(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0024】
次に、発明の実施形態について、
図1乃至
図13を用いて説明する。
なお、以下の説明に関しては便宜上、
図1乃至
図10に示した矢印の方向によって、梱包具1(固定フレーム10、可動背枠20、可変式底枠体30、または押え枠40)の上下方向、前後方向、および左右方向を規定して記述する。
また、
図11乃至
図13に示した矢印の方向によって、梱包具101(または、可動背枠120)の上下方向、前後方向、および左右方向を規定して記述する。
【0025】
[梱包具1]
先ず、本発明を具現化する梱包具1の構成について、
図1乃至
図7を用いて説明する。
梱包具1は、略鉛直姿勢にて積層された複数のガラス板等からなる板状物を梱包するためのものである。
なお、板状物の種類についてはガラス板に限定されず、例えばセラミックスや熱硬化性樹脂などのような他の材質からなる板状物であってもよい。
【0026】
梱包具1は、
図1に示すように、主に固定フレーム10、可動背枠20、および可変式底枠体30などにより構成される。
【0027】
固定フレーム10は、梱包具1の基体となるものである。
固定フレーム10は、
図4(b)に示すように、例えば側面視「L」字状に構成され、底面部位10A、および底面部位10Aの後端部に立設する背面部位10Bを有して構成される。
【0028】
底面部位10Aは、物流用のパレットとしての機能を有する部位であり、例えば複数の鋼管部材によって、フォークリフトの運搬用の爪を挿入可能な平面視矩形状の基台11をもって構成される。
【0029】
基台11の上面には、
図4(a)に示すように、後方に向かって徐々に下方に傾斜する複数の台座12・12・12が敷設されており、これらの台座12・12・12の上面において、後述する可変式底枠体30が載置された状態にて固設される。
なお、台座12の構成については、本実施形態のような複数の分割構造に限定されず、例えば一枚の板状物によって構成してもよい。
【0030】
背面部位10Bは、基台11の上面において、その後端部の左右両側より立設される二本の支柱13・13、およびこれらの支柱13・13より複数の支持部材14・14・・・(
図4(b)を参照)を介して支持される固定背枠15などにより構成される。
なお、各支柱13においては、後述する複数本のガイド部材17・17・・・が、所定の間隔を有しつつ固設される。
【0031】
固定背枠15は、格子状に構築された複数の角型鋼管からなる正面視矩形状の構造体として構成され、支柱13の前側において、略鉛直状態にて左右方向に延出するようにして配設される。
【0032】
具体的には、固定背枠15は、上下方向に延出しつつ互いに左右方向に平行に配置される複数の固定縦部材15a・15a・・・、および左右方向に延出しつつ互いに上下方向に平行に配置されるとともに、これらの固定縦部材15a・15a・・・と交差する複数の固定横部材15b・15b・・・などにより構成される。
【0033】
そして、
図4(b)に示すように、固定枠体15は、台座12の傾斜面と鉛直状態となるように、やや後方に傾いた状態にて配設されている。
また、
図4(a)に示すように、固定背枠15の上端部において、その左右両側には、上方に突出する規制部材16・16が各々固設されている。
【0034】
そして、後述するように、可動背枠20(
図5を参照)が固定背枠15に配設された状態において、当該可動背枠20の当接部材24を規制部材16に当接させることにより、固定背枠15に対する可動枠体20の左右方向の位置が規制される。
【0035】
次に、可動背枠20について説明する。
可動背枠20は、梱包具1における背面部の外形サイズを変更するためのものである。
可動背枠20・20は、
図1に示すように、一台の梱包具1に対して二個備えられ、固定背枠15の前側面に隣接しつつ、互いに左右方向に隣接して配設される。
【0036】
