(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、印字を対象とするカードは、プリンタ内での搬送に支障を来たさないように、硬質部材で構成し、また、可撓性の薄型シート媒体の一面(印字面ではない面)をラミネートなどにより硬質化させ、さらには可撓性の薄型シート媒体の両面をラミネートして印字面となる面に紙類など貼り付けたものが一般的であり、上記特許文献1に使用されるカードも同様である。しかしながら、カードを硬質部材で構成し、薄型シート媒体にラミネート処理などを施すことは、特に大量のカードを発行する場合などでコスト高を招くことになるという問題がある。
【0006】
また、硬質性のカードに印字するカードプリンタで薄型のカードを印字しようとすると、厚さの差で印字面と印字ヘッドとに距離を有することとなって確実に印字することができず、当該印字ヘッドを厚さに応じて上下動させると機構を設けることは大型化を招くと共に、コスト高になるという問題ある。
【0007】
そこで、本発明は上記課題に鑑みなされたもので、印字を対象とする薄型シート媒体に対して印字時での搬送支障を回避し、確実な印字を可能とするカードプリンタ用アタッチメント及びこのアタッチメントを用いた印字方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、請求項1の発明では、少なくとも印字面を備える可撓性の薄型シート媒体をカードプリンタでの印字対象とすべく当該薄型シート媒体を装着
させて当該カードプリンタ内で往復搬送されるカードプリンタ用アタッチメントであって、前記薄型シート媒体と略同大で所定厚さの硬質性の基部と、前記基部の、四辺中の三辺のうち、
前記カードプリンタ内での搬送における往路方向の先端の辺の全部及びこれに対向する搬送における復路方向の先端の辺の全部に設けられ、前記薄型シート媒体の
対向する二辺を嵌合保持する嵌合溝を形成させる嵌合部と、を有する構成とする。
【0009】
請求項
2の発明では
、「少なくとも前記基部が、前記薄型シート媒体に形成された情報を視認可能な透明度の部材で形成される」構成とする。
【0010】
請求項
3の発明では、少なくとも印字面を備える可撓性の薄型シート媒体と略同大の硬質性の基部を有し、当該基部の少なくとも
カードプリンタの搬送方向の先端側及び後端側の辺の所定部分に当該薄型シート媒体の対応する辺を嵌合保持する嵌合溝を形成させる嵌合部が設けられるカードプリンタ用アタッチメントに当該薄型シート媒体を嵌合保持させたアタッチメント一体カードを用いて当該薄型シート媒体の印字領域に
、供給側から印字処理手段、撮像処理手段が配置されたカードプリンタ
内を往復搬送させて印字させるカードプリンタ用アタッチメントを用いた印字方法であって、前記アタッチメント一体カードが、前記薄型シート媒体を嵌合保持した一の嵌合部を前記カードプリンタに対する先端として供給されるステップと、
前記供給された前記アタッチメント一体カード
を往路方向に撮像処理手段まで搬送して前記薄型シート媒体の少なくとも印字面を撮像させるステップと、前記アタッチメント一体カード
を復路方向に搬送して当該アタッチメント一体カードにおける前記薄型シート媒体の撮像で確認された印字面に
前記印字処理手段で所定情報を印字させるステップと、印字後に
前記アタッチメント一体カードを往路方向に搬送して前記印字された所定情報を
前記撮像処理手段で撮像するステップと、
前記撮像後に、前記アタッチメント一体カードを復路方向に搬送して排出するステップと、を含む構成とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の発明によれば、少なくとも印字面を備える可撓性の薄型シート媒体
を装着させて当該カードプリンタ内で往復搬送され、当該薄型シート媒体と略同大で所定厚さの硬質性の基部を有し、当該基部の、四辺中の三辺のうち、
