【実施例1】
【0009】
図1は実施例におけるプリンタの構成を示す概略側断面図である。
図1において、画像形成装置としてのプリンタ1は、例えば電子写真方式のカラープリンタであり、用紙カセット2と、搬送路32と、ID(イメージドラム)ユニット4と、中間転写ベルトユニット10と、定着部50とを有している。
用紙カセット2は、印刷前の媒体である記録媒体Pを積層して収容するものである。用紙カセット2に収容された記録媒体Pは、ホッピングローラ31により1枚ずつ給紙されて図中矢印Aが示す記録媒体搬送方向に搬送され、搬送路32へ送られる。
【0010】
搬送路32は、記録媒体Pの斜行を矯正するとともに、記録媒体Pを挟持して搬送するレジストローラ対18と、レジストローラ対18により搬送された記録媒体Pを挟持して搬送する搬送ローラ対19とを有し、用紙カセット2から給紙された記録媒体Pを所定のタイミングで中間転写ベルトユニット10の2次転写部へ搬送するものである。
記録媒体搬送方向におけるレジストローラ対18の上流には、紙厚センサ39が配設されている。
媒体厚入力部としての紙厚センサ39は、給紙された媒体の厚さの情報を入力するものであり、本実施例では、用紙カセット2から給紙された記録媒体Pの紙厚を検出するセンサある。
【0011】
紙厚センサ39は、例えば、記録媒体搬送方向におけるレジストローラ対18の上流に配置された記録媒体Pの走行面に対し、平行な面が形成され、走行面の下側に配設、固定されたステージ部と、そのステージ部の上側に、走行面に対して平行な面が形成され、走行面の上側に上下動可能なレバー部と、そのレバー部をステージ部の平面に付勢するスプリングと、上下動するレバー部の移動距離を検出するセンサ等の検出部とを有しているものである。
【0012】
検出部は、上下動するレバー部の移動距離を検出し、その移動距離を検出した記録媒体Pの厚さとして制御部へ出力する。
現像ユニットとしてのIDユニット4は、中間転写ベルトユニット10の中間転写ベルト11に接触し、現像剤像としてのトナー像を形成する現像装置であり、有色現像剤としての5色のトナーに対応するものである。
【0013】
IDユニット4は、複数のIDユニットで構成され、ブラック(K)のトナーに対応するIDユニット4K、シアン(C)のトナーに対応するIDユニット4C、マゼンタ(M)のトナーに対応するIDユニット4M、イエロー(Y)のトナーに対応するIDユニット4Y、特色としてのホワイト(W)のトナーに対応するIDユニット4Wを有している。また、IDユニット4K、4C、4M、4Y、4Wは、像担持体としての感光体ドラムに光を選択的に照射して静電潜像を形成する露光装置としてのLED(Light Emitting Diode)ヘッド6K、6C、6M、6Y、6Wを備えている。
【0014】
それぞれのIDユニット4K、4C、4M、4Y、4Wは、モータ等の駆動源からの駆動手段と駆動を伝達する駆動伝達手段とにより構成された移動手段により中間転写ベルト11に対して独立して離接可能に構成されている。
中間転写ベルトユニット10は、中間転写ベルト11と、クリーニングブレード15と、ベルト駆動ローラ13と、ベルト従動ローラ12と、2次転写バックアップローラ14と、セルフアジャストローラ40とを有している。
【0015】
転写体としての中間転写ベルト11は、IDユニット4K、4C、4M、4Y、4Wで形成された現像剤像としてのトナー像を担持するものであり、回転可能に構成されたものである。
中間転写ベルト11を介してIDユニット4K、4C、4M、4Y、4Wと対向するように1次転写ローラ5K、5C、5M、5Y、5Wが配置されている。中間転写ベルト11は、IDユニット4K、4C、4M、4Y、4Wと、1次転写ローラ5K、5C、5M、5Y、5Wとの間を移動可能に配置され、IDユニット4K、4C、4M、4Y、4Wで形成されたトナー像が1次転写ローラ5K、5C、5M、5Y、5Wによって一旦転写される。
【0016】
本実施例では、IDユニット4K、4C、4M、4Y、4Wを中間転写ベルト11に対して接触させると、中間転写ベルト11はIDユニット4K、4C、4M、4Y、4Wと1次転写ローラ5K、5C、5M、5Y、5Wとの間で挟持される。
