【課題を解決するための手段】
【0028】
従って第1の態様において本発明はボイルオフガスを液化するための方法を提供し、この方法は、
液化炭化水素ガスを液化炭化水素ガス貯蔵器の中に貯蔵するステップと、
気体極低温流体の流れと、液化炭化水素ガス貯蔵器からの液化炭化水素ガスの流れとを、
a)液化炭化水素ガスの流れが液化炭化水素ガスから気体炭化水素ガスへ相変化し、
b)気体極低温流体の流れが気体極低温流体から液化極低温流体へ相変化する
ように処理するステップであって、
気体極低温流体の流れから、液化炭化水素ガス貯蔵器からの液化炭化水素ガスの流れへ熱を伝達することを含む、処理するステップと、
液化極低温流体を液化極低温流体貯蔵器の中に貯蔵するステップと、
気体ボイルオフガスの流れと、液化極低温流体貯蔵器からの液化極低温流体の流れとを、
a)液化極低温流体の流れが液化極低温流体から気体極低温流体へ相変化し、
b)気体ボイルオフガスの流れが気体ボイルオフガスから液化ボイルオフガスへ相変化する
ように処理するステップであって、
気体ボイルオフガスの流れから、液化極低温流体貯蔵器からの液化極低温流体の流れへ熱を伝達することを含む、処理するステップと、
液化ボイルオフガスを液化炭化水素ガス貯蔵器の中に貯蔵するステップと、
気体極低温流体の流れの流量を、液化炭化水素ガス貯蔵器からの液化炭化水素ガスの流れの流量に少なくとも部分的に基づいて制御するステップと、
液化極低温流体貯蔵器からの液化極低温流体の流れの流量を、気体ボイルオフガスの流れの流量に少なくとも部分的に基づいて独立して制御するステップと
を含む。
【0029】
上記ステップを実行することによって、ボイルオフガスを再液化する改良された方法が、炭化水素ガスの再ガス化の間に放出される冷熱エネルギーのその後の効果的な回収、貯蔵およびリサイクルを介して達成される。いくつかの状況では、本発明の方法を使用してボイルオフガスを再液化するために必要なエネルギーは、従来の方法と比べて半分未満であり得る。本発明の方法のエネルギー必要量は、既存の炭化水素ガスインフラストラクチャーで実行されるのに十分に低い。従って本方法は費用対効果に優れた技術を提供し、この技術は、市況に従って炭化水素ガスの輸出を管理する柔軟性を改良し;貯蔵寿命を増大させ;および連続冷却に使用される炭化水素ガスを喪失しないことを保証することによって炭化水素ガスタンクの貯蔵容量を効果的に増大する。本方法は特に、通常であれば必要なときに利用できないであろうその場で利用できる冷熱をリサイクルすることによってボイルオフガスの再液化に必要な仕事量を低減するという点で有利である。
【0030】
本発明が特に有利なのは、炭化水素ガスの再ガス化からの冷熱を、冷熱回収の割合および時間から独立して、回収し、貯蔵し、およびボイルオフガスの再液化プロセスで活用できることである。
【0031】
特に、液化極低温流体を流体貯蔵器に貯蔵することによって、および貯蔵器に出入りする極低温流体の流量を制御することによって、液化炭化水素ガスの再ガス化から回収された冷熱をそのプロセスが実行されている間に使用すること;回収された冷熱を流体貯蔵器の中に貯蔵すること;およびボイルオフガスを再液化するために必要なときにそれを活用することが可能である。極低温流体を貯蔵且つ制御するステップにより、2つのプロセスが同時に実行されない場合でさえ、エネルギーをこれらのプロセス間で伝達することが可能になる。
【0032】
本発明は特に、再ガス化プラントを有するLNG輸入ターミナルおよび他のいずれかのLNG貯蔵インフラストラクチャーで有用であり、そこでLNGの再ガス化からの冷熱はボイルオフガスを再液化するために回収および活用することができる。しかしながら本発明は、再ガス化からの冷熱が周期的に利用できる他の高容量極低温貯蔵システムからのボイルオフにも適用できるだろう。
【0033】