カードプリンタ内での搬送における往路方向の先端の辺の全部及びこれに対向する搬送における復路方向の先端の辺の全部に設けられ、当該薄型シート媒体の
対向する二辺を嵌合保持する嵌合溝を形成させる嵌合部を設ける構成とすることにより、嵌合部に薄型シート媒体の一辺を嵌合保持させてカードプリンタで印字する際に、搬送に対して薄型シート媒体の撓みが防止されて搬送支障を回避させることができ、また、基部の厚さを設定することにより通常の硬質性のカードに対応しているカードプリンタで印字ヘッドを位置調整することなく印字が可能となって確実に印字させることができるものである。
【0013】
請求項
2の発明によれば、少なくとも基部を、薄型シート媒体に形成された情報を視認可能な透明度の部材で形成することにより、印字面の反対面に情報が形成された薄型シート媒体に対して当該情報を撮像することが可能となって印字内容の確認に供することができるものである。
【0014】
請求項
3の発明によれば、
供給側から印字処理手段、撮像処理手段が配置されたカードプリンタ内を往復搬送されるカードプリンタ用アタッチメントの
カードプリンタの搬送方向の先端側及び後端側の辺における嵌合部で形成された嵌合溝に薄型シート媒体の対応する辺を嵌合保持させたアタッチメント一体カードが、当該アタッチメント一体カードの薄型シート媒体を嵌合保持した一の嵌合部をカードプリンタに対する先端として供給され、
供給されたアタッチメント一体カード
を往路方向に撮像処理手段まで搬送して薄型シート媒体の少なくとも印字面を撮像させ、アタッチメント一体カード
を復路方向に搬送して当該アタッチメント一体カードにおける薄型シート媒体の撮像で確認された印字面に所定情報を印字させ、印字後に
アタッチメント一体カードを往路方向に搬送して印字された所定情報を
撮像処理手段で撮像
させ、撮像後に、アタッチメント一体カードを復路方向に搬送して排出させる印字方法の構成とすることにより、カードプリンタ用アタッチメントを用いて薄型シート媒体の搬送支障を回避して印字させることができ、また、当該カードプリンタ用アタッチメントの基部の厚さを適宜設定することで通常の硬質性のカードに対応しているカードプリンタであっても印字ヘッドの位置を調整することなく確実に印字させることができるものである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を図により説明する。
図1に本発明に係るカードプリンタ用アタッチメントの構成図を示すと共に、
図2に
図1のアタッチメントを使用する薄型シート媒体の説明図を示し、
図3に
図1のアタッチメントへの薄型シート媒体の装着形態の説明図を示す。
図1において、
図1(A)はカードプリンタ用アタッチメントの外観図、
図1(B)は
図1(A)のA−A断面図示したものであるが、A−A断面図は構造を理解しやすいように寸法を無視している。
【0017】
図1(A)、(B)において、カードプリンタ用アタッチメント11は、後述する
図2の可撓性の薄型シート媒体と略同大で適宜設定した厚さとした長方矩形状の基部12と、当該基部12の少なくとも一辺の所定部分に設けられ、薄型シート媒体の対応する辺を嵌合保持する嵌合溝14を形成させる嵌合部13(第1嵌合部13A、第2嵌合部13B)とで構成される。当該嵌合部13(第1嵌合部13A、第2嵌合部13B)は、後に装着する薄型シート媒体21の印字面22Bにおける印字領域に掛からない長さで形成される。
【0018】
具体的には、対向する短辺の両方に第1嵌合部13A及び第2嵌合部13Bを形成して当該基部12に対してそれぞれ嵌合溝14A、14Bを形成させるように設けたものである。例えば、基部12と第1嵌合部13A及び第2嵌合部13Bとを一体でポリエチレンテレフタレート(PET)や塩化ビニルなどの樹脂部材により硬質かつ透明又は半透明で形成される。
【0019】
すなわち、少なくとも基部12は、
