(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1高周波磁場内に配置された被加熱物を誘導加熱させる火力に応じて、前記第1インバータ回路の駆動を制御し、前記受電コイルへ送電する電力に応じて、前記第2インバータ回路の駆動を制御する制御装置を備えた
請求項1〜5の何れか一項に記載の加熱調理システム。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
(構成)
図1は、実施の形態1に係る加熱調理システムにおける誘導加熱調理器を示す分解斜視図である。
図1に示すように、誘導加熱調理器100の上部には、鍋などの被加熱物5や、調理装置200などの負荷が載置される天板4を有している。
図1では負荷として被加熱物5が載置された例について説明する。天板4には、被加熱物5を誘導加熱するための加熱口として、第1の加熱口1、第2の加熱口2、第3の加熱口3とを備え、各加熱口に対応して、第1の加熱手段11、第2の加熱手段12、第3の加熱手段13を備えており、それぞれの加熱口に対して被加熱物5を載置して誘導加熱を行うことができるものである。
本実施の形態1では、本体の手前側に左右に並べて第1の加熱手段11と第2の加熱手段12が設けられ、本体の奥側ほぼ中央に第3の加熱手段13が設けられている。
なお、各加熱口の配置はこれに限るものではない。例えば、3つの加熱口を略直線状に横に並べて配置しても良い。また、第1の加熱手段11の中心と第2の加熱手段12の中心との奥行き方向の位置が異なるように配置しても良い。
【0010】
天板4は、全体が耐熱強化ガラスや結晶化ガラス等の赤外線を透過する材料で構成されており、誘導加熱調理器100の上面開口外周との間にゴム製パッキンやシール材を介して水密状態に固定される。天板4には、第1の加熱手段11、第2の加熱手段12、及び第3の加熱手段13の加熱範囲(加熱口)に対応して、鍋の大まかな載置位置を示す円形の鍋位置表示が、塗料の塗布や印刷等により形成されている。
【0011】
天板4の手前側には、第1の加熱手段11、第2の加熱手段12、及び第3の加熱手段13で被加熱物5を加熱する際の投入火力(投入電力)や調理メニュー(湯沸しモード、揚げ物モード、調理装置調理モード等)を設定するための入力装置として、操作部40a、操作部40b、及び操作部40c(以下、操作部40と総称する場合がある)が設けられている。また、操作部40の近傍には、報知手段42として、誘導加熱調理器100の動作状態や操作部40からの入力・操作内容等を表示する表示部41a、表示部41b、及び表示部41cが設けられている。
【0012】
なお、操作部40a〜40cと表示部41a〜41cは加熱口毎に設けられている場合や、加熱口を一括して操作部40と表示部41を設ける場合など、特に限定するものではない。なお、操作部40a〜40cは、例えばプッシュスイッチやタクトスイッチなどの機械的なスイッチや、電極の静電容量の変化により入力操作を検知するタッチスイッチなどにより構成されている。また、表示部41a〜41cは、例えばLCD(Liquid Crystal Device)やLED等で構成されている。
なお、以下の説明においては、操作部40と表示部41とを一体に構成した表示操作部43を設ける場合について説明する。表示操作部43は、例えば、LCDの上面にタッチスイッチを配置したタッチパネルなどによって構成される。
【0013】
天板4の下方であって誘導加熱調理器100の内部には、第1の加熱手段11、第2の加熱手段12、及び第3の加熱手段13を備えており、各々の加熱手段はコイルで構成されている。
なお、第1の加熱手段11、第2の加熱手段12、及び第3の加熱手段13の少なくとも一つを、例えば輻射によって加熱するタイプの電気ヒータ(例えばニクロム線やハロゲンヒータ、ラジェントヒータ)で構成しても良い。
【0014】
コイルは、絶縁皮膜された任意の金属(例えば銅、アルミなど)からなる導電線を巻き付けることにより構成される。駆動回路50により高周波電流が各コイルに供給されることで、各コイルからは高周波磁界が発生される。
【0015】
誘導加熱調理器100の内部には、第1の加熱手段11、第2の加熱手段12、及び第3の加熱手段13のコイルに高周波電力を供給する駆動回路50と、駆動回路50を含め誘導加熱調理器全体の動作を制御するための制御部45とが設けられている。
【0016】
図2は、実施の形態1に係る誘導加熱調理器の第1の加熱手段を示す図である。
図2において、第1の加熱手段11は、中央に配置された内周コイル11aと、内周コイル11aの周囲に配置された外周コイル11b、11cとで構成されている。第1の加熱手段11の外周は、第1の加熱口1に対応した略円形状である。
【0017】
内周コイル11aは、略同心円状に配置された内周内コイル111aと内周外コイル112aとから構成されている。内周内コイル111a及び内周外コイル112aは、円形の平面形状を有し、絶縁被膜された任意の金属(例えば銅、アルミなど)からなる導電線が円周方向に巻回されることにより構成されている。内周内コイル111a及び内周外コイル112aは、直列に接続されて一つの駆動回路50により駆動制御される。なお、内周内コイル111a及び内周外コイル112aを並列接続してもよく、また、それぞれ独立した駆動回路(インバータ回路)を用いて駆動してもよい。
【0018】
外周コイル11bは、外周左コイル111bと外周右コイル112bとから構成されている。外周コイル11cは、外周上コイル111cと外周下コイル112cとから構成されている。外周左コイル111bと外周右コイル112bは、直列に接続されて一つの駆動回路50により駆動制御される。また、外周上コイル111cと外周下コイル112cは、直列に接続されて一つの駆動回路50により駆動制御される。
【0019】
外周左コイル111b、外周右コイル112b、外周上コイル111c、及び外周下コイル112c(以下「外周コイル」とも言う)は、内周コイル11aの円形の外形にほぼ沿うようにして、内周コイル11aの周辺に配置されている。
4つの外周コイルは、略1/4円弧状(バナナ状または胡瓜状)の平面形状を有しており、絶縁皮膜された任意の金属(例えば銅、アルミなど)からなる導電線を外周コイルの1/4円弧状の形状に沿って巻きつけることで構成される。すなわち、外周コイルは、内周コイル11aに隣接する1/4円弧状領域において、内周コイル11aの円形の平面形状に実質的に沿って延びるように構成されている。なお、外周コイルの数は4つに限定されるものではない。また、外周コイルの形状もこれに限るものではなく、例えば円形の外周コイルを複数用いた構成でもよい。
【0020】
図3は、実施の形態1に係る誘導加熱調理器の第1の加熱手段の駆動回路を示すブロック図である。
図3に示すように、第1の加熱手段11は、駆動回路50a、50b、50cにより駆動制御される。即ち、内周コイル11aを構成する内周内コイル111aと内周外コイル112aは、駆動回路50aにより駆動制御される。また、外周コイル11bを構成する外周左コイル111bと外周右コイル112bは、駆動回路50bにより駆動制御される。また、外周コイル11cを構成する外周上コイル111cと外周下コイル112cは、駆動回路50cにより駆動制御される。
【0021】
駆動回路50a、50b、50cには、一つの交流電源供給部21aから交流電源(商用電源)21が供給される。すなわち、誘導加熱調理器100への交流電源21の供給は、一つの交流電源供給部21aのみで構成されている。交流電源供給部21aは、交流電源21が給電されたアウトレットに接続される電源プラグによって構成される。なお、交流電源供給部21aの構成はこれに限るものではなく、例えば、交流電源21が給電された電源ケーブルに接続される接続端子によって構成しても良い。なお、接続端子としては例えば丸形端子などを使用し、電源ケーブルの端部を丸形端子に配置してネジ止めで固定する方式を用いても良い。
