(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6591013
(24)【登録日】2019年9月27日
(45)【発行日】2019年10月16日
(54)【発明の名称】モバイル端末
(51)【国際特許分類】
H04M 1/02 20060101AFI20191007BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20191007BHJP
【FI】
H04M1/02 C
H05K7/20 A
【請求項の数】18
【外国語出願】
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2018-161782(P2018-161782)
(22)【出願日】2018年8月30日
(62)【分割の表示】特願2016-557014(P2016-557014)の分割
【原出願日】2014年3月21日
(65)【公開番号】特開2019-4501(P2019-4501A)
(43)【公開日】2019年1月10日
【審査請求日】2018年8月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】517332063
【氏名又は名称】華為終端有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ヤン、シャンヤン
(72)【発明者】
【氏名】ジン、リンファン
(72)【発明者】
【氏名】リ、フアリン
(72)【発明者】
【氏名】タン、ウェンビン
(72)【発明者】
【氏名】ゾウ、ジエ
【審査官】
藤江 大望
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2010/032484(WO,A1)
【文献】
国際公開第2013/018553(WO,A1)
【文献】
国際公開第2013/108312(WO,A1)
【文献】
特表2014−517538(JP,A)
【文献】
特開2013−150067(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04M1/02−1/23
H05K7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホルダと、
前記ホルダを囲むサイドフレームと、
ディスプレイスクリーンと、
回路基板上の熱放出要素と、
を備え、
前記ホルダが前記ディスプレイスクリーンおよび前記回路基板の間に位置し、
前記ホルダが熱伝導領域および断熱領域を有し、
前記断熱領域が前記熱伝導領域および前記ホルダの端部の間に設けられ、
前記熱伝導領域は金属から形成され、
前記熱放出要素により生成される熱は前記熱伝導領域へと伝達され、前記熱伝導領域における前記熱を前記サイドフレームへと伝達する処理において、前記熱は前記断熱領域によって妨げられる、モバイル端末。
【請求項2】
前記断熱領域は、低熱伝導材料から形成され、
前記低熱伝導材料は、0〜0.026W/m・Kの熱伝導率の範囲を有する、請求項1に記載のモバイル端末。
【請求項3】
前記断熱領域が、少なくとも1つの断熱キャビティを有する、請求項1または2に記載のモバイル端末。
【請求項4】
前記断熱キャビティは真空であるか、または空気で充填されている、請求項3に記載のモバイル端末。
【請求項5】
前記断熱キャビティは、少なくとも1つのストリップ形状の穴または少なくとも1つの楕円状の穴である、請求項3または4に記載のモバイル端末。
【請求項6】
前記断熱キャビティは、前記断熱領域の端部に設けられている少なくとも1つの溝を有する、請求項3または4に記載のモバイル端末。
【請求項7】
前記断熱キャビティの領域は、前記断熱領域の少なくとも50%の領域を占める、請求項3から6のいずれか1項に記載のモバイル端末。
【請求項8】
前記断熱領域の材料は低熱伝導材料であり、
前記低熱伝導材料は、0〜0.026W/m・Kの熱伝導率の範囲を有し、
