(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記算出部は、前記特徴量として、前記被検体の心臓の心尖を通る左心室の長軸の長さ、及び、当該心臓の心尖を含む輪郭の曲率に基づく値を算出する、請求項1〜3のいずれか一つに記載の超音波診断装置。
前記算出部は、前記被検体から検知される心電信号に基づいて、予め決められた心時相の前記超音波画像データを特定し、特定した超音波画像データから前記特徴量を算出し、
前記出力制御部は、前記心時相の特徴量同士の比較結果に基づく情報を出力する、請求項1〜5のいずれか一つに記載の超音波診断装置。
前記算出部は、前記超音波画像データから心臓の弁輪及び心尖の位置を検出し、検出した弁輪及び心尖の位置に基づいて、前記長軸の長さを算出する、請求項4又は5に記載の超音波診断装置。
前記出力制御部は、前記複数の超音波画像データのうち少なくとも3つの超音波画像データにそれぞれ対応する画像を同時に表示する、請求項1〜7のいずれか一つに記載の超音波診断装置。
前記同時に表示された画像のうちいずれか一つを選択する指示を操作者から受け付けると、受け付けた指示により選択された画像に対応する超音波画像データを所定の記憶部に格納する格納部を更に備える、請求項8に記載の超音波診断装置。
前記出力制御部は、前記同時に表示される画像のうち、当該画像に対応する前記超音波画像データの前記特徴量が最大である画像を強調表示する、請求項8又は9に記載の超音波診断装置。
前記出力制御部は、前記被検体から検知される心電信号に基づいて、前記同時に表示される画像の心周期を同期させる、請求項8〜10のいずれか一つに記載の超音波診断装置。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して、実施形態に係る超音波診断装置及び制御プログラムを説明する。
【0009】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る超音波診断装置1の構成例を示すブロック図である。
図1に示すように、第1の実施形態に係る超音波診断装置1は、超音波プローブ11と、入力装置12と、ディスプレイ13と、心電計14と、装置本体100とを備える。超音波プローブ11は、後述する装置本体100が備える送受信回路110と通信可能に接続される。また、入力装置12、ディスプレイ13、及び心電計14は、装置本体100が備える各種の回路と通信可能に接続される。
【0010】
超音波プローブ11は、被検体Pの体表面に接触され、超音波の送受信を行う。例えば、超音波プローブ11は、複数の圧電振動子を有する。これら複数の圧電振動子は、送受信回路110から供給される駆動信号に基づいて、超音波を発生させる。発生した超音波は、被検体Pの体内組織において反射され、反射波信号として複数の圧電振動子にて受信される。超音波プローブ11は、複数の圧電振動子にて受信した反射波信号を、送受信回路110へ送る。
【0011】
第1の実施形態に係る超音波プローブ11は、2次元領域に対する超音波走査を行う。例えば、超音波プローブ11は、複数の圧電振動子が1次元で配置された1Dアレイプローブである。超音波プローブ11は、例えば、心尖長軸像(A4C(apical four-chamber view)像、A2C(apical two-chamber view)像等)を走査可能な位置(胸部付近)の体表面に当接された状態で、超音波走査を行う。また、超音波プローブ11の位置や角度は、操作者により適宜変更される。
【0012】
入力装置12は、例えば、マウス、キーボード、ボタン、パネルスイッチ、タッチコマンドスクリーン、フットスイッチ、トラックボール、ジョイスティック等に対応する。入力装置12は、超音波診断装置1の操作者からの各種設定要求を受け付け、受け付けた各種設定要求を装置本体100の各回路に対して適宜転送する。
【0013】
ディスプレイ13は、操作者が入力装置12を用いて各種設定要求を入力するためのGUI(Graphical User Interface)を表示したり、装置本体100において生成された超音波画像データに基づく画像(超音波画像)等を表示したりする。
【0014】
心電計14は、超音波走査される被検体Pの心電信号として、被検体Pの心電波形(ECG:Electrocardiogram)を取得する。心電計14は、取得した心電波形を装置本体100の各回路に適宜送信する。
【0015】
装置本体100は、超音波プローブ11が受信した反射波信号に基づいて、超音波画像データを生成する装置である。
図1に示すように、装置本体100は、例えば、送受信回路110と、Bモード処理回路120と、ドプラ処理回路130と、画像生成回路140と、画像メモリ150と、記憶回路160と、処理回路170とを有する。送受信回路110、Bモード処理回路120、ドプラ処理回路130、画像生成回路140、画像メモリ150、記憶回路160、及び処理回路170は、互いに通信可能に接続される。
【0016】
送受信回路110は、超音波プローブ11による超音波の送受信を制御する。例えば、送受信回路110は、後述する処理回路170の指示に基づいて、超音波プローブ11が行う超音波送受信を制御する。送受信回路110は、超音波プローブ11に駆動信号(駆動パルス)を印加することで、超音波がビーム状に集束された超音波ビームを送信させる。また、送受信回路110は、超音波プローブ11が受信した反射波信号に所定の遅延時間を与えて加算処理を行うことで、反射波信号の受信指向性に応じた方向から反射成分が強調された反射波データを生成し、生成した反射波データをBモード処理回路120及びドプラ処理回路130に送信する。
【0017】
Bモード処理回路120は、送受信回路110が反射波信号から生成した反射波データに対して各種の信号処理を行う。Bモード処理回路120は、送受信回路110から受信した反射波データに対して、対数増幅、包絡線検波処理等を行って、サンプル点(観測点)ごとの信号強度が輝度の明るさで表現されるデータ(Bモードデータ)を生成する。Bモード処理回路120は、生成したBモードデータを画像生成回路140へ送る。
【0018】
ドプラ処理回路130は、送受信回路110から受信した反射波データより、移動体のドプラ効果に基づく運動情報を、走査領域内の各サンプル点で抽出したデータ(ドプラデータ)を生成する。具体的には、ドプラ処理回路130は、移動体の運動情報として、平均速度、分散値、パワー値等を各サンプル点で抽出したドプラデータを生成する。ここで、移動体とは、例えば、血流や、心壁等の組織、造影剤である。ドプラ処理回路130は、生成したドプラデータを画像生成回路140へ送る。
【0019】
画像生成回路140は、Bモード処理回路120やドプラ処理回路130が生成したデータから超音波画像データを生成する。例えば、画像生成回路140は、Bモード処理回路120が生成したBモードデータから、反射波の強度を輝度で表したBモード画像データを生成する。また、画像生成回路140は、ドプラ処理回路130が生成したドプラデータから、移動体情報を表すドプラ画像データを生成する。このドプラ画像データは、速度画像データ、分散画像データ、パワー画像データ、又は、これらを組み合わせた画像データである。なお、画像生成回路140は、画像生成部の一例である。
【0020】
画像メモリ150は、Bモード処理回路120、ドプラ処理回路130、及び画像生成回路140により生成されたデータを記憶するメモリである。例えば、画像メモリ150は、画像生成回路140により生成された超音波画像データを、被検体Pの心電波形に対応付けて記憶する。なお、画像メモリ150に記憶されるデータ量が画像メモリ150の記憶容量を超過する場合には、古いデータから順に削除され、更新される。
【0021】
記憶回路160は、各種データを記憶する記憶装置である。例えば、記憶回路160は、超音波送受信、画像処理及び表示処理を行うための制御プログラムや、診断情報(例えば、患者ID、医師の所見等)や、診断プロトコルや各種ボディーマーク等の各種データを記憶する。また、記憶回路160に記憶されるデータは、図示しないインタフェース部を介して、外部装置へ転送することができる。
【0022】
また、記憶回路160は、Bモード処理回路120、ドプラ処理回路130、及び画像生成回路140により生成されたデータを記憶する。例えば、記憶回路160は、操作者により指定された所定心拍分の超音波画像データを記憶する。