なお、右側に配置される可動背枠20(以下、適宜「右側可動背枠20R」と記載する)、および左側に配置される可動背枠20(以下、適宜「左側可動背枠20L」と記載する)は、互いに左右対称な構成からなる。
よって、以下の説明においては、主に、左側可動背枠20Lについて記載し、右側可動背枠20Rについての記載は省略する。
【0037】
可動背枠20(より具体的には、左側可動背枠20L)は、
図5(a)に示すように、複数の角型鋼管からなる正面視矩形状の構造体として構成される。
具体的には、可動背枠20は、上下方向に延出しつつ互いに左右方向に離間しつつ平行に配置される二本の可動縦部材21・21、および左右方向に延出しつつ互いに上下方向に平行に配置されるとともに、これらの可動縦部材21・21と連結される複数の可動横部材22・22・・・などにより構成される。
【0038】
なお、本実施形態において、可動背枠20は、固定フレーム10の固定背枠15における左側半分(または右側半分)の領域と略同等な大きさに構成されている(
図1を参照)。
【0039】
そして、
図5(b)に示すように、例えば上から三段目に位置する可動横部材22、および四段目に位置する可動横部材22の上側面には、下方に向かって「L」字状に屈曲形成された複数の掛止金具23・23・・・が、後方に向かって突出しつつ、左右方向に所定間隔を有して平行に各々配設される。
【0040】
このような構成からなる可動背枠20は、固定背枠15における上から二段目に位置する固定横部材15b、および三段目に位置する固定横部材15bに対して、複数の掛止金具23・23・・・を介して掛止される(
図2を参照)。
これにより、可動背枠20は、固定背枠15(即ち、複数の固定横部材15b・15b・・・)の前側面に隣接して、やや後方に傾いた状態にて着脱可能に配設される。
【0041】
可動背枠20の上端面には、複数(本実施形態においては、二個)の当接部材24・24が、所定間隔を有しつつ後方に向かって各々突設されている。
そして、前述したように、固定背枠15の規制部材16に対して当接部材24(
図2を参照)が当接されることにより、固定背枠15に対する可動背枠20の左右方向の位置が規制される。
【0042】
このように、本実施形態における梱包具1において、固定背枠15は規制部材(突出部位)16を有し、可動背枠20は、固定背枠15側(後方側)に延出し、規制部材16と当接することにより可動背枠20の横幅方向位置を規制する当接部材(位置決め部材)24を有する構成となっていることから、固定背枠15の規制部材16に可動背枠20の当接部材24が当接されることにより、固定背枠15に対する可動背枠20の位置を、容易に規制することができる。
【0043】
ところで、
図5(a)に示すように、左側可動背枠20Lにおいては、左側に位置する可動縦部材21(21B)に比べて、右側に位置する可動縦部材21(21A)の断面形状が大きくなるように設定されている。
換言すると、
図1に示すように、固定背枠15の前側面の左側にて左側可動背枠20Lが配置された状態において、梱包具1の内側(即ち、梱包具1の左右方向中央部に位置する中心線CL側)に位置する可動縦部材21(以下、適宜「内側可動縦部材21A」と記載する)は、外側(即ち、梱包具1の左右両側)の一方(本実施形態においては左側)に位置する可動縦部材21(以下、適宜「外側可動縦部材21B」と記載する)に比べて断面形状が大きくなるように設定されている。
つまり、可動背枠20は正面視矩形状に形成されるとともに、可動背枠20の重心は、可動背枠20の左右中央部よりも固定背枠15の中央部側(中心線CL側)に偏心する構成となっている。
【0044】
このような構成を有することにより、可動背枠を外側に移動させて「幅広状態」とした場合、固定背枠15に配設された左側可動背枠20Lが、自身の重量によって前方に開こうとしたり、外側に広がろうとするのを防止するようになっている。
【0045】
具体的には、左側可動背枠20Lは、前述したように、固定枠体15の前側面に隣接して、やや後方に傾いた状態にて配設されることから、固定背枠15の最も外側(左側)に位置する固定縦部材15aを中心にして前方へと回動させる外力が、自身の重量に基づき左側可動背枠20Lに対して常に付加されたり、また、自身の重量に基づき、外側(左側)に広がろうとする力が付加されることとなる。