一方、IDユニット4K、4C、4M、4Y、4Wを中間転写ベルト11に対して離間させると、中間転写ベルト11はIDユニット4K、4C、4M、4Y、4Wと1次転写ローラ5K、5C、5M、5Y、5Wとの間で挟持されない。
【0017】
中間転写ベルト11は、継ぎ目なしの無端状のベルトであり、高抵抗の半導電性プラスチックフィルムにより構成されている。この中間転写ベルト11は、ベルト駆動ローラ13、ベルト従動ローラ12、2次転写バックアップローラ14、およびセルフアジャストローラ40に張架され、モータ等の駆動源に接続されたベルト駆動ローラ13により図中矢印Bが示すベルト搬送方向に回転するように構成されている。
【0018】
蛇行矯正手段としてのセルフアジャストローラ40は、回転することにより中間転写ベルト11の蛇行を矯正して中間転写ベルト11の回転を安定させるものである。
また、中間転写ベルト11には、クリーニングブレード15がベルト駆動ローラ13に対向する位置に中間転写ベルト11と当接するように配設されている。クリーニングブレード15の下方には、クリーニングブレード15により掻き落とされた転写残トナー等の付着物を収容するクリーナ容器16が配設されている。
【0019】
2次転写バックアップローラ14には、2次転写ローラ21が中間転写ベルト11を介して対向配置されている。この2次転写ローラ21と中間転写ベルト11との接触部(以下、「ニップ部」という。)において中間転写ベルト11上に形成されたトナー像が、搬送ローラ対19により搬送された記録媒体Pに転写される。
定着部50は、ヒートローラ51と、加圧ローラ52とが対向配置され、2次転写ローラ21と中間転写ベルト11とのニップ部で記録媒体Pに転写されたトナー像を加熱、融解、加圧し、記録媒体Pに定着させる。
【0020】
トナー像が定着された記録媒体Pは、駆動手段で動作する搬送セパレータ33の選択動作により再搬送路34へ搬送または搬送ローラ対36によって装置外へと排出される。
再搬送路34は、再搬送ローラ対35a、35b、35cが配置されて構成され、搬送路32に合流する。
なお、搬送路32に配置された書出しセンサ37および排出センサ38は、記録媒体Pの通過を検出するためのメカセンサであり、記録媒体Pが通過する度に動作するものである。
【0021】
図2は実施例におけるプリンタの制御構成を示すブロック図である。
図2において、プリンタ1は、装置全体の動作を制御する制御部100を有している。
制御部100は、制御中枢部となる主制御部101と、給紙モータ制御部103と、搬送モータ制御部104と、ベルトモータ制御部105と、IDモータ制御部106と、定着モータ制御部107と、IDアップ/ダウンモータ制御部108とを有している。
【0022】
主制御部101は、制御手段や演算手段からなるCPU(Central Processing Unit)、プログラムや各種情報を記憶するRAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)からなる記憶部110、計時手段としてのタイマカウンタ等を内蔵している。
【0023】
また、主制御部101は、入力ポートから入力された書出しセンサ37、排出センサ38、および紙厚センサ39からの検出信号に基づいて各部、各装置の起動や停止、搬送速度の切り替え等の制御を行う。
さらに、主制御部101には、給紙モータ制御部103と、搬送モータ制御部104と、ベルトモータ制御部105と、IDモータ制御部106と、定着モータ制御部107と、IDアップ/ダウンモータ制御部108とが接続されている。
【0024】
給紙モータ制御部103は、給紙モータ120に作動信号を出力して給紙モータ120の回転を制御し、ホッピングローラ31等の動作を制御する。
搬送モータ制御部104は、搬送モータ121に作動信号を出力して搬送モータ121の回転を制御し、レジストローラ対18、搬送ローラ対19、搬送ローラ対36等の動作を制御する。
【0025】