【0023】
処理回路170は、超音波診断装置1の処理全体を制御する。具体的には、処理回路170は、入力装置12を介して操作者から入力された各種設定要求や、記憶回路160から読み込んだ各種制御プログラム及び各種データに基づいて、送受信回路110、Bモード処理回路120、ドプラ処理回路130、及び画像生成回路140等の処理を制御する。また、処理回路170は、画像メモリ150が記憶する超音波画像データをディスプレイ13に表示させる。
【0024】
第1の実施形態に係る処理回路170は、算出機能171と、出力制御機能172と、格納機能173とを有する。ここで、処理回路170の構成要素である算出機能171、出力制御機能172、及び格納機能173が実行する各処理機能は、例えば、コンピュータによって実行可能なプログラムの形態で記憶回路160に記録されている。処理回路170は、各プログラムを記憶回路160から読み出し、実行することで各プログラムに対応する機能を実現するプロセッサである。換言すると、各プログラムを読み出した状態の処理回路170は、
図1の処理回路170内に示された各機能を有することとなる。算出機能171、出力制御機能172、及び格納機能173の各機能については、後述する。
【0025】
なお、
図1においては単一の処理回路170にて算出機能171、出力制御機能172、及び格納機能173にて行われる処理機能が実現されるものとして説明するが、複数の独立したプロセッサを組み合わせて処理回路を構成し、各プロセッサがプログラムを実行することにより機能を実現するものとしても構わない。
【0026】
上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(central preprocess unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、或いは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC))、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。プロセッサは記憶回路に保存されたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、記憶回路160にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むよう構成しても構わない。この場合、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、本実施形態の各プロセッサは、プロセッサごとに単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのプロセッサとして構成し、その機能を実現するようにしてもよい。さらに、
図1における複数の構成要素を1つのプロセッサへ統合してその機能を実現するようにしてもよい。
【0027】
ところで、従来の心機能評価においては、所望の断面を正確に得ることが難しい場合があった。例えば、2次元の超音波走査によって心尖長軸像(A4C(apical four-chamber view)像、A2C(apical two-chamber view)像等)を撮像する場合、走査断面が心尖を通っていなくとも、心尖の近傍を通る超音波画像が得られることがある。この場合、この超音波画像では、心尖の近傍の輪郭があたかも心尖を正しく描出した輪郭のように見えてしまうため、操作者は心尖を正確に通っているか否か判断できない。このように、所望の断面が正確に得られない場合には、EF(Ejection Fraction)やGLS(Global Longitudinal Strain)等の指標を算出したとしても正確な値が得られない。このため、例えば、心機能に変化があったとしても、その変化を見過ごしてしまう可能性があった。
【0028】
また、例えば、長期間にわたる経過観察(フォローアップ)においては、常に同一の操作者が検査(撮像)を行うとは限らないために、過去に撮像した断面と同じ断面を正確に得ることが難しい場合があった。例えば、今回の検査を行う操作者が前回の検査を行う操作者と異なる場合、操作者によって超音波画像に描出される心尖についての認識が異なるために、前回撮像した断面と同じ断面を正確に得ることが難しかった。このように、過去に撮像した断面と同じ断面が正確に得られない場合には、EFやGLS等の指標を算出したとしても計測した値にばらつきが生じてしまう。このため、例えば、心機能に変化があったとしても、その変化を見過ごしてしまう可能性があった。
【0029】
ここで、上記の対策として、3次元の超音波画像データであるボリュームデータを用いることが考えられる。しかしながら、ボリュームデータでは、2次元の超音波走査ほどの空間分解能や時間分解能が得られない場合がある。空間分解能が不十分であれば、心臓の内膜の位置がにじみ(ぼやけ)、例えば、内腔の位置が実際よりも内側に認識されることで、容積が過小評価される場合がある。また、時間分解能が不十分であれば、心機能を評価する心時相にばらつきが生じる場合がある。このように、ボリュームデータを用いたとしても、安定した値が得られるとは限らない。また、ボリュームデータの利用には、圧電振動子が格子状に2次元で配置された2Dアレイプローブ等を備えた高価な装置構成を要する。
【0030】
そこで、本実施形態に係る超音波診断装置1は、所望の断面を正確に得るために、以下に説明する各機能を実行する。すなわち、第1の実施形態に係る超音波診断装置1は、略リアルタイムに表示される2次元の超音波画像上に、現在の超音波画像に表示される左心室の長軸が、前に表示された長軸に比べてどの程度増減したかを表示する。ここで、左心室の長軸の長さは、心尖を通る断面において最も長くなる。このため、操作者は、その表示を閲覧しながら超音波プローブ11の位置や角度を徐々に変えることにより、長軸が最も長い断面、つまり、心尖を通る断面を正確に得ることができる。
【0031】
以下の実施形態では、一例として、操作者が基準となる断面近傍の複数の断面にて超音波走査を行う場合に、超音波診断装置1が左心室の長軸に関する情報を表示する場合を説明する。言い換えると、操作者は、所望の断面が得られると考えられる位置に超音波プローブ11を動かし、その位置で撮影された断面に基づく長軸に関する情報を閲覧する。そして、操作者は、その表示を閲覧しながら超音波プローブ11の位置や角度を更に変えることにより、心尖を通る断面を所望の断面として得ることができる。
【0032】
なお、以下の実施形態では、被検体Pの心臓について、心尖を通る断面(A4C像)を正確に得る場合を説明するが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、本実施形態は、心臓に限らず、他の構造物について適用されてもよいし、左心室の長軸に限らず、他の特徴量について適用されてもよい。
【0033】
算出機能171は、処理回路170が算出機能171に対応するプログラムを記憶回路160から読み出し実行することで、実現される機能である。算出機能171は、異なるタイミングの超音波走査により生成された複数の超音波画像データからそれぞれ検出される構造物の特徴量をそれぞれ算出する。例えば、算出機能171は、被検体Pから検知される心電信号に基づいて、予め決められた心時相の超音波画像データを特定し、特定した超音波画像データから特徴量を算出する。具体的には、算出機能171は、被検体Pの心電波形を心電計14から取得し、取得した心電波形を用いて、R波が検出される時間を求める。そして、算出機能171は、求めた時間において画像生成回路140により生成された超音波画像データを、R波の時相の超音波画像データとして特定する。なお、算出機能171は、算出部の一例である。
【0034】
続いて、算出機能171は、複数の超音波画像データから心臓の弁輪及び心尖の位置を検出し、検出した弁輪及び心尖の位置に基づいて、左心室の長軸の長さ(長軸長)を算出する。一例としては、算出機能171は、教師あり機械学習アルゴリズムを用いて、2次元の超音波画像データに含まれる弁輪及び心尖の位置を検出する。ここで、上記の教師あり機械学習アルゴリズムは、正しい弁輪の位置及び心尖の位置がそれぞれ設定された複数の教師画像(超音波画像)を用いて構築された認識型のデータベースを用いるものである。そして、算出機能171は、検出した弁輪及び心尖の位置に基づいて、左心室の長軸の長さを算出する。
