(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。なお、すべての図面において、同様の構成要素には同一の符号を付し、適宜に説明を省略する。また、以下の説明では、「前」「後」「左」「右」「上」「下」とは、特に断りのない限り、
図1に示すように遊技機10を正面側(遊技者側)から見た状態で指称するものとする。
【0013】
<遊技機10の概要について>
まず、遊技機10の概要について、
図2または
図4を用いて説明する。
図2は、遊技機10内に配設された遊技盤50を示す図である。
図4は、遊技機10の主要な制御構成を示す機能ブロック図である。
【0014】
遊技機10は、図柄表示制御手段(図柄表示制御部150)と、演出制御手段(演出制御部210)と、を備える。
図柄表示制御部150は、停止表示された図柄によって当選したか否かを報知する図柄変動ゲームを実行する。
演出制御部210は、演出表示器80(メイン表示部81)に複数列に表示される演出図柄を予め定められた複数とおりの所定方向のいずれかに変動させてから仮停止させるまでを一回の変動サイクルとして、一回の図柄変動ゲームが実行されている間に複数回の変動サイクルを連続して行う擬似連演出を実行する。
擬似連演出には、一の回の変動サイクルである第一演出図柄変動と、第一演出図柄変動の次の回における変動サイクルである第二演出図柄変動と、が含まれている。
演出制御部210は、第一演出図柄変動において、複数列の演出図柄を所定方向のうち第一方向に変動させ、第二演出図柄変動において、複数列の演出図柄を所定方向のうち第一方向とは異なる第二方向に変動を開始させる。また、演出制御部210は、第二演出図柄変動を実行する場合、第一演出図柄変動が実行されている間の少なくとも一部において、演出図柄の変動方向の変化を報知する方向変化報知を実行する。
【0015】
ここで「列」とは、メイン表示部81の表示画面において並んでいるように見える複数の演出図柄によって構成される連なりをいい、その方向は問わない。また、「複数列」とは、列が複数であることをいい、各列の方向は平行であってもよく交差してもよい。
また、本実施形態における演出図柄のスクロール方向が左右方向であるため、演出図柄のスクロールは段ごとに実行されるが、スクロール方向が上下方向である場合には演出図柄のスクロールは列ごとになる。このため、本実施形態において「段」と説明している記載内容について、スクロール方向が上下方向である遊技機で実施する場合には「列」と同義になりうる。
【0016】
また、ここで「所定方向」とは、演出図柄が変動する方向であり、一般的にはスクロール方向とも称される。「所定方向」は、遊技者が認識可能な見た目上の方向であり、表示画面上の二次元方向(例えば、上下方向または左右方向)に限らず、表示画面に表示される仮想的な奥行き方向(例えば、前後方向)も含まれる。後者の方向に演出図柄が変動する場合、実際には演出表示器の表示画面において演出図柄を徐々に拡大させることによって、後ろから手前に向かって演出図柄が変動しているように見せかける。このとき、当該表示画面上の演出図柄の中心は、演出図柄の変動に伴って必ずしも移動しなくてもよい。
なお、本実施形態の説明において「方向」は「向き」と同義であるものとして取り扱う。
【0017】
ここで「仮停止」とは、暫定的に停止している旨を示す表示態様であり再変動しうる状態を意味している。なお、本実施形態における仮停止態様は、演出図柄およびキャラクターについて、スクロール方向(通常時は左右方向)への進行が停止しており、且つスクロール方向とは異なる方向への揺動や演出図柄の表示変化(キャラクターの動作)が許容されている表示態様である。
【0018】
「第一演出図柄変動」または「第二演出図柄変動」は、擬似連演出における一の回の変動サイクルにおける演出図柄の変動表示と、次の回の変動サイクルにおける演出図柄の変動表示のことである。なお、「第一演出図柄変動」または「第二演出図柄変動」に付されている「第一」または「第二」は便宜的な呼称であり、必ずしも演出中の図柄変動の回数と一致していなくてもよい。例えば、第一演出図柄変動が二回目の変動サイクルであって、第二演出図柄変動が三回目の変動サイクルであってもよい。
【0019】
ここで「方向変化報知」とは、演出図柄の変動方向(スクロール方向)が次の回の変動サイクルにおいて変更される旨を、確定的に認識できる態様で遊技者に知らせる演出である。なお、方向変化報知は、次回の変動サイクルにおける演出図柄の変動方向を遊技者が認識可能に示す態様によって行われてもよいし、示さない態様によって行われてもよい。
上記の方向変化報知は、第二演出図柄変動を実行する場合の少なくとも一部において実行されればよい。すなわち、第一演出図柄変動の実行中に上記の方向変化報知が行われずに、第二演出図柄変動が開始される場合が存在してもよい。
【0020】
<遊技機10の構造について>
図1から
図5を用いて遊技機10の構造について説明する。
なお、
図1は、遊技機10の正面図である。
図3は、遊技機10内に配設された図柄表示器90を示す図である。
図5は、遊技機10の払出制御構成を示す機能ブロック図である。
【0021】
本実施形態の遊技機10は、いわゆるパチンコ機であり、多数の遊技釘(図示せず)が立設された遊技盤50の前面領域(以下、遊技領域50aと称す)に遊技球を発射し、遊技球が特定の入賞口(例えば、大入賞口55等)に入球すると賞球が得られる遊技を行うものである。
【0022】
遊技機10は、前後に開口する矩形枠状の外枠15と、外枠15の開口前面側に遊技盤50を着脱可能に保持する中枠(図示せず)と、遊技盤50(中枠)の前面側を覆うよう構成された前枠20と、を備える。
【0023】
前枠20は、ヒンジ機構21により左端側を回動自在に支持され、中枠に対して開閉可能となっている。なお、前枠20は、シリンダ錠23により施錠・解錠が可能となっている。
前枠20は、遊技領域50aを覆うように配置された透明部材25を備え、透明部材25によって遊技領域50aおよび遊技盤50を透視保護している。
前枠20は、遊技球を貯留する上球受け皿27および下球受け皿29を備え、上球受け皿27と下球受け皿29は上下に離間して前枠20と一体的に設けられている。
前枠20は、下球受け皿29の右側方に操作ハンドル31を備え、操作ハンドル31の回動操作によって、上球受け皿27に貯留された遊技球が遊技領域50aに向けて発射されるようになっている。
【0024】
前枠20の上枠部32の左側と右側にそれぞれ一対のスピーカ33(33a、33b)が配設されている。また、前枠20の上枠部32と左右側枠部34、36は光透過性のカバーにより形成されており、その内部にはそれぞれ照明装置35(35a、35b、35c)が配設されている。スピーカ33や照明装置35は、遊技中に発生する演出やエラー報知等と連動して音声出力または点灯若しくは消灯することができる。
前枠20は、上球受け皿27の前方部にボタン37が配設されている。ボタン37は、遊技中に発生する演出を切り替えるまたは遊技者が遊技機10に関わる種々の情報を得るために行う遊技者の操作を受け付けることができる。
【0025】
下球受け皿29の下部には、下球受け皿29に貯留された遊技球を下方へ排出する球抜き機構39が設けられている。この球抜き機構39を操作することにより、下球受け皿29の底面に形成された底面口(図示せず)が開口して、当該底面口から遊技球が自然落下して排出される。
【0026】
演出表示器80は、遊技盤50の略中央に配設されているメイン表示部81と、メイン表示部81の上方に配設されている上サブ表示部82と、メイン表示部81の左側に配設されている左サブ表示部83と、メイン表示部81の右側に配設されている右サブ表示部84と、を含んでいる。メイン表示部81は固定式の液晶装置であり、上サブ表示部82・左サブ表示部83・右サブ表示部84は可動式の液晶装置である。
【0027】
メイン表示部81は、特別図柄表示部91における図柄変動ゲームに連動して行われる演出図柄の変動表示を表示することができ、さらに他の各種の演出も表示することができる。ここで演出図柄とは、遊技機10における遊技の興趣をより高めるために表示される図柄であり、具体的には数字や絵柄またはそれらの組み合わせから構成されている。
また、メイン表示部81は、その略中央に演出図柄を表示可能であり、さらに当該演出図柄の上方および下方にもそれぞれ演出図柄が表示されうる。すなわち、メイン表示部81には「上段」「中段」「下段」にそれぞれ演出図柄が表示され、表示された演出図柄が一または複数の列をなしている。
また、メイン表示部81は演出図柄の表示の他にも、保留表示(図示せず)を表示画面の一部に表示することができる。保留表示が表示される表示領域と、演出図柄が表示される表示領域とは、離間してもよいし重なってもよい。なお、保留表示とは、いわゆる保留玉のことであり、特典(大当り遊技)が付与される可能性を示唆しうる演出画像をいう。
