特許第6591172号(P6591172)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6591172
(24)【登録日】2019年9月27日
(45)【発行日】2019年10月16日
(54)【発明の名称】太陽電池モジュールの設置構造
(51)【国際特許分類】
   E04D 13/18 20180101AFI20191007BHJP
   H02S 20/23 20140101ALI20191007BHJP
【FI】
   E04D13/18ETD
   H02S20/23 A
【請求項の数】5
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2015-29180(P2015-29180)
(22)【出願日】2015年2月18日
(65)【公開番号】特開2016-151139(P2016-151139A)
(43)【公開日】2016年8月22日
【審査請求日】2018年2月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】307042385
【氏名又は名称】ミサワホーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(72)【発明者】
【氏名】今井 友美
(72)【発明者】
【氏名】甲本 直輝
【審査官】 五十幡 直子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−332200(JP,A)
【文献】 国際公開第2015/008516(WO,A1)
【文献】 特開平10−122125(JP,A)
【文献】 特開2012−092630(JP,A)
【文献】 特開2001−271468(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0150251(US,A1)
【文献】 韓国登録特許第10−1324500(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04D 1/00−3/40
E04D 13/00−15/07
H02S 10/00−10/40
H02S 20/00−20/32
H02S 30/00−99/00
H01L 31/04−31/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一屋根面と、この第一屋根面よりも下方に延びる第二屋根面とを備えることによって軒先側端部が入隅部を有する形状とされた傾斜屋根面に複数の太陽電池モジュールを設置してなる太陽電池モジュールの設置構造において、
前記第一屋根面には、棟方向に間隔を空けるとともに傾斜方向に沿って複数の第一レール部材が設置され、前記複数の第一レール部材間には、当該複数の第一レール部材間に跨って、かつ傾斜方向に並んで複数の前記太陽電池モジュールが配置されており、
前記第二屋根面には、棟方向に間隔を空けるとともに傾斜方向に沿って、かつ前記第一レール部材よりも下方に延びる複数の第二レール部材が設置され、前記複数の第二レール部材間には、当該複数の第二レール部材間に跨って、かつ傾斜方向に並んで複数の前記太陽電池モジュールが配置されており、
前記第一屋根面と前記第二屋根面との境界付近において前記第一レール部材と前記第二レール部材との間には、これら第一レール部材と第二レール部材との間に跨って、かつ前記第一レール部材の長さ方向に並んで複数の前記太陽電池モジュールが配置されており、
前記第一レール部材と前記第二レール部材との間に跨る前記複数の太陽電池モジュールのうち傾斜方向の最下方に位置する太陽電池モジュールの軒先側端部は、前記第一レール部材と前記第二レール部材との間に架け渡された支持フレームによって支持されており、
前記最下方に位置する太陽電池モジュールと、前記第二レール部材との間には、両者を連結する連結部が取り付けられ、
前記連結部は、前記第二レール部材に固定されているとともに前記第二レール部材から前記第一屋根面側に突出し、かつ前記支持フレームよりも軒先側に位置し、当該連結部のうち、前記第二レール部材から前記第一屋根面側に突出し、かつ前記支持フレームよりも軒先側に位置している部分が前記支持フレームのうち傾斜方向の軒先側端面に固定されていることを特徴とする太陽電池モジュールの設置構造。
【請求項2】
請求項1に記載の太陽電池モジュールの設置構造において、
前記連結部には、前記第二レール部材に固定される台座部と、前記台座部に対して段差状に形成された本体部と、前記本体部の棟側端部から立設し、前記支持フレームに固定されるフレーム用固定部とが設けられていることを特徴とする太陽電池モジュールの設置構造。
