(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に、太陽光発電システムに用いられる電力変換装置は、負荷率(電力変換装置の入力(又は出力)と電力変換装置の定格の比)が高い場合には、電力変換効率が高く、負荷率が低い(電力変換装置の定格に対して入力(又は出力)が小さい)場合には、電力変換効率が低い。特許文献1に記載された発明では、太陽光発電システムに用いられている電力変換装置の電力変換効率は考慮されておらず、太陽電池及び二次電池出力の電力変換効率が悪くなってしまう場合があるとの問題があった。
【0005】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、電力変換装置の電力変換効率を考慮した制御を行うことにより、効率的な太陽光発電を行う太陽光発電システムの制御装置、太陽光発電システム、及び制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、以下の手段を提供する。
本発明の太陽光発電システムの制御装置は、太陽電池の出力電力に関連した出力パラメータに基づき、前記太陽電池の出力電力に関連した出力情報を取得する太陽電池出力情報取得部と、前記太陽電池及び蓄電池の少なくともいずれか一方の出力電力が入力可能に接続されて所望の電力を供給する電力変換装置と、前記蓄電池との間に接続された蓄電池入出力調整部を制御する蓄電池制御部と、前記蓄電池の状態を示す蓄電池状態情報を取得する蓄電池状態情報取得部と、前記電力変換装置における任意の入力電力に対する電力変換効率を記憶する電力変換効率記憶部と、前記太陽電池の出力情報、前記蓄電池状態情報及び前記電力変換効率に基づいて、前記電力変換装置に対する入力電力の範囲である入力範囲を決定する入力範囲決定部と、を少なくとも備え、前記蓄電池制御部は、前記電力変換装置への入力電力が前記入力範囲に含まれるように前記蓄電池からの出力電力を調整する制御信号を前記蓄電池入出力調整部に出力することを特徴とする。
【0007】
本発明の太陽光発電システムの制御装置によれば、太陽電池出力情報取得部が、太陽電池の出力電力に関連した出力パラメータに基づいて、太陽電池の出力に関連した出力情報を取得する。また、蓄電池状態情報取得部が、電力変換装置に接続されている蓄電池の充電状態や蓄電池からの出力等を示す蓄電池情報を取得する。そして入力範囲決定部が、取得した出力情報、蓄電池情報、電力変換装置における任意の入力電力に対する電力変換効率が記憶された電力変換効率記憶部を参照し、電力変換装置への入力電力の範囲を決定する。そして、蓄電池制御部が、電力変換装置への入力電力が入力範囲決定部によって決定された入力電力の範囲内となるように、蓄電池入出力調整部を制御して蓄電池からの出力電力を調整する。
【0008】
上記発明においては、前記電力変換装置への入力電力が前記入力範囲外と判定された場合に、前記入力範囲決定部が、改めて取得した前記太陽電池の出力情報、前記蓄電池状態情報及び前記電力変換効率に基づいて前記電力変換装置の新たな入力範囲を決定する演算処理を行い、前記蓄電池制御部は、前記電力変換装置への入力電力が前記入力範囲に含まれるように前記蓄電池からの出力電力を調整する制御信号を前記蓄電池入出力調整部に出力することが好ましい。
【0009】
このようにすることにより、例えば太陽電池の出力が低下した場合など、電力変換装置への入力電力が、決定された入力電力の範囲から外れた場合には、改めて出力情報、蓄電池状態情報が取得される。そして、入力範囲決定部が、改めて取得した出力情報、蓄電池状態情報及び電力変換効率記憶部に記憶された電力変換効率を参照し、新たな入力範囲を決定する演算処理を行う。そして、蓄電池制御部が、電力変換装置への入力電力が、新たに決定された入力電力の範囲となるように蓄電池入出力調整部を制御する。
【0010】
さらに上記発明においては、前記太陽光発電システムが接続された電力系統の情報である電力系統情報を取得する電力系統情報取得部を更に備え、前記蓄電池制御部は、前記蓄電池状態情報及び前記電力系統情報に基づいて、前記蓄電池が充電可能であるか否かを判定する判定処理を行い、充電可能であると判定した場合には、前記蓄電池を充電するために前記蓄電池への入力電力を調整する制御信号を、前記蓄電池入出力調整部に出力する処理を行うことが好ましい。
【0011】
このようにすることにより、電力系統情報取得部によって太陽光発電システム等から電力系統への出力電力の抑制を指示する抑制指令などの電力系統に関する情報が取得される。そして、蓄電池制御部が、蓄電池状態情報、及び取得された電力系統情報に基づいて、蓄電池が充電可能な条件を満たすか否かの判定処理を行い、充電可能と判定した場合には、蓄電池を充電する様に蓄電池入出力調整部を制御する。
【0012】
さらに上記発明においては、前記判定処理は、前記蓄電池状態情報と前記電力系統情報である抑制指令との組み合わせ、又は前記蓄電池状態情報と前記電力系統情報である電力の時間帯別料金との組み合わせに基づいて行われることを特徴とすることが好ましい。
【0013】