【0028】
上サブ表示部82、左サブ表示部83または右サブ表示部84は、主として演出に関連する演出画像を表示するために設けられるものであり、特定の演出の実行時に移動しうる。それぞれの原位置はメイン表示部81を基準として上方、左側または右側であり、これらの原位置からメイン表示部81における演出図柄の表示領域に重なる位置まで上サブ表示部82、左サブ表示部83または右サブ表示部84は移動しうる。
【0029】
なお、本実施形態における演出表示器80(メイン表示部81、上サブ表示部82、左サブ表示部83または右サブ表示部84)には、いずれも液晶表示装置が採用されているが、本発明の実施はこれに限るものではない。例えば、ドラム式やドットマトリックス式等、多様な方式の表示装置を演出表示器80として採用しうる。
【0030】
図柄表示器90は、演出表示器80の右下側など、演出表示器80よりも遊技者が視認しにくい位置に配設される。また、図柄表示器90の表示領域は、演出表示器80の表示領域よりも小さい面積になっている。
図柄表示器90は、複数のランプが配列されている。本実施形態で図柄表示器90に用いられるランプとは、発光ダイオード(以下、LEDと称す)である。図柄表示器90は、発光するLEDの配列によって種々の情報を示し、特別図柄表示部91または普通図柄表示部93を含んでいる。
【0031】
特別図柄表示部91は、複数個のLEDの発光パターンにより特別図柄による図柄変動ゲームの抽選結果を表示する。より詳細には、
図3に示すように、特別図柄表示部91は左側のLED16個から構成される。
普通図柄表示部93は特別図柄表示部91より少ない数(例:2個)のLEDの発光パターンにより普通図柄による図柄変動ゲームの抽選結果を表示する。
【0032】
なお、
図3に示すように、図柄表示器90は、特別図柄表示部91または普通図柄表示部93の表示に用いられないLEDも含んでおり、特別図柄または普通図柄による図柄変動ゲームの抽選結果の他にも、保留記憶数や大当り遊技のラウンド回数等の情報も表示しうる。
また、本実施形態における特別図柄表示部91は、第1始動口58への入球または第2始動口59への入球のいずれを起因とする図柄変動ゲームにおいても変動表示を行う。このとき、変動表示に用いられるLEDが入球した始動口によって異なってもよく、同一であってもよい。
【0033】
ここで特別図柄とは、特別図柄表示部91に表示するために選択されうるデータ群、あるいは特別図柄表示部91に表示されうる図柄(LEDの発光パターン)をいう。なお、以下、特別図柄のことを「特図」と略して表記する場合がある。また、ここで特別図柄による図柄変動ゲームとは、特別電動役物65(いわゆるアタッカー)を開放させるための抽選結果を示すために、特別図柄表示部91を変動表示させた後に特定の特別図柄を停止表示させることをいう。
【0034】
ここで普通図柄とは、普通図柄表示部93に表示するために選択されうるデータ群、あるいは普通図柄表示部93に表示されうる図柄(LEDの発光パターン)をいう。なお、以下、普通図柄のことを「普図」と略して表記する場合がある。また、ここで普通図柄による図柄変動ゲームとは、普通電動役物61(いわゆる電動チューリップ)を開放させるための抽選結果を示すために、普通図柄表示部93を変動表示させた後に特定の普通図柄を停止表示させることをいう。
【0035】
なお、本実施形態において図柄表示器90に配列される複数のランプはLEDとして説明しているが、ランプの種別はこれに限定されるものではない。そして、当該ランプの配置についても
図3に図示するものに限らず、多様な配置を採用しうる。
【0036】
遊技盤50の前面には、多数の遊技釘(図示せず)や風車52、装飾部材といった障害物が配置されていることにより、打ち出された遊技球が転動するように遊技領域50aが画成されている。また、遊技領域50aの左側および上側には、操作ハンドル31の回転操作により発射された遊技球を遊技領域50aの上部に案内するために設けられた湾曲形状の外レール51および内レール53が配置されている。なお、外レール51は、遊技領域50a中央を基準として内レール53より外側に位置している。
ここで風車52とは、遊技球の落下の方向に変化を与えるための機構であって、くぎ状のものをいう。
【0037】
遊技機10は操作ハンドル31の回転操作量(例えば回転角度)の大小によって遊技球の打ち出しの強弱をつけることが可能になっている。また、より弱く打ち出された遊技球が転動する第1流路X(いわゆる左打ち)、より強く打ち出された遊技球が転動する第2流路Y(いわゆる右打ち)、のいずれか一方を遊技球が転動するように各種障害物が遊技領域50aに配置されている。
【0038】
遊技領域50aには、各種の入賞口(例えば大入賞口55等)が配設され、各入賞口の後方には入球した遊技球を検知する各種スイッチ(例えばカウントスイッチSW4等)が配設されている。なお、以下の説明において入賞とは、遊技球が特定の入賞口に入球することをいう。
本実施形態においては、上記の各種スイッチは遊技者が視認できないように配設されており、
図1から
図3においては図示しない。
【0039】
図2には、主要な入賞口として、大入賞口55、第1始動口58、第2始動口59、作動ゲート63、普通入賞口67(67a、67b)を図示する。ここで図示する入賞口は一例であり、その数や配置は適宜変更しても構わない。
【0040】
第1始動口58は、遊技領域50aの中央下部(メイン表示部81の下方)に配置されており、一般的に「ヘソ」と呼ばれる。
第1始動口58には入球した遊技球を検知するカウントスイッチSW1が配置されており、第1始動口58に入球した遊技球がカウントスイッチSW1で検知されることにより、特別図柄による図柄変動ゲームを始動させる始動条件と、予め定めた数の遊技球を賞球として払い出す払出条件と、が成立しうる。
【0041】
第2始動口59は、遊技領域50aの右下側(メイン表示部81の右下側)に配置されており、第2始動口59には普通電動役物61が付設されている。普通電動役物61は、第2始動口59に遊技球への入球が容易である開放状態または入球が困難である閉鎖状態に可換に遷移する開閉部材であり、アクチュエータAC1の作動により当該開放状態または当該閉鎖状態のいずれかに遷移する。なお、普通電動役物61の制御については、後に詳述する。
第2始動口59には入球した遊技球を検知するカウントスイッチSW2が配設されており、第2始動口59に入球した遊技球がカウントスイッチSW2で検知されることにより、特別図柄による図柄変動ゲームの始動条件と、賞球の払出条件と、が成立しうる。
【0042】
作動ゲート63は、第2始動口59の右上側(メイン表示部81の右側)に配置されている。作動ゲート63には、通過した遊技球を検知するカウントスイッチSW3が配設されており、作動ゲート63を通過した遊技球がカウントスイッチSW3で検知されることにより、普通図柄による図柄変動ゲームの始動条件が成立しうる。
【0043】
なお、本実施形態の遊技機10においては、
図5にカウントスイッチSW3が図示されていないことから明らかであるように、カウントスイッチSW3の検知は賞球の払出条件に含まれていない。すなわち、本実施形態の作動ゲート63に遊技球が入球しても賞球はゼロである。
また、作動ゲート63は通過した遊技球が通過後再び遊技領域50aを転動する、いわゆるゲートタイプの入賞口であってもよい。この場合において、作動ゲート63を通過することも本明細書では「入球」と称す。
【0044】
大入賞口55は、第2始動口59の下方(メイン表示部81の右下側)に配置されている。大入賞口55には、アクチュエータAC2の作動により開閉動作を行う特別電動役物65が付設されている。
また、大入賞口55には、入球した遊技球を検知するカウントスイッチSW4が配設されており、大入賞口55に入球した遊技球がカウントスイッチSW4で検知されることにより、賞球の払出条件が成立しうる。
【0045】
閉鎖状態における特別電動役物65は、遊技領域50aの面位置と略一致するように延在しており、当該面位置より奧方の大入賞口55に蓋をする。
また、開放状態における特別電動役物65は、遊技領域50aの面位置より前方に飛び出し、上方から流下してくる遊技球の受け皿として機能するように作動し、受け入れた遊技球を大入賞口55へと誘導する。
本実施形態における特別電動役物65は、大当り遊技の実行中に開放状態となるように作動して大入賞口55への遊技球の入球を許容する。
【0046】
普通入賞口67(67a、67b)は、メイン表示部81の左下側に配置されている。普通入賞口67には入球した遊技球を検知するカウントスイッチSW5が配設されており、普通入賞口67に入球した遊技球がカウントスイッチSW5で検知されることによって賞球の払出条件が付与され得る。
