(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1部分側の一端部から前記第2部分側の他端部までの全長に対する前記第2部分の長さの比の値は、0.1以上かつ0.8以下である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のスポンジたわし。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、
図1〜
図8を参照して本発明の第1の実施形態に係るスポンジたわし100について説明する。本実施形態に係るスポンジたわし100は、浴槽、浴室の洗浄に適するが、用途はそれに限らず、流し台、洗面台等の種々の洗浄目的で用いることができる。スポンジたわし100の構成材としては、限定はないが、一般に洗浄用に用いられる標準的な硬さ、例えば100N〜300Nの硬さを有する(JIS−K6400)素材であればよく、例えばポリウレタンフォームを好適に用いることができる。
【0010】
図1は、本発明の第1の実施形態に係るスポンジたわし100の構成を示す斜視図である。スポンジたわし100は、例えばポリウレタンフォームを所定形状に裁断、打ち抜き、成形等の種々の方法で加工することにより得られる。なお、以下では、便宜上、図示のように前後方向(長さ方向)、左右方向(幅方向)および上下方向(厚さ方向)を定義し、この定義に従い各部の構成を説明する。
【0011】
図1に示すように、スポンジたわし100は、前後方向にかけて幅一定(=W)で構成される一方、前側部分が後側部分よりも薄く構成されている。すなわち、スポンジたわし100は、後側の厚手部1と、傾斜部3を介して厚手部1に連なる前側の薄手部2とを有する。厚手部1は、図示するように、互いに平行な上面10と下面11とを有し、上面10と下面11との間の厚さH1を一定としてもよい。薄手部2は、互いに平行な上面20と下面21とを有し、上面20と下面21との間の厚さH2を一定としてもよい。厚手部1の厚さH1は薄手部2の厚さH2よりも厚い。
【0012】
厚手部1の下面11と薄手部2の下面21とは、連続した平坦面を構成する。なお、本明細書において、「平坦」とは、平均的にほぼ平坦であればよく、表面の微小な凹凸やエンボスの存在は無視できる。一方、厚手部1の上面10と薄手部2の上面20とは、傾斜部3の上面である傾斜面30を介して接続され、上面10と上面20との間に段差を有する。傾斜面30は、薄手部2の上面20を後方に延長した延長面(水平面)に対し、0°より大きく90°より小さい所定の傾斜角θで傾斜している。図示するように、傾斜面30の厚手部1の上面10との接続部となる上端および薄手部2の上面20との接続部となる下端は、それぞれ断面が円弧状になるよう、適宜曲面加工を施してもよい。
【0013】
スポンジたわし100は、さらに上面10,20および傾斜面30の左右縁部から下面11,21の左右縁部にかけて延在する左右の側面4,5と、上面20の前縁部から下面21の前縁部にかけて延在する前面6と、上面10の後縁部から下面11の後縁部にかけて延在する後面7とを有する。側面4,5と、前面6および後面7と、上面10,20および下面11,21とは互いに直交している。なお、図示のように厚手部1の全長をL1、薄手部2の全長をL2、傾斜面3の全長(前後方向長さ)をL3とすると、L1+L2+L3がスポンジたわし100の全長Lとなる。
【0014】
本第1の実施形態のスポンジたわし100において、厚手部1の厚さH1の薄手部2の厚さH2に対する比は、1.3以上であることが好ましい。当該比は、さらに、1.5以上、あるいは2以上であってもよい。このような厚みの差を有することで、厚手部1と薄手部2のそれぞれの機能が有効に発揮できる。一方、コーナー部への追従性をより良好とするため、厚手部1の厚さH1の薄手部2の厚さH2に対する比は、7以下であることが好ましい。また、4以下であってもよい。