【0022】
なお、
図3では、第1の加熱手段11を駆動する駆動回路50a、50b、50cが、一つの交流電源供給部21aを介して交流電源21が供給される場合を示しているが、本発明はこれに限定されない。第1の加熱手段11、第2の加熱手段12、及び第3の加熱手段13を駆動する全ての駆動回路が、一つの交流電源供給部21aを介して交流電源21が供給される構成としても良い。
【0023】
制御部45は、マイコン又はDSP(デジタルシグナルプロセッサ)等で構成される。制御部45は、表示操作部43からの操作内容等に基づいて、駆動回路50a、50b、50cをそれぞれ制御する。また、制御部45は、動作状態などに応じて、表示操作部43への表示を行う。
【0024】
図4は、実施の形態1に係る誘導加熱調理器の駆動回路を示す図である。
なお、駆動回路50は加熱手段毎に設けられているが、その回路構成は同一であっても良いし、加熱手段毎に変更しても良い。
図4では内周コイル11aを駆動する駆動回路50aについて図示する。
【0025】
図4に示すように、駆動回路50aは、直流電源回路22と、インバータ回路23と、共振コンデンサ24aとを備える。
入力電流検出手段25aは、例えば電流センサで構成され、交流電源21から直流電源回路22へ入力される電流を検出し、入力電流値に相当する電圧信号を制御部45へ出力する。
【0026】
直流電源回路22は、ダイオードブリッジ22a、リアクタ22b、平滑コンデンサ22cを備え、交流電源21から入力される交流電圧を直流電圧に変換して、インバータ回路23へ出力する。
【0027】
インバータ回路23は、スイッチング素子としてのIGBT23a、23bが直流電源回路22の出力に直列に接続された、いわゆるハーフブリッジ型のインバータであり、フライホイールダイオードとしてダイオード23c、23dがそれぞれIGBT23a、23bと並列に接続されている。IGBT23aとIGBT23bは、制御部45から出力される駆動信号によりオンオフ駆動される。制御部45は、IGBT23aをオンさせている間はIGBT23bをオフ状態にし、IGBT23aをオフさせている間はIGBT23bをオン状態にし、交互にオンオフする駆動信号を出力する。これにより、インバータ回路23は、直流電源回路22から出力される直流電力を20kHz〜100kHz程度の高周波の交流電力に変換して、内周コイル11aと共振コンデンサ24aからなる共振回路に電力を供給する。
【0028】
共振コンデンサ24aは内周コイル11aに直列接続されており、この共振回路は内周コイル11aのインダクタンス及び共振コンデンサ24aの容量等に応じた共振周波数を有する。なお、内周コイル11aのインダクタンスは被加熱物5(金属負荷)が磁気結合した際に金属負荷の特性に応じて変化し、このインダクタンスの変化に応じて共振回路の共振周波数が変化する。
【0029】
このように構成することで、内周コイル11aには数十A程度の高周波電流が流れ、流れる高周波電流により発生する高周波磁束によって内周コイル11aの直上の天板4上に載置された被加熱物5を誘導加熱する。スイッチング素子であるIGBT23a、23bは、例えばシリコン系からなる半導体で構成されているが、炭化珪素、あるいは窒化ガリウム系材料などのワイドバンドギャップ半導体を用いた構成でも良い。
【0030】
スイッチング素子にワイドバンドギャップ半導体を用いることで、スイッチング素子の通電損失を減らすことができ、またスイッチング周波数(駆動周波数)を高周波(高速)にしても駆動回路の放熱が良好であるため、駆動回路の放熱フィンを小型にすることができ、駆動回路の小型化および低コスト化を実現することができる。
【0031】
コイル電流検出手段25bは、内周コイル11aと共振コンデンサ24aとからなる共振回路に接続されている。コイル電流検出手段25bは、例えば、電流センサで構成され、内周コイル11aに流れる電流を検出し、コイル電流値に相当する電圧信号を制御部45に出力する。
【0032】
なお、
図4では内周コイル11aを駆動する駆動回路50aについて説明したが、外周コイル11bを駆動する駆動回路50b、外周コイル11cを駆動する駆動回路50cについても同様の構成を適用することができる。なお、駆動回路50a、50b、50cは、交流電源21に対して並列に接続されても良い。
【0033】
図5は、実施の形態1に係る加熱調理システムにおける誘導加熱調理器と調理装置の構成を示す模式図である。
図5において、加熱調理システムは誘導加熱調理器100と調理装置200とを備えている。なお、
図5においては、誘導加熱調理器100の天板4の上に調理装置200が載置されている状態を示している。また、
図5では、第1の加熱手段11の上に調理装置200が載置されている状態において、誘導加熱調理器100及び調理装置200を前面側から見た縦断面を模式的に示している。
【0034】
図5において、誘導加熱調理器100の天板4の下に、内周コイル11a、及び外周コイル11b(外周左コイル111b、外周右コイル112b)が配置されている。なお、
図5では、外周コイル11cを構成する外周上コイル111c、外周下コイル112cの図示を省略している。なお、
図5において、内周コイル11aと磁性体60aとの周囲に示す矢印、および、外周左コイル111b、外周右コイル112bと受電コイル65との周囲に示す矢印は磁束線を示している。
【0035】
誘導加熱調理器100には、調理装置200と通信を行う一次送受信部30aが設けられている。一次送受信部30aは、例えば、Wi−Fi(商標登録)、Bluetooth(登録商標)、赤外線通信、NFC(近距離無線通信)など、任意の通信規格に適合した無線通信インターフェースによって構成される。一次送受信部30aは、調理装置200の二次送受信部30bと双方向で情報通信する。
【0036】
調理装置200は、例えば魚などの被調理物70を調理する機器である。調理装置200は、誘導加熱調理器100に着脱自在に支持される。例えば、調理装置200は、誘導加熱調理器100の天板4の上に載置される。調理装置200は、筐体の内部に被調理物70が収納される加熱室210が形成されている。調理装置200は、磁性体60aと、調理台60bと、上面ヒータ61と、温度センサ62と、受電コイル65と、二次送受信部30bを備えている。
【0037】
磁性体60aは、例えば鉄などの磁性材料により形成され、調理装置200の底面に配置されている。この磁性体60aは、誘導加熱調理器100内部の内周コイル11aが発生する高周波磁場内に配置された際に誘導加熱される。
調理台60bは、例えば上面が波型の凹凸を有しており、上面には例えば魚などの被調理物70が載置される。調理台60bは、例えば磁性体60aの上面に接触して配置され、被調理物70が載置される。調理台60bは、例えばアルミなどの非磁性の金属によって構成され、磁性体60aと熱的に結合(接合)する。なお、調理台60bの位置は、磁性体60aからの熱が伝わる位置に配置されていれば良く、磁性体60aの上面のみに限定されない。
なお、磁性体60a及び調理台60bに代えて、誘導加熱される被加熱物である調理皿や鍋などを加熱室210に着脱自在に収納する構成でも良い。
また、磁性体60a及び調理台60bの両方を例えば鉄などの磁性材料により構成しても良いし、磁性材料で一体構造としても良い。
【0038】
