【実施例1】
【0017】
図1、
図2、
図3、
図4、
図5を用いて、第一の実施例を説明する。ここで、
図1は、本発明に係る光学素子を搭載した照明装置の一例の断面図を示している。
図1では、光源基板11、反射手段2、光学素子3、筐体4、ソケット5から構成された照明装置を示している。
【0018】
筐体4は、剛性が高い構造になっており、光源基板11、反射手段2、光学素子3を支持している。筐体4は、光源基板11に電力を供給するための電源回路を有しており、ソケット5に供給された電力を光源1に適切に配分するための回路を持つ。筐体4は、光源基板11、および電源からの熱を逃がす構成となっており、放熱性が高い素材で出来ている。場合によっては、放熱性の塗料を表面に塗布していても良い。
【0019】
光源基板11は、少なくとも一つ以上の光源1を搭載している。光源1には、例えばLEDを用いることができ、光源1に対向するように配置される光学素子3に向けて光束を出射させる。光源1には様々な種類の光源を選ぶことができるが、例えば白色光を出射する白色LEDを用いることができる。
【0020】
白色LEDの構成の一例を説明する。電力を受けて青色光を発光するLEDチップと、該LEDチップからの青色光のエネルギーを受けて励起され、緑色から赤色にかけた波長領域のスペクトルで発光する蛍光体から構成されている。蛍光体は、LEDチップを封止するための樹脂に混ぜられていても良い。また、蛍光体は、赤色と、緑色の光を発光するような、複数の蛍光体を混ぜ、それらが励起して発光した際に黄色に見える発光スペクトルを有するようにすることもできる。当然、蛍光体の発光スペクトルを変更して異なる色温度で発光するように調整されていても良い。さらに、1つのLEDにおいて、複数の発光チップを搭載した大光量タイプのLEDを利用してもよい。複数のLEDチップを搭載したLEDでは、LEDの発光面(光放出面)の中心を規準にして対称となるように、LEDチップを例えば矩形状、同心円状に配置することが好ましいが、配置はこれに限定されるものではない。
【0021】
また光源1には、配光の調整や光の取り出し効率を改善するためのレンズやリフレクタなどの光学部品が備えられていてもよい。かかる光学部品として、例えば、透過性を有する材質で成形された凸レンズや、金属蒸着されたミラー、あるいは全反射を利用したリフレクタをチップ周辺部に設けるなどの構成をとることができる。
【0022】
光源1は光源基板11に実装される。
図1では光源基板11上に、側面からは光源が3つ確認される構成を図示しているが、必要に応じて複数の光源1が実装されてよく、光源1の個数は制限されない。
【0023】
また光源基板11は、光源1の他に、供給される電力を、所望の電力に調整して光源1に供給するための駆動回路(ドライバ)と配線、または光源1への電流量、あるいは電圧を制御するための制御回路などの電子部品や電気回路と接続されている。
【0024】
光源1は、異なる性能を有する光源1が複数配置されていても良い。例えば、発光色が異なる光源1を複数有し、それぞれの発光色で独立した系統の回路で駆動できる構成とすれば、それぞれの系統に入力する電力を制御することによって、それぞれの光源1から出射する発光色ごとに光量を調整することが出来るようになるので、出射光の発光色を調整可能な光学系、および照明装置を提供できる。
光源基板1の表面の光学特性は、吸収が少ないことが望ましい。
【0025】
反射手段2は、光源1から光学素子3に直接到達しない光束を反射させ、光学素子3に到達させて出射させる機能を有する。反射手段2は、反射特性を持つ素材で構成されている。素材には、例えば、鏡面を持つ金属製、あるいは誘電体多層膜で構成されるミラーであってもよいし、白色の拡散特性を有する樹脂や、表面に微細な凹凸がある金属面であってもよい。反射手段2は、一般的にわずかではあるものの吸収特性を有するため、照明装置の出射効率を高めるためには、光源1から出射する光束は直接光学素子3に入射させることが望ましい。反射手段2の形状は、光源基板11側が小さく、光学素子3側に向かって広がっている形状であり、円錐面であっても良いし、曲面であってもよい。
【0026】
このような形状であれば、反射手段2によって反射した光束は、光学素子3に向かう光束が増加するため、光源1から出射した光束を効果的に光学素子3に導くことができ、照明装置としての効率を高める効果を発揮する。
【0027】
図2、
図3を用いて光学素子3について説明する。
【0028】
図2は、光学素子3の俯瞰図、