便宜上、本記載および請求項は、気体および液体の形態の極低温流体、ボイルオフガスおよび炭化水素ガスに言及することに注意すべきである。それぞれの場合、異なる相であっても同一の流体が言及されることを理解すべきである。例えば本発明は、液化極低温流体を記載する。これは同様に記載される気体極低温流体の流れの液化された状態であることが理解される。
【0034】
用語の一貫性のために、極低温流体は、流体の温度と関係なくその気体および液体の形態の両方においてそのように記載されることにも注意すべきである。従って、特定の状況において、気体極低温流体は、ほぼ周囲温度または周囲温度より上であり得る。それにもかかわらず、それは極低温の温度において流体へおよび流体から熱を伝達するために活用されるので、本出願において極低温流体と呼ばれる。
【0035】
最後に、「冷熱(cold)」は、エネルギー自体の形態ではなく単にエネルギーがないことが認識される一方で、極低温エネルギーシステムにおけるエネルギー伝達を論じる中で表現「冷熱エネルギー(cold energy)」を使用することは好都合である。なぜなら、保存されることが求められるのは典型的に冷熱であり、排除されることが求められるのは熱エネルギーの移入だからである。熟練した読者は、この点において、「冷熱エネルギー」はこの技術を記載するのに便利な創作であり、非極低温システムにおける熱エネルギーの伝達および保存に類似していることを認識するであろう。
【0036】
本方法は、気体ボイルオフガスの流れと、液化炭化水素ガス貯蔵器からの液化炭化水素ガスの流れとを、
a)液化炭化水素ガスの流れが液化炭化水素ガスから気体炭化水素ガスへ相変化し、
b)気体ボイルオフガスの流れが気体ボイルオフガスから液化ボイルオフガスへ相変化する
ように処理するステップであって、
気体ボイルオフガスの流れから、液化炭化水素ガス貯蔵器からの液化炭化水素ガスの流れへ熱を伝達することを含む、処理するステップをさらに含み得る。
【0037】
この方法は、液化炭化水素ガスの再ガス化が起きる一方で、ならびに極低温流体の中に貯蔵された冷熱をその後で使用して、ボイルオフガスが再液化されることを許容するので有利である。これは、再ガス化が起きないときのために極低温流体を使用する冷却を保存できる一方で、再ガス化からの冷熱エネルギーを使用してボイルオフガスを直接冷却できるのでプロセスの効果をさらに改善する。
【0038】
上に記載した場合において、a)気体極低温流体の流れから、液化炭化水素ガス貯蔵器からの液化炭化水素ガスの流れへ熱を伝達するステップ、およびb)気体ボイルオフガスの流れから、液化炭化水素ガス貯蔵器からの液化炭化水素ガスの流れへ熱を伝達するステップは、同時に起きても同時に起きなくてもよい。
【0039】
ステップが同時に起きるとき、再ガス化からの冷熱エネルギーは、ボイルオフガスを再液化し、また、後で使用するために極低温流体を冷却し液化するために使用される。これは、極低温流体の豊富な供給があり;貯蔵器の中の液化極低温流体のストックが少なく;および/または炭化水素ガスの次の再ガス化まで長い遅延が予想される場合、特に好ましいかもしれない。ステップが同時に起きないとき、再ガス化からの冷熱エネルギーは、極低温流体の冷却および液化なしにボイルオフガスを再液化するために使用できる(これは極低温流体の少ない供給があり;貯蔵器の液化極低温流体のストックが多く;および/または炭化水素ガスの次の再ガス化までの短い遅延が予想されるとき特に好ましいかもしれない)、またはボイルオフガスの再液化なしに極低温流体を冷却し液化するために使用できる(これは再液化されるボイルオフガスがほとんどまたは全くないとき、または極低温流体貯蔵器が空のとき、特に好ましいかもしれない)。
【0040】
気体極低温流体の流れおよび液化炭化水素ガスの流れを処理するステップは、熱伝達の後に気体極低温流体の流れを膨張させるステップ;および熱伝達の前に気体極低温流体の流れを圧縮するステップの1つまたは両方をさらに含み得る。気体極低温流体の流れは超臨界圧力まで圧縮され得る。
【0041】