前記熱伝導領域の材料は高熱伝導材料であり、
前記高熱伝導材料は、10〜400W/m・Kの熱伝導率の範囲を有する、請求項1から7のいずれか1項に記載のモバイル端末。
【請求項9】
前記断熱領域には、穴形状の断熱キャビティが設けられる、請求項1または2に記載のモバイル端末。
【請求項10】
前記断熱キャビティは、少なくとも1つのストリップ形状の穴または少なくとも1つの楕円状の穴である、請求項9に記載のモバイル端末。
【請求項11】
前記回路基板上の前記熱放出要素を囲むシールド缶を更に有する、請求項1から10のいずれか1項に記載のモバイル端末。
【請求項12】
前記熱放出要素が、加熱チップである、請求項1から11のいずれか1項に記載のモバイル端末。
【請求項13】
前記モバイル端末が、スマートフォンまたはタブレットコンピュータである、請求項1から12のいずれか1項に記載のモバイル端末。
【請求項14】
金属ホルダと、
前記金属ホルダを囲むサイドフレームと、
ディスプレイスクリーンと、
回路基板上の熱放出要素と、
を備え、
前記金属ホルダが前記ディスプレイスクリーンおよび前記回路基板の間に位置し、
前記金属ホルダが熱伝導領域および少なくとも1つの断熱キャビティを有し、
前記断熱キャビティが前記熱伝導領域および前記金属ホルダの端部の間に設けられ、
前記断熱キャビティが穴形状の断熱キャビティであり、
前記熱放出要素により生成される熱は前記熱伝導領域へと伝達され、前記熱伝導領域における前記熱を前記サイドフレームへと伝達する処理において、前記熱は前記断熱キャビティによって妨げられる、モバイル端末。
【請求項15】
前記断熱キャビティは、少なくとも1つのストリップ形状の穴または少なくとも1つの楕円状の穴である、請求項14に記載のモバイル端末。
【請求項16】
前記回路基板上の前記熱放出要素を囲むシールド缶を更に有する、請求項14または15に記載のモバイル端末。
【請求項17】
前記熱放出要素が、加熱チップである、請求項14から16のいずれか1項に記載のモバイル端末。
【請求項18】
前記モバイル端末が、スマートフォンまたはタブレットコンピュータである、請求項14から17のいずれか1項に記載のモバイル端末。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信分野における電子デバイスに関し、特に、ホルダおよび当該ホルダを有するモバイル端末に関する。
【背景技術】
【0002】
モバイル端末の構成に関する急速な進展に伴い、例えば、モバイル端末の内部チップの優位周波数はますます高くなっており、メモリのアクセス速度はますます速くなっており、それに応じて、高周波電力増幅および電力管理効果はますます高くなり、モバイル端末の全体の加熱は、それに応じてますます高まっている。従って、モバイル端末での放熱処理(放熱設計とも称される)は特に重要になっている。モバイル端末のサイズ、防水、防塵、およびノイズ要件を理由とし、モバイル端末の密封封止機能は、強制的に熱を放散するためのファンの使用を制約する。モバイル端末の表面を使用することによってのみ熱が放散可能な場合、使用習慣および受熱機能を組み合わせることによる効果的な放熱経路管理を実行することが、モバイル端末の放熱設計のコアとなっている。研究が示すところによると、モバイル端末はより薄型に、バッテリ容量を増大させるよう設計されるので、バッテリおよび回路基板を重ねる設計は、同一平面上での同時設計となっている。結果的に、モバイル端末における複数の熱源コンポーネント(モバイル端末内の最大加熱コンポーネントであるCPU等)は、モバイル端末のサイドフレームおよび回路基板に対応する領域に密に集中している。
図1によると、熱が比較的集中する当該2つの領域の色は比較的明るく、温度は比較的高いことが理解できる。しかしながら、複数の熱源が集中する領域は、ユーザがモバイル端末の使用時に頻繁に触れる場所である。従って、モバイル端末で、より効果的な放熱処理が実行される必要がある。
【0003】
