特許第6591152号(P6591152)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6591152フレネルレンズ光学系及びこれを用いた照明装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6591152
(24)【登録日】2019年9月27日
(45)【発行日】2019年10月16日
(54)【発明の名称】フレネルレンズ光学系及びこれを用いた照明装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 3/08 20060101AFI20191007BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20191007BHJP
   F21V 5/04 20060101ALI20191007BHJP
   F21V 3/00 20150101ALI20191007BHJP
   F21V 3/02 20060101ALI20191007BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20191007BHJP
【FI】
   G02B3/08
   F21S2/00 215
   F21V5/04 650
   F21V3/00 320
   F21V3/02 500
   F21Y115:10
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-206854(P2014-206854)
(22)【出願日】2014年10月8日
(65)【公開番号】特開2016-75833(P2016-75833A)
(43)【公開日】2016年5月12日
【審査請求日】2017年7月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】399048917
【氏名又は名称】日立グローバルライフソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098660
【弁理士】
【氏名又は名称】戸田 裕二
(72)【発明者】
【氏名】村田 誠治
(72)【発明者】
【氏名】別井 圭一
【審査官】 山▲崎▼ 和子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−204085(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0080198(US,A1)
【文献】 特開2013−057874(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 1/00−1/08
3/00−3/14
F21V 1/00−8/00
9/00−15/04
F21S 2/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源に対向するよう配置され、複数の溝状の輪帯を備えた光学素子において、
各輪帯は入射面と、出射面に対して略垂直な側面とで構成され、
前記各輪帯の入射面の傾斜角度が、該光学素子の中央の輪帯では小さく、外周側に存在
する輪帯では大きくなるように変化する第一の領域を備え、
該第一の領域の外側に存在する、最も中央側の輪帯の入射面の傾斜角度が、該第一の領
域の最外周の輪帯の入射面の立ち上がり角度よりも小さい光学素子。
【請求項2】
請求項1に記載の光学素子であって、
該出射面にシボ加工が施されていることを特徴とする光学素子。
【請求項3】
請求項1または2に記載の光学素子であって、
輪帯の断面が直線で構成されていることを特徴とする光学素子。
【請求項4】
請求項1からのいずれか一項に記載の光学素子と、反射部と、光源と、筐体とを有する照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源の配光分布を変更するフレネルレンズ光学系に関するものである。
【背景技術】
【0002】
フレネルレンズに関する技術として、例えば、特許文献1に記載のものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−190788号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