ベルトモータ制御部105は、ベルトモータ122に作動信号を出力してベルトモータ122の回転を制御し、
図1に示すベルト駆動ローラ13、即ち中間転写ベルト11等の動作を制御する。
IDモータ制御部106は、IDモータ123に作動信号を出力してIDモータ123の回転を制御し、
図1に示すIDユニット4K、4C、4M、4Y、4Wの感光体ドラム、帯電ローラ、現像ローラ等の動作を制御する。
【0026】
定着モータ制御部107は、定着モータ124に作動信号を出力して定着モータ124の回転を制御し、
図1に示す定着部50のヒートローラ51の動作を制御する。なお、加圧ローラ52は接触するヒートローラ51の回転に従動して回転する。
IDアップ/ダウンモータ制御部108は、IDアップ/ダウンモータ125に作動信号を出力してIDアップ/ダウンモータ125の回転(例えば、正回転と逆回転の回転方向)を制御し、
図1に示すそれぞれのIDユニット4K、4C、4M、4Y、4Wを中間転写ベルト11に対して独立して離間(アップ)または接触(ダウン)させる動作を制御する。なお、IDユニット4K、4C、4M、4Y、4Wを中間転写ベルト11に対して独立して離間(アップ)または接触(ダウン)させる手段として、カムやソレノイド等を利用した形態とすることができる。
【0027】
また、プリンタ1は、オペレーションパネル102を備え、スイッチやキーで構成された入力部と、LEDやLCD(Liquid Crystal Display)等で構成された表示部とを有している。
利用者は、オペレーションパネル102の入力部を操作することにより、フォントの選択、記録媒体の選択等、プリンタ1における各種の条件を設定することができるようになっている。また、オペレーションパネル102の表示部には、入力部で受付けた設定の条件等が表示される。
【0028】
また、プリンタ1は、インターフェース部109を備えている。インターフェース部109は、インターフェースコネクタ、インターフェース用IC等から構成され、通信回線で接続されたホストコンピュータから送信された印刷データを受信し、主制御部101へ転送する。
【0029】
このように構成されたプリンタ1の制御部100は、中間転写ベルト11に対して独立して離間(アップ)または接触(ダウン)させるIDユニット4を選択し、選択した一または複数のIDユニット4を中間転写ベルト11に対して離接、即ちIDユニット4の数を変化させ、中間転写ベルト11に離接させる。また、制御部100は、紙厚センサ39やオペレーションパネル102で入力した記録媒体の厚さに応じて中間転写ベルト11に接触させるIDユニット4の数を変化させる。本実施例では、制御部100は、紙厚センサ39やオペレーションパネル102で入力した記録媒体の厚さが厚くなるにつれて中間転写ベルト11に接触させるIDユニット4の数を増加させる。
【0030】
上述した構成の作用について説明する。
まず、プリンタが行う画像形成動作の概要を
図1および
図2を参照しながら説明する。
用紙カセット2の記録媒体Pは、プリンタ1の中間転写ベルトユニット10の上流側に配設されるホッピングローラ31により給紙されて搬送される。このとき、IDユニット4において中間転写ベルト11上にトナー像が形成される。
【0031】
記録媒体Pが中間転写ベルトユニット10に向けて搬送されると、記録媒体Pは、先端部が中間転写ベルト11と2次転写ローラ21とによって形成されるニップ部で挟持されて搬送される。このとき、IDユニット4で形成されたトナー像が中間転写ベルト11から記録媒体Pに転写される。
レジストローラ対18、および搬送ローラ対19は、それぞれ記録媒体Pを搬送するために充分な搬送力を発生させるため、従動側の搬送ローラを駆動側の搬送ローラに均等に押し付けるように従動側の搬送ローラの回転軸の両端に付勢手段としてのスプリングが設けられている。
【0032】
さらに、記録媒体Pが搬送され、定着部50まで到達すると、記録媒体Pは、定着部50のヒートローラ51と、加圧ローラ52とによって形成されるニップ部で挟持されて搬送され、記録媒体Pに転写されたトナー像が加熱、融解、加圧し、記録媒体Pに定着させられる。