先行技術においては概して、グラファイトシートを使用することによって、または、より高い熱伝導率のホルダ材料を使用することによって、熱はバッテリ領域に伝達され、その結果、モバイル端末の回路基板のホルダに対する正射影領域の温度を低減する。
図2および
図3から、放熱設計はモバイル端末の回路基板に対応する領域の温度を低減するが、ホルダの高い熱伝導率により、熱はより迅速に、モバイル端末のサイドフレームに伝達され得ることがわかる。結果的に、熱源の多数はモバイル端末のサイドフレームに集中している(
図2でわかる通り、この領域の色は比較的明るく、これは、この領域の温度が比較的高いことを示す)。
【発明の概要】
【0004】
本発明の複数の実施形態は、モバイル端末のサイドフレームにおける熱を低減するようなホルダを提供する。
【0005】
一態様によると、モバイル端末に配置されるホルダが提供され、上記ホルダは、熱伝導領域および断熱領域を備え、上記断熱領域は上記ホルダの端部に近く、上記断熱領域は上記熱伝導領域に隣接し、上記モバイル端末における熱放出要素が上記熱伝導領域に近接している。
【0006】
第1の態様に関し、第1の可能な実装方式において、上記モバイル端末はサイドフレームを有し、上記サイドフレームは上記ホルダを囲み、上記断熱領域は上記熱放出要素を上記サイドフレームから分離する。
【0007】
第1の態様に関し、第2の可能な実装方式において、上記断熱領域には断熱キャビティが設けられ、上記断熱キャビティは真空であるか、または空気で充填されている。
【0008】
第1の態様に関し、第3の可能な実装方式において、上記断熱領域には断熱キャビティが設けられ、上記断熱キャビティは低熱伝導材料を有し、上記低熱伝導材料は、0〜0.026W/m・Kの熱伝導率の範囲を有する。
【0009】
第1の態様の第2の可能な実装方式または第1の態様の第3の可能な実装方式に関し、第4の可能な実装方式において、上記断熱キャビティは、少なくとも1つのストリップ形状の穴または少なくとも1つの楕円状の穴である。
【0010】
第1の態様の第2の可能な実装方式または第1の態様の第3の可能な実装方式に関し、第5の可能な実装方式において、上記断熱キャビティは、少なくとも1つの溝を有し、上記溝は上記断熱領域の端部に設けられている。
【0011】
第1の態様に関し、第6の可能な実装方式において、上記断熱キャビティの領域は、上記断熱領域の少なくとも50%の領域を占める。
【0012】
第1の態様に関し、第7の可能な実装方式において、上記断熱領域は、低熱伝導材料から形成され、上記低熱伝導材料は、0〜0.026W/m・Kの熱伝導率の範囲を有する。
【0013】
第1の態様に関し、第8の可能な実装方式において、上記ホルダの材料は、熱伝導材料である。
【0014】
第1の態様から第8の可能な実装方式のいずれかに関し、第9の可能な実装方式において、上記ホルダは、ディスプレイスクリーンホルダである。
【0015】
第2の態様によると、サイドフレームと、熱放出要素と、上記ホルダと、を備えるモバイル端末が提供され、上記サイドフレームは上記ホルダを囲む。
【0016】
本発明の複数の実施形態におけるホルダまたは当該ホルダを有するモバイル端末によると、断熱領域がホルダ上に設けられており、断熱領域はホルダの端部に配置され、熱伝導領域に隣接しているので、その結果、熱伝導領域における熱をサイドフレームに伝達する処理において、熱は断熱領域によって妨げられ、それにより、サイドフレームにおける熱を低減する。
【0017】
本発明の複数の実施形態における技術的な解決手段をより明確に記載すべく、以下に、実施形態の記載に必要な添付図面について簡潔に説明する。以下の説明において添付図面は、本発明のいくつかの実施形態を示すにすぎず、当業者であれば、創造的な取り組みなしに、これらの添付図面から他の複数の図面をさらに導き出せることは明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】先行技術におけるモバイル端末の前面および背面の赤外線温度分布の概略図である。
【
図2】先行技術におけるモバイル端末の前面および背面の赤外線温度分布の概略図である。