受電コイル65は、調理装置200の底面に配置されている。受電コイル65は、絶縁被膜された任意の金属(例えば銅、アルミなど)からなる導電線が周方向に巻回されることにより構成されている。この受電コイル65は、誘導加熱調理器100内部の外周コイル11bが発生する高周波磁場内に配置された際、電磁誘導又は磁界共鳴により電力を受電する。
【0039】
上面ヒータ61は、配線61aによって受電コイル65と接続されている。上面ヒータ61は、受電コイル65が受電した電力によって発熱(駆動)する発熱体によって構成される。上面ヒータ61は、例えば、抵抗発熱体であるシーズヒータを用いている。なお、上面ヒータ61は、具体的構成はこれに限らず、ハロゲンヒータや遠赤外線ヒータなど任意の発熱体を用いることができる。
【0040】
温度センサ62は、加熱室210内に配置され、加熱室210内の温度を検知する。温度センサ62としては、例えば白金測温抵抗体、サーミスタ、熱電対等が用いられる。必要に応じて複数の温度センサ62を設けてもよい。また温度センサ62の配置は加熱室210の壁面に限らず必要に応じて天面や底面、調理台60bに設けてもよい。また、被調理物70から放射される赤外線量を検知して被調理物70の表面温度を検知する非接触式の温度センサ62を備えてもよい。
【0041】
二次送受信部30bは、一次送受信部30aの通信規格に適合した無線通信インターフェースによって構成される。二次送受信部30bは、誘導加熱調理器100の一次送受信部30aと双方向で情報を通信する。二次送受信部30bは、温度センサ62が検知した温度の情報や調理装置200に固有に付加された情報、調理装置200の機器の種類を示す情報、または調理装置200の機器仕様に関する情報などを一次送受信部30aへ送信する。
【0042】
なお、調理装置200の加熱室210を構成する壁面の一部が開放された構成でも良い。例えば、調理装置200の外郭を両側面と上面のみで構成し、調理装置200の前面、背面、底面とが開放した構成でも良い。この場合、調理装置200の両側面及び上面と、誘導加熱調理器100の天板4とで囲まれた空間が加熱室210を構成する。
【0043】
調理装置200の磁性体60a及び受電コイル65は、誘導加熱調理器100の天板4の下に配置されたコイルに対応する位置に配置されている。
例えば、磁性体60aと受電コイル65との位置関係は、第1の加熱手段11の内周コイル11aと外周コイル11b、11cとの位置関係と対応する位置に配置されている。一例を
図6により説明する。
【0044】
図6は、実施の形態1に係る加熱調理システムの調理装置の構成を模式的に示す上面図である。
図6に示すように、調理装置200には、例えば円形の調理台60bの下方に、磁性体60aと受電コイル65とが配置されている。
磁性体60aは、誘導加熱調理器100の内周コイル11aの外径とほぼ同一の外径を持つ円盤状に形成されている。すなわち、調理装置200を誘導加熱調理器100の天板4に載置した状態において、調理装置200の磁性体60aは誘導加熱調理器100の内周コイル11aと上下方向において重なるように配置される。また、磁性体60aは、外周コイル11b、11cには上下方向において重ならない形状である。
【0045】
受電コイル65は、誘導加熱調理器100の外周コイル11b、11cに対応して、磁性体60aの周辺に4つ設けられている。4つの受電コイル65は、誘導加熱調理器100の外周コイル11b、11cの形状とほぼ同一の形状を有している。即ち、4つの受電コイル65は、略1/4円弧状(バナナ状または胡瓜状)の平面形状を有しており、絶縁皮膜された任意の金属(例えば銅、アルミなど)からなる導電線を受電コイル65の1/4円弧状の形状に沿って巻きつけることで構成される。
【0046】
なお、調理装置200の受電コイル65は、誘導加熱調理器100の内周コイル11aとは上下方向において重ならず、外周コイル11b、11cのみに重なるように配置することが望ましい。
なお、受電コイル65の位置は、磁性体60aを内周コイル11aの上方に配置した際に、外周コイル11b、11cの少なくとも一部の上方に配置される位置であればよく、
図6に示す位置に限定されない。また、受電コイル65の数もこれに限定されず、少なくとも1つであれば良い。また、1つの外周コイルに対して複数の受電コイル65を設ける構成であっても良い。
【0047】
このような構成により、調理装置200が誘導加熱調理器100の天板4に載置されると、磁性体60aと内周コイル11aとが上下方向において重なるように配置される。そして、駆動回路50aから内周コイル11aへ高周波電流が供給されると、内周コイル11aから発生した高周波磁束(高周波磁場)によって、磁性体60aが誘導加熱される。磁性体60aで発生した熱は、熱的に結合した調理台60bへ熱伝導される。これにより、調理台60bに載置された被調理物70が下方から加熱調理される。
【0048】
また、調理装置200が誘導加熱調理器100の天板4に載置されると、受電コイル65と外周コイル11b、11cとが上下方向において重なるように配置される。そして、駆動回路50b、50cから外周コイル11b、11cへ高周波電流が供給されると、外周コイル11b、11cから高周波磁束(高周波磁場)が発生する。外周コイル11b、11cから高周波磁束(高周波磁場)が発生すると、調理装置200の受電コイル65には電磁誘導による電力(起電力)が発生する。そして、受電コイル65に発生した電力は、上面ヒータ61に供給される。これにより、上面ヒータ61は発熱し、調理台60bに載置された被調理物70が熱輻射により上方から加熱調理される。
【0049】
このように、誘導加熱調理器100の内周コイル11aは、調理装置200の磁性体60aを誘導加熱するための誘導加熱コイルとして使用される。また、誘導加熱調理器100の外周コイル11b、11cは、調理装置200の上面ヒータ61に非接触電力伝送を行うための給電コイルとして用いられる。
すなわち、一つの被調理物70に対して、誘導加熱による加熱調理と、非接触電力伝送によって受電した電力による加熱調理とが同時に行われる。
【0050】
なお、駆動回路50aから内周コイル11aへ供給される高周波電流は、本発明における「第1高周波電流」に相当する。
また、内周コイル11aから発生された高周波磁束(高周波磁場)は、本発明における「第1高周波磁場」に相当する。
なお、駆動回路50b、50cから外周コイル11b、11cへ供給される高周波電流は、本発明における「第2高周波電流」に相当する。
また、外周コイル11b、11cから発生された高周波磁束(高周波磁場)は、本発明における「第2高周波磁場」に相当する。
【0051】
なお、
図5、
図6において図示はしていないが、誘導加熱調理器100の内周コイル11aと外周コイル11b、11cの下面に、磁性体としてフェライトを設けるのが望ましい。また、調理装置200の受電コイル65の上面にも同様にフェライトを設けるのが望ましい。
外周コイル11b、11cを給電コイルとして使用する場合、フェライトを設けることで高周波磁束が鎖交しやすくなり、漏れ磁束が低減する。これにより、高周波電力をより有効的に受電コイル65に給電することができ、給電変換効率が高く、損失を少なくすることができる。
【0052】
更に、内周コイル11aの下面のフェライトと、外周コイル11b、11cの下面のフェライトをそれぞれ個別に設けることで、内周コイル11aからの高周波磁束と、外周コイル11b、11cからの高周波磁束との干渉が小さくなる。このため、外周コイル11b、11cを給電コイルとして使用した場合の非接触電力伝送における損失が低減し、より電力伝送効率を向上することができる。
【0053】
なお、内周コイル11aは、本発明の「第1コイル」に相当する。
