(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ガスタービンプラントと、前記ガスタービンプラントの排気の熱を利用して蒸気を生成する排熱回収ボイラ装置と、前記排熱回収ボイラ装置で生成した前記蒸気によって駆動される蒸気タービンプラントとを備えるコンバインドサイクル発電プラントの給水系統であって、
前記排熱回収ボイラ装置に給水を供給する給水ポンプと、
前記給水ポンプの加圧途中の流路から給水の一部を取り出す第1配管と、
前記排熱回収ボイラ装置に設けられ、前記第1配管内に導かれると共に第1の水処理が施された給水が供給される第1ボイラと、
前記給水ポンプの出口から排出された給水が流れる第2配管と、
前記排熱回収ボイラ装置に設けられ、前記第2配管内に導かれると共に第2の水処理が前記給水ポンプの加圧途中の流路より下流で施される給水が供給される第2ボイラと、
前記第1配管が接続されている位置よりも下流かつ前記第2配管が接続されている位置よりも上流の前記給水ポンプ内における給水の流路に前記第2の水処理を施す水処理物質を供給する水処理物質供給装置と、
前記第2配管と前記給水ポンプとを接続し、前記第2配管を流れている給水の一部を前記給水ポンプに導く第3配管と、
前記第3配管に設けられ、前記第3配管から前記給水ポンプに供給される水処理物質および給水の混合溶液の供給圧を調整する供給圧調整装置と
を備え、
前記水処理物質供給装置は、前記第3配管に設けられ、
前記給水ポンプから前記第1配管に取り出される給水の排出圧をP1、前記給水ポンプから前記第2配管に排出される給水の排出圧をP2、前記第3配管から前記給水ポンプに供給される水処理物質および給水の混合溶液の供給圧をP3、前記第3配管と前記給水ポンプとの接続位置における前記給水ポンプ内の給水の水圧をP4としたとき、P1<P4<P3<P2を満たすことを特徴とするコンバインドサイクル発電プラントの給水系統。
前記水処理物質供給装置は、前記給水ポンプに供給した前記水処理物質の全量を前記第2ボイラに供給することを特徴とする請求項1に記載のコンバインドサイクル発電プラントの給水系統。
前記第1ボイラは循環型ボイラであり、前記第2ボイラは貫流型ボイラであり、前記循環型ボイラに供給される給水に施す前記第1の水処理はph調整剤を給水に供給する処理であり、前記貫流型ボイラに供給される給水に施す前記第2の水処理は酸素を給水に供給する処理であることを特徴とする請求項1または2に記載のコンバインドサイクル発電プラントの給水系統。
【背景技術】
【0002】
近年、エネルギーをより効率的に利用するという観点から、コンバインドサイクル発電プラントが使用されている。コンバインドサイクル発電プラントは、ガスタービンプラント、蒸気タービンプラント、排熱回収ボイラ装置、復水・給水系統などを備えており、ガスタービンと蒸気タービンとを組み合わせた発電方式を採用するものである。
【0003】
排熱回収ボイラ装置や復水・給水系統内には、復水や給水を流通する配管が設けられている。そして、コンバインドサイクル発電プラントを長期間安定して運転するためには、配管内面の腐食を抑制することが求められている。配管内面の腐食を抑制するために、例えば、配管の内部を流通している復水や給水に対する水処理が行われている。
【0004】
従来のコンバインドサイクル発電プラントの排熱回収ボイラ装置には、ドラムを有する循環型ボイラが一般的に用いられている。循環型ボイラに供給される給水には、ヒドラジンなどの脱酸素剤とアンモニアなどのpH調整剤とを水に供給する揮発性物質処理(AVT:All Volatile Treatment)が適用されている。揮発性物質処理は、配管内面にマグネタイトの被膜を形成して、配管を防食する水処理である。循環型ボイラのボイラ水には、リン酸塩を供給するリン酸塩処理が適用されている。
【0005】
また、貫流型ボイラでは、脱塩装置などで高純度化した水に、pH調整剤と微量の酸素とを供給する酸素処理(OT:Oxygen Treatment)が行われている。酸素処理は、配管内面にヘマタイトの被膜を形成して、配管を防食する水処理である。
【0006】
図5は、従来のコンバインドサイクル発電プラントの給水系統300を模式的に示す系統図である。ここでは、給水系統300において、揮発性物質処理が行われる一例を示す。
【0007】