なお、本実施形態においては二つの普通入賞口67a、67bに対して一つのカウントスイッチSW5が設けられている実施例で説明したが、個別にセンサ(カウントスイッチ)を設けてもよい。このとき、それぞれのセンサによって賞球の払出条件が異なってもよく、同一であってもよい。
【0047】
本実施形態における遊技領域50aは、遊技球が第2流路Yから転動したときよりも、遊技球が第1流路Xから転動したときに第1始動口58または普通入賞口67に入球しやすくなるように、各種障害物が配置されている。つまり、第1始動口58または普通入賞口67は、遊技領域50aの左側を主とする第1流路Xに設けられている。
また、本実施形態における遊技領域50aは、遊技球が第1流路Xから転動したときよりも、遊技球が第2流路Yから転動したときに大入賞口55、第2始動口59または作動ゲート63に入球しやすくなるように、各種障害物が配置されている。つまり、大入賞口55、第2始動口59または作動ゲート63は、遊技領域50aの右側を主とする第2流路Yに設けられている。
【0048】
アウト口69は、遊技領域50aの最下部に配置されている。上述した各入賞口(作動ゲート63を除く)に入球しなかった遊技球はアウト口69に落入し、アウト球として処理される。
【0049】
ここまで、本実施形態における遊技機10の構造について説明してきたが、これらは一例であって、別の構成によって本発明を実施することもできる。
【0050】
<遊技機10の制御構成について>
続いて、
図4または
図5を用いて遊技機10の制御構成について説明する。なお、上述した
図1から
図3に図示されている各構成要素に触れて説明する場合があるので、これらの図面も適宜参照されたい。
なお、
図4または
図5で図示される各構成要素は本実施形態の遊技機10を説明する上で必要な構成要素を挙げたものであり、ここに図示しない構成要素を遊技機10に追加してもよい。また、遊技機10はここに図示する構成要素の全部を必ずしも備えなくてもよく、本発明の効果を阻害しない範囲で一部の構成要素が省かれても良い。
【0051】
遊技機10は、基板(図示せず)を自機の内部に備えており、
図4または
図5に図示している構成要素を含む基板と当該基板に電気的に接続している機能部品との処理によって種々の機能を実現している。より具体的には当該基板は、制御動作を所定の手順で実行するCPU(図示せず)と、当該CPUの制御プログラムを格納するROM(図示せず)と、必要なデータの書き込みおよび読み出しができるRAM(図示せず)を備えている。CPUは、ROMから読み出した制御プログラムを実行し、RAMに種々のデータを書き込む、またはRAMから種々のデータを読み出すことによって種々の機能を実現することができる。
なお、
図4または
図5に図示している各構成要素は、一の基板のみで機能する構成要素、複数の基板の間で種々のデータ授受を行うことにより機能する構成要素、基板と当該基板に非搭載の機能部品とが電気的に接続していることにより機能する構成要素等が混在している。これらの各構成要素を実現するためのハードウェア構成は幾通りも存在しうるものであって、必ずしも一つに限定されない。
【0052】
主制御部100は、遊技を統括的に制御し、遊技に関連する演出等について他の構成要素(例えば演出制御部210)にコマンドを伝送する。主制御部100は、遊技の結果に影響を及ぼす機能または及ぼす虞がある機能を有する基板であって、いわゆる主基板として機能する。
図4に示すように、主制御部100は多数の構成要素を有し、これらの構成要素が互いに接続している構成となっているが、ここに図示している構成要素または構成要素間の接続は一例であって、必ずしもこれに限られるものではない。
【0053】
主制御部100が備える主な構成要素としては、特図抽選制御部130、普図抽選制御部170、遊技状態制御部140、図柄表示制御部150、変動パターン処理部160、情報伝送部110等が挙げられる。
特図抽選制御部130は、特別図柄による図柄変動ゲームに関連して他の構成要素を制御する。
普図抽選制御部170は、普通図柄による図柄変動ゲームに関連して他の構成要素を制御する。
遊技状態制御部140は、大当り遊技の制御、確変状態の管理または変短状態の管理を行う。
図柄表示制御部150は、特別図柄による図柄変動ゲームの結果として選択された特別図柄、または普通図柄による図柄変動ゲームの結果として選択された普通図柄、を図柄表示器90に表示させる。
変動パターン処理部160は、特別図柄による図柄変動ゲームにて図柄表示制御部150が変動表示を開始してから停止表示を行うまでの時間を示す変動時間情報を少なくとも含む変動パターンを決定する。また、変動パターン処理部160によって決定された変動パターンは、情報伝送部110を介して演出制御部210に出力されて演出表示器80における表示演出(リーチ演出等)を実行する際にも用いられる。
情報伝送部110は、主制御部100に含まれる各構成要素にて生成された制御情報(コマンド)を他の構成要素(例えば、演出制御部210等)に伝送する機能を有している。情報伝送部110によって伝送されるコマンドには、上述の変動パターンを示す情報の他にも、特図抽選や普図抽選の結果、確変状態または変短状態の有無、保留記憶に関する情報または大当り遊技の実行に関する情報等が含まれてもよい。
【0054】
また、遊技機10は、上述した主要の構成要素の他に、演出制御部210、払出制御部230等を備えている。
演出制御部210は、遊技機10によって行われる遊技(図柄変動ゲームや大当り遊技等)に関連する演出を制御する。
払出制御部230は、各入賞口への入賞の特典として付与される賞球の払い出しを制御する。
ここまで挙げた各構成要素について、以下ではより詳細に説明する。
【0055】
<特図抽選について>
主制御部100は、特図保留制御部115と、特図抽選制御部130と、を備える。
また、特図抽選制御部130は特別図柄による図柄変動ゲームを司り、当否抽選部131と特図選択部132とを有している。
【0056】
特図保留制御部115は、第1始動口58の入賞を契機として乱数M1を取得して保留記憶させる。また、特図保留制御部115は、第2始動口59の入賞を契機として乱数M2を取得して保留記憶させる。
より具体的には、特図保留制御部115は、カウントスイッチSW1によって第1始動口58の入賞が検知されると乱数M1を取得し、専用の記憶領域に格納(保留記憶)させる。また、特図保留制御部115は、カウントスイッチSW2によって第2始動口59の入賞が検知されると乱数M2を取得し、専用の記憶領域に格納(保留記憶)させる。
乱数M1の保留上限数または乱数M2の保留上限数は予め定められており、本実施形態では乱数M1および乱数M2の各々について4個が保留上限数と設定されている。
【0057】
特図保留制御部115は、第1始動口58の入賞を契機として取得される乱数M1と、第2始動口59の入賞を契機として取得される乱数M2と、を区別して保留記憶させる。
特図保留制御部115は、保留記憶させた乱数M1または乱数M2を、保留記憶させた順番で当否抽選部131に処理させてもよいし、一方を他方に優先して当否抽選部131に処理させてもよい。
【0058】
特図保留制御部115は保留記憶されている乱数の数をそれぞれについて監視してもよい。この場合、特図保留制御部115は、監視している乱数の数を、図柄表示器90に表示させるように図柄表示制御部150(特別図柄表示制御部151)に指令を出力してもよい。また、特図保留制御部115は、保留記憶させている乱数の数に相当する数の保留表示を表示させるように、情報伝送部110を介して演出制御部210に指令を出力してもよい。
【0059】
当否抽選部131は、第1始動口58または第2始動口59への遊技球の入球を契機として取得された乱数M1または乱数M2を用いて大当り遊技の当否抽選を行う。なお、当否抽選部131による当否抽選の当選確率は一例に限らず、適宜変更可能である。
ここで「入賞を契機として当否抽選を行う」とは、入賞を検知することを一つの条件として、その後に当否抽選が実行されうることをいう。すなわち、入賞が検知されたとしても、必ずしも当該当否抽選が実行されなくてもよい。例えば、保留されている乱数M1の数が保留上限数を超えた場合にカウントスイッチSW1によって検知された入賞、または保留されている乱数M2の数が保留上限数を超えた場合にカウントスイッチSW2によって検知された入賞は、当否抽選の条件にはならない。
【0060】
特図選択部132は、当否抽選部131による当否抽選の結果に基づいて、特別図柄表示部91に表示させる特別図柄を選択する。
特図選択部132によって選択された特別図柄は、特別図柄による図柄変動ゲームの実行中に、後述する特別図柄表示制御部151によって特別図柄表示部91に表示される。
