【実施例1】
【0009】
図1は第1の実施例における画像形成装置の構成を示す概略側断面図である。
図1において、画像形成装置100は、例えばカラープリンタであり、媒体を搬送し、その媒体上にトナー像を形成するものである。この画像形成装置100は、マルチパーパストレイ(MPT)12と、入口センサ3と、レジストローラ対4と、タイミングローラ5と、書き出しセンサ6と、2次転写ローラ7と、画像形成部8と、画像搬送ベルト9と、定着器10と、出口センサ11と、フィーダ200とを有している。
【0010】
給紙部としてのMPT12は、給紙ローラ1と、分離ローラ2とを有し、載置台に供給された媒体をレジストローラ対4およびタイミングローラ5により形成される搬送部に給紙するものである。
給紙ローラ1は、回転することにより、MPT12の載置台に供給された媒体を図中矢印Aが示す媒体搬送方向へ給紙するものである。
分離ローラ2は、給紙ローラ1によって給紙された媒体を1枚ずつ分離して媒体搬送方向へ搬送するものである。
【0011】
入口センサ3は、分離ローラ2によって搬送された媒体を検知するものである。
搬送部としてのレジストローラ対4は、分離ローラ2によって搬送された媒体の先端に当接して媒体の斜行を矯正するとともに、その媒体を挟持して搬送するものである。
搬送部としてのタイミングローラ5は、レジストローラ対4によって搬送された媒体を挟持して搬送するものである。
第2の検知手段としての書き出しセンサ6は、媒体搬送方向におけるタイミングローラ5の下流側に配置され、タイミングローラ5によって搬送された媒体の先端を検知して画像形成部8において画像を形成するタイミング(画像形成開始時期)を検知するものである。
【0012】
画像形成部8(8a、8b、8c、8d)は、各色の現像剤としてトナーの画像を形成するものである。例えば、画像形成部8aはシアン色の現像剤像としてのトナー像、画像形成部8bはマゼンタ色のトナー像、画像形成部8cはイエロー色のトナー像、画像形成部8dはブラック色のトナー像を形成する。
【0013】
画像形成部8(8a、8b、8c、8d)は、感光ドラムとしてのイメージドラム80(80a、80b、80c、80d)と、イメージドラム80(80a、80b、80c、80d)の表面を一様に帯電させる帯電部81(81a、81b、81c、81d)と、帯電されたイメージドラム80(80a、80b、80c、80d)を露光し、静電潜像を形成する露光部82(82a、82b、82c、82d)と、イメージドラム80(80a、80b、80c、80d)に形成された静電潜像に現像剤を現像する現像ローラ83(83a、83b、83c、83d)と、現像ローラ83(83a、83b、83c、83d)に現像剤を供給する供給ローラ84(84a、84b、84c、84d)とから構成されている。
【0014】
画像搬送ベルト9は、無端状の回転可能なベルトであり、図中矢印Bが示す搬送方向に回転して画像形成部8(8a、8b、8c、8d)で形成されたトナー像を担持して搬送するものである。
画像搬送ベルト9を介して画像形成部8(8a、8b、8c、8d)のメージドラム80(80a、80b、80c、80d)と対向して1次転写部91(91a、91b、91c、91d)が配設されている。
【0015】
この1次転写部91(91a、91b、91c、91d)は、画像形成部8(8a、8b、8c、8d)のイメージドラム80(80a、80b、80c、80d)に形成されたトナー像(現像剤像)を中間転写ベルトとしての画像搬送ベルト9に転写する。
2次転写ローラ7は、画像搬送ベルト9で搬送されたトナー像を、タイミングローラ5により搬送されてくる媒体に転写するものである。
【0016】
定着器10は、2次転写ローラ7により媒体に転写されたトナー像を熱と圧力で媒体に定着させるものである。
出口センサ11は、定着器10でトナー像が定着され、搬送された媒体を検知するものである。出口センサ11で検知された媒体は、装置外へと搬送され、排出される。