図5に示すように、給水系統300は、復水の水質を調整する水質調整装置347と、排熱回収ボイラ装置に給水を供給する給水ポンプ341と、給水ポンプ341から排出された給水が流れる中低圧給水系統給水管343および高圧給水系統給水管344と、中低圧給水系統給水管343を介して給水が供給される循環型ボイラ370a、380a、中圧節炭器370b、および低圧節炭器380bと、高圧給水系統給水管344を介して給水が供給される循環型ボイラ360aおよび高圧節炭器360bとを備える。循環型ボイラ360aおよび高圧節炭器360bは高圧給水系統360に設けられ、循環型ボイラ370aおよび中圧節炭器370bは中圧給水系統370に設けられ、循環型ボイラ380aおよび低圧節炭器380bは低圧給水系統380に設けられる。高圧給水系統360、中圧給水系統370、および低圧給水系統380は、排熱回収ボイラ装置内をスタック350に向かって流れるガスタービン排気の流れに沿ってこの順に設けられる。
【0008】
コンバインドサイクル発電プラントの蒸気タービンプラントから供給されたタービン排気は、復水器338で復水になる。復水器338内の復水は、復水ポンプ339によって、グランドコンデンサ340を通過して給水ポンプ341に供給される。その間に、水質調整装置347から復水に塩基性物質が供給される。そして、アルカリ性になった給水は、給水ポンプ341から中低圧給水系統給水管343および高圧給水系統給水管344を介して、高圧給水系統360、中圧給水系統370、および低圧給水系統380に供給される。そして、高圧給水系統360に設けられた高圧節炭器360bと循環型ボイラ360a、中圧給水系統370に設けられた中圧節炭器370bと循環型ボイラ370a、および低圧給水系統380に設けられた低圧節炭器380bと循環型ボイラ380aに給水が供給され、循環型ボイラ360a、370a、380aにおいて、リン酸塩処理が行われる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、実施の形態について図面を参照して説明する。
【0016】
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態の給水系統100を備えるコンバインドサイクル発電プラントを模式的に示す系統図である。ここでは、多軸型のコンバインドサイクル発電プラントを例示して説明するが、第1の実施の形態の給水系統100は一軸型のコンバインドサイクル発電プラントにも適用することができる。
【0017】
図1に示すように、コンバインドサイクル発電プラントは、ガスタービンプラント1と、ガスタービンプラント1の排気の熱を利用して蒸気を生成する排熱回収ボイラ装置2と、排熱回収ボイラ装置2で生成した蒸気によって駆動される蒸気タービンプラント3と、蒸気タービンプラント3の排気を凝縮して復水を生成し、給水を排熱回収ボイラ装置2に給水する復水・給水系統4とを備える。
【0018】
ガスタービンプラント1は、発電機5、入口にプレナム6を備えた空気圧縮機7、燃料ガス圧縮機8、ガスタービン燃焼器9、およびガスタービン10を備える。プレナム6から供給された空気(大気)は、空気圧縮機7で圧縮され高圧化される。高圧化された高圧空気は、ガスタービン燃焼器9に供給される。ガスタービン燃焼器9では、高圧空気と燃料ガス圧縮機8から供給される燃料ガスとが燃焼して、燃焼ガスが生成される。この燃焼ガスは、ガスタービン10で膨張仕事を行い、膨張仕事を行った際に発生する動力(回転トルク)で発電機5を駆動する。そして、膨張仕事を終えたガスタービン排気(排熱)は、排熱回収ボイラ装置2に供給され、蒸気発生の熱源として使用される。
【0019】
排熱回収ボイラ装置2は、高圧第2過熱器11、高圧第1過熱器12、減温器13、第2再熱器14、第1再熱器15、再熱蒸気減温器16、ケーシング17、熱交換器18、中圧過熱器19、高圧第3節炭器20、低圧過熱器21、中圧ドラム22、中圧蒸発器23、中圧第3節炭器24、高圧第2節炭器25、中圧第2節炭器26、低圧ドラム27、低圧蒸発器28、高圧第1節炭器29、中圧第1節炭器30、スタック50、第1中圧給水系統配管51、第2中圧給水系統配管52、および第1低圧給水系統配管53を備える。
【0020】