【0019】
【
図3】先行技術における別のモバイル端末の前面および背面の赤外線温度分布の概略図である。
【0020】
【
図4】本発明の実施形態1による、モバイル端末の概略図である。
【0021】
【0022】
【0023】
【
図7】本発明の実施形態2による、ホルダの概略図である。
【0024】
【
図8】
図7で提供される別のホルダの概略図である。
【0025】
【
図9】
図4のモバイル端末の温度分布の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下では、本発明の複数の実施形態における技術的な解決手段について、本発明の複数の実施形態における添付図面を参照して、明確にかつ完全に説明される。記載される複数の実施形態は、本発明の複数の実施形態のうちすべてではなく、一部にすぎないことは明らかである。本発明の複数の実施形態に基づいて、当業者によって創造的な取り組みなしに得られる他のすべての実施形態は、本発明の保護範囲に含まれるものとする。
【0027】
図4および
図5参照すると、本発明の第1の実施形態は、モバイル端末100を提供する。モバイル端末100は、サイドフレーム2、熱放出要素3、およびホルダ1を含む。ホルダ1はモバイル端末100に配置されており、ホルダ1は、熱伝導領域11および断熱領域12を含み、断熱領域12はホルダ1の端部の近くにあり、断熱領域12は熱伝導領域11に隣接しており、モバイル端末における熱放出要素3は、熱伝導領域11に近接しており、サイドフレーム2はホルダ1を囲む。
【0028】
本発明のこの実施形態において提供されるモバイル端末100によると、断熱領域12がホルダ1上に設けられており、断熱領域12はホルダ1の端部の近くにあり、熱伝導領域11に隣接しているので、その結果、熱伝導領域11における熱をサイドフレーム2に伝達する処理において、熱は断熱領域12によって妨げられ、それにより、サイドフレーム2における熱を低減する。
【0029】
断熱領域12は、サイドフレーム2と熱伝導領域11との間に配置されてよい。
【0030】
この実施形態において、モバイル端末100はスマートフォンである。もちろん、別の実施形態において、モバイル端末100はまたタブレットコンピュータであってもよい。
【0031】
この実施形態において、サイドフレーム2は、一対の長手端部Lおよび一対の短手端部Dを含む。ユーザがモバイル端末100を使用するとき、ユーザは概して、一対の長手端部Lを握る。熱放出要素3は、回路基板上に統合される。モバイル端末はシールド缶を含んでよく、シールド缶は、熱放出要素3によって生成される電磁場が外に拡散するのを防止し、かつ、電磁場が外部の電磁場から影響を受けるのを防止すべく、回路基板上の熱放出要素3を囲む。オプションで、0.2mmの厚みを有するステンレス鋼および0.2mmの厚みを有する銅‐ニッケル‐亜鉛の合金がシールド缶の材料として使用されてよい。シールド缶と熱放出要素3との間に熱伝導媒体が存在してよい。
【0032】
またシールド缶上に熱伝導媒体が存在してもよく、熱伝導媒体は熱伝導領域11に近接しており、熱放出要素3は熱伝導領域11に近接しているので、その結果、熱放出要素3によって生成される熱は、より迅速にホルダ1に伝達可能である。熱は、ホルダ1を使用することによって、モバイル端末100の外部に伝達されてよい。熱伝導媒体は、熱伝導性のシリカゲルであってよい。
【0033】
モバイル端末はシールド缶を有さなくてもよいことが理解可能である。ホルダ1はシールド缶の役割を果たしてよく、すなわち、熱放出要素3によって生成される電磁場が外に拡散されるのを防止し、電磁場が外部の電磁場から影響を受けるのを防止してよい。
【0034】