【0017】
供給部としてのフィーダ200は、画像形成装置100に設けられたMPT12に対して着脱可能に設けられ、載置台に載置された不定形サイズの媒体P(例えば、図中矢印Aが示す媒体搬送方向における媒体長Lの封筒等)をMPT12に順次供給するものである。このフィーダ200は、給紙ローラ201と、給紙センサ202とを有し、送り出した先行媒体PaがMPT12により給紙されたことを給紙センサ202で検知すると後続媒体PをMPT12に送り出す。また、フィーダ200は、画像形成装置100とは独立して動作するように駆動源および制御回路等を備えた構成となっている。
【0018】
MPT12の載置台に載置できる媒体量が少ないため、多量の媒体Pを画像形成装置100で印刷する場合に、フィーダ200をMPT12に装着し、フィーダ200は載置台に載置された媒体PをMPT12に順次供給する。
給紙ローラ201は、回転することにより、載置台に載置された媒体Pを図中矢印Aが示す媒体搬送方向へ搬送してMPT12へ送り出すものである。
【0019】
第1の検知手段としての給紙センサ202は、MPT12に供給された媒体の後端が無くなったこと、即ちMPT12に送り出された先行媒体PaがMPT12により給紙されたことを検知するものである。フィーダ200は、給紙センサ202によりMPT12へ送り出された媒体Paがなくなったことを検知すると、自律的に給紙ローラ201を回転し、後続する媒体Pを媒体搬送方向におけるMPT12の給紙ローラ1の下流側の所定位置まで送り出す。
【0020】
図2は第1の実施例における画像形成装置の制御構成を示すブロック図である。
図2において、画像形成装置100は、システム制御部101と、接続I/F部102と、操作表示部103と、画像形成制御部104と、定着制御部105と、給紙制御部106と、搬送制御部107と、印刷制御部108とを有している。
【0021】
システム制御部101は、CPU(Central Processing Unit)等の制御手段および不揮発性メモリ等の記憶部101aを備え、記憶部101aに格納された制御プログラムに基づいて接続I/F部102、操作表示部103、画像形成制御部104、定着制御部105、給紙制御部106、搬送制御部107、および印刷制御部108を制御し、画像形成装置100全体の動作を制御するものである。
【0022】
接続I/F部102は、通信回線としてのLAN(Local Area Network)等に接続され、TCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)に基づいて通信制御を行うものである。この接続I/F部102は、LANに接続されたホストコンピュータ等の外部装置から印刷等を指示するコマンド(指令)データを受信する。
【0023】
操作表示部103は、ディスプレイ等の表示部およびキーやタッチパネル等の操作部を備えたものである。システム制御部101は、操作表示部103により、利用者による設定入力操作を受付け、入力された設定情報を記憶部101aに記憶する。設定情報は、画像形成装置100の動作を規定する情報であり、本実施例では、設定情報には、
図1に示すフィーダ200の有無を表す情報が含まれている。
【0024】
画像形成制御部104は、接続I/F部102で受信したコマンドデータに基づいて印刷用の画像データを生成し、
図1に示す画像形成部8のイメージドラム80にトナー像を形成するとともに、そのトナー像を画像搬送ベルト9に転写するものである。また、画像形成制御部104は、HDD(ハードディスクドライブ)等を備え、接続I/F部102で受信したコマンドデータを記憶するとともに、そのコマンドデータから生成した印刷用の画像データを記憶する。
【0025】
定着制御部105は、
図1に示す定着器10を制御して媒体に転写されたトナー像を熱と圧力で媒体に定着させるものである。
給紙制御部106は、
