特許第6590975号(P6590975)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6590975
(24)【登録日】2019年9月27日
(45)【発行日】2019年10月16日
(54)【発明の名称】送信装置及び送信方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 13/00 20060101AFI20191007BHJP
【FI】
   H02J13/00 301A
【請求項の数】12
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2018-63043(P2018-63043)
(22)【出願日】2018年3月28日
(62)【分割の表示】特願2016-238897(P2016-238897)の分割
【原出願日】2013年2月26日
(65)【公開番号】特開2018-102130(P2018-102130A)
(43)【公開日】2018年6月28日
【審査請求日】2018年3月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】100188307
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 昌宏
(74)【代理人】
【識別番号】100169823
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 雄郎
(72)【発明者】
【氏名】寺井 良太
【審査官】 下林 義明
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2012/056551(WO,A1)
【文献】 特開平10−124430(JP,A)
【文献】 特開2011−151490(JP,A)
【文献】 特開2012−181745(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 13/00
H02J 3/00 − 5/00
H03J 9/00 − 9/06
H04Q 9/00 − 9/16
H04L 13/00 − 13/18
H04L 12/00 − 12/26
H04L 12/50 − 12/955
H04N 7/12
H04N 19/00 − 19/98
G06F 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電力負荷それぞれの消費電力を取得する取得部と、
ネットワークを介して第1の送信時刻に所定のデータをサーバに送信し、第1の受信時刻に前記所定のデータに対する応答信号を前記サーバから受信する通信部と、
前記第1の送信時刻から前記第1の受信時刻までの時間が所定時間以上である場合に、重要度の高いデータを優先的に送信するように前記通信部を制御する制御部と
を備える送信装置。
【請求項2】
請求項に記載の送信装置において、前記制御部は、
前記消費電力の総和をメインデータとし、
当該メインデータの重要度を最も高くする
ことを特徴とする送信装置。
【請求項3】
請求項に記載の送信装置において、前記第1の送信時刻から前記第1の受信時刻までの時間が第1時間閾値以上である場合、前記制御部は、
前記消費電力に基づき、電力系統の配電方式毎の配電種別消費電力をサブデータとして算出し、
当該サブデータの重要度を前記メインデータの次に高くする
ことを特徴とする送信装置。
【請求項4】
請求項に記載の送信装置において、前記第1の送信時刻から前記第1の受信時刻までの時間が前記第1時間閾値未満であり、当該第1時間閾値よりも小さい第2時間閾値以上である場合、前記制御部は、
前記総和を電力閾値と比較し、
前記総和が前記電力閾値以上である場合、
前記消費電力をサブデータとし、
当該サブデータの重要度を前記メインデータの次に高くし、
前記サブデータの内で、瞬時値又は変化量が大きい消費電力ほど重要度を高くすることを特徴とする送信装置。
【請求項5】
請求項に記載の送信装置において、前記総和が前記電力閾値未満である場合、前記制御部は、
前記消費電力に基づき、対地電圧の等しい電圧線毎の相消費電力をサブデータとして算出し、
当該相消費電力の電力差を電力差閾値と比較し、
前記電力差が前記電力差閾値以上である場合、前記サブデータの重要度を前記メインデータの次に高くする
ことを特徴とする送信装置。
【請求項6】
請求項に記載の送信装置において、前記電力差が前記電力差閾値未満である場合、前記制御部は、
前記消費電力に基づき、前記電力負荷の種類毎の負荷種別消費電力をサブデータとして算出し、
当該サブデータの重要度を前記メインデータの次に高くし、
前記サブデータの内で、瞬時値が大きい負荷種別消費電力ほど重要度を高くする
ことを特徴とする送信装置。
【請求項7】
請求項に記載の送信装置において、前記総和が前記電力閾値未満である場合、前記制御部は、
前記ネットワークにおける送信料と料金閾値とを比較し、
前記送信料が前記料金閾値以上である場合、前記消費電力に基づき、電力系統の配電方式毎の配電種別消費電力をサブデータとして算出し、当該サブデータの重要度を前記メインデータの次に高くする
ことを特徴とする送信装置。
【請求項8】
請求項乃至のいずれか一項に記載の送信装置において、前記制御部は、
前記取得された消費電力のうち前記サブデータとは異なる消費電力を未送信データとし、
当該未送信データの重要度を前記サブデータの次に高くする
ことを特徴とする送信装置。