図2に示す薄型シート媒体を嵌合保持し、薄型シート媒体の当該基部12に接する面にシート情報が形成されていた場合に、当該シート情報が視認可能な透明度で形成されるもので、ここでの透明度とは視認可能な程度としての意味合いである。当該基部12をこのように形成することは、後にカードプリンタで印字する際に上記シート情報を撮像するためである(
図5で説明する)。
【0020】
なお、基部12及び嵌合部13(第1嵌合部13A、第2嵌合部13B)の全体の厚さを、嵌合保持した薄型シート媒体21を含めた厚さが硬質性のカード(例えば運転免許証)と同等の厚さとなるようにして形成することにより、当該カードに対応しているカードプリンタにおいて印字ヘッドを位置調整することなく印字することできるものである。
【0021】
薄型シート媒体21は、例えば短辺約54mm、長辺約85mm(およそ運転免許証と同大)の大きさとした、例えば紙製のものであり、
図2(A)に示すように、一方面が情報面22Aであり、所有者の氏名等の情報が表記されている。一方、
図2(B)に示すように、薄型シート媒体21の他方面が印字領域となる印字面22Bであり、例えば情報面22Aに表記された情報に変更があった場合に、変更情報を印字面22Bに印字するものである。
【0022】
そこで、
図3(A)に示すように、薄型シート媒体21を、印字面22Bを上面(基部12と接しない面)にして、両方の短辺部分をカードプリンタ用アタッチメントの第1嵌合部13A及び第2嵌合部13Bで形成される各嵌合溝14A,14Bに対して長辺側から差し込む。そして、
図3(B)に示すように、各短辺部分の全体を差し込むことで、アタッチメント一体カード23となる。このアタッチメント一体カード23は、例えば第1嵌合部13A側を先端としてカードプリンタに供給させることとなる。なお、薄型シート媒体21を撓ませて各嵌合溝14A、14Bに対応する辺を嵌合させてもよい。
【0023】
次に、
図4に、
図1のアタッチメントを使用して印字するカードプリンタの一例の内部構成図を示す。
図4において、カードプリンタ30は、カード供給側がカード供給部31となる。当該カード供給部31の下方にカードスタッカ54が配置される。カード供給部31は、載置台31Aと規制板31Bで空間領域が形成され、当該載置台31Aに
図3(B)に示すアタッチメント一体カード23の存在を検知する第1検出センサ32が設けられる。
【0024】
当該第1検出センサ32は、光学系のセンサでもよく、機械式のスイッチセンサを用いてもよい。機械式のスイッチセンサを用いた場合、載置台31Aに載置状態となったアタッチメント一体カード23の重さにより検知することとなる。
【0025】
カード供給部31は、載置台31Aに沿って下流側に供給ローラ33,34が連続して配置されると共に、その直後に可動切替板35が配置される。可動切替板35は、例えば可動軸にバネを設け、カード供給していないときには上方位置としてカードスタッカ54にアタッチメント一体カード23を排出できるようにしており、アタッチメント一体カード23が通過するときにその搬送力により下方に可動して後述の搬送ローラ36に当該アタッチメント一体カード23を導く。上記供給ローラ33,34は、後述の第1駆動部(例えば駆動モータ)62により、例えば従動ローラとして駆動されるもので、第1搬送系と称する。
【0026】
上記可動切替板35の下流側に、搬送ローラ36(対向するフリーローラ40と対)が配置され、上下で構成される搬送ガイド部41を介して搬送ローラ37(対向するフリーローラ40と対)が配置される。上記搬送ローラ36の下流側近傍には第2検出センサ42が設けられると共に、当該ガイド部41の近傍には読取処理手段であるカード読取部43が設けられる。
【0027】
上記第2検出センサ42は、例えば光学系のセンサであり、その検出による動作処理は
図5〜