トナー像が定着された記録媒体Pは、搬送セパレータ33の選択動作により再搬送路34へ搬送または搬送ローラ対36によって装置外へと排出される。
【0033】
次に、プリンタ1が行う印刷処理を
図3の実施例における印刷処理の流れを示すフローチャートの図中Sで表すステップに従って
図1および
図2を参照しながら説明する。なお、プリンタ1は、モノクロの印刷データをインターフェース部109により受信し、モノクロ印刷を行うものとし、IDユニット4K(ブラック)のみを中間転写ベルト11に接触(ダウン)させ、IDユニット4C、4M、4Y、4Wを中間転写ベルト11から離間(アップ)させているものとする。また、記憶部110に、現在の接触(ダウン)させているIDユニット4の数を「1」を記憶しているものとする。
【0034】
S1:プリンタ1の主制御部101は、モノクロの印刷データをインターフェース部109により受信する。
S2:主制御部101は、オペレーションパネル102で利用者の操作により設定された記録媒体に関する設定条件を読み込んで取得する。主制御部101は、取得した設定条件に基づいて記録媒体の搬送速度、転写電圧等を決定する。なお、設定条件に記録媒体の厚さ等の情報を含ませるようにしても良い。
S3:主制御部101は、n枚目の記録媒体Pの給紙を開始する。
【0035】
S4:主制御部101は、記憶部110に記憶された設定情報を確認し、IDユニット4の寿命を優先させる設定が行われているか否かを判定し、IDユニット4の寿命を優先させる設定が行われていると判定するとダウンさせるIDユニット数を「1」とするため処理をS12へ移行し、当該設定が行われていないと判定すると処理をS5へ移行する。
S5:主制御部101は、さらに記憶部110に記憶された設定情報を確認し、記録媒体Pの厚さを紙厚センサ39で検知する媒体厚Auto設定が行われているか否かを判定し、媒体厚Auto設定が行われていると判定すると処理をS6へ移行し、当該設定が行われていないと判定すると処理をS9へ移行する。
【0036】
S6:主制御部101は、給紙モータ制御部103に給紙モータ120の駆動を開始する指示、搬送モータ制御部104に搬送モータ121の駆動を開始する指示を出力する。
給紙モータ制御部103は、給紙モータ120の駆動を開始し、搬送モータ制御部104は、搬送モータ121の駆動を開始し、ホッピングローラ31を回転させて用紙カセット2から記録媒体Pを繰り出して搬送する。
【0037】
S7:主制御部101は、記録媒体Pの先端が紙厚センサ39に搬送され、記録媒体Pが紙厚センサ39で検知されると、給紙モータ制御部103に給紙モータ120の駆動を停止する指示、搬送モータ制御部104に搬送モータ121の駆動を停止する指示を出力する。
給紙モータ制御部103は、給紙モータ120の駆動を停止し、搬送モータ制御部104は、搬送モータ121の駆動を停止する。
【0038】
S8:主制御部101は、記録媒体Pが紙厚センサ39に到達すると、紙厚センサ39により記録媒体Pの紙厚を検出する。
本実施例では、主制御部101は、紙厚センサ39により記録媒体Pの厚さを、例えば50μm毎に検出するものとする。
【0039】
S9:主制御部101は、紙厚センサ39で検出した記録媒体Pの紙厚、または媒体厚Auto設定が行われていない場合は、記憶部110に設定されている紙厚に基づいて中間転写ベルト11に接触(ダウン)させるIDユニット4の数を取得する。本実施例では、
図5に示す紙厚(媒体厚)と接触(ダウン)させるIDユニット4の数とを対応づけたデータテーブルを予め記憶部110に記憶させておき、主制御部101は紙厚センサ39で検出した記録媒体Pの紙厚(媒体厚)に基づいて当該データテーブルを検索し、接触(ダウン)させるIDユニット4の数を抽出するものとする。
【0040】