特定の状況において、熱の伝達自体は、液体から気体へおよびその逆の相変化を実行するのに十分である。これらの状況において、一方の流体は(例えば)液相で熱交換器に入り気相で出るが、他の流体は気相で熱交換器に入り液相で出る。しかしながら、実際には、これは常に可能でもなければ便利でもなく、プロセスは熱交換器の前後で流体の1つまたは複数を圧縮することおよび膨張させることの1つまたは両方によってより効果的にされる。この場合、液化を達成するために熱交換器の後で気体極低温流体を膨張させ、および熱交換器の前で気体極低温流体を圧縮することが有利であると分かっている。
【0042】
本発明は、液化炭化水素ガスの流れを第1および第2分岐管に通すステップをさらに含み得る。その場合、気体極低温流体の流れから、液化炭化水素ガス貯蔵器からの液化炭化水素ガスの流れに熱を伝達するステップは、
圧縮前に気体極低温流体の流れから第1分岐管内の液化炭化水素ガスの流れに熱を伝達するステップと、
圧縮後に気体極低温流体の流れから第2分岐管内の液化炭化水素ガスの流れに熱を伝達するステップと
をさらに含み得る。
【0043】
好ましくは本方法は、第1および第2分岐管内の気体炭化水素ガスの流れを結合するステップをさらに含む。
【0044】
流れを第1および第2分岐管に通すステップにより液化炭化水素ガスから伝達された冷熱エネルギーを2つ以上の場所で使用することが可能になる。特に、気体極低温ガスが例えば圧縮前に最初に冷却され、続いて極低温ガスを液化するために連続的に冷却することが有利である。液化炭化水素ガスの第1および第2流れを提供することによって、両方の冷却段を再ガス化プロセスからの冷熱エネルギーによって達成することができる。
【0045】
炭化水素ガスが商業的および住居的資産において、ならびに産業界および工場それ自体において、多くの用途を見出していることは理解されよう。好ましくは、方法は、気体炭化水素ガスの流れを、炭化水素配管網;発電所;および気体炭化水素ガスの消費者のうちの1つまたは複数などの受け手に送達するステップをさらに含む。
【0046】
好ましくは本方法は、液化炭化水素ガス貯蔵器からボイルオフガスを収集することによって、および/または液化炭化水素ガス貯蔵器に結合された貯蔵器、導管または収集地点からボイルオフガスを収集することによってなど、気体ボイルオフガスの流れを収集するステップをさらに含む。ボイルオフは、液化炭化水素ガスが存在しおよび不十分な遮断を介して温められる危険のある場所ならどこでも起こり得る。熟練者はこのボイルオフを、インフラストラクチャー全体から、それがどこで起きようとも、たとえタンクからかなり離れていても、収集する方法に精通し、従って効率を増大させることができる。
【0047】
熱を気体極低温流体の流れから、炭化水素ガス貯蔵器からの液化炭化水素ガスの流れに伝達するステップは直接的であり得るか、またはそれは熱を気体極低温流体の流れから閉ループ冷却回路内の熱伝達流体へ伝達し、気体極低温流体を液化炭化水素ガスの飽和温度未満の温度まで冷却することと;熱を閉ループ冷却回路内の熱伝達流体から液化炭化水素ガスの流れに伝達することとを含み得る。
【0048】
熱伝達は直接的に;すなわち、単一の熱交換における2つの流体の流れの間で起こり得る、または、1つまたは複数の冷却回路(または等価物)を介して間接的に起こり得、この際、ソース流れからの冷熱は目標物流れに到達する前に1つまたは複数の熱伝達流体の中間流れに送られる。好ましい例において、液化炭化水素ガスの流れ(すなわちソース流れ)からの冷熱は気体極低温流体の流れ(すなわち目標物流れ)に到達する前に閉ループ冷却回路に送られる。閉ループ冷却回路はまた、必要な温度を得るために熱伝達流体を膨張および圧縮することを必要とし得る。
【0049】
熱が気体ボイルオフガスの流れから、液化炭化水素ガス貯蔵器からの液化炭化水素ガスの流れに伝達される場合、熱を気体ボイルオフガスの流れから、液化炭化水素ガス貯蔵器からの液化炭化水素ガスの流れに伝達するステップは、
熱を気体ボイルオフガスの流れから閉ループ冷却回路内の熱伝達流体へ伝達することと、