【請求項3】
請求項2に記載の太陽電池モジュールの設置構造において、
前記本体部は上面視略L字状に形成されており、その長辺部の周囲には、前記台座部との段差を維持した状態で前記本体部を支持する支持部が形成されていることを特徴とする太陽電池モジュールの設置構造。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の太陽電池モジュールの設置構造において、
前記第二屋根面の前記入隅部側の側面には破風が取り付けられており、
前記第一屋根面には、当該第一屋根面上を流れる水を、軒先側端部に設けられた樋まで案内する水切部が取り付けられていることを特徴とする太陽電池モジュールの設置構造。
【請求項5】
請求項4に記載の太陽電池モジュールの設置構造において、
前記連結部の下面側に前記水切部が設けられ、前記連結部の上面に対し、前記連結部から軒先側に向けて延出するストッパーが取り付けられており、
前記連結部及び前記ストッパーの上面側に、当該連結部及びストッパーを覆うカバー部が設けられており、
前記カバー部の軒先側端部は、前記ストッパーの延出方向先端部に係合していることを特徴とする太陽電池モジュールの設置構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、略L型の傾斜屋根面に設置される太陽電池モジュールの設置構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、レール部材と固定部材とを用いて建物の屋根に太陽電池モジュールを取り付けるための取付治具が知られている(例えば、特許文献1等を参照)。
太陽電池モジュールは、屋根面に設置された複数のレール部材間に跨って配置され、固定部材によってレール部材上に固定される。
また、特に傾斜屋根に用いる場合は、レール部材の長さ方向下端部に設けられた固定部材によって、レール部材の長さ方向に沿って並ぶ複数の太陽電池モジュールを支持する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−271468号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、第一屋根面と、当該第一屋根面よりも下方に延びた第二屋根面とが隣接して備えられ、その軒先側端部が入隅構造となっている略L型の傾斜屋根面に太陽電池モジュールを取り付けることが想定される。この場合、第一屋根面には長さの短いレール部材が設置され、第二屋根面には長さの長いレール部材が設置される。
このような略L型の傾斜屋根面に太陽電池モジュールを設置する方法としては、第一屋根面と第二屋根面のそれぞれに複数の前記レール部材を設置して、各屋根面において複数のレール部材間に太陽電池モジュールを跨らせて配置することが考えられる。
【0005】
ところが、このような場合、第一屋根面と第二屋根面との間に太陽電池モジュールが設置されない無駄なスペースが生じてしまうため、太陽電池モジュールの搭載量を向上させにくい。そこで、第一屋根面と第二屋根面との間にも太陽電池モジュールを設置することが考えられる。しかし、第一屋根面と第二屋根面とでは長さの異なるレール部材が用いられているため、長さの長い第二屋根面側のレール部材の途中の位置で、太陽電池モジュールを固定しなければならず、レール部材の長さ方向下端部に設けられるような従来の固定部材では、長さの長いレール部材の途中位置で太陽電池モジュールを固定することが困難であった。
そのため、太陽電池モジュールの搭載量を向上させるために、長さの異なるレール部材間に跨るようにして太陽電池モジュールを設置するに際し、長さの長いレール部材の途中位置で太陽電池モジュールを確実に固定することができる技術の開発が望まれていた。
【0006】
本発明の課題は、略L型の傾斜屋根面であっても太陽電池モジュールをより多く設置することができ、太陽電池モジュールの搭載量を向上させることが可能な太陽電池モジュールの設置構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、例えば図1図14に示すように、第一屋根面4と、この第一屋根面4よりも下方に延びる第二屋根面5とを備えることによって軒先側端部が入隅部6を有する形状とされた傾斜屋根面3に複数の太陽電池モジュール7を設置してなる太陽電池モジュール7の設置構造において、
前記第一屋根面4には、棟方向に間隔を空けるとともに傾斜方向に沿って複数の第一レール部材8aが設置され、前記複数の第一レール部材間8aには、当該複数の第一レール部材8a間に跨って、かつ傾斜方向に並んで複数の前記太陽電池モジュール7が配置されており、
