(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6591418
(24)【登録日】2019年9月27日
(45)【発行日】2019年10月16日
(54)【発明の名称】ドレン装置
(51)【国際特許分類】
F02M 37/00 20060101AFI20191007BHJP
【FI】
F02M37/00 301G
F02M37/00 331A
【請求項の数】38
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2016-536899(P2016-536899)
(86)(22)【出願日】2014年12月8日
(65)【公表番号】特表2017-501331(P2017-501331A)
(43)【公表日】2017年1月12日
(86)【国際出願番号】IL2014051070
(87)【国際公開番号】WO2015087320
(87)【国際公開日】20150618
【審査請求日】2017年12月7日
(31)【優先権主張番号】61/913,456
(32)【優先日】2013年12月9日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/056,682
(32)【優先日】2014年9月29日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514240644
【氏名又は名称】ラヴァル エイ.シー.エス.リミテッド
【氏名又は名称原語表記】RAVAL A.C.S.Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】特許業務法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】ヴァルカン,オマー
(72)【発明者】
【氏名】オルシャネツキー,ウラディミール
(72)【発明者】
【氏名】クレイマン,デニス
【審査官】
村山 禎恒
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2013/144960(WO,A1)
【文献】
特開2007−285334(JP,A)
【文献】
特表2011−530681(JP,A)
【文献】
特開2013−147215(JP,A)
【文献】
実開昭58−192246(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02M 37/00−71/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料蒸気システムから燃料タンク内に燃料を排出するためのドレン装置において、前記ドレン装置が:
上方内側面、入口ポートおよび出口ポートを有するシール保持体と;
燃料蒸気付属品に結合されるように構成された前記入口ポートと;
前記燃料タンクと液体連通するように構成された前記出口ポートと;
前記入口ポートが前記シール部材によって閉鎖される閉位置と、前記シール部材が上方内側面に係合すると同時に、前記蒸気付属品からの燃料を、前記シール保持体を出て前記出口ポートを介して前記燃料タンク内に入るようにする開位置との間で変位可能なシール部材と;を備え、
前記シール部材が前記入口ポートと前記出口ポートとの間に配置され、
前記シール部材が、前記タンク内の圧力が燃料蒸気付属品における圧力と等しく、また前記燃料タンク内の燃料レベルが前記燃料蒸気付属品内の燃料レベル未満であるときに前記開位置内に変位され、この結果、前記シール部材が、前記燃料蒸気付属品からの前記燃料によって前記シール部材に対して及ぼされる流体力によって前記開位置に変位され、
前記ドレン装置の動作時には、前記シール部材の重力が、前記閉位置において、前記シール部材と前記入口ポートとの係合の維持を促進することを特徴とするドレン装置。
【請求項2】
請求項1に記載のドレン装置において、前記燃料蒸気付属品に結合されるように構成されかつ前記入口ポートと流体連通している入口ノズルをさらに備えることを特徴とするドレン装置。
【請求項3】
請求項1乃至2の何れか一項に記載のドレン装置において、前記シール保持体が、前記シール部材を保持するために構成されていることを特徴とするドレン装置。
【請求項4】
請求項3に記載のドレン装置において、前記シール保持体が、前記入口ポートの直径よりも大きい直径を有する底部部分を含むことを特徴とするドレン装置。
【請求項5】
請求項4に記載のドレン装置において、前記シール保持体が、複数の開口を有しかつ前記シール部材をシール保持体の内部に維持するように構成されたカバーを含むことを特徴とするドレン装置。
【請求項6】
請求項5に記載のドレン装置において、前記開口が前記カバーの側壁に画定されることを特徴とするドレン装置。
【請求項7】
請求項6に記載のドレン装置において、前記開口が前記カバーの円周に画定され、前記側壁がシール部材の厚さよりも大きいことを特徴とするドレン装置。
【請求項8】
請求項5に記載のドレン装置において、前記カバーが前記シール部材の直径よりも大きい直径を含み、前記シール部材が前記カバーの内側面の上に付勢されるときにも前記開口が留まるように、前記開口が前記カバーの周辺を中心