なお、特図選択部132による選択には、当否抽選に用いられた乱数と、予め用意されている特別図柄の種類が同数であって一意に決定される態様も含まれる。
【0061】
<普図抽選について>
遊技機10は、普図保留制御部116と、普図抽選制御部170と、普通電役制御部180と、を備える。
普図抽選制御部170は普通図柄による図柄変動ゲームを司り、開放抽選部171と普図選択部172とを有する。また、普通電役制御部180は、普通電動役物61を制御する機能である。
【0062】
普図保留制御部116は、カウントスイッチSW3によって作動ゲート63の入賞が検知されると、乱数M3を取得して専用の記憶領域に格納(保留記憶)させる。ここで乱数M3は、開放抽選部171による抽選に用いられる乱数である。保留可能な乱数M3の上限数である保留上限数は予め定められている。
普図保留制御部116は、普図抽選制御部170が普通図柄による図柄変動ゲームに係る制御を行っていないとき、保留されている乱数M3を所定の周期で読み出す。
【0063】
普図保留制御部116は保留されている乱数M3の数を監視している。また、普図保留制御部116は、監視している乱数M3の数を、図柄表示器90に表示させるように図柄表示制御部150に指令を出してもよいし、演出表示器80に表示させるように情報伝送部110を介して演出制御部210に指令を出してもよい。
【0064】
開放抽選部171は、普図保留制御部116によって取得された乱数M3を用いて、普通電動役物61を開放状態に遷移させるか否かの開放抽選を行う。なお、開放抽選部171による開放抽選の当選確率は、通常遊技状態であるときは変短状態であるときより低くなっており、変短状態であるときは通常遊技状態であるときより高くなっている。
開放抽選部171による開放抽選に当選したとき、普通電役制御部180はアクチュエータAC1を作動させて所定の開放条件で普通電動役物61を開放させる。
【0065】
普図選択部172は、開放抽選部171による開放抽選の当否結果に基づいて普通図柄を選択し、選択された普通図柄を普通図柄表示制御部153によって普通図柄表示部93に表示させる。普通図柄表示部93に対応している二つのLEDは一方が当選、一方が落選に対応しており、普通図柄表示制御部153は普図選択部172が選択した普通図柄に従っていずれか一方を発光させる。
なお、ここでいう選択とは、特図選択部132による選択と同様に、開放抽選部171による抽選に用いられた乱数M3と、予め用意されている特別図柄の種類が同数であって一意に決定される態様も含まれる。
【0066】
普通電役制御部180は、変短制御部143によって変短状態が付与されているとき、開放状態をとる時間が単位時間あたりで増加するように普通電動役物61を制御する。すなわち、普通電役制御部180の制御は、後述する変短制御部143による変短状態の付与に起因して変動する。
【0067】
<遊技状態制御について>
遊技状態制御部140は大当り遊技、確変状態または変短状態を制御する機能であり、確変制御部141、変短制御部143または大当り制御部145を有している。
【0068】
確変制御部141は、確変状態の付与条件が成立したときに通常遊技状態から確変状態へ、または確変状態の解除条件が成立したときに確変状態から通常遊技状態へと移行させることができる。ここで確変状態とは、特別図柄による図柄変動ゲームにおける当選確率が通常遊技状態より高確率になることをいう。
【0069】
確変状態の方式は、一般的にループ方式・ST方式・転落抽選方式の三種類に大別される。本実施形態における確変制御部141は、これらの三種類の確変状態のいずれを付与する態様であってもよい。
ループ方式の確変とは、確変大当りに係る大当り遊技の後に確変状態に移行し、少なくとも次回大当りまで継続する確変をいう。従って、ループ方式の確変の場合、確変状態の解除条件は次回大当りが開始されることである。
ST方式の確変とは、「スペシャルタイム確変」あるいは「回数切り確変」等とも称され、確変大当りに係る大当り遊技の後に確変状態に移行した後、所定回数の図柄変動ゲームのうちに大当り抽選に当選しない場合に、通常遊技状態に移行する確変をいう。従って、ST方式の確変の場合、確変状態の解除条件は次回大当りが開始されることに加えて、所定回数の図柄変動ゲームが行われることが含まれる。
転落抽選方式の確変とは、確変大当りに係る大当り遊技の後に確変に移行した後に行われる図柄変動ゲームにおいて確変状態から通常遊技状態へ転落するか否かを抽選(転落抽選)し、転落抽選に当選した場合に通常遊技状態へ移行する確変をいう。従って、転落抽選方式の確変の場合、確変状態の解除条件は次回大当りが開始されることに加えて、転落抽選に当選することが含まれる。
【0070】
確変状態の付与条件は、一般的には(a)一部または全部の当り遊技を条件とする方式と、(b)当り遊技中に所定の領域(入賞口を含む)への遊技球の入球を条件とする方式と、が挙げられる。また、(a)の方式において確変状態の付与条件となる一部の当り遊技を選択する方式としては、特別図柄変動ゲームにて抽選される特別図柄によって決定する方式を採用することが多い。
なお、本実施形態における確変状態の付与条件は、(a)の方式を採用してもよく、(b)の方式を採用してもよい。
【0071】
変短制御部143は、変短状態の付与条件が成立したときに通常遊技状態から変短状態へと移行させ、変短状態の解除条件が成立したときに変短状態から通常遊技状態へと移行させる機能である。
なお、本実施形態における変短状態の付与条件は、確変状態の付与条件と共通であってもよいし異なってもよい。また、本実施形態における変短状態の解除条件は、確変状態の解除条件と共通であってもよいし異なってもよい。すなわち、確変状態が付与される期間と変短状態が付与される期間は、共通であってもよいし異なってもよい。
【0072】
変短状態とは、(i)普通電動役物の開放抽選の当選確率が通常遊技状態より高確率になる、(ii)普通電動役物の一回当たりの開放時間が通常遊技状態より延長される、(iii)普通電動役物の開放抽選の当選に応じて普通電動役物が開放される回数が通常遊技状態より増加される、(iv)普通図柄表示部における一回あたりの変動表示時間が短縮される、の少なくとも一つが行われることをいう。
本実施形態において変短状態が付与された場合には、上記の四つのいずれも実行されるものとする。なお、上記の(ii)および(iii)の少なくとも一つが行われることを、一般的には“電チューサポート”または“電サポ”等と称する。
【0073】
大当り制御部145は、大当り遊技を制御する機能である。本実施形態における大当り遊技は、具体的には以下のように実行される。
まず、当否抽選部131によって大当り遊技に当選した場合、大当り遊技に対応する特別図柄が特図選択部132によって選択され、選択された特別図柄が特別図柄表示部91に停止表示された後(特別図柄による図柄変動ゲームが終了した後)に、大当り制御部145は大当り遊技を開始させる。
大当り遊技が開始されると、大当り制御部145は演出制御部210に大当り遊技の開始を示すオープニング演出に関する指令を出す。演出制御部210は大当り制御部145の指令に従い所定時間(オープニング時間)にわたってオープニング演出を実行する。なお、オープニング演出において遊技者に右打ちを推奨する等して、大入賞口55に向かう第2流路Yへの遊技球の打ち出しを促すことが好ましい。
オープニング演出の終了後には、大入賞口55が開放されるラウンド遊技が予め定めた規定回数(ラウンド回数)を上限として複数回行われる。ラウンド遊技では、大入賞口55が所定回数(例えば1回)開放される。また、開放された大入賞口55に規定個数の遊技球が入球した後、または規定時間(ラウンド遊技時間)が経過後に、大入賞口55が閉鎖されてそのラウンド遊技が終了する。
ラウンド遊技の終了後には、大入賞口55が所定の時間(インターバル時間)だけ閉鎖され、次のラウンド遊技の開始と共に再び大入賞口55が開放される。
【0074】
大当り制御部145は、前段で述べたように制御するために、ラウンド回数・ラウンド遊技時間・インターバル時間等を制御情報として含む指令を特別電役制御部190に伝送する。
特別電役制御部190は、大当り制御部145から受けた指令に従って、アクチュエータAC2を作動させて特別電動役物65を開放させる。また、特別電役制御部190は、特別電動役物65を開放させている間、1回のラウンド遊技中に大入賞口55に入球した遊技球の個数をカウントスイッチSW4の検知に基づいて監視している。そして、特別電役制御部190は、入球した遊技球が上限数に達したとき、アクチュエータAC2を作動させて特別電動役物65を閉鎖させる。
【0075】
大当り制御部145は、演出制御部210にラウンド遊技中に係る演出に関する指令を出す。演出制御部210は大当り制御部145の指令に従ってラウンド演出を実行する。
