【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本開示の少なくとも1つの実施形態に係る加圧空気供給システムは、
タービン及び圧縮機を有するターボチャージャと、
前記圧縮機からの吐出空気と前記タービンから排気された排ガスとを熱交換する再生熱交換器と、
前記圧縮機から前記再生熱交換器までの吐出空気ラインに供給される起動用空気又は前記吐出空気の少なくとも一方を含む流通空気を加熱する起動用加熱器と、
前記起動用加熱器で加熱された前記流通空気で燃料を燃焼させて生成した燃焼ガスを前記タービンに供給する触媒燃焼器と
を備える。
【0008】
上記(1)の構成によると、加圧空気供給システムの起動時において、起動用加熱器で加熱された流通空気が触媒燃焼器に供給されることにより、触媒燃焼器が暖機されて着火できれば、高温の燃焼ガスがタービンを流通し、再生熱交換器で流通空気を加熱して昇温を早められるので、起動用加熱器において、作動時間短縮による稼働エネルギー消費量の低減や、設計加熱容量の縮小が可能となり、加圧空気供給システムを稼働させるためのコストを低減することができる。
【0009】
(2)いくつかの実施形態では、上記(1)の構成において、
前記圧縮機を駆動するモータをさらに備え、
前記起動用空気は、前記モータによって駆動された前記圧縮機によって供給される。
この構成によれば、モータによって駆動された圧縮機からの吐出空気を起動用空気として使用することができるので、起動用ブロワと吐出空気の流量調節弁が不要にできる。起動用空気としての吐出空気は、再生熱交換器で加熱された後に起動用加熱器に供給されるので、起動用加熱器において、作動時間短縮による稼働エネルギー消費量の低減や、設計加熱容量の縮小が可能となり、加圧空気供給システムを稼働させるためのコストを低減することができる。
【0010】
(3)いくつかの実施形態では、上記(2)の構成において、
前記モータは、増速機を介して前記圧縮機に接続されている。
この構成によれば、モータの回転を増速して圧縮機に伝達できるので、低廉な低速回転のモータを使用できるので、加圧空気供給システムを稼働させるためのコストをさらに低減することができる。
【0011】
(4)いくつかの実施形態では、上記(1)乃至(3)のいずれかにおいて、
前記圧縮機からの吐出空気の一部が前記再生熱交換器をバイパスするための再生熱交換器バイパスラインをさらに備える。
この構成によれば、圧縮機からの吐出空気の一部を再生熱交換器に流入させないようにすることができる。これにより、再生熱交換器に流入する吐出空気量を削減できることから、起動用加熱器に流入する流通空気をさらに昇温できる。これにより、起動用加熱器において、作動時間短縮による稼働エネルギー消費量の低減や、設計加熱容量の縮小が可能となり、加圧空気供給システムを稼働させるためのコストを低減することができる。
またこの構成によれば、起動用燃焼器供給空気だけでなく、燃料電池供給空気も昇温できるため、燃料電池の暖機に要するコストも低減できる。
【0012】
(5)いくつかの実施形態では、上記(4)の構成において、
前記再生熱交換器バイパスラインを流通する吐出空気が、前記触媒燃焼器に流入する前記流通空気に合流する。この排空気ラインに合流する再生熱交換器バイパスラインを吐出空気バイパスラインと称する。
この構成によれば、タービンを駆動する燃焼ガス流量を減じることなく、即ちターボチャージャの動作点を変えず、圧縮機吸気流量を減らすことなく、前記触媒燃焼器に供給する吐出空気を昇温できる。そのため、起動用加熱器において、作動時間短縮による稼働エネルギー消費量の低減や、設計加熱容量の縮小が可能となり、加圧空気供給システムを稼働させるためのコストを低減することができる。
またこの構成によれば、起動用燃焼器供給空気だけでなく、燃料電池供給空気も昇温できるため、燃料電池の暖機に要するコストも低減できる。
【0013】
(6)いくつかの実施形態では、上記(4)の構成において、
