(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
表面と裏面を有する平板形状の相手側コネクタ端子を嵌合軸に沿って嵌合したときに前記相手側コネクタ端子の前記表面および前記裏面にそれぞれ対応する接点が接触することで前記相手側コネクタ端子に導通するコネクタ端子において、
それぞれ前記相手側コネクタ端子の前記表面に接触する1つ以上の表面側接点と、
それぞれ前記嵌合軸に沿って延び且つ前記相手側コネクタ端子の前記裏面に接触する3つの直線状の裏面側接点と
を備え、前記3つの裏面側接点は、それぞれの前記裏面側接点の中心により二等辺三角形が形成されるように配置され、
前記1つ以上の表面側接点は、嵌合時における前記相手側コネクタ端子の前記表面に垂直な方向から見て、前記二等辺三角形の底辺と前記底辺に対向する前記二等辺三角形の頂点との間で前記底辺に平行に延び且つ前記底辺からの距離と前記頂点からの距離が1:2となる直線上に配置されていることを特徴とするコネクタ端子。
【背景技術】
【0002】
従来から自動車用ワイヤハーネス等の電気配線においては、平板形状のプラグ端子を箱形状のソケット端子に挿入し、ソケット端子の複数の接点でプラグ端子を表裏から挟み込むことにより電気導通させるコネクタが多く使用されている。
例えば、特許文献1には、
図11に示されるように、ソケット端子1が内部対向接触面2上に形成された3つの凸条状接点部2A〜2Cと弾性接触片3上に形成された1つのドーム状エンボス接点部3Aを有し、これらの凸条状接点部2A〜2Cおよびドーム状エンボス接点部3Aで平板形状のプラグ端子4を挟み込むコネクタ端子が開示されている。
【0003】
図12に示されるように、ソケット端子1の3つの凸条状接点部2A〜2Cは、三角形の3つの頂点に位置するように内部対向接触面2上に配置され、ドーム状エンボス接点部3Aは、3つの凸条状接点部2A〜2Cの中間部で、3つの凸条状接点部2A〜2Cからの距離がほぼ等しい位置に配置されている。
プラグ端子4がソケット端子1に嵌合されると、ソケット端子1の凸条状接点部2A〜2Cがそれぞれプラグ端子4の表面4Aに接触すると共に、ソケット端子1のドーム状エンボス接点部3Aがプラグ端子4の裏面4Bに接触し、これによりソケット端子1とプラグ端子4の電気導通がなされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図11および
図12に示した特許文献1のコネクタ端子では、ソケット端子1とプラグ端子4の嵌合時に、ソケット端子1の弾性接触片3上に形成されているドーム状エンボス接点部3Aがプラグ端子4の裏面4Bに接触して、プラグ端子4がソケット端子1の内部対向接触面2に向けて弾力的に押されるため、ソケット端子1の内部対向接触面2上に形成されている3つの凸条状接点部2A〜2Cにそれぞれプラグ端子4の表面4Aから荷重が作用することとなる。
これら3つの凸条状接点部2A〜2Cに作用する荷重が不均一になると、凸条状接点部2A〜2Cとプラグ端子4の表面4Aとの間の接触抵抗がばらつき、局所的な発熱を生じるおそれがあった。
【0006】
この発明は、このような従来の問題点を解消するためになされたもので、平板形状の相手側コネクタ端子に接触する複数の接点の接触抵抗のばらつきを抑制して局所的な発熱を防止することができるコネクタ端子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係るコネクタ端子は、表面と裏面を有する平板形状の相手側コネクタ端子を嵌合軸に沿って嵌合したときに相手側コネクタ端子の表面および裏面にそれぞれ対応する接点が接触することで相手側コネクタ端子に導通するコネクタ端子において、それぞれ相手側コネクタ端子の表面に接触する1つ以上の表面側接点と、それぞれ嵌合軸に沿って延び且つ相手側コネクタ端子の裏面に接触する3つの直線状の裏面側接点とを備え、3つの裏面側接点は、それぞれの裏面側接点の中心により二等辺三角形が形成されるように配置され、1つ以上の表面側接点は、嵌合時における相手側コネクタ端子の表面に垂直な方向から見て、二等辺三角形の底辺と底辺に対向する二等辺三角形の頂点との間で底辺に平行に延び且つ底辺からの距離と頂点からの距離が1:2となる直線上に配置されているものである。