これらは、ガスタービンプラント1から供給されて排熱回収ボイラ装置2のケーシング17内をスタック50に向かって流れるガスタービン排気の流れに沿って、以下のような順に設けられる。
【0021】
ケーシング17内におけるガスタービン排気の流れの上流側には、減温器13に接続している高圧第2過熱器11および高圧第1過熱器12が設けられている。高圧第2過熱器11と高圧第1過熱器12との間には、再熱蒸気減温器16に接続している第2再熱器14および第1再熱器15が設けられている。
【0022】
高圧第1過熱器12の下流には、熱交換器18に接続している高圧第3節炭器20、高圧第2節炭器25、および高圧第1節炭器29が設けられている。熱交換器18、高圧第3節炭器20、高圧第2節炭器25、および高圧第1節炭器29は、排熱回収ボイラ装置2の高圧給水系統60を構成する。また、熱交換器18は、第2ボイラである貫流型ボイラ60aを構成する。
【0023】
高圧給水系統60の下流には、中圧ドラム22に接続している中圧過熱器19、中圧蒸発器23、中圧第3節炭器24、第2中圧給水系統配管52、中圧第2節炭器26、第1中圧給水系統配管51、および中圧第1節炭器30が設けられている。中圧ドラム22、中圧過熱器19、中圧蒸発器23、中圧第3節炭器24、第2中圧給水系統配管52、中圧第2節炭器26、第1中圧給水系統配管51、および中圧第1節炭器30は、排熱回収ボイラ装置2の中圧給水系統70を構成する。中圧給水系統70の下流には、低圧ドラム27に接続している低圧過熱器21、第1低圧給水系統配管53、および低圧蒸発器28が設けられている。低圧ドラム27、低圧過熱器21、第1低圧給水系統配管53、および低圧蒸発器28は、排熱回収ボイラ装置2の低圧給水系統80を構成する。また、中圧ドラム22および中圧蒸発器23、ならびに、低圧ドラム27および低圧蒸発器28は、第1ボイラである循環型ボイラ70a,80aを構成する。
【0024】
熱交換器18の内部で生成した蒸気は、高圧第2過熱器11で過熱蒸気にされて、蒸気タービンプラント3の高圧蒸気タービン31に供給される。中圧蒸発器23で蒸発した飽和蒸気は、中圧ドラム22で気水分離されて、蒸気タービンプラント3の中低圧蒸気タービン32に供給される。低圧蒸発器28で蒸発した飽和蒸気は、低圧ドラム27で気水分離されて、蒸気タービンプラント3の中低圧蒸気タービン32に供給される。
【0025】
蒸気タービンプラント3は、互いに軸結合された高圧蒸気タービン31、中低圧蒸気タービン32、および発電機33を備える。排熱回収ボイラ装置2の高圧第2過熱器11から蒸気タービンプラント3の主蒸気系統34を介して高圧蒸気タービン31に供給された蒸気は、高圧蒸気タービン31で膨張仕事を行う。
【0026】
また、蒸気タービンプラント3は、排熱回収ボイラ装置2の第1再熱器15に接続する低温再熱蒸気系統35、および排熱回収ボイラ装置2の第2再熱器14と中低圧蒸気タービン32とを接続する高温再熱蒸気系統36を備える。高圧蒸気タービン31で熱を失ったタービン排気は、低温再熱蒸気系統35を介して第1再熱器15に供給される。第1再熱器15に供給されたタービン排気は、第1再熱器15で再熱され、さらに第2再熱器14でも再熱された後、中低圧蒸気タービン32に供給されて、中低圧蒸気タービン32で膨張仕事を行う。
【0027】
高圧蒸気タービン31および中低圧蒸気タービン32における膨張仕事を行った際に発生する動力(回転トルク)によって、発電機33が駆動される。中低圧蒸気タービン32は、排熱回収ボイラ装置2の低圧過熱器21に接続する蒸気供給系統37を備え、蒸気の供給を受けている。
【0028】
復水・給水系統4は、復水器38、復水ポンプ39、グランドコンデンサ40、給水ポンプ41、水処理物質供給装置42、第1配管である中低圧給水系統給水管43、第2配管である高圧給水系統給水管44を備える。蒸気タービンプラント3の中低圧蒸気タービン32から供給されたタービン排気は、復水器38で凝縮されて復水になる、この復水は、復水ポンプ39を介してグランドコンデンサ40で蒸気タービンプラント3の軸シール水と熱交換され、給水ポンプ41に供給される。
【0029】