図7で説明する。上記カード読取部43は、印字処理等の対象がICチップを備えるカード類に対して通信によりカード情報を読み取って真贋判定行う場合の要素であり、薄型シート媒体21(アタッチメント一体カード23)に対しては、ICチップを備える場合には機能し、ICチップを備えない薄型シート媒体21(アタッチメント一体カード23)に対しては機能しない。
【0028】
搬送ローラ37の下流側に、搬送ガイド部52を介して印字ローラ38が配置され、これよりさらに搬送ガイド部52を介して搬送ローラ39(対向するフリーローラ40と対)が配置される。印字ローラ38の上方に印字ヘッド44が配置され、熱転写フィルムユニット45より供給される熱転写フィルム46が当該印字ヘッド44と印字ローラ38との間に位置される。印字ヘッド44は後述の制御部61からの印字制御信号に応じて駆動される。上記印字ヘッド44及び熱転写フィルムユニット45が印字処理手段を構成する。なお、保護部材47は熱転写フィルム46が搬送ローラ37に接触するのを防止している。
【0029】
上記印字ローラ38は、後述の第2駆動部(例えば駆動モータ)63により、例えば駆動ローラとして駆動され、ギアなどを介して搬送ローラ36,37,39を従動ローラとして駆動するもので、第2搬送系と称する。
【0030】
搬送ローラ39の下流側に第3検出センサ48が設けられた搬送ガイド部52を介して撮像処理手段であるスキャナ部49が配置される。上記第3検出センサ48は、例えば光学系のセンサであり、その検出による動作処理は
図5、
図7で説明する。上記スキャナ部49は、例えばアタッチメント一体カード23における薄型シート媒体21の情報面22Aを撮像する第1ラインセンサ49Aと、印字面22Bを撮像する第2ラインセンサ49Bとを上下対向して備える。
【0031】
スキャナ部49で撮像したそれぞれのスキャンデータ(撮像データ)は後述の制御部61に送られる。処理内容に応じて一方のスキャンデータしか使用しない場合もあるが(
図7で説明する)、常に両方を撮像することとしてもよく、当該処理内容に応じて一方のラインセンサだけによる撮像指示でもよい。
【0032】
上記スキャナ部49の下流側に搬送ガイド部52を介して搬送ローラ50(対向するフリーローラ40と対)及び搬送ローラ51(対向するフリーローラと対)がガイド部53Aと一体(対向するそれぞれのフリーローラ同士もガイド部53Bと一体)で配置される。当該搬送ローラ50,51は、後述の第3駆動部(例えば駆動モータ)64により、例えば従動ローラとして駆動されるもので、第3搬送系と称する。少なくとも、上記第2搬送系と第3搬送系とにより一ライン上の搬送経路が形成され、第1搬送系を含めて搬送手段を構成する。
【0033】
一方、カードプリンタ11は、制御部61を備え、第1搬送系(供給ローラ33,34)、第2搬送系(印字ローラ38、搬送ローラ36,37,39)及び第3搬送系(搬送ローラ50,51)に対応する第1駆動部62、第2駆動部63及び第3駆動部64を備える。各駆動部は例えば駆動モータであり、制御部61より駆動制御される。なお、カード読取部43及びスキャナ部49を動作させる動作制御部は図示を省略する。
【0034】
すなわち、制御部61は、アタッチメント一体カード23を処理毎に往路及び復路の少なくとも何れかでライン搬送させるものとして、第2駆動部63及び第3駆動部64に対し、上記スキャナ部49による撮像では当該アタッチメント一体カード23を撮像に対応する第1搬送速度により搬送させ、上記印字ヘッド44による印字では当該アタッチメント一体カード23を印字に対応する第2搬送速度で搬送させる制御処理のプログラムを少なくとも備える。
【0035】
上記制御処理の際に、制御部61は、第1検出センサ32、第2検出センサ42及び第3検出センサ48からの各検出信号を取得し、カード読取部43よりカード読取データを取得し、スキャナ部49(第1ラインセンサ49A、第2ラインセンサ49B)よりスキャンデータ(撮像データ)を取得する。また、印字ヘッド44に対して印字制御信号を出力する。