【0008】
1つ以上の表面側接点は、それぞれ直線と平行に延びる直線状の接点からなることが好ましい。
好ましくは、1つ以上の表面側接点は、嵌合時における相手側コネクタ端子の表面に垂直で且つ嵌合軸を通る垂直面に対して対称な位置に配置され、3つの裏面側接点は、垂直面に対して対称な位置に配置されている。
1つ以上の表面側接点は、それぞれ、バネ接点からなり、3つの裏面側接点は、それぞれ、非バネ接点からなることが好ましい。
さらに、バネ接点は、垂直面に平行で且つバネ接点を通る平面に対して対称な形状を有することが好ましい。
また、好ましくは、1つ以上の表面側接点は、それぞれ、折り曲げられた板バネの折り曲げ部分からなっている。
1つ以上の表面側接点は、1つの接点から構成することもできる。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、相手側コネクタ端子の裏面に接触する3つの裏面側接点は、それぞれの裏面側接点の中心により二等辺三角形が形成されるように配置され、1つ以上の表面側接点は、嵌合時における相手側コネクタ端子の表面に垂直な方向から見て、二等辺三角形の底辺と底辺に対向する二等辺三角形の頂点との間で底辺に平行に延び且つ底辺からの距離と頂点からの距離が1:2となる直線上に配置されているので、相手側コネクタ端子の裏面から3つの裏面側接点に作用する荷重は均一になり、平板形状の相手側コネクタ端子に接触する複数の接点の接触抵抗のばらつきを抑制して局所的な発熱を防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】嵌合前における実施の形態1に係るコネクタ端子と相手側コネクタ端子を示す斜視図である。
【
図2】実施の形態1に係るコネクタ端子の裏面側接点が形成されているベース部材を示す斜視図である。
【
図3】実施の形態1に係るコネクタ端子の表面側接点が形成されているハウジングを示す斜視図である。
【
図4】実施の形態1に係るコネクタ端子に用いられたハウジングの内部を示す破断斜視図である。
【
図5】実施の形態1に係るコネクタ端子に用いられたハウジングの上側部分を示す破断斜視図である。
【
図6】実施の形態1に係るコネクタ端子の表面側接点および裏面側接点の配置位置を示す破断平面図である。
【
図7】実施の形態1に係るコネクタ端子の内部構造を示す破断側面図である。
【
図8】嵌合時における実施の形態1に係るコネクタ端子と相手側コネクタ端子を示す斜視図である。
【
図9】実施の形態2に係るコネクタ端子の上側部分を示す破断斜視図である。
【
図10】実施の形態2に係るコネクタ端子の内部構造を示す破断側面図である。
【
図11】嵌合時における従来のコネクタ端子を模式的に示す断面図である。
【
図12】従来のコネクタ端子を模式的に示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
実施の形態1
図1に示されるように、この発明の実施の形態1に係るコネクタ端子11は、内部に相手側コネクタ端子収容部Sが形成された箱形状のソケット部12を有するソケット端子であり、相手側コネクタ端子21は、平板形状を有するプラグ端子である。相手側コネクタ端子21が嵌合軸C1に沿ってコネクタ端子11のソケット部12の相手側コネクタ端子収容部Sに挿入されることで、コネクタ端子11と相手側コネクタ端子21は、互いに嵌合され、電気導通する。