また、駆動回路50aのインバータ回路23は、本発明の「第1インバータ回路」に相当し、また駆動回路50aの直流電源回路22を含んでも良い。
また、外周コイル11b、11cは、本発明の「第2コイル」に相当する。
また、駆動回路50b、50cのインバータ回路23は、本発明の「第2インバータ回路」に相当し、また駆動回路50b、50cの直流電源回路22を含んでも良い。
また、磁性体60aは、本発明の「被加熱物」に相当する。
また、上面ヒータ61は、本発明の「調理手段」に相当する。
また、制御部45は、本発明の「制御装置」に相当する。
【0054】
(動作)
次に、本実施の形態1における誘導加熱調理器の動作について説明する。
【0055】
使用者は、調理装置200の内部の調理台60bの上に、例えば魚などの被調理物70を載置する。使用者は、調理装置200を、誘導加熱調理器100の天板4の加熱口に載置する。以下の説明では、第1の加熱口1(第1の加熱手段11)に調理装置200が載置された場合を説明する。
【0056】
使用者により、調理開始(火力投入)の指示が表示操作部43にて行われる。なお、表示操作部43は、調理装置200を動作させる専用モード(メニュー)が組み込まれており、専用モードを選択することで簡単に調理することができる。
【0057】
調理開始の指示が行われると、誘導加熱調理器100の制御部45は、誘導加熱させる火力に応じて駆動回路50aを制御して、内周コイル11aに高周波電力を供給する加熱動作を行う。これにより、調理装置200の調理台60bの下面に配置された磁性体60aが誘導加熱される。そして、誘導加熱による磁性体60aの発熱は非磁性の調理台60bに熱伝達され、調理台60bの上面に置かれた被調理物70を下面から直接加熱する。
【0058】
同時に、誘導加熱調理器100の制御部45は、受電コイル65へ送電する電力に応じて駆動回路50b、50cをそれぞれ制御して、外周コイル11b、11cに高周波電力を供給する非接触電力伝送動作を行う。これにより、外周コイル11b、11cから供給された高周波電力は、調理装置200の下面に配置された受電コイル65により受電される。受電された電力は、上面ヒータ61へ供給され、上面ヒータ61は発熱する。そして、上面ヒータ61は、調理台60bの上面に置かれた被調理物70を上面から熱輻射により加熱する。
なお、調理装置200の定格電力は、例えば1500Wである。この場合、制御部45は、受電コイル65が受電する電力が定格電力(1500W)以下となるように、駆動回路50b、50cの駆動を制御する。
【0059】
上記のような加熱動作中において、制御部45は、温度センサ62の検知温度に応じて駆動回路50a、50b、50cを制御しても良い。
例えば、制御部45は、一次送受信部30aを介して、調理装置200の温度センサ62の検知温度の情報を取得する。そして、制御部45は、表示操作部43にて設定された設定温度または調理メニューにより予め設定された温度などに応じて、調理装置200の加熱室210内の温度が所望の温度となるように、駆動回路50a、50b、50cの駆動を制御して、磁性体60a及び上面ヒータ61の発熱量(火力)を制御する。
【0060】
なお、温度センサ62を加熱室210内の上下方向に複数設けても良い。この場合、制御部45は、下側に設けられた温度センサ62の検知温度に応じて、磁性体60aを誘導加熱する火力(内周コイル11aへの供給電力)を制御する。また、制御部45は、上側に設けられた温度センサ62の検知温度に応じて、上面ヒータ61の火力(外周コイル11b、11cへの供給電力)を制御する。
【0061】
以上のように本実施の形態1においては、誘導加熱調理器100は、内周コイル11aに高周波電流を供給する駆動回路50aと、駆動回路50aとは別に設けられ、外周コイル11b、11cに高周波電流を供給する駆動回路50b、50cとを備えている。また、調理装置200は、外周コイル11b、11cから電力を受電する受電コイル65と、受電コイル65が受電した電力によって発熱する上面ヒータ61とを備えている。
このため、誘導加熱による調理と非接触電力伝送による調理とを同時に行うことができる。また、誘導加熱による調理と非接触電力伝送による調理とを個別に制御することができる。したがって、短時間で美味しく調理することが可能な誘導加熱調理器を得ることができる。
即ち、個別に設けられた駆動回路50aと駆動回路50b、50cによって、上面ヒータ61による上面加熱と、磁性体60aからの熱による下面加熱とを個別制御することができるため、短時間で美味しく調理することが可能な誘導加熱調理器を得ることができる。
【0062】
また、調理装置200の加熱室210内の温度を検知する温度センサ62と、検知された温度の情報を送信する二次送受信部30bとを設けている。制御部45は、一次送受信部30aを介して温度センサ62が検知した温度の情報を取得する。そして、制御部45は、温度センサ62が検知した温度に応じて、駆動回路50aと駆動回路50b、50cの駆動をそれぞれ制御する。
このため、制御部45は、温度センサ62の検知温度に応じて、誘導加熱による加熱と非接触電力伝送による加熱とを個別に制御することができる。よって、調理装置200の内部温度や調理皿の温度をきめ細かく制御することができ、失敗が少なく簡単に調理することができる。
【0063】
また本実施の形態1においては、交流電源21に接続される交流電源供給部21aを備え、複数の駆動回路は、一つの交流電源供給部21aを介して交流電源21が供給される。このため、誘導加熱調理器100を設置する際の施工性を改善することができる。
【0064】
なお、本実施の形態1においては、外周コイル11b、11cが4つのコイルについて説明したが、コイルの個数はこの限りではない。また4つのコイルに対して、2つの駆動回路50で駆動しているが、コイルと駆動回路(インバータ回路)の組合せは特に限定せず、4つのコイルをそれぞれ個別に駆動しても同様の効果を奏する。
【0065】
また、本実施の形態1においては、第1の加熱手段11が、内周コイル11aとその周辺に配置された外周コイル11b、11cと備えた場合を説明したが、本発明はこれに限定されない。調理装置200の磁性体60aを誘導加熱するコイルと、受電コイル65へ電力を伝送するコイルとをそれぞれ別個の駆動回路50(インバータ回路)によって駆動すれば良い。
【0066】
また、本実施の形態1においては、誘導加熱調理器100の天板4の上に調理装置200を載置する場合について説明したが、鍋などの被加熱物5を載置して内周コイル11aおよび外周コイル11b、11cを誘導加熱コイルとして使用することで、加熱口の全面を誘導加熱することもできる。このように加熱口の全面を誘導加熱することで、誘導加熱部の面積を増やすことが可能であり、大きな鍋を使用した場合でも十分な加熱を実現できる誘導加熱調理器を得ることができる。
【0067】
更に、鍋などの被加熱物5を載置して誘導加熱する場合、内周コイル11aと外周コイル11b、11cの投入電力を個別制御することが可能である。このため、内周コイル11aと外周コイル11b、11cへの通電を順次切り替えて、誘導加熱部位を切り替えることができる。このような制御により、煮物調理時に対流煮込みを実現することができ、美味しく調理することが可能な誘導加熱調理器を得ることができる。
【0068】
なお、本実施の形態1においては、誘導加熱調理器100と調理装置200とを備えた加熱調理システムについて説明したが、本発明はこれに限らず、調理装置200の各構成の全てを誘導加熱調理器100が備え、調理装置200を省略しても良い。また、調理装置200の構成の一部を誘導加熱調理器100が備えても良い。
【0069】
(変形例1)
受電コイル65が受電した電力によって駆動される調理手段の変形例について説明する。
