(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
着用者の前後方向に対応する縦方向に長い形状の吸収性コアを含む吸収体並びに該吸収体を挟持する表面シート及び裏面シートを備え、使用する前においては包装材により個装されている吸収性物品であって、
前記吸収性物品は、着用者の液排泄部に対向配置される排泄部対向部と、該排泄部対向部よりも前方の前方部と、該排泄部対向部よりも後方の後方部とに区分され、
前記吸収性物品は、縦方向に延びる中心線上に位置して前記排泄部対向部に亘って延びる排泄部可撓軸と、縦方向に延びる中心線上に位置して該排泄部可撓軸の前方部側に延びる前方可撓軸と、縦方向に延びる中心線上に位置して該排泄部可撓軸の後方部側に延びる後方可撓軸とを有し、
前記吸収性物品は、前記包装材から取り出されて非応力下におかれた際に、前記排泄部可撓軸にて前記表面シート側に凸状に屈曲し、前記前方可撓軸及び前記後方可撓軸にて前記裏面シート側に凸状に屈曲している吸収性物品。
前記吸収性物品は、前記前方部と前記排泄部対向部との境界に前記吸収性物品の縦方向に直交する横方向全域に亘る第1折り曲げ線と、前記後方部と前記排泄部対向部との境界に前記吸収性物品の縦方向に直交する横方向全域に亘る第2折り曲げ線とを有し、
前記排泄部可撓軸が、前記第1折り曲げ線と前記第2折り曲げ線との間に亘って延び、
前記前方可撓軸が、前記第1折り曲げ線よりも前方部側に延び、
前記後方可撓軸が、前記第2折り曲げ線よりも後方部側に延びている請求項1に記載の吸収性物品。
前記吸収性物品を平面視して、前記排泄部対向部における前記表面シートの面積が、該排泄部対向部における前記裏面シートの面積よりも大きい請求項1〜4の何れか1項に記載の吸収性物品。
縦方向に長い形状の吸収性コアを含む吸収体並びに該吸収体を挟持する表面シート及び裏面シートを備える吸収性物品が、包装材上に前記裏面シート側を対向させて載置され、該包装材とともに折り畳まれている吸収性物品の包装構造体であって、
前記吸収性物品は、着用者の液排泄部に対向配置される排泄部対向部と、該排泄部対向部よりも前方の前方部と、該排泄部対向部よりも後方の後方部とに区分され、
前記吸収性物品は、縦方向に延びる中心線上に位置して前記排泄部対向部に亘って延びる排泄部可撓軸と、縦方向に延びる中心線上に位置して該排泄部可撓軸の前方部側に延びる前方可撓軸と、縦方向に延びる中心線上に位置して該排泄部可撓軸の後方部側に延びる後方可撓軸とを有し、
前記吸収性物品は、前記包装材から取り出されて非応力下におかれた際に、前記排泄部可撓軸にて前記表面シート側に凸状に屈曲し、前記前方可撓軸及び前記後方可撓軸にて前記裏面シート側に凸状に屈曲しており、
前記前方部と前記排泄部対向部との境界に位置する第1折り曲げ線及び前記後方部と前記排泄部対向部との境界に位置する第2折り曲げ線にて、前記包装材とともに前記表面シート側に且つ縦方向に折り畳まれた前記吸収性物品が、縦方向に延びる中心線にて、前記裏面シート側に且つ横方向に前記包装材とともに折り畳まれている吸収性物品の包装構造体。
縦方向に長い形状の吸収性コアを含む吸収体並びに該吸収体を挟持する表面シート及び裏面シートを備える吸収性物品が、包装材上に前記裏面シート側を対向させて載置され、該包装材とともに折り畳まれている吸収性物品の包装構造体の製造方法であって、
前記吸収性物品は、着用者の液排泄部に対向配置される排泄部対向部と、該排泄部対向部よりも前方の前方部と、該排泄部対向部よりも後方の後方部とに区分され、
前記吸収性物品は、縦方向に延びる中心線上に位置して前記排泄部対向部に亘って延びる排泄部可撓軸と、縦方向に延びる中心線上に位置して該排泄部可撓軸の前方部側に延びる前方可撓軸と、縦方向に延びる中心線上に位置して該排泄部可撓軸の後方部側に延びる後方可撓軸とを有し、
前記吸収性物品は、前記包装材から取り出されて非応力下におかれた際に、前記排泄部可撓軸にて前記表面シート側に凸状に屈曲し、前記前方可撓軸及び前記後方可撓軸にて前記裏面シート側に凸状に屈曲しており、