熱を閉ループ冷却回路内の熱伝達流体から液化炭化水素ガスの流れへ伝達することと
をさらに含み得る。
【0050】
ソース流れから1つまたは複数の中間流れを介して送られる冷熱エネルギーの目標物流れは2つ以上の流れであり得ることは認識されよう。好ましい例において、冷熱エネルギーは気体極低温ガスの流れだけでなく気体ボイルオフガスの流れにも伝達される。
【0051】
好ましくは本方法は、気体極低温流体の流れを形成するために周囲空気の流れを処理するステップをさらに含む。これは例えば、水分、二酸化炭素および/または炭化水素を除去するために周囲空気の流れをろ過すること;および/または周囲空気の流れを圧縮することを必要とし得る。空気はその元素組成により特に有利である。これによって要求に応じて使用するための容易に入手可能な気体極低温流体の供給が可能になる。
【0052】
好ましくは本方法は、あらゆる残留蒸気相を液化極低温流体の流れから分離するために液化極低温流体の流れを液化極低温流体タンクに入る前に分離機に通すことと、残留蒸気相を気体極低温流体の流れに戻すこととをさらに含む。
【0053】
極低温流体は、特に液化極低温流体が貯蔵器に入る前に、インフラストラクチャー自体の中でボイルオフを経験する可能性があることは認識されよう。さらに、極低温流体の液化は100%の効率ではない可能性があり、流れが処理された後でさえ蒸気相または気相の極低温流体が存在する可能性がある。これらの状況において、蒸気相または気相を分離することおよびそれを極低温流体の気体流れに戻すことは、液化プロセスの効率が改善されるので特に有利である。
【0054】
好ましくは本方法は、熱を気体ボイルオフガスの流れから、液化極低温流体貯蔵器からの液化極低温流体の流れに伝達するステップの前に、液化極低温流体の流れを液化極低温流体貯蔵器からポンプで圧送してその圧力を増大させることをさらに含む。
【0055】
好ましくは、熱を気体ボイルオフガスの流れから液化極低温流体貯蔵器からの液化極低温流体の流れに伝達するステップの結果、気体極低温流体の第2の流れがもたらされる。この場合、本方法は、気体極低温流体の第2の流れから仕事を引き出すために気体極低温流体の第2の流れを膨張させるステップをさらに含み得る。
【0056】
気体極低温流体の第2の流れから仕事を引き出すために気体極低温流体の第2の流れを膨張させるステップは、単段膨張装置、二段膨張装置、または多段膨張装置で実行可能である。
【0057】
好ましくは本方法は、1つまたは複数の膨張段の前に気体極低温流体の第2の流れを過熱するステップをさらに含む。極低温流体を過熱するための熱源は周囲空気であり得る。その他の場合、それは例えば最高500℃の温度を有する同じ場所に配置されたプロセスからのいずれかの熱源であり得る。
【0058】
好ましくは本方法は、第2の流れから引き出された仕事を電気に変換するステップをさらに含む。
【0059】
ボイルオフガスを再液化するために使用される気体極低温流体から仕事を引き出すことによって、プロセスに必要な仕事(気体極低温流体を圧縮する際および/または液化極低温流体をポンプで圧送する際に実行される仕事など)が相殺され得る。液化極低温流体の圧力を増大させるステップ、および極低温流体を膨張および過熱するステップは、仕事が流れから引き出され得る効率を増大させる。この仕事は発電機を使用して電気に変換することができる。
【0060】
第2の態様において、本発明はボイルオフガスを液化するためのシステムを提供し、システムは、
液化炭化水素ガスを貯蔵するための第1貯蔵器と、
炭化水素ガスを受け手に送達するための、第1貯蔵器におよび炭化水素ガス網に結合された第1の導管の配列と、
液化ボイルオフガスを第1貯蔵器に送達するための、ボイルオフガス源におよび第1貯蔵器に結合された第2の導管の配列と、
液化極低温流体を貯蔵するための第2貯蔵器と、
液化極低温流体を第2貯蔵器に送達するための、気体極低温流体源におよび第2貯蔵器に結合された第3の導管の配列と、