このようにすることにより、蓄電池が充電可能な条件を満たすか否かの判定処理が、蓄電池の状態と抑制指令の有無の組み合わせよって、または、蓄電池の状態と電力の時間帯毎の買い取り価格である時間帯別料金の組み合わせによって行われることになる。
【0014】
さらに上記発明においては、太陽電池と、蓄電池と、前記太陽電池及び前記蓄電池の少なくともいずれか一方の出力電力が入力可能に接続され、所望の電力を出力する電力変換装置と、前記蓄電池と前記電力変換装置との間に接続された蓄電池入出力調整部と、前述に記載の特徴を有した制御装置を備えた太陽光発電システムであることが好ましい。このようにすることにより、電力変換装置への入力電力が、電力変換効率を考慮して調整される太陽光発電システムが実現される。
【0015】
さらに上記発明においては、太陽電池と電力変換装置と蓄電池を備えた太陽光発電システムの制御を行うプログラムであって、電子計算機器に、太陽電池の出力電力に関連した出力パラメータに基づき、前記太陽電池の出力電力に関連した出力情報を取得する太陽電池出力情報取得機能と、前記蓄電池の状態を示す蓄電池状態情報を取得する蓄電池状態情報取得機能と、前記電力変換装置における入力電力に対する電力変換効率情報を取得する電力変換効率情報取得機能と、前記太陽電池の出力情報、前記蓄電池状態情報、及び前記電力変換効率情報に基づいて、前記電力変換装置に対する入力電力の範囲である入力範囲を決定する入力範囲決定機能と、前記電力変換装置への入力電力が前記入力範囲に含まれるように、前記蓄電池の出力電力の調節を行う蓄電池入出力整部へ制御信号を出力する蓄電池制御機能を実現するための太陽光発電システムの制御プログラムであることが好ましい。
【0016】
このようにすることにより、コンピュータシステムに制御プログラムをインストールすることで、電力変換効率を考慮した制御を行う太陽光発電システムの制御装置、及び当該制御装置を用いた太陽光発電システムが実現される。
【発明の効果】
【0017】
本発明の太陽光発電システムの制御装置、太陽光発電システム、及び制御プログラムによれば、電力変換効率を考慮して電力変換装置への入力電力の範囲が決定され、電力変換装置への入力電力が、当該決定された入力範囲となるように、蓄電池の出力が調整される。このため、電力変換装置における電力の損失が低減され、効率のよい太陽光発電を行うことが可能な太陽光発電システムを提供することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の一実施形態に係る太陽光発電システム1について、主に
図1から
図6を参照しながら説明する。
本実施形態に係る太陽光発電システム1は、電力変換装置2の電力変換効率を考慮した制御を行うことにより、効率的な太陽光発電を行うものである。太陽光発電システム1は、
図1に示すように、電力変換装置2(以降「PCS2」とも表記する。)、制御ユニット3、太陽電池5、蓄電池入出力調整ユニット6、および、蓄電池7から主に構成されている。
【0020】
太陽電池5は、太陽などの日射を受けて直流電力を発電するものである。太陽電池5としては、公知の様々な形式や種類のものを用いることができ、特に形式や種類を限定するものではない。蓄電池7は、直流電力の充電および放電が可能なものであり、二次電池とも呼ばれるものである。蓄電池7としては公知の様々な形式や種類のものを用いることができるが、本実施形態では、蓄電池7としてリチウムイオン電池が用いられる例に適用して説明する。蓄電池7は、蓄電池入出力調整ユニット6を介して電源ライン8の接続点9に接続され、太陽電池5と並列に電力変換装置2に接続されている。
【0021】
電力変換装置2は、直流電力を交流電力に変換するインバータである。電力変換装置2には、電力ライン8に接続される入力部21と、電力ライン10に接続される出力部22とが設けられている。入力部21には、太陽電池5により発電された直流電力が電力ライン8を介して入力されている。出力部22からは、電力ライン10を介して電力系統11へ、電力変換装置2において変換された交流電力が出力されている。
【0022】
一般に、電力変換装置2であるインバータは、
図2に示すように、入力される直流電力(以降「入力電力」とも記載する。)が小さくなると、電力変換効率が低下するという特性を有している。ここで、電力変換効率は、入力電力に対する電力変換装置から出力される交流電力(以降「出力電力」とも記載する。)の比である。また、電力変換効率が小さくなるとは、電力変換装置が電力変換を行う際の損失が大きくなることでもある。
【0023】
さらには、電力変換装置2に入力される入力電力の値が一定値未満の場合には、入力電力の値の増加に対する電力変換効率の増加の割合が大きく、入力電力の値が一定の値以上の場合には、入力電力の値の増加に対する電力変換効率の増加の割合が小さくなる。そのため、電力変換装置2に入力される入力電力の値を一定値以上にすることにより、効率のよい(電力変換時の電力の損失が小さい)電力変換を行うことが可能となる。なお、
図2に示すグラフでは、その横軸を負荷率(電力変換装置の定格電力に対する入力電力の比)にて表している。
【0024】