シーリングライトやベース照明等の照明装置の光源として、環境への配慮や低消費電力化のために、従来の蛍光灯や白熱電球に代えてLED(Light Emitting Diode、発光ダイオード)が使用されつつある。LED光源は、従来の蛍光灯や白熱電球と異なる配光分布を有しており、光源の正面に向かって最も光度が高く、直交する方向、すなわち水平な方向に向かっては非常に暗い特徴がある。このように、LEDは指向性が高い光源であることから、従来の照明器具に搭載した際に、光り方が違うために、異なった照明環境になってしまう懸念がある。
【0005】
従来のスポットライトやビーム電球では、白熱電球のように、フィラメントが発光する光源と、発光光束を集光する鏡面ミラーとレンズを組み合わせて光学系が構成されていた。この光学系を用いて、光源をLEDに置き換えた場合、白熱電球とLED光源の指向性が異なることから、適切な配光分布が得られず、かつ効率も低くなる課題がある。この課題を解決するためには、新規に専用の光学系を開発する必要がある。
【0006】
たとえば、光源の発光光束を集光する方式として、フレネルレンズを利用した光学系がある。フレネルレンズは、レンズ表面を同心円上の輪帯で裁断し、略平面に落とし込んだ形状をしている。それぞれの輪帯で光線が屈折され、レンズ効果を得る仕組みになっている。
【0007】
上記特許文献1では、光源からの光の方向を変える光学素子であって、該光学素子の中心の周りの屈折レンズ部とその外側の反射体部を備え、該屈折レンズ部は該光源からの光を屈折させて前方に照射し、該反射体部は、該光源からの光を全反射させて前方に照射させるように構成され、該光学素子の中心と該光源の中心を結ぶ線を光軸として、該屈折レンズ部の該中心付近の焦点距離は、該光源の中心位置までの光軸上の距離よりも小さく、該屈折レンズ部の周縁部分の焦点距離は、該光源の中心位置までの光軸上の距離よりも大きくなるように構成された光学素子を開示している。
【0008】
上記特許文献1に記載の構成では、屈折レンズ部の該中心付近の焦点距離は、該光源の中心位置までの光軸上の距離よりも小さく、該屈折レンズ部の周縁部分の焦点距離は、該光源の中心位置までの光軸上の距離よりも大きいため、出射光束は、屈折レンズ部の中心付近では集光し、周縁部では発散する分布になる。この構成では、中心付近の集光する光束は、出射面から十分に離れた位置では光源の結像位置を越えて発散光束となる。光線を集光する方向に屈折させる場合、屈折角度が大きいほど、入射面と入射光線の角度が浅くなり、フレネル反射が発生しやすく、透過率が低下するため最大光度が低下してしまう。つまり、屈折レンズ部の内側では屈折角度が大きいため、光学素子の入射面と入射光線の角度が浅くなり、フレネル反射が発生しやすく、透過率が低下するため最大光度が低下してしまう課題がある。また、屈折レンズ部の外側に集光機能を有する反射体部を設けることで最大光度を向上できるが、反射体部が追加される光学素子が大きくなってしまう課題がある。
【0009】
本発明は、上記従来技術の課題に鑑みて為されたものであり、その目的は、光源からの光束を集光させながら、高効率で最大光度が高い光学系を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題は、例えば、特許請求の範囲に記載の発明により解決される。
【0011】
より具体的には、本発明に係る光学系は、光源に対向するよう配置され、複数の溝状の輪帯を備えた光学素子において、
各輪帯は入射面と、出射面に対して略垂直な側面とで構成され、前記各輪帯の入射面の立ち上がり角度が、光学素子の中央の輪帯では小さく、外周側に存在する輪帯では大きくなるように変化する第一の領域を備え、該第一の領域の外側に存在する、最も中央側の輪帯の入射面の立ち上がり角度が、第一の領域の最外周の輪帯の入射面の立ち上がり角度よりも小さい光学素子である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、光源からの光束を集光させながら、高効率で最大光度が高い光学系を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明に係る光学素子を搭載した照明装置の一例を示す断面図。
図2】本発明に係る光学素子を示す俯瞰図。
図3】本発明に係る光学素子の断面図。
図4】本発明に係る光学素子の輪帯の断面図。
図5】本発明に係る光学素子の輪帯と光路の一例。
図6】本発明に係る光学素子の輪帯の断面図。
図7】第一の実施例に係る光学素子の輪帯の入射面の傾斜角度の分布の一例。
図8】第二の実施例に係る光学素子の輪帯の入射面の傾斜角度の変化率分布の一例。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について、添付の図面を参照して説明する。
【0015】