【0046】
そこで、本実施形態においては、外側可動縦部材21Bに比べて内側可動縦部材21Aの断面形状を大きくし、内側可動縦部材21Aの重量を外側可動縦部材21Bに比べて重くなるように設定する(即ち、左側可動背枠20Lの重心の位置を、内側へと偏心させる)ことで、このような自身の重量によって左側可動背枠20Lが前方に開こうとしたり、外側に広がろうとするのを防止する構成となっている。
【0047】
また、内側可動縦部材21Aは、外側可動縦部材21Bに比べて断面形状が大きい分、板厚についても厚みを増して設定されており、断面視四隅の形状を、外側可動縦部材21Bに比べてより大きな半径からなる円弧状に形成することができる。
【0048】
換言すると、本実施形態における可動背枠20は、上下方向に延出しつつ互いに左右方向に離間して配置される複数の縦部材21A・21Bを有し、可動背枠20における、少なくとも、固定背枠15の中央部側(中心線CL側)に位置する内側可動縦部材21Aは、断面視にて円弧状の四隅を有する角型鋼管によって構成されている。
【0049】
これにより、梱包具1によって複数の板状物を梱包した状態において、例えば不意に左側可動背枠20Lが前方に開いたとしても、板状物は内側可動縦部材21Aの断面視四隅に形成される円弧状の箇所と接触することから、傷や欠損等の発生をより少なくすることができる。
【0050】
なお、このような構成からなる左側可動背枠20Lに対して、右側可動背枠20Rは、前述したように、互いに左右対称となるように構成される。
具体的には、固定背枠15の前側面の右側にて右側可動背枠20Rが配置された状態において、梱包具1の内側(中心線CL側)に位置する内側可動縦部材21Aは、外側の一方(右側)に位置する外側可動縦部材21Bに比べて断面形状が大きくなるように設定されている。
【0051】
そして、このような構成を有することにより、固定背枠15に配設された右側可動背枠20Rが、自身の重量によって前方に開こうとしたり、外側(右側)に広がろうとするのを防止するようになっている。
【0052】
次に、可変式底枠体30について説明する。
可変式底枠体30は、梱包具1によって複数の板状物を梱包する際、これら複数の板状物の下面を支持するベース部として備えられるものである。
可変式底枠体30は、例えば
図6(a)に示すように、左右方向中央部に位置する平面視矩形状の第一枠状構造体31、および第一枠状構造体31の左右両側に位置する平面視矩形状の第二枠状構造体32・32を有して構成される。
【0053】
なお、本実施形態における第一枠状構造体31および第二枠状構造体32は、互いの隣接箇所に位置する部材を共有する一体構造として構成されている。
【0054】
第一枠状構造体31の内周部には、複数の繋材33・33・33が、補強部材として前後方向に延出しつつ、互いに左右方向に平行に配設される。
そして、第一枠状構造体31、およびこれらの繋材33・33・33の上側面には、平面視矩形状の第一平板部材34が敷設される。
【0055】
一方、
図6(b)に示すように、これらの繋材33・33・33の下側面には、複数のベース部材35・35・35が、当該繋材33・33・33に隣接して配設される。
そして、これらのベース部材35・35・35を介して、可変式底枠体30は、固定フレーム10の台座12・12・12上に載置され(
図1を参照)、締結部材等によって着脱可能に固設される。
【0056】
第二枠状構造体32の内周部には、当該内周部と略同形状の平面視矩形状からなる第二平板部材36が、回動可能に支持される。
【0057】
具体的には、
図6(a)に示すように、第二平板部材36の前端部および後端部には、回動軸36a・36aが、前後方向に延出しつつ、互いに同軸上に各々固設される。
また、第二枠状構造体32の前端部および後端部には、軸受部37・37が各々設けられている。
【0058】