【0035】
図2は、第1の実施形態に係る算出機能171の処理を説明するための図である。
図2には、算出機能171が長軸長を算出する処理をA4C像上で模式的に示す。
【0036】
図2に示すように、算出機能171は、教師あり機械学習アルゴリズムを用いて、あるタイミングに得られたR波の時相の超音波画像データから、僧帽弁の弁輪の位置20、大動脈弁の弁輪の位置21、及び心尖の位置22をそれぞれ検出する。そして、算出機能171は、検出した位置20及び位置21を結ぶ線分23の中点と、位置22とを結ぶ線分24の長さを、長軸長として算出する。算出機能171は、他のタイミングで得られたR波の時相の超音波画像データについても同様に、長軸長を算出する。なお、以下において、僧帽弁の弁輪及び大動脈弁の弁輪を総称する場合、「弁輪」若しくは「両弁輪」と表記する。
【0037】
このように、算出機能171は、異なるタイミングに得られたR波の時相の超音波画像データについて、長軸長をそれぞれ算出する。なお、
図2は一例に過ぎず、例えば、算出機能171は、R波以外の他の心時相の超音波画像データから長軸長を算出してもよい。
【0038】
出力制御機能172は、処理回路170が出力制御機能172に対応するプログラムを記憶回路160から読み出し実行することで、実現される機能である。出力制御機能172は、算出機能171によって算出されたそれぞれの特徴量の比較結果に基づく情報を出力する。例えば、出力制御機能172は、予め決められた心時相の特徴量同士の比較結果に基づく情報を出力する。また、出力制御機能172は、比較結果に基づく情報として、特徴量の増減の程度を示す増減情報を出力する。なお、出力制御機能172は、出力制御部の一例である。
【0039】
例えば、出力制御機能172は、増減情報として、長軸長の増減の程度を示す情報である長軸長情報をディスプレイ13の表示画面上に表示する。ここで、長軸長情報の表示例としては、例えば、「+++」、「++」、「+」、「0」、「−」、「−−」、及び「−−−」がある。このうち、「+++」、「++」、及び「+」は、現在のタイミングで算出された長軸長が、前のタイミングで算出された長軸長よりも長いことを表し、「+」の数が多いほど前のタイミングの長軸長との差分が大きい(つまり、長い)ことを表す。また、「−−−」、「−−」、及び「−」は、現在のタイミングで算出された長軸長が、前のタイミングで算出された長軸長よりも短いことを表し、「−」の数が多いほど前のタイミングの長軸長との差分が大きい(つまり、短い)ことを表す。また、「0」は、現在のタイミングで算出された長軸長が、前のタイミングで算出された長軸長と同程度の長さであることを表す。
【0040】
図3は、第1の実施形態に係る出力制御機能172の処理を説明するための図である。
図3には、ディスプレイ13の表示画面上に表示されるA4C像とともに、長軸長情報を表す画像30が表示される場合を例示する。
【0041】
図3に示すように、出力制御機能172は、R波の時相の超音波画像データが画像生成回路140によって生成されると、この超音波画像データに対応する長軸長を算出機能171から取得する。そして、出力制御機能172は、取得した長軸長(つまり、現在の長軸長)と、前のR波の時相で算出された長軸長とを比較する。ここで、例えば、現在の長軸長が前の長軸長よりも中程度に長い場合には、出力制御機能172は、「++」を表す画像30を生成し、生成した画像30を現在の超音波画像とともに表示する。
【0042】
このように、出力制御機能172は、特徴量の増減の程度を表す画像をディスプレイ13に表示する。なお、
図3は一例に過ぎず、例えば、出力制御機能172は、画像30に限らず、他の出力形態で増減情報を出力してもよい。出力制御機能172による他の出力形態については、後述する。
【0043】
格納機能173は、処理回路170が格納機能173に対応するプログラムを記憶回路160から読み出し実行することで、実現される機能である。格納機能173は、操作者により指定された所定心拍分の超音波画像データを記憶回路160に格納する。例えば、格納機能173は、保存ボタンの押下を操作者から受け付けると、現在表示されている超音波画像データを含む所定心拍(例えば、1心拍)分の超音波画像データ群を記憶回路160に格納する。また、格納機能173は、超音波画像データとともに、対応する長軸長情報を記憶回路160に格納してもよい。なお、上記の所定心拍は、予め任意の心拍数が設定可能である。また、格納機能173は、格納部の一例である。
【0044】
図4は、第1の実施形態に係る超音波診断装置1による処理手順を示すフローチャートである。
図4に示す処理手順は、例えば、超音波プローブ11が被検体Pの体表面に当接された状態において、Bモード撮影を開始する旨の指示を操作者から受け付けることにより開始される。
【0045】
ステップS101において、処理回路170は、Bモード撮影を開始する。例えば、処理回路170は、Bモード撮影を開始する旨の指示を操作者から受け付けると、Bモード撮影を開始する。なお、ステップS101が否定される場合には、処理回路170は、撮影を開始せず、待機状態である。
【0046】
ステップS101が肯定されると、ステップS102において、超音波プローブ11は、被検体Pの2次元領域に対して超音波走査を行う。
【0047】
ステップS103において、画像生成回路140は、超音波走査に対応する超音波画像データを生成する。そして、出力制御機能172は、画像生成回路140により生成された超音波画像データに対応する画像(超音波画像)を表示する。なお、ここで生成された超音波画像データは、画像メモリ150に記憶される。
【0048】
ステップS104において、算出機能171は、所定の心時相(例えば、R波の時相)において、生成された超音波画像データから両弁輪及び心尖の位置を検出する(
図2参照)。例えば、算出機能171は、教師あり機械学習アルゴリズムを用いて、2次元の超音波画像データに含まれる弁輪及び心尖の位置を検出する。
【0049】
ステップS105において、算出機能171は、検出した両弁輪及び心尖の位置に基づいて、長軸長を算出する(
図2参照)。例えば、算出機能171は、両弁輪を結ぶ線分23の中点と、心尖の位置22とを結ぶ線分24の長さを、長軸長として算出する。
【0050】
ステップS106において、出力制御機能172が、算出された長軸長と、前回算出された長軸長との比較結果に基づいて、増減情報を表示する(
図3参照)。例えば、出力制御機能172は、「+++」、「++」、「+」、「0」、「−」、「−−」、及び「−−−」のいずれかに対応する画像を表示する。
【0051】
ステップS107において、格納機能173は、保存ボタンの押下を受け付けたか否かを判定する。ここで、ステップS107が否定される場合には、格納機能173は、ステップS108の処理を行わず、ステップS102の処理へ移行する。つまり、超音波診断装置1は、超音波プローブ11による走査断面を略リアルタイムで表示するとともに、所定の心周期(例えばR波のタイミング)で現在の超音波画像の長軸長が前の長軸長と比較してどの程度増減したか(長軸長情報)を表示する。このため、操作者は、超音波プローブ11の位置や角度の変更に応じた長軸長情報の変化を閲覧しながら、超音波プローブ11の位置や角度を調整することができる。この結果、操作者は、所望の断面として、長軸が最も長い断面を正確に得ることができる。
【0052】
ステップS107が肯定されると、ステップS108において、格納機能173は、所定心拍分の超音波画像データを記憶回路160に格納する。そして、超音波診断装置1は、処理を終了する。その後、処理回路170は、操作者の指示により、記憶回路160に記憶された超音波画像データに対して、Modified Simpson法、ディスク総和法(Simpson法)、Area Length法等による容積値の解析を行うことで、心機能評価を行う。
【0053】
なお、
図4は一例に過ぎない。例えば、上記の処理手順は、必ずしも上述した順序で実行されなくてもよい。例えば、上記のステップS101〜S108は、処理内容が矛盾しない範囲で、適宜順序を変えて実行されてもよい。