前記再生熱交換器バイパスラインを流通する吐出空気が、前記再生熱交換器から流出した前記排ガスに合流する。この排ガスラインに合流する再生熱交換器バイパスラインを抽気ブローラインと称する。
この構成によれば、燃焼ガス温度を上げなくても、ターボチャージャの圧力比が低下するため前記触媒燃焼器に供給される排ガスを昇温できる。そのため、起動用加熱器において、作動時間短縮による稼働エネルギー消費量の低減や、設計加熱容量の縮小が可能となり、加圧空気供給システムを稼働させるためのコストを低減することができる。
またこの構成によれば、起動用燃焼器供給空気だけでなく、燃料電池供給空気も昇温できるため、燃料電池の暖機に要するコストも低減できる。
【0014】
(7)いくつかの実施形態では、上記(1)乃至(6)のいずれかの構成において、
前記再生熱交換器で加熱された前記流通空気が流通する加圧空気ラインと、
前記加圧空気ラインから分岐して、前記起動用加熱器を流通した後に排空気ラインに合流する分岐ラインと、該分岐ラインの前記起動用加熱器の下流からさらに分岐して、該加圧空気ラインに再び合流する燃料電池加熱用バイパス空気ラインと
を備える。
【0015】
上記(7)の構成によると、加圧空気供給システムが加圧空気を供給する際に起動用加熱器を通さずに直接供給できるので、加圧空気の圧損を低減でき、また燃料電池に供給される加圧空気のみを直接昇温できるので、前記起動用加熱器の設計加熱容量を小さくできるため、加圧空気供給システムを稼働させるためのコストを低減することができる。
【0016】
(8)いくつかの実施形態では、上記(7)の構成において、
前記起動用加熱器よりも上流側に、前記起動用加熱器に流入する前記流通空気の流量を調整する流量調整弁を備える。
この構成によれば、起動用加熱器よりも上流側に流量調整弁が設けられていることにより、流量調整弁として高温弁ではなく、より低コストの低温弁を使用することができるので、加圧空気供給システムを稼働させるためのコストを低減することができる。
【0017】
(9)いくつかの実施形態では、上記(8)の構成において、
前記起動用加熱器は、
前記触媒燃焼器に供給される前記流通空気を加熱する第1加熱器と、
前記加圧空気ラインを流通する前記流通空気を加熱する第2加熱器と
を含む。
この構成によると、第1加熱器及び第2加熱器のそれぞれに流入する流通空気気の流量を調整するための流量調整弁を第1加熱器及び第2加熱器のそれぞれの上流側に設けることができるので、上記(8)による作用効果を得ることができる。
【0018】
(10)本開示の少なくとも1つの実施形態に係る燃料電池システムは、
上記(1)乃至(9)のいずれかの加圧空気供給システムと、
空気極と燃料極とを有する燃料電池と
を備え、
前記加圧空気供給システムから供給された加圧空気が前記空気極に流入するように構成されている。
この構成によれば、燃料電池システムを起動するためのコストを低減することができる。
【0019】
(11)本開示の少なくとも1つの実施形態に係る加圧空気供給システムの起動方法は、
上記(1)乃至(9)のいずれかの加圧空気供給システムの起動方法であって、
前記圧縮機から前記再生熱交換器までの吐出空気ラインに前記起動用空気又は前記吐出空気の少なくとも一方を供給するステップと、
前記起動用加熱器を起動して、前記流通空気を加熱するステップと、
加熱された前記流通空気によって前記触媒燃焼器の触媒温度が予め設定された温度以上に上昇した後、前記触媒燃焼器を起動して前記流通空気で燃料を燃焼させて燃焼ガスを生成するステップと、
前記燃焼ガスによる前記タービンの回転によって前記圧縮機が駆動されるようになった後、前記起動用加熱器を停止又は前記起動用加熱器の負荷を低下させるステップと
を含む。
【0020】
上記(11)の構成によると、加圧空気供給システムの起動時において、再生熱交換器で加熱された流通空気が起動用加熱器に供給されることにより、起動用加熱器において、触媒燃焼器の暖機時間短縮による稼働エネルギー消費量の低減や、設計加熱容量の縮小が可能となり、加圧空気供給システムを稼働させるためのコストを低減することができる。