このデータテーブルは、紙厚(媒体厚)が厚くなると接触(ダウン)させるIDユニット4の数を増加させる情報を記憶したものであり、例えば紙厚(媒体厚)が150μm未満のとき接触(ダウン)させるIDユニット4の数を「1」、紙厚(媒体厚)が150μm以上、200μm未満のとき接触(ダウン)させるIDユニット4の数を「2」、紙厚(媒体厚)が200μm以上、250μm未満のとき接触(ダウン)させるIDユニット4の数を「3」、紙厚(媒体厚)が250μm以上、300μm未満のとき接触(ダウン)させるIDユニット4の数を「4」、紙厚(媒体厚)が300μm以上のとき接触(ダウン)させるIDユニット4の数を「5」としたものである。
【0041】
S10:主制御部101は、取得した接触(ダウン)させるIDユニット4の数と、記憶部110に記憶した現在の接触(ダウン)させているIDユニット4の数とを比較し、接触(ダウン)させるIDユニット4の数に変化があるか否かを判定し、変化があると判定するとIDユニット4のアップまたはダウンの動作を行うため処理をS11へ移行し、変化がないと判定すると新たなIDユニット4のアップまたはダウンの動作が不要であるため処理をS17へ移行する。
【0042】
S11:主制御部101は、S9において取得した接触(ダウン)させるIDユニット4の数が、「1」の場合、処理をS12へ移行し、「2」の場合、処理をS13へ移行し、「3」の場合、処理をS14へ移行し、「4」の場合、処理をS15へ移行し、「5」の場合、処理をS16へ移行する。
S12:接触(ダウン)させるIDユニット4の数が、「1」の場合、主制御部101は、IDアップ/ダウンモータ制御部108に指示を出力し、
図4(a)に示すように、IDユニット4Kを中間転写ベルト11に接触(ダウン)させる。IDアップ/ダウンモータ制御部108は、IDアップ/ダウンモータ125を駆動してIDユニット4Kを中間転写ベルト11に接触(ダウン)させ、処理をS17へ移行する。
【0043】
S13:接触(ダウン)させるIDユニット4の数が、「2」の場合、主制御部101は、IDアップ/ダウンモータ制御部108に指示を出力し、
図4(b)に示すように、IDユニット4KおよびIDユニット4Cを中間転写ベルト11に接触(ダウン)させる。IDアップ/ダウンモータ制御部108は、IDアップ/ダウンモータ125を駆動してIDユニット4KおよびIDユニット4Cを中間転写ベルト11に接触(ダウン)させ、処理をS17へ移行する。
【0044】
S14:接触(ダウン)させるIDユニット4の数が、「3」の場合、主制御部101は、IDアップ/ダウンモータ制御部108に指示を出力し、
図4(c)に示すように、IDユニット4K、IDユニット4CおよびIDユニット4Mを中間転写ベルト11に接触(ダウン)させる。IDアップ/ダウンモータ制御部108は、IDアップ/ダウンモータ125を駆動してIDユニット4K、IDユニット4CおよびIDユニット4Mを中間転写ベルト11に接触(ダウン)させ、処理をS17へ移行する。
【0045】
S15:接触(ダウン)させるIDユニット4の数が、「4」の場合、主制御部101は、IDアップ/ダウンモータ制御部108に指示を出力し、
図4(d)に示すように、IDユニット4K、IDユニット4C、IDユニット4MおよびIDユニット4Yを中間転写ベルト11に接触(ダウン)させる。IDアップ/ダウンモータ制御部108は、IDアップ/ダウンモータ125を駆動してIDユニット4K、IDユニット4C、IDユニット4MおよびIDユニット4Yを中間転写ベルト11に接触(ダウン)させ、処理をS17へ移行する。
【0046】
S16:接触(ダウン)させるIDユニット4の数が、「5」の場合、主制御部101は、IDアップ/ダウンモータ制御部108に指示を出力し、
図4(e)に示すように、IDユニット4K、IDユニット4C、IDユニット4M、IDユニット4YおよびIDユニット4Wを中間転写ベルト11に接触(ダウン)させる。IDアップ/ダウンモータ制御部108は、IDアップ/ダウンモータ125を駆動してIDユニット4K、IDユニット4C、IDユニット4M、IDユニット4YおよびIDユニット4Wを中間転写ベルト11に接触(ダウン)させ、処理をS17へ移行する。
【0047】