前記第二屋根面5には、棟方向に間隔を空けるとともに傾斜方向に沿って、かつ前記第一レール部材8aよりも下方に延びる複数の第二レール部材8bが設置され、前記複数の第二レール部材8b間には、当該複数の第二レール部材8b間に跨って、かつ傾斜方向に並んで複数の前記太陽電池モジュール7が配置されており、
前記第一屋根面4と前記第二屋根面5との境界付近において前記第一レール部材8aと前記第二レール部材8bとの間には、これら第一レール部材8aと第二レール部材8bとの間に跨って、かつ前記第一レール部材8aの長さ方向に並んで複数の前記太陽電池モジュール7が配置されており、
前記第一レール部材8aと前記第二レール部材8bとの間に跨る前記複数の太陽電池モジュール7のうち傾斜方向の最下方に位置する太陽電池モジュール7(7a)の軒先側端部は、前記第一レール部材8aと前記第二レール部材8bとの間に架け渡された支持フレーム50によって支持されており、
前記最下方に位置する太陽電池モジュール7(7a)と、前記第二レール部材8bとの間には、両者を連結する連結部40が取り付けられ、
前記連結部40は、前記第二レール部材8bに固定されているとともに前記第二レール部材8bから前記第一屋根面4側に突出し、かつ前記支持フレーム50よりも軒先側に位置し、当該連結部40のうち、前記第二レール部材8bから前記第一屋根面4側に突出し、かつ前記支持フレーム50よりも軒先側に位置している部分(フレーム用固定部43)が前記支持フレーム50のうち傾斜方向の軒先側端面に固定されていることを特徴とする。
【0008】
請求項1に記載の発明によれば、第一レール部材8aと第二レール部材8bとの間に跨る複数の太陽電池モジュール7のうち傾斜方向の最下方に位置する太陽電池モジュール7(7a)と、第二レール部材8bとの間には、両者を連結する連結部40が取り付けられているので、この連結部40によって、第二レール部材8bの長さ方向の途中位置で最下方に位置する太陽電池モジュール7(7a)を確実に固定できる。
これによって、従来とは異なり、略L型の傾斜屋根面3であっても太陽電池モジュール7をより多く設置することができるので、太陽電池モジュールの搭載量を向上させることが可能となる。
また、最下方に位置する太陽電池モジュール7(7a)は、支持フレーム50と連結部40の双方によって傾斜方向下方へのずれを防いだ状態となる。
これによって、当該最下方に位置する太陽電池モジュール7(7a)を含む、第一レール部材8aと第二レール部材8bとの間に跨る複数の太陽電池モジュール7を確実に支持することができる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、例えば図1図13に示すように、請求項1に記載の太陽電池モジュール7の設置構造において、
前記連結部40には、前記第二レール部材8bに固定される台座部41と、前記台座部41に対して段差状に形成された本体部42と、前記本体部42の棟側端部から立設し、前記支持フレーム50に固定されるフレーム用固定部43とが設けられていることを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の発明は、例えば図3図7図8に示すように、請求項2に記載の太陽電池モジュール7の設置構造において、
前記本体部42は上面視略L字状に形成されており、その長辺部の周囲には、前記台座部41との段差を維持した状態で前記本体部42を支持する支持部421が形成されていることを特徴とする。
【0013】
請求項4に記載の発明は、例えば図2図9図12に示すように、請求項1〜3のいずれか一項に記載の太陽電池モジュール7の設置構造において、
前記第二屋根面5の前記入隅部6側の側面には破風9が取り付けられており、
前記第一屋根面4には、当該第一屋根面4上を流れる水を、軒先側端部に設けられた樋10まで案内する水切部11が取り付けられていることを特徴とする。
【0014】
請求項4に記載の発明によれば、第一屋根面4には、当該第一屋根面4上を流れる水を、軒先側端部に設けられた樋10まで案内する水切部11が取り付けられているので、第一屋根面4上を流れる水が、第二屋根面5の入隅部6側に取り付けられた破風9に向かって流れることを防ぐことができる。
これによって、第一屋根面4上を流れる水が、第二屋根面5における破風9の内側に浸入することを防ぐことができるので、雨仕舞いを向上できる。
【0015】
請求項5に記載の発明は、例えば図2図10図12に示すように、請求項4に記載の太陽電池モジュール7の設置構造において、
前記連結部40の下面側に前記水切部11が設けられ、前記連結部40の上面に対し、前記連結部40から軒先側に向けて延出するストッパー70が取り付けられており、