【0015】
薄手部2の厚さH2は、柔軟性を持ち、狭い部位の洗浄を容易にするため、30mm以下であることが好ましい。さらに、27mm以下、あるいは25mm以下であってもよい。一方、一定の耐久性を確保するためには、少なくとも10mm以上もしくは15mm以上であることが好ましい。
【0016】
さらに、スポンジたわしの全長Lに対する薄手部2の長さL2の比は、薄手部2の機能を発揮するため、少なくとも0.1以上であることが好ましい。さらに、0.2以上、あるいは0.3以上であってもよい。一方、薄手部2が厚手部1より長すぎると広い面での洗浄がしにくくなるため、当該比は、0.8以下、あるいは0.5以下であることが望ましい。
【0017】
さらに、薄手部2の面と傾斜面3とのなす角度θは、コーナー部への良好なフィット性を確保するため、11°以上が好ましい。また、角度θは、20°以上、あるいは30°以上であってもよい。一方、コーナー部への良好なフィット性を確保するため、70°以下、あるいは50°以下であることが好ましい。
【0018】
このように本実施形態のスポンジたわし100は、一定厚さH1の厚手部1と一定厚さH2の薄手部2とを有し、厚手部1と薄手部2とが傾斜部3(傾斜面30)を介して接続されている。このため、スポンジたわし100には比較的剛性の高い厚手部1と剛性の低くより柔軟性のある薄手部2とが存在し、使用時の持ちやすさを担保しつつ、以下のように種々の部位の洗浄に好適に用いることができる。
【0019】
本実施形態に係るスポンジたわし100の使用例、特に浴室における使用例について説明する。なお、以下では、厚手部1の下面11と薄手部2の下面21とを合わせてスポンジたわし100の第1洗浄面101と呼び、厚手部1の上面10と薄手部2の上面20と傾斜面30とを合せてスポンジたわし100の第2洗浄面102と呼ぶ。
【0020】
まず、浴槽の内側の側面や底面等、比較的広い平坦面や緩やかな曲面を洗浄する場合について説明する。この場合、
図2に示すように、スポンジたわし100の厚手部1の左右側面4,5を親指と小指または薬指で把持するとともに、薄手部2の上面20に人差し指と中指の先端部を押し当てながら、第1洗浄面101の全体を浴槽の表面201に押し付け、表面201を洗浄することができる。このように使用時には厚手部1を把持するため、スポンジたわし100を把持しやすく、使用感に優れる。また、平坦な第1洗浄面101の全面を用いて浴槽の表面201を洗浄するため、広範囲の洗浄を容易に行うことができる。
【0021】
図3に示すように、スポンジたわし100の前後を反転し、スポンジたわし100の薄手部2を把持して浴槽の表面201を洗浄することもできる。この場合、比較的剛性の高い厚手部1の上面10に人差し指と中指の先端部を押し当てるため、指先に大きな力を入れなくても第1洗浄面101を浴槽の表面201にしっかりと押し付けることができ、浴槽の洗浄作業が容易である。
【0022】
第1洗浄面101に汚れが付着した場合、
図4に示すようにスポンジたわし100の上下を反転し、第1洗浄面101側を把持して、第2洗浄面102で浴槽の表面201を洗浄することもできる。この場合、第1洗浄面101を手の平および指で押し当て、スポンジたわし100に圧縮力を付与することで、スポンジたわし100が変形し、第2洗浄面102(上面10,20、傾斜面30)がほぼ平坦となる。これにより、スポンジたわし100の両面(第1洗浄面101、第2洗浄面102)で浴槽の表面201を洗浄することができ、スポンジたわし100全体を効率よく洗浄に用いることができる。
【0023】
次に、浴槽の側面と底面とが交差するコーナー部202を洗浄する場合について説明する。この場合、