なお、IDアップ/ダウンモータ制御部108は、既に中間転写ベルト11に接触(ダウン)させているIDユニット4の動作を行うことなく、離間(アップ)しているIDユニット4を中間転写ベルト11に接触(ダウン)させるものとする。
このように、主制御部101は、紙厚センサ39で検出した記録媒体Pの厚さに応じて中間転写ベルト11に接触(ダウン)させるIDユニット4の数を変化させる。
【0048】
記録媒体Pの先端が2次転写ローラ21と中間転写ベルト11との接触部である2次転写部に突入した際、中間転写ベルト11の回転速度が変動してしまうが、中間転写ベルト11に接触(ダウン)させるIDユニット4の数を増加させることにより、1次転写ローラ5との間で中間転写ベルト11を挟持するIDユニット4が増加し、中間転写ベルト11の回転速度の変動を抑制することができる。
【0049】
2次転写ローラ21と中間転写ベルト11との接触部である2次転写部への記録媒体Pの突入による中間転写ベルト11の回転速度の変動を抑制することにより、IDユニット4と1次転写ローラ5(5K、5C、5M、5Y、5W)との1次転写部でのショックラインの発生を抑制し、トナー画像の乱れのない良好な印刷結果が得られた。
【0050】
本実施例では、中間転写ベルト11に接触(ダウン)させるIDユニット4の数を増加させることにより、IDユニット4と1次転写ローラ5(5K、5C、5M、5Y、5W)との1次転写部でのショックラインの発生を抑制し、良好な印刷結果が得られることが実験により分かった。
ここで、ショックラインとは、厚紙の記録媒体Pの後端が2次転写ローラ21と中間転写ベルト11との接触部である2次転写部から抜ける際に、記録媒体Pの厚みに起因して中間転写ベルト11の回転速度が変動してしまい、IDユニット4と1次転写ローラ5(5K、5C、5M、5Y、5W)との1次転写部において中間転写ベルト11上に付着するトナー像が乱れることにより発生する帯状のトナー濃度が濃い領域をいう。
【0051】
このショックラインは、記録媒体Pの厚さが厚いほど中間転写ベルト11の回転速度の変動が大きくなるため、発生し易くなる。また、中間転写ベルト11に接触(ダウン)させるIDユニット4の数を増加させることにより、中間転写ベルト11の回転速度の変動を抑制することができる。
そこで、本実施例では、紙厚(媒体厚)が厚いほど、中間転写ベルト11に接触(ダウン)させるIDユニット4の数を増加させるようにしている。
【0052】
S17:主制御部101は、定着モータ制御部107に定着モータ124の駆動を開始する指示を出力する。
定着モータ制御部107は、定着モータ124の駆動を開始し、定着部50内のヒートローラ51および加圧ローラ52を回転させる。
【0053】
S18:主制御部101は、給紙モータ制御部103に給紙モータ120の駆動を開始する指示、搬送モータ制御部104に搬送モータ121の駆動を開始する指示を出力する。
給紙モータ制御部103は、給紙モータ120の駆動を開始し、搬送モータ制御部104は、搬送モータ121の駆動を開始し、ホッピングローラ31を回転させて用紙カセット2から記録媒体Pを繰り出して搬送する。
【0054】
S19:主制御部101は、ベルトモータ制御部105にベルトモータ122の駆動を開始する指示、IDモータ制御部106にIDモータ123の駆動を開始する指示を出力する。
ベルトモータ制御部105は、ベルトモータ122の駆動を開始し、中間転写ベルトユニット10内のベルト駆動ローラ13を回転させ、IDモータ制御部106は、IDモータ123の駆動を開始し、IDユニット4K〜4Wの各感光体ドラム401を回転させる。
【0055】
S20:主制御部101は、次の記録媒体に印刷を行う印刷命令があるか否か、即ち次の記録媒体を給紙する必要があるか否かを判定し、給紙する必要があると判定すると処理をS21へ移行し、不要であると判定すると処理をS22へ移行する。
S21:次の記録媒体を給紙する必要があると判定した主制御部101は、処理をS4へ移行してn+1枚目の記録媒体Pの給紙を開始する。
なお、本実施例では、主制御部101は、次の記録媒体を給紙する必要があると判定した場合、処理をS4へ移行して給紙する記録媒体P毎に紙厚検知を行うようにしたが、処理をS20へ移行して1枚目の記録媒体Pの紙厚検知の結果を2枚目以降の記録媒体Pの紙厚とするようにしても良い。