【請求項9】
請求項に記載の送信装置において、前記制御部は、
前記ネットワークにおける送信料と料金閾値とを比較し、
前記送信料が前記料金閾値以上である場合、前記未送信データを送信しないように前記通信部を制御する
ことを特徴とする送信装置。
【請求項10】
請求項乃至のいずれか一項に記載の送信装置において、前記第1の送信時刻から前記第1の受信時刻までの時間が前記第2時間閾値未満である場合、前記制御部は、
前記消費電力をサブデータとし、
当該サブデータの重要度を前記メインデータの次に高くし、
前記サブデータの内で、各消費電力の重要度を互いに同じにする
ことを特徴とする送信装置。
【請求項11】
請求項に記載の送信装置において、
前記通信部は、前記送信装置が送信すべきデータを指定する信号を前記サーバから受信し、
前記制御部は、当該送信すべきデータの重要度を前記メインデータの次に高くする
ことを特徴とする送信装置。
【請求項12】
ネットワークを介してサーバと通信を行う送信装置における送信方法であって、
複数の電力負荷それぞれの消費電力を取得するステップと、
前記ネットワークを介して第1の送信時刻に所定のデータを前記サーバに送信するステップと、
第1の受信時刻に前記所定のデータに対する応答信号を前記サーバから受信するステップと、
前記第1の送信時刻から前記第1の受信時刻までの時間が所定時間以上である場合に、重要度の高いデータを優先的に送信するステップと
を含む送信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送信装置及び送信方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、電力不足の懸念や地球環境保護への要求を背景として、各店舗、家庭、建物等(以下、各店舗等と略記する)での節電が求められている。特に、夏場及び冬場は電力需要が高まり、各店舗等での消費電力が契約電力を上回ることがある。そこで、節電を効果的に行って消費電力が契約電力を上回らないようにするために、各店舗等における消費電力を監視し、各種電気製品(以下、電力負荷という)の消費電力を制御する、いわゆるBEMS(Building and Energy Management System)が提案されている。BEMSでは、電力センサーが各電力負荷の消費電力を検知し、検知した消費電力データを、例えば遠隔地にあるサーバに送信する。そして、サーバが消費電力を監視しながら消費電力に応じた制御信号を各電力負荷に送信することで、各電力負荷の消費電力は効率的に削減される。
【0003】
ここで、電力負荷の数の増加に伴い電力センサーからのデータ量が増加すると、サーバへのデータ送信におけるトラフィック負荷やサーバ負荷の上昇が発生する。すると、電力センサーにより取得されたデータが一定時間内にサーバに送信されず、現在の消費電力に応じた制御が行えなくなることがある。
【0004】
そこで、例えば、トラフィック負荷が上昇した場合に、データ量を削減して送信を行う方法が考案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の方法では、送信装置が、受信装置(サーバ)へのデータ送信に先立って、ネットワーク上のトラフィック量情報を取得する。そして、送信装置は、取得したトラフィック量情報が所定値より大きい場合に、データの属性(解像度等)を変更し、データ量を削減して送信する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−216932号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1の送信装置は、送信すべきデータの一部だけの属性を変更するわけではないため、データ量削減のためにデータ全体が粗くなり、データ全体の質が低下してしまう。また、仮に、一部のデータだけの属性を変更するとしても、データの重み付けについて何ら考慮されていないため、重要度の高いデータの属性だけが変更されてしまうおそれがある。この場合、受信装置は、重要度の高いデータから精確な情報を取得できなくなってしまう。
【0007】
従って、上記のような問題点に鑑みてなされた本発明の目的は、重要度の高いデータを効率的に送信可能な送信装置及び送信方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した諸課題を解決すべく、第1の観点に係る送信装置の発明は、
複数の電力負荷それぞれの消費電力を取得する取得部と、
ネットワークを介して第1の送信時刻に所定のデータをサーバに送信し、第1の受信時刻に前記所定のデータに対する応答信号を前記サーバから受信する通信部と、
前記第1の送信時刻から前記第1の受信時刻までの時間が所定時間以上である場合に、重要度の高いデータを優先的に送信するように前記通信部を制御する制御部と
を備える送信装置である。
【0009】
また、第の観点に係る発明は、第の観点に係る送信装置において、前記制御部は、
前記消費電力の総和をメインデータとし、
当該メインデータの重要度を最も高くする
ことを特徴とするものである。
【0010】
また、第の観点に係る発明は、第の観点に係る送信装置において、前記第1の送信時刻から前記第1の受信時刻までの時間が第1時間閾値以上である場合、前記制御部は、
前記消費電力に基づき、電力系統の配電方式毎の配電種別消費電力をサブデータとして算出し、
当該サブデータの重要度を前記メインデータの次に高くする
ことを特徴とするものである。
【0011】