【0054】
上述してきたように、第1の実施形態に係る超音波診断装置1において、超音波プローブ11は、被検体Pの2次元領域に対する超音波走査を行う。画像生成部としての画像生成回路140は、2次元領域に対応する超音波画像データを生成する。算出部としての算出機能171は、異なるタイミングの超音波走査により生成された複数の超音波画像データからそれぞれ検出される構造物の特徴量をそれぞれ算出する。出力制御部としての出力制御機能172は、算出機能171によって算出されたそれぞれの特徴量の比較結果に基づく情報を出力する。このため、超音波診断装置1は、所望の断面を正確に得ることができる。
【0055】
例えば、従来の超音波診断装置においては、操作者は、2次元の超音波画像を閲覧しただけで、表示される断面が他の断面と比較して長軸長が長いか否かを判断することは困難であった。これに対して、第1の実施形態に係る超音波診断装置1は、現在の超音波画像の長軸長が前の長軸長と比較してどの程度増減したかを表す長軸長情報を表示する。このため、操作者は、超音波プローブ11の位置や角度の変更に応じた長軸長情報の変化を閲覧しながら、超音波プローブ11の位置や角度を調整することができる。例えば、操作者は、超音波プローブ11の角度を所定の方向で繰り返し変更することで、その方向の中で最も長軸が長い断面を得ることができる。この結果、操作者は、所望の断面として、心尖を通る断面を正確に得ることができる。更に、超音波診断装置1は、心尖を通る断面を正確に得ることができるので、当該断面に基づいて算出されるEFやGLS等の指標を精度良く算出することができる。
【0056】
また、例えば、超音波診断装置1は、長軸長情報を表示することで、操作者の主観に頼らない断面撮像を可能にする。これによれば、例えば、常に同一の操作者が検査(撮像)を行わなくとも、過去に撮像した断面と同じ断面を正確に得ることができるので、長期間にわたる経過観察(フォローアップ)での再現性を向上させる。また、例えば、超音波診断装置1は、高価な装置構成を要することなく、所望の断面を正確に得ることができる。
【0057】
(第1の実施形態の変形例1)
上記の実施形態では、増減情報である長軸長情報を画像30として表示する場合を説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。そこで、出力制御機能172による他の出力形態について説明する。
【0058】
図5は、第1の実施形態の変形例に係る出力制御機能172の処理を説明するための図である。
図5に示すように、出力制御機能172は、他の出力形態によって出力することができる。
【0059】
例えば、出力制御機能172は、長軸長情報をインジケータ31上の矢印として表示する。このインジケータ31は、例えば、「++」、「+」、「0」、「−」、及び「−−」の5段階で、前の長軸長に対する現在の長軸長の変化量を表す。つまり、「++」、及び「+」は、現在のタイミングで算出された長軸長が、前のタイミングで算出された長軸長よりも長いことを表し、「+」の数が多いほど前のタイミングの長軸長との差分が大きい(つまり、長い)ことを表す。また、「−−」、及び「−」は、現在のタイミングで算出された長軸長が、前のタイミングで算出された長軸長よりも短いことを表し、「−」の数が多いほど前のタイミングの長軸長との差分が大きい(つまり、短い)ことを表す。また、「0」は、現在のタイミングで算出された長軸長が、前のタイミングで算出された長軸長と同程度の長さであることを表す。
図5の例では、出力制御機能172は、インジケータ31上の「+」の位置を矢印により示している。これにより、操作者は、インジケータ31上の矢印の位置により、長軸長の増減の程度を把握することができる。
【0060】
また、例えば、出力制御機能172は、長軸長を数値情報32として表示する。ここで、「Center Length」は、長軸長を表し、「X.XXcm」は、長軸長の数値を表す情報である。具体的には、出力制御機能172は、「8.50cm」等、長軸長の数値をディスプレイ13の表示画面上に表示する。これにより、操作者は、現在の長軸長を数値として正確に把握することができる。なお、これに限らず、出力制御機能172は、例えば、前の長軸長に対する現在の長軸長の変化量(「+0.30cm」、「−0.20cm」等)を表示してもよい。
【0061】
また、例えば、出力制御機能172は、
図2において説明した線分23,24を画像として表示してもよい。これにより、操作者は、現在の長軸長を直感的に把握することができる。
【0062】
図示の他、例えば、出力制御機能172は、長軸長情報を音として出力してもよい。一例としては、長軸長が増加する場合と減少する場合とを異なるトーンで表し、増減の程度を音の強さで表す。この場合、出力制御機能172は、長軸長の増減に対応するトーンの音を、長軸長の増減の程度に応じた強さで出力する。
【0063】
また、例えば、出力制御機能172は、長軸長情報を振動として出力しても良い。一例としては、超音波プローブ11の外装のうち、操作者により把持される部分に圧電素子を配置しておく。そして、出力制御機能172は、例えば、長軸長の増減に対応する振動パターンで圧電素子を振動させる。この場合、出力制御機能172は、長軸長の増減の程度に応じて振動の強さを変更する。
【0064】
(第1の実施形態の変形例2)
また、上記の実施形態では、心尖を通るか否かの指標値(特徴量)として、長軸長を用いる場合を説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、超音波診断装置1は、左心室の長軸長に加えて、心尖付近の輪郭の曲率を用いてもよい。この曲率は、心尖を通る断面で最大となる値である(心尖の輪郭が最も尖っている場合を正確な断面と考える)。
【0065】
この場合、例えば、算出機能171は、超音波画像データから心尖付近の輪郭(
図2の心臓の上端部)を抽出する。そして、算出機能171は、抽出した輪郭の曲率を算出する。
【0066】
そして、出力制御機能172は、現在の曲率と、前の曲率とを比較し、前の曲率に対する現在の曲率の増減の程度を示す情報である曲率情報を求める。そして、出力制御機能172は、長軸長情報と曲率情報とを複合した複合指標値を求めて、心尖を通るか否かの指標とする。例えば、複合指標値は、以下の式により求められる。なお、αは、重み係数であり、例えば、α=0.3〜0.4である。
【0067】
複合指標値=α×長軸長情報+(1−α)×曲率情報
【0068】
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、超音波診断装置1が、超音波画像を略リアルタイムで表示するとともに、所定の心周期で現在の長軸長が前の長軸長からどの程度増減したかを表示する場合を説明した。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、超音波診断装置1は、異なるタイミングで撮像した3つ以上の断面を同時に表示してもよい。
【0069】
第2の実施形態に係る超音波診断装置1は、
図1に例示した超音波診断装置1と同様の構成を備え、出力制御機能172及び格納機能173における処理が一部相違する。そこで、第2の実施形態では、第1の実施形態と相違する点を中心に説明することとし、第1の実施形態において説明した構成と同様の機能を有する点については、説明を省略する。
【0070】
第2の実施形態に係る格納機能173は、保存ボタンの押下を受け付けるごとに、所定心拍分の超音波画像データを画像メモリ150に保存する。例えば、格納機能173は、保存ボタンの押下を操作者から複数回受け付ける。具体的には、操作者が被検体Pに超音波プローブ11を当接させ、保存ボタンを押下すると(1回目の押下)、格納機能173は、その時点で表示されている超音波画像データを含む1心拍分の超音波画像データ群を画像メモリ150内の所定の記憶領域に保存する。続いて、操作者が超音波プローブ11の位置及び角度を少し変え、再び保存ボタンを押下すると(2回目の押下)、格納機能173は、その時点で表示されている超音波画像データを含む1心拍分の超音波画像データ群を画像メモリ150内の所定の記憶領域に保存する。
【0071】
第2の実施形態に係る出力制御機能172は、異なるタイミングで撮像された複数の超音波画像データのうち、少なくとも3つの超音波画像データにそれぞれ対応する画像を同時に表示する。