実施の形態では、光学素子の各輪帯の入射面の立ち上がり角度が、光学素子の中央側が小さく、外周側の方が大きくなるように変化する領域と、最外周に至るまでの間に、隣り合う輪帯であって、外周側の入射面の方が中央側の入射面よりも立ち上がり角度が小さくなる箇所が存在する構成によって、所望のビーム角度に狭めながら、最大光度が高い配光分布を得るために好適な技術について説明する。
【0016】
なお、以下の説明は、本発明の一実施形態を説明するためのものであり、本発明の範囲を制限するものではない。従って、当業者であればこれらの各要素若しくは全要素をこれと同等なものに置換した実施形態を採用することが可能であり、これらの実施形態も本発明の範囲に含まれる。
【実施例1】
【0017】
図1図2図3図4図5を用いて、第一の実施例を説明する。ここで、図1は、本発明に係る光学素子を搭載した照明装置の一例の断面図を示している。図1では、光源基板11、反射手段2、光学素子3、筐体4、ソケット5から構成された照明装置を示している。
【0018】
筐体4は、剛性が高い構造になっており、光源基板11、反射手段2、光学素子3を支持している。筐体4は、光源基板11に電力を供給するための電源回路を有しており、ソケット5に供給された電力を光源1に適切に配分するための回路を持つ。筐体4は、光源基板11、および電源からの熱を逃がす構成となっており、放熱性が高い素材で出来ている。場合によっては、放熱性の塗料を表面に塗布していても良い。
【0019】
光源基板11は、少なくとも一つ以上の光源1を搭載している。光源1には、例えばLEDを用いることができ、光源1に対向するように配置される光学素子3に向けて光束を出射させる。光源1には様々な種類の光源を選ぶことができるが、例えば白色光を出射する白色LEDを用いることができる。
【0020】
白色LEDの構成の一例を説明する。電力を受けて青色光を発光するLEDチップと、該LEDチップからの青色光のエネルギーを受けて励起され、緑色から赤色にかけた波長領域のスペクトルで発光する蛍光体から構成されている。蛍光体は、LEDチップを封止するための樹脂に混ぜられていても良い。また、蛍光体は、赤色と、緑色の光を発光するような、複数の蛍光体を混ぜ、それらが励起して発光した際に黄色に見える発光スペクトルを有するようにすることもできる。当然、蛍光体の発光スペクトルを変更して異なる色温度で発光するように調整されていても良い。さらに、1つのLEDにおいて、複数の発光チップを搭載した大光量タイプのLEDを利用してもよい。複数のLEDチップを搭載したLEDでは、LEDの発光面(光放出面)の中心を規準にして対称となるように、LEDチップを例えば矩形状、同心円状に配置することが好ましいが、配置はこれに限定されるものではない。
【0021】
また光源1には、配光の調整や光の取り出し効率を改善するためのレンズやリフレクタなどの光学部品が備えられていてもよい。かかる光学部品として、例えば、透過性を有する材質で成形された凸レンズや、金属蒸着されたミラー、あるいは全反射を利用したリフレクタをチップ周辺部に設けるなどの構成をとることができる。
【0022】
光源1は光源基板11に実装される。図1では光源基板11上に、側面からは光源が3つ確認される構成を図示しているが、必要に応じて複数の光源1が実装されてよく、光源1の個数は制限されない。
【0023】
また光源基板11は、光源1の他に、供給される電力を、所望の電力に調整して光源1に供給するための駆動回路(ドライバ)と配線、または光源1への電流量、あるいは電圧を制御するための制御回路などの電子部品や電気回路と接続されている。
【0024】
光源1は、異なる性能を有する光源1が複数配置されていても良い。例えば、発光色が異なる光源1を複数有し、それぞれの発光色で独立した系統の回路で駆動できる構成とすれば、それぞれの系統に入力する電力を制御することによって、それぞれの光源1から出射する発光色ごとに光量を調整することが出来るようになるので、出射光の発光色を調整可能な光学系、および照明装置を提供できる。
光源基板1の表面の光学特性は、吸収が少ないことが望ましい。
【0025】
反射手段2は、光源1から光学素子3に直接到達しない光束を反射させ、光学素子3に到達させて出射させる機能を有する。反射手段2は、反射特性を持つ素材で構成されている。素材には、例えば、鏡面を持つ金属製、あるいは誘電体多層膜で構成されるミラーであってもよいし、白色の拡散特性を有する樹脂や、表面に微細な凹凸がある金属面であってもよい。反射手段2は、一般的にわずかではあるものの吸収特性を有するため、照明装置の出射効率を高めるためには、光源1から出射する光束は直接光学素子3に入射させることが望ましい。反射手段2の形状は、光源基板11側が小さく、光学素子3側に向かって広がっている形状であり、円錐面であっても良いし、曲面であってもよい。
【0026】