【0036】
制御部61は、さらに外部制御装置とデータ授受可能に接続される。外部制御装置としてはディスプレイを備えるコンピュータであり、カードプリンタ11に対応するアプリケーションソフトを備える。すなわち、制御部61が取得したスキャンデータはディスプレイに表示され、操作者によってアタッチメント一体カード23における薄型シート媒体21の印字面22Bが印字ヘッド44側になるように挿入されたかが判別される。操作者が、正規の挿入と判別したときに印字内容の印字データを制御部61に送出することで、当該制御部61が印字タイミングに沿って印字制御信号により印字ヘッド44を駆動制御する(
図6で説明する)。
【0037】
また、制御部61は、一般的なICチップを備える硬質性の非接触型カードやICチップを備える可撓性の薄型シート媒体21(アタッチメント一体カード23)を処理対象とする場合に、カード読取部43で読み取られたカード読取データのカード情報に基づいて当該カードや当該薄型シート媒体21が正規品であるかどうかの真贋判別を行うプログラムを備える。さらに、アタッチメント一体カード23の印字面22Bへの印字後に、当該印字面22Bをスキャナ部49で撮像させ、当該印字面22Bの画像を印字内容と共にディスプレイに表示させることで操作者による内容確認を行わせるプログラムをも備えるものである(
図7で説明する)。
【0038】
そこで、
図5及び
図6に、
図1のアタッチメントを使用して
図4のカードプリンタで印字する印字方法の動作説明図を示す。ここでは、撮像処理及び印字処理をカード供給側から往路のみのライン搬送で行う場合として説明する。
【0039】
まず、
図4に示すカード供給部31内に、正規には薄型シート媒体21の印字面22Bを上面としてカード用アタッチメント11に嵌合保持させた
図3(B)に示すアタッチメント一体カード23が供給されて第1検出センサ32で検知されると、第1駆動部62により第1搬送系の供給ローラ33,34が往路方向(カード供給側から見て奥側への方向)の回転で駆動されると共に、第2駆動部63及び第3駆動部64により第2搬送系の搬送ローラ36,37,39及び印字ローラ38並びに第3搬送系の搬送ローラ50,51が当該往路方向の回転で駆動される。この場合の第2搬送系及び第3搬送系による搬送速度は、当該アタッチメント一体カード23をスキャナ部49での撮像に対応する第1搬送速度とされる。
【0040】
第1搬送系により供給された当該アタッチメント一体カード23は、
図5(A)に示すように、可動切替板35を押し下げて第2搬送系(搬送ローラ36等)により一ライン上で搬送され、
図5(B)に示すように、当該アタッチメント一体カード23の搬送方向先端を第3検出センサ48が検知する。当該第3検出センサ48の検知に応じてスキャナ部49が搬送されてきたアタッチメント一体カード23に対して、
図5(C)に示すように、薄型シート媒体21の情報面22Aを第1ラインセンサ49Aで撮像し、印字面22Bを第2ラインセンサ49Bで撮像する。当該アタッチメント一体カード23は、
図5(D)に示すように、スキャナ部49で撮像されながら第3搬送系に至り、撮像後に第3搬送系(搬送ローラ50,51)において一旦停止される。
【0041】
アタッチメント一体カード23を第3搬送系で停止させた後、
図6(A)に示すように、第2駆動部63及び第3駆動部64により第2搬送系の搬送ローラ36,37,39及び印字ローラ38並びに第3搬送系の搬送ローラ50,51が復路方向(カード供給側に戻る方向)の回転で駆動される。この場合の第2搬送系及び第3搬送系による搬送速度は、途中での処理を対象とするものではないことから任意の速度で設定される。復路方向で搬送されるアタッチメント一体カード23は、
