特許第6591379号(P6591379)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6591379
(24)【登録日】2019年9月27日
(45)【発行日】2019年10月16日
(54)【発明の名称】照明器具
(51)【国際特許分類】
   F21V 19/00 20060101AFI20191007BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20191007BHJP
   F21Y 103/10 20160101ALN20191007BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20191007BHJP
【FI】
   F21V19/00 510
   F21S2/00 230
   F21Y103:10
   F21Y115:10
【請求項の数】1
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-197709(P2016-197709)
(22)【出願日】2016年10月6日
(65)【公開番号】特開2018-60698(P2018-60698A)
(43)【公開日】2018年4月12日
【審査請求日】2018年3月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】399048917
【氏名又は名称】日立グローバルライフソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098660
【弁理士】
【氏名又は名称】戸田 裕二
(72)【発明者】
【氏名】浅野 健乃介
(72)【発明者】
【氏名】小野 隆
(72)【発明者】
【氏名】田邉 耕一
【審査官】 安食 泰秀
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−115243(JP,A)
【文献】 特開2016−110933(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21V 19/00
F21S 2/00
F21Y 103/10
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
天井に取り付けられ、ばね受け具を有する器具本体と、
前記器具本体の下部に着脱自在に設けられ、発光体素子を備えた発光体基板と、前記発光体基板に接続された電源装置と、前記発光体基板の下部を覆って前記発光体素子から照射された光を透過する透光カバーと、を備えた発光体ユニットと、
前記発光体基板と電気的に接続される電源装置と、を備え、
前記発光体ユニットにおける前記透光カバーと相対する上面には電源装置があり、その電源装置を挟んで配置された一対の付勢部材を備え、
前記一対の付勢部材は、それぞれ円筒状に巻き回したコイル部と、前記コイル部の一端から延伸し前記ばね受け具に架けることが可能な1本の腕部と、前記コイル部の他端から延伸し前記腕部よりも短い折り返し部と、を備えた捩りばねであり、
前記一対の付勢部材は、前記コイル部の中心軸を互いに平行に、かつ前記腕部を前記電源装置と反対側に、前記折り返し部を前記電源装置側に配置し、
前記一対の付勢部材は、コイル部にばね保持具を通して発光ユニットに固定し、
前記ばね受け具は、一側面が開口した略コの字形状であることを特徴とする照明器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天井部に取り付けられる照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、取付ばねは、コイル部と、一対の腕とを有するねじりコイルばねで構成される。取付ばねは、保持金具を介して、取付部材にコイル部が保持される。また、取付ばねの一対の腕のうちの片方の腕は、保持金具に引っ掛けられる。そして、これらの係止金具及び取付ばねは、取付部材の左右方向における両端寄りの位置に、それぞれ1組ずつ設けられることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016−81642号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された構成では、光源ユニットを器具本体に取付ける際、取付ばねが光源ユニット端部にあり、保持金具の形状も大きく、取付が困難な構造である。
【0005】