図1に示すMPT12の給紙ローラ1および分離ローラ2を制御してMPT12に載置された媒体を給紙するものである。
搬送制御部107は、
図1に示すレジストローラ対4およびタイミングローラ5からなる搬送部を制御し、MPT12から給紙された媒体を搬送するものである。
【0026】
搬送制御部107は、
図1に示す画像搬送ベルト9に1次転写された現像剤像と、搬送される媒体との位置および速度を合わせるために、2次転写部としての2次転写ローラ7の媒体搬送方向における上流側であって、MPT12の媒体を給紙する給紙ローラ1および媒体を分離する分離ローラ2の下流側の停止位置において媒体を一旦停止した後、再び2次転写ローラ7に向かって搬送する制御を行う。
【0027】
搬送制御部107は、待機位置判断部107aと、搬送待機制御部107bとを有し、
図1に示すレジストローラ対4およびタイミングローラ5で搬送する媒体の先端を、基準位置で停止させるとともに、その基準位置と異なる位置で停止させる制御を行う。
判断部としての待機位置判断部107aは、
図1に示すフィーダ200から送り出される媒体の媒体搬送方向における媒体長に基づいて媒体の停止位置の変更の要否を判断するものである。具体的には、待機位置判断部107aは、コマンドデータに含まれている媒体サイズ情報に基づいて媒体の待機位置を変更するか否かを判断する。
【0028】
待機位置判断部107aは、媒体の待機位置の変更が必要である判断した場合、媒体の待機位置の情報を搬送待機制御部107bへ通知する。
ここで、媒体サイズ情報とは、A4、A3、B4、B5等の定形の媒体の大きさや封筒等の不定形の媒体の大きさに関する情報であり、この情報から
図1に示す媒体搬送方向における媒体長Lを導出することができるものである。
【0029】
待機位置制御部としての搬送待機制御部107bは、待機位置判断部107aが媒体の停止位置の変更が必要であると判断した場合、媒体の先端の停止位置を基準位置より媒体搬送方向における下流側に変更するものである。具体的には、搬送待機制御部107bは、待機位置判断部107aから通知された媒体の待機位置の情報に基づいて
図1に示す給紙ローラ1および分離ローラ2を制御し、媒体を所定の待機位置で停止させる搬送制御を行う。
【0030】
印刷制御部108は、定着制御部105、給紙制御部106、搬送制御部107、画像形成部8(8a、8b、8c、8d)、および
図1に示す2次転写ローラ7を制御し、給紙制御部106により給紙した媒体上にトナー像を形成し、定着させる印刷動作を行うものである。
【0031】
上述した構成の作用について説明する。
画像形成装置が行う給紙処理を
図3の第1の実施例における給紙処理の流れを示すフローチャートの図中Sで表すステップに従って
図1、
図2、および
図4を参照しながら説明する。なお、
図4は第1の実施例における給紙処理の説明図であり、
図1に示すフィーダ200の給紙ローラ201および給紙センサ202、MPT12の給紙ローラ1および分離ローラ2、入口センサ3、レジストローラ対4、タイミングローラ5、書き出しセンサ6、並びに2次転写ローラ7を模式的に表したものである。
【0032】
S1:画像形成装置100の接続I/F部102は、コマンドデータを受信し、受信したコマンドデータを解析し、コマンドデータが印刷要求であると判断すると、システム制御部101へ印刷要求を受信したことを通知する。
通知を受けたシステム制御部101は、コマンドデータのヘッダ部で指定される印刷情報に基づいて印刷データを生成し、印刷制御部108へ印刷データおよび記憶部101aから読み出した設定情報とともに印刷開始指示を通知する。
【0033】
印刷開始指示を受けた印刷制御部108は、給紙指示を給紙制御部106へ通知するとともに、印刷データおよび設定情報を搬送指示を搬送制御部107へ通知する。
このとき、
図4(a)に示すように、媒体Pは、フィーダ200の載置台に載置され、MPT12へは給紙されていないものとする。フィーダ200は、給紙センサ202で媒体を検知していないため、給紙ローラ201を回転させ、