【0072】
図6は、第2の実施形態に係る出力制御機能172の処理を説明するための図である。
図6において、ディスプレイ13の表示画面は、超音波画像を表示するための表示領域を4箇所(表示領域40〜43)有する。各表示領域40〜43は、それぞれ異なるタイミングで撮像された超音波画像を表示する。例えば、表示領域40は、現在の超音波画像(current像)を表示する領域であり、各表示領域41〜43は、操作者の指示により保存されたタイミングの超音波画像(temp1像、temp2像、及びtemp3像)を繰り返し表示する領域である。なお、temp1像は、1回目の保存ボタンの押下により保存された超音波画像データ群に対応し、temp2像は、2回目の保存ボタンの押下により保存された超音波画像データ群に対応する。また、
図6に示す例では、表示領域43には超音波画像が表示されていないが、操作者の指示により保存された超音波画像データ群があれば、これを表示してよい。
【0073】
例えば、
図6に示すように、出力制御機能172は、並列表示ボタンの押下を受け付けると、表示領域40にcurrent像を表示するとともに、各表示領域41,42にtemp1像及びtemp2像をそれぞれ表示する。ここで、temp1像及びtemp2像のそれぞれは、例えば、1心拍分の超音波画像データ群である。このため、出力制御機能172は、各表示領域41,42において、1心拍に含まれる複数の超音波画像を心周期に従って連続的に表示する(動画表示)。
【0074】
このように、出力制御機能172は、表示領域40には現在の超音波画像を略リアルタイムで表示しつつ、操作者の指示により保存された超音波画像を各表示領域41〜43に表示する。
【0075】
また、出力制御機能172は、被検体Pから検知される心電信号に基づいて、同時に表示される画像の心周期を同期させる。例えば、出力制御機能172は、各表示領域41,42において、心電計14から取得される心電波形に対応する超音波画像(temp1像及びtemp2)を順次表示する。これにより、出力制御機能172は、各表示領域41,42に表示する超音波画像のタイミングを、current像に同期させる。
【0076】
また、出力制御機能172は、同時に表示される画像のうち、特徴量が最大である画像を強調表示する。例えば、出力制御機能172は、表示領域40〜42のR波の超音波画像データについて、各超音波画像データから算出される長軸長を比較する。そして、例えば、表示領域41の長軸長が最も長い場合には、出力制御機能172は、表示領域41の超音波画像を強調表示する。
図6に示す例では、出力制御機能172は、表示領域41を囲む枠線を太くすることで、強調表示する。
【0077】
図7は、第2の実施形態に係る超音波診断装置1による処理手順を示すフローチャートである。
図7に示す処理手順は、例えば、超音波プローブ11が被検体Pの体表面に当接された状態において、Bモード撮影を開始する旨の指示を操作者から受け付けることにより開始される。なお、ステップS201〜S203の処理は、
図4に示したステップS101〜S103の処理と同様であるので、説明を省略する。
【0078】
ステップS204において、格納機能173は、保存ボタンの押下を受け付けたか否かを判定する。ステップS204が否定される場合には、格納機能173は、ステップS205の処理を行わず、ステップS202の処理へ移行する。つまり、超音波診断装置1は、略リアルタイムで超音波画像を表示する。
【0079】
ステップS204が肯定されると、ステップS205において、格納機能173は、所定心拍(例えば、1心拍)分の超音波画像データを画像メモリ150内の所定の記憶領域に保存する。
【0080】
ステップS206において、算出機能171は、所定の心時相(例えば、R波の時相)において、生成された超音波画像データから両弁輪及び心尖の位置を検出する。例えば、算出機能171は、教師あり機械学習アルゴリズムを用いて、2次元の超音波画像データに含まれる弁輪及び心尖の位置を検出する。
【0081】
ステップS207において、算出機能171は、検出した両弁輪及び心尖の位置に基づいて、長軸長を算出する。例えば、算出機能171は、両弁輪を結ぶ線分23の中点と、心尖の位置22とを結ぶ線分24の長さを、長軸長として算出する。
【0082】
ステップS208において、出力制御機能172は、並列表示ボタンの押下を受け付けたか否かを判定する。なお、ステップS208が否定される場合には、出力制御機能172は、ステップS209の処理を行わず、ステップS202の処理へ移行する。つまり、超音波診断装置1は、略リアルタイムで超音波画像を表示しつつ、保存ボタンの押下を繰り返し受け付ける。
【0083】
ステップS208が肯定されると、ステップS209において、出力制御機能172は、保存済みの複数の超音波画像データを並列表示するとともに、長軸長が最も長いものを強調表示する(
図6参照)。例えば、表示領域40には現在の超音波画像(current像)を略リアルタイムで表示しつつ、操作者の指示により保存された超音波画像(temp1像、temp2像、及びtemp3像)を各表示領域41〜43に表示する。
【0084】
ステップS210において、格納機能173は、いずれかの超音波画像が選択されたか否かを判定する。例えば、格納機能173は、
図6に示すcurrent像、temp1像、及びtemp2像のうち、いずれの超音波画像が選択されたかを判定する。なお、ステップS210が否定される場合には、格納機能173は、ステップS211の処理を行わず、待機状態である。
【0085】
ステップS210が肯定されると、ステップS211において、格納機能173は、選択された所定心拍(例えば、1心拍)分の超音波画像データを記憶回路160に格納する。
【0086】
なお、
図7は一例に過ぎない。例えば、上記の処理手順は、必ずしも上述した順序で実行されなくてもよい。例えば、ステップS208の処理は、必ずしも実行されなくてもよい。つまり、出力制御機能172は、必ずしも並列表示ボタンの押下を受け付けなくても、ステップS209の処理を行ってもよい。この場合、出力制御機能172は、格納機能173により画像メモリ150に超音波画像データが保存されるごとに、保存された超音波画像データを、temp1像、temp2像、及びtemp3像として順次表示する。そして、出力制御機能172は、画像メモリ150に保存される超音波画像の長軸長同士を比較して、強調表示を行う。
【0087】
上述してきたように、第2の実施形態に係る超音波診断装置1は、異なるタイミングで撮像した3つ以上の断面を同時に表示する。これによれば、操作者は、被検体Pに対するプローブの当て方を少しずつ変えながら得られた位置の異なる3つ以上の断面が同時に表示された画面を閲覧するだけで、長軸長が最長となる断面を特定することができる。言い換えると、仮に、表示される断面が2つしかなければ、操作者は、長軸長の大小関係はわかっても、長軸長が最長となる断面はわからなかったが、第2の実施形態に係る超音波診断装置1によれば、3つ以上の断面が同時に表示されるので、プローブの当て方が異なる断面の候補の中から長軸長が最長となる断面を特定することができる。このため、超音波診断装置1は、所望の断面を正確に得ることができる。
【0088】
また、例えば、臨床では様々な病態や画質の条件において、断面が撮像されるため、条件によっては、心尖を通る断面の長軸長が最も長くなるとは限らない。このため、長軸長のみでは、心尖を通る断面が得られない場合が考えられる。これに対して、第2の実施形態に係る超音波診断装置1は、複数の断面が同時に表示されるので、操作者が複数の断面を閲覧し、選択することができる。これによれば、操作者は、心尖内腔の尖り具合や心室の形状等、長軸長以外の特徴についても考慮することができるので、心尖を通る断面を正確に得ることができる。
【0089】
なお、第1の実施形態にて説明した内容は、複数の断面を同時に表示する点を除き、第2の実施形態においても適用可能である。例えば、出力制御機能172は、
図6のcurrent像上に、第1の実施形態で説明した画像30を表示させてもよい。
【0090】
(第3の実施形態)