また、第の観点に係る発明は、第の観点に係る送信装置において、前記第1の送信時刻から前記第1の受信時刻までの時間が前記第1時間閾値未満であり、当該第1時間閾値よりも小さい第2時間閾値以上である場合、前記制御部は、
前記総和を電力閾値と比較し、
前記総和が前記電力閾値以上である場合、
前記消費電力をサブデータとし、
当該サブデータの重要度を前記メインデータの次に高くし、
前記サブデータの内で、瞬時値又は変化量が大きい消費電力ほど重要度を高くすることを特徴とするものである。
【0012】
また、第の観点に係る発明は、第の観点に係る送信装置において、前記総和が前記電力閾値未満である場合、前記制御部は、
前記消費電力に基づき、対地電圧の等しい電圧線毎の相消費電力をサブデータとして算出し、
当該相消費電力の電力差を電力差閾値と比較し、
前記電力差が前記電力差閾値以上である場合、前記サブデータの重要度を前記メインデータの次に高くする
ことを特徴とするものである。
【0013】
また、第の観点に係る発明は、第の観点に係る送信装置において、前記電力差が前記電力差閾値未満である場合、前記制御部は、
前記消費電力に基づき、前記電力負荷の種類毎の負荷種別消費電力をサブデータとして算出し、
当該サブデータの重要度を前記メインデータの次に高くし、
前記サブデータの内で、瞬時値が大きい負荷種別消費電力ほど重要度を高くする
ことを特徴とするものである。
【0014】
また、第の観点に係る発明は、第の観点に係る送信装置において、前記総和が前記電力閾値未満である場合、前記制御部は、
前記ネットワークにおける送信料と料金閾値とを比較し、
前記送信料が前記料金閾値以上である場合、前記消費電力に基づき、電力系統の配電方式毎の配電種別消費電力をサブデータとして算出し、当該サブデータの重要度を前記メインデータの次に高くする
ことを特徴とするものである。
【0015】
また、第の観点に係る発明は、第乃至第のいずれか1つの観点に係る送信装置において、前記制御部は、
前記取得された消費電力のうち前記サブデータとは異なる消費電力を未送信データとし、
当該未送信データの重要度を前記サブデータの次に高くする
ことを特徴とするものである。
【0016】
また、第の観点に係る発明は、第の観点に係る送信装置において、前記制御部は、
前記ネットワークにおける送信料と料金閾値とを比較し、
前記送信料が前記料金閾値以上である場合、前記未送信データを送信しないように前記通信部を制御する
ことを特徴とするものである。
【0017】
また、第10の観点に係る発明は、第乃至第のいずれか1つの観点に係る送信装置において、前記第1の送信時刻から前記第1の受信時刻までの時間が前記第2時間閾値未満である場合、前記制御部は、
前記消費電力をサブデータとし、
当該サブデータの重要度を前記メインデータの次に高くし、
前記サブデータの内で、各消費電力の重要度を互いに同じにする
ことを特徴とするものである。
【0018】
また、第11の観点に係る発明は、第の観点に係る送信装置において、
前記通信部は、前記送信装置が送信すべきデータを指定する信号を前記サーバから受信し、
前記制御部は、当該送信すべきデータの重要度を前記メインデータの次に高くする
ことを特徴とするものである。
【0019】
上述したように本発明の解決手段を装置として説明してきたが、本発明はこれらに実質的に相当する方法、プログラム、プログラムを記録した記憶媒体としても実現し得るものであり、本発明の範囲にはこれらも包含されるものと理解されたい。
【0020】
例えば、本発明を方法として実現させた第12の観点に係る電力制御方法の発明は、
ネットワークを介してサーバと通信を行う送信装置における送信方法であって、
複数の電力負荷それぞれの消費電力を取得するステップと、
前記ネットワークを介して第1の送信時刻に所定のデータを前記サーバに送信するステップと、
第1の受信時刻に前記所定のデータに対する応答信号を前記サーバから受信するステップと、
前記第1の送信時刻から前記第1の受信時刻までの時間が所定時間以上である場合に、重要度の高いデータを優先的に送信するステップと
を含む送信方法である。
【発明の効果】
【0021】
上記のように構成された本発明に係る送信装置及び送信方法によれば、重要度の高いデータを効率的に送信できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る電力制御システムの概略的な構成図である。
図2図2は、本発明の一実施形態に係る送信装置の概略構成を示す機能ブロック図である。
図3図3は、本発明の一実施形態に係る送信装置の処理を示すフローチャートである。
図4図4は、本発明の一実施形態に係る消費電力を示す説明図である。
図5図5は、本発明の一実施形態に係る送信装置のメインデータ送信処理を示すフローチャートである。
図6図6は、本発明の一実施形態に係る送信装置のサブデータ送信処理を示すフローチャートである。
図7図7は、本発明の一実施形態に係る配電種別消費電力を示す説明図である。
図8図8は、本発明の一実施形態に係る送信装置の詳細サブデータ送信処理を示すフローチャートである。
図9図9は、本発明の一実施形態に係る瞬時値順の消費電力を示す説明図である。
図10図10は、本発明の一実施形態に係る変化量順の消費電力を示す説明図である。
図11図11は、本発明の一実施形態に係る相消費電力を示す説明図である。
図12図12は、本発明の一実施形態に係る負荷種別消費電力を示す説明図である。