図5に示すように、スポンジたわし100の厚手部1を把持し、薄手部2の上面20に指を押し当て、薄手部2をコーナー部202に沿って屈曲させる。薄手部2は剛性が低いため、それほど大きな力をかけなくても、薄手部2をコーナー部202に追従して変形させることができ、コーナー部202の洗浄が容易である。薄手部2は、その付け根(傾斜面30との交差部)から容易に折り曲げることができる。このため、コーナー部202の曲率半径が小さい場合であっても、また、曲率半径が大きい場合であっても、薄手部2でコーナー部202の全域を覆うことができ、コーナー部202を効率よく洗浄することができる。
【0024】
最後に、浴槽以外の部品、例えばシャワーホース203を洗浄する場合について説明する。この場合、
図6に示すように、厚手部1を把持して薄手部2の先端を指で折り曲げ、薄手部2によりシャワーホース203の外周面を覆って、薄手部2でシャワーホース203の外周面を洗浄する。これにより、同一のスポンジたわし100を用いて、浴槽だけでなくシャワーホース203や、手すりレール、ラック、蛇口周り等の細かい部品を洗浄することができ、スポンジたわし100の適用範囲が広がる。
【0025】
<実験例>
種々の形状のスポンジたわしの変形のしやすさについて実験を行った。その実験結果について説明する。実験に用いたのは、本実施形態に係るスポンジたわし100と、
図7Aに示すように、直方体形状(側面視矩形状)のスポンジたわし110(比較例1)と、
図7Bに示すように、三角柱形状(側面視三角形状)のスポンジたわし120(比較例2)と、
図7Cに示すように、本実施形態に係るスポンジたわし100から傾斜部3を除いたスポンジたわし130(比較例3)の4種類である。
【0026】
なお、比較例におけるスポンジたわし110,120,130の第1洗浄面101と第2洗浄面102は、図示のように定義する。すなわち、通常の洗浄に用いる面を第1洗浄面101と定義し、第1洗浄面101の反対側の面を第2洗浄面102と定義する。各スポンジたわし100,110,120,130の幅W、全長Lおよび最大厚さH1は互いに等しく、W=85mm、L=148mm、H1=50mmである。各スポンジたわし100,110,120,130は、互いに同一の材質(硬さ115Nのウレタンフォーム)により構成されている。
【0027】
以上のスポンジたわし100,110,120,130に対し、曲面追従試験、裏面追従試験および折り曲げ試験の3種類の実験を行った。曲面追従試験では、
図8Aに示すように、所定の曲率半径(R12mm)のコーナー部を有する容器204に、各スポンジたわし(図ではスポンジたわし100)をそれぞれ所定角度(70°)で立設させ、その状態で、図の矢印に示すように、スポンジたわしを所定量(80mm)押し込んだ。このときのスポンジたわしの変形によるコーナー部への追従性を評価した。
図8Aの点線に示すように第1洗浄面101がコーナー部に沿って変形したものを「追従した」と表記し、それ以外を「追従しなかった」と表記している。
【0028】
裏面追従試験では、
図8Bに示すように、試験台の平坦な表面205上に、第2洗浄面102側を下にして各スポンジたわし(図ではスポンジたわし100)を設置し、図の矢印に示すように、上方から所定荷重P(20N)を負荷した。このとき、
図8Bの点線に示すように表面205にスポンジたわしの第2洗浄面102が密着したものを「追従した」、しなかったものを「追従しなかった」と表記している。
【0029】
折り曲げ試験では、各スポンジたわしの前端部から所定長さ(20mm)だけ後方の部位に、上方から荷重を負荷し、スポンジたわしを所定量(60mm)押し込み、そのときの最大荷重を記録した。一般に、最大荷重が5N未満の場合は、折り曲げ易いといえる。
【0031】