図4(b)に示すように、媒体長Lの媒体Pを図中矢印Aが示す媒体搬送方向へ送り出し、MPT12へ給送する。
【0034】
給紙指示を受けた給紙制御部106は、給紙ローラ1および分離ローラ2を回転させ、フィーダ200から給送された先行媒体P1の給紙を開始する。
また、印刷データおよび設定情報とともに搬送指示を受けた搬送制御部107は、レジストローラ対4およびタイミングローラ5を回転させて媒体の搬送を開始する。
【0035】
S2:このとき、搬送制御部107は、設定情報に基づいてフィーダ200の有無を判定し、フィーダ200が有る、即ちMPT12に装着されていると判定すると処理をS3へ移行し、フィーダ200が無い、即ちMPT12に装着されていないと判定すると処理をS5へ移行する。
なお、フィーダ200がMPT12に装着されていない場合、即ちMPT12の載置台に載置された媒体を給紙する場合、フィーダ200から媒体がMPT12に供給されることがないため、先行媒体の後端部にフィーダ200から供給される後続媒体の先端が干渉することがない。したがって、後続媒体が媒体詰り(ジャム)と誤判定されることはない。
【0036】
S3:フィーダ200が有ると判定した搬送制御部107は、待機位置判断部107aに印刷データを通知し、印刷データに含まれている媒体サイズ情報に基づいて媒体の先端の待機位置を変更する必要があるか否かを判断し、必要であると判断すると処理をS4へ移行し、必要でないと判断すると処理をS5へ移行する。
【0037】
ここで、媒体の先端の待機位置の変更が必要であるか否かの判断は、媒体サイズ情報に基づいて媒体の搬送方向における媒体長Lが、閾値Cより短い(小さい)か否かで判断し、短い場合に媒体の先端の待機位置の変更が必要であると判断する。なお、媒体長Lは、フィーダ200から送り出される媒体の搬送方向における長さであり、また閾値Cは、記憶部101aに記憶された設定情報に含まれる値である。
【0038】
先行媒体P1の媒体長Lが閾値Cより短い場合、
図4(c)に示すように、先行媒体P1の先端部を基準位置である待機位置Wt1で停止させたとき、次に給紙する媒体である後続媒体P2の先端が、先行媒体P1と干渉してしまい、後続媒体P2の搬送が妨げられることにより、後続媒体P2の給紙開始時に、後続媒体P2の搬送に遅れが生じたものと誤検知して媒体詰り(ジャム)と誤判定してしまう可能性がある。
【0039】
なお、基準位置である待機位置Wt1は、画像形成装置100で標準的に使用する媒体(例えば、A4サイズ)の媒体長Lを基準とした場合の既定の媒体停止位置であり、
図1に示す画像搬送ベルト9の回転と、当該媒体を搬送するタイミングとを合わせ、当該媒体にトナー像を形成するための好適な待機位置である。
【0040】
媒体詰り(ジャム)の誤判定を抑制するため、先行媒体P1の媒体長Lが閾値Cより短い場合、媒体P1の先端部を所定の待機位置Wt1よりも媒体搬送方向における下流側である変更待機位置Wt2に変更する。そのため、処理をS4へ移行する。なお、待機位置Wt1と変更待機位置Wt2との距離Dは、所定の距離として設定情報に含まれているものとする。
【0041】
S4:S3において、待機位置判断部107aが媒体の先端の待機位置を変更する必要があると判断すると、搬送待機制御部107bは、
図4(d)に示すように、先行媒体P1の先端部の停止位置を媒体搬送方向における待機位置Wt1より下流側の変更待機位置Wt2となるように先行媒体P1の搬送を停止させ、また給紙制御部106も給紙を停止させ、本処理を終了する。
【0042】
S5:一方、S2において搬送制御部107がフィーダ200無しと判定した場合、またはS3において待機位置判断部107aが媒体の先端の待機位置を変更する必要がないと判断した場合、搬送待機制御部107bは、
図4(c)に示すように、先行媒体P1の先端部の停止位置を待機位置Wt1となるように先行媒体P1の搬送を停止させ、また給紙制御部106も給紙を停止させ、本処理を終了する。