そして、回動軸36aを介して軸受部37に軸支されることにより、第二平板部材36は、第二枠状構造体32に対して左右方向に回動可能に支持される。
換言すると、可変式底枠体30は、梱包される複数の板状物の横幅方向(左右方向)に向かって開閉可能に枢支される底板の一例として、第二平板部材(底板)36・36を有して構成される。
【0059】
ここで、平面視において、これらの回動軸36a・36aは、第二平板部材36の左右方向中央部より外側(即ち、可変式底枠体30の右側に位置する第二平板部材36においてはその右側を意味し、左側に位置する第二平板部材36においてはその左側を意味する)に離間した位置において、互いに一直線状に配設されている。
【0060】
従って、第二枠状構造体32の内周部に収められた状態(以下、「幅狭状態」と記載する)にある第二平板部材36に対して、回動軸36aを中心にして外側に略180°回転させることにより、当該第二平板部材36は、
図7(a)に示すように、第二枠状構造体32の内周部より外側に展開された状態(以下、「幅広状態」と記載する)へと容易に切り替えられる。
【0061】
なお、
図6(b)に示すように、第二枠状構造体32の内側(即ち、可変式底枠体30の右側に位置する第二枠状構造体32においてはその左側を意味し、左側に位置する第二枠状構造体32においてはその右側を意味する)には、支持部材38が設けられており、当該支持部材38によって、「幅狭状態」にある第二平板部材36は堅固に支持される。
一方、
図7(b)に示すように、「幅広状態」にある第二平板部材36は、第二枠状構造体32における、外側の部材32aを介して、堅固に支持される。
【0062】
以上のような構成からなる固定フレーム10、可動背枠20および可変式底枠体30などにより、梱包具1は、外形サイズを「小型サイズ」および「大型サイズ」の二段階に変更可能に構成される。
【0063】
即ち、
図1に示すように、固定フレーム10の基台11上に可変式底枠体30が固設された梱包具1において、当該可変式底枠体30の状態が前述した「幅狭状態」となり、また二個の可動背枠20(右側可動背枠20Rおよび左側可動背枠20L)が、固定フレーム10の固定背枠15の前側面にて互いに左右方向に隣接して配設されることにより、梱包具1は、全体的な外形サイズをコンパクト化した「小型サイズ」となる。
【0064】
この際、例えば各可動背枠20においては、外側に位置する当接部材24(以下、適宜「外側当接部材24A」と記載する)が、固定背枠15の規制部材16と当接されることとなり、固定背枠15に対する各可動枠体20の左右方向の位置が規制される。
【0065】
一方、
図3に示すように、固定フレーム10の基台11上に可変式底枠体30が固設された梱包具1において、当該可変式底枠体30の状態が前述した「幅広状態」となり、また二個の可動背枠20・20(右側可動背枠20Rおよび左側可動背枠20L)が、固定フレーム10の固定背枠15の前側面にて互いに所定間隔だけ左右方向に離間して配設された状態となることで、前述した「小型サイズ」に比べて梱包具1における背面部の外形サイズを変更することができ、梱包具1は、全体的な外形サイズを拡大した「大型サイズ」となる。
【0066】
この際、例えば各可動背枠20においては、内側に位置する当接部材24(以下、適宜「内側当接部材24B」と記載する)が、固定背枠15の規制部材16と当接されることとなり、固定背枠15に対する各可動枠体20の左右方向の位置が規制される。
【0067】
[梱包方法]
次に、本実施形態における梱包具1を用いて複数の板状物を梱包する際の梱包方法について、
図8乃至
図10を用いて説明する。
【0068】
先ず、「小型サイズ」の梱包具1を用いて、略鉛直姿勢にて積層された複数の板状物(以下、適宜「小型板状物積層体Ps」と記載する)を梱包する場合の梱包方法について説明する。
【0069】
先ず始めに、梱包具1の状態を「小型サイズ」の状態にセットする。
具体的には、