図13図13は、本発明の一実施形態に係る送信装置の未送信データ送信処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の一実施形態に係る送信装置について、図面を参照して説明する。
【0024】
図1は、本発明の一実施形態に係る電力制御システムの概略的な構成図である。電力制御システム100は、送信装置101と、電力計103と、複数の電力負荷105(105−1〜105−6)と、センサー107(107−1〜107−5)と、サーバ109とを含むものである。
【0025】
送信装置101は、各電力負荷の消費電力を取得(収集)し、消費電力に基づくデータを、ネットワーク111を介してサーバ109に送信するものであり、以下に説明される処理を行うコンピュータを含むものである。電力計103は、主幹ブレーカに接続されるものであり、電力負荷105全体の消費電力(以下、総消費電力という)を計測するものである。電力負荷105は、電力を消費する各種電気製品であり、例えば、ライト、電子レンジ、エアコン、TV(テレビジョン受像機)、冷蔵庫等である。電力負荷105は、主幹ブレーカに接続された分岐ブレーカ(配線用遮断器)に接続されている。なお、図1において、電力負荷105は6つ示されているが、本発明はこの態様に限定されるものではなく、2つ以上設けることができる。
【0026】
センサー107は、消費電力を送信装置101が扱えるデータに変換して、送信装置101に送出するものである。また、センサー107は、消費電力そのものの値のみならず、消費電力がどの電力負荷に起因するものであるかという情報や、後述のどの配電方式によって供給された電力の消費であるのかという情報も送信装置101に送出することができる。センサー107−1は、電力計103に接続され、総消費電力を取得するものである。センサー107−2〜107−5は、電力負荷105−1〜105−6に接続され、各電力負荷における消費電力を取得するものである。
【0027】
サーバ109は、受信した消費電力に基づくデータから、どのように消費電力を削減するかを判断し、消費電力の削減を指示する制御信号を電力負荷105に送信する。サーバ109は、例えば、BEMSコントローラ等から構成される。消費電力に基づくデータとは、各電力負荷の消費電力自体のデータや、複数の消費電力の和算により求まるデータ等である。ネットワーク111は、送信装置101及びセンサー107とサーバ109とを接続する回線であり、例えば、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)である。
【0028】
図2は、本発明の一実施形態に係る送信装置の概略構成を示す機能ブロック図である。送信装置101は、取得部121と、記憶部123と、通信部125と、制御部127とを有している。取得部121と、記憶部123と、通信部125とは、制御部127に接続されている。
【0029】
取得部121は、センサー107から、複数の電力負荷105それぞれの消費電力を取得するものであり、例えば、センサー107と通信を行う通信部である。また、本発明では、送信装置101がセンサー107自体を内包することができ、この場合、取得部121を、センサー自体、又はセンサーからのアナログ信号を制御部127が扱えるデジタル信号に変換するためのADC(Analog to Digital Converter)とすることができる。なお、図2において、サーバ109と通信するための後述の通信部125と取得部121とを、別個の機能ブロックとして表現しているが、取得部121が通信部である場合、本発明は、取得部121と通信部125とを別個のハードウェアにより実現することに限定されるものではない。送信装置101は、取得部121の機能と通信部125の機能とを併せ持つ1つの通信部を有することができる。
【0030】
記憶部123は、後述の各種閾値等の情報を記憶するものであり、ワークメモリ等としても機能する。記憶部123は、例えば、メモリやHDDである。通信部125は、消費電力に基づくデータを、ネットワーク111を介してサーバ109に送信するものである。
【0031】
制御部127は、送信装置101の各機能ブロックをはじめとして送信装置101の全体を制御及び管理している。制御部127は、CPU(中央処理装置)等の任意の好適なプロセッサ上で実行されるソフトウェアとして構成したり、処理ごとに特化した専用のプロセッサ(例えばDSP(デジタルシグナルプロセッサ))によって構成したりすることもできる。
【0032】
制御部127は、ネットワーク111の混雑度を取得し、混雑度に基づき、消費電力に基づくデータの重要度を決定する。ネットワーク111の混雑度とは、ネットワーク111を伝送中のデータ量の多さを示すものである。混雑度が高いほど、送信装置101が送信可能なデータ量が減少し、スループットは低下する。
【0033】
混雑度が高いほど、送信装置101からのデータがサーバ109に届くまでに必要な時間が長くなったり、場合によっては届かなかったりする。そのため、制御部127は、消費電力に基づくデータに対して重要度を決定し、重要度の高いデータから優先的に送信するように通信部125を制御する。制御部127は、重要度を決定する上で、混雑度を評価する指標として混雑閾値を利用する。
【0034】
混雑度は、例えば、ネットワーク111が混雑しているほど値が大きくなる伝送遅延時間や伝送量である。伝送遅延時間は、例えば、通信部125が、あるデータを送信してから、当該データに対する応答信号(ACK信号やNACK信号)をサーバ109から受信するまでの時間(RTT:Round-Trip Time)により表現される。この伝送遅延時間を測定するためにサーバ109へ送信されるデータは、消費電力に基づくデータであっても、測定用のテストデータであってもよい。以下、本実施形態では、混雑度はRTTであり、上記混雑閾値はRTTに関する時間閾値であるとする。重要度の決定方法の更なる詳細については、後述の図3の説明にて示す。