図3は光学素子3の断面図である。
【0029】
光学素子3は、中央にレンズ31が設けられ、少なくとも1つ以上の輪帯32を備える。光学素子3の材質は透明であり、例えば樹脂やガラスなどで成型される。成型方法には、金型を用いた射出成型を利用することが出来る。
【0030】
輪帯32は略同心円上に配置され、溝状になっている。レンズ31と複数の輪帯32によって、光源1からの光束を屈折し、所望の配光で出射させる。
【0031】
照明装置に使用する際には、メンテナンス性質の観点から、レンズ31、輪帯32の形状は光源1側に成型される。また光学素子3には、筐体と組み付けるための保持部、例えば爪や位置決めのダボを設けていても良い。
【0032】
図4は輪帯32の構成を示しており、入射面321、側面322から構成されている。
【0033】
図5は、輪帯32に到達した、光源1からの光線6の光路を示している。入射面321に入射した光線6は、入射面321で屈折され、光学素子3の内部を透過して出射面33に導かれ、出射面33で再度屈折することによって、出射面33から出射する。
【0034】
この出射角度は、光源1から輪帯32に向かう光線6の出射角度と、輪帯32の入射面の傾斜角度α
kによって決まる。ここで、α
kは中央から数えてk番目(kは自然数)の輪帯32の入射面321の傾斜角度を示しており、光線6がk番目の輪帯32に入射した例として説明している。
【0035】
側面322は傾斜が急であり、出射面33に対して略垂直になっている。出射面33の法線に対する傾斜角度をβ
kとしたとき、β
kは大きければ成型時の金型から外れやすく、製造性が良好である。
【0036】
入射面321、側面322の切り替わり部には、製造方法によってはRが付いてしまう。金型で成型する場合、金型の寿命を長くするためには、製造時に金型の欠けを防ぐためRを設けたほうが良く、光学性能を優先する場合には、光線が乱れる原因となるためRは極力小さくすることが望ましい。これは、製造能力、および光学素子3に求める光学特性によって適宜選択すればよい。
【0037】
図6を用いて、第一の実施例について説明する。
【0038】
本実施例は、
図6に示すように、光源に対向するよう配置され、複数の溝状の輪帯32を備えた光学素子3において、各輪帯32は入射面321と、出射面33に対して略垂直な側面322とで構成され、前記各輪帯32の入射面321の立ち上がり角度が、光学素子3の中央の輪帯32では小さく、外周側に存在する輪帯32では大きくなるように変化する第一の領域71を備え、該第一の領域71の外側に存在する、最も中央側の輪帯32の入射面321の立ち上がり角度が、第一の領域71の最外周の輪帯32の入射面321の立ち上がり角度よりも小さい光学素子3を示している。
【0039】
図7に本実施例の各輪帯32の入射面の傾斜角度の分布を示す。横軸は、光学素子3上の位置で、光源から見込んだ方向である。本実施例では、第一の領域71では、輪帯32の傾斜角度が単調増加する構成になっており、中央側の第一の領域71では集光効果を持たせ、第一の領域71の外周側の輪帯32が存在する第二の領域72では、第一の領域よりも集光効果を弱め、入射面321の傾斜角度を、第一の領域71の最外周の輪帯32の入射面321の傾斜角度よりも小さくして、輪帯32の幅が小さくなることを防ぐ構成になっている。
【0040】
光源1から第二の領域72のように比較的外周側の輪帯32に到達する入射光は、出射面33に対して比較的浅い角度で輪帯32に向かう。入射面321に対しても浅い角度で入射する位置関係である。入射角度が浅ければ、屈折率が異なる界面でフレネル反射が発生してしまうため、入射面321に透過できる光束が現象してしまう。その結果、光学素子3の出射効率が低下する。また、入射面321で屈折させ意図した方向に出射させようとした光束が減ってしまうため、光学素子3の配光を変換する効果が低下してしまう。
【0041】
また、光線の方向を変更する角度が大きいほど、入射面321の傾斜角度は大きくなる性質があるため、第二の領域72では出射角度を狭めて集光させようとすると、入射面321の傾斜角度が大きくなる。入射面321の傾斜角度が大きくなり立ち上がると輪帯32の幅が狭くなる、あるいは輪帯32の深さが深くなってしまうため、金型形状の転写性の低下などで、意図した形状に仕上げることが難しくなる。すなわち、第二の領域72では集光機能が強い輪帯32を成型しようとすると、製造が非常に難しい。
【0042】
本実施例の構成であれば、上記の課題を解決できるため、出射効率が高い光学素子3を提供できる。