また保持金具の構造が複雑で形状が大きい為コストがかかる、という課題がある。
【0006】
光源ユニットを取付ける際に、器具本体に設けられた挿通穴に光源ユニットの係止金具の係止片の先端を引っ掛けた後、取付ばねの腕を、取付金具の引掛部に引っ掛ける構造であるが光源ユニットは片側一対のばねでのみ光源ユニットを引き上げている構造なので器具本体と光源ユニットの密着性に課題がある。
【0007】
上記課題に鑑みて本発明の照明器具は、発光体ユニットの取り付け作業が容易、かつコスト低減を図ることができる照明器具を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の照明器具は、天井に取り付けられ、ばね受け具を有する器具本体と、前記器具本体の下部に着脱自在に設けられ、発光体素子を備えた発光体基板と、前記発光体基板に接続された電源装置と、前記発光体基板の下部を覆って前記発光体素子から照射された光を透過する透光カバーと、を備えた発光体ユニットと、前記発光体基板と電気的に接続される電源装置と、を備え、前記発光体ユニットにおける前記透光カバーと相対する上面には電源装置があり、その電源装置を挟んで配置された一対の付勢部材を備え、前記一対の付勢部材は、それぞれ円筒状に巻き回したコイル部と、前記コイル部の一端から延伸し前記ばね受け具に架けることが可能な1本の腕部と、前記コイル部の他端から延伸し前記腕部よりも短い折り返し部と、を備えた捩りばねであり、前記一対の付勢部材は、前記コイル部の中心軸を互いに平行に、かつ前記腕部を前記電源装置と反対側に、前記折り返し部を前記電源装置側に配置し、前記一対の付勢部材は、コイル部にばね保持具を通して発光ユニットに固定し、前記ばね受け具は、一側面が開口した略コの字形状である

【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、発光体ユニットの取り付け作業が容易、かつコスト低減を図ることができる照明器具を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の第一実施形態における照明器具を斜め下方から見た斜視図である。
図2図1のA−A線断面図である。
図3図2のB−B線断面図である。
図4】本発明の実施形態における照明器具を斜め上方から見た全体分解斜視図である。
図5】(a)は本発明の実施形態における照明器具を斜め下方から見た斜視図であり、発光体ユニットをキックバネによって吊り下げた状態を示し、(b)は図5(a)のキックバネ周囲の構成を詳細に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための形態の一例(以下「実施形態」という)について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図において、共通する部分には同一の符号を付し重複した説明を省略する。
【0012】
まず、第一実施形態に係る照明器具の構成を、図1から図5を用いて説明する。図1は、本発明の第一実施形態における照明器具を斜め下方から見た斜視図である。図2は、図1のA−A線断面図である。図3は、図2のB−B線断面図である。図4は、本発明の実施形態における照明器具を斜め上方すなわち天井側から見た全体分解斜視図である。図5(a)は本発明の実施形態における照明器具を斜め下方から見た斜視図であり、発光体ユニットをキックバネによって吊り下げた状態を示し、図5(b)は図5(a)のキックバネ周囲の構成を詳細に示す斜視図である。
【0013】
ここで、照明器具1が、天井2に取り付けられた際の天井側を上方向、床面側を下方向とする。つまり照明器具1が、天井2に取り付けられた場合、上方向から下方向へ器具本体3、発光体ユニット4の順になるよう取り付けられる。また、照明器具1の外形は長尺な略直方体であるため、照明器具1には6つの面が存在する。これ以降、照明器具1が天井2に取り付けられた状態を基準として、照明器具1の天井側の面を上面、照明器具1の床面側の面を下面、天井2と直交し長尺な照明器具1の長手面を長手方向側面、上面・下面・長手方向側面以外の天井2と直交し長尺な照明器具1の短手面を短手方向側面と呼ぶことにする。また、これ以降、天井2に平行であり長手方向側面と平行となる方向を長手方向、天井2に平行であり短手方向側面と平行となる方向を短手方向と呼ぶ。
【0014】
図1に示すように、本実施形態の照明器具1は、天井2の下面に固定される器具本体3と、器具本体3の下側に設けられた、例えば光源として発光ダイオード(ライト・エミッティング・ダイオード:LED)を内在し、下側表面は光を透過ないし拡散する透光カバー5で構成した着脱自在な発光体ユニット4とからなっている。