蓄電池入出力調整ユニット6は、電力ライン8および蓄電池7と電流の入出力が可能に接続されるものであり、蓄電池7の入出力電力を調節する双方向DC/DCコンバータである。また、制御ユニット3から入力される制御信号に基づいて、蓄電池7からの放電(電力の出力)および蓄電池7への蓄電(電力の入力)を制御するものである。
【0025】
また、蓄電池入出力調整ユニット6および蓄電池7のいずれか一方には、蓄電池7におけるSOC(State of charge)情報を少なくとも含む蓄電池状態情報を取得して出力する機能が設けられている。蓄電池状態情報は後述する制御ユニット3に出力されるものである。なお、蓄電池状態情報を取得して出力する機能は、蓄電池入出力調整ユニット6や蓄電池7に設けられる代わりに、他の構成要素に設けられてもよいし、独立して設けられていてもよい。なお、蓄電池入出力調整ユニット6が特許請求の範囲における蓄電池入出力調整部とされている。
【0026】
制御ユニット3は、CPU(中央演算処理ユニット)、ROM、RAM、ハードディスクなどの記憶デバイス、入出力インターフェース等を有するコンピュータシステムである。ROMまたはハードディスクなどの記憶デバイスに記憶されている制御プログラムは、CPUを蓄電池制御部32や、入力範囲決定部34として機能させ、記憶デバイスを電力変換効率記憶部35として機能させ、入出力インターフェースを、太陽電池出力情報取得部31や、蓄電池状態情報取得部33や、電力系統情報取得部36として機能させるものである。なお、制御ユニット3が、特許請求の範囲における制御装置とされている。
【0027】
太陽電池出力情報取得部31は、電力変換装置2への入力電力の値を取得する部分である。具体的には、電源ライン8の電力変換装置2と接続点9との間に設けられたセンサ4からの検知信号を取得することにより、入力電力の値を取得するものである。センサ4は、電力変換装置2に入力される入力電力を検知し、その検知した信号(検知信号)を制御ユニット3に入力するものである。さらに、太陽電池出力情報取得部31は、取得した検知信号、及び蓄電池状態情報の蓄電池7の出力電力の情報に基づいて、太陽電池5の出力電力の値を求める機能も有するものである。
【0028】
なお、この太陽電池5の出力電力の値を取得する機能は、太陽電池出力情報取得部31の代わりに入力範囲決定部34が有してもよい。
また、センサ4は、電力ライン8における太陽電池5と接続点9との間に設けられものであってもよい。この場合、センサ4が太陽電池5の出力電力を検知する。そして、太陽電池出力情報取得部31や入力範囲決定部34などの部分が、センサ4が検知した太陽電池5からの出力電力と、蓄電池状態情報の蓄電池7の出力電力に関する情報から、電力変換装置2への入力電力の値を取得する。
【0029】
なお、センサ4からの検知信号が、特許請求の範囲における出力パラメータとされている。また、太陽電池5の出力電力が、特許請求の範囲における太陽電池の出力電力に関連した出力情報、または太陽電池の出力情報とされている。
【0030】
蓄電池状態情報取得部33は、蓄電池入出力調整ユニット6および蓄電池7のいずれか一方から出力される蓄電池状態情報を取得する部分である。蓄電池状態情報取得部33は、取得した蓄電池状態情報を、入力範囲決定部34及び蓄電池制御部32に出力するものでもある。
【0031】
電力系統情報取得部36は、抑制指令や時間帯別料金などの電力系統11の状態を示す電力系統情報を取得する部分である。電力系統情報取得部36は、取得した電力系統情報を、入力範囲決定部34及び蓄電池制御部32に出力するものでもある。
【0032】
電力変換効率記憶部35は、主に電力変換効率テーブル37、及び電力変換装置2の定格を記憶する部分である。電力変換効率テーブル37は、電力変換装置2における入力電力に対する電力変換効率(入力電力に対する出力電力の比)が記録されたものである(
図5(a)参照。)。
【0033】
なお、電力変換効率テーブル37は、本実施形態で説明する様に入力電力と共にその負荷率(電力変換装置2の定格と入力電力の比)が併記されたものであってもよいし、入力電力の値の代わりに、負荷率と電力変換効率の関係が記録されたものであってもよい。
【0034】
入力範囲決定部34は、電力変換装置2への入力電力の範囲を決定する演算処理を行う部分である。具体的には、電力変換装置2への入力電力の値、蓄電池状態情報、及び電力変換効率テーブル37を参照して入力電力の範囲を決定する演算処理を行うものである。また、入力範囲決定部34は、太陽電池5の出力電力の有無を判定する処理を行うものでもある。
【0035】
蓄電池制御部32は、蓄電池入出力調整ユニット6を制御するものである。より具体的には、電力変換装置2への入力電力が、入力範囲決定部34によって決定された入力電力範囲内の値となる様に、蓄電池入出力調整ユニット6を制御するものであり、蓄電池入出力調整ユニット6の制御に用いられる蓄電池7から出力される出力電力値を算出するものである。また、蓄電池制御部32は、蓄電池状態情報、及び電力系統情報に基づいて、蓄電池7が充電可能な状態にあるかの判定処理、及び放電可能であるかの判定処理を行うものでもある。