規定のラウンド回数が終了すると、大当り制御部145は情報伝送部110を介して演出制御部210に大当り遊技の終了を示すエンディング演出に関する指令を出す。演出制御部210は大当り制御部145の指令に従い所定時間(エンディング時間)にわたってエンディング演出を実行し、大当り制御部145は大当り遊技を終了させる。
【0076】
<払出制御について>
遊技機10は、上球受け皿27に連通している払出機構部70を制御し、上球受け皿27へ賞球を払い出すことができる払出制御部230を備える。
より詳細には、主制御部100は、各カウントスイッチ(カウントスイッチSW1、カウントスイッチSW2、カウントスイッチSW4、カウントスイッチSW5)による入賞検知に応じて所定の賞球を払い出すように払出制御部230に対して指令を出力する。そして、払出制御部230は、主制御部100から受け付けた指令に基づいて払出機構部70を制御する。なお、払出機構部70は中枠(図示せず)の後方に配設されており、前枠20が閉じた状態では視認することができない。
各カウントスイッチに対して予め設定されている所定の賞球の数は、実施の態様に合わせて適宜設定してもよく、一例に限られない。
【0077】
<図柄変動ゲームと演出図柄の変動表示について>
遊技機10は、図柄表示制御部150と、演出制御部210と、変動パターン処理部160と、を備える。
図柄表示制御部150は、特別図柄による図柄変動ゲームの結果である特別図柄、または普通図柄による図柄変動ゲームの結果である普通図柄、を図柄表示器90に表示させる。
演出制御部210は、主に特別図柄による図柄変動ゲームや大当り遊技に関する演出表示を演出表示器80に表示させる。特に、特別図柄による図柄変動ゲームの実行中に関していえば、演出制御部210は、特別図柄表示部91における特別図柄による図柄変動ゲームの変動時間に合わせて、メイン表示部81で演出図柄の変動表示を行っている。換言すれば、演出制御部210は、特別図柄表示部91における一回の特別図柄による図柄変動ゲームと、メイン表示部81における一回の演出表示とを、原則として対応付けて実行する。
ただし、複数回の特別図柄による図柄変動ゲームにわたって連続性を有している演出表示が実行される場合や、一回の特別図柄による図柄変動ゲームに対して複数回の変動を1セットとする演出表示が実行される場合もある。前者の代表例はいわゆる連続演出と称される演出表示であり、後者の代表例はいわゆる擬似連演出と称される演出表示である。
【0078】
図8は、メイン表示部81において変動表示している演出図柄を示す一例である。
図9は、メイン表示部81に停止表示した演出図柄の組合せの一例を示す図である。
図8に示すように、メイン表示部81の上段、中段または下段において、複数とおりの演出図柄がスクロール(変動表示)する。
図8に図示されている矢印は、各演出図柄がスクロールする段と方向とを示している。すなわち、本実施形態における演出図柄は、主に右から左にスクロールするように構成されており、そのスクロールは段ごとに停止表示または仮停止状態になる。各段においてスクロールが停止する(演出図柄が仮停止状態になる)順序は、特に限定されないが、本実施形態では原則として上段→下段→中段の順序になっている。
なお、
図8以降の図面に図示される各演出図柄には、符号「D○△」を付す。ここで○にはその演出図柄の中に描画されている数字図柄に等しい数字が入り、△にはその演出図柄の描画されている位置に応じた記号が入る。当該記号は、メイン表示部81の上段がa、メイン表示部81の中段がb、メイン表示部81の下段がc、上サブ表示部82がdに対応している。
【0079】
メイン表示部81において演出図柄を停止表示可能な位置は、上段左列・上段中央・上段右列・中段左列・中段中央・中段右列・下段左列・下段中央・下段右列の計九箇所である。ただし、各段において演出図柄どうしの間隔が略均等に振り分けられているため、左列で一の演出図柄が停止表示された場合には、必ず右列にも他の演出図柄が停止表示される。また、中央に一の演出図柄が停止表示された場合には、他の演出図柄は表示可能な領域の端から見切れてしまう。従って、停止表示される演出図柄の配置は、以下の8パターンのいずれかになる。
(i)上段左列・上段右列・中段左列・中段右列・下段左列・下段右列の6箇所に演出図柄が停止表示されるパターン
(ii)上段中央・中段左列・中段右列・下段左列・下段右列の5箇所に演出図柄が停止表示されるパターン
(iii)上段左列・上段右列・中段中央・下段左列・下段右列の5箇所に演出図柄が停止表示されるパターン
(iv)上段中央・中段中央・下段左列・下段右列の4箇所に演出図柄が停止表示されるパターン
(v)上段左列・上段右列・中段左列・中段右列・下段中央の5箇所に演出図柄が停止表示されるパターン
(vi)上段中央・中段左列・中段右列・下段中央の4箇所に演出図柄が停止表示されるパターン
(vii)上段中央・中段中央・下段中央の3箇所に演出図柄が停止表示されるパターン
(viii)上段左列・上段右列・中段中央・下段中央の4箇所に演出図柄が停止表示されるパターン
なお、
図9で図示されている演出図柄の組合せは上記の(viii)のパターンに該当し、上段左列に演出図柄D8a、上段右列に演出図柄D7a、中段中央に演出図柄D6b、下段中央に演出図柄D9cが停止表示されている。
【0080】
上述した特別図柄による図柄変動ゲームと演出図柄の変動表示との対応性を担保するため、変動パターン処理部160は変動パターンを定める。
より詳細には、変動パターン処理部160は、特別図柄による図柄変動ゲームにて特別図柄が変動する時間を示す変動時間情報を少なくとも含む変動パターンを定め、変動パターンを含む指令を図柄表示制御部150(特別図柄表示制御部151)または演出制御部210に出力する。
特別図柄表示制御部151は変動パターンに応じて特別図柄による図柄変動ゲームを実行し、また演出制御部210は変動パターンに応じて演出図柄の変動表示を実行することによって、これらの対応性を担保している。
【0081】
なお、上記の説明において、演出制御部210は、演出表示器80(メイン表示部81、上サブ表示部82、左サブ表示部83、右サブ表示部84)の演出表示を制御する旨を説明したが、演出制御部210の制御対象はこれに限られない。その他にも、演出制御部210は、照明装置35による点灯(点滅)演出、またはスピーカ33による音声演出についても制御することができ、これらの演出表示、点灯演出、音声演出等を組み合わせて遊技者の興趣を喚起することができる。
また、演出制御部210は、ボタン37にて受け付けた遊技者の操作に応じて各種演出を可変に切り替えることもできる。
また、演出制御部210は、上サブ表示部82、左サブ表示部83または右サブ表示部84の移動制御を実行することができ、さらに
図4では図示していないが、いわゆる装飾可動体の移動制御を実行することができてもよい。
【0082】
また、上記の説明において、変動パターン処理部160によって定められる変動パターンは変動時間情報を少なくとも含む旨を説明した。この他にも、変動パターンには、リーチ演出をするかバラケ目にするかを示す情報やリーチ演出の種別を示す情報等が含まれてもよい。
【0083】
<擬似連演出における方向変化示唆と方向変化報知について>
続いて、本発明の擬似連演出と、その中で実行される方向変化示唆および方向示唆報知について、
図10から
図16を用いて説明する。
図10は、擬似連演出のタイムチャートである。
図11から
図16は、擬似連演出中における各時点のメイン表示部81を表す図である。
なお、
図10のタイムチャートの上段に記載されている数字は、擬似連演出を伴う図柄変動ゲームの開始時点からの経過時間を表している。また、
図10において「図柄変動ゲーム(1)」とは1回の図柄変動ゲームの実行期間を表しており、「擬似連(1)」「擬似連(2)」とは、それぞれ1回目または2回目の変動サイクルを示している。本実施形態では、「擬似連(1)」が本発明の第一演出図柄変動に相当し、「擬似連(2)」本発明の第二演出図柄変動に相当する。
【0084】
演出制御部210は、第一演出図柄変動を実行する場合、変動している演出図柄の段ごと(上下方向にスクロールする態様においては列ごと)に演出図柄の変動方向が変化するか否かを示唆する方向変化示唆を実行する。より具体的には、第一演出図柄変動が実行されている間は、
図11から
図13に示すとおり、進行方向(左右方向)と直行する軸を中心として各段の演出図柄が回転しながらスクロールする。
そして、演出制御部210は、複数段のすべてにおける方向変化示唆において演出図柄の変動方向が変化する旨を示唆することにより方向変化報知を実行して、第二演出図柄変動を実行する。より具体的には、
図12から