図8(a)に示すように、二個の可動背枠20(右側可動背枠20Rおよび左側可動背枠20L)を、互いに左右方向に隣接させて固定背枠15に配設するとともに、可変式底枠体30の状態を「幅狭状態」にセットする。
【0070】
また、固定フレーム10の各支柱13において、水平方向、且つ左右方向に延出する複数のガイド部材17・17・・・を所定の間隔をもって上下方向に平行に固設する。
【0071】
そして、
図8(b)に示すように、「小型サイズ」の状態にセットされた梱包具1において、可動背枠20の前側面に立て掛けるようにして、小型板状物積層体Psを可変式底枠体30の上面に載置する。
この際、
図8(a)に示すように、小型板状物積層体Psは、梱包具1の左右方向中央部に位置するとともに、当該小型板状物積層体Psの左右両端部が、右側可動背枠20R、および/または左側可動背枠20Lの外側に食み出ないようにして配置される。
【0072】
可変式底枠体30の上面に小型板状物積層体Psを載置した後、当該小型板状物積層体Psの前側面に隣接して押え枠40を配置する。
ここで、押え枠40は、
図10に示すように、正面視矩形状の枠体構造を有して構成され、その内周部には、一対の縦部材41・41が左右両側にて二組設けられている。
【0073】
そして、各々の一対の縦部材41・41間には、複数の横部材42・42、および複数のガイド部材43・43などが架設される。
【0074】
また、押え枠40は、固定フレーム10の固定背枠15と略同等な大きさに構成されるとともに、上側の横部材42(以下、適宜「上側横部材42A」と記載する)は、可変式底枠体30の上面に載置された小型板状物積層体Ps(
図9(b)を参照)の上端面と略同等の位置に配置される。
【0075】
このような構成からなる押え枠40は、小型板状物積層体Psの前側面に隣接しつつ、正面視にて梱包具1の左右方向中央部に位置するようにして配置される。
これにより、
図8(b)に示すように、押え枠40は、可動背枠20とともに前後方向に小型板状物積層体Psを挟持するようにして配置される。
【0076】
そして、例えばラッシングベルトなどからなる結束部材50を用いて、押え枠40とともに小型板状物積層体Psを固定フレーム10に括り付ける。
【0077】
具体的には、固定フレーム10に設けられる複数のガイド部材17・17・・・、および押え枠40に設けられる上側横部材42Aや二本のガイド部材43・43などを介して結束部材50を前後方向に捲回させることにより、小型板状物積層体Psを固定フレーム10に括り付ける。
これにより、小型板状物積層体Psは、可動背枠20および押え枠40によって強固に挟持され、固定フレーム10に保持される。
【0078】
なお、本実施形態における押え枠40においては、前述したように、上側横部材42Aが、小型板状物積層体Psの上端面と略同等の位置に配置されるとともに、当該上側横部材42A、二本の縦部材41・41、および外枠からなる空間部44を有する構成となっている。
【0079】
そして、
図8(a)に示すように、前記空間部44を利用して結束部材50を前後方向に捲回させることにより、例えば、押え枠40における小型板状物積層体Psより上方に飛び出た領域において、後方に押し込む無理な外力が加わり当該押え枠40の保持状態が不完全となるのを、防止することができる。
【0080】
次に、「大型サイズ」の梱包具1を用いて、略鉛直姿勢にて積層された複数の板状物(以下、適宜「大型板状物積層体Pb」と記載する)を梱包する場合の梱包方法について説明する。
【0081】
先ず始めに、梱包具1の状態を「大型サイズ」の状態にセットする。
具体的には、
図9(a)に示すように、二個の可動背枠20(右側可動背枠20Rおよび左側可動背枠20L)を、互いに左右方向に所定間隔だけ離間させて固定背枠15に配設するとともに、可変式底枠体30の状態を「幅広状態」にセットする。
【0082】
また、固定フレーム10の各支柱13において、水平方向、且つ左右方向に延出する複数のガイド部材17・17・・・を所定の間隔をもって上下方向に平行に固設する。
【0083】
そして、