上記の実施形態では、長軸長が最長となる可能性がある断面を操作者に提示する場合を説明した。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、超音波診断装置1は、長軸長が最長ではない断面、つまり、心尖を通らない断面(斜め切り断面)を操作者に通知してもよい。
【0091】
すなわち、A4C像及びA2C像を撮影する場合に、双方が共に心尖を通る断面として撮影されれば、双方の長軸長は一致し、かつ、最長となるはずである。言い換えれば、双方の長軸長が異なっていれば、少なくとも短い方の断面は心尖を通らないことがわかる。そこで、第3の実施形態に係る超音波診断装置1は、A4C像及びA2C像を撮影する場合に、双方の長軸長を比較し、短い方の断面を通知することで、心尖を通らない断面を操作者に通知するものである。
【0092】
第3の実施形態に係る超音波診断装置1は、
図1に例示した超音波診断装置1と同様の構成を備え、算出機能171、出力制御機能172、及び格納機能173における処理が一部相違する。そこで、第3の実施形態では、第1の実施形態と相違する点を中心に説明することとし、第1の実施形態において説明した構成と同様の機能を有する点については、説明を省略する。なお、第3の実施形態では、超音波プローブ11として1Dアレイプローブが適用される場合を説明するが、2Dアレイプローブが適用されてもよい。
【0093】
第3の実施形態に係る格納機能173は、A4C像及びA2C像の超音波データをそれぞれ画像メモリ150に保存する。例えば、操作者は、A4C像が得られると考えられる位置に超音波プローブ11を動かし、A4C像を撮影する指示を入力する(ボタンの押下等)。これにより、格納機能173は、A4C像の超音波画像データを画像メモリ150に保存する。例えば、格納機能173は、指示が入力された時点で表示されている超音波画像データを含む1心拍分の超音波画像データ群を、A4C像の超音波画像データ群として画像メモリ150内の所定の記憶領域に保存する。
【0094】
また、例えば、操作者は、A2C像が得られると考えられる位置に超音波プローブ11を動かし、A2C像を撮影する指示を入力する。これにより、格納機能173は、A2C像の超音波画像データを画像メモリ150に保存する。例えば、格納機能173は、指示が入力された時点で表示されている超音波画像データを含む1心拍分の超音波画像データ群を、A2C像の超音波画像データ群として画像メモリ150内の所定の記憶領域に保存する。
【0095】
このように、格納機能173は、A4C像及びA2C像の超音波画像データをそれぞれ画像メモリ150に保存する。なお、操作者は、A4C像及びA2C像を再撮影することもできる。この場合、格納機能173は、格納機能173は、画像メモリ150内の所定の記憶領域に保存済みの超音波画像データを新たな超音波画像データに更新する。
【0096】
第3の実施形態に係る算出機能171は、A4C像及びA2C像の超音波画像データのそれぞれについて、長軸長を算出する。例えば、算出機能171は、格納機能173により画像メモリ150内の所定の記憶領域にA4C像の超音波画像データが保存されると、保存された超音波画像データのうち、R波の時相の超音波画像データから両弁輪及び心尖の位置を検出する。そして、算出機能171は、検出した両弁輪及び心尖の位置に基づいて、長軸長を算出する。なお、算出機能171は、A2C像の超音波画像データについても同様に、長軸長を算出する。
【0097】
第3の実施形態に係る出力制御機能172は、A4C像及びA2C像のうち、長軸長が短い方を強調表示する。
【0098】
図8は、第3の実施形態に係る出力制御機能172の処理を説明するための図である。
図8において、ディスプレイ13の表示画面は、A4C像を表示するための表示領域50と、A2C像を表示するための表示領域51と、current像を表示するための表示領域55とを含む。なお、操作者は、A4C像及びA2C像の撮影を行う場合、current像を閲覧しながら超音波プローブ11を操作し、撮影ボタンを押下する。これにより、操作者は、表示領域50に表示されるA4C像と、表示領域51に表示されるA2C像とを撮影する。
【0099】
図8に示すように、出力制御機能172は、算出機能171により算出されたA4C像及びA2C像の長軸像を比較する。ここで、例えば、A4C像の長軸長の方がA2C像の長軸長よりも短い場合には、出力制御機能172は、A4C像を強調表示する。
図8に示す例では、出力制御機能172は、表示領域50を囲む枠線を太くすることで、強調表示する。
【0100】
また、例えば、出力制御機能172は、算出機能171により算出される長軸を表す線分52,53を画像として表示する。ここで、線分52は、A4C像における長軸の画像であり、線分53は、A2C像における長軸の画像である。これにより、操作者は、A4C像及びA2C像の長軸長を線分の長さによって直感的に把握することができる。
【0101】
また、例えば、出力制御機能172は、A4C像及びA2C像の長軸長の差分値を、数値情報54として表示する。ここで、「diff」は、差分値を表し、「=XX」は、差分値を数値で表す情報である。具体的には、出力制御機能172は、「0.22cm」等、差分値をディスプレイ13の表示画面上に表示する。これにより、操作者は、現在の長軸長を数値として正確に把握することができる。
【0102】
図9は、第3の実施形態に係る超音波診断装置1による処理手順を示すフローチャートである。
図9に示す処理手順は、例えば、超音波プローブ11が被検体Pの体表面に当接された状態において、Bモード撮影を開始する旨の指示を操作者から受け付けることにより開始される。なお、ステップS301〜S203の処理は、
図4に示したステップS101〜S103の処理と同様であるので、説明を省略する。
【0103】
ステップS304において、格納機能173は、A4C像を撮影する指示を受け付けたか否かを判定する。例えば、操作者は、A4C像が得られると考えられる位置に超音波プローブ11を動かし、A4C像を撮影する指示を入力する。これにより、格納機能173は、A4C像を撮影する指示を操作者から受け付ける。なお、ステップS304が否定されると、格納機能173は、ステップS307に移行する。
【0104】
ステップS304が肯定されると、ステップS305において、格納機能173は、A4C像の超音波画像データを画像メモリ150に保存する。例えば、格納機能173は、A4Cにおいて、所定心拍(例えば、1心拍)分の超音波画像データを画像メモリ150内の所定の記憶領域に保存する。このとき、出力制御機能172は、保存された超音波画像データに基づいて、A4C像をディスプレイ13の所定の表示領域に表示させる。なお、A4C像が再撮影された場合には、格納機能173は、画像メモリ150内の所定の記憶領域に保存済みの超音波画像データを新たな超音波画像データに更新する。
【0105】
ステップS306において、算出機能171は、A4C像の長軸長を算出する。例えば、算出機能171は、A4C像から両弁輪及び心尖の位置を検出し、検出した両弁輪及び心尖の位置に基づいて、長軸長を算出する。
【0106】
ステップS307において、格納機能173は、A2C像を撮影する指示を受け付けたか否かを判定する。例えば、操作者は、A2C像が得られると考えられる位置に超音波プローブ11を動かし、A2C像を撮影する指示を入力する。これにより、格納機能173は、A2C像を撮影する指示を操作者から受け付ける。なお、ステップS307が否定されると、格納機能173は、ステップS302に移行する。
【0107】
ステップS307が肯定されると、ステップS308において、格納機能173は、A2C像の超音波画像データを画像メモリ150に保存する。例えば、格納機能173は、A2Cにおいて、所定心拍(例えば、1心拍)分の超音波画像データを画像メモリ150内の所定の記憶領域に保存する。このとき、出力制御機能172は、保存された超音波画像データに基づいて、A2C像をディスプレイ13の所定の表示領域に表示させる。なお、A2C像が再撮影された場合には、格納機能173は、画像メモリ150内の所定の記憶領域に保存済みの超音波画像データを新たな超音波画像データに更新する。
【0108】
ステップS309において、算出機能171は、A2C像の長軸長を算出する。例えば、算出機能171は、A2C像から両弁輪及び心尖の位置を検出し、検出した両弁輪及び心尖の位置に基づいて、長軸長を算出する。
【0109】