図14に示すとおり、各段において演出図柄に含まれるキャラクターが前方を向いて仮停止状態になることによって演出図柄の変動方向が変化する旨を示唆する。また、演出図柄に含まれるキャラクターが前方以外を向いて仮停止状態になることによって演出図柄の変動方向が変化しない旨を示唆する。そして、
図14または
図15に示すように、上中下段のすべてにわたって当該キャラクターが前方を向いて仮停止状態になることによって、それが方向変化報知を意味する。
【0085】
なお、「複数段のすべてにおける方向変化示唆において演出図柄の変動方向が変化する旨を示唆することにより方向変化報知を実行」と上記している内容は、言い換えると、全列で変動方向の変化を肯定する示唆演出(方向変化示唆)が行われたことをもって変動方向の変化の確定報知(方向変化報知)になることである。
【0086】
各段において方向変化示唆を行った後に方向変化報知となる推移について、詳しく説明する。
まず、擬似連演出の0秒から6秒までは、
図8で示している通常の演出図柄の変動とは異なる態様で演出図柄がスクロールする(
図11参照)。この期間における演出図柄の変動態様を
図10では「第一特殊変動」と表している。この段階では、いずれの段の演出図柄のキャラクターもどの方向を向いて仮停止状態になるのか遊技者には判別がつかない。
次に、擬似連演出の6秒時点で上段が仮停止し(
図12参照)、上段が仮停止状態のまま中段または下段の演出図柄がスクロールする状態が9秒まで継続する。この段階では、上段の演出図柄のキャラクターのみ前方を向いて仮停止状態になっており、次回の変動サイクル(第二演出図柄変動)において変動方向が変化する可能性があるような心証を遊技者に抱かせることができる。
次に、擬似連演出の9秒時点で下段が仮停止し(
図13参照)、上下段が仮停止状態のまま中段の演出図柄がスクロールする状態が11秒まで継続する。この段階では、上下段の演出図柄のキャラクターが前方を向いて仮停止状態になっており、次回の変動サイクルにおいて変動方向が変化する可能性が強まった旨の心証を遊技者に抱かせることができる。
次に、擬似連演出の11秒時点で中段が仮停止し(
図14参照)、全ての段が仮停止状態になる。この瞬間に全ての段にわたって演出図柄のキャラクターが前方を向いて仮停止状態になり、次回の変動サイクルにおいて変動方向が変化する旨が遊技者に確定的に報知される。そして、擬似連演出の11秒から13秒までは前方を向いて仮停止している各演出図柄の周囲が星柄で強調される(
図15参照)。この段階では、遊技者は1回目の変動サイクルから2回目の変動サイクルへの移行が確定したことを認識でき、特典が付与される可能性が向上したような心証を受けるので、遊技者の興趣が喚起される。
【0087】
擬似連演出の13秒以降は第二演出図柄変動が実行され、第一演出図柄とは異なる態様で演出図柄がスクロールする。より具体的には、通常の演出図柄より小さく表示されている演出図柄が徐々に拡大しながら表示される(
図16参照)。このような表示により、遊技者からは奧方から手前方向に演出図柄がスクロールしているように見える。すなわち、第一演出図柄変動と第二演出図柄とは異なる方向に演出図柄が変動する。なお、この期間における演出図柄の変動態様を
図10では「第二特殊変動」と表している。また、
図16において各演出図柄の周囲に図示した矢印は、各演出図柄が拡大しつつある状態を表している。
また、
図16に示すとおり、メイン表示部81で演出図柄がスクロールしている間、上サブ表示部82では二回目の変動サイクルである旨が表示される。これにより、遊技者は、一回目の変動サイクル(第一演出図柄変動)から二回目の変動サイクル(第二演出図柄変動)への移行を確認することができる。
【0088】
上記のように、擬似連演出の0秒から11秒までは、遊技者の見た目の上では1回目の変動サイクルから2回目の変動サイクルへの移行の成否が判別できないので、この期間に実行されている演出は変動方向の変化を示唆する演出(方向変化示唆)に相当する。
一方、擬似連演出の11秒から13秒までは、遊技者の見た目においても1回目の変動サイクルから2回目の変動サイクルへの移行が確定的であるので、この期間に実行されている演出は変動方向の変化を報知する演出(方向変化報知)に相当する。
なお、方向変化報知の実行期間は、1回目の変動サイクル(第一演出図柄変動)の範囲内で適宜変更可能であり、上記の実行期間の事例はその一例に過ぎない。
【0089】
上記のように、段ごとに段階を経て方向変化が示唆された後に方向変化報知が実行されるので、演出が継続する興趣を徐々に高めることができる。
また、特許文献1のように停止した演出図柄の配列(ズレ目)によって擬似連演出の継続が確定する態様とは違って、演出図柄の配列に依存することなく擬似連演出の継続を示唆または報知することができるので、配列に起因して遊技者が失望することもない。例えば、特許文献1の態様であれば、左列と右列とがズレ目になりうる配列で演出図柄が仮停止状態になった場合であって、その後中列で仮停止した演出図柄がズレ目を否定したとき、遊技者は「ズレ目になって継続しないのであれば、この段階でリーチ目になって欲しかった」等と遊技者が残念に感じることもありうる。しかし、本実施形態のような態様であれば、このような配列に起因する失望が生じることもない。
【0090】
上述の擬似連演出の推移は、次のような特徴を有しているともいえる。
例えば、
図11から
図16に示すとおり、演出図柄には、方向変化示唆の実行中に複数とおりの仮停止態様でメイン表示部81(演出表示器)に表示されるキャラクターが含まれている。
演出制御部210は、各段(上下方向にスクロールする態様においては各列)に表示されているキャラクターの仮停止態様の種別によって演出図柄の変動方向が変化するか否かを示唆している。また、演出制御部210は、複数列のすべてにおいて前方を向いた仮停止状態(一の仮停止態様)のキャラクターを表示させることにより方向変化報知を実行した場合、第二演出図柄変動を実行し、少なくとも一部の段において他の仮停止態様のキャラクターを表示させた場合、擬似連演出を終了する。
このように方向変化の有無が、演出図柄に含まれるキャラクターの仮停止態様に依存して示される。従って、表示されている演出図柄の組合せが同一であっても、各演出図柄に含まれるキャラクターの仮停止状態によって演出の継続/終了が分岐する。このような演出を伴って継続する擬似連演出は従来にないため、遊技者の興趣が従来以上に向上しうる。
【0091】
なお、キャラクターには、本実施形態のように動物をモチーフとするものの他、人物や植物等の生物の、乗り物やロボット等の無機物や抽象的なデザイン(例えば、文字、図柄または記号等)も該当しうる。また、キャラクターは、遊技者がキャラクター自体の方向を識別可能に描画されることが好ましい。
また、上記の「演出図柄にキャラクターが含まれる」とは、演出図柄の一部がキャラクターである場合に限らず、キャラクターが演出図柄そのものである場合や、演出図柄とキャラクターとが区別不能に一体になっている場合も含まれる。
【0092】
上記の「キャラクターの仮停止態様の種別」とは、個々のキャラクターが採りうる複数とおりの仮停止態様のそれぞれを意味する。本実施形態では、仮停止しているキャラクターの方向によって当該キャラクターの仮停止態様の種別が異なる。すなわち、キャラクターの方向によって複数とおりの仮停止態様を採ることが可能になっている。
本実施形態におけるキャラクターの方向には第一方向(第一演出図柄変動における変動方向)および第二方向(第二演出図柄変動における変動方向)が含まれている。そして、第二方向のキャラクターが一の仮停止態様に対応しており、第一方向のキャラクターが他の仮停止態様に対応している。すなわち、仮停止しているキャラクターの方向が、第二演出図柄変動における演出図柄の変動方向と一致することによって方向変化を示唆している。これにより、遊技者が一見すればその示唆を認識することができる。
ここで「キャラクターの方向」とは、メイン表示部81の表示画面上において遊技者が認識できるキャラクターの方向である。例えば、本実施形態のようにキャラクターが動物であれば、その動物の顔が向いている方向をそのキャラクターの方向としてもよい。
【0093】
なお、本実施形態ではキャラクターの方向によって当該キャラクターの仮停止態様の種別が異なる実施例で説明したが、本発明の実施はこの実施例に限られない。例えば、キャラクターの動作やキャラクターの種別によって当該キャラクターの仮停止態様の種別が異なってもよい。
【0094】
<各種処理の処理手順について>
次に、上記で説明した各種処理の処理手順について、
図6または
図7を用いて説明する。なお、上述した
図1から
図4に図示されている各構成要素に触れて説明する場合があるので、これらの図面も適宜参照されたい。
【0095】
図6は、入球時処理の処理手順を示すフローチャートである。
図7は、図柄変動開始処理の処理手順を示すフローチャートである。