給水ポンプ41は、中低圧給水系統給水管43を介して給水の一部を排熱回収ボイラ装置2に設けられた中圧給水系統70の中圧第1節炭器30に供給すると共に、高圧給水系統給水管44を介して残りの給水を高圧給水系統60の高圧第1節炭器29に供給する。高圧第1節炭器29に供給された給水は、高圧給水系統60内を流れて、貫流型ボイラ60aに供給される。中圧第1節炭器30に供給された給水は、第1中圧給水系統配管51を介して中圧第2節炭器26に供給された後、第2中圧給水系統配管52を介して中圧第3節炭器24に供給される。その後、循環型ボイラ70aに供給される。また、第2中圧給水系統配管52と低圧ドラム27とを接続する第1低圧給水系統配管53によって、第2中圧給水系統配管52を流れる給水の一部は、第1低圧給水系統配管53を介して低圧給水系統80に設けられた循環型ボイラ80aに供給される。このように、給水ポンプ41から排出された給水は、高圧給水系統60の貫流型ボイラ60aと、中圧給水系統70および低圧給水系統80の循環型ボイラ70a,80aとに供給される。
【0030】
図2は、第1の実施の形態のコンバインドサイクル発電プラントの給水系統100を模式的に示す系統図である。なお、
図2は、
図1の排熱回収ボイラ装置2および復水・給水系統4を簡略化した図である。
図1および
図2に示すように、コンバインドサイクル発電プラントの給水系統100は、排熱回収ボイラ装置2に給水を供給する給水ポンプ41と、給水ポンプ41の加圧途中の流路である中間段と低圧給水系統80及び中圧給水系統70とを接続する中低圧給水系統給水管43と、中低圧給水系統給水管43内に導かれると共に第1の水処理が施された給水が供給される循環型ボイラ70a,80aと、給水ポンプ41の出口と高圧給水系統60とを接続する高圧給水系統給水管44と、高圧給水系統給水管44内に導かれると共に第2の水処理が給水ポンプ41の加圧途中の流路である中間段より下流で施される給水が供給される貫流型ボイラ60aと、給水ポンプ41に水処理物質を供給する水処理物質供給装置42とを備える。
【0031】
中低圧給水系統給水管43は、給水ポンプ41の中間段に連通するように、給水ポンプ41に接続されている。すなわち、中低圧給水系統給水管43は、給水ポンプ41の中間段から給水の一部を取り出し、給水は、低圧給水系統80内の低圧節炭器80bで予熱後、循環型ボイラ80aへ供給される。さらに、低圧節炭器80bから分岐した給水は、中圧給水系統70内の中圧節炭器70bで予熱後、循環型ボイラ70aに供給される。また、給水ポンプ41の中間段は、復水ポンプ39から復水が供給される給水ポンプ41の入口よりも下流、かつ、給水を排出する給水ポンプ41の出口よりも上流に位置する。
【0032】
高圧給水系統給水管44は、給水ポンプ41の出口に連通するように、給水ポンプ41に接続されている。高圧給水系統給水管44には、給水ポンプ41によって、給水ポンプ41の出口から給水の残りが排出される。高圧給水系統給水管44を流れる給水は、高圧給水系統60内の高圧節炭器60bで予熱後、貫流型ボイラ60aに供給される。
【0033】
中低圧給水系統給水管43は、給水ポンプ41の中間段に接続している。そのため、給水ポンプ41の出口から高圧給水系統給水管44を介して貫流型ボイラ60aへ供給される給水の供給圧は、中低圧給水系統給水管43を介して循環型ボイラ70aへ供給される給水の供給圧よりも高い。
【0034】
水処理物質供給装置42は、中低圧給水系統給水管43が接続されている位置よりも下流かつ高圧給水系統給水管44が接続されている位置よりも上流の給水ポンプ41内における給水の流路に、第2の水処理を施す水処理物質を供給する。中低圧給水系統給水管43が接続されている給水ポンプ41の位置とは、給水ポンプ41の中間段であり、高圧給水系統給水管44が接続されている給水ポンプ41の位置とは、給水ポンプ41の出口である。
【0035】
水処理物質は、給水ポンプ41と中低圧給水系統給水管43との接続位置である給水ポンプ41の中間段よりも下流側から、給水ポンプ41内の給水の流路に供給される。すなわち、給水ポンプ41と中低圧給水系統給水管43との接続位置は、給水ポンプ41における水処理物質供給装置42の供給位置よりも上流である。そのため、水処理物質供給装置42から供給される水処理物質は、中低圧給水系統給水管43に流入しない。
【0036】