このような形状であれば、反射手段2によって反射した光束は、光学素子3に向かう光束が増加するため、光源1から出射した光束を効果的に光学素子3に導くことができ、照明装置としての効率を高める効果を発揮する。
【0027】
図2図3を用いて光学素子3について説明する。
【0028】
図2は、光学素子3の俯瞰図、図3は光学素子3の断面図である。
【0029】
光学素子3は、中央にレンズ31が設けられ、少なくとも1つ以上の輪帯32を備える。光学素子3の材質は透明であり、例えば樹脂やガラスなどで成型される。成型方法には、金型を用いた射出成型を利用することが出来る。
【0030】
輪帯32は略同心円上に配置され、溝状になっている。レンズ31と複数の輪帯32によって、光源1からの光束を屈折し、所望の配光で出射させる。
【0031】
照明装置に使用する際には、メンテナンス性質の観点から、レンズ31、輪帯32の形状は光源1側に成型される。また光学素子3には、筐体と組み付けるための保持部、例えば爪や位置決めのダボを設けていても良い。
【0032】
図4は輪帯32の構成を示しており、入射面321、側面322から構成されている。
【0033】
図5は、輪帯32に到達した、光源1からの光線6の光路を示している。入射面321に入射した光線6は、入射面321で屈折され、光学素子3の内部を透過して出射面33に導かれ、出射面33で再度屈折することによって、出射面33から出射する。
【0034】
この出射角度は、光源1から輪帯32に向かう光線6の出射角度と、輪帯32の入射面の傾斜角度αkによって決まる。ここで、αkは中央から数えてk番目(kは自然数)の輪帯32の入射面321の傾斜角度を示しており、光線6がk番目の輪帯32に入射した例として説明している。
【0035】
側面322は傾斜が急であり、出射面33に対して略垂直になっている。出射面33の法線に対する傾斜角度をβkとしたとき、βkは大きければ成型時の金型から外れやすく、製造性が良好である。
【0036】
入射面321、側面322の切り替わり部には、製造方法によってはRが付いてしまう。金型で成型する場合、金型の寿命を長くするためには、製造時に金型の欠けを防ぐためRを設けたほうが良く、光学性能を優先する場合には、光線が乱れる原因となるためRは極力小さくすることが望ましい。これは、製造能力、および光学素子3に求める光学特性によって適宜選択すればよい。
【0037】
図6を用いて、第一の実施例について説明する。
【0038】
本実施例は、図6に示すように、光源に対向するよう配置され、複数の溝状の輪帯32を備えた光学素子3において、各輪帯32は入射面321と、出射面33に対して略垂直な側面322とで構成され、前記各輪帯32の入射面321の立ち上がり角度が、光学素子3の中央の輪帯32では小さく、外周側に存在する輪帯32では大きくなるように変化する第一の領域71を備え、該第一の領域71の外側に存在する、最も中央側の輪帯32の入射面321の立ち上がり角度が、第一の領域71の最外周の輪帯32の入射面321の立ち上がり角度よりも小さい光学素子3を示している。
【0039】
図7に本実施例の各輪帯32の入射面の傾斜角度の分布を示す。横軸は、光学素子3上の位置で、光源から見込んだ方向である。本実施例では、第一の領域71では、輪帯32の傾斜角度が単調増加する構成になっており、中央側の第一の領域71では集光効果を持たせ、第一の領域71の外周側の輪帯32が存在する第二の領域72では、第一の領域よりも集光効果を弱め、入射面321の傾斜角度を、第一の領域71の最外周の輪帯32の入射面321の傾斜角度よりも小さくして、輪帯32の幅が小さくなることを防ぐ構成になっている。
【0040】
光源1から第二の領域72のように比較的外周側の輪帯32に到達する入射光は、出射面33に対して比較的浅い角度で輪帯32に向かう。入射面321に対しても浅い角度で入射する位置関係である。入射角度が浅ければ、屈折率が異なる界面でフレネル反射が発生してしまうため、入射面321に透過できる光束が現象してしまう。その結果、光学素子3の出射効率が低下する。また、入射面321で屈折させ意図した方向に出射させようとした光束が減ってしまうため、光学素子3の配光を変換する効果が低下してしまう。
【0041】
また、光線の方向を変更する角度が大きいほど、入射面321の傾斜角度は大きくなる性質があるため、第二の領域72では出射角度を狭めて集光させようとすると、入射面321の傾斜角度が大きくなる。入射面321の傾斜角度が大きくなり立ち上がると輪帯32の幅が狭くなる、あるいは輪帯32の深さが深くなってしまうため、金型形状の転写性の低下などで、意図した形状に仕上げることが難しくなる。すなわち、第二の領域72では集光機能が強い輪帯32を成型しようとすると、製造が非常に難しい。