図9(b)に示すように、「大型サイズ」の状態にセットされた梱包具1において、可動背枠20の前側面に立て掛けるようにして、大型板状物積層体Pbを可変式底枠体30の上面に載置する。
この際、
図9(a)に示すように、大型板状物積層体Pbは、梱包具1の左右方向中央部に位置するとともに、当該大型板状物積層体Pbの左右両端部が、右側可動背枠20R、および/または左側可動背枠20Lの外側に食み出ないようにして配置される。
【0084】
可変式底枠体30の上面に大型板状物積層体Pbを載置した後、当該大型板状物積層体Pbの前側面に隣接して押え枠40を配置する。
具体的には、押え枠40は、大型板状物積層体Pbの前側面に隣接しつつ、正面視にて梱包具1の左右方向中央部に位置するようにして配置される。
これにより、
図9(b)に示すように、押え枠40は、可動背枠20とともに前後方向に大型板状物積層体Pbを挟持するようにして配置される。
【0085】
そして、例えばラッシングベルトなどからなる結束部材50を用いて、押え枠40とともに大型板状物積層体Pbを固定フレーム10に括り付ける。
【0086】
具体的には、固定フレーム10に設けられる複数のガイド部材17・17・・・、および押え枠40に設けられる二本のガイド部材43・43や外枠を介して結束部材50を前後方向に捲回させることにより、大型板状物積層体Pbを固定フレーム10に括り付ける。
これにより、大型板状物積層体Pbは、可動背枠20および押え枠40によって強固に挟持され、固定フレーム10に保持される。
【0087】
以上のように、本実施形態においては、梱包具1を構成する可動背枠20や可変式底枠体30を他のものに交換することもなく、梱包する板状物積層体(小型板状物積層体Psまたは大型板状物積層体Pb)の大きさに合わせて、梱包具1の外形サイズを「小型サイズ」または「大型サイズ」の何れかに変更し、適切な外形サイズをもって板状物積層体を梱包することが可能な構成となっている。
そして、板状物積層体を梱包した梱包具1は、例えば所定場所へと輸送され、当該輸送先にて開梱される。
【0088】
開梱され「空状態」となった梱包具1は、直ちに「小型サイズ」に統一される。
具体的には、大型板状物積層体Pbを梱包していた梱包具1は、直ちに「大型サイズ」から「小型サイズ」にセットし直され、また、小型板状物積層体Psを梱包していた梱包具1は、「小型サイズ」の状態を維持される。
【0089】
そして、梱包具1は、「小型サイズ」の状態によって、輸送元の所定場所へと再び返送されることとなる。
このように、本実施形態においては、板状物積層体の輸送を終えた「空状態」の梱包具1において、その外形サイズを「小型サイズ」としてコンパクトに収めることができることから、当該梱包具1を輸送元の所定場所まで返送する際の輸送コストの低減化を図ることが可能である。
【0090】
[梱包具101(別実施形態)]
次に、本発明の別実施形態に係る梱包具101の構成について、
図11乃至
図13を用いて説明する。
別実施形態における梱包具101は、前述した梱包具1と略同等な構成を有する一方、可動背枠120の構成において梱包具1と大きく相違する。
よって、以下の説明においては、主に梱包具1との相違点について記載し、梱包具1と同等な構成についての記載は省略する。
【0091】
別実施形態における梱包具101は、
図11に示すように、主に固定フレーム110、可動背枠120、および可変式底枠体130などにより構成される。
ここで、固定フレーム110および可変式底枠体130は、前述した梱包具1における固定フレーム10および可変式底枠体30と、略同等な構成からなる。
【0092】
可動背枠120は、梱包具101における背面部の外形サイズを変更するためのものである。
可動背枠120・120は、一台の梱包具101に対して二個備えられ、固定フレーム110における固定背枠115の両外側(即ち、左右両側)において、着脱可能に隣接して配設される。
【0093】
なお、右側に配置される可動背枠120(以下、適宜「右側可動背枠120R」と記載する)、および左側に配置される可動背枠120(以下、適宜「左側可動背枠120L」と記載する)は、互いに左右対称な構成からなる。