【0035】
続いて、送信装置101の送信方法について、図3を参照して説明する。図3は、本発明の一実施形態に係る送信装置の処理を示すフローチャートである。なお、下記の説明で用いられる各種閾値は、ネットワーク111の伝送路容量や契約電力等に応じて、任意に設定され得る事項である。
【0036】
まず、送信装置101は、ステップS101の繰返処理により、送信装置101の動作中、以下のステップS102〜S107の処理を繰り返して行う。まず、取得部121は、定期的又は不定期的に、センサー107から消費電力を取得し、当該消費電力を制御部127に送る(ステップS102)。本実施形態では、図4のように、電力計103の示す総消費電力はWdであり、電力負荷105−1〜105−6の消費電力はそれぞれ、W1〜W6であるとする。
【0037】
そして、制御部127は、所定の送信タイミングで、消費電力Wd、W1〜W6に基づくデータを送信するように通信部125を制御することができる(ステップS103)。送信タイミングは、定期的又は不定期的なものであり、例えば、BEMS補助金を受領するために必要なサーバ109への報告タイミングとなり得る。1/2の補助率を実現するためには、10分以内の報告が必要になるため、送信タイミングは10分若しくは10分よりも短い間隔でおとずれる。
【0038】
現在の時刻が送信タイミングではない場合(ステップS103のNo)、制御部127は、取得された消費電力Wd、W1〜W6を記憶部123に記憶させることができる(ステップS104)。このとき、制御部127は、消費電力の履歴が特定できるように、時刻と対応付けて消費電力を記憶部123に記憶させることができる。
【0039】
現在の時刻が送信タイミングである場合(ステップS103のYes)、制御部127は、消費電力Wd、W1〜W6に基づくデータに対して重要度を決定する。制御部127は、消費電力に基づくデータからメインデータ及びサブデータを決定し、メインデータの重要度を最も高くし、サブデータの重要度をメインデータの次に高くする。また、制御部127は、取得された消費電力Wd、W1〜W6のうちサブデータとは異なる消費電力、つまりサブデータとして選択されなかった消費電力を未送信データとし、この未送信データの重要度をサブデータの次に高くする。よって、制御部127は、メインデータ、サブデータ、未送信データの順に送信処理を行う(ステップS105〜S107)。
【0040】
まず、メインデータ送信処理(ステップS105)の詳細について、図5を参照して説明する。図5は、本発明の一実施形態に係る送信装置のメインデータ送信処理を示すフローチャートである。
【0041】
本実施形態では、制御部127は、全電力負荷105−1〜105−6の消費電力W1〜W6の総和、つまり、電力負荷105全体の総消費電力Wdをメインデータとし、総消費電力Wdをサーバ109に送信するように通信部125を制御する(ステップS201)。なお、制御部127は、総消費電力Wdを、電力計103に接続されているセンサー107−1から取得できる。また、制御部127は、総消費電力Wdを、電力負荷105に接続されているセンサー107−2〜107−5からの消費電力W1〜W6を全て和算することにより、取得することもできる。
【0042】
総消費電力Wdがサーバ109に届くと、サーバ109は応答信号を送信装置101へ送信する。すると、送信装置101の通信部125は、この応答信号を受信し、当該応答信号を制御部127に送る(ステップS202)。そして、制御部127は、総消費電力Wdを送信した時刻と応答信号を受信した時刻とから、RTTを算出する(ステップS203)。
【0043】
送信装置101は、メインデータの送信処理が終了すると、サブデータ送信処理(ステップS106)を行う。サブデータ送信処理の詳細について、図6を参照して説明する。図6は、本発明の一実施形態に係る送信装置のサブデータ送信処理を示すフローチャートである。
【0044】
まず、制御部127は、RTTを第1時間閾値(第1混雑閾値)と比較する(ステップS301)。RTTが第1時間閾値以上である場合(ステップS301のYes)、制御部127は、消費電力W1〜W6に基づき、電力系統の配電方式毎の配電種別消費電力をサブデータとして算出する。配電種別消費電力とは、配電方式毎に接続されている電力負荷の消費電力の和である。本実施形態では、電力系統の配電方式として、単相三線式や三相三線式が採用されているとし、電力負荷105−1〜105−4は単相三線式により電力供給を受け、電力負荷105−5及び105−6は、三相三線式により電力供給を受けているとする。よって、制御部127は、単相三線式の消費電力Wtを、W1とW2とW3とW4との和算により求める。また、制御部127は、三相三線式の消費電力Wsを、W5とW6との和算により求める。なお、本発明は、電力系統の配電方式が、単相三線式や三相三線式に限定されるものではなく、例えば単相二線式でもよい。
【0045】
そして、制御部127は、配電種別消費電力を送信するように通信部125を制御する(ステップS302)。そして、制御部127は、送信されなかった各消費電力W1〜W6の消費電力を未送信データとして記憶部123に記憶させる(ステップS303)。つまり、RTTが第1時間閾値以上である場合は、図7のように、3つの消費電力Wd、Wt、Wsがサーバ109に送信されることになる。