前記吸収性物品を、前記前方部と前記排泄部対向部との境界に位置する第1折り曲げ線及び前記後方部と前記排泄部対向部との境界に位置する第2折り曲げ線にて、前記包装材とともに前記表面シート側に且つ縦方向に折り畳む第1工程と、その後、折り畳まれた前記吸収性物品を、前記吸収性物品の縦方向に延びる中心線にて、前記裏面シート側に且つ横方向に前記包装材とともに折り畳む第2工程とを有する吸収性物品の包装構造体の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の吸収性物品を、その好ましい一実施形態である生理用ナプキン1(以下、単にナプキン1ともいう)に基づき図面を参照しながら説明する。また、本発明の吸収性物品の包装構造体を、その好ましい一実施形態である前記ナプキン1の包装構造体10に基づき図面を参照しながら説明する。
先ず、ナプキン1について説明する。ナプキン1は、縦方向Xに延びる中心線CLに対して左右対称形となっている。従って、以下の説明では、左右対称な部分については、主に、一方についてのみ説明する。
ナプキン1は、
図1〜
図4に示すように、着用者の前後方向に対応する縦方向Xに長い形状の吸収性コア41を含む吸収体4並びに吸収体4を挟持する表面シート2及び裏面シート3を備えている。
【0015】
本明細書において、縦方向Xは、吸収性物品(ナプキン1)の長手方向に一致し、横方向Yは、吸収性物品(ナプキン1)の幅方向(長手方向に直交する方向)に一致している。ナプキン1は、縦方向Xに延びる中心線CLに対して左右対称に形成されている。縦方向Xとは、中心線CLに平行な方向でもある。また、本明細書において、肌対向面は、吸収性物品(ナプキン1)又はその構成部材における、吸収性物品(ナプキン1)の着用時に着用者の肌側に向けられる面であり、非肌対向面は、吸収性物品(ナプキン1)又はその構成部材における、吸収性物品(ナプキン1)の着用時に肌側とは反対側(着衣側)に向けられる面である。
【0016】
ナプキン1は、着用時に着用者の液排泄部(膣口等)に対向配置される排泄部対向部Bと、該排泄部対向部Bよりも着用者の腹側(前側)寄りに配される前方部Aと、該排泄部対向部Bよりも着用者の背側(後側)寄りに配される後方部Cとに区分されている。即ち、ナプキン1は、縦方向Xに、前方部A、排泄部対向部B及び後方部Cの順番で区分されている。
【0017】
尚、本発明の吸収性物品において、排泄部対向部Bとは、本実施形態のナプキン1のように、吸収性物品が3つ折りの個装形態に折り畳まれた際に生じる、該吸収性物品を横方向Yに横断する2本の折曲線(図示せず)について、該吸収性物品の縦方向Xの前端から数えて第1折曲線と第2折曲線とに囲まれた領域を意味する。同様に、排泄部対向部Bとは、吸収性物品が4つ折りの個装形態に折り畳まれた際に生じる、該吸収性物品を横方向Yに横断する3本の折曲線(図示せず)について、該吸収性物品の縦方向Xの前端から数えて第1折曲線と第2折曲線とに囲まれた領域を意味する。
【0018】
本実施形態のナプキン1は、
図1〜
図4に示すように、肌対向面を形成する液透過性の表面シート2、非肌対向面を形成する裏面シート3、及びこれら両シート2,3間に介在された吸収体4を具備している。
【0019】
ナプキン1では、表面シート2は、
図2〜
図4に示すように、吸収体4の肌対向面の全域を被覆し、吸収体4の縦方向Xの両端縁から縦方向X外方に延出すると共に、吸収体4の縦方向Xに沿う両側縁から横方向Yの外方に延出している。一方、裏面シート3は、吸収体4の非肌対向面の全域を被覆し、吸収体4の縦方向Xの両端縁から縦方向X外方に延出すると共に、吸収体4の縦方向Xに沿う両側縁から横方向Yの外方に延出している。表面シート2と裏面シート3とは、吸収体4の全周縁からの延出部において、接着剤、ヒートシール、超音波シール等の公知の接合手段によって互いに接合されている。尚、表面シート2の肌対向面には、縦方向Xに沿う左右両側部に一対のサイドシート或いは一対以上の防漏カフを配置することができる。
【0020】
ナプキン1では、吸収体4は、
図3〜
図4に示すように、吸水性ポリマーを有する吸収性コア41と、該吸収性コア41を包むコアラップシート42とから構成されている。吸収性コア41は、パルプ繊維等の繊維材料からなる繊維集合体に吸水性ポリマーを保持させたものからなる。吸収性コア41は、上下両面を、ティッシュペーパーや透水性の不織布からなるコアラップシート42によって被覆されている。コアラップシート42は、吸収性コア41の形成材料の漏れ出しを防止したり、吸収性コア41の保形性を高めたりする目的で使用される。吸収性コア41の肌対向面側を被覆するコアラップシート42と表面シート2との間、及び吸収性コア41の非肌対向面側を被覆するコアラップシート42と裏面シート3との間は、ドット、スパイラル、ストライプ等のパターン塗工された接着剤により互いに接合されていることが好ましい。