この実施形態において、熱放出要素3はサイドフレーム2の右側部の右長手端部L1に近く、熱伝導領域11は概して右長手端部L1近くに設けられる。熱伝導領域11は右長手端部L1に比較的近く、従って、熱は右長手端部L1に多く集中する。この状況を改善すべく、断熱領域12は右長手端部L1近くに設けられる。もちろん、別の実施形態において、実際のニーズにより、断熱領域12はまた、熱伝導領域11と短手端部Dとの間に設けられてもよく、または熱伝導領域11と他方の長手端部Lとの間に設けられてもよい。または断熱領域12は、熱伝導領域11と長手端部Lとの間および熱伝導領域11と短手端部Dとの間に別々に配置されてよい。
【0035】
さらなる改善のために、モバイル端末はサイドフレーム2を含み、サイドフレーム2はホルダ1を囲み、断熱領域12は熱放出要素3をサイドフレーム2から完全に分離してよい。断熱領域12は熱放出要素3をサイドフレーム2から完全に分離し、それによって、熱放出要素3から生成される熱がサイドフレーム2に伝達されるとき、熱は断熱領域12を通過でき、その結果、すべての熱を妨げ、断熱領域12の断熱効果を改善する。
【0036】
この実施形態において、断熱領域12の長手端部L方向に沿って対向して設けられた2つの端部はそれぞれ、熱伝導領域11の長手端部L方向に沿って対向して設けられた2つの端部を超える。長手端部L方向沿いの断熱領域のサイズは、長手端部L方向沿いの熱伝導領域11のサイズより大きい。従って、熱放出要素3が熱を放出するとき、熱は熱伝導領域11に伝達され、熱伝導領域11における熱がサイドフレームに伝達されるとき、熱は断熱領域12を通過し、その結果、断熱領域12は熱伝導領域11における熱を阻むことができる。もちろん、別の実施形態において、モバイル端末100は、熱伝導領域11におけるメインの熱分布に従い、さらに解析を実行し、その後、それに応じて、断熱領域12のサイズを設定してよい。すなわち、モバイル端末100の側部における受熱が実際に必要な状況を満足させ得る限り、ホルダ1の長さを延長した方向沿いの断熱領域12の長さは、ホルダ1沿いの熱伝導領域11の長さより必ずしも大きくなく、ホルダ1の長さを延長した方向沿いの断熱領域12の長さは、ホルダ1沿いの熱伝導領域11の長さより短いか、または等しくてよい。
【0037】
さらなる改善のために、
図5を参照すると、断熱領域12には断熱キャビティ121が設けられ、断熱キャビティ121は真空であるか、または空気5で充填されている。空気5の熱伝導率は、閉じられた小さな間隙においておよそ0.026W/m・Kであり、別の材料の熱伝導率よりはるかに小さい。例えば、プラスチックの熱伝導率は0.2W/m・Kより大きく、金属の熱伝導率は、10〜400W/m・Kの範囲内であり、ガラスの熱伝導率は、およそ2W/m・Kである。上記列挙した材料は概して、ホルダ1を製造するために使用される。比較的小さな熱伝導率を持つ媒体が、比較的大きな熱伝導率を持つ材料に導入される結果、ホルダ1における、比較的小さな熱伝導率を持つ媒体が導入された場所に熱抵抗が形成され、それにより、断熱領域12を形成する。真空は熱伝導性ではなく、またはキャビティ内の空気5は小さな熱伝導率を有するので、ホルダ1における、比較的小さな熱伝導率を持つ媒体が導入された場所に熱抵抗が形成され、その結果、断熱効果がより良好である。この実施形態において、断熱キャビティ121は空気5で充填される。概して、先行技術において、空気5はモバイル端末100に存在する。断熱キャビティ121が断熱効果を有することができるよう、断熱キャビティ121が空気5を有するようにすることは比較的簡単な方法であり、または断熱キャビティ121を真空にすべく、モバイル端末100の内部を真空環境に置かれるようにしてよい。もちろん、別の実施形態において、断熱キャビティ121はまた、別の態様で熱抵抗を形成してよい。例えば、断熱キャビティ121は低熱伝導材料を収容するよう構成され、低熱伝導材料は0〜0.026W/m・Kの熱伝導率の範囲を有する。別の実施形態において、断熱領域12は低低熱伝導材料から形成されてよく、低熱伝導材料は0〜0.026W/m・Kの熱伝導率の範囲を有する。断熱領域12は0〜0.26W/m・Kの熱伝導率の範囲を有する材料から形成され、熱伝導率が当該熱伝導率の範囲内にある材料の熱伝導率は、別の材料の熱伝導率よりはるかに小さい。例えば、金属は10〜400W/m・Kの熱伝導率を有し、ガラスはおよそ2W/m・Kの熱伝導率を有する。上記列挙した材料は概して、ホルダ1を製造するために使用される。比較的小さな熱伝導率を持つ媒体が、比較的大きな熱伝導率を持つ材料に導入される結果、ホルダ1における、比較的小さな熱伝導率を持つ媒体が導入された場所に熱抵抗が形成され、それにより、断熱領域12を形成する。