図6(B)に示すように、搬送方向先端が第2検出センサ42で検知された時点で停止する。ここでカード読取部43は機能せず、印字ヘッド44による印字処理対象となる。
【0042】
一方、スキャナ部49で撮像されたアタッチメント一体カード23における薄型シート媒体21のスキャンデータ(撮像データ)は、制御部61が取得して外部制御装置に送出する。外部制御装置では、スキャンデータがディスプレイに表示され、操作者によってアタッチメント一体カード23における薄型シート媒体21の印字面22Bが印字ヘッド44側になるように挿入されたかが判別され、操作者において、正規の挿入と判別したときに印字内容の印字データを作成して制御部61に送出する。
【0043】
制御部61は、外部制御装置より印字データを取得すると、
図6(C)に示すように、第2駆動部63により第2搬送系の搬送ローラ36,37,39及び印字ローラ38を往路方向の回転で駆動させる。この場合の第2搬送系による搬送速度は、当該アタッチメント一体カード23を印字ヘッド44による印字に対応する第2搬送速度とされる。
【0044】
そこで、制御部61が印字データに基づく印字タイミングに沿って印字制御信号を印字ヘッド44に送出することでアタッチメント一体カード23における薄型シート媒体21の印字面22Bに印字内容を印字させる。そして、
図6(D)に示すように、印字処理が終了すると(破線のアタッチメント一体カード23)、第2駆動部63により第2搬送系の搬送ローラ36,37,39及び印字ローラ38を復路方向の回転で所定搬送速度により駆動して当該アタッチメント一体カード23をカードスタッカ54に排出させるものである。
【0045】
このように、一般的な硬質性のカードに対して少なくとも印字処理するカードプリンタ30において、可撓性の薄型シート媒体21であっても、カードプリンタ用アタッチメント11を用いることにより、印字処理する際に、搬送に対して薄型シート媒体21の撓みが防止されて搬送支障を回避させることができ、また、基部12(嵌合部13も含む)の厚さを設定することにより通常の硬質性のカードに対応している印字ヘッド44を位置調整することなく印字が可能となってコスト増とすることなく確実に印字させることができるものである。
【0046】
続いて、
図7に、
図1のアタッチメントを使用して
図4のカードプリンタで印字する印字方法の他の動作説明図を示す。
図7は、アタッチメント一体カード23の薄型シート媒体21の印字面22Bに対して印字処理を行った後に、当該印字内容を確認する動作の形態である。この場合、アタッチメント一体カード23の薄型シート媒体21の印字面22Bに対して印字処理する動作は、
図5(A)〜(D)、
図6(A)〜(C)までの動作と同様であり、これ以降の動作について説明する。
【0047】
すなわち、
図7(A)に示すようにアタッチメント一体カード23の薄型シート媒体21に対して印字処理が終了すると、第2駆動部63により第2搬送系の搬送ローラ36,37,39及び印字ローラ38を復路方向の回転で所定搬送速度により駆動して当該アタッチメント一体カード23を搬送し、
図7(B)に示すように当該アタッチメント一体カード23の搬送方向先端を第2検出センサ42が検出すると一旦停止させる。
【0048】
当該アタッチメント一体カード23を第2搬送系で停止させた後、
図7(C)に示すように、第2駆動部63及び第3駆動部64により第2搬送系の搬送ローラ36,37,39及び印字ローラ38並びに第3搬送系の搬送ローラ50,51を往路方向の回転で第1搬送速度により駆動して搬送し、第3検出センサ48の検知に応じてスキャナ部49が搬送されてきたアタッチメント一体カード23における薄型シート媒体21に対して少なくとも印字面22Bを第2ラインセンサ49Bで撮像(情報面22Aをも第1ラインセンサ49Aで撮像してもよい)させ、撮像後に一旦停止させる。
【0049】