このように、水処理物質供給装置42から給水ポンプ41内の給水の流路に供給された水処理物質は、中圧給水系統70および低圧給水系統80内に設けられた循環型ボイラ70a,80aには供給されない。換言すると、水処理物質供給装置42は、給水ポンプ41に供給した水処理物質の全量を、高圧給水系統60内に設けられた貫流型ボイラ60aに供給する。そのため、コンバインドサイクル発電プラントの給水系統100は、水処理物質供給装置42から供給される水処理物質を利用した水処理を、中圧給水系統70および低圧給水系統80ではなく、高圧給水系統60に適用することができる。
【0037】
水処理物質は、高圧給水系統60に供給される給水の水処理の種類に応じて適宜選択され、酸素などが挙げられる。水処理物質供給装置42の構成は、水処理物質の種類やコンバインドサイクル発電プラントの給水系統100の設計に応じて適宜選択され、水処理物質を収容するタンクやボンベ、水処理物質を製造する装置などが挙げられる。また、水処理物質供給装置42は、給水ポンプ41への水処理物質の供給圧を調整する機能を有してもよく、水処理条件に応じて供給圧を適宜調整される。
【0038】
水処理物質供給装置42から給水ポンプ41に供給される水処理物質が酸素である場合、酸素は中圧給水系統70および低圧給水系統80には供給されずに、高圧給水系統60に供給される。そのため、コンバインドサイクル発電プラントの給水系統100は、貫流型ボイラ60aを備える高圧給水系統60において、酸素処理を行うことができる。このとき、酸素が供給されない中圧給水系統70および低圧給水系統80では、酸素処理は行われない。
【0039】
また、コンバインドサイクル発電プラントの給水系統100は、グランドコンデンサ40の下流と給水ポンプ41の上流との間に脱塩装置46を備えてもよい。脱塩装置46は、復水器38から給水ポンプ41に供給される復水を脱塩する。脱塩装置46が復水を脱塩することによって、復水に含まれる酸化鉄、金属物質、塩素イオンなどの腐食性物質が取り除かれ、復水が高純度化される。脱塩装置46は、例えば、イオン交換樹脂などを備える。
【0040】
また、コンバインドサイクル発電プラントの給水系統100は、グランドコンデンサ40の下流と給水ポンプ41の上流との間、例えば脱塩装置46の下流に、pH調整剤を供給する水質調整装置47を備えてもよい。水質調整装置47は、脱塩装置46によって高純度化された復水にpH調整剤を供給して、復水の水質を調整する。水質調整装置47から復水にpH調整剤を供給することによって、復水のpHを所望の値に調整することができる。pH調整剤は、アンモニアなどの塩基性物質などが挙げられる。
【0041】
脱塩装置46による脱塩処理と水質調整装置47による水質処理とは、水処理物質供給装置42と異なり、高圧給水系統60、中圧給水系統70、および低圧給水系統80に適用することができる。
【0042】
例えば、コンバインドサイクル発電プラントの給水系統100において、水質調整装置47から供給される塩基性物質および水処理物質供給装置42から供給される酸素によって、貫流型ボイラ60aを備える高圧給水系統60で複合水処理(CWT:Combined Water Treatment)を行い、水質調整装置47から供給される塩基性物質によって、循環型ボイラ70a,80aを備える中圧給水系統70および低圧給水系統80で揮発性物質処理を行うことができる。このとき、水質調整装置47から供給される塩基性物質によって、復水は弱アルカリ性を示す。
【0043】
次に、コンバインドサイクル発電プラントにおける給水系統100の作用について説明する。
【0044】
図1および
図2に示すように、中低圧蒸気タービン32から供給されたタービン排気は、復水器38で凝縮されて復水になる。復水器38で溶存酸素量が低下した復水は、復水ポンプ39によって給水ポンプ41に導かれる。復水が給水ポンプ41に導かれる間に、復水は、グランドコンデンサ40によって蒸気タービンプラント3の軸シール水と熱交換され、脱塩装置46によって脱塩された後、pH調整剤が水質調整装置47から復水に供給される。例えば、水質調整装置47から復水にアンモニアが供給されて、復水は弱アルカリ性になる。
【0045】
高純度化され、弱アルカリ性を示す給水の一部は、水処理物質供給装置42の供給位置よりも上流側で給水ポンプ41に接続された中低圧給水系統給水管43に導かれる。中低圧給水系統給水管43を流れる給水は、中圧給水系統70および低圧給水系統80に設けられた循環型ボイラ70a,80aに供給される。そして、中圧給水系統70および低圧給水系統80では、揮発性物質処理が行われる。