【0012】
コネクタ端子11は、嵌合軸C1に沿ってソケット部12の後端側に、ソケット部12と一体に形成された電線保持部13を有している。
ソケット部12は、電線保持部13に一体に形成されたベース部材14と、ベース部材14を保持すると共にベース部材14の外周部を覆うハウジング15を有している。ベース部材14およびハウジング15は、いずれも金属等の導電性材料からなり、ベース部材14は、平板形状を有している。
【0013】
ハウジング15は、底板部16と、底板部16に対向すると共に底板部16と平行な天井部17と、底板部16の両側端と天井部17の両側端をそれぞれ接続する一対の側壁部18を有し、嵌合軸C1方向の前部と後部が開放された箱形状を有している。このようなハウジング15の底板部16の表面上にベース部材14が固定されている。
また、電線保持部13とは反対側のソケット部12の前端部には、ハウジング15の開放された前部により、相手側コネクタ端子21を受け入れる挿入口19が形成されている。
【0014】
ここで、便宜上、ハウジング15の底板部16および天井部17が延びる面をXY面、側壁部18が延びる面をYZ面、ソケット部12から電線保持部13に向けて嵌合軸C1が延びる方向を+Y方向、ハウジング15の底板部16から天井部17に向かう方向を+Z方向と呼ぶものとする。
一方、相手側コネクタ端子21は、XY面に沿って延びる均一な厚さの平板形状を有し、XY面に沿って延び且つ+Z方向を向いた表面21Aと、この表面21Aに平行にXY面に沿って延び且つ−Z方向を向いた裏面21Bを有している。
【0015】
図2に示されるように、平板形状のベース部材14の表面上に、3つの裏面側接点14A〜14Cが形成されている。3つの裏面側接点14A〜14Cは、それぞれ、ベース部材14の表面から+Z方向に突出し且つY方向すなわち嵌合軸C1に沿って延びる直線状の接点で、嵌合時に相手側コネクタ端子21の裏面21Bに接触する非バネ接点である。また、これらの裏面側接点14A〜14Cは、裏面側接点14Aの中心を頂点Aとし且つ残りの裏面側接点14Bの中心および裏面側接点14Cの中心を結ぶ線分を底辺BCとする二等辺三角形TをXY面上に描くように配置されている。
【0016】
二等辺三角形Tの底辺BCは、X方向に延び、この底辺BCの中点Mと二等辺三角形Tの頂点Aを結ぶ中線AMは、Y方向に延びており、二等辺三角形Tは、中線AMを通るYZ面に対して対称な形状を有している。また、二等辺三角形Tの中線AMは、嵌合軸C1と共通のYZ面上に位置しており、3つの裏面側接点14A〜14Cは、嵌合軸C1を通るYZ面に対して対称な位置、すなわち、嵌合時における相手側コネクタ端子21の表面21Aに垂直で且つ嵌合軸C1を通る垂直面に対して対称な位置に配置されている。
【0017】
図3にハウジング15の構成を示す。ハウジング15の底板部16の−Y方向端部に、それぞれ+Z方向に突出し且つ+Y方向にわずかに湾曲する一対の爪部16Aが形成され、ハウジング15の一対の側壁部18に、底板部16に隣接し且つY方向に沿って開放された一対の開口18Aが形成されている。これら一対の爪部16Aおよび一対の開口18Aは、ハウジング15内にベース部材14を保持するためのもので、ベース部材14の−Y方向端部が一対の爪部16Aに引っ掛かり、ベース部材14の両側縁部が一対の開口18A内に挿入された状態で、
図1に示されるように、ベース部材14がハウジング15内に固定される。
【0018】
また、ハウジング15の内部に、嵌合時に相手側コネクタ端子21の表面21Aに接触する表面側接点15Aが形成されている。