なお、搬送制御部107および印刷制御部108は、画像搬送ベルト9により搬送されるトナー像にタイミングを合わせて給紙された媒体を搬送し、その媒体に印刷データに基づいて印刷を行う。
【0043】
ここで、上述した閾値Cおよび距離Dについて
図4(e)に基づいて詳細に説明する。
図4(e)において、給紙センサ202と待機位置Wt1との距離をL1とすると、閾値Cは距離L1とする。待機位置Wt1は、画像搬送ベルト9により搬送されるトナー像にタイミングを合わせて給紙された媒体を搬送するために、媒体を待機させる既定の位置である。本実施例では、印刷データに含まれる媒体サイズ情報に基づいて導出される先行媒体P1の搬送方向における長さ(媒体長L)が、距離L1よりも短い場合、フィーダ200により後続媒体P2が給紙されるため、先行媒体P1の先端部を待機位置Wt1よりも媒体搬送方向における下流側である変更待機位置Wt2に変更する。なお、先行媒体P1の搬送方向における長さ(媒体長L)が、距離L1以上の場合、フィーダ200により後続媒体P2は給紙されない。
【0044】
また、
図4(e)において、フィーダ200によって送り出される後続媒体P2の先端の停止位置を後続媒体先端位置Pntとし、給紙センサ202と後続媒体先端位置Pntとの距離をL2とすると、距離Dは距離L2とする。
このように、先行媒体P1の先端の待機位置を変更する必要があるか否かの判断は、先行媒体P1の搬送方向における長さ(媒体長L)が、フィーダ200の給紙センサ202と待機位置Wt1との距離L1より短いか否かで判断し、短い場合に媒体の先端の待機位置の変更が必要であると判断する。
【0045】
媒体長Lが距離L1より短い場合、
図4(f)に示すように、先行媒体P1の先端部を待機位置Wt1で停止させたとき、先行媒体P1の後端位置P1bが、次に給紙する媒体である後続媒体P2の先端位置Pntよりも距離Xだけ媒体搬送方向における上流側に位置してしまうため、後続媒体P2の給紙開始時に、後続媒体P2の搬送に距離Xの遅れが生じたものと誤検知して媒体詰り(ジャム)と誤判定してしまう可能性がある。
【0046】
本実施例では、媒体詰りの誤判定を抑制するため、待機位置判断部107aで待機位置の変更が必要であると判断された場合、
図4(e)に示すように、搬送待機制御部107bは先行媒体P1の先端部の停止位置を媒体搬送方向における待機位置Wt1より下流側の変更待機位置Wt2(停止位置の変更量は、距離D(距離L2))となるように先行媒体P1の搬送を停止させる。
【0047】
このように、本実施例では、待機位置判断部107aで待機位置の変更が必要であると判断された場合、搬送待機制御部107bは先行媒体P1の先端部の停止位置を媒体搬送方向における待機位置Wt1より下流側の変更待機位置Wt2となるように先行媒体P1の搬送を停止させるようにしたことにより、先行媒体P1の後端位置P1bが、媒体搬送方向における後続媒体P2の先端位置Pntより下流側に位置し、先行媒体P1の後端と後続媒体P2の先端との間に間隔が保持され、媒体詰りの誤判定を抑制することができる。
【0048】
以上説明したように、第1の実施例では、先行媒体の先端部の停止位置を媒体搬送方向における待機位置より下流側の変更待機位置となるように先行媒体を停止させるようにしたことにより、先行媒体の後端と後続媒体の先端との間に間隔が保持され、後続媒体の搬送に影響を与えることなく、媒体詰りの誤判定を抑制することができるという効果が得られる。
【実施例2】
【0049】
第2の実施例の構成は、第1の実施例の制御構成に、媒体サイズ情報に基づいて媒体の先端位置を算出する先端位置計算部を設けたものとしている。その第2の実施例の構成を
図5の第2の実施例における画像形成装置の制御構成を示すブロック図に基づいて説明する。なお、上述した第1の実施例と同様の部分は、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0050】