前記連結部40及び前記ストッパー70の上面側に、当該連結部40及びストッパー70を覆うカバー部60が設けられており、
前記カバー部60の軒先側端部621は、前記ストッパー70の延出方向先端部71に係合していることを特徴とする。
【0016】
請求項5に記載の発明によれば、連結部40の下面側に水切部11が設けられ、連結部40及びストッパー70の上面側に、当該連結部40及びストッパー70を覆うカバー部60が設けられているので、カバー部60によって連結部40及びストッパー70に極力水がかからないようにでき、連結部40及びストッパー70にかかった水は水切部11によって樋10まで案内することができる。
これによって、第一レール部材8aと第二レール部材8bとの間に跨る複数の太陽電池モジュール7上を流れる水が、連結部40及びストッパー70の周囲から第一屋根面4や第二屋根面5の内側に浸入したり、第二屋根面5における破風9の内側に浸入したりすることを防ぐことができるので、より一層、雨仕舞いを向上できる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、第一屋根面と、この第一屋根面よりも下方に延びる第二屋根面とを備えることによって軒先側端部が入隅部を有する形状とされた略L型の傾斜屋根面であっても太陽電池モジュールをより多く設置することができ、太陽電池モジュールの搭載量を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】太陽電池モジュールの設置構造を示す斜視図である。
図2図1における楕円D部分を示す説明図であり、(a)は上面図、(b)は(a)におけるb−b切断面から見た断面図、(c)は(a)におけるc−c切断面から見た断面図である。
図3図1における楕円D部分の断面図である。
図4】水切部の概略構成を示す説明図であり、(a)は上面図、(b)は(a)の切断面から見た断面図、(c)は側面図である。
図5】水切部を野地板上に取り付けた状態を示す上面図である。
図6】水切部の板状部に対して面戸が重ねられた状態を示す上面図である。
図7】支持フレームおよび連結部が取り付けられた状態を示す上面図である。
図8】連結部の概略構成を示す説明図であり、(a)は上面図、(b)は側面図、(c)は正面図である。
図9】ストッパーが取り付けられた状態を示す上面図である。
図10】カバー部の概略構成を示す説明図であり、(a)は上面図、(b)は側面図、(c)は正面図である。
図11】太陽電池モジュールの取り付けレイアウトの変形例を示す模式図である。
図12図11に示す楕円D1部分の屋根構造の概略構成を示す上面図である。
図13】第二の補助水切部の概略構成を示す説明図であり、(a)は上面図、(b)は軒先側端部を示す正面図、(c)は棟側端部を示す背面図である。
図14】太陽電池モジュールの設置構造の他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る屋根構造を有する建物の概略構成を示す斜視図である。
図1に示すように建物1の屋根2(切妻式)を構成する傾斜屋根面のうち、例えば南側を向く一方の傾斜屋根面3は、第一屋根面4と、第一屋根面4よりも下方に延びる第二屋根面5とを備えることによって、軒先側端部が入隅部6を有する形状となっている。すなわち、傾斜屋根面3は、略L型に形成されている。
そして、第一屋根面4および第二屋根面5には、それぞれ複数の太陽電池モジュール7が屋根流れ方向に沿うように配列されている。また、これら複数の太陽電池モジュール7は、傾斜屋根面3の屋根流れ方向に沿って延在する複数のレール部材8a,8bによって傾斜屋根面3上に設置されている。
【0020】
複数のレール部材8a,8bには、第一屋根面4に設置される第一レール部材8aと、第二屋根面5に設置される第二レール部材8bとが含まれている。
第一屋根面4には、棟方向に間隔を空けるとともに傾斜方向に沿って複数の第一レール部材8aが設置されている。また、複数の第一レール部材8a間には、当該複数の第一レール部材8a間に跨って、かつ傾斜方向に並んで複数の太陽電池モジュール7が配置されている。
第二屋根面5には、棟方向に間隔を空けるとともに傾斜方向に沿って、かつ第一レール部材8aよりも下方に延びる複数の第二レール部材8bが設置され、複数の第二レール部材8b間には、当該複数の第二レール部材8b間に跨って、かつ傾斜方向に並んで複数の太陽電池モジュール7が配置されている。
そして、第一屋根面4と第二屋根面5との境界付近において第一レール部材8aと第二レール部材8bとの間には、これら第一レール部材8aと第二レール部材8bとの間に跨って、かつ第一レール部材8aの長さ方向に並んで複数の太陽電池モジュール7が配置されている。なお、これら第一レール部材8aと第二レール部材8bとに跨る複数の太陽電池モジュール7のうち、軒先側の最下方に位置する太陽電池モジュールの符号は、説明の便宜上7aとする。