【0046】
また、給水ポンプ41の中間段より下流側では、水処理物質供給装置42から水処理物質として、例えば酸素が給水の残りに供給される。なお、この際、水処理物質供給装置42から供給された酸素の全量が高圧給水系統給水管44を流れる。すなわち、酸素は、中低圧給水系統給水管43には流れない。酸素を含む弱アルカリ性を示す当該給水の残りは、給水ポンプ41の出口から高圧給水系統給水管44を介して、高圧給水系統60に設けられた貫流型ボイラ60aに供給される。そして、高圧給水系統60では、複合水処理が行われる。
【0047】
上記したように、第1の実施の形態のコンバインドサイクル発電プラントの給水系統100によれば、水処理物質供給装置42から供給される水処理物質を、中圧給水系統70および低圧給水系統80に供給せずに高圧給水系統60に供給することから、排熱回収ボイラ装置2の給水系統ごとに異なる水処理方法を適用することができる。そして、コンバインドサイクル発電プラントの給水系統100は、排熱回収ボイラ装置2の各給水系統の種類に応じて、排熱回収ボイラ装置2の各給水系統にそれぞれの水処理を行うことができる。そのため、コンバインドサイクル発電プラントの給水系統100は、コンバインドサイクル発電プラントのメンテナンス性を向上し、コンバインドサイクル発電プラントを安定して長期間運転することができる。
【0048】
さらに、水処理物質供給装置42の供給圧は一般的に高圧給水系統60内の水圧よりも低い。そのため、水処理物質供給装置42が給水ポンプ41を介さずに高圧給水系統60に水処理物質を直接供給するときには、水処理物質供給装置42の供給圧を増加させるための圧縮機が必要となる。一方、コンバインドサイクル発電プラントの給水系統100では、水処理物質供給装置42が給水ポンプ41を介して高圧給水系統60に水処理物質を供給する。そのため、水処理物質供給装置42の供給圧を増加させるための圧縮機が不要となり、コンバインドサイクル発電プラントの給水系統100の製造コストを削減することができる。
【0049】
なお、第1の実施の形態のコンバインドサイクル発電プラントの給水系統100では、脱塩装置46がグランドコンデンサ40と給水ポンプ41との間に設けられる構成を示したが、脱塩装置46は復水ポンプ39とグランドコンデンサ40との間に設けられてもよい。また、第1の実施の形態のコンバインドサイクル発電プラントの給水系統100では、水質調整装置47がグランドコンデンサ40と給水ポンプ41との間に設けられる構成を示したが、水質調整装置47は復水ポンプ39とグランドコンデンサ40との間、または復水器38と復水ポンプ39との間に設けられてもよい。
【0050】
(第2の実施の形態)
図3は、第2の実施の形態のコンバインドサイクル発電プラントの給水系統200を模式的に示す系統図である。なお、以下に示す実施の形態において、第1の実施の形態のコンバインドサイクル発電プラントの給水系統100の構成と同一の構成部分には同一の符号を付して、重複する説明を省略または簡略する。
【0051】
第2の実施の形態のコンバインドサイクル発電プラントの給水系統200において、水処理物質供給装置42の構成が異なり、第3配管である給水管90および供給圧調整装置91の構成が追加される以外は、第1の実施の形態のコンバインドサイクル発電プラントの給水系統100の構成と基本的に同じである。そのため、ここでは、その異なる構成について主に説明する。
【0052】
図3に示すように、第2の実施の形態のコンバインドサイクル発電プラントの給水系統200は、給水ポンプ41と、中低圧給水系統給水管43と、循環型ボイラ70a,80aと、高圧給水系統給水管44と、貫流型ボイラ60aと、高圧給水系統給水管44および給水ポンプ41を接続する第3配管である給水管90と、給水管90に設けられ、給水管90を介して給水ポンプ41に水処理物質を供給する水処理物質供給装置42と、給水管90に設けられる供給圧調整装置91とを備える。
【0053】