続いて、本実施形態に係るスポンジたわし100の長さ、厚さおよび傾斜角の最適値を求めるため、長さ、厚さおよび傾斜角をパラメータとして実験を行った。その実験結果について説明する。なお、実験に用いたスポンジたわし100の材質は、浴槽用として一般に用いられる硬さ115Nのウレタンフォームである。
【0032】
表2は、厚手部1の厚さH1と、薄手部2の厚さH2を種々の値に変更して曲面追従試験、裏面追従試験および折り曲げ試験を行った結果を示す表である。曲面追従試験は、浴槽のコーナー部を想定し、曲率半径22mmの曲面に対して行った。なお、この実験に用いたスポンジたわし100の全長Lは148mm、幅Wは85mm、厚手部1の長さL1は64mm、薄手部2の長さL2は44mm、傾斜部3の長さL3は40mmであった。厚手部1の厚さH1は、使用に適した範囲(20mm〜80mm)に10mm毎に設定した。厚手部1の厚さH1が40mmのものについては、曲面追従試験と裏面追従試験と折り曲げ試験を行い、厚手部1の厚さH1が20mm、30mm、50mm、60mm、70mmおよび80mmのものについては、曲面追従試験と裏面追従試験のみを行った。
【0034】
表2に示すように、厚手部1の厚さH1が20mm〜70mmであるとき、薄手部2の厚さH2が10mm〜30mmの範囲において、曲面追従性および裏面追従性が良好であった。なお、厚手部1の厚さH1が40mmであるときには、薄手部2の厚さH2が10mm〜30mmの範囲において、折り曲げ試験においても良好な結果が得られた。これより、薄手部2の厚さH2は、10mm以上かつ30mm以下であることが好ましい。安定した曲面追従性および裏面追従性を確保するためには、厚さH2は15mm以上かつ25mm以下であることが一層好ましい。
【0035】
また、薄手部2の厚さH2に対する厚手部1の厚さH1の比の値(H1/H2)は、1.3以上かつ7以下であることが好ましい。この比の値には関しては、厚手部1の厚さH1が40mm〜50mmの範囲内が最も握りやすい点を考慮し、1.3以上かつ4以下であることが一層好ましい。
【0036】
表3は、スポンジたわしの全長Lと薄手部2の長さL2を種々の値に変更して曲面追従試験と薄手部追従試験を行った結果を示す表である。薄手部追従試験とは、
図6に示すように薄手部2によりシャワーホース203の外周面を覆うことができるか否かを確認する実験であり、覆うことができれば「覆った」、覆うことができなければ「覆えなかった」と表記している。なお、この実験に用いたスポンジたわし100の幅Wは85mm、厚手部1の長さL1および厚さH1は64mmおよび40mm、薄手部2の厚さH2は20mm、傾斜部3の長さL3は40mmである。全長Lは、55mm〜230mmの範囲に設定し、薄手部2の長さL2は10mm〜190mmの範囲に設定した。
【0038】
表3に示すように、全長Lが113mmかつ薄手部2の長さL2が10mmの場合を除き、曲面追従試験と薄手部追従試験の双方において良好な結果が得られた。これより、全長Lに対する薄手部2の長さL2の比の値(L2/L)は0.1以上かつ0.8以下であることが好ましい。さらに、厚手部1の長さL1が短すぎるとスポンジたわし100を握りにくい点、および全長Lが長すぎるとスポンジたわし100の小回りがきかず、扱いにくい点を考慮すると、L2/Lは0.2以上かつ0.7以下であることが一層好ましい。
【0039】
表4は、スポンジたわし100の傾斜面30の傾斜角θを種々の値に変更して曲面追従試験および裏面追従試験を行った結果を示す図である。なお、この実験に用いたスポンジたわし100の幅Wは85mm、厚手部1の長さL1および厚さH1は64mmおよび40mm、薄手部2の長さL2は44mmである。傾斜部3の長さは、0〜185mmの範囲で設定し、このとき傾斜角θは10°〜90°の範囲に設定される。
【0041】