第2貯蔵器から極低温流体を送達するための、第2貯蔵器に結合された第4の導管の配列と、
制御器とを含み、
第1および第3の導管の配列は、第3の導管の配列を通過する気体極低温流体の流れから第1の導管の配列を通過する液化炭化水素ガスの流れに熱が伝達されるように配列され、
第2および第4の導管の配列は、第2の導管の配列を通過する気体ボイルオフガスの流れから第4の導管の配列を通過する液化極低温流体の流れに熱が伝達されるように配列され、
制御器は、
a)第1の導管の配列を通過する液化炭化水素ガスの流れの流量に少なくとも部分的に基づいて第3の導管の配列を通過する気体極低温流体の流れの流量を制御し、
b)第2の導管の配列を通過する気体ボイルオフガスの流れの流量に少なくとも部分的に基づいて第4の導管の配列を通過する液化極低温流体の流れの流量を独立して制御するように構成されている。
【0061】
本発明の第2の態様に関連付けられる利点のほとんどは、第1の態様に関連して既に上に記載した。従って簡潔さのためにそれらはここでは繰り返さない。
【0062】
第1および第2の導管の配列は、熱が、第2の導管の配列を通過する気体ボイルオフガスの流れから、第1の導管の配列を通過する液化炭化水素ガスの流れに伝達されるように配列されてもよい。
【0063】
第3の導管の配列は気体極低温流体の流れを圧縮するための圧縮機を含み得る。この場合、第1の導管の配列は第1分岐管および第2分岐管を含み得る。第1分岐管は、圧縮機の上流の第1熱交換領域で第3の導管の配列を通過する気体極低温流体の流れから、第1分岐管を通過する液化炭化水素ガスの流れに熱が伝達されるように好ましくは配列される。第2分岐管は、圧縮機の下流の第2熱交換領域で第3の導管の配列を通過する気体極低温流体の流れから、第2分岐管を通過する液化炭化水素ガスの流れに熱が伝達されるように好ましくは配列される。
【0064】
第1および第2の分岐管は、第1および第2の熱交換領域の上流の1つの導管から分岐し、第1および第2の熱交換領域の下流の1つの導管に再結合し得る。
【0065】
ボイルオフガス源は第1貯蔵器、および/または第1貯蔵器に結合された貯蔵器、導管もしくは収集地点であり得る。
【0066】
第1および第3の導管の配列は、第5の導管の配列を通過する熱伝達流体を含む閉ループ冷却回路を経由して第1および第3の導管の配列の間で熱が伝達されるように配列され得る。この場合、第5および第3の導管の配列は、第3の導管の配列を通過する気体極低温流体の流れから、第5の導管の配列を通過する熱伝達流体に熱が伝達されるように配列され得る。第5および第1の導管の配列は、第5の導管の配列を通過する熱伝達流体から、第1の導管の配列を通過する液化炭化水素ガスの流れに熱が伝達されるように配列され得る。
【0067】
第1および第2の導管の配列が、第2の導管の配列を通過する気体ボイルオフガスの流れから、第1の導管の配列を通過する液化炭化水素ガスの流れに熱が伝達されるように配列される場合、第1および第2の導管の配列はまた、熱が閉ループ冷却回路を経由して第1および第2の導管の配列の間で伝達されるように配列され得る。この場合、第5および第2の導管の配列は、第2の導管の配列を通過する気体ボイルオフガスの流れから、第5の導管の配列を通過する熱伝達流体に熱が伝達されるように配列され得る。
【0068】
第1の導管の配列が第1および第2の分岐管を含む場合、第2分岐管は、第5の導管の配列を通過する熱伝達流体から、第2分岐管を通過する液化炭化水素ガスの流れに熱が伝達されるように配置され得る。
【0069】
好ましくは、気体極低温流体の流れは空気であり、および第3の導管の配列は、周囲空気の流れから水分、二酸化炭素および/または炭化水素を除去するためのろ過システム;および周囲空気の流れを圧縮するための圧縮機の1つまたは両方をさらに含む。
【0070】