図示はしないが、傾斜屋根面3の傾斜方向に並ぶ太陽電池モジュール7間には、棟方向に沿うレール部材が設けられているものとする。
【0021】
また、図示はしないが、第一レール部材8aおよび第二レール部材8bの傾斜方向下端部には、これら第一レール部材8aおよび第二レール部材8bの長さ方向に沿って並ぶ複数の太陽電池モジュール7(7a)を支持する固定部材が設けられている。
なお、固定部材の形状については特に限定されるものではない。すなわち、固定部材の構成および各レール部材8a,8bへの固定の形態が、複数の太陽電池モジュール7(7a)が傾斜屋根面3の傾斜方向の下方にずれることを防ぐものであればよい。
【0022】
図2は、図1における楕円D部分の屋根構造100を示す説明図であり、(a)は上面図、(b)は(a)のb−b切断面から見た断面図、(c)は(a)のc−c切断面から見た断面図である。図3は、図1における楕円D部分の断面図である。
図2および図3に示すように、第一屋根面4と第二屋根面5との境界近傍には、前述の複数のレール部材8a,8bのうち、一つの第二レール部材8bが配置されている。すなわち、複数の第二レール部材8bのうち、第一レール部材8aと隣り合う第二レール部材8bは、第二屋根面5上のうち第一屋根面4との境界に寄せて配置されている。
また、複数のレール部材8a,8bは、屋根パネル73の野地板72の上面に、防水シートを介して取り付けられている。防水シートは野地板72の全面に対して貼り付けられている。
複数のレール部材8a,8bには、第一屋根面4に取り付けられる太陽電池モジュール7を支持するための支持材81と、第二屋根面5に取り付けられる太陽電池モジュール7を支持するための支持材82とが設けられている。これによって、第一屋根面4との境界に寄せて配置された第二レール部材8bが、第一レール部材8aと第二レール部材8bとの間に跨る太陽電池モジュール7と、棟方向に隣り合う太陽電池モジュール7とを支持するようになっている。
なお、支持部81,82は、太陽電池モジュール7の縁を把持する構成とされている。
【0023】
また、第二屋根面5の入隅部6側の側面には破風9が取り付けられている。破風9の棟側の端部は、第一屋根面4の軒先側端部に対向している。
第一屋根面4の軒先には樋10が設けられている。樋10の破風9側の端部は、破風9に近接する位置に設けられている。つまり、第一屋根面4の軒先側端部の全体に対しては、樋10は取り付けられていない。
【0024】
また、第一屋根面4における入隅部6の近傍には、当該第一屋根面4上を流れる水を樋10まで案内する金属製の水切部11が設けられている。
図4は、水切部11の概略構成を示す説明図であり、(a)は上面図、(b)は(a)の切断面から見た断面図、(c)は側面図である。図5は、水切部11を野地板72上に取り付けた状態を示す上面図である。
図4および図5に示すように、水切部11は、板状部110と、水切先端部120と、係合部130と、防水壁140とを備えている。
【0025】
板状部110は、入隅部6に近接した位置で第一屋根面4上に重ねられている。
板状部110の軒先側端部には水切先端部120が設けられている。水切先端部120は、板状部110上を流れた水を樋10まで案内するため、板状部110に対して傾くように板状部110の軒先側端部から樋10に向けて延在している。
また、板状部110の棟側の周縁111および第二屋根面5とは反対側の周縁112は、上面に重なるように内側に向かって折り曲げられている。
【0026】
板状部110の第二屋根面5側には、係合部130が設けられており、この係合部130と水切先端部120との間には、板状部110上を流れる水を水切先端部120まで案内するための案内壁113が立設している。この案内壁113は、軒先側に向けて徐々に水切先端部120に近づくように傾いている。
【0027】
係合部130は、前記一つの第二レール部材8bに係合し、当該第二レール部材8bとの隙間を覆うようになっている。
防水壁140は、破風9の棟側の端部を覆うものであり、係合部130と案内壁113との間に設けられている。これにより、防水壁140の端部は、破風9の棟側の端部を覆いながら水切先端部120まで延在することになる。
また、係合部130における破風9の側面に対向する部分には、当該破風9の側面を覆う立設部131が設けられている。
また、係合部130の棟側端部には、切欠132が形成されている。この切欠132によって前記一つの第二レール部材8bの全幅が露出することになる。
また、係合部130の棟側には、例えばスポンジ等の水密材133が設けられている。
【0028】