よって、以下の説明においては、主に、左側可動背枠120Lについて記載し、右側可動背枠120Rについての記載は省略する。
【0094】
可動背枠120(より具体的には、左側可動背枠120L)は、
図13(a)に示すように、複数の角型鋼管からなり、上下方向に延出する正面視矩形状の構造体として構成される。
具体的には、可動背枠120は、上下方向に延出しつつ互いに左右方向に平行に配置される二本の可動縦部材121・121、および左右方向に延出しつつ互いに上下方向に平行に配置されるとともに、これらの可動縦部材121・121と連結される複数の可動横部材122・122・・・などにより構成される。
【0095】
なお、本実施形態において、可動背枠120の上下寸法は、固定背枠115の上下寸法と同程度に設定されている。
【0096】
そして、例えば上から二段目に位置する可動横部材122、および三段目に位置する可動横部材122は、固定背枠115側(即ち、右側)に向かって延出される。
また、
図13(b)に示すように、これらの可動横部材122・122の延出端部には、下方に突出する一対の爪部材123・123が各々固設されている。
【0097】
一方、
図13(a)に示すように、固定背枠115において、例えば上から二段目に位置する固定横部材115b、および三段目に位置する固定横部材115bは、一対の爪部材123・123を有する可動横部材122・122に対して、その下面に各々接するような上下位置に配置されている。
【0098】
また、
図13(c)に示すように、これらの固定横部材115b・115bには、平面視「コ」字状に形成されたホルダー部118が、当該固定横部材115bによって「コ」字状の開口部側を塞ぐようにして各々固設されている。
【0099】
そして、一対の爪部材123・123が、これらの各ホルダー部118の内部に各々挿嵌されることで、可動背枠120は、固定背枠115の外側(即ち、左側)の側部において、着脱可能に隣接して配設される。
【0100】
このように、別実施形態における梱包具101において、固定背枠115はホルダー部118を有するとともに、可動背枠120はホルダー部118に着脱可能に嵌挿可能な一対の爪部材123・123を有する構成となっている。
【0101】
よって、梱包具101においては、可動背枠120が、一対の爪部材123・123を介して固定背枠115のホルダー部118内に嵌装されることで、固定背枠115に対して掛止されつつ、位置決め規制も同時に行われることとなり、構成部品点数の減縮を図ることができ経済的である。
【0102】
このような構成からなる固定フレーム110、可動背枠120および可変式底枠体130などにより、梱包具101は、外形サイズを「小型サイズ」および「大型サイズ」の二段階に変更可能に構成される。
【0103】
即ち、
図12に示すように、固定フレーム110の基台111上に可変式底枠体130が固設された梱包具101において、当該可変式底枠体130の状態が前述した「幅狭状態」となり、また二個の可動背枠120・120(右側可動背枠120Rおよび左側可動背枠120L)が、正面視にて固定フレーム110の固定背枠115の左右両側より外側へとはみ出さないようにして、当該固定背枠115の後側面にて配設されることにより、梱包具101は、全体的な外形サイズをコンパクト化した「小型サイズ」となる。
【0104】
一方、
図11に示すように、固定フレーム110の基台111上に可変式底枠体130が固設された梱包具101において、当該可変式底枠体130の状態が前述した「幅広状態」となり、また二個の可動背枠120・120(右側可動背枠120Rおよび左側可動背枠120L)が、固定フレーム110の固定背枠115の左右両側面に隣接して配設された状態となることで、前述した「小型サイズ」に比べて梱包具101における背面部の外形サイズを変更することができ、梱包具101は、全体的な外形サイズを拡大した「大型サイズ」となる。
【0105】