第3の導管の配列は、第2貯蔵器に入る前に第3の導管の配列を通過する液化極低温流体の流れからあらゆる残留蒸気相を抜き出すための、第2貯蔵器の上流の分離機と、液化極低温流体の流れから抜き出された残留蒸気相を、第3の導管の配列を通過する気体極低温流体の流れに導くように構成された戻り導管とをさらに含み得る。
【0071】
好ましくは、第2および第4の導管の配列は、熱が第3熱交換領域で第2および第4の導管の配列の間で伝達されるように配列され、第4の導管の配列は、第4の導管の配列を通過する液化極低温流体の流れを、それが第3熱交換領域を通過する前にポンプで圧送するための、第3熱交換領域の上流のポンプをさらに含む。
【0072】
好ましくは第3熱交換領域は、気体極低温流体の第2の流れを生成するために、第2の導管の配列を通過する気体ボイルオフガスの流れから、第4の導管の配列を通過する液化極低温流体の流れに熱が伝達されるように構成される。この場合、第4の導管の配列は、気体極低温流体の第2の流れを膨張させ極低温流体の第2の流れから仕事を引き出すための膨張装置をさらに含む。
【0073】
膨張装置は単段膨張装置、二段膨張装置または多段膨張装置であり得る。
【0074】
好ましくは、第4の導管の配列は1つまたは複数の過熱器に結合され、その際、各過熱器は膨張装置の第1段の上流か、膨張装置の段の間にある。一例において膨張装置が3つの膨張段を有する場合、および通過する流体が各段を通過する前に過熱される場合、システムは第1段の上流の第1過熱器と、第1および第2段の間の第2過熱器と、第2および第3段の間の第3過熱器とを含む。この文脈において、用語「上流」および「の間」は、過熱器と各段の間に他の構成要素(弁、そのような種類のもの)が存在する可能性を排除しない。全ての段が対応する過熱器を持つ必要はないことは認識されよう。膨張装置内の所与の配置に関して、任意の数の過熱器を、状況に適したどのような配置でも設けることができる。
【0075】
好ましい実施形態において、第1、第2、第3および第4の導管の配列は、熱が第1および第3の導管の配列の間で、第2および第4の導管の配列の間で、1つの熱交換領域において伝達されるように配列される。
【0076】
さらなる効率が、熱伝達およびスペースの両方に関して、2つの異なる流れの間で2つ以上の熱の伝達を実行するために1つの熱交換領域を設けることによって達成できることは認識されよう。熱交換領域は、単一の熱交換によって(すなわち、その結果、熱伝達が直接的に実行される)、または複数の熱交換器によって設けることができる(すなわち、その結果、熱伝達が上記の閉ループ冷却回路などの1つまたは複数の中間流れを経由して実行される)。
【0077】
より好ましくは、第1、第2、第3および第4の導管の配列は、熱が1つの熱交換領域において第1および第2の導管の配列の間で伝達されるように配列される。
【0078】
上に記載した閉ループ冷却回路は、単相ブレイトンサイクルおよび二相ランキンサイクルの一方を使用して作動し得る。
【0079】
熱伝達流体は、炭化水素ガスおよび極低温流体の飽和温度に関して適切な熱力学特性を有するいずれかの流体であり得る。例えば、窒素またはプロパンが使用されてもよく、その両方は典型的に炭化水素ガスターミナルで入手できる。
【0080】
上に記載した極低温流体は、窒素または空気のうちの一方、好ましくは周囲空気であり得る。窒素は典型的に炭化水素ガスターミナルで入手可能であり、使用できる前に最小限の処理を必要とする一方で、空気は豊富にある。
【0081】
最後に、本明細書に記載した液化炭化水素ガスは好ましくは液化天然ガス(LNG)であることに注意すべきである。LNGは電流源において支配的な種類の炭化水素ガスであり、従って本発明はLNGとともに特別の活用を見出す。しかしながら、本発明はいかなる炭化水素ガスを使用しても実行可能であり、その際、周囲条件の下で一般に気相である炭化水素が極低温液体として大量に貯蔵されその後使用のために再ガス化されるいずれかの適用においてボイルオフが再液化される。
【0082】
次に本発明の好ましい実施形態を添付図面を参照して記載する。