【0038】
さらなる改善のために、断熱キャビティ121は、少なくとも1つのストリップ形状の穴または少なくとも1つの楕円状の穴である。断熱領域12には、穴形状の断熱キャビティ121が設けられ、その結果、ホルダ1での処理は比較的簡易である。この実施形態において、断熱キャビティ121は少なくとも1つのストリップ形状の穴である。もちろん、別の実施形態において、断熱キャビティ121はまた、少なくとも1つの楕円状の穴または別の形状の穴であってよい。
【0039】
熱放出要素3は加熱チップであってよく、3つの断熱キャビティ121が存在し、それらはストリップ形状の穴である。当該穴は、5mmの長さを有し、1mmの幅を有し、当該穴の間の間隙は1mmより大きく、2mmより小さい。
【0040】
さらなる改善のために、断熱キャビティ121の領域は、断熱領域12の少なくとも50%の領域を占める。断熱キャビティ121は真空であるか、または空気5で充填され、その結果、断熱キャビティ121の熱伝導特性はさらに弱くなり、熱抵抗が形成される。従って、断熱キャビティ121のより大きな領域は、断熱領域12のより良好な断熱効果を示す。
【0041】
この実施形態において、ホルダ1の材料の一般的な強度を考慮すると、7つの断熱キャビティ121が存在し、それらはストリップ形状の穴である。当該複数のストリップ形状の穴の各々は、長手端部Lの方向に沿って5mmの寸法を有する(すなわち、当該複数のストリップ形状の穴の各々は、長手端部Lの方向に沿って5mmの長さを有する)。ストリップ形状の穴は、長手端部Lに対し、垂直な方向に沿って1mmの寸法を有する(すなわち、当該複数のストリップ形状の穴の各々は、短手端部の方向に沿って1mmの長さを有する)。2つの隣接するストリップ形状の穴の間の間隔は2mmである。断熱キャビティ121の領域は、断熱領域12のおよそ50%の領域を占める。
【0042】
図6を参照すると、ホルダ1の強度がより高い場合、断熱キャビティ121はまた、1つのストリップ形状の穴であってよい。すなわち、断熱キャビティ121の領域は、断熱領域12の100%の領域を占め、それにより、より良好な断熱効果を実現する。
【0043】
もちろん、第2の実施形態において、
図7に示される通り、断熱キャビティ221は少なくとも1つの溝221aを含み、溝221aは断熱領域22の端部に設けられている。溝221aの存在により、断熱領域22の端部に、内側歯状構造が形成される。ホルダ1の材料の強度を考慮して、断熱キャビティ221は7つの溝221aを含んでよい。溝221aの各々は、長手端部Lの方向に沿って5mmの寸法を有する(すなわち、溝221aの各々は、長手端部Lの方向に沿って5mmの長さを有する)。溝221aは、長手端部Lに対し、垂直な方向に沿って1.5mmの寸法を有する(すなわち、溝は、短手端部の方向に沿って1.5mmの長さを有する)。2つの隣接する溝221aの間の間隔は、2mmである。断熱キャビティ221の領域は、断熱領域22のおよそ50%の領域を占める。
【0044】
図8に示される通り、ホルダ1の強度がより高い場合、断熱キャビティ221はまた、1つの溝221aを含んでよい。すなわち、断熱キャビティ221の領域は、断熱領域22の100%の領域を占め、それにより、より良好な断熱効果を実現する。別の実施形態においては、実際のニーズにより、断熱キャビティ221はまた、同一ホルダ1上に穴形状および溝221aの形態で設けられてよい。
【0045】
図9を参照すると、ホルダ1に断熱キャビティ121が設けられた後の熱分布ステータスある。モバイル端末100における熱は、均等に分布されており、熱はモバイル端末100のサイドフレーム2に集中していない。