【0021】
ナプキン1は、
図2に示すように、縦方向Xに延びる中心線CL上に位置して排泄部対向部Bに亘って延びる排泄部可撓軸5bと、縦方向Xに延びる中心線CL上に位置して排泄部可撓軸5bの前方部A側に延びる前方可撓軸5aと、縦方向Xに延びる中心線CL上に位置して排泄部可撓軸5bの後方部C側に延びる後方可撓軸5cとを有している。ナプキン1では、排泄部可撓軸5bは後述する溝部45の縦中心溝部451によって形成され、前方可撓軸5aは後述する溝部45の縦中心溝部451によって形成され、後方可撓軸5cは後述する溝部45の縦中心溝部451によって形成される。前方可撓軸5a、排泄部可撓軸5b及び後方可撓軸5cは、中心線CLに位置して中心線CLに沿って形成されている。前方可撓軸5aは、排泄部可撓軸5bから前方部A側に延びていれば、前方部Aの一部に形成されていてもよいが、ナプキン1では、前方部Aの全域に亘って延びている。同様に、後方可撓軸5cは、排泄部可撓軸5bから後方部C側に延びていれば、後方部Cの一部に形成されていてもよいが、ナプキン1では、後方部Cの全域に亘って延びている。
なお、本実施形態では、前方可撓軸5aは、排泄部可撓軸5bから連続して前方部A側に延びており、後方可撓軸5cは排泄部可撓軸5bから連続して後方部C側に延びている。
【0022】
ナプキン1は、
図2に示すように、前方部Aと排泄部対向部Bとの境界に縦方向Xに直交する横方向Y全域に亘る第1折り曲げ線L1と、後方部Cと排泄部対向部Bとの境界に縦方向Xに直交する横方向Y全域に亘る第2折り曲げ線L2とを有している。ナプキン1では、第1折り曲げ線L1及び第2折り曲げ線L2は、それぞれ、ナプキン1の横方向Yの全域に亘って、ナプキン1の横方向Yに平行に延びている。好適に、ナプキン1では、排泄部可撓軸5bが、縦方向Xに延びる中心線CL上に位置して、第1折り曲げ線L1と第2折り曲げ線L2との間に亘って延びている。そして、前方可撓軸5aが、第1折り曲げ線L1よりも前方部A側に延び、ナプキン1では、縦方向Xに延びる中心線CL上に位置して、前方部Aの全域に亘って延びている。同様に、後方可撓軸5cが、第2折り曲げ線L2よりも後方部C側に延び、ナプキン1では、縦方向Xに延びる中心線CL上に位置して、後方部Cの全域に亘って延びている。
【0023】
ナプキン1では、吸収性コア41は、
図2〜
図5に示すように、排泄部対向部Bにおける縦方向に直交する横方向の中央部に位置する中高領域43と、中高領域43を取り囲む、環状の領域であり、前方部Aから後方部Cに亘って配されている周辺領域44と、該周辺領域44の厚みよりも厚みが薄く、且つ該周辺領域44の坪量よりも坪量が低い溝部45とを有している。
ナプキン1では、吸収性コア41は、ナプキン1の縦方向Xと同方向に長い形状を有する。したがって、吸収性コア41の縦方向は、ナプキン1の縦方向Xと同方向であり、吸収性コア41の横方向は、ナプキン1の横方向Yと同方向である。
【0024】
ナプキン1では、中高領域43は、
図3及び
図5に示すように、吸収性コア41における該中高領域43の周辺領域44の厚みよりも厚みが厚く、且つ周辺領域44の坪量よりも坪量が高く形成されている。ナプキン1では、
図5に示すように吸収性コア41を平面視して、中高領域43は、横方向Yの中央部に配され、排泄部対向部Bの全域に亘って帯状に配されている。
【0025】
また、ナプキン1では、周辺領域44は、中高領域43を取り囲む、環状の領域であり、前方部Aから後方部Cに亘って配されている。中高領域43の厚み及び坪量と比較する吸収性コア41の周辺領域44の厚み及び坪量は、吸収性コア41の周辺領域44における後述する溝部45が存在しない部分における厚み及び坪量を意味する。
【0026】
ナプキン1では、中高領域43の厚みは、ナプキン1Aの肌対向面に、肌に向かって突出する隆起部11(