図6は、水切部11の板状部110に対して屋根材20が重ねられ、さらに屋根材20に対して金属製の面戸30が重ねられた状態を示す上面図である。
屋根材20は屋根2の仕上げ材であり、屋根2のうち、複数の太陽電池モジュール7が設けられた位置を除く箇所に葺設されている。
面戸30は、傾斜屋根面3に設けられた複数の太陽電池モジュール7のうち、最下方に位置する太陽電池モジュール7aと屋根材20との間に設けられて、屋根材20の棟側端部から水の浸入を防ぐものである。したがって、この面戸30は防水性を有する。
屋根材20および面戸30は、水切部11の板状部110に重なって第一屋根面4の軒先側端部を覆うように取り付けられている。
【0029】
以上のような水切部11によれば、防水壁140が破風9の棟側の端部を覆うように水切先端部120まで設けられているので、水切部11を流れる水を防水壁140が遮って、当該水が破風9内に侵入しようとすることを抑制することができる。また防水壁140によって遮られた水は、そのまま防水壁140に案内されて水切先端部120から樋10に流れ込む。つまり、樋10が、第一屋根面4の軒先側端部の全体に対して設けられていなくとも、水切部11上を流れる水を樋10まで案内することができる。これによって、太陽電池モジュール7が取り付けられる屋根2が入隅構造を有していても、屋根2に対する防水性を確保することができる。
また、水切部11の板状部110上に防水性の面戸30が重ねられているので、面戸30によって屋根2全体の防水性を高めることができる。
また、板状部110の周縁の少なくとも一部(周縁111,112)が上面に重なるように内側に向かって折り曲げられているので、板状部110の上面を流れる水が風によって逆流したとしても、板状部110の周縁111,112からこぼれることを抑制することができる。
【0030】
図7は、金属製の連結部40および支持フレーム50が取り付けられた状態を示す上面図である。
図7に示すように、太陽電池モジュール7の軒先側端部を支持する支持フレーム50が複数のレール部材8a,8b間に架け渡されている。すなわち、第一レール部材8aと第二レール部材8bとの間に跨る複数の太陽電池モジュール7のうち傾斜方向の最下方に位置する太陽電池モジュール7aの軒先側端部は、第一レール部材8aと第二レール部材8bとの間に架け渡された支持フレーム50によって支持されている。
また、水切部11の切欠132によって全幅が露出した第二レール部材8b上に連結部40が取り付けられており、この連結部40は支持フレーム50に固定されている。すなわち、第一レール部材8aと第二レール部材8bとの間に跨る複数の太陽電池モジュール7のうち傾斜方向の最下方に位置する太陽電池モジュール7aと、第二レール部材8bとの間に、両者を連結する連結部40が取り付けられている。
当該連結部40は、複数の第一レール部材8aのうち、最も第二屋根面5に近い位置に設けられた第一レール部材8aの長さ方向・傾斜方向下端部に設けられた固定部材と共に、第一レール部材8aと第二レール部材8bとの間に跨る複数の太陽電池モジュール7を支持している状態となっている。
なお、第二レール部材8bにおける連結部40よりも軒先側部分においては、金属製のカバープレート90によって覆われている。
【0031】
図8は連結部40の概略構成を示す説明図であり、(a)は上面図、(b)は側面図、(c)は正面図である。
図8に示すように、連結部40には、第二レール部材8bに固定される台座部41と、台座部41に対して段差状に形成された本体部42と、本体部42の棟側端部から立設し、支持フレーム50に固定されるフレーム用固定部43とが設けられている。すなわち、連結部40は、支持フレーム50を介して前記最下方に位置する太陽電池モジュール7aに固定されている。
台座部41には、当該台座部41を第二レール部材8bにネジ止めするための貫通孔411が複数設けられている。
本体部42は上面視略L字状に形成されており、その長辺部の周囲には、台座部41との段差を維持した状態で本体部42を支持する支持部421が形成されている。
フレーム用固定部43には、当該フレーム用固定部43を支持フレーム50にネジ止めするための貫通孔431が複数設けられている。
貫通孔411,431を介してネジ止めがされることにより、連結部40が第二レール部材8bおよび支持フレーム50を連結することになる。
【0032】
図9は、ストッパー70が取り付けられた状態を示す上面図である。
図9に示すように、連結部40の上面に対して金属製のストッパー70が取り付けられている。ストッパー70は、連結部40の本体部42から軒先側に向けて延在しており、その先端部71が折り曲げられている(図3参照)。
【0033】