【0015】
図4、5(a)に示すように、器具本体3は長尺の略直方体であり、一対のばね受け具6が長手方向の中心線に沿って下向きに配置され、ねじ30によって器具本体3に固定されている。発光体ユニット4に電源を供給するためのケーブル7aの一端にはコネクタ8aが設けられ、コネクタ8aはケーブル7aを介して天井2から器具本体3を通して下方に延伸されている。器具本体3は、例えば図示しないネジやフックによって下側から天井2に固定される。
【0016】
器具本体3の形状の一例としては、図3ないし図4に示すように、短手方向の断面では発光体ユニット4と対向する部分が凹んでおり、発光体ユニット4の一部が器具本体3に嵌合する形状とすれば、天井2からの照明器具1の下向きの凸量が小さくなるので薄型化が図れるので好適である。
【0017】
発光体ユニット4は、例えば鉄板の長手方向側面の両辺を曲げて略コの字断面をした発光体ベース13と、発光体ベース13の下面に沿って設けられた発光体基板(図示なし)と、発光体基板に電気的に接続された発光体基板の下面側に設けられた例えばLEDである発光体素子(図示なし)を備える。
【0018】
発光体ベース13の上面側には発光体基板と電気的に接続された電源装置16が設けられ、電源装置16から延伸されたケーブル7bの一端にはコネクタ8bが設けられ、天井2から器具本体3通して下方に延伸されたケーブル7aの一端に設けられたコネクタ8aと一対をなして互いに接続可能であり、コネクタ8a、8bを接続すれば電源装置16に通電して発光体基板を介して発光体素子を発光できる。
【0019】
発光体ユニット4の下面は発光体素子からの光を透過する透光カバー5によって覆われている。
【0020】
透光カバー5の長手方向に沿った両側面近傍には、先端部を互いに内側に向けて屈曲させた係合部17を設け、発光体ベース13の略コの字断面の端部に外側から嵌合して透光カバー5を発光体ベース13に対して保持する構成である。
【0021】
透光カバー5は発光体素子からの光を透過するものであればよく、透明の材料で作成しても半透明の材料で作成してもよい。また、透光カバー5は、拡散性でも非拡散性でもよい。透光カバー5が拡散性であれば均斉度は高くなり、非拡散性であれば効率がよくなる
発光体ベース13の上面には、器具本体3に下向きに設けられたばね受け具6に対応した位置に、ばね保持具27が例えばねじ30によって固定されている。
【0022】
ばね保持具27は、円筒状に巻き回された捩りばね8のコイル部9の内側を貫通して捩りばね8を発光体ベース13に支持している。この捩りばね8のコイル部9の一端は延伸されたばね腕部10となっている。他端は、ばね腕部10よりも短く、折り返す部分を備えるある折り返し部20となっている。この捩りばね8のことを、本発明の記載においては以下キックばね8と称することがある。
【0023】
ばね保持具27は、キックばね8のコイル部9を発光体ベース13に対して締めつけて固定しなくてもよく、がたつきのある状態であってもよい。ばね保持具27には、キックばね8の短手方向の移動を制限するための切り曲げ部19を設けている。
【0024】
キックばね8のばね腕部10を器具本体3に設けられたばね受け具6に嵌合し、ばね受け具6に対して上向きの付勢力を作用することで、キックばね8とばね保持具27を介して発光体ベース13を上方に引き上げる力を生じ、発光体ユニット4を器具本体3に下側から押し当ててセットされる構成である。
【0025】
ここで、キックばね8、キックばね8のコイル部9を貫通して保持するばね保持具27、キックばね8のばね腕部10と作用するばね受け具6の配置について説明する。先に説明したように、発光体ベース13に設けられたばね保持具27と、器具本体3に設けられたばね受け具6とは互いに対応する位置に設けられ、ばね保持具27によってコイル部分を支持されたキックばね8のばね腕部10がばね受け溝11に嵌合し、キックばね8により生じるばね力すなわち付勢力がばね受け溝11に作用する。キックばね8を介して発光体ユニット4に上向きの付勢力を付与し、その付勢力が発光体ユニット4の自重を上回ることによって発光体ユニット4を器具本体3に近接する方向、すなわち上向きに作用して発光体ユニット4を器具本体3に当接して保持する構成である。
【0026】
ばね保持具27の一部には、キックばね8のコイル部が短手方向へ移動することを制限する所謂ストッパである切り起こし部12が設けられており、キックばね8を発光体ユニット4の長手方向の略中心線上に保持する。
【0027】