図1参照)を形成して排泄部対向部Bにおける液の吸収性等を向上させる観点から、吸収性コア41の周辺領域44の厚みの、好ましくは120%以上、より好ましくは150%以上であり、そして、好ましくは1000%以下、より好ましくは500%以下であり、具体的には、好ましくは120%以上1000%以下、より好ましくは150%以上500%以下である。また、中高領域43の厚みと吸収性コア41の周辺領域44の厚みとの厚みの差(前者−後者)は、好ましくは1.0mm以上、より好ましくは2.0mm以上であり、そして、好ましくは10.0mm以下、より好ましくは5.0mm以下であり、具体的には、好ましくは1.0mm以上10.0mm以下、より好ましくは2.0mm以上5.0mm以下である。中高領域43の厚みが厚すぎると、装着時の装着感が低下する。尚、吸収性コア41の各部における厚みは、非荷重下における吸収性物品の切断端面の写真から計測する。
【0027】
ナプキン1では、中高領域43の坪量は、ナプキン1の肌対向面に、肌に向かって突出する隆起部11(
図1参照)を形成して排泄部対向部Bにおける液の吸収性等を向上させる観点から、吸収性コア41の周辺領域44の坪量(後述する、前方周辺領域44Aの坪量、後方周辺領域44Cの坪量及び側方周辺領域44Sの坪量の平均坪量)の、好ましくは120%以上、より好ましくは130%以上であり、そして、好ましくは500%以下、より好ましくは400%以下であり、具体的には、好ましくは120%以上500%以下、より好ましくは130%以上400%以下である。また、中高領域43の坪量と吸収性コア41の周辺領域44の坪量との坪量の差(前者−後者)は、好ましくは50g/m
2以上、より好ましくは100g/m
2以上であり、そして、好ましくは800g/m
2以下、より好ましくは600g/m
2以下であり、具体的には、好ましくは50g/m
2以上800g/m
2以下、より好ましくは100g/m
2以上600g/m
2以下である。尚、中高領域43の坪量は、後述する縦中心溝部451が存在しない部分を切り出したサンプルの質量を、そのサンプルの肌対向面側の面の面積で除して求める。周辺領域44の坪量の坪量は、後述する溝部45が存在しない部分を切り出したサンプルの質量を、そのサンプルの肌対向面側の面の面積で除して求める。
【0028】
ナプキン1では、吸収性コア41は、
図2〜
図5に示すように、周辺領域44の厚みよりも厚みが薄く、且つ周辺領域44の坪量よりも坪量が低い溝部45を肌側面に有している。溝部45の厚みは、溝部45により形成される前方可撓軸5a、排泄部可撓軸5b及び後方可撓軸5cによって、ナプキン1の肌対向面を、肌に向かって屈曲させ(
図1参照)、排泄部対向部Bにおける液の吸収性等を向上させる観点から、吸収性コア41の周辺領域44の厚みの、好ましくは10%以上、より好ましくは20%以上であり、そして、好ましくは90%以下、より好ましくは80%以下であり、具体的には、好ましくは10%以上90%以下、より好ましくは20%以上80%以下である。また、吸収性コア41の周辺領域44の厚みと溝部45の厚みとの厚みの差(前者−後者)は、好ましくは1.0mm以上、より好ましくは1.5mm以上であり、そして、好ましくは8.0mm以下、より好ましくは7.0mm以下であり、具体的には、好ましくは1.0mm以上8.0mm以下、より好ましくは1.5mm以上7.0mm以下である。尚、吸収性コア41の溝部45における厚みは、非荷重下における吸収性物品の切断端面の写真から計測する。
【0029】
ナプキン1では、溝部45の坪量は、溝部45により形成される前方可撓軸5a、排泄部可撓軸5b及び後方可撓軸5cによって、ナプキン1の肌対向面を、肌に向かって屈曲させ(
図1参照)、排泄部対向部Bにおける液の吸収性等を向上させる観点から、吸収性コア41の周辺領域44の坪量の、好ましくは5%以上、より好ましくは10%以上であり、そして、好ましくは90%以下、より好ましくは80%以下であり、具体的には、好ましくは5%以上90%以下、より好ましくは10%以上80%以下である。また、吸収性コア41の周辺領域44の坪量と溝部45の坪量との坪量の差(前者−後者)は、好ましくは10g/m
2以上、より好ましくは30g/m
2以上であり、そして、好ましくは800g/m
2以下、より好ましくは600g/m
2以下であり、具体的には、好ましくは10g/m
2以上800g/m
2以下、より好ましくは30g/m