図7は、実施の形態1に係る加熱調理システムにおける調理装置の変形例を示す模式図である。
図7に示す調理装置200は、受電コイル65が受電した電力によって駆動される調理手段として、攪拌装置80を備えている。攪拌装置80は、モータ81と、シャフト82と、羽根部83とを備えている。モータ81は、例えば調理装置200の筐体の上部に設けられ、受電コイル65が受電した電力によって回転駆動する。シャフト82は、回転軸が上下方向に配置され、一端がモータ81に接続されてモータ81の駆動力を伝達する。羽根部83は、シャフト82に取り付けられ、シャフト82の回転駆動によって被調理物70を攪拌する。
【0070】
また、
図7に示す調理装置200は、外郭を構成する筐体のうち底面の少なくとも一部が開放されている。例えば、調理装置200の筐体の底面は、少なくとも、誘導加熱調理器100の内周コイル11aと上下方向において重なる範囲において底面が開放されている。
【0071】
このような構成において、例えばシチューや炒め物などの被調理物70が投入された鍋やフライパンなどの被加熱物5が、内周コイル11aと上下方向に重なるように天板4に載置されると、攪拌装置80の羽根部83が被加熱物5内に配置される。そして、駆動回路50aから内周コイル11aへ高周波電流が供給されると、内周コイル11aから発生した高周波磁束(高周波磁場)によって、被加熱物5が誘導加熱される。これにより、被加熱物5内の被調理物70が下方から加熱調理される。
【0072】
また、駆動回路50b、50cから外周コイル11b、11cへ高周波電流が供給されると、外周コイル11b、11cから高周波磁束(高周波磁場)が発生する。外周コイル11b、11cから高周波磁束(高周波磁場)が発生すると、調理装置200の受電コイル65には電磁誘導による電力(起電力)が発生する。そして、受電コイル65に発生した電力が攪拌装置80に供給されるとモータ81が駆動し、シャフト82を介して羽根部83が回転駆動する。これにより、被加熱物5内の被調理物70が攪拌調理される。
【0073】
以上の構成により、誘導加熱による加熱調理と非接触電力伝送による攪拌調理とを同時に行うことができる。また、誘導加熱による加熱調理と非接触電力伝送による攪拌調理とを個別に制御することができる。したがって、短時間で美味しく調理することが可能な誘導加熱調理器を得ることができる。
【0074】
なお、本変形例1の構成において、受電コイル65は、外周コイル11b及び外周コイル11cの一部のみに対応して設ける構成としても良い。例えば、外周左コイル111b、外周右コイル112b、外周上コイル111c、外周下コイル112cのうち、少なくとも1つのコイルに対応する受電コイル65のみを備える構成としても良い。この場合、受電コイル65に対応するコイル以外のコイルについては、被加熱物5を誘導加熱するコイルとして動作させても良い。
【0075】
なお、天板4に形成する加熱口の表示に加え又は代えて、被加熱物5の載置位置を示す位置表示と受電コイル65の載置位置を示す位置表示とを、塗料の塗布や印刷等により形成しても良い。
【0076】
なお、本変形例1では、受電コイル65が受電した電力によって攪拌装置80を駆動する場合を説明したが、調理手段の構成はこれに限定されない。
受電コイル65が受電した電力によって駆動される調理手段として、例えば、ペルチェ素子を有する冷却装置を備えても良い。これにより、誘導加熱による加熱調理と、非接触電力伝送による冷却調理とを同時又は順次行うことができる。よって、被加熱物5及び被調理物70に与える温度範囲を広範囲に調整できる幅広い調理を行うことができる。
【0077】
また、受電コイル65が受電した電力によって駆動される調理手段として、例えば、被加熱物5上の被調理物70を上下に反転させる装置を備えても良い。これにより、被調理物70の上下の両面を被加熱物5と接触させることができる。よって、例えば被加熱物5と被調理物70とが接触することで生じる焦げ目などを、被調理物70の両面に付けることができる。
【0078】
(変形例2)
次に、駆動回路50の別の構成例について説明する。
図8は、実施の形態1に係る誘導加熱調理器の別の駆動回路を示す図である。
図8に示す駆動回路50aは、
図4のインバータ回路23に対して、スイッチング素子としてのIGBT232a、232bと、フライホイールダイオードとしてダイオード232c、232dが追加接続された、いわゆるフルブリッジ型のインバータで構成されている。なお、その他の構成は
図4と同様であり、同一部分には同一の符号を付する。
【0079】
制御部45は、インバータ回路23の各スイッチング素子(IGBT231a、231b、232a、232b)を駆動する駆動信号を出力し、上述した動作と同様に、内周コイル11aへ入力される電力が、加熱動作において設定された電力となるように制御する。このような構成においても、同様の効果を得ることができる。
【0080】
なお、
図8の例では、内周コイル11aを駆動する駆動回路50aの例を示したが、これに限らず、他の駆動回路にも適用することができる。
【0081】
(変形例3)
更に、駆動回路50の別の構成例について説明する。
図9は、実施の形態1に係る誘導加熱調理器の別の駆動回路を示す図である。
図9に示す例では、外周コイル11bを駆動する駆動回路50bと、外周コイル11cを駆動する駆動回路50cとをフルブリッジ型のインバータ回路で構成し、且つ、フルブリッジを構成するアームの一つを共通アームとする構成である。
図9に示すように、駆動回路50b、50cは、
図8と同様にフルブリッジ型のインバータで構成されている。2つのIBGT234aと234bからなるアームを共通アームとして使用し、IGBT233a、233bと共通アームで外周コイル11b(給電コイル)を駆動制御し、IGBT235a、235bと共通アームで外周コイル11c(給電コイル)を駆動制御する構成である。
このような構成においても、外周コイル11bと外周コイル11cをそれぞれ駆動制御することができ、上述した効果と同様の効果を得ることができる。
【0082】
(変形例4)
次に、第1の加熱手段11を構成するコイルの別の構成例について説明する。
図10は、実施の形態1に係る誘導加熱調理器の別の第1の加熱手段を示す図である。
図10に示した第1の加熱手段11は、加熱口の中央に配置された内周コイル11aと、この内周コイル11aとほぼ同心円状に配置された外周コイル11dとから構成されている。
内周コイル11aは、上述した説明と同様に、内周内コイル111aと、内周外コイル112aとを有し、それぞれ直列に接続され、駆動回路50aにより駆動制御される。
外周コイル11dは、それぞれ内周コイル11aと同心円状に形成された、外周内コイル111dと外周外コイル112dとを有している。外周内コイル111dと外周外コイル112dは、それぞれ直列に接続され、駆動回路50dにより駆動制御される。なお駆動回路50dの構成は、上述した駆動回路50aと同様である。
なお、この構成例における調理装置200の受電コイル65は、外周コイル11dの形状に対応して、磁性体60aの中心と同心円状に形成されている。
【0083】
このような構成においても、誘導加熱調理器100の内周コイル11aは、調理装置200の磁性体60aを加熱するための誘導加熱コイルとして用いられる。また、外周コイル11dは、調理装置200の上面ヒータ61に非接触電力伝送を行うための給電コイルとして用いられることで、上述した効果と同様の効果を得ることができる。
また、本構成によれば、上述した
図2のコイル構成と比べてコイル構成が簡素であるため、安価な構成で同等の効果を得ることができる。
【0084】
実施の形態2.