【0046】
ステップS301において、RTTが第1時間閾値未満である場合(ステップS301のNo)、制御部127は、RTTを、第1時間閾値よりも小さい第2時間閾値(第2混雑閾値)と比較する(ステップS304)。RTTが第2時間閾値以上である場合(ステップS304のYes)、制御部127は、後述の詳細サブデータ送信処理を行う(ステップS305)。そして、制御部127は、詳細サブデータ送信処理で送信されなかった各電力負荷の消費電力を未送信データとして記憶部123に記憶させる(ステップS303)。
【0047】
ステップS304において、RTTが第2時間閾値未満である場合(ステップS304のNo)、電力負荷105−1〜105−6の消費電力W1〜W6を全てサブデータとし、当該サブデータの内で、各消費電力の重要度を互いに同じにする。つまり、制御部127は、全ての消費電力W1〜W6を順不同で送信するように通信部125を制御する(ステップS306)。
【0048】
続いて、詳細サブデータ送信処理(ステップS305)の詳細について、図8を参照して説明する。図8は、本発明の一実施形態に係る送信装置の詳細サブデータ送信処理を示すフローチャートである。
【0049】
まず、制御部127は、総消費電力Wdを電力閾値と比較する(ステップS401)。総消費電力が電力閾値以上である場合(ステップS401のYes)、制御部127は、電力負荷105−1〜105−6それぞれの消費電力W1〜W6をサブデータとし、当該サブデータの内で、瞬時値又は変化量が大きい消費電力ほど重要度を高くする。なお、電力閾値は、任意に設定される事項であるが、夏の昼場等の電力料金が高い時間帯や、節電要請が行われる時間帯には電力閾値を低く設定することができる。
【0050】
瞬時値とは、送信タイミングの直近に取得された消費電力W1〜W6であり、変化量は、当該瞬時値と、記憶部123に記憶されている過去の消費電力との差分、又は当該瞬時値が取得された時間を含む一定期間内の消費電力の標準偏差若しくは分散等である。例えば、消費電力の瞬時値の大小関係がW6>W3>W5>W1>W4>W2である場合、図9のように、W6、W3、W5、W1、W4、W2の順で重要度が低くなる。また、変化量が、電力負荷105−6、105−5、105−1、105−3、105−4、105−2の順に小さい場合、図10のように、W6、W5、W1、W3、W4、W2の順で重要度が低くなる。
【0051】
そして、制御部127は、現時刻が次の送信タイミングになるまで、重要度の高い順に消費電力W1〜W6を送信するように通信部125を制御する(ステップS402)。時刻が次の送信タイミングになったことにより、送信されなかった消費電力は、未送信データとして記憶部123に記憶される(ステップS303)。
【0052】
ステップS401において、総消費電力Wdが電力閾値未満である場合(ステップS401のNo)、制御部127は、現時刻のネットワーク111における送信料を料金閾値と比較することができる(ステップS403)。送信料が料金閾値未満である場合(ステップS403のYes)、制御部127は、消費電力に基づき、対地電圧の等しい電圧線毎の相消費電力をサブデータとして算出する。本実施形態では、対地電圧の等しい電圧線は、単相三線式を構成するR線(100V)、T線(100V)であり、当該電圧線の相消費電力は、R−N相の消費電力及びT−N相の消費電力となる。なお、Nは、中性線(0V)を意味する。R−N相に、電力負荷105−1〜105−3が接続され、T−N相に電力負荷105−4が接続されているとすると、制御部127は、R−N相の消費電力WrnをW1とW2とW3との和算により求め、T−N相の消費電力WtnはW4であると判断する。
【0053】
そして、制御部127は、相消費電力の電力差(Wrn−Wtn(但し、Wrn>Wtn))を電力差閾値と比較する(ステップS404)。電力差が電力差閾値以上である場合(ステップS404のYes)、制御部127は、相消費電力Wrn及びWtnを送信するように通信部125を制御する(ステップS405)。つまり、相消費電力の電力差が電力差閾値以上である場合は、図11のように、3つの消費電力Wd、Wrn、Wtnがサーバ109に送信されることになる。なお、制御部127は、相消費電力Wrn及びWtnと併せて、R−T相の消費電力及び三相三線式に関する配電種別消費電力Wsを通信部125に送信させることもできる。
【0054】
ステップS404において、相消費電力の電力差が電力差閾値未満である場合は(ステップS404のNo)、制御部127は、消費電力W1〜W6に基づき、電力負荷の種類毎の負荷種別消費電力をサブデータとして算出する。本実施形態では、電力負荷105−1及び105−2が照明器具という点で同じ種類であり、電力負荷105−3及び105−4が調理器具という点で同じ種類であり、電力負荷105−5及び105−6が空調器具という点で同じ種類である。なお、電力負荷の種類は、予め任意に設定され得る事項であり、上記の調理器具等より狭いグループ(例えば、電子レンジ)や広いグループ(例えば、キッチンに設置されている電力負荷(調理器具だけでなく冷蔵庫等も含む))とすることができる。
【0055】
よって、制御部127は、照明器具の消費電力WLをW1とW2の和算により算出し、調理器具の消費電力WcをW3とW4の和算により求め、空調器具の消費電力WaをW5とW6の和算により求める。そして、制御部127は、負荷種別消費電力WL、Wc、Waの内で、瞬時値が大きい負荷種別消費電力ほど重要度を高くする。例えば、負荷種別消費電力の大小関係がWa>Wc>WLである場合、図12のように、Wa、Wc、WLの順で重要度が低くなる。