【0036】
<動作の説明>
以下、本実施形態にかかる太陽光発電システム1の動作について、主に
図4及び
図6(a)〜(c)を参照しながら説明を行う。
【0037】
まず、本実施形態における電力変換装置2の出力電力(言い換えると太陽光発電システム1の出力電力:
図6(a)参照。)と、蓄電池7の充放電量(
図6(b)参照。)と、太陽電池5の発電量の時間変化(
図6(c)参照。)と、について説明する。
図6(a)から
図6(c)における横軸は時刻を表している。横軸における左端は日出前の所定時刻であり、右端は日没後の所定時刻である。なお、電力変換装置2への入力電力の時間変化は、その出力電力の時間変化と同様であるため、
図6(a)は、電力変換装置2への入力電力の時間変化も示している。このため、
図6(a)の右側の縦軸は電力変換装置2への入力電力の値を示している。また、Wref−in[kW]は、出力電力の値であるWref[kW]に対応する入力電力の値を表している。
【0038】
日出の時刻を経過すると、太陽の光が入射して太陽電池5は発電を開始する。太陽電池5による発電量は、日の出からの時間が経過して太陽電池5に入射する光量が増えるとともに増加する(
図6(c)参照。)。太陽電池5により発電された直流電力は電力変換装置2に入力され、交流電力変換された後、太陽光発電システム1の出力電力として出力される(
図6(a)参照。)。
【0039】
日出の時刻から、太陽光発電システム1の出力電力が抑制指令の値Wref[kW]に達して、蓄電池7に対する充電制御が行われるまでの時間帯(以降「時間帯A」と表記する。)では、太陽電池5により発電された直流電力は、全てが電力変換装置2に入力される。その一方で、蓄電池7に対しては、充電も放電も行われない(
図6(b)参照。)。
【0040】
その後、太陽電池5による発電電力が抑制指令の値Wref[kW]を超えている間の時間帯(以降「時間帯B」と表記する。)では、太陽電池5による全発電電力のうち、抑制指令の値Wref[kW]に相当する分(Wref−in[kW])は、電力変換装置2に入力され、交流電力変換された後、太陽光発電システム1の出力電力として出力される(
図6(a)参照。)。その一方で、抑制指令の値Wref[kW]を超える分(太陽電池5からの全出力電力のうち、Wref−in[kW]を超える分)は、蓄電池7に充電される(
図6(b)参照。)。
【0041】
太陽電池5による発電電力が抑制指令の値Wref[kW]を下回り、言い換えると、時間帯Bを経過し、太陽電池5による発電電力が、入力範囲決定部34によって定められた入力電力の範囲(イ)を下回るまでの時間帯(以降「時間帯C」と表記する。)では、蓄電池7に対する充電が停止され(
図6(b)参照。)、太陽電池5により発電された直流電力は、全てが電力変換装置2に入力される(
図6(a)参照。)。
【0042】
なお、本実施形態において抑制指令は、電力系統11を管理する事業者から出される指令であり、太陽光発電システム1などの発電システムから、電力系統11への電力供給の値を所定の値以下に抑制する内容の指令である例に適用して説明する。
【0043】
太陽電池5による発電電力が入力範囲決定部34によって定められた入力電力の範囲(イ)を下回ってから、蓄電池7からの放電が可能な時間帯(以降「時間帯D」と表記する。)では、蓄電池7からの放電が行われる(
図6(b)参照。)。電力変換装置2には、蓄電池7から放電された電力と、太陽電池5による発電電力とが入力される(
図6(a)参照。)。時間帯Dの間に日没すると、日没以後は、電力変換装置2に蓄電池7から放電された電力のみが入力される。蓄電池7から放電される電力は、電力変換装置2に入力される入力電力が入力電力の範囲(イ)に収まるように制御される。ここで、時間帯Bにおいて蓄電池7に充電された電力量と、時間帯Dにおいて蓄電池7から放電された電力量とは、同量となっている。
【0044】
その後、蓄電池7からの放電が不可能な時間帯(以降「時間帯E」と表記する。)では、電力変換装置2には、太陽電池5からも蓄電池7からも電力が入力されず、太陽光発電システム1からも電力は出力されない。本実施形態において蓄電池7からの放電が不可能とは、蓄電池7であるリチウムイオン電池の保護のために設けられている制限により、放電ができないことを意味するものである。なお、放電が不可能との定義は、蓄電池7の種類に応じて内容が変わるものであり、上述の内容に限定するものではない。
【0045】
次に、本実施形態における制御ユニット3の制御内容について
図4のフローチャートを参照しながら説明する。
本実施形態の太陽光発電システム1の運用が開始されると、制御ユニット3は、
図4のフローチャートで表される内容の制御を繰り返し実行する。制御はフローチャートの中で制御が終了するまで繰り返し行われる。
【0046】
制御が開始されると、制御ユニット3の太陽電池出力情報取得部31は、太陽電池5における発電情報である太陽電池出力情報を取得する処理を行う(S100)。具体的には、センサ4からの検出信号と、蓄電池入出力調整ユニット6および蓄電池7のいずれか一方から出力される蓄電池状態情報を取得することにより、太陽電池出力情報を取得する処理を行う。上述の時間帯Aおよび時間帯Cでは、電力変換装置2への入力電力の値が太陽電池出力情報となる。また、上述の時間帯Bおよび時間帯Dでは、電力変換装置2への入力電力の値から蓄電池7から放電される電力の値を除いたものが太陽電池出力情報となる。