図4は、ハウジング15の天井部17の+X方向側の半分部分および一対の側壁部18のうち+X方向側に位置する側壁部18を省略してハウジング15の内部を示す図、
図5は、ハウジング15の−Z方向側の半分部分を省略してハウジング15の+Z方向側の部分のみを示す図である。
図4に示されるように、ハウジング15の天井部17の−Y方向端部からそれぞれハウジング15の内部に折り返されて+Y方向に延び、Y方向の中間部分が−Z方向に突出するようにV字状に折り曲げられた板バネ20が形成されている。表面側接点15Aは、板バネ20の折り曲げ部分により形成され、
図5に示されるように、板バネ20のX方向の幅全体にわたってX方向に延び且つ−Z方向を向いた直線状のバネ接点を構成している。
【0019】
板バネ20は、嵌合軸C1を通るYZ面に対して対称な位置に配置され且つ対称な形状を有しており、板バネ20の折り曲げ部分により形成されている表面側接点15Aも、嵌合軸C1を通るYZ面に対して対称、すなわち、嵌合時における相手側コネクタ端子21の表面21Aに垂直で且つ嵌合軸C1を通る垂直面に対して対称な位置に配置され且つ対称な形状を有している。
【0020】
そして、
図6に示されるように、表面側接点15Aは、Z方向から見て、すなわち、嵌合時における相手側コネクタ端子21の表面21Aに垂直な方向から見て、3つの裏面側接点14A〜14Cのそれぞれの中心により形成される二等辺三角形Tの頂点Aと底辺BCとの間で底辺BCに平行に延び且つ底辺BCからの距離L2と頂点Aからの距離L1が1:2となる直線SL上に配置されている。
【0021】
図7は、
図4と同様に、ハウジング15の天井部17の+X方向側の半分部分および一対の側壁部18のうち+X方向側に位置する側壁部18を省略して、ハウジング15の表面側接点15Aとハウジング15内に固定されたベース部材14の裏面側接点14A〜14Cとの位置関係を示している。裏面側接点14Aの中心により形成される頂点Aから表面側接点15AまでのY方向の距離L1が、裏面側接点14Bの中心および裏面側接点14Cの中心により形成される底辺BCから表面側接点15AまでのY方向の距離L2の2倍となるように設定されている。
【0022】
次に、嵌合時におけるコネクタ端子11の作用について説明する。
図8に示されるように、相手側コネクタ端子21がコネクタ端子11のソケット部12の挿入口19から相手側コネクタ端子収容部Sに挿入されると、ハウジング15の板バネ20が相手側コネクタ端子21により押されて弾性変形し、
図5に示したようにX方向に延びる直線状の表面側接点15Aが相手側コネクタ端子21の表面21Aに接触すると共に、
図2に示したようにベース部材14に配置され且つそれぞれY方向に延びる直線状の裏面側接点14A〜14Cが相手側コネクタ端子21の裏面21Bに接触する。
【0023】
このとき、相手側コネクタ端子21の挿入に起因して板バネ20が弾性変形することにより、ハウジング15の表面側接点15Aから相手側コネクタ端子21の表面21Aに−Z方向を向いた接触力N1が作用する。そして、相手側コネクタ端子21が表面側接点15Aからこのような接触力N1を受けるため、相手側コネクタ端子21の裏面21Bを介して3つの裏面側接点14A〜14Cにそれぞれ−Z方向を向いた荷重が作用する。
ここで、上述したように、表面側接点15Aは、嵌合軸C1を通るYZ面に対して対称な位置に配置され且つ対称な形状を有し、Z方向から見て、裏面側接点14A〜14Cのそれぞれの中心により形成される二等辺三角形Tの頂点Aと底辺BCとの間において、底辺BCからの距離L2と頂点Aからの距離L1が1:2となる位置で底辺BCと平行に延びる直線SL上に配置されている。
【0024】