【0042】
本実施例の構成であれば、上記の課題を解決できるため、出射効率が高い光学素子3を提供できる。
【実施例2】
【0043】
図8を用いて、第二の実施例を説明する。
【0044】
本実施例に係る光学素子3は、光源1に対向するよう配置され、複数の溝状の輪帯32を備えた光学素子3において、各輪帯32は入射面321と、出射面33に対して略垂直な側面322とで構成され、前記各輪帯32の入射面321の立ち上がり角度が、光学素子3の中央の輪帯32では小さく、外周側に存在する輪帯32では大きくなるように変化する第一の領域71を備え、該第一の領域71の外側に存在する、最も中央側の輪帯32の入射面321の立ち上がり角度が、第一の領域71の最外周の輪帯32の入射面321の立ち上がり角度よりも小さいことを特徴とする光学素子3であって、第一の領域71の内部において、隣り合う輪帯32の入射角度の変化率が正方向のピーク8を持つことを特徴とする光学素子である。
【0045】
光学素子3の外側の領域で配光を広げようとすると、光源1から輪帯32に向かう光線が光学素子3の対称軸に対して角度がついているため、正面方向に向かう光束が少ない。そのため、正面に向かう光束が減るためリング状の配光分布になる傾向があり、配光分布を十分に狭めなければ起伏が発生する。
【0046】
本実施例の構成であれば、上記の課題を解決することが可能である。第一の領域71の内側の領域711が、外側の領域712よりも輪帯32の入射面321の傾斜角度を浅くすることができ、中央側の領域711に入射した光束はリング状の配光分布になることなく比較的広い配光分布にすることが出来る。また、第一の領域71の外側の領域712では、正面側に比較的強く集光させることが出来るため最大光度を高くできる。第二の領域72では、輪帯32の入射角度は浅く、輪帯32の幅は比較的大きいので、出射効率は高い。したがって、本実施例の構成であれば、出射効率が高く、起伏がない良好な配光特性を有する光学素子3を提供できる。特に、配光分布の起伏を抑えるために配光を狭めなければならない制約を緩和するために好適な構成である。
【実施例3】
【0047】
本実施例に係る光学素子3は、第1から2の実施例に記載のいずれかの光学素子3であって、出射面33にシボ加工が施されている光学素子3である。
【0048】
本実施例の光学素子3は、透過率を高めるために入射面321の傾斜角度が浅く、輪帯32の幅が大きくなる。そのため、光源1からの一つの輪帯32に入射し、光学素子3から出射する光束は、少なくとも光学素子3の出射面33の近傍では、略輪帯32の幅のリング状の光束となっている。出射面33から十分に離れた位置を照射した場合には、配光分布に従った滑らかな照度分布になるが、十分に離れていない場合には、出射面33上のリン状の照度ムラが残る場合がある。本実施例の構成であれば、それぞれの輪帯32による出射面33上のリング状の照度分布が、光学素子3の表面33のシボによってぼけるため、照射面が出射面33から近くであっても、滑らかな配光分布の光学素子3を提供できる。
【実施例4】
【0049】
本実施例に係る光学素子3は、第1から3の実施例に記載のいずれかの光学素子3であって、輪帯32の断面が直線で構成されている光学素子3である。
【0050】
本実施例の光学素子3であれば、ある一つの輪帯32は、光源1を結像しない。したがって、光学素子3の出射光束が光源1の像を結ぶことが緩和され、照射面に光源1の配置、もしくは光源1の発光強度の分布を照射面に映し出さない滑らかな照度分布の光学素子3を提供することが出来る。
【実施例5】
【0051】
本実施例に係る照明装置は、図1に示すように、第1から4に記載のいずれかの光学素子3と、反射部2と、光源1と、筐体4から構成される照明装置である。
【0052】
本実施例の照明装置であれば、上述の実施例の光学素子3の特性を持つ照明装置を構成でき、特に光源1からの光束を集光し、配光を狭くする照明装置において、滑らかでかつ起伏がない良好な配光分布を保ちながら、高い最大光度の照明装置を提供できる。
【0053】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【符号の説明】
【0054】
1…光源、11…光源基板、2…反射手段、3…光学素子、31…レンズ、32…輪帯、321…入射面、322…側面、33…出射面、4…筐体、5…ソケット、6…光線、71…第一の領域、711…第一の領域の内側の領域、712…第一の領域の外側の領域、72…第二の領域、8…入射面の傾斜角度の変化率のピーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8