表4に示すように、傾斜角θが72°より大きいと、裏面追従性試験において良好な結果が得られなかった。一方、傾斜角θが68°では、曲面追従試験および裏面追従試験において良好な結果が得られた。また、傾斜角θが10°においては、曲面追従試験および裏面追従試験において良好な追従性が得られなかった。これより、傾斜角θは、11°以上かつ70°以下とすることが好ましい。傾斜角θが小さいほど、裏面追従性が高まるが、傾斜角θが小さくなるに従いスポンジたわし100の全長Lが長くなる点を考慮し、傾斜角θは20°以上かつ50°以下とすることが一層好ましい。
【0042】
第1の実施形態であるスポンジたわし100は、上面10と上面10に対向する下面11とを有する厚手部1と、上面20と上面20に対向する下面21とを有し、厚手部1に連なる薄手部2とを備える。薄手部2の上面20と下面21との間の厚さH2は、厚手部1の上面10と下面11との間の厚さH1よりも薄く、下面11,21は、連続した平坦面であり、上面10,20は、傾斜面30を介して接続される。
【0043】
これにより、例えば浴槽のコーナー部202を洗浄する際に、スポンジたわし100の薄手部2をコーナー部202に沿って容易に変形させることができ、コーナー部202の洗浄が容易である。また、下側の第1洗浄面101と上側の第2洗浄面102の双方を浴槽の洗浄に用いることができ、洗浄作業を効率よく行うことができる。シャワーホース203の外周面に沿って薄手部2を折り曲げることで、シャワーホース203等の細かい部品の洗浄にも用いることができる。すなわち、本実施形態に係るスポンジたわし100は、種々の部位を効率よく洗浄するのに好適である。
【0044】
厚手部1の上面10を下面11と平行な平坦面として構成するとともに、薄手部2の上面20を下面21と平行な平坦面として構成しているので、厚手部1が前後方向にかけて一定厚さとなり、スポンジたわし100を把持しやすい。また、薄手部2も前後方向にかけて一定厚さとなり、薄手部2の全体を薄手部2の付け根から容易に折り曲げることができ、良好な曲面追従性が得られる。
【0045】
薄手部2の厚さH2に対する厚手部1の厚さH1の比の値を、1.3以上かつ7以下に設定すれば、良好な曲面追従性および裏面追従性が得られる。
【0046】
さらに、薄手2の厚さH2を10mm以上かつ30mm以下に設定することで、曲面追従性と裏面追従性を確保しつつ、スポンジたわし100の全体の厚さを、使用感に優れた最適な厚さとすることができる。
【0047】
厚手部側の一端部(後端面7)から薄手部側の他端部(前端面6)までのスポンジたわし100の全長Lに対する薄手部2の長さL2の比の値を、0.1以上かつ0.8以下に設定すれば、良好な曲面追従性と薄手部追従性とが得られ、シャワーホース203の外周面の洗浄等も容易に行うことができる。
【0048】
薄手部2の上面20を後方に延長した延長面と傾斜面30とのなす角度を、10°以上かつ70°以下に設定すれば、良好な曲面追従性と裏面追従性が得られる。
【0049】
図9を参照して本発明の第2の実施形態のスポンジたわしについて説明する。なお、以下では、第1の実施形態との相違点を主に説明する。第2の実施形態のスポンジたわしが第1の実施形態のスポンジたわしと異なるのは、スポンジたわしの全体をネットで覆う点であり、ネットで覆われるスポンジたわし自体(以下、スポンジたわし本体と呼ぶ)は、第1の実施形態におけるスポンジたわし100と同一である。
【0050】
図9は、第2の実施形態に係るスポンジたわし300の構成を示す斜視図である。なお、
図1と同一の箇所には同一の符号を付す。スポンジたわし300は、ウレタンフォーム製のスポンジたわし本体100と、スポンジたわし本体100の全体を覆うネット301とを有する。ネット301は、例えばナイロン、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン等の樹脂繊維を編み込んで形成される。
【0051】