図11、
図12は、実施の形態2に係る加熱調理システムの調理装置の構成を示すブロック図である。
図13は、実施の形態2に係る加熱調理システムの調理装置の構成を模式的に示す上面図である。
図11、
図12においては、誘導加熱調理器100の天板4の上に調理装置200が載置されている状態を示している。また、
図11では、誘導加熱調理器100及び調理装置200を前面側から見た縦断面を模式的に示している。また、
図12では、誘導加熱調理器100及び調理装置200を側面側から見た縦断面を模式的に示している。
以下の説明において、上記実施の形態1との相違点を中心に説明する。
【0085】
図11〜
図13に示すように、本実施の形態2における磁性体60aおよび調理台60bは、上面視において長方形状に形成されている。磁性体60aおよび調理台60bは、長辺の長さが、例えば加熱口の幅以上の長さに形成され、短辺の長さが、内周コイル11aの幅(外径)とほぼ同等の長さに形成されている。
例えば、磁性体60aおよび調理台60bの長辺を左右方向に向くように天板4に載置した場合、
図11、
図12に示すように、磁性体60aおよび調理台60bの左側の端部が、誘導加熱調理器100の外周左コイル111bの端部よりも外側に配置され、右側の端部が、誘導加熱調理器100の外周右コイル112bよりも外側に配置される。また、磁性体60aおよび調理台60bは、前後方向の幅が、内周コイル11aの幅とほぼ同等となる。つまり、磁性体60aおよび調理台60bは、外周上コイル111c、外周下コイル112cに重ならない形状である。
【0086】
本実施の形態2における受電コイル65は、例えば、磁性体60aおよび調理台60bの両側の長辺を挟むように配置されている。この受電コイル65は、誘導加熱調理器100の外周上コイル111c、外周下コイル112cに対応して2つ設けられている。2つの受電コイル65は、略1/4円弧状(バナナ状または胡瓜状)の平面形状を有しており、絶縁皮膜された任意の金属(例えば銅、アルミなど)からなる導電線を受電コイル65の1/4円弧状の形状に沿って巻きつけることで構成される。
【0087】
図14は、実施の形態2に係る誘導加熱調理器の第1の加熱手段を示す図である。
図14において、第1の加熱手段11の構成は、上記実施の形態1と同様であるが、制御部45における駆動制御が異なる。
即ち、制御部45は、誘導加熱させる火力に応じて、内周コイル11aを駆動する駆動回路50aと、外周コイル11b(外周左コイル111b、外周右コイル112b)を駆動する駆動回路50bとを制御して、高周波電力を供給する加熱動作を行う。これにより、調理装置200の調理台60bの下面に配置された磁性体60aが誘導加熱される。そして、誘導加熱による磁性体60aの発熱は非磁性の調理台60bに熱伝達され、調理台60bの上面に置かれた被調理物70を下面から直接加熱する。
【0088】
同時に、制御部45は、受電コイル65へ送電する電力に応じて駆動回路50cをそれぞれ制御して、外周コイル11c(外周上コイル111c、外周下コイル112c)に高周波電力を供給する非接触電力伝送動作を行う。これにより、外周コイル11cから供給された高周波電力は、調理装置200の下面に配置された受電コイル65により受電される。受電された電力は、上面ヒータ61へ供給され、上面ヒータ61は発熱する。そして、上面ヒータ61は、調理台60bの上面に置かれた被調理物70を上面から熱輻射により加熱する。
【0089】
以上のように本実施の形態2においては、上記実施の形態1と比較して、磁性体60aおよび調理台60bの幅を長くし、磁性体60aを内周コイル11aおよび外周コイル11bによって誘導加熱する。このため、誘導加熱による下面加熱の面積を増やすことで下面から適当な焦げ目などを生成することができる。例えば、被調理物70が魚などの長い形状の場合であっても、調理台60bに被調理物70を載置することができ、下面加熱によって魚などの被調理物70を美味しく調理することが可能となる。
【0090】
なお、ここでは調理装置200の上面ヒータ61に電力供給するための給電コイルは、外周上コイル111cおよび外周下コイル112cであり、
図4と比較すると受電コイル65へ電力を供給するコイルの数が少なくなる。このため、上面ヒータ61への供給電力が低下しないよう、外周上コイル111cおよび外周下コイル112cへの電力を増加させる。これにより、調理時間を損なうことなく、短時間で美味しく調理できる調理装置200を得ることができる。
【0091】
実施の形態3.
本実施の形態3では、誘導加熱による調理と非接触電力伝送による調理とを複数の加熱手段を用いて行う構成について説明する。
なお、以下の説明では、上記実施の形態1と同一部分には同一の符号を付し、実施の形態1との相違点を中心に説明する。
【0092】
(構成)
図15は、実施の形態3に係る誘導加熱調理器の第2の加熱手段及び第3の加熱手段の駆動回路を示すブロック図である。
図15に示すように、第2の加熱手段12は、駆動回路50eにより駆動制御される。また、第3の加熱手段13は、駆動回路50fにより駆動制御される。すなわち、第2の加熱手段12を構成するコイル(図示せず)は、駆動回路50eにより駆動制御され、第3の加熱手段13を構成するコイル(図示せず)は、駆動回路50fにより駆動制御される。
【0093】
なお、第2の加熱手段12、第3の加熱手段13は、1つのコイルを備える構成でも良いし、上記実施の形態1と同様に、内周コイルとその周辺に配置された外周コイルとを備える構成や、複数のコイルを同心円状に配置した構成でも良い。また、複数のコイルを備える構成の場合、一つの加熱手段に対して複数の駆動回路を備える構成でも良い。
【0094】
駆動回路50e、50fには、一つの交流電源供給部21aから交流電源(商用電源)21が供給される。すなわち、誘導加熱調理器100への交流電源21の供給は、一つの交流電源供給部21aのみで構成されている。交流電源供給部21aは、交流電源21が給電されたアウトレットに接続される電源プラグによって構成される。なお、交流電源供給部21aの構成はこれに限るものではなく、例えば、交流電源21が給電された電源ケーブルに接続される接続端子によって構成しても良い。なお、接続端子としては例えば丸形端子などを使用し、電源ケーブルの端部を丸形端子に配置してネジ止めで固定する方式を用いても良い。
【0095】
なお、
図15では、第2の加熱手段12を駆動する駆動回路50eと第3の加熱手段13を駆動する駆動回路50fが、一つの交流電源供給部21aを介して交流電源21が供給される場合を示しているが、本発明はこれに限定されない。第1の加熱手段11、第2の加熱手段12、及び第3の加熱手段13を駆動する全ての駆動回路が、一つの交流電源供給部21aを介して交流電源21が供給される構成としても良い。
【0096】
図16は、実施の形態3に係る加熱調理システムにおける誘導加熱調理器と調理装置の構成を示す模式図である。
図16において、加熱調理システムは誘導加熱調理器100と調理装置200とを備えている。なお、
図16においては、誘導加熱調理器100の天板4の上に調理装置200が載置されている状態を示している。また、
図16では、第2の加熱手段12の上方に被加熱物5が載置され、第2の加熱手段12及び第3の加熱手段13の上方に調理装置200が載置されている状態において、誘導加熱調理器100及び調理装置200を前面側から見た縦断面を模式的に示している。なお、被加熱物5及び調理装置200の配置位置はこれに限定されず、複数の加熱手段のうちの任意の加熱手段に配置することができる。
【0097】
調理装置200は、上面ヒータ61と、受電コイル65と、支持手段220とを備えている。
受電コイル65は、調理装置200の底部に配置されている。受電コイル65は、絶縁被膜された任意の金属(例えば銅、アルミなど)からなる導電線が周方向に巻回されることにより構成されている。この受電コイル65は、誘導加熱調理器100内部のコイルが発生する高周波磁場内に配置された際、電磁誘導又は磁界共鳴により電力を受電する。
図16に示す例では、受電コイル65は、第3の加熱手段13を構成するコイルが発生する高周波磁場によって電力を受電する。
【0098】
上面ヒータ61は、配線(図示せず)によって受電コイル65と接続されている。上面ヒータ61は、受電コイル65が受電した電力によって発熱(駆動)する発熱体によって構成される。上面ヒータ61は、例えば、抵抗発熱体であるシーズヒータを用いている。なお、上面ヒータ61は、具体的構成はこれに限らず、ハロゲンヒータや遠赤外線ヒータなど任意の発熱体を用いることができる。また、上面ヒータ61は、支持手段220によって、被加熱物5の上方に支持される。