【0056】
そして、制御部127は、現時刻が次の送信タイミングになるまで、重要度の高い順に消費電力Wa、Wc、WLを送信するように通信部125を制御する(ステップS406)。時刻が次の送信タイミングになったことにより、送信されなかった負荷種別消費電力は、未送信データとして記憶部123に記憶される(ステップS303)。
【0057】
ステップS403において、送信料が料金閾値以上である場合(ステップS403のNo)、制御部127は、ステップS302と同様、配電種別消費電力を送信するように通信部125を制御する(ステップS407)。
【0058】
送信装置101は、上記のようにしてサブデータ送信処理(ステップS106)を行うと、続いて未送信データ送信処理を行う(ステップS107)。未送信データ送信処理の詳細について、図13を参照して説明する。図13は、本発明の一実施形態に係る送信装置の未送信データ送信処理を示すフローチャートである。
【0059】
まず、制御部127は、現時刻の送信料を料金閾値と比較する(ステップS501)。送信料が料金閾値未満である場合(ステップS501のYes)、送信装置101は、ステップS502の繰返処理により、記憶部123に記憶されている未送信データを全て送信するまで、以下のステップS503及びS504の処理を繰り返して行う。
【0060】
まず、制御部127は、現時刻が次の送信タイミングであるかを判断する(ステップS503)。時刻が次の送信タイミングでない場合(ステップS503のNo)、制御部127は、記憶部123に記憶されている未送信データを送信するように通信部125を制御する(ステップS504)。
【0061】
送信料が料金閾値以上である場合(ステップS501のNo)や時刻が次の送信タイミングである場合(ステップS503のYes)には、送信装置101は、未送信データ送信処理を終了する。つまり、制御部127は、未送信データを送信しないように通信部125を制御する。
【0062】
このように本実施形態では、送信装置101の制御部127は、消費電力Wd、W1〜W6に基づくデータの重要度を、RTTに基づき決定し、当該重要度の高いデータから優先的に送信するように通信部125を制御する。これにより、重要度の高いデータは、サーバ109が当該データを必要とする時間までに、サーバ109に届く可能性が高まる。よって、重要度の高いデータの効率的な送信が実現される。
【0063】
また、本実施形態では、制御部127は、消費電力の総和(総消費電力)Wdをメインデータとし、当該メインデータの重要度を最も高くすることができる。サーバ109は、総消費電力Wdを他のデータよりも先に受信することにより、総消費電力Wdが契約電力を超過しそうであるかを最初に判断することができる。総消費電力Wdが契約電力を超過しそうであると予測される場合、サーバ109は、いずれかの電力負荷に電力消費を削減するように指示することができる。これにより、総消費電力Wdが契約電力を超える可能性を低くでき、契約電力の超過による違約金の発生や契約電力の引き上げを防ぐことができる。
【0064】
また、本実施形態では、制御部127は、RTTが第1時間閾値以上である場合、電力系統の配電方式毎の配電種別消費電力Ws及びWtをサブデータとして算出し、当該サブデータの重要度をメインデータの次に高くすることができる。これにより、BEMS補助金の受領のために報告が必要な総消費電力Wd、動力盤の消費電力Ws、電灯盤の消費電力Wtが優先的にサーバ109に送信される。よって、BEMS補助金受領のための報告の確実性を高めることができる。また、配電種別消費電力Ws及びWtは、複数の消費電力の和算により求まるものであるため、配電種別消費電力Ws及びWtの個数(2つ)は、電力負荷105−1〜105−6の消費電力W1〜W6の個数(6つ)よりも少なくなる。よって、配電種別消費電力の送信は、電力負荷の消費電力の送信よりも、通信料金を抑えることができる。
【0065】
また、本実施形態では、制御部127は、RTTが第1時間閾値未満であり、第2時間閾値以上である場合、総消費電力Wdを電力閾値と比較することができる。続いて、制御部127は、総消費電力Wdが電力閾値以上である場合、各電力負荷105−1〜105−6の消費電力W1〜W6をサブデータとし、当該サブデータの重要度をメインデータの次に高くすることができる。そして、制御部127は、サブデータの内で、瞬時値又は変化量が大きい消費電力ほど重要度を高くすることができる。これにより、サーバ109は、瞬時値又は変化量が大きい消費電力を特定し易くなる。サーバ109は、瞬時値又は変化量が大きい消費電力に関する電力負荷に電力消費の削減を指示することにより、効率的に総消費電力Wdを削減できる。
【0066】
また、本実施形態では、制御部127は、総消費電力Wdが電力閾値未満である場合、消費電力に基づき、対地電圧の等しい電圧線毎の相消費電力Wrn及びWtnをサブデータとして算出し、相消費電力WrnとWtnとの電力差を電力差閾値と比較することができる。そして、制御部127は、電力差が電力差閾値以上である場合、サブデータの重要度をメインデータの次に高くすることができる。これにより、相消費電力Wrn及びWtnが優先的にサーバ109に届き、サーバ109は、対地電圧の等しい電圧線間に負荷の不均衡が生じていることを特定できる。これにより、サーバ109は、不均衡が是正されるように、電力負荷に電力消費の削減を指示することができる。また、相消費電力Wrn及びWtnは、複数の消費電力の和算により求まるものであるため、相消費電力Wrn及びWtnの個数(2つ)は、電力負荷105−1〜105−6の消費電力W1〜W6の個数(6つ)よりも少なくなる。よって、相消費電力の送信は、電力負荷の消費電力の送信よりも、通信料金を抑えることができる。