本実施形態ではキックばね8を発光体ユニット4の長手方向に沿った中心線上に2式設け、互いに発光体ユニット4の重心位置Gを挟んで配置している。発光体ユニット4の重心位置Gは、概ね長手方向の中心位置近傍となるが、電源装置16が発光体ユニット4の中心位置からずれて配置された場合には、重心位置Gは長手方向の中心位置よりも電源装置16の側にずれた位置となる。
【0028】
また、本実施形態においては図3に示すように短手方向の断面形状は略左右対称な構成としたので、発光体ユニット4の重心位置Gは長手方向に沿った中心線上にあり、キックばね8による上向きの付勢力は発光体ユニット4の重心を上方に付勢する構成である。
【0029】
本実施形態においては、一対のキックばね8を互いに発光体ユニット4の重心位置Gを挟んで配置したので、キックばね8によるばね力が発光体ユニット4を上向きに安定に付勢して、器具本体3に当接して保持することができる。
【0030】
発光体ユニット4を器具本体3に取り付ける際の施工手順としては、器具本体3を天井に取付け、ケーブル7aを介してコネクタ8aが器具本体3からぶら下がった状態とする。
【0031】
しかる後に発光体ユニット4を器具本体3に近接させてキックばね8を図4の破線に示した状態から実線で示した状態まで弾性変形させつつキックばね8の先端部分を順次、器具本体3に設けられたばね受け具6に架ける。2本のキックばね8をそれぞればね受け具6に架けた状態で、発光体ユニット4は2本のキックばね8、ばね保持具27を介して器具本体3から吊下げられた状態となる。
【0032】
2本のキックばね8は、先に述べたように発光体ユニット4の長手方向に沿った中心線上に、発光体ユニット4の重心位置Gを挟んで配置されているので、発光体ユニット4は器具本体3に対して略平行な位置で吊下げられる。
【0033】
しかる後に、器具本体3からぶら下がった状態にあるコネクタ8aと、発光体ユニット4に設けられた電源装置16にケーブル7bを介して接続されたコネクタ8bとを互いに接続する。
【0034】
しかる後に、発光体ユニット4を器具本体3に近接させるよう上昇させれば、キックばね8による付勢力が発光体ユニット4の自重より大なるようにしているので、発光体ユニット4は器具本体3に向けて引き上げられ、発光体ユニット4は器具本体3に当接されて、図1から図3に示すような形態となり(これを、セットされる、と表記することがある)、この状態で照明器具1として使用される。
【0035】
このような施工手順なので、施工の容易な照明器具1としては、次のような効果を備えた構成が望ましい。
1.キックばね8をばね受け具6に架ける際に、ばね受け具6が目視確認できるとともに、キックばね8をばね受け具6の所定の位置、例えばばね受け溝11に容易に架けられる。
2.コネクタ8を接続する際に、キックばね8を介して発光体ユニット4を吊下げた状態で保持することが可能であり、紐や鎖のような特段の吊下げ部材が不要。
3.コネクタ8を接続するための作業スペースが大である。
4.コネクタ8を接続したのち発光体ユニット4を吊下げた状態から下方から持ち上げるだけで、発光体ユニット4はキックばね8の付勢力によって器具本体3に向けて引き上げられてセットされ、特段の道具を使うことなく発光体ユニット4を取り付けられる。
5.キックばね8は1本ずつ順次ばね受け具6に架けるので、キックばね8を1本だけ架けた状態でも、発光体ユニット4が安定しており支持しやすい
ばね受け金具6の取付位置が器具本体3における長手方向の外側であり、ばね腕部10を嵌合させるばね受け溝11が器具本体における長手方向の内側(電源装置16を設けた場合の電源装置16側)を向くように取り付けられているので、発光体ユニット4を器具本体3へ取り付ける際の作業が容易という効果がある。
【0036】
キックばね8において、ばね保持具27へ嵌合するためのばね腕部10が1本であり、ばね保持具27のばね溝部11もばね腕部10に合うように1箇所のみであることにより、ばね腕部を2本、ばね溝部も2箇所とするものに比べ、小型にすることができ、照明器具の軽量化および、コスト低減を図ることができるという効果がある。
【0037】
折り返し部20のように、キックばね8の先端を折り返すことにより取り付け時の信頼性向上、切り起こし部12に引掛り、発光体ユニットの脱落防止効果がある。
【符号の説明】
【0038】
1 照明器具
2 天井
3 器具本体
4 発光体ユニット
5 透光カバー
6 ばね受け具
7 ばね保持具
8 キックばね
9 コイル部
10 ばね腕部
11 ばね受け溝
12 切り起こし部
図1
図2
図3
図4
図5