このため、X方向に延びる表面側接点15Aの中心から集中して相手側コネクタ端子21の表面21Aに接触力N1が作用すると考えると、二等辺三角形Tの頂点Aと底辺BCの中点Mを結ぶ中線AMを頂点Aからの距離L1が中点Mからの距離L2の2倍となるように2:1に内分する点に接触力N1が作用する。その結果、力の釣り合いおよびモーメントの釣り合いがなされるように、二等辺三角形Tの頂点A側の裏面側接点14Aの中心にN1/3の大きさの荷重が作用すると共に、底辺BC側の裏面側接点14Bの中心および裏面側接点14Cの中心に合計で2×N1/3の大きさの荷重が作用する。さらに、裏面側接点14Bおよび14Cは、嵌合軸C1を通るYZ面に対して対称な位置に配置されているので、裏面側接点14Bの中心および裏面側接点14Cの中心に、それぞれN1/3の大きさの荷重が作用することとなる。
【0025】
すなわち、相手側コネクタ端子21の裏面21Bから3つの裏面側接点14A〜14Cに作用する荷重が均一になり、平板形状の相手側コネクタ端子21の裏面21Bに接触する裏面側接点14A〜14Cの接触抵抗のばらつきが抑制され、局所的な発熱を防止することが可能となる。
【0026】
これに対して、
図12に示した従来のコネクタ端子では、3つの凸条状接点部2A〜2Cのそれぞれの中心が二等辺三角形を描くように配置されているが、二等辺三角形の頂点Dに位置する凸条状接点部2Aの中心からドーム状エンボス接点部3Aの中心Gまでの距離L3が、二等辺三角形の底辺EFの両端に位置する凸条状接点部2Bの中心および凸条状接点部2Cの中心の中点Hからドーム状エンボス接点部3Aの中心Gまでの距離L4とほぼ等しい値を有している。このため、ドーム状エンボス接点部3Aの中心Gからプラグ端子に接触力N2が作用する場合、頂点Dに位置する凸条状接点部2Aの中心にN2/2の荷重が作用する一方、底辺EFの両端に位置する凸条状接点部2Bの中心および凸条状接点部2Cの中心にそれぞれN2/4の荷重が作用することとなり、3つの凸条状接点部2A〜2Cに作用する荷重が不均一になって、凸条状接点部2A〜2Cの接触抵抗がばらつき、局所的な発熱を生じるおそれがある。
【0027】
実施の形態2
上記の実施の形態1では、ハウジング15が板バネ20の幅全体にわたってX方向に延びる表面側接点15Aを有しているが、これに限るものではなく、例えば、
図9および
図10に示されるコネクタ端子31のように、嵌合軸C1を通るYZ面から+X方向および−X方向に等距離だけ隔てて一対の表面側接点35Aを配置することもできる。これらの表面側接点35Aは、嵌合軸C1を通るYZ面に対して対称な位置に配置されると共に対称な形状を有している。
このコネクタ端子31は、ソケット部32と、ソケット部32と一体に形成された電線保持部33を有しており、ソケット部32は、底板部34と、底板部34に対向すると共に底板部34と平行な天井部35と、底板部34の両側端と天井部35の両側端をそれぞれ接続する一対の側壁部36を有している。
【0028】
天井部35は、嵌合軸C1に沿った中央部で2つの上板部37に分割され、これら2つの上板部37の−Y方向端部からそれぞれソケット部32の内部に折り曲げられて+Y方向に延びる一対の片持ち梁形状のバネ部38が形成され、それぞれのバネ部38の先端に表面側接点35Aが配置されている。なお、一対のバネ部38は、互いに同じ大きさおよび同じバネ定数を有している。
また、ソケット部32の底板部34に、3つの裏面側接点34A〜34Cが形成されている。これらの裏面側接点34A〜34Cは、実施の形態1における裏面側接点14A〜14Cと同様に、底板部34の表面から+Z方向に突出し且つY方向すなわち嵌合軸C1に沿って延びる直線状の非バネ接点で、裏面側接点34Aの中心を頂点Aとし且つ残りの裏面側接点34Bの中心および裏面側接点34Cの中心を結ぶ線分を底辺BCとする二等辺三角形をXY面上に描くように配置されている。
【0029】