【0067】
また、本実施形態では、制御部127は、相消費電力WrnとWtnとの電力差が電力差閾値未満である場合、消費電力に基づき、電力負荷の種類毎の負荷種別消費電力WL、Wc、Waをサブデータとして算出することができる。そして、制御部127は、当該サブデータの重要度をメインデータの次に高くし、サブデータの内で、瞬時値が大きい負荷種別消費電力ほど重要度を高くすることができる。これにより、サーバ109は、消費電力の多い電力負荷の種類を特定し易くなる。また、負荷種別消費電力WL、Wc、Waは、複数の消費電力の和算により求まるものであるため、負荷種別消費電力WL、Wc、Waの個数(3つ)は、電力負荷105−1〜105−6の消費電力W1〜W6の個数(6つ)よりも少なくなる。よって、負荷種別消費電力の送信は、電力負荷の消費電力の送信よりも、通信料金を抑えることができる。
【0068】
また、本実施形態では、制御部127は、総消費電力Wdが電力閾値未満である場合、ネットワーク111における送信料と料金閾値とを比較することができる。そして、制御部127は、送信料が料金閾値以上である場合、電力系統の配電方式毎の配電種別消費電力Ws及びWtをサブデータとして算出し、当該サブデータの重要度をメインデータの次に高くすることができる。つまり、送信料が相対的に高価な時間帯では、送信装置101が、BEMS補助金受領のために必要な最低限のデータのみをサーバ109に送信することにより、電力料金の削減と通信料金の削減を図ることができる。
【0069】
また、本実施形態では、制御部127は、取得された消費電力Wd、W1〜W6のうちサブデータとは異なる消費電力を未送信データとし、未送信データの重要度をサブデータの次に高くすることができる。これにより、送信装置101は、サブデータとしては送信されなかった各電力負荷の消費電力をサーバ109に送信することができる。よって、サーバ109は、電力負荷毎の消費電力の推移を把握することができる。
【0070】
また、本実施形態では、制御部127は、ネットワーク111における送信料と料金閾値とを比較し、送信料が料金閾値以上である場合、未送信データを送信しないように通信部125を制御することができる。これにより、送信装置101は、送信料が相対的に高価な時間帯での未送信データの送信により、通信料金が著しく増加することを抑えることができる。
【0071】
本発明を諸図面や実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形や修正を行うことが容易であることに注意されたい。従って、これらの変形や修正は本発明の範囲に含まれることに留意されたい。
【0072】
例えば、各部材、各手段、各ステップなどに含まれる機能などは論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の手段やステップなどを1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。
【0073】
上述の本発明の実施形態の説明において、送信装置101が、サーバ109に優先的に送信すべきデータを決定するとしたが、本発明はこの態様に限定されるものではない。例えば、サーバは、送信装置がサーバに送信すべきデータを指定する信号を送信することができる。すると、送信装置の通信部は当該信号を受信し、制御部は、サーバによって指定されたデータの重要度をメインデータの次に高くすることができる。これにより、送信装置は、サーバが必要とするデータを効率的にサーバに送信することができる。サーバによる送信データの指定は、例えば、サーバが、瞬時値の確認を行いたい場合や、電源が切り忘れられた電力負荷を特定したい場合等に有効となる。電源が切り忘れられた電力負荷をサーバが特定したい場合は、サーバは、前日比による変化量が大きい消費電力ほど重要度を高くするように、送信装置に指示する。店舗での活動パターンが日毎に近い場合(例えば、閉店後の時間帯)、電力負荷の使用パターンが近似する。そのため、ある電力負荷が、現時刻で電力を消費し、前日の同時刻では電力を消費していない場合、この電力負荷の電源は切り忘れられた可能性が高い。
【0074】
また、上述の本発明の実施形態の説明において、閾値「以上」または「未満」のような表現の技術的思想が意味する内容は必ずしも厳密な意味ではなく、送信装置の仕様に応じて、基準となる値を含む場合又は含まない場合の意味を包含するものとする。例えば、閾値「以上」とは、比較対象が閾値に達した場合のみならず、閾値を超えた場合も含意し得るものとする。また、例えば閾値「未満」とは、比較対象が閾値を下回った場合のみならず、閾値に達した場合、つまり閾値以下になった場合も含意し得るものとする。
【符号の説明】
【0075】
100 電力制御システム
101 送信装置
103 電力計
105−1〜105−6 電力負荷
107−1〜107−5 センサー
109 サーバ
111 ネットワーク
121 取得部
123 記憶部
125 通信部
127 制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13