【0047】
太陽電池出力情報が取得されると、制御ユニット3の入力範囲決定部34は、太陽電池出力情報に基づいて太陽電池5における発電があるか否か、言い換えると太陽電池出力があるか否かを判定する処理を行う(S110)。太陽電池出力がないと判定された場合(NOの場合)には、制御ユニット3による制御を終了させる処理が行われる(S200)。
【0048】
S110の判定処理において、太陽電池出力があると判定された場合(YESの場合)には、蓄電池7の蓄電池状態情報を取得する処理が行われる(S120)。
具体的には、制御ユニット3の蓄電池状態情報取得部33により、蓄電池7のSOC等の蓄電池状態情報を取得する処理が行われる。
【0049】
蓄電池状態情報が取得されると、制御ユニット3の蓄電池制御部32は、蓄電池7に対する充電条件を満たすか否かを判定する処理を行う(S130)。具体的には、(i)蓄電池7のSOCが充電可能な範囲内にあるか否か、(ii)電力系統11を管理する事業者から抑制指令が出されており、太陽電池5による発電電力が抑制指令の値Wref[kW]を超えているか否かの条件を満たすか否かの判定処理が行われる。S130の判定処理において、(i)の条件、および、(ii)の条件が満たされると判定された場合(YESの場合)には、蓄電池7への充電処理が行われる(S135)。そして充電処理が行われている間に、(i)の条件、および、(ii)の条件の少なくとも一方が満たされなくなったと判定された場合には、蓄電池7への充電処理が停止される。
【0050】
S135の充電処理が終了した後、または、S130の判定処理において、(i)の条件、および、(ii)の条件の少なくとも一方が満たされていないと判定された場合(NOの場合)には、制御ユニット3の蓄電池制御部32は、蓄電池7が放電可能か否かを判定する処理を行う(S140)。具体的には、直近に取得した蓄電池状態情報に基づいて、蓄電池7のSOCが放電可能な範囲にあるか否か、太陽電池5による発電電力が、入力範囲決定部34によって定められた入力電力の範囲を下回るか否かを判定する処理を行う。蓄電池7のSOCが放電可能な範囲にない、または、太陽電池5による発電電力が入力電力の範囲を下回らないと判定された場合(NOの場合)には、制御ユニット3は、S100の処理に戻り上述の処理を繰り返し行う。
【0051】
S140の判定処理において、蓄電池7のSOCが放電可能な範囲にあり、かつ、太陽電池5による発電電力が入力電力の範囲を下回ると判定された場合(YESの場合)には、制御ユニット3の入力範囲決定部34は、電力変換装置2の電力変換効率を取得する処理を行う(電力変換効率取得ステップ:S150)。
【0052】
具体的には、入力範囲決定部34は、取得している電力変換装置2への入力電力の値に基づいて、電力変換効率記憶部35に記憶されている電力変換効率テーブル37(
図5(a)参照。)を参照する処理を行う。この処理により、取得している電力変換装置2への入力電力の値に対応する電力変換効率が取得される。
【0053】
電力変換効率が取得されると、制御ユニット3の入力範囲決定部34は、電力変換装置2の入力電力の範囲を算出する処理を行う(S160)。具体的には、入力範囲決定部34は、電力変換装置2の電力変換効率が所定の範囲内に収まる入力電力の範囲を算出する処理を行う。この算出処理は、電力変換装置2への入力電力、蓄電池7の蓄電池状態情報、及び電力変換効率テーブル37に基づいて行われ、具体的な算出方法は公知の方法を用いることができ、特に限定するものではない。
【0054】
入力電力の範囲が決定されると、制御ユニット3の蓄電池制御部32は、上述の入力電力の範囲に基づいて、電力変換装置2への入力電力が決定された範囲内になるように、蓄電池入出力調整ユニット6を制御する処理を行う(S170)。具体的には、蓄電池7の放電電力を制御して、電力変換装置2への入力電力を決定された入力電力の範囲に収める制御を行う。
【0055】
そして、制御ユニット3の入力範囲決定部34は、電力変換装置2への入力電力の値が、入力電力の範囲内であるか否かの判定処理を行う(S180)。入力電力の値が入力電力の範囲内であると判定された場合(YESの場合)には、制御ユニット3はS170の処理に戻り、上述の処理を繰り返し行う。
【0056】
S180の判定処理において、電力変換装置2への入力電力が、直前に決定された範囲に含まれないと判定された場合(NOの場合)には、制御ユニット3はS100の処理に戻り、上述の処理を繰り返し行う。なお、S160における処理では、処理が繰り返されるごとに、入力範囲が算出される。
【0057】
次に、
図6に示す時間帯Aから時間帯Eにおいて、上述のフローチャートに基づいてどのように制御されているか説明する。