図5において、搬送制御部107は、待機位置判断部107aと、搬送待機制御部107bと、先端位置計算部107cとを有している。
先端位置計算部107cは、接続I/F部102で受信したコマンドデータに含まれている媒体サイズ情報に基づいて媒体の先端の待機位置を算出するものである。
【0051】
上述した構成の作用について説明する。
画像形成装置が行う給紙処理を
図6の第2の実施例における給紙処理の流れを示すフローチャートの図中Sで表すステップに従って
図1、
図5、および
図7を参照しながら説明する。なお、
図7は第2の実施例における給紙処理の説明図であり、
図1に示すフィーダ200の給紙ローラ201および給紙センサ202、MPT12の給紙ローラ1および分離ローラ2、入口センサ3、レジストローラ対4、タイミングローラ5、書き出しセンサ6、並びに2次転写ローラ7を模式的に表したものである。
【0052】
S101:
図3に示すS1と同様の処理なのでその説明を省略する。
S102:搬送制御部107は、設定情報に基づいてフィーダ200の有無を判定し、フィーダ200が有る、即ちMPT12に装着されていると判定すると処理をS103へ移行し、フィーダ200が無い、即ちMPT12に装着されていないと判定すると処理をS107へ移行する。
【0053】
S103:フィーダ200が有ると判定した搬送制御部107は、待機位置判断部107aに印刷データを通知し、印刷データに含まれている媒体サイズ情報に基づいて媒体の先端の待機位置を変更する必要があるか否かを判断し、必要であると判断すると処理をS104へ移行し、必要でないと判断すると処理をS107へ移行する。
ここで、媒体の先端の待機位置の変更が必要であるか否かの判断は、第1の実施例と同様に、媒体サイズ情報に基づいて媒体の搬送方向における媒体長Lが、閾値Cより短いか否かで判断し、短い場合に媒体の先端の待機位置の変更が必要であると判断する。なお、閾値Cは、記憶部101aに記憶された設定情報に含まれる値である。
【0054】
S104:S103において、待機位置判断部107aが媒体の先端の待機位置を変更する必要があると判断すると、先端位置計算部107cは媒体サイズ情報に基づいて媒体の先端の待機位置を算出する。
ここで、上述した媒体先端の待機位置の算出方法について
図7(a)に基づいて説明する。
【0055】
図7(a)において、媒体サイズ情報から導出した媒体Pの媒体長L、先行媒体P1の先端部の変更前の停止位置を待機位置Wt1、書き出しセンサ6と待機位置Wt1との距離をD1、フィーダ200によって給紙される後続媒体P2の先端の位置を後続媒体先端位置Pnt、書き出しセンサ6と後続媒体先端位置Pntとの距離をD2とすると、変更後の媒体先端の待機位置Wt3は、待機位置Wt1から媒体搬送方向に(媒体長L+距離D1−距離D2)を隔てた位置として算出される。
【0056】
このように、先端位置計算部107cは、(媒体長L+距離D1−距離D2)を先行媒体P1の先端の停止位置の変更量とする。
なお、距離D1および距離D2は、記憶部101aに記憶された設定情報に含まれる値である。また、書き出しセンサ6は、媒体搬送方向における待機位置Wt1の下流側に配置されている。
【0057】
S105:待機位置判断部107aは、先端位置計算部107cが算出した変更後の媒体先端の待機位置Wt3に基づいて先行媒体P1の先端を変更後の媒体先端の待機位置Wt3に停止させることができるか否かを判定し、停止させることができると判定すると処理をS106へ移行し、停止させることができないと判定すると処理をS107へ移行する。
【0058】
ここで、先行媒体P1の先端を変更後の媒体先端の待機位置Wt3に停止させることができるか否かの判定は、変更後の媒体先端の待機位置Wt3が、書き出しセンサ6と、媒体搬送方向における書き出しセンサ6の上流側の先行媒体P1の先端部の変更前の停止位置を待機位置Wt1との間に位置するか否か、即ち変更後の媒体先端の待機位置Wt3が書き出しセンサ6を越えるか否かで判定する。