そして、一対の表面側接点35Aは、Z方向から見て、3つの裏面側接点34A〜34Cのそれぞれの中心により形成される二等辺三角形の頂点Aと底辺BCとの間で底辺BCに平行に延び且つ底辺BCからの距離L2と頂点Aからの距離L1が1:2となる直線上に配置されている。
上記の実施の形態1では、表面側接点15Aを有するハウジング15と3つの裏面側接点14A〜14Cを有するベース部材14が別部品となっているが、
図9および
図10に示される実施の形態2のコネクタ端子31においては、1部品として形成されたソケット部32に一対の表面側接点35Aと3つの裏面側接点34A〜34Cが配置されている。
【0030】
嵌合時には、相手側コネクタ端子21の挿入に起因して一対のバネ部38が弾性変形することにより、双方の表面側接点35Aから相手側コネクタ端子21の表面21Aにそれぞれ−Z方向を向いた同一の大きさの接触力が作用し、これら2つの接触力の合力が一対の表面側接点35Aの中間位置、すなわち、X方向において嵌合軸C1の近傍に作用する。このため、3つの裏面側接点34A〜34Cに作用する荷重が均一化され、接触抵抗のばらつきを抑制して、局所的な発熱を防止することが可能となる。
【0031】
さらに、嵌合軸C1を通るYZ面から+X方向および−X方向に等距離だけ隔てて一対の表面側接点35Aが配置されているので、コネクタ端子31に嵌合している相手側コネクタ端子21にXY面内のモーメントが作用したときに、一対の表面側接点35Aからそれぞれ摩擦力が作用し、XY面内における相手側コネクタ端子21の回転方向の変位を抑制することが可能となるという効果が得られる。
また、コネクタ端子31に嵌合している相手側コネクタ端子21に嵌合軸C1の回りのモーメントが作用したときにおいても、相手側コネクタ端子21の嵌合に伴って一対の表面側接点35Aから相手側コネクタ端子21に作用する接触力に加えて、一方の表面側接点35Aから相手側コネクタ端子21にモーメントに対応する大きさの垂直抗力が発生し、XZ面内における相手側コネクタ端子21の回転方向の変位を抑制することが可能となる。
嵌合軸C1を通るYZ面からそれぞれの表面側接点35Aまでの距離が大きいほど、相手側コネクタ端子21に作用するモーメントに抗して、相手側コネクタ端子21の回転方向の変位を抑制しやすくなる。
【0032】
なお、Z方向から見て、3つの裏面側接点34A〜34Cのそれぞれの中心により形成される二等辺三角形の頂点Aと底辺BCとの間で底辺BCに平行に延び且つ底辺BCからの距離L2と頂点Aからの距離L1が1:2となる直線上に配置されていれば、3つ以上の表面側接点を具備していてもよい。2つ以上の表面側接点を備えることで、例えば、振動等に起因する外力を受けても、コネクタ端子11に対する相手側コネクタ端子21の変位を抑制して、表面側接点および裏面側接点の摩耗を防止することが可能となる。
また、二等辺三角形の頂点Aと底辺BCとの間で底辺BCに平行に延び且つ底辺BCからの距離L2と頂点Aからの距離L1が1:2となる直線上で且つ嵌合軸C1を通るYZ面上に位置する1つのみの表面側接点を用いても、3つの裏面側接点34A〜34Cに作用する荷重を均一化して、接触抵抗のばらつきを抑制し、局所的な発熱を防止することが可能となる。
【0033】
なお、上記の実施の形態1においても、ベース部材14とハウジング15を一体化し、1部品としてのソケット部12に表面側接点15Aと3つの裏面側接点14A〜14Cを配置する構造とすることができる。
さらに、実施の形態1における3つの裏面側接点14A〜14Cおよび実施の形態2における3つの裏面側接点34A〜34Cは、いずれも、非バネ接点により構成されているが、これらの裏面側接点14A〜14C、34A〜34Cも、表面側接点15A、35Aと同様に、バネ接点とすることもできる。