まず、時間帯Aについて説明する。時間帯Aでは太陽電池5における発電が行われているため、制御ユニット3の入力範囲決定部34は、S110の判定処理において、太陽電池出力があるとの判定処理(YESの判定処理)を行う。また、太陽電池5による発電電力は抑制指令の値Wref[kW]を超えていないため、制御ユニット3の蓄電池制御部32は、蓄電池7に対する充電条件を満たさないとの判定処理(NOの判定処理)を行う。
【0058】
そして、時間帯Aでは、時間帯Bにおける蓄電池7への充電処理(S135)が行われる前であるため、S140の判定処理では、制御ユニット3の入蓄電池制御部32は、蓄電池7のSOCが放電可能な範囲にないとの判定処理(NOの判定処理)を行う。その結果、時間帯Aでは、太陽電池5により発電された直流電力は電力変換装置2に入力され、交流電力変換された後、太陽光発電システム1の出力電力として出力される。
【0059】
次に、時間帯Bについて説明する。時間帯Bでは太陽電池5における発電が行われているため、制御ユニット3の入力範囲決定部34は、S110の判定処理において、太陽電池出力があるとの判定処理(YESの判定処理)を行う。蓄電池7への充電処理(S135)が行われる前であり、蓄電池7のSOCが充電可能な範囲内にあるため、また、太陽電池5による発電電力は抑制指令の値Wref[kW]を超えているため、制御ユニット3の蓄電池制御部32は、蓄電池7に対する充電条件を満たすとの判定処理(YESの判定処理)を行う。
【0060】
その結果、時間帯Bでは太陽電池5による全発電電力のうち、抑制指令の値Wref[kW]に相当する分(Wref−in[kW])は、電力変換装置2に入力され、交流電力変換された後、太陽光発電システム1の出力電力として出力される。その一方で、抑制指令の値Wref[kW]を超える分(太陽電池5からの全出力電力のうち、Wref−in[kW]を超える分)は、蓄電池7に充電される。
【0061】
次に、時間帯Cについて説明する。時間帯Cでは太陽電池5における発電が行われているため、制御ユニット3の入力範囲決定部34は、S110の判定処理において、太陽電池出力があるとの判定処理(YESの判定処理)を行う。また、太陽電池5による発電電力は抑制指令の値Wref[kW]を超えていないため、制御ユニット3の蓄電池制御部32は、蓄電池7に対する充電条件を満たさないとの判定処理(NOの判定処理)を行う。
【0062】
そして、太陽電池5による発電電力が入力電力の範囲を下回っていないため、S140の判定処理において、制御ユニット3の蓄電池制御部32は、蓄電池7に対する放電条件を満たさないとの判定処理(NOの判定処理)を行う。その結果、時間帯Cでは、蓄電池7に対する充電が停止され、太陽電池5により発電された直流電力は、全てが電力変換装置2に入力される。
【0063】
次に、時間帯Dについて説明する。時間帯Dでは太陽電池5における発電が行われているため、制御ユニット3の入力範囲決定部34は、S110の判定処理において、太陽電池出力があるとの判定処理(YESの判定処理)を行う。また、太陽電池5による発電電力は抑制指令の値Wref[kW]を超えていないため、制御ユニット3の蓄電池制御部32は、蓄電池7に対する充電条件を満たさないとの判定処理(NOの判定処理)を行う。
【0064】
そして、時間帯Bの充電処理の後であり、蓄電池7のSOCが放電可能な範囲にあるため、また、太陽電池5による発電電力が入力電力の範囲を下回るため、S140の判定処理において、制御ユニット3の蓄電池制御部32は、蓄電池7に対する放電条件を満たすとの判定処理(YESの判定処理)を行う。その結果、時間帯Dでは、蓄電池7からの放電が行われ、電力変換装置2には、蓄電池7から放電された電力と、太陽電池5による発電電力とが入力される。そのため、蓄電池7から放電された電力と、太陽電池5による発電電力の合計電力が、太陽光発電システム1の出力電力として出力される。
【0065】
次に、時間帯Eについて説明する。時間帯Eでは太陽電池5における発電が行われていないため、制御ユニット3の入力範囲決定部34は、S110の判定処理において、太陽電池出力がないとの判定処理(NOの判定処理)を行う。その結果、制御ユニット3による制御は終了する。
【0066】
なお、上述の様にS160における処理では、処理が繰り返されるごとに、入力範囲が算出される。このため、制御ユニット3は、S160の処理の処理毎に、電力変換装置2への入力電力の値や蓄電池状態情報等に基づいて、直近に定められた入力電力の範囲とは異なる範囲を入力電力の範囲として算出することが可能である。
【0067】
例として、S160の処理において入力範囲決定部34が、直近に算出した入力電力の範囲とは異なる範囲を算出する場合を例に適用し、
図7(a)及び
図7(b)を参照して説明する。なお、
図7(a)及び
図7(b)に記載の時間帯A〜Dは、上記にて説明した
図6(a)〜(c)に記載の時間帯と同じであり、時間帯A〜C及び時間帯Eの制御ユニット3による制御は上述の制御と同じであるため、時間帯A〜C及び時間帯Eの制御の説明は省略し、時間帯Dの制御について説明する。
【0068】