アタッチメント一体カード23における薄型シート媒体21の印字面22Bでのスキャンデータ(撮像データ)は制御部61が取得して外部制御装置に送出することでディスプレイに表示させる。操作者によってアタッチメント一体カード23における薄型シート媒体21の印字面22Bに正規の印字内容が印字されたことが確認された後、操作者の指示に従い、制御部61が、
図7(D)に示すように、第2駆動部63により第2搬送系の搬送ローラ36,37,39及び印字ローラ38を復路方向の回転で所定搬送速度により駆動して当該アタッチメント一体カード23をカードスタッカ54に排出させるものである。なお、アタッチメント一体カード23の排出をスキャナ部49による撮像後直ちに行わせてもよい。
【0050】
このように、アタッチメント一体カード23における薄型シート媒体21に対して印字処理を行った後に、再度印字面22Bを撮像することで印字内容が確実に印字されたかを確認させることができるものである。
【0051】
次に、
図8に、本発明に係るカードプリンタ用アタッチメントの他の形態例の説明図を示す。なお、基部12の大きさや材質は
図1で説明した内容と同様である。
【0052】
図8(A)に示すカードプリンタ用アタッチメント11は、基部12の一方の短辺に第1嵌合部13Aのみを設けて嵌合溝14Aを形成した場合である。このようなカードプリンタ用アタッチメント11は、カードプリンタ30がその排出側をカード供給側と同一でなく、反対側に設けられている場合に有効であると共に、
図4に示すようなカードプリンタ30であっても装着される薄型シート媒体21が撓みの少ない部材で形成されている場合に有効である。
【0053】
図8(B)に示すカードプリンタ用アタッチメント11は、基部12の一方の短辺に第1嵌合部13Aを設けて嵌合溝14Aを形成させると共に、当該第1嵌合部13に隣接する長辺の一辺に第2嵌合部13Cを設けて嵌合溝14Cを形成した場合である。この形状とすることによっても
図1に示す形状のカードプリンタ用アタッチメント11と同様の効果を奏することができる。
【0054】
図8(C)に示すカードプリンタ用アタッチメント11は、基部12の対向する短辺にそれぞれ第1嵌合部13A及び第2嵌合部13Bを設けて嵌合溝14A,14Bを形成させると共に、当該第1嵌合部13Aに隣接する長辺の一辺に第2嵌合部13Cを設けて嵌合溝14Cを形成した場合である。この形状とすることによっても
図1に示す形状のカードプリンタ用アタッチメント11と同様の効果を奏することができる。
【0055】
図8(D)に示すカードプリンタ用アタッチメント11は、基部12の一方の短辺に第1嵌合部13Aを設けて嵌合溝14Aを形成させると共に、当該第1嵌合部13Aに隣接する両方の長辺に第2嵌合部13C,13Dを設けて嵌合溝14C,14Dを形成した場合である。この形状とすることによっても
図1に示す形状のカードプリンタ用アタッチメント11と同様の効果を奏することができる。
【0056】
図8(E)に示すカードプリンタ用アタッチメント11は、
図1に示す基部12の対向する短辺にそれぞれ第1嵌合部13A−1及び第2嵌合部13B−1を、部分的、例えば中央部分に所定長で設けて、これに応じた嵌合溝14A、14Bを形成させたものである。嵌合部13を辺全体に設けることなく、一部分に設けることによっても同様の効果を奏することができる。
【0057】
図8(F)に示すカードプリンタ用アタッチメント11は、
図1に示す基部12の対向する短辺にそれぞれ第1嵌合部13A−1,13A−2及び第2嵌合部13B−1,13B−2を、部分的、例えば当該辺の両端側に所定長で設けて、これに応じた嵌合溝14A、14Bを形成させたものである。嵌合部13を辺全体に設けることなく、一部分に設けることによっても同様の効果を奏することができるものである。
【0058】
なお、
図8(E)、(F)に示す形態は、
図8(A)〜(D)のそれぞれのカードプリンタ用アタッチメント11に対しても適用することができるものである。