2以上600g/m
2以下である。尚、溝部45の坪量は、該溝部45の部分を切り出したサンプルの質量を、そのサンプルの肌対向面側の面の面積で除して求める。
【0030】
ナプキン1では、溝部45は、
図2〜
図5に示すように、肌側において、縦方向Xに延びる中心線CL上に配された縦中心溝部451を有している。更に、ナプキン1では、溝部45は、
図2〜
図5に示すように、第1折り曲げ線L1から前方部A側に延びる一対の前方溝部452,452と、第2折り曲げ線L2から後方部C側に延びる一対の後方溝部453,453とを有している。このように、ナプキン1Aでは、溝部45は、縦中心溝部451、一対の前方溝部452,452及び一対の後方溝部453,453を有している。一対の前方溝部452,452及び一対の後方溝部453,453は、縦方向Xに延びる中心線CLに対して左右対称形となっている。
【0031】
縦中心溝部451は、
図5に示すように、縦方向Xに延びる中心線CL上に配されていればよいが、ナプキン1では、縦方向Xに延びる中心線CL上に位置して、ナプキン1の縦方向Xの長さの全域に亘って配されている。ナプキン1の縦中心溝部451は、縦方向Xに平行に延びている。
【0032】
一対の前方溝部452,452は、
図5に示すように吸収性コア41を平面視して、第1折り曲げ線L1から前方部A側に延びており、互いの間隔が、前方部A側に向かって短くなっており、ナプキン1では、互いの間隔が、前方部A側に向かって漸次短くなっている。一方の前方溝部452と縦方向Xに延びる中心線CLとのなす角α(
図5参照)は、5°以上90°以下であることが好ましく、10°以上70°以下であることが更に好ましい。
【0033】
一対の後方溝部453,453は、
図5に示すように吸収性コア41を平面視して、第2折り曲げ線L2から後方部C側に延びており、互いの間隔が、後方部C側に向かって短くなっており、ナプキン1では、互いの間隔が、後方部C側に向かって漸次短くなっている。一方の後方溝部453と縦方向Xに延びる中心線CLとのなす角β(
図5参照)は、5°以上90°以下であることが好ましく、10°以上70°以下であることが更に好ましい。
【0034】
溝部45の溝幅は、縦中心溝部451の溝幅、前方溝部452の溝幅及び後方溝部453の溝幅が均等に形成されていてもよく、縦中心溝部451の溝幅が、前方溝部452の溝幅及び後方溝部453の溝幅よりも広く形成されていてもよい。溝部45により形成される前方可撓軸5a、排泄部可撓軸5b及び後方可撓軸5cによって、ナプキン1の肌対向面を、肌に向かって屈曲させ(
図1参照)易くする観点から、縦中心溝部451の溝幅が、前方溝部452の溝幅及び後方溝部453の溝幅よりも広く形成されていることが好ましい。縦中心溝部451の溝幅は、同様の観点から、前方溝部452の溝幅及び後方溝部453の溝幅の、好ましくは100%超、より好ましくは110%以上であり、そして、好ましくは300%以下、より好ましくは200%以下であり、具体的には、好ましくは100%超300%以下、より好ましくは110%以上200%以下である。好適に、縦中心溝部451の溝幅は、好ましくは0.5mm以上、より好ましくは1.0mm以上であり、そして、好ましくは10mm以下、より好ましくは5.0mm以下であり、具体的には、好ましくは0.5mm以上10mm以下、より好ましくは1.0mm以上5.0mm以下である。前方溝部452の溝幅及び後方溝部453の溝幅は、好ましくは0.5mm以上、より好ましくは1.0mm以上であり、そして、好ましくは10mm以下、より好ましくは5.0mm以下であり、具体的には、好ましくは0.5mm以上10mm以下、より好ましくは1.0mm以上5.0mm以下である。尚、溝部45の溝幅は、溝部45の延びる方向に直交する方向に切断し、切端面の写真から計測する。
【0035】
ナプキン1では、中高領域43、周辺領域44及び溝部45を有する吸収性コア41は、その全体が一体成形されている。「一体成形されている」とは、別の工程で製造した部材どうしを接着剤や圧縮などの接合手段で結合したものとは異なり、同一の材料を用いて、一つの工程で一体的に形成されていることを意味する。
【0036】
上述したナプキン1の吸収性コア41は、