【0099】
支持手段220は、例えば、調理装置200の外郭を構成する筐体によって形成される。支持手段220は、受電コイル65を収納する底面部から上方向に延びたあと水平方向に延びる、断面L字形に形成されている。即ち、支持手段220は、受電コイル65を第3の加熱手段13の上方(第3の加熱口3)に配置した際に、上面ヒータ61が第2の加熱手段12の上方(第2の加熱口2)、且つ、被加熱物5の上方に位置するように、上面ヒータ61を支持する。
【0100】
なお、調理装置200を天板4上に配置した際の、天板4と上面ヒータ61との距離は、被加熱物5として想定される鍋やフライパンなどの高さよりも高くなるように設定する。なお、支持手段220は、上面ヒータ61を上下方向に駆動可能な構成としても良い。
【0101】
(動作)
次に、本実施の形態3における誘導加熱調理器の動作について説明する。
以下の説明では、
図16に示すように、第2の加熱口2に被加熱物5が載置され、第3の加熱口3に調理装置200の受電コイル65が載置された場合を説明する。
【0102】
使用者は、天板4の第2の加熱口2に、例えばフライパンなどの被加熱物5を載置する。使用者は、天板4の第3の加熱口3に、調理装置200の受電コイル65(筐体の底部)を載置する。
使用者により、第2の加熱口2に対する調理開始(火力投入)の指示が表示操作部43にて行われる。第3の加熱口3に対する調理開始(給電開始)の指示が表示操作部43にて行われる。
なお、表示操作部43は、調理装置200を動作させる専用モード(メニュー)が組み込まれており、専用モードを選択することで簡単に調理することができる。
【0103】
調理開始の指示が行われると、誘導加熱調理器100の制御部45は、誘導加熱させる火力に応じて駆動回路50eを制御して、第2の加熱手段12のコイルに高周波電力を供給する加熱動作を行う。これにより、第2の加熱口2に載置された被加熱物5が誘導加熱される。そして、被加熱物5内に置かれた被調理物70が下面から直接加熱される。
【0104】
同時に、誘導加熱調理器100の制御部45は、受電コイル65へ送電する電力に応じて駆動回路50fを制御して、第3の加熱手段13のコイルに高周波電力を供給する非接触電力伝送動作を行う。これにより、第3の加熱手段13のコイルから供給された高周波電力は、調理装置200の底部に配置された受電コイル65により受電される。受電された電力は、上面ヒータ61へ供給され、上面ヒータ61は発熱する。そして、上面ヒータ61は、第2の加熱口2に載置された被加熱物5内の被調理物70を上面から熱輻射により加熱する。
【0105】
なお、第2の加熱手段12の定格電力は、例えば3000Wである。この場合、制御部45は、第2の加熱手段12を構成するコイルへ投入する電力が定格電力(3000W)以下となるように、駆動回路50eの駆動を制御する。
また、調理装置200の定格電力は、例えば1500Wである。この場合、制御部45は、受電コイル65が受電する電力が定格電力(1500W)以下となるように、駆動回路50fの駆動を制御する。
即ち、被加熱物5を誘導加熱させる電力と、受電コイル65へ送電する電力との合計電力を、一つの加熱手段の定格電力よりも大きくすることが可能となる。
【0106】
なお、本実施の形態3においては、第3の加熱口3に調理装置200を載置して受電コイル65へ非接触電力伝送を行う場合を説明したが、これに限らず、調理装置200を載置しない場合には、第3の加熱口3に被加熱物5を配置して第3の加熱手段13による加熱動作を行ってもよい。
また、第1の加熱口1、第2の加熱口2、第3の加熱口3のうち任意の加熱口を、非接触電力伝送を行う専用の加熱口としても良い。即ち、非接触電力伝送を行う専用の加熱口を構成する天板4の表示は、受電コイル65の載置位置を示す位置表示として機能する。
【0107】
なお、被加熱物5を載置して加熱動作を行う加熱口の表示は、本発明の「第1位置表示」に相当し、受電コイル65の載置位置を示す位置表示は、本発明の「第2位置表示」に相当する。
【0108】
以上のように本実施の形態3においては、誘導加熱調理器100は、第2の加熱手段12のコイルに高周波電流を供給する駆動回路50eと、駆動回路50eとは別に設けられ、第3の加熱手段13のコイルに高周波電流を供給する駆動回路50fとを備えている。また、調理装置200は、第3の加熱手段13のコイルから電力を受電する受電コイル65と、受電コイル65が受電した電力によって発熱する上面ヒータ61とを備えている。
このため、誘導加熱による調理と非接触電力伝送による調理とを同時に行うことができる。また、誘導加熱による調理と非接触電力伝送による調理とを個別に制御することができる。したがって、短時間で美味しく調理することが可能な誘導加熱調理器を得ることができる。
即ち、個別に設けられた駆動回路50eと駆動回路50fによって、上面ヒータ61による上面加熱と、被加熱物5からの熱による誘導加熱とを個別制御することができるため、短時間で美味しく調理することが可能な誘導加熱調理器を得ることができる。
【0109】
また本実施の形態3においては、交流電源21に接続される交流電源供給部21aを備え、複数の駆動回路は、一つの交流電源供給部21aを介して交流電源21が供給される。このため、誘導加熱調理器100を設置する際の施工性を改善することができる。
【0110】
また、複数の加熱口に対応する加熱手段のうち、誘導加熱を行う加熱手段と非接触電力伝送を行う加熱手段とが異なるため、被加熱物5を誘導加熱させる電力と、受電コイル65へ送電する電力との合計電力を、一つの加熱手段の定格電力よりも大きくすることが可能となる。
また、一つの加熱手段を構成する全てのコイルを加熱コイルとして動作させるので、上記実施の形態1と比較して、大きいサイズの被加熱物5を誘導加熱することができる。
【0111】
(変形例1)
受電コイル65が受電した電力によって駆動される調理手段の変形例について説明する。
図17は、実施の形態3に係る加熱調理システムにおける調理装置の変形例を示す模式図である。
図17に示す調理装置200は、受電コイル65が受電した電力によって駆動される調理手段として、攪拌装置80を備えている。なお、攪拌装置80の構成は、上記実施の形態1における変形例1と同様であり、同一の構成には同一の符号を付し説明を省略する。
【0112】
図17に示す調理装置200において、例えばシチューや炒め物などの被調理物70が投入された鍋やフライパンなどの被加熱物5が、第2の加熱口2に載置されると、攪拌装置80の羽根部83が被加熱物5内に配置される。そして、駆動回路50eから第2の加熱手段12のコイルへ高周波電流が供給されると、コイルから発生した高周波磁束(高周波磁場)によって、被加熱物5が誘導加熱される。これにより、被加熱物5内の被調理物70が下方から加熱調理される。
【0113】
また、駆動回路50fから第3の加熱手段13のコイルへ高周波電流が供給されると、コイルから高周波磁束(高周波磁場)が発生する。第3の加熱手段13のコイルから高周波磁束(高周波磁場)が発生すると、調理装置200の受電コイル65には電磁誘導による電力(起電力)が発生する。そして、受電コイル65に発生した電力が攪拌装置80に供給されるとモータ81が駆動し、シャフト82を介して羽根部83が回転駆動する。これにより、被加熱物5内の被調理物70が攪拌調理される。
【0114】
以上の構成により、誘導加熱による加熱調理と非接触電力伝送による攪拌調理とを同時に行うことができる。また、誘導加熱による加熱調理と非接触電力伝送による攪拌調理とを個別に制御することができる。したがって、短時間で美味しく調理することが可能な誘導加熱調理器を得ることができる。
【0115】
なお、本変形例1では、受電コイル65が受電した電力によって攪拌装置80を駆動する場合を説明したが、調理手段の構成はこれに限定されない。
受電コイル65が受電した電力によって駆動される調理手段として、例えば、ペルチェ素子を有する冷却装置を備えても良い。これにより、誘導加熱による加熱調理と、非接触電力伝送による冷却調理とを同時又は順次行うことができる。よって、被加熱物5及び被調理物70に与える温度範囲を広範囲に調整できる幅広い調理を行うことができる。
【0116】
受電コイル65が受電した電力によって駆動される調理手段として、例えば、被加熱物5上の被調理物70を上下に反転させる装置を備えても良い。これにより、被調理物70の上下方向の両面を被加熱物5と接触させることができる。よって、例えば被加熱物5と被調理物70とが接触することで生じる焦げ目などを、被調理物70の両面に付けることができる。
【0117】
実施の形態4.