そして、図2および図3に示すように、支持フレーム50には、連結部40およびストッパー70を覆う金属製のカバー部60が取り付けられている。
図10はカバー部60の概略構成を示す説明図であり、(a)は上面図、(b)は側面図、(c)は正面図である。
図10に示すように、カバー部60には、レール用カバー部61と、連結用カバー部62とが設けられている。
レール用カバー部61は、第二レール部材8bを覆うものであり、その側部が第二レール部材8bに係合するようにフック形状となっている。
連結用カバー部62は、連結部40およびストッパー70を覆うものであり、その大部分が板状に形成されている。換言すれば、連結部40の下面側に水切部11が設けられ、連結部40の上面側に、当該連結部40を覆うカバー部60が設けられた状態となっている。
また、連結用カバー部62の軒先側端部のレール側部分621は、ストッパー70の先端部71に係合するように折り曲げられている。他方、連結用カバー部62の軒先側端部の残りの部分622は、段差形状となっており、連結用カバー部62と面戸30との間隔を維持するようになっている。
また、連結用カバー部62の棟側端部63は、支持フレーム50に固定されるように立設されている。
以上のような連結部40・ストッパー70・カバー部60に係る構成によれば、連結部40に取り付けられたストッパー70の先端部71がカバー部60のレール側部分621に係合しているので、軒先側からカバー部60の下方に風が吹き込んだとしても、カバー部60が煽られることが抑制される。したがって、カバー部60が離脱することを防ぐことができる。
【0034】
なお、カバー部60の下側には、ストッパー70と隣り合うようにして面戸35が設けられる。面戸35は、棟側端部が支持フレーム50に固定され、軒先側端部がカバー部60における連結用カバー部62のレール側部分621に引っかかるようにして設けられている。
【0035】
本実施形態によれば、第一レール部材8aと第二レール部材8bとの間に跨る複数の太陽電池モジュール7のうち傾斜方向の最下方に位置する太陽電池モジュール7aと、第二レール部材8bとの間には、両者を連結する連結部40が取り付けられているので、この連結部40によって、第二レール部材8bの長さ方向の途中位置で最下方に位置する太陽電池モジュール7aを確実に固定できる。
これによって、従来とは異なり、略L型の傾斜屋根面3であっても太陽電池モジュール7をより多く設置することができるので、太陽電池モジュールの搭載量を向上させることが可能となる。また、このように太陽電池モジュールの搭載量が向上すれば、発電量も向上することになり、効率が良い。
また、このようにより多くの太陽電池モジュール7を設置でき、第一屋根面4の第一レール部材8aと、第二屋根面5の第二レール部材8bとの間にも、太陽電池モジュール7を詰めて設置することができるので、見栄えも良い。
【0036】
また、複数の第二レール部材8bのうち、第一レール部材8aと隣り合う第二レール部材8bは、第二屋根面5上のうち第一屋根面4との境界に寄せて配置されているので、第二屋根面5のうち第一屋根面4側に近い位置まで太陽電池モジュール7を詰めて配置できる。
これによって、傾斜屋根面3上において太陽電池モジュール7が配置できない無駄なスペースが生じることを防ぐことが可能となり、太陽電池モジュール7をより多く設置することが可能となる。
【0037】
また、連結部40は、支持フレーム50を介して最下方に位置する太陽電池モジュール7aに固定されているので、当該最下方に位置する太陽電池モジュール7aは、支持フレーム50と連結部40の双方によって傾斜方向下方へのずれを防いだ状態となる。
これによって、当該最下方に位置する太陽電池モジュール7aを含む、第一レール部材8aと第二レール部材8bとの間に跨る複数の太陽電池モジュール7を確実に支持することができる。
【0038】
また、第一屋根面4には、当該第一屋根面4上を流れる水を、軒先側端部に設けられた樋10まで案内する水切部11が取り付けられているので、第一屋根面4上を流れる水が、第二屋根面5の入隅部6側に取り付けられた破風9に向かって流れることを防ぐことができる。
これによって、第一屋根面4上を流れる水が、第二屋根面5における破風9の内側に浸入することを防ぐことができるので、雨仕舞いを向上できる。
【0039】
また、連結部40の下面側に水切部11が設けられ、連結部40の上面側に、当該連結部40を覆うカバー部60が設けられているので、カバー部60によって連結部40に極力水がかからないようにでき、連結部40にかかった水は水切部11によって樋10まで案内することができる。