給水管90は、給水ポンプ41の下流かつ高圧給水系統60の上流に設けられている高圧給水系統給水管44から分岐され、給水ポンプ41に接続されている。給水管90および給水ポンプ41は、給水ポンプ41の中間段よりも下流かつ給水ポンプ41の出口よりも上流の位置で接続される。そして、給水ポンプ41から高圧給水系統給水管44に排出された給水の一部は、高圧給水系統60内に設けられた貫流型ボイラ60aに供給され、給水の残りは、給水管90を介して給水ポンプ41に再度供給される。
【0054】
水処理物質供給装置42は、給水管90に水処理物質を供給する。給水管90に供給された水処理物質は、給水と共に給水ポンプ41内の給水の流路に導かれる。
【0055】
供給圧調整装置91は、給水管90から給水ポンプ41に供給される水処理物質および給水の混合溶液の供給圧P
3を調整する。例えば、供給圧調整装置91は、水処理物質供給装置42から給水管90への水処理物質の供給位置よりも上流側に設けられる。また、供給圧調整装置91は、オリフィスや弁などから構成される。
【0056】
図4は、給水ポンプ41の一例を模式的に示す概略図である。ここで、P
1は、給水ポンプ41から中低圧給水系統給水管43に取り出される給水の排出圧である。P
2は、給水ポンプ41から高圧給水系統給水管44に排出される給水の排出圧である。P
3は、給水管90から給水ポンプ41に供給される水処理物質および給水の混合溶液の供給圧である。P
4は、給水ポンプ41と給水管90との接続位置における給水ポンプ41内の給水の水圧である。また、ここでは、給水ポンプ41が軸流ポンプである一例を示すが、後述のP
1<P
4<P
3<P
2を満たす限りにおいて、給水ポンプ41は軸流ポンプに限定されない。
【0057】
図4に示すように、給水ポンプ41の中間段は中低圧給水系統給水管43と接続され、給水の一部が排出圧P
1で中低圧給水系統給水管43に排出される。また、給水ポンプ41の出口は高圧給水系統給水管44と接続され、給水の残りが排出圧P
2で高圧給水系統給水管44に排出される。ここで、給水ポンプ41の構造上、P
1<P
2である。また、給水ポンプ41の中間段より下流かつ出口より上流の位置は給水管90と接続され、水処理物質および給水の混合溶液がP
3で給水ポンプ41に供給される。そして、供給圧調整装置91がP
3を調整して、P
4<P
3<P
2、詳細には、P
1<P
4<P
3<P
2が満たされる。P
1<P
4<P
3<P
2が満たされていると、給水管90を流れる水処理物質および給水は、例えば給水ポンプ41の他に追加のポンプによって加圧されなくても、給水ポンプ41に供給される。
【0058】
次に、コンバインドサイクル発電プラントにおける給水系統200の作用について説明する。
【0059】
図3および
図4に示すように、給水の一部は、排出圧P
1で、中低圧給水系統給水管43に導かれる。給水の残りは、排出圧P
2で、高圧給水系統給水管44に排出される。水処理物質供給装置42から供給された水処理物質と高圧給水系統給水管44から分岐された給水との混合溶液は、供給圧P
3で、給水管90から給水ポンプ41に供給される。このとき、供給圧調整装置91は供給圧P
3を調整して、P
1<P
4<P
3<P
2の関係を満たす。そのため、給水ポンプ41の他に追加のポンプを給水管90に設けなくても、水処理物質は水処理物質供給装置42から給水管90を介して給水ポンプ41に供給される。
【0060】
上記したように、第2の実施の形態のコンバインドサイクル発電プラントの給水系統200によれば、給水ポンプ41に加えて追加のポンプにより給水管90を流れる水処理物質および給水を加圧しなくても、供給圧調整装置91で供給圧P
3を調整してP
1<P
4<P
3<P
2の関係を満たすことによって、給水管90を流れる給水と共に水処理物質供給装置42から給水管90に供給される水処理物質を給水ポンプ41に導入することができる。そのため、水処理物質供給装置42が給水ポンプ41に水処理物質を供給することが困難である場合であっても、コンバインドサイクル発電プラントの給水系統200に不要なポンプを設けずに、水処理物質供給装置42は給水管90を介して給水ポンプ41に水処理物質を供給することができる。
【0061】
以上説明した実施の形態によれば、排熱回収ボイラ装置の給水系統ごとに異なる水処理方法を適用することができるコンバインドサイクル発電プラントの給水系統を提供することができる。
【0062】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。