時間帯Dにおいて、太陽電池5による発電電力が入力範囲決定部34によって直前に定められた入力電力の範囲(イ)を下回ると、S180の処理においてNOの判定処理が行われ、S100〜S150の処理が行われる。具体的には、時間帯Dでは太陽電池5における発電が行われているため、入力範囲決定部34は、S110の判定処理において、太陽電池出力があるとの判定処理(YESの判定処理)を行う。そしてS130の判定処理において、太陽電池5による発電電力は抑制指令の値Wref[kW]を超えていないため、蓄電池制御部32は、蓄電池7に対する充電条件を満たさないとの判定処理(NOの判定処理)を行う。そして時間帯Bの充電処理の後であり、蓄電池7のSOCが放電可能な範囲にあるため、また、太陽電池5による発電電力が入力電力の範囲(イ)を下回るため、S140の判定処理において、制御ユニット3の蓄電池制御部32は、蓄電池7に対する放電条件を満たすとの判定処理(YESの判定処理)を行う。そして、S150にて電力変換効率が取得され、S160の処理において、入力範囲決定部34により、新たな入力電力の範囲が算出される。
【0069】
以降、新たな入力電力の範囲として、範囲(ロ)が算出された場合(
図7(a)参照。)を例として説明すると、この場合には、蓄電池7からの放電が行われ、電力変換装置2には、蓄電池7から放電された電力と、太陽電池5による発電電力とが入力される。この際、蓄電池制御部32は、電力変換装置2への入力電力が新たに算出された入力電力の範囲(ロ)になるように、蓄電池入出力調整ユニット6を制御する(S170)(
図7(a)、(b)参照)。
【0070】
そして、電力変換装置2への入力電力が入力範囲決定部34によって新たに定められた入力電力の範囲(ロ)を下回ると、S180の処理においてNOの判定処理が行われ、再び上述の様にS100〜S150の処理が行われる。そしてS160の処理において、入力範囲決定部34により、直近の入力電力の範囲(ロ)とは異なる更に新たな入力電力の範囲が算出される。ここで更に新たな入力電力の範囲として、範囲(ハ)が算出された場合(
図7(a)参照。)を例に適用して説明すると、この場合には、蓄電池7からの放電が引き続き行われ、電力変換装置2には、蓄電池7から放電された電力と、太陽電池5による発電電力とが入力される。この際、蓄電池制御部32は、電力変換装置2への入力電力が更に新たに決定された入力電力の範囲(ハ)になるように、蓄電池入出力調整ユニット6を制御する(S170)(
図7(a)、(b)参照)。
【0071】
また別の例として、S160の処理において、入力電力の範囲として一定の値(S[kW])が算出された場合を例に適用し、
図7(c)及び
図7(d)を参照して説明する。なお、
図7(a)及び
図7(b)に記載の時間帯A〜Dは、上記にて説明した
図6(a)〜(c)に記載の時間帯と同じであり、時間帯A〜C及び時間帯Eの制御ユニット3による制御は上述の制御と同じであるため、時間帯A〜C及び時間帯Eの制御の説明は省略し、時間帯Dの制御について説明する。
【0072】
太陽電池5による発電電力が入力範囲決定部34によって定められた入力電力の範囲(イ)を下回ると、S180の処理においてNOの判定処理が行われ、S100〜S150の処理が行われる。具体的には、時間帯Dでは太陽電池5における発電が行われているため、入力範囲決定部34は、S110の判定処理において、太陽電池出力があるとの判定処理(YESの判定処理)を行う。そしてS130の判定処理において、太陽電池5による発電電力は抑制指令の値Wref[kW]を超えていないため、蓄電池制御部32は、蓄電池7に対する充電条件を満たさないとの判定処理(NOの判定処理)を行う。そして時間帯Bの充電処理の後であり、蓄電池7のSOCが放電可能な範囲にあるため、また、太陽電池5による発電電力が入力電力の範囲(イ)を下回るため、S140の判定処理において、制御ユニット3の蓄電池制御部32は、蓄電池7に対する放電条件を満たすとの判定処理(YESの判定処理)を行う。そして、S150にて電力変換効率が取得され、S160の処理において、入力範囲決定部34により、入力電力の範囲としてS[kW]が算出される(
図7(c)参照。)。
【0073】
この結果、蓄電池7からの放電が行われ、電力変換装置2には、蓄電池7から放電された電力と、太陽電池5による発電電力とが入力される。この際、蓄電池制御部32は、電力変換装置2への入力電力が新たに決定された値(S[kW])となる様に、蓄電池入出力調整ユニット6を制御する(S170)(
図7(c)、(d)参照。
【0074】
また、S130の蓄電池7の充電に関する判定について、その判定基準の一つである電力系統情報は、上記の抑制指令だけでなく、電力系統11を管理する事業者から提供される他の情報、例えば事業者によって設定された時間帯別料金に関する情報を用いることも可能である。ここで、時間帯別料金とは、電力系統11を管理する事業によって所定の時間帯毎に設定された電力の買い取り料金のことである。例えば
図5(b)の様に、電力系統11を管理する事業者によって、時間帯によって異なる電力の買い取り価格が設定されている場合を例に適用して説明する。なお、
図5(b)において、a時〜d時は、