ステップS310において、出力制御機能172は、A4C像及びA2C像の長軸長が算出されているか否かを判定する。なお、ステップS310が否定されると、ステップS302の処理に移行する。つまり、超音波診断装置1は、A4C像及びA2C像の長軸長が算出されるまで、ステップS302〜S309の処理を繰り返し実行する。
【0110】
ステップS310が肯定されると、ステップS311において、出力制御機能172は、A4C像及びA2C像のうち、長軸長が短い方を強調表示する。
図8に示すように、例えば、A4C像の長軸長の方がA2C像の長軸長よりも短い場合には、出力制御機能172は、A4C像を強調表示する。
【0111】
ステップS312において、格納機能173は、撮影の終了ボタンが押下されたか否かを判定する。なお、ステップS312が否定されると、格納機能173は、ステップS302の処理に移行する。
【0112】
つまり、操作者は、A4C像及びA2C像について、所望の断面が得られるまで、
図8に例示した表示画面を参照しながら、超音波プローブ11の位置及び角度を変えてA4C像及びA2C像の再撮像を行うことができる。例えば、A4C像及びA2C像の長軸長のうち、いずれか一方が短ければ、操作者は、短い方の断面の位置及び角度を変えて、再度断面の撮影を行う。
【0113】
具体的には、操作者は、A4C像の長軸長がA2C像の長軸長よりも短い場合には、A4C像の断面について、超音波プローブ11の位置及び角度を変更する。ここで、A4C像とA2C像とは長軸を軸として約60度(ないし120度)回転している。そこで、A4C像を基準として直交する(90度回転させた)断面を概A2C像として抽出している場合においては、操作者は、超音波プローブ11の位置を断面に垂直な方向において移動させるのが好ましい(以下、本実施形態と第4の実施形態においては、概A2C像を単にA2C像と称する)。そして、操作者は、移動後の位置でA4C像を再撮影する。このとき、出力制御機能172は、再撮影したA4C像の長軸長と、A2C像の長軸長と比較し、長軸長が短い方を強調表示する。
【0114】
ここで、A4C像の長軸長がA2C像の長軸長より長くなっている場合には、操作者は、次に、A2C像の断面について、超音波プローブ11の位置及び角度を変更する。一方、A4C像の長軸長がA2C像の長軸長より短いままの場合には、操作者は、再び、A4C像の断面について、超音波プローブ11の位置及び角度を変更する。また、A4C像の長軸長がA2C像の長軸長と同程度である場合には、操作者は、いずれの断面についても心尖を通る断面が得られたものと判断する。
【0115】
なお、最初に撮影したA4C像及びA2C像において、双方の長軸長が同程度である場合がある。この場合、双方の長軸長が最長でないにもかかわらず、偶然に一致した可能性が考えられる。このため、このような場合であっても、操作者は、双方の断面について、断面を変更して長軸長を比較する操作を、少なくとも1回ずつ行うことが好ましい。
【0116】
ステップS312が肯定されると、ステップS313において、格納機能173は、A4C像及びA2C像の超音波画像データを記憶回路160に保存する。
【0117】
なお、
図9は一例に過ぎない。例えば、上記の処理手順は、必ずしも上述した順序で実行されなくてもよい。例えば、ステップS306,S309において、A4C像及びA2C像の長軸長を算出する処理は、ステップS301の処理の後に実行されてもよい。
【0118】
このように、第3の実施形態に係る超音波診断装置1は、A4C像及びA2C像を撮影し、A4C像及びA2C像の長軸長のうち、短い方を操作者に通知する。これにより、操作者は、変更すべき断面がわかるので、その断面を撮像する超音波プローブ11の位置及び角度を変更することができる。
【0119】
(第3の実施形態の変形例)
上記第3の実施形態において、更に、過去の検査で撮影された画像を同時に表示してもよい。
【0120】
図10は、第3の実施形態の変形例に係る出力制御機能172の処理を説明するための図である。
図10において、ディスプレイ13の表示画面は、現在の検査のA4C像を表示するための表示領域50と、現在の検査のA2C像を表示するための表示領域51と、過去の検査のA4C像を表示するための表示領域60と、過去の検査のA2C像を表示するための表示領域61とを含む。
【0121】
図10に示すように、出力制御機能172は、現在の検査において画像生成部140によって生成されたA4C像及びA2C像を表示領域50,51にそれぞれ表示するとともに、過去の検査において撮影されたA4C像及びA2C像を表示領域60,61にそれぞれ表示する。なお、各表示領域50,51,60,61にそれぞれ表示される画像は、ある心時相(例えば、R波の時相)の静止画であってもよいし、所定心拍(例えば、1心拍)分の複数の画像が連続表示(動画表示)される場合であってもよい。
【0122】
また、例えば、出力制御機能172は、各表示領域50,51,60,61に所定心拍(例えば、1心拍)分の複数の画像が連続表示される場合には、被検体Pから検知される心電信号に基づいて、同時に表示される4つの画像の心周期を同期させる。ここで、過去の検査において撮影されたA4C像及びA2C像については、記憶されている各画像は、心電波形におけるタイミングを表す情報が付与されている。例えば、出力制御機能172は、各表示領域50,51において、心電計14から取得される心電波形に対応する画像(A4C像及びA2C像)を順次表示する。また、出力制御機能172は、過去の検査において撮影されたA4C像及びA2C像について、各表示領域50,51に表示される画像の心電波形に対応するタイミングの画像を順次表示する。これにより、出力制御機能172は、同時に表示される4つの画像の心周期を同期させる。
【0123】
このように、第3の実施形態の変形例において、超音波診断装置1は、現在の検査で撮影された画像とともに、過去の検査で撮影された画像を同時に表示する。これにより、操作者は、現在の検査の断面と、過去の検査の断面とを並べて閲覧することができるので、過去の検査の断面と同様の断面を容易に得ることができる。例えば、過去の検査と今回の検査で操作者が異なっていても、現在の検査の操作者は、過去の検査の断面と同様の断面を容易に得ることができる。
【0124】
なお、第1、第2の実施形態にて説明した内容は、A4C像及びA2C像のうち短い方の断面を通知する点を除き、第3の実施形態においても適用可能である。例えば、出力制御機能172は、略リアルタイムで表示される現在の超音波画像上に、第1の実施形態にて説明した画像30を表示してもよい。
【0125】
また、上記第3の実施形態では、超音波プローブ11として1Dアレイプローブが適用される場合を説明したが、2Dアレイプローブが適用されてもよい。2Dアレイプローブが適用される場合、例えば、操作者は、一度の操作でA4C像及びA2C像の初期断面を撮影可能である。なお、この場合にもいても、A4C像及びA2C像の長軸長を比較し、短い方の断面を変更する操作は、上述した説明と同様である。
【0126】
また、上記第3の実施形態では、出力制御機能172が、長軸長が短い方の断面を操作者に通知する場合を説明したが、長い方を通知してもよい。この場合にも、操作者は、変更すべき断面(長軸長が短い方の断面)を認識できるので、上述した操作が可能となる。
【0127】
(第4の実施形態)
上記の実施形態では、心尖を通る断面が得られたか否かの判断の指標となる情報を操作者に通知することで、操作者が断面を変更する場合を説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、超音波診断装置1が自動的に断面を変更し、適切な断面を操作者に提示する場合であってもよい。
【0128】
図11は、第4の実施形態に係る超音波診断装置の構成例を示すブロック図である。第4の実施形態に係る超音波診断装置1は、
図1に例示した超音波診断装置1と同様の構成を備え、超音波プローブ11が2Dアレイプローブである点と、処理回路170が走査制御機能174を更に実行する点と、算出機能171、出力制御機能172、及び格納機能173における処理の一部が相違する。そこで、第4の実施形態では、第1の実施形態と相違する点を中心に説明することとし、第1の実施形態において説明した構成と同様の機能を有する点については、
図1と同一の符号を付し、説明を省略する。
【0129】