図6(a)に示すように、外周面に集積用凹部55を備え、一方向Rに回転する積繊ドラム54と、該積繊ドラム54の外周面に、コア材料を飛散状態で供給するダクト(図示せず)を備えた積繊装置を用いて製造することができる。
集積用凹部55は、積繊ドラム54の外周面の周方向に一定の間隔で複数個形成されている。集積用凹部55の底面56は、メッシュプレート等からなり、吸引孔として機能する多数の細孔を有している。
【0037】
また、
図6(a)に示すように、1個の集積用凹部55の底面56の一部には、中高領域43を形成するための1つの凹部56bが形成されている。また、凹部56bの周辺領域の底面56には、溝部45を形成するための難通気性部材57が配置されている。難通気性部材57は、縦中心溝部451、一対の前方溝部452,452及び一対の後方溝部453,453に対応する位置に配され、集積用凹部55の底面56から突出するように固定されている。難通気性部材57は、非通気性部材であっても良く、例えば金属やプラスチック、セラミック等からなる。
【0038】
積繊ドラムを備えた公知の積繊装置と同様に、集積用凹部55の底面から吸引しつつ、ダクト内に、吸水性ポリマーとパルプ繊維とを混合したコア材料を供給することによって、
図6(b)に示すように、コア材料が集積用凹部55内に所定形状に堆積する。その堆積物40を、集積用凹部55から離型することで、吸収性コア41が得られる。吸収性コア41は、コアラップシート42で被覆する前又は被覆した後に、一対のロール間に通すこと等により加圧し適度に圧縮させる。これにより、凹部56bに堆積した部分が、坪量及び密度が相対的に大きい中高領域43となる。同様に、凹部56bの周辺領域に堆積したコア材料からなる部分が、坪量及び密度が相対的に小さい周辺領域44となり、凹部56bの周辺領域の難通気性部材57上に堆積したコア材料からなる部分が、周辺領域44よりも坪量及び密度が相対的に小さい溝部45となる。
【0039】
上述した実施形態のナプキン1の各構成部材の形成材料について説明する。
表面シート2及び裏面シート3としては、生理用ナプキン等の吸収性物品に従来使用されている各種のもの等を特に制限なく用いることができる。例えば、表面シート2としては、親水化処理が施された各種不織布や開孔フィルム等の液透過性のシートを用いることができる。また、裏面シート3としては、熱可塑性樹脂のフィルムや、該フィルムと不織布とのラミネート等の液透過性ないし撥水性のシートを用いることができる。裏面シート3は水蒸気透過性を有していてもよい。また、コアラップシート42としては、湿式抄造法により製造した薄葉紙(ティッシュペーパー)や液透過性の不織布等を用いることができる。
【0040】
ナプキン1は、
図7〜
図9に示すように、使用する前においては包装材7により個装されている。好適に、ナプキン1は、
図7に示すように、使用する前においては、包装材7上に裏面シート3側を対向させて載置され、該包装材7とともに折り畳まれて包装構造体10となっている。ナプキン1は、
図8及び
図9に示すように、裏面シート3の非肌対向面に粘着部8が配されており、粘着部8を介して包装材7が仮固定されている。包装材7は、
図8に示すように、ナプキン1の外形よりも大きいサイズを有しており、本実施形態では、ナプキン1の外形よりも大きい矩形形状を有している。矩形形状の包装材7は、その長手方向をナプキン1の長手方向Xに一致させて粘着部8を介して仮固定されている。したがって、矩形形状の包装材7の縦方向は、ナプキン1の縦方向Xと同方向であり、矩形形状の包装材7の横方向は、ナプキン1の横方向Yと同方向である。
【0041】
包装材7としては、例えば、ポリプロピレン、低密度ポリエチレン、ポリビニルアルコール等の樹脂フィルム、不織布、紙、あるいはこれらの2種以上が複合した複合材料等を用いることができる。包装材7における粘着部8との粘着面は、公知の剥離処理(シリコーン系樹脂等の塗布等)が施されており、この剥離処理により、包装材7は粘着部8に剥離可能に粘着している。
粘着部8を形成する粘着剤としては、生理用ナプキン等の吸収性物品に従来使用されている各種のもの等を特に制限なく用いることができる。
【0042】
図7に示す本実施形態のナプキン1の包装構造体10は、
図8及び