図6(a)中に示す時刻である。また、時間帯「b時〜c時」では、他の時間帯よりも安い買い取り価格Yが設定されている。
【0075】
制御ユニット3の電力系統情報取得部36は、電力系統11の事業者によって設定された時間帯別料金に関する情報を取得し、最も安い電力の買い取り価格が設定されている時間帯を特定する。本実施形態では、当該時間帯としてb時〜c時が特定される。そして、特定された時間帯に電力変換装置2に入力する電力の上限値(Wref−in[kW])を決定する。なお、この時間帯の情報、及びその際の電力変換装置2に入力する電力の上限値(Wref−in[kW])は、太陽光発電システム1の管理者等によって予め制御ユニット3に記憶されたものであってもよい。
【0076】
そして、
図4のS130における判定処理が、(i)蓄電池7のSOCが充電可能な範囲内にあるか否か、(ii)太陽光発電を行う時間が特定された所定の時間帯に属しており、太陽電池5による発電電力が、Wref−in[kW]を超えているか否かによって行われる。
【0077】
この場合、S130の判定処理において、上記(i)、(ii)の条件が満たされると判定された場合には、太陽電池5による全発電電力のうち、Wref−in[kW]の電力は電力変換装置2に入力され、交流電力変換された後、太陽光発電システム1の出力電力として出力される。その一方で、Wref−in[kW]を超える分は、蓄電池7に充電される。(
図5(a)参照)。
【0078】
このようにすることで、電力の買い取り価格の低い時間に蓄電池7の充電を行い、蓄電した電力を夕方などの太陽電池5の出力が低下する時間帯で放電するが可能となる。
上記の構成からなる制御ユニット3を用いた太陽光発電システム1によれば、電力変換装置2の電力変換効率を考慮して、電力変換装置2の入力電力の範囲が決定され、決定された範囲内の電力が電力変換装置2に入力される様に蓄電池7の出力電力が制御されることから、例えば太陽電池5からの出力が低下する時間帯でも、効率的な電力変換を行うことが可能となり、効率のよい太陽光発電を行うことが可能な太陽光発電システムを提供することができる。
【0079】
また、太陽電池5等の出力電力が変化することにより、電力変換装置2への入力電力が決定した範囲外となった場合には、新たに入力電力の範囲が定められるため、太陽電池5等の出力の変動に対応した効率のよい太陽光発電を行うことが可能となる。
【0080】
また、抑制指令などの電力系統情報を取得する電力系統情報取得部36を備えていることから、例えば抑制指令によって電力系統11に出力することができない電力を、蓄電池7に蓄えることが可能となる。この蓄電した電力を例えば太陽電池5からの出力が低下する時間帯等に、電力変換効率が所定の範囲となるように放電すれば、太陽電池5の出力電力を有効に活用できると共に、効率的な電力変換を行うことができ、効率的な太陽光発電システムを提供できる。
【0081】
また、電力系統情報として電力系統11の事業者によって設定された時間帯別料金に関する情報を用いることで、電力の買い取り価格の低い時間に蓄電池7の充電を行い、蓄電した電力を夕方などの太陽電池5の出力が低下する時間帯で放電するが可能となり、より効率的な太陽光発電システムを提供することが可能となる。
【0082】
なお、本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、上記実施形態において、制御ユニット3として、制御プログラムがインストールされたコンピュータシステムである例を示したが、それぞれの機能を有する個別の専用のハードウェアから構成されるものであってもよい。
【0083】
また、制御ユニット3の太陽電池出力情報取得部31または入力範囲決定部34などの部分が、電源ライン8による影響(電源ライン8による電力の損失)を補正して太陽電池5の出力電力を取得する機能を有していてもよい。このようにすれば、より正確な太陽電池5の出力電力を取得することが可能となり、正確な制御を行うことが可能となる。
【0084】
また、センサ4は、例えば、太陽電池5における日射量や温度などを測定するセンサであって、太陽電池出力情報取得部31又は入力範囲決定部34などの部分が、センサ4が測定した日射量に基づいて、太陽電池5の出力電力、及び電力変換装置2への入力電力を算出するものであってもよい。また、この際に日照時間や、太陽電池5の温度などを考慮に入れた算出をしてもよい。この様にすれば、電力ライン8に直接センサ4を取り付けなくても、太陽電池5の出力電力等を取得することが可能である。
【0085】
上記実施形態では、電力変換装置2の電力変換効率を考慮してその入力電力の範囲を決定する例を示したが、蓄電池入出力調整ユニット6の電力変換効率も考慮して電力変換装置2への入力電力の範囲を決定するものとしてもよい。この様にすれば、更に効率のよい太陽光発電システム1とすることが可能となる。
【0086】
また蓄電池7の充電を、太陽光発電システム1の管理者等によって予め定められた時間帯に行う様にしてもよい。このようにすれば、所定の時間帯に蓄電池7の充電を行い、充電された電力を用いて、太陽電池5の出力が低下し始める夕方頃から制御ユニット3による制御を開始することも可能となる。