ネット301は、単一の種類の繊維を用いて形成することもできるが、機能の異なる複数の繊維を用いて形成してもよい。具体的には、例えば石鹸カスなどの嵩高い汚れを効率的に掻き取るポリエチレンテレフタレート等のプラスチックからなる平糸と、洗浄具と被洗浄面が密に接しないと掻き取れない皮脂のような汚れに対して洗浄力を発揮するナイロン、ポリエステル、ポリプロピレン、アクリル等の樹脂繊維からなる糸を編み込んで、ネット301を形成してもよい。このようにスポンジたわし300の表面の素材がネットになることで、様々な汚れを容易に洗浄することができる。また、樹脂繊維として、マイクロファイバを用いてもよい。マイクロファイバの各微細繊維が、汚れを掻き取るので、より高い洗浄能力を得ることができる。
【0052】
編み方は特に限定されない。キッチン用途で用いられている種々のネットスポンジで用いられる編み方に限らず、払拭部材として使用できる編み方であれば限定されない。また、ネット全体に均一な編み方である必要はなく、場所により編み方を変更したり、場所により使用する繊維を変更することも可能である。なお、ネット301は、ループの集合で平面を構成する編み方に限らず、平織り等の織物で構成することも可能である。
【0053】
ネット301は、例えば、丸編みによって、円筒形に形成され、一端部を閉じ、他端部が開口された袋状に構成される。その袋状の開口部からスポンジたわし本体100を挿入し、開口部を縫合することで、ネット301とスポンジたわし本体100とを一体化することができる。こうして完成したスポンジたわし本体300は、前端部および後端部に左右方向に縫合部302を有する。なお、ネットの形状や、縫合の場所に特に限定はない。平坦なシート状のネットを形成することも可能であるし、たわし本体100の側面部に縫合部を形成することも可能である。
【0054】
さらに、スポンジたわし本体100の薄手部2の上面と傾斜面30とが交差する部位(薄手部2の付け根)において、スポンジたわし本体100を貫通してネット301の上面と下面とが左右方向所定長さにわたって縫合され、スポンジたわし300はここにも縫合部303を有してもよい。これによりネット301に引張力が作用し、スポンジたわし本体100の傾斜面を含む全域にわたり、ネット301をスポンジたわし本体100の表面にほぼ密着させることができる。これにより、ネットで覆った場合にもスポンジの形状が外部から明らかとなる。すなわち、ネット301は、スポンジたわし本体100の厚手部1の上面10、薄手部2の上面20および傾斜面30に沿って厚手部1と薄手部2の全体を覆うようになる。したがって、使用時にスポンジたわし本体100からネット301がずれることを防止でき、使用感に優れたネット付きスポンジたわし300として構成することができる。また、縫合部303のくぼみの存在により、指を置きやすくなったり、スポンジたわし本体100を折り曲げ易くできる。以上説明したように、第2の実施形態のスポンジたわしでは、スポンジたわしの全体をネットで覆うことにより、さらに、洗浄機能を向上することができる。
【0055】
上記実施形態に係るスポンジたわし100,300は、更に、種々の変形が可能である。例えば、スポンジたわし100の第1洗浄面101および第2洗浄面102の少なくとも一方の面に、ウレタンフォームとは異なる材質からなる種々の部材、例えば研磨剤入り不織布やメッシュ、フィルム、布、あるいは他のフォーム層を貼り付けるようにしてもよい。また、スポンジたわし100を色や硬さの異なる複数のフォーム層、あるいは上述したような、ウレタンフォームと異なる材質の層と組み合わせた多層構造としてもよい。
【0056】