走査制御機能174は、処理回路170が走査制御機能174に対応するプログラムを記憶回路160から読み出し実行することで、実現される機能である。走査制御機能174は、A4C像の長軸長とA2C像の長軸長との差異が小さくなるように、A4C像及びA2C像の断面の位置を変更した超音波走査を超音波プローブ11に行わせる。例えば、走査制御機能174は、A4C像及びA2C像の長軸長のうち、A4C像の長軸長が短い場合には、A4C像の断面の位置を変更した超音波走査を超音波プローブ11に行わせる。また、走査制御機能174は、A2C像の長軸長が短い場合には、A2C像の断面の位置を変更した超音波走査を超音波プローブ11に行わせる。以下、
図12を用いて、走査制御機能174の処理を説明する。
【0130】
図12は、第4の実施形態に係る超音波診断装置1による処理手順を示すフローチャートである。
図12に示す処理手順は、例えば、2Dアレイプローブである超音波プローブ11が被検体Pの体表面に当接された状態において、bi−plane 2D撮影を開始する旨の指示を操作者から受け付けることにより開始される。
【0131】
ステップS401において、処理回路170は、bi−plane 2D撮影を開始する。例えば、処理回路170は、bi−plane 2D撮影を開始する旨の指示を操作者から受け付けると、bi−plane 2D撮影を開始する。なお、ステップS401が否定される場合には、処理回路170は、撮影を開始せず、待機状態である。
【0132】
ステップS401が肯定されると、ステップS402において、超音波プローブ11は、概直交2断面の超音波走査を行う。
【0133】
ステップS403において、画像生成回路140は、概直交2断面の超音波画像データを生成する。そして、出力制御機能172は、画像生成回路140により生成された超音波画像データに対応するbi−plane 2D画像(概直交する2つの超音波画像)を表示する。ここで、操作者は、表示されたbi−plane 2D画像がA4C像及びA2C像に対応するように、超音波プローブ11の位置及び角度を変更する。そして、操作者は、概ねA4C像及びA2C像が得られているであろうと判断すると、超音波プローブ11の位置及び角度を固定し、ステップS404以降の処理を開始する。
【0134】
ステップS404において、算出機能171は、A4C像及びA2C像から両弁輪及び心尖の位置をそれぞれ検出する。
【0135】
ステップS405において、算出機能171は、A4C像及びA2C像の長軸長を初期長軸長としてそれぞれ算出する。
【0136】
ステップS406において、走査制御機能174は、A4C像の初期長軸長とA2C像の初期長軸長との第1差分値を算出する。なお、第1差分値は、A4C像の初期長軸長とA2C像の初期長軸長との差の絶対値である。
【0137】
ステップS407において、走査制御機能174は、初期長軸長が短い方の断面の位置を変更しながら超音波走査を実行させ、第1差分値が最小となる位置で断面を決定する。例えば、A4C像の初期長軸長が短い場合には、走査制御機能174は、A4C像の断面の位置及び角度を変更し、変更した断面にて超音波プローブ11に超音波走査を行わせる。ここで、例えば、走査制御機能174は、A4C像の断面の位置及び角度を、A2C像の断面に垂直な向きで変更させる。そして、走査制御機能174は、断面を変更するごとに、変更後の断面から算出される長軸長を用いて第1差分値を算出する。そして、走査制御機能174は、第1差分値が最小となる位置で、A4C断面を決定する。
【0138】
ステップS408において、走査制御機能174は、初期長軸長が長い方の断面の位置を変更しながら超音波走査を実行させ、第1差分値が最小となる位置で断面を決定する。例えば、A2C像の初期長軸長が長い場合には、走査制御機能174は、A2C像の断面の位置及び角度を変更し、変更した断面にて超音波プローブ11に超音波走査を行わせる。ここで、例えば、走査制御機能174は、A2C像の断面の位置及び角度を、A4C像の断面に垂直な向きで変更させる。そして、走査制御機能174は、断面を変更するごとに、変更後の断面から算出される長軸長を用いて第1差分値を算出する。そして、走査制御機能174は、第1差分値が最小となる位置で、A2C断面を決定する。
【0139】
ステップS409において、走査制御機能174は、初期長軸長が長い方の断面について、初期長軸長と現在の長軸長との第2差分値を算出する。例えば、A2C像の初期長軸長が短い場合には、走査制御機能174は、ステップS406の処理により算出されたA2C像の初期長軸長と、ステップS408の処理により算出されたA2C像の長軸長との差の絶対値を、第2差分値として算出する。
【0140】
ステップS410において、走査制御機能174は、第2差分値が閾値未満か否かを判定する。なお、ステップS410が否定される場合には、走査制御機能174は、ステップS407の処理へ移行する。ここで、第2差分値が閾値未満か否かを判定するのは、長い方の長軸長の変動が少なければ、十分に長い長軸が得られていると考えられるからである。
【0141】
ステップS410が肯定されると、ステップS411において、走査制御機能174は、処理終了を通知する。つまり、走査制御機能174は、ステップS407,S408の処理により決定した2断面を、A4C像及びA4C像の断面として決定する。そして、例えば、格納機能173は、決定されたA4C像及びA2C像の超音波画像データを記憶回路160に保存する。
【0142】
このように、第4の実施形態に係る超音波診断装置1は、A4C像の長軸長とA2C像の長軸長との差異が小さくなるように、A4C像及びA2C像の断面の位置を自動的に変更し、差異が小さくなる位置の断面を操作者に提示する。これによれば、操作者は、超音波プローブ11を被検体Pの体表面に当接させた位置において保持している間に得られる断面のうち、最も長軸長が長い断面を自動的に得ることができる。
【0143】
なお、第1、第2の実施形態にて説明した内容は、A4C像及びA2C像のうち短い方の断面を通知する点を除き、第3の実施形態においても適用可能である。例えば、出力制御機能172は、略リアルタイムで表示される現在の超音波画像上に、第1の実施形態にて説明した画像30を表示してもよい。
【0144】
(その他の実施形態)
上述した実施形態以外にも、種々の異なる形態にて実施されてもよい。
【0145】
例えば、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を、各種の負荷や使用状況等に応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。更に、各装置にて行なわれる各処理機能は、その全部又は任意の一部が、CPU及び当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、或いは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現され得る。
【0146】
また、第1の実施形態〜第4の実施形態及び変形例において説明した各処理のうち、自動的に行なわれるものとして説明した処理の全部又は一部を手動的に行なうこともでき、或いは、手動的に行なわれるものとして説明した処理の全部又は一部を公知の方法で自動的に行なうこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0147】
また、第1の実施形態〜第4の実施形態及び変形例で説明した超音波診断装置の制御方法は、予め用意された制御プログラムをパーソナルコンピュータやワークステーション等のコンピュータで実行することによって実現することができる。この制御プログラムは、インターネット等のネットワークを介して配布することができる。また、この超音波イメージング方法は、ハードディスク、フレキシブルディスク(FD)、CD−ROM、MO、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行することもできる。
【0148】
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、所望の断面を正確に得ることができる。
【0149】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。