なお、これらのフローチャートで図示される処理手順は、本発明の処理手順やその実行タイミングを限定するものではない。このため、本発明に関する処理を実施するときには、その複数の処理手順は内容的に支障のない範囲で変更することができ、また複数の処理の実行タイミングの一部または全部が互いに重複していてもよい。
また、
図6または
図7で図示される各処理は、本発明の説明に必要な主たる処理であって、遊技機10によって実行される全ての処理を示すものではない。
【0096】
まず、入球時処理について説明する。ここで入球時処理とは、第1始動口58または第2始動口59に対して遊技球が入球した後に実行される一連の処理である。
第1始動口58または第2始動口59への入球が検知されるまで(ステップS102のNO)、ステップS104以降の処理は行われないまま待機となる。
また、第1始動口58または第2始動口59への入球が検知されたとしても(ステップS102のYES)、特図保留制御部115による保留数が上限に達していれば(ステップS104のYES)、ステップS106以降の処理は行われないまま待機となる。
【0097】
第1始動口58または第2始動口59への入球が検知されて(ステップS102のYES)、かつ特図保留制御部115による保留数が上限に達していないとき(ステップS104のNO)、特図保留制御部115による保留数が加算される(ステップS106)。また、特図保留制御部115によって乱数M1または乱数M2が取得されて、専用の記憶領域に保留記憶される(ステップS108)。
すなわち、ステップS102の肯定とステップS104の否定とが、上記の始動条件の成立を意味する。
【0098】
ステップS102からステップS108までの一連の処理結果を制御情報として含むコマンドが、情報伝送部110から演出制御部210に対して出力されて(ステップS110)、その入球時処理は終了となる。
【0099】
続いて、図柄変動開始処理の処理手順について説明する。ここで図柄開始処理とは、特別図柄による図柄変動ゲームを開始させる際に行われる一連の処理である。
まず、特図抽選制御部130は、変動開始条件が成立しているか否かを判定する(ステップS202)。ここで変動開始条件とは、(i)ステップS202の判定時において特別図柄による図柄変動ゲームが実行されていないこと、(ii)ステップS202の判定時において大当り遊技が実行されていないこと、(iii)ステップS202の判定時において保留記憶が1個以上存在すること等が挙げられる。
ステップS202の判定が否定されるとき(ステップS202のNO)、ステップS204以降の処理は実行されずに、その図柄変動開始処理は終了となる。
【0100】
ステップS202の判定が肯定されるとき(ステップS202のYES)、当否抽選部131は、特図保留制御部115に保留されている乱数M1または乱数M2を読み出す(ステップS204)。
ステップS204において、当否抽選部131は、特図保留制御部115に保留記憶されている順番で乱数M1または乱数M2を読み出してもよいし、一方を他方に優先して読み出してもよい。
【0101】
ステップS204で乱数が読み出されることを契機として各判定処理が実行される(ステップS206)。
ここでステップS206に含まれる処理としては、具体的には、上述した当否抽選部131による当否抽選や特図選択部132による特別図柄の選択が少なくとも含まれる。また、(i)変短状態が付与されているか否か、(ii)演出図柄をリーチ目で停止させるか否か、(iii)特定の演出を行うか否か等の判定処理が、ステップS206の処理に含まれてもよい。さらに、ここで特定の演出を行うか否かの判定の一部として、上述の方向変化示唆または方向変化報知を含む擬似連演出を行うか否かの判定が含まれてもよい。
そして、変動パターン処理部160は、ステップS206の処理結果を用いて変動パターンを決定する(ステップS208)。
【0102】
ステップS202からステップS208までの一連の処理結果を制御情報として含むコマンドが、情報伝送部110から演出制御部210に対して出力されて(ステップS210)、その図柄変動開始処理は終了となる。
ステップS210において出力されるコマンドには、例えば、ステップS206で実行された判定の処理結果を示す情報やステップS208で決定された変動パターンを示す情報、またはこれらに関連して実行される演出に用いられる情報等が含まれてもよい。
【0103】
なお、本実施形態のステップS206において、上述の方向変化示唆または方向変化報知を含む擬似連演出を行うか否かの判定が含まれてもよい旨を述べたが、この判定は必ずしもこの処理において実行されなくてもよい。例えば、ステップS206では擬似連演出を行う旨が決定され、ステップS210で出力されるコマンドにその旨を示す情報が含まれており、当該コマンドを受け付けた演出制御部210が方向変化示唆または方向変化報知を行うか否かを判定してもよい。
【0104】
<本発明の擬似連演出の効果について>
以上、本実施形態における遊技機10の構造、機能構成、処理手順について説明した。これらの説明を踏まえて、本発明の擬似連演出の効果について述べる。
本発明の擬似連演出は、中途で演出図柄の変動方向(スクロール方向)が第一方向から第二方向に変化する。この際、第一方向で演出図柄が変動している最中(第一演出図柄変動)において第一方向から第二方向への変化を示唆または報知する。
このように継続する際に、このような示唆または報知を行う擬似連演出は従来に存在しないため、遊技者の関心を従来以上に惹くことができ、遊技興趣をさらに高めることができる。
【0105】
また、本実施形態では、演出図柄またはそれを構成するキャラクターの変動について上述の工夫が種々施されており、本発明の擬似連演出による演出効果を好適に高めることができる。
【0106】
<本発明の変形例について>
ここまで
図1から
図16を用いて説明される実施形態に即して本発明を説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的が達成される限りにおける種々の変形、改良等の態様も含む。
上述の実施形態では、演出図柄またはそれを構成するキャラクターの変動によって方向変化示唆または方向変化報知を行う実施例で説明したが、本発明の実施はこれに限られない。例えば、「スクロール方向が変化するよ」「スクロール方向が変化するかも」等の画像表示や音声ガイドが行われることによって、本発明の方向変化示唆または方向変化報知が実行されてもよい。
【0107】
また、上述の実施形態では左右方向から前後方向(遊技機10の奧方から手前)に演出図柄のスクロール方向が変化する態様で説明したが、本発明の実施はこれに限られない。
例えば、上下方向から左右方向に変化してもよいし、左右方向から斜め方向(例えば、右下から左上等)に変化してもよいし、特定方向からその逆方向に変化してもよいし、単純な直線変動から複雑な変動(例えば、演出図柄を構成するキャラクターがスクロール中にジャンプする等)に変化してもよい。
【0108】
また、上述の実施形態では配列目に依存せず、単に演出図柄に含まれるキャラクターの向いた方向のみで方向変化の示唆または報知を行い擬似連演出が継続する実施例で説明したが、本発明の実施はこれに限られない。
例えば、複数列のすべてにおいて前方を向いた仮停止状態(一の仮停止態様)のキャラクターを表示させることに加えて、さらに特定の配列目が形成されることも擬似連演出の継続条件として本発明を実施してもよい。ここで特定の配列目とは、例えば
図14または
図15に図示するように、5つの演出図柄でX印を描くことであってもよい。また、特定の配列目を構成する演出図柄が、特定の演出図柄に限定されてもよい。
【0109】
また、上述の実施形態は擬似連演出において方向変化示唆または方向変化報知を行う実施例について説明したが、いわゆる先読み判定に基づく連続演出に応用しても本発明と同様の効果を奏する。この変形例について、
図17から
図20を用いて説明する。
【0110】
図17は、変形例における遊技機10の主要な制御構成を示す機能ブロック図である。
図18は、変形例における入球時処理の処理手順を示すフローチャートである。
図19は、変形例における連続演出のタイムチャートの一例である。
図20は、
図19における13秒時点のメイン表示部81を表す図である。
なお、ここで説明する変形例において上述の実施形態と共通の構成要素については、共通の要素名と符号を付して説明する。
【0111】
遊技機10は、特図保留制御部115が事前判定部118を含む点において、上述の実施形態とは異なる。