第1部分としての厚手部1が上面10(第1面)と上面10に対向する下面11(第1対向面)とを有し、第2部分としての薄手部2が上面20(第2面)と上面20に対向する下面21(第2対向面)とを有し、上面10と下面11との間の厚さH1(第1厚さ)は、上面20と下面21との間の厚さH2(第2厚さ)よりも厚く、下面11と下面12とが連続した平坦面をなし、上面10と上面20とが傾斜面30を介して接続されるのであれば、スポンジたわしの形状はいかなるものでもよい。すなわち、厚手部1の上面10を下面11に平行な平坦面とし、薄手部2の上面20を下面21に平行な平坦面としたが、上面10,20は下面11,21と平行でなくてもよい。例えば上面10,20を湾曲形状としてもよく、前後方向に傾斜した形状としてもよい。上面10,20を傾斜させる場合、その傾斜角は傾斜面30の傾斜角θよりも小さいことが好ましい。
【0057】
スポンジたわしに着脱可能に取っ手を取り付け、取っ手を把持してスポンジたわしを使用するようにしてもよい。例えばトイレ用たわしのように、スポンジたわし100の後面7から棒状の取っ手を突設してもよい。手持ちモップのように、スポンジたわし100の上面10に取っ手を設けるようにしてもよい。スポンジたわしを折り曲げやすくするために、例えばスポンジたわし100の薄手部2の付け根の幅方向中央部に、幅方向所定長さの窪みを設けるようにしてもよい。前後方向に所定長さの窪みを設けるようにしてもよく、前後方向斜めに窪みを設けるようにしてもよい。
【0058】
スポンジたわし100の前後方向中央部に厚手部1を設け、その厚手部1の前端および後端から傾斜部3を介してそれぞれ薄手部2を設けるようにして、スポンジたわしを前後方向対称形状としてもよい。厚手部1を中心としてその周囲に全周にわたって薄手部2を設け、スポンジたわし全体を円盤状に形成してもよい。この場合、厚手部1の中心に上下方向に貫通する円形貫通孔を設け、スポンジたわし全体をドーナツ状に形成してもよい。
【0059】
上記実施形態では、スポンジたわし100の下面11,21(第1洗浄面101)を連続した平坦面とした。ここで、平坦面とは、凹凸のない厳密な意味での平坦面だけでなく、スポンジたわしの全体的な厚さを変化させないように構成した面も平坦面に含まれる。したがって、第1洗浄面101に、波型等の凹凸部を全体にわたって形成してもよく、エンボスパターンを形成してもよい。第1洗浄面101に変えて第2洗浄面102に、あるいは第1洗浄面101と第2洗浄面102の両方に、全体にわたり凹凸部を形成してもよい。
【0060】
スポンジたわし100の上下面10,11,20,21と、左右側面4,5と、前後面6,7とが交差する角部の少なくともいずれかを、円弧状に形成してもよい。厚手部1の左右側面4,5の上下方向中央部に、後面7から前方にかけて所定長さのくびれ部を設けるようにてもよい。上記実施形態では、スポンジたわし100,300を平面視矩形状としたが、他の形状としてもよい。上記実施形態では、スポンジたわし100に厚手部1と薄手部2とを設け、スポンジたわしの厚さを2段階に変化させるようにしたが、厚手部1と薄手部2との間に厚手部1の厚さH1よりも薄く、かつ、薄手部2の厚さH2よりも厚い中間部を設け、スポンジたわし100の厚さを3段階以上に変化させてもよい。
【0061】
以上では、スポンジたわしを主に浴室で用いる場合について述べたが、本発明のスポンジたわしは、浴室だけでなく、台所や屋外等、種々の場所で用いることができる。また、浴槽やシャワーホースの洗浄に限らず、食器等を洗浄する場合にも用いることができる。
【0062】
以上の説明はあくまで一例であり、本発明の特徴を損なわない限り、上述した実施形態および変形例により本発明が限定されるものではない。上記実施形態および変形例の構成要素には、発明の同一性を維持しつつ置換可能かつ置換自明なものが含まれる。すなわち、本発明の技術的思想の範囲内で考えられる他の形態についても、本発明の範囲内に含まれる。また、上記実施形態と変形例の1つまたは複数を任意に組み合わせることも可能である。