これによって、第一レール部材8aと第二レール部材8bとの間に跨る複数の太陽電池モジュール7上を流れる水が、連結部40の周囲から第一屋根面4や第二屋根面5の内側に浸入したり、第二屋根面5における破風9の内側に浸入したりすることを防ぐことができるので、より一層、雨仕舞いを向上できる。
【0040】
(変形例)
なお、本発明は上記実施形態に限らず適宜変更可能である。
例えば、図11に示すように、第一屋根面4の軒先側端部に対して間隔を空けて太陽電池モジュール7が取り付けられる場合も想定される。
この場合の屋根構造100Aについて説明する。
図12は、図11に示す楕円D1部分の屋根構造100Aの概略構成を示す上面図である。なお、以下の説明において、上記実施形態と同一の部分においては同一の符号を付してその説明を省略する。
図12に示すように、第一屋根面4に設置される支持フレーム50は、上記実施形態よりも軒先側端部から間隔を空けて配置されている。このため、水切部11の全体が支持フレーム50よりも下方に位置してしまう。このため、第一の補助水切部85および第二の補助水切り95を水切部11に重ねて配置することで、太陽電池モジュール7の下方を流れる水を、第一の補助水切部85および第二の補助水切部95を介して、水切部11まで案内するようになっている。
【0041】
第一の補助水切部85は、水切部11の係合部130および水密材133に係合する係合部851と、係合部851に隣接して設けられ、水切部11の板状部110に重なって当該板状部110まで水を案内する水案内部852とを備えている。
【0042】
図13は、第二の補助水切部95の概略構成を示す説明図であり、(a)は上面図、(b)は軒先側端部を示す正面図、(c)は棟側端部を示す背面図である。
第二の補助水切部95は、第一の補助水切部85の係合部851に係合する係合部951と、係合部951に隣接して設けられ、第一の補助水切部85の水案内部852に重なって当該水案内部852まで水を案内する水案内部952とを備えている。水案内部952は、太陽電池モジュール7の下方まで延在している。係合部951の棟側には水密材953が設けられている。
そして、第二の補助水切部95の係合部951付近に、連結部40、ストッパー70およびカバー部60が取り付けられる。
これによって、太陽電池モジュール7の下方を流れる水は、第一の補助水切部85および第二の補助水切部95を通過して、水切部11まで至り、水切部11の水切先端部120から樋10に流れ込むことになる。
【0043】
また、他の変形例として、図14に示すように、第二レール部材8bを入隅部6(破風9)から離間させて配置してもよい。
このように第二レール部材8bを入隅部6から離間させて配置した場合であっても、太陽電池モジュールをより多く設置することができ、太陽電池モジュールの搭載量を向上させることができる。
すなわち、第一屋根面4と第二屋根面5との境界付近において第一レール部材8aと、入隅部6から離間する第二レール部材8bとの間には、これらレール部材8a,8b間に跨って、かつ第一レール部材8aの長さ方向に並んで複数の太陽電池モジュール7が配置されている。そして、第一レール部材8aと、入隅部6から離間する第二レール部材8bとの間に跨る複数の太陽電池モジュール7のうち傾斜方向の最下方に位置する太陽電池モジュール7と、入隅部6から離間する第二レール部材8bとの間に、両者を連結する連結部40が取り付けられている。
なお、図示例では、第二屋根面5に最も近い第一レール部材8aが、第一屋根面4と第二屋根面5との境界部分に位置し、第一屋根面4に最も近い第二レール部材8b(入隅部6から離間する第二レール部材8b)との間に、複数の太陽電池モジュール7が設けられた状態となっている。このように各レール部材8a,8b間に設けられた複数の太陽電池モジュール7が、第一屋根面4と第二屋根面5との境界を跨いでいない状態であっても、「境界付近」に含まれるものとする。すなわち、各レール部材8a,8b間に跨って設けられる複数の太陽電池モジュール7は、あくまで各レール部材8a,8b間に跨って設けられていればよく、必ずしも第一屋根面4と第二屋根面5との境界を跨いで配置される必要はないものとする。
【符号の説明】
【0044】
1 建物
2 屋根
3 傾斜屋根面
4 第一屋根面
5 第二屋根面
6 入隅部
7 太陽電池モジュール
8a 第一レール部材
8b 第二レール部材
9 破風
10 樋
11 水切部
20 屋根材
30 面戸
35 面戸
40 連結部
50 支持フレーム
60 カバー部
70 ストッパー
71 先端部
90 カバープレート
100 屋根構造
110 板状部
111 周縁
112 周縁
113 案内壁
120 水切先端部
130 係合部
140 防水壁
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14