクセス可能および交換可能である。リールを引き出しまたは挿入するために、ヨークは好ましくは管の後側から引き出し可能であり、そして方向変更機構が前側に配置されているので、ストランド材料は運転中前側から繰り出され、方向変更機構はリールの交換時に邪魔をしない。方向変更機構がヨークの一部であり、従ってヨークと共に管から引き抜き可能であると合目的であり、それによってリール挿入時の方向変更機構内へのストランド材料の糸通しが大幅に簡単化される。
【0045】
次に、図に基づいて本発明の実施形態を詳しく説明する。