【0059】
変更後の媒体先端の待機位置Wt3が、書き出しセンサ6と、媒体搬送方向における書き出しセンサ6の上流側の先行媒体P1の先端部の変更前の停止位置を待機位置Wt1との間に位置する場合、即ち変更後の媒体先端の待機位置Wt3が書き出しセンサ6を越えない場合(媒体長L<距離D2の場合)、先行媒体P1の先端を変更後の媒体先端の待機位置Wt3に停止させることができると判定する。
【0060】
一方、変更後の媒体先端の待機位置Wt3が、書き出しセンサ6と、媒体搬送方向における書き出しセンサ6の上流側の先行媒体P1の先端部の変更前の停止位置を待機位置Wt1との間に位置しない場合、即ち変更後の媒体先端の待機位置Wt3が書き出しセンサ6を越える場合(媒体長L≧距離D2の場合)、先行媒体P1の先端を変更後の媒体先端の待機位置Wt3に停止させることができないと判定する。
これは、変更後の媒体先端の待機位置Wt3が書き出しセンサ6を越える場合、画像搬送ベルト9で搬送されるトナー像を媒体に転写するタイミングが取れなくなってしまうからである。
【0061】
S106:待機位置判断部107aが先行媒体P1の先端を変更後の媒体先端の待機位置Wt3に停止させることができると判定すると、搬送待機制御部107bは、
図7(a)に示すように、先行媒体P1の先端部の停止位置を媒体搬送方向における待機位置Wt1より下流側の変更待機位置Wt3となるように先行媒体P1の搬送を停止させ、また給紙制御部106も給紙を停止させ、本処理を終了する。
【0062】
S107:一方、S102において搬送制御部107がフィーダ200無しと判定した場合、S103において待機位置判断部107aが媒体の先端の待機位置を変更する必要がないと判断した場合、またはS105において待機位置判断部107aが先行媒体P1の先端を変更後の媒体先端の待機位置Wt3に停止させることができないと判定した場合、搬送待機制御部107bは、
図7(b)に示すように、先行媒体P1の先端部の停止位置を待機位置Wt1となるように先行媒体P1の搬送を停止させ、また給紙制御部106も給紙を停止させ、本処理を終了する。
【0063】
なお、搬送制御部107および印刷制御部108は、画像搬送ベルト9により搬送されるトナー像にタイミングを合わせて給紙された媒体を搬送し、その媒体に印刷データに基づいて印刷を行う。
本実施例では、媒体詰りの誤判定を抑制するため、
図7(a)に示すように、搬送待機制御部107bは先行媒体P1の先端部の停止位置を媒体搬送方向における待機位置Wt1より下流側の変更待機位置Wt3となるように先行媒体P1の搬送を停止させる。
【0064】
このように、本実施例では、搬送待機制御部107bは先行媒体P1の先端部の停止位置を媒体搬送方向における待機位置Wt1より下流側の変更待機位置Wt3となるように先行媒体P1の搬送を停止させるようにしたことにより、先行媒体P1の後端位置P1bが、媒体搬送方向における後続媒体P2の先端位置Pntより下流側に位置し、先行媒体P1と後続媒体P2との間に間隔が保持され、媒体詰りの誤判定を抑制することができる。
また、変更待機位置Wt3を、先端位置計算部107cが媒体サイズ情報に基づいて算出するようにしたことにより、フィーダ200に載置される媒体Pの媒体長Lが変わった場合であっても、媒体詰りの誤判定を抑制することができる。
【0065】
以上説明したように、第2の実施例では、第1の実施例の効果に加え、フィーダ200に載置される媒体の媒体長が変わった場合であっても、媒体詰りの誤判定を抑制することができるという効果が得られる。
なお、第1の実施例および第2の実施例では、画像形成装置をカラープリンタとして説明したが、それに限られることなく、モノクロプリンタ、複写機、ファクシミリ装置、または複合機(MFP)等としても良い。
また、画像形成装置を中間転写方式のプリンタとして説明したが、直接転写方式のプリンタ等としても良い。