このように、別実施形態における梱包具101においても、前述した梱包具1と同様に、梱包具101を構成する可動背枠120や可変式底枠体130を他のものに交換することもなく、梱包する板状物積層体の大きさに合わせて、梱包具101の外形サイズを「小型サイズ」または「大型サイズ」の何れかに変更することが可能である。
【0106】
そして、別実施形態における梱包具101は、梱包具1と同様に、押え枠40や結束部材50(
図8または
図9を参照)を用いて、板状物積層体を梱包することが可能であり、また、板状物積層体を梱包した梱包具101は、例えば所定場所へと輸送され、当該輸送先にて開梱される。
【0107】
開梱され「空状態」となった梱包具101は、直ちに「小型サイズ」に統一される。
具体的には、大型の板状物積層体を梱包していた梱包具101は、直ちに「大型サイズ」から「小型サイズ」にセットし直され、また、小型の板状物積層体を梱包していた梱包具101は、「小型サイズ」の状態を維持される。
【0108】
そして、梱包具101は、「小型サイズ」の状態によって、輸送元の所定場所へと再び返送されることとなる。
このように、別実施形態においても、板状物積層体の輸送を終えた「空状態」の梱包具101において、その外形サイズを「小型サイズ」としてコンパクトに収めることができることから、当該梱包具101を輸送元の所定場所まで返送する際の輸送コストの低減化を図ることが可能である。
【0109】
以上のように、本実施形態における梱包具1(または、別実施形態における梱包具101)は、板状物積層体(小型板状物積層体Psまたは大型板状物積層体Pb)の下面を支持する可変式底枠体(ベース部)30(130)と、可変式底枠体30(130)に対して垂直状に設けられ、前記板状物積層体における略鉛直方向に沿った一対の平面のうちの一方(後方)の平面を受ける背受け部を構成する固定フレーム10(110)の背面部位10Bや可動背枠20(120)と、を備える板状物用の梱包具であって、可変式底枠体30(130)は、前記板状物積層体の横幅方向(左右方向)に向かって開閉可能に枢支される第二平板部材(底板)36・36を有し、前記背受け部は、可変式底枠体30(130)に対して垂直状に配置されて固定フレーム10(110)の支柱13より保持される固定背枠15(115)、および固定背枠15(115)における前記横幅方向の任意の位置にて、固定背枠15(115)の前側面に隣接した状態で、固定背枠15(115)に対して着脱可能に掛止可能な可動背枠20(120)を有することを特徴とする。
【0110】
このように、本実施形態における梱包具1(または、別実施形態における梱包具101)においては、固定フレーム10(110)の背面部位10Bや可動背枠20(120)などにより構成される背受け部だけではなく、可変式底枠体30(130)においても開閉可能な第二平板部材36をもって外形サイズを変更することができることから、被梱包体である板状物積層体の下面を堅固に支持でき、安定して保持することができる。
【0111】
また、本実施形態における梱包具1(または、別実施形態における梱包具101)においては、例えば、外形サイズを変更してコンパクトに収めた場合であっても、常に可動背枠20(120)は固定背枠に掛止された状態にあり、前述したように、構成部材が各々別個に存在するようなことがなく、その後の荷造り作業が容易である。
【0112】
さらに、本実施形態における梱包具1(または、別実施形態における梱包具101)においては、例えば前述したように、本体フレームに対して摺動する後部袖フレームのような複雑な摺動機構を設けることもなく、背受け部では固定背枠15(115)に可動背枠20(120)を係止させるための掛止部材(可動背枠20における掛止金具23、可動背枠120における爪部材123、または固定背枠115におけるホルダー部118)を設けるだけでよく、また、可変式底枠体30(130)では、第二平板部材36を枢支するための回動軸36aおよび軸受部37を設けるだけでよいため、容易な機構によって構成することが可能となり、梱包具1(101)自身の製造コストの低減を図ることができる。