事前判定部118は、保留記憶されている乱数M1または乱数M2が当否抽選部131による判定における当選値であるか否かを判定する(以下、この判定を第一判定と称す)。また、事前判定部118は、当選値であるか否かの判定に基づいて、判定対象の乱数M1または乱数M2に起因する特別図柄の図柄変動ゲームにおいて演出制御部210が決定する演出内容(リーチ演出の有無やリーチ演出の種別等)の決定条件を判定する(以下、この判定を第二判定と称す)。さらに、事前判定部118は、判定された決定条件に基づいて、その演出を実行している最中(判定対象の乱数M1または乱数M2に起因する特別図柄の図柄変動ゲームの実行中)に連続演出を行うか否かを判定する(以下、この判定を第三判定と称す)。
特図保留制御部115は、事前判定部118による判定結果である事前判定情報を乱数M1または乱数M2に対応付けて保留記憶させることができる。特図保留制御部115に保留記憶されている事前判定情報は、情報伝送部110を経由して演出制御部210に出力される。
ここで事前判定情報とは、ここで述べた第三判定の判定結果を少なくとも包含する情報であり、第一判定または第二判定の判定結果は包含してもしなくてもよい。
なお、ここで述べた第一判定が肯定される場合には第三判定が肯定されやすく、第一判定が否定される場合には第三判定が否定されやすくなっている。すなわち、当選値である乱数M1または乱数M2が保留記憶された場合には、連続演出が行われやすくなっている。
【0112】
続いて、変形例の入球時処理について説明する。なお、ステップS302からステップS308の処理については、
図6におけるステップS102からステップS108と共通であるため、ここでの詳細な説明は省略する。
【0113】
ステップS308において乱数M1または乱数M2が保留記憶されたことを契機として、事前判定部118によって事前判定処理が行われる(ステップS310)。
事前判定処理が実行されるとき、事前判定部118は、保留記憶された乱数M1または乱数M2に起因して大当り遊技に当選するか否かおよびその乱数に対して連続演出を行うか否かを判定し、その判定結果を示す事前判定情報を生成する。
事前判定部118は、上述の第一判定、第二判定または第三判定に用いられる判定テーブルを有しており、当該判定テーブルに基づいて各判定処理を行う。なお、第一判定に用いられる判定テーブルには、当否抽選部131に用いられる抽選テーブルに格納されている当選値の少なくとも一部が格納されており、判定対象の乱数M1または乱数M2が当該判定テーブルに格納されている当選値と一致するか否かによって第一判定を実行することができる。
【0114】
ステップS302からステップS310までの一連の処理結果を制御情報として含むコマンドが、情報伝送部110から演出制御部210に対して出力されて(ステップS312)、変形例における入球時処理は終了となる。
【0115】
図19は、上述の事前判定部118による判定(いわゆる先読み判定)に基づいて、連続する複数回の図柄変動ゲームにわたって実行される連続演出において方向変化示唆または方向変化報知を実行する場合のタイムチャートの一例を示す図である。ここで「図柄変動ゲーム(1)」とは一回目の図柄変動ゲームであり、「図柄変動ゲーム(2)」とは二回目の図柄変動ゲームである。また、ここで「予告演出(1)」とは、一回目の図柄変動ゲームにおいて演出図柄の変動を伴って実行される演出であり、「予告演出(2)」とは、二回目の図柄変動ゲームにおいて演出図柄の変動を伴って実行される演出である。
図19のタイムチャートは、
図10のタイムチャートと比して、一回目の図柄変動ゲームから二回目の図柄変動ゲームに継続する際に、方向変化示唆または方向変化報知が実行される点が異なる。
上述した事前判定部118による判定を、少なくとも二回目の図柄変動ゲームが実行される前(一回目の図柄変動ゲームの実行中または実行前)に行うので、
図19に示すように複数回の図柄変動ゲームで連続して予告演出を行うことが可能になる。
【0116】
また、
図19のタイムチャートの13秒時点において、メイン表示部81に表示される各演出図柄が確定的に停止表示される点において(
図20参照)、
図10のタイムチャートの同時点とは異なる。
すなわち、特別図柄表示部91において実行されている一回目の図柄変動ゲームが13秒時点で終了するので、メイン表示部81における各演出図柄が停止表示になる。なお、各演出図柄は13秒に至る前に停止表示されてもよい。
【0117】
図17から
図20を用いて説明される変形例の遊技機10の特徴について整理すると以下のようになる。
遊技機10は、図柄表示制御手段(図柄表示制御部150)と、演出制御手段(演出制御部210)と、を備える。
図柄表示制御部150は、停止表示された図柄によって当選したか否かを報知する図柄変動ゲームを実行する。
演出制御部210は、メイン表示部81(演出表示器)に複数列に表示される演出図柄を、予め定められた複数とおりの所定方向のいずれかに変動させる。また、演出制御部210は、一の図柄変動ゲームが実行されている間に、複数列の演出図柄を所定方向のうち第一方向に変動させる第一演出図柄変動を実行する。そして、演出制御部210は、一の図柄変動ゲームの次に行われる他の図柄変動ゲームにおいて、複数列の演出図柄を所定方向のうち第一方向とは異なる第二方向に変動を開始させる第二演出図柄変動を実行する。さらに、演出制御部210は、第二演出図柄変動を実行する場合、第一演出図柄変動が実行されている間の少なくとも一部において、演出図柄の変動方向の変化を報知する方向変化報知を実行する。
この変形例における遊技機10は、上記のように図柄変動ゲームに連動して複数回の演出図柄の変動を伴う連続演出において方向変化報知を実行するので、連続演出の継続に対する遊技者の興趣を向上させることができる。
【0118】
本実施形態は以下の技術思想を包含する。
(1)停止表示された図柄によって当選したか否かを報知する図柄変動ゲームを実行する図柄表示制御手段と、演出表示器に複数列に表示される演出図柄を予め定められた複数とおりの所定方向のいずれかに変動させてから仮停止させるまでを一回の変動サイクルとして、一回の前記図柄変動ゲームが実行されている間に複数回の前記変動サイクルを連続して行う擬似連演出を実行する演出制御手段と、を備え、前記擬似連演出には、一の回の前記変動サイクルである第一演出図柄変動と、前記第一演出図柄変動の次の回における前記変動サイクルである第二演出図柄変動と、が含まれており、前記演出制御手段は、前記第一演出図柄変動において、前記複数列の前記演出図柄を前記所定方向のうち第一方向に変動させ、前記第二演出図柄変動において、前記複数列の前記演出図柄を前記所定方向のうち前記第一方向とは異なる第二方向に変動を開始させ、前記第二演出図柄変動を実行する場合、前記第一演出図柄変動が実行されている間の少なくとも一部において、前記演出図柄の変動方向の変化を報知する方向変化報知を実行する遊技機。
(2)前記演出制御手段は、前記第一演出図柄変動を実行する場合、変動している前記演出図柄の列ごとに前記演出図柄の変動方向が変化するか否かを示唆する方向変化示唆を実行し、前記複数列のすべてにおける前記方向変化示唆において前記演出図柄の変動方向が変化する旨を示唆することにより前記方向変化報知を実行して、前記第二演出図柄変動を実行する(1)に記載の遊技機。
(3)前記演出図柄には、前記方向変化示唆の実行中に複数とおりの仮停止態様で前記演出表示器に表示されるキャラクターが含まれており、前記演出制御手段は、各列に表示されている前記キャラクターの前記仮停止態様の種別によって前記演出図柄の変動方向が変化するか否かを示唆しており、前記複数列のすべてにおいて一の前記仮停止態様の前記キャラクターを表示させることにより前記方向変化報知を実行した場合、前記第二演出図柄変動を実行し、少なくとも一部の列において他の前記仮停止態様の前記キャラクターを表示させた場合、前記擬似連演出を終了する(2)に記載の遊技機。
(4)前記キャラクターの方向によって複数とおりの前記仮停止態様を採ることが可能になっており、且つ前記キャラクターの方向には前記第一方向および前記第二方向が含まれ、前記第二方向の前記キャラクターが前記一の仮停止態様に対応しており、前記第一方向の前記キャラクターが前記他の仮停止態様に対応している(3)に記載の遊技機。
(5)停止表示された図柄によって当選したか否かを報知する図柄変動ゲームを実行する図柄表示制御手段と、演出表示器に複数列に表示される演出図柄を、予め定められた複数とおりの所定方向のいずれかに変動させる演出制御手段と、を備え、前記演出制御手段は、一の前記図柄変動ゲームが実行されている間に、前記複数列の前記演出図柄を前記所定方向のうち第一方向に変動させる第一演出図柄変動を実行し、前記一の図柄変動ゲームの次に行われる他の前記図柄変動ゲームにおいて、前記複数列の前記演出図柄を前記所定方向のうち前記第一方向とは異なる第二方向に変動を開始させる第二演出図柄変動を実行し、前記第二演出図柄変動を実行する場合、前記第一演出図柄変動が実行されている間の少なくとも一部において、前記演出図柄の変動方向の変化を報知する方向変化報知を実行する遊技機。