図10(a)に示す如き展開状態のナプキン1を包装材7と共に折り畳んでなるものである。ナプキン1の包装構造体10の製造方法は、ナプキン1を、前方部Aと排泄部対向部Bとの境界に位置する第1折り曲げ線L1及び後方部Cと排泄部対向部Bとの境界に位置する第2折り曲げ線L2にて、包装材7とともに表面シート2側に且つ縦方向Xに折り畳む第1工程と、その後、折り畳まれたナプキン1を、縦方向Xに延びる中心線CLにて、裏面シート3側に且つ横方向Yに包装材7とともに折り畳む第2工程とを有している。
【0043】
好適には、第1工程は、
図10(a)に示すような、展開状態のナプキン1の粘着部8に展開状態の包装材7が仮固定されている状態において、
図10(b)に示すように、先ず、包装材7の縦方向Xの両端縁7a,7bの内、最初に、ナプキン1の前方部A側に位置する一端縁7aを、第1折曲線L1に沿ってナプキン1と共にナプキン1の内面側に折り曲げる工程を備えている。そして、第1工程は、
図10(b)に示すような包装材7の一端縁7aが第1折曲線L1に沿って内面側に折り曲げられたナプキン1の状態において、ナプキン1の後方部B側に位置する他端縁7bを、第2折曲線L2に沿ってナプキン1と共にナプキン1の内面側に折り曲げる工程を備えている。このように第1工程を経ることによって、ナプキン1は、
図10(c)に示すように、第1折り曲げ線L1及び第2折り曲げ線L2にて、包装材7とともに表面シート2側に且つ縦方向Xに折り畳まれた状態となる。尚、包装材7の両端縁7a,7bを折り曲げる順番は特に限定されず、他端縁7b、一端縁7aの順に折り曲げても良い。さらに、包装材7の横方向Y両端部を熱融着等で固定する(図示せず)。
【0044】
次いで、
図10(c)に示すような、第1折り曲げ線L1及び第2折り曲げ線L2にて、包装材7とともに表面シート2側に且つ縦方向Xに折り畳まれたナプキン1を、縦方向Xに延びる中心線CLにて、裏面シート3側に且つ横方向Yに包装材7とともに折り畳む(第2工程)。このように第2工程を経ることによって、折り畳まれた状態のナプキン1が縦方向Xに延びる中心線CLにて、外面側である裏面シート3側に且つ横方向Xに包装材7とともに折り畳まれて
図10(d)に示すようなナプキン1の包装構造体10となる。このように、ナプキン1の包装構造体10の製造方法は、
図7に示すようなナプキン1の包装構造体10を効率的に製造できる。
【0045】
上述した第1実施形態のナプキン1の作用効果について説明する。
ナプキン1は、包装材7から取り出されて非応力下におかれた際に、
図1に示すように、排泄部可撓軸5bにて表面シート2側に凸状に屈曲し、前方可撓軸5a及び後方可撓軸5cにて裏面シート3側に凸状に屈曲している。ここで、「非応力下におかれた際」とは、吸収性物品の一例であるナプキン1を包装材7から取り出して外力が加えられていない状態を意味する。即ち、包装構造体10の状態におけるナプキン1が、包装材7から取り出されて非応力下におかれた際に、排泄部可撓軸5bにて表面シート2側に凸状に屈曲し、前方可撓軸5a及び後方可撓軸5cにて裏面シート3側に凸状に、言い換えれば、前方可撓軸5a及び後方可撓軸5cにて表面シート2側に凹状に屈曲している。その為、ナプキン1の着用中に、就寝姿勢における両脚からの幅方向内側に向けた圧縮力によって、着用者の液排泄部に対向配置される排泄部対向部Bが隆起し易く、排泄部に対するフィット性が維持でき、液漏れが発生し難い。また、前方可撓軸5a及び後方可撓軸5cにて裏面シート3側に凸状に、言い換えれば、前方可撓軸5a及び後方可撓軸5cにて表面シート2側に凹状に屈曲するので、排泄部対向部Bよりも前方の前方部A及び後方の後方部Cにおいて、着用者とナプキン1とのフィット性が向上し、液漏れが発生し難い。
【0046】
また、ナプキン1は、
図2に示すように、前方部Aと排泄部対向部Bとの境界に位置する第1折り曲げ線L1と、後方部Cと排泄部対向部Bとの境界に位置する第2折り曲げ線L2とを有し、排泄部可撓軸5bが、縦方向Xに延びる中心線CL上に位置して、第1折り曲げ線L1と第2折り曲げ線L2との間に亘って延びている。その為、ナプキン1の着用中に、就寝姿勢における両脚からの幅方向内側に向けた圧縮力によって、着用者の液排泄部に対向配置される排泄部対向部Bが更に隆起し易くなっている。また、