【0056】
S22:S20において、次の記録媒体の給紙が不要であると判定した主制御部101は、給紙モータ制御部103に指示を出力して記録媒体Pの給紙を停止する。給紙モータ制御部103は、給紙モータ120の駆動を停止する。
S23:その後、主制御部101は、排出センサ38がONすることにより記録媒体Pが排出センサ38を通過したことを検出し、さらに所定量搬送し、記録媒体Pを装置外へ排出する。
S24:主制御部101は、搬送モータ制御部104に搬送モータ121の駆動を停止する指示を出力する。搬送モータ制御部104は、搬送モータ121の駆動を停止する。
【0057】
S25:主制御部101は、IDモータ制御部106にIDモータ123の駆動を停止する指示を出力し、ベルトモータ制御部105にベルトモータ122の駆動を停止する指示を出力する。
IDモータ制御部106は、IDモータ123の駆動を停止し、IDユニット4K〜4Wの各感光体ドラムの回転を停止させ、ベルトモータ制御部105は、ベルトモータ122の駆動を停止し、中間転写ベルトユニット10内のベルト駆動ローラ13の回転を停止させる。
【0058】
S26:主制御部101は、定着モータ制御部107に定着モータ124の駆動を停止する指示を出力する。
定着モータ制御部107は、定着モータ124の駆動を停止し、定着部50内のヒートローラ51および加圧ローラ52の回転を停止させる。定着モータ124の駆動が停止されると、主制御部101は本処理を終了する。
【0059】
このように、本実施例では、主制御部101は、紙厚センサ39で検出した記録媒体Pの厚さに応じて中間転写ベルト11に接触(ダウン)させるIDユニット4の数を変化、即ち紙厚(媒体厚)が厚くなると接触(ダウン)させるIDユニット4の数を増加させるようにしたことにより、中間転写ベルト11に対するIDユニット4の付勢力を増し、中間転写ベルト11の速度変動を抑え、1次転写部におけるショックラインの発生を抑制し、画像形成時のトナー画像の乱れを抑制することができる。
【0060】
また、1次転写部におけるショックラインを発生させる原因となる記録媒体Pの厚さに応じて中間転写ベルト11に接触(ダウン)させるIDユニット4の数を変化させるようにしているため、IDユニット4の寿命の消費を低減させつつ、1次転写部におけるショックラインの発生を抑制し、画像形成時のトナー画像の乱れを抑制することができる。
【0061】
さらに、IDユニット4を中間転写ベルト11に接触(ダウン)させるようにしているため、セルフアジャストローラにより中間転写ベルト11の走行を安定させるために必要な時間を増加させることがない。
なお、本実施例では、主制御部101は、紙厚センサ39で記録媒体Pの厚さを検出するようにしたが、利用者の設定操作により、記録媒体Pの厚さをオペレーションパネル102で受付けて記憶部110に記憶し、「媒体厚Auto設定」として設定された記録媒体Pの厚さに応じて中間転写ベルト11に接触(ダウン)させるIDユニット4の数を変化させるようにしても良い。
【0062】
また、インターフェース部109と通信可能に接続されたパーソナルコンピュータのプリンタドライバで設定された記録媒体Pの厚さの情報を受信し、受信した記録媒体Pの厚さの情報に応じて中間転写ベルト11に接触(ダウン)させるIDユニット4の数を変化させるようにしても良い。
さらに、オペレーションパネル102で中間転写ベルト11に接触させるIDユニット4の数を設定する利用者の入力操作を受付け、主制御部101は、入力された接触させるIDユニット4の数を接触IDユニット数として記憶部110に記憶し、設定された接触IDユニット数に基づいて中間転写ベルト11に接触(ダウン)させるようにしても良い。
【0063】