【0046】
さらなる改善のために、ホルダ1の材料は熱伝導材料である。熱放出要素3における熱は、ホルダ1の熱伝導性により迅速にホルダ1に伝達され、その後、熱はモバイル端末100の外部に伝達され、その結果、モバイル端末100での放熱処理はより効果的である。この実施形態において、ホルダ1の熱伝導特性を保証すべく、ホルダ1の材料はグラファイトであってよい。ホルダ1がディスプレイスクリーンと回路基板との間に配置される場合、回路基板における熱は、ホルダ1により迅速に伝達可能である。また、ホルダ1における熱は、ホルダ1の高い熱伝導率により、モバイル端末100の外部により迅速に伝達可能であり、その結果、モバイル端末100の放熱処理はより効果的である。もちろん、別の実施形態において、モバイル端末100の実際のニーズにより、ホルダ1の材料はまた、別の材料であってよい。例えば、モバイル端末100が放熱性能に関し、比較的高い要件を有しない場合、ホルダ1の材料はまた、比較的低熱伝導特性を持つ材料であってよい。
【0047】
モバイル端末100への装備が開始される場合、まず熱放出要素3が熱伝導領域11に近接して置かれる必要があり、シールド缶および熱伝導媒体は、熱放出要素3と熱伝導領域11との間に配置され、その結果、シールド効果および熱伝導効果を実装する。熱放出要素3が熱の生成を開始すると、熱は、ホルダ1の熱伝導性により、熱放出要素3からホルダ1へ伝達され、次に、ホルダ1は熱をモバイル端末100のサイドフレーム2に伝達する。熱伝導領域11における熱を側部に伝達する処理において、断熱領域12の存在により、断熱領域12において形成された熱抵抗によって、熱は妨げられ、その結果、側部における熱は比較的低く、それによって、モバイル端末100のハウジングのサイドフレーム2における熱が比較的低いことを保証する。
【0048】
ホルダ1はディスプレイスクリーンホルダである。
【0049】
本発明のこの実施形態において提供されるモバイル端末100によると、断熱領域12がホルダ1上に設けられており、断熱領域12はホルダ1の端部の近くにあり、熱伝導領域11に隣接しているので、その結果、熱伝導領域11における熱をサイドフレーム2に伝達する処理において、熱は断熱領域12によって妨げられ、それにより、サイドフレーム2における熱を低減する。
【0050】
また、断熱領域12は熱放出要素3をサイドフレーム2から完全に分離し、その結果、断熱領域12の断熱効果が改善される。断熱領域12には断熱キャビティ121が設けられ、断熱キャビティ121は真空であるか、または空気5で充填され、その結果、断熱領域12において断熱が比較的簡単に実装される。断熱領域12は、低熱伝導材料から形成され、低熱伝導材料は、0〜0.026W/m・Kの範囲の断熱性の熱伝導率の範囲を有し、その結果、断熱領域12の断熱効果はより良好である。断熱キャビティ121は、少なくとも1つのストリップ形状の穴または少なくとも1つの楕円状の穴であり、その結果、ホルダ1での処理は比較的簡易である。断熱キャビティ121は少なくとも1つの溝221を含み、溝221は断熱領域12の端部に設けられており、その結果、断熱キャビティ121のための様々な提供態様が存在する。断熱キャビティ121の領域は、断熱領域12の少なくとも50%の領域を占め、その結果、断熱領域12の断熱効果はより良好である。ホルダ1の材料は熱伝導材料であり、その結果、モバイル端末100での放熱処理はより効果的である。
【0051】
最後に、上記の複数の実施形態は、本発明の技術的な解決手段を説明するためのものにすぎず、本発明を限定するものではない点に留意されたい。本発明は、上記の複数の実施形態に関し詳細に記載されているが、当業者であれば、本発明の上記の複数の実施形態の技術的な解決手段に係る精神および範囲から逸脱することなく、上記の複数の実施形態において記載された技術的な解決手段に修正を加えることができ、またはそれらの一部の技術的特徴に対し均等な置き換えをなすことができることを当業者は理解されたい。