図2に示すように、前方可撓軸5aが第1折り曲げ線L1から延び、後方可撓軸5cが第2折り曲げ線L2から延びている。その為、前方可撓軸5a及び後方可撓軸5cにて裏面シート3側に凸状に屈曲し易く、排泄部対向部Bよりも前方の前方部A及び後方の後方部Cにおいて、着用者の身体形状にフィットし易い。特に、ナプキン1では、前方可撓軸5aが縦方向Xに延びる中心線CL上に位置して前方部Aの全域に亘って延び、後方可撓軸5cが縦方向Xに延びる中心線CL上に位置して後方部Cの全域に亘って延びている。その為、前方可撓軸5a及び後方可撓軸5cにて裏面シート3側に凸状に更に屈曲し易く、排泄部対向部Bよりも前方の前方部A及び後方の後方部Cにおいて、身体形状により密着し易い。
【0047】
また、ナプキン1の吸収性コア41は、
図2〜
図5に示すように、周辺領域44の厚みよりも厚みが薄く、且つ周辺領域44の坪量よりも坪量が低い溝部45を備え、溝部45が縦方向Xに延びる中心線CL上に配された縦中心溝部451を有している。その為、包装構造体10の状態におけるナプキン1が、包装材7から取り出されて非応力下におかれた際に、排泄部可撓軸5bにて表面シート2側に凸状に更に屈曲し易く、前方可撓軸5a及び後方可撓軸5cにて裏面シート3側に凸状に更に屈曲し易くなっている。
【0048】
また、ナプキン1の吸収性コア41は、
図2〜
図5に示すように、溝部45が、前方部A側に向かって互いの間隔が短くなっている一対の前方溝部452,452を前方部Aに有し、後方部C側に向かって互いの間隔が短くなっている一対の後方溝部453,453を後方部Cに有している。その為、ナプキン1の着用中に、就寝姿勢における両脚からの幅方向内側に向けた圧縮力によって、前方可撓軸5a及び後方可撓軸5cにて裏面シート3側に凸状に屈曲し易く、排泄部対向部Bよりも前方の前方部A及び後方の後方部Cにおいて、着用者の身体形状に沿う形となり易くフィット性が向上するとともに装着時の違和感が低減される。
【0049】
また、ナプキン1の吸収性コア41は、吸収性コア41に、周辺領域44よりも厚みが厚く且つ坪量が高い中高領域43を有している。その為、
図1に示すように、ナプキン1の着用中に、中高領域43が肌に向かって隆起して、排泄部対向部Bにて肌に向かって突出する隆起部11が形成され易くなっている。
【0050】
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明の吸収性物品は本実施形態のナプキン1に何ら制限されるものではなく、適宜変更可能である。
【0051】
例えば、ナプキン1は、
図2に示すように、排泄部対向部Bに中高領域43を有しているが、中高領域43を有していなくてもよい。
【0052】
また、ナプキン1は、
図2に示すように、前方可撓軸5a、排泄部可撓軸5b及び後方可撓軸5cが、周辺領域44の厚みよりも厚みが薄く、且つ周辺領域44の坪量よりも坪量が低い溝部45によって形成されるが、溝部45以外の手段によって形成されていてもよい。
【0053】
また、ナプキン1は、
図2に示すように平面視して、表面シート2と裏面シート3とは略同形同大であるが、ナプキン1を包装材7から取り出して非応力下においた際に、
図1に示すように、排泄部可撓軸5bにて表面シート2側に凸状に屈曲し易く、前方可撓軸5a及び後方可撓軸5cにて裏面シート3側に凸状に屈曲し易い観点から、ナプキン1を平面視して、排泄部対向部Bにおける表面シート2の面積が、排泄部対向部Bにおける裏面シート3の面積よりも大きいことが好ましい。具体的には、例えば、裏面シート3の非肌対向面に配されている粘着部8を排泄部対向部Bにのみ配し、該粘着部8で裏面シート3を重ね合わせて固定して、排泄部対向部Bにおける裏面シート3の面積を、排泄部対向部Bにおける表面シート2の面積よりも小さくしてもよい。
【0054】
また、ナプキン1では、設けられていないが、表面シート2の肌対向面に、表面シート2及び吸収体4が裏面シート3側に向かって一体的に凹陥してなる線状圧搾溝を一対設けてもよい。該線状圧搾溝は、中高領域43の縦方向Xに沿う側部に対応する部分に設けられていることが好ましい。該線状圧搾溝は、熱を伴うか又は伴わない圧搾加工(いわゆるエンボス加工)、あるいは超音波エンボス等のエンボス加工により常法に従って形成することができる。
【0055】
また、本発明の吸収性物品は、生理用ナプキンの他、パンティーライナー(おりものシート)、失禁パッド等であってもよい。