例えば、IDユニット4の寿命の消耗を避ける場合、接触IDユニット数を「1」(「ID寿命優先」設定)としてIDユニット4Kのみを中間転写ベルト11に接触(ダウン)させ、ショックラインの発生が軽度の場合、接触IDユニット数を「2」としてIDユニット4KおよびIDユニット4Cを中間転写ベルト11に接触(ダウン)させ、ショックラインの発生が重度の場合、接触IDユニット数を「5」としてすべてのIDユニット4を中間転写ベルト11に接触(ダウン)させる。
【0064】
また、本実施例では、主制御部101は、
図4に示すように、中間転写ベルト11の回転方向であるベルト搬送方向における下流側に配置されたIDユニット4の優先順位を高くして中間転写ベルト11に接触、即ち中間転写ベルト11のベルト搬送方向における下流側から順に、中間転写ベルト11に接触(ダウン)させるIDユニット4を増やすようにしたが、それに限られるものではない。
【0065】
例えば、中間転写ベルト11の回転方向における最下流に配置されたIDユニット4を優先し、次に中間転写ベルト11の回転方向における最上流に配置されたIDユニット4を優先させて中間転写ベルト11に接触させる等、接触(ダウン)させるIDユニット4間に間隔を保持するようにしても良い。
【0066】
この場合、接触(ダウン)させるIDユニット4の数が、「1」の場合、
図6(a)に示すように、IDユニット4Kを中間転写ベルト11に接触(ダウン)させ、「2」の場合、
図6(b)に示すように、ベルト搬送方向における両端のIDユニット4KおよびIDユニット4Wを中間転写ベルト11に接触(ダウン)させ、「3」の場合、
図6(c)に示すように、1つ置きに、IDユニット4K、IDユニット4MおよびIDユニット4Wを中間転写ベルト11に接触(ダウン)させ、「4」の場合、
図6(d)に示すように、IDユニット4K、IDユニット4C、IDユニット4MおよびIDユニット4Wを中間転写ベルト11に接触(ダウン)させ、「5」の場合、
図6(e)に示すように、IDユニット4K、IDユニット4C、IDユニット4M、IDユニット4YおよびIDユニット4Wを中間転写ベルト11に接触(ダウン)させる。
【0067】
また、使用頻度の少ないIDユニット4、例えば特色を扱うIDユニット4Wを中間転写ベルト11の回転方向における最下流に配置し、そのIDユニット4Wを他のIDユニットに優先して中間転写ベルト11に接触(ダウン)させるようにしても良い。
例えば、接触(ダウン)させるIDユニット4の数が、「1」の場合、
図7(a)に示すように、IDユニット4Kを中間転写ベルト11に接触(ダウン)させ、「2」の場合、
図7(b)に示すように、IDユニット4WおよびIDユニット4Kを中間転写ベルト11に接触(ダウン)させ、「3」の場合、
図7(c)に示すように、IDユニット4W、IDユニット4KおよびIDユニット4Yを中間転写ベルト11に接触(ダウン)させ、「4」の場合、
図7(d)に示すように、IDユニット4W、IDユニット4K、IDユニット4MおよびIDユニット4Yを中間転写ベルト11に接触(ダウン)させ、「5」の場合、
図7(e)に示すように、IDユニット4W、IDユニット4K、IDユニット4C、IDユニット4MおよびIDユニット4Yを中間転写ベルト11に接触(ダウン)させる。
【0068】
以上説明したように、本実施例では、記録媒体の厚さに応じて中間転写ベルトに接触(ダウン)させるIDユニットの数を変化させるようにしたことにより、中間転写ベルトに対するIDユニットの付勢力を増し、中間転写ベルトの速度変動を抑え、画像形成時のトナー画像の乱れを抑制することができるという効果が得られる。
また、IDユニットの寿命の消費を低減させつつ、画像形成時のトナー画像の乱れを抑制することができるという効果が得られる。
【0069】
さらに、セルフアジャストローラにより中間転写ベルトの走行を安定させるために必要な時間を増加させることがないという効果が得られる。
なお、本実施例では、画像形成装置をカラープリンタとして説明したが、それに限られることなく、複写機、ファクシミリ装置または複合機(MFP)等としても良い。
また、画像形成装置を2次転写方式のカラープリンタとして説明したが、それに限られることなく、直接転写方式のカラープリンタ、複写機、ファクシミリ装置または複合機(MFP)等としても良い。