本実施の形態4では、誘導加熱調理器100のコイルの上方に、調理装置200の磁性体60a又は受電コイル65の何れかが載置されているか否かを検出し、その検出結果に応じて、加熱動作と非接触電力伝送動作とを切り換える動作について説明する。
なお、本実施の形態4における誘導加熱調理器100の構成は、上記実施の形態1と同様であり、調理装置200の構成は、上記実施の形態1〜3の何れかと同様である。
【0118】
使用者により加熱口に調理装置200が載置され、加熱開始(火力投入)の指示が表示操作部43に行われると、制御部45(負荷判定部)は負荷判定処理を行う。
なお、本実施の形態4における制御部45は、本発明の「負荷判定部」の機能を含んでいる。
【0119】
図18は、実施の形態4に係る誘導加熱調理器におけるコイル電流と入力電流の関係に基づく負荷判別特性図である。
【0120】
図18に示すように、加熱手段を構成するコイルの上方に載置される負荷の材質によって、コイル電流と入力電流の関係が異なる。制御部45は、
図18に示すコイル電流と入力電流との関係をテーブル化した負荷判定テーブルを予め内部に記憶している。負荷判定テーブルを内部に記憶することで安価な構成で負荷判定部を構成することができる。
【0121】
負荷判定処理において、制御部45は、各駆動回路のそれぞれについて、負荷判定用の特定の駆動信号でインバータ回路23を駆動し、入力電流検出手段25aの出力信号から入力電流を検出する。また同時に制御部45は、コイル電流検出手段25bの出力信号からコイル電流を検出する。制御部45は検出したコイル電流および入力電流と、
図18の関係を表した負荷判定テーブルから、コイルの上方に載置された負荷の材質を判定する。
【0122】
制御部45は、負荷判定結果が、磁性材料であった場合、当該コイルの上方には調理装置200の磁性体60a又は被加熱物5が載置されていると判定する。また、負荷判定結果が磁性材料以外の材質である場合、当該コイルの上方には受電コイル65が載置されている判定する。また、負荷判定結果が無負荷の場合、磁性体60a、被加熱物5、および受電コイル65の何れも載置されていないと判定する。
【0123】
次に、制御部45は、加熱手段を構成する各コイルのうち、上方に磁性体60a又は被加熱物5が載置されていると判定したコイルを駆動する駆動回路50を制御して、誘導加熱させる火力に応じた高周波電力を供給する加熱動作を行う。
同時に制御部45は、加熱手段を構成する各コイルのうち、上方に受電コイル65が載置されていると判定したコイルを駆動する駆動回路50を制御して、受電コイル65へ送電する電力に応じた高周波電力を供給する非接触電力伝送動作を行う。
なお、制御部45は、無負荷であると判定したコイルを駆動する駆動回路50の動作を停止させる。
以降の動作は上記実施の形態1と同様である。
【0124】
以上のように本実施の形態4においては、コイルの上方に、磁性体60a、被加熱物5、受電コイル65の何れかが載置されているか否かを検出し、その検出結果に応じて当該コイルによる加熱動作又は非接触電力伝送動作を行う。このため、調理装置200における磁性体60aおよび受電コイル65の構成、配置に応じた動作を自動で行うことができる。
【0125】
なお、上記の説明では、入力電流とコイル電流との相関に基づいて、負荷判定を行う場合を説明したが、本発明はこれに限らず、任意の負荷判定処理を用いることができる。例えば、コイルに供給する高周波電流の周波数を連続的に変化させ、その際の入力電流の変化特性に基づき、負荷判定を行うようにしても良い。
【0126】
実施の形態5.
図19は、実施の形態5に係る誘導加熱調理器の概略構成を示す斜視図である。
図19に示すように、本実施の形態5に係る誘導加熱調理器100は、天板4の下方には、比較的小型の複数のコイル120がほぼ均一的に分散配置されている。
複数のコイル120は、それぞれ駆動回路50によって個別に駆動、あるいは複数のコイル120のうち、隣接するいくつかのコイルを1つのコイル群として駆動される。なお、コイル120を駆動する駆動回路50の構成は、例えば上記実施の形態1の駆動回路50aの構成と同様である。
【0127】
また、本実施の形態5における制御部45は、複数のコイル120のそれぞれについて、上方に載置されている負荷の負荷判定を行う。なお、負荷判定処理は上記実施の形態4と同様である。
【0128】
なお、本実施の形態5においては、天板4上に加熱口の表示を設けない構成としても良い。なお、コイル120の個数は任意の個数で良い。また、コイル120のレイアウトについては、これに限らず、ハニカム状に配置しても良いし、大型のコイル120と小型のコイル120とを混在させて配置しても良い。
【0129】
(動作)
使用者により天板4の任意の位置に調理装置200が載置され、加熱開始(火力投入)の指示が表示操作部43に行われると、制御部45(負荷判定部)は負荷判定処理を行う。
制御部45は、上記実施の形態4と同様の動作により、複数のコイル120のそれぞれについて、上方に載置された負荷の材質を判定する負荷判定処理を行う。
【0130】
制御部45は、負荷判定結果が、磁性材料であった場合、当該コイル120の上方には調理装置200の磁性体60a又は被加熱物5が載置されていると判定する。また、負荷判定結果が磁性材料以外の材質である場合、当該コイル120の上方には受電コイル65が載置されていると判定する。また、負荷判定結果が無負荷の場合、磁性体60a、被加熱物5、および受電コイル65の何れも載置されていないと判定する。
【0131】
次に、制御部45は、複数のコイル120のうち、上方に磁性体60a又は被加熱物5が載置されていると判定したコイル120を駆動する駆動回路50を制御して、誘導加熱させる火力に応じた高周波電力を供給する加熱動作を行う。
同時に制御部45は、複数のコイル120のうち、上方に受電コイル65が載置されていると判定したコイル120を駆動する駆動回路50を制御して、受電コイル65へ送電する電力に応じた高周波電力を供給する非接触電力伝送動作を行う。
なお、制御部45は、無負荷であると判定したコイル120を駆動する駆動回路50の動作を停止させる。
以降の動作は上記実施の形態1と同様である。
【0132】
以上のように本実施の形態5においては、天板4の下方にほぼ均一に分散配置された複数のコイル120を備える。そして、制御部45は、複数のコイル120のそれぞれについて、上方に磁性体60a、被加熱物5、受電コイル65の何れかが載置されているか否かを検出する。そして、制御部45は、その検出結果に応じてコイル120による加熱動作又は非接触電力伝送動作を行う。このため、被加熱物5、並びに、調理装置200における磁性体60aおよび受電コイル65の構成、配置に応じた動作を自動で行うことができる。
また、調理装置200を天板4の任意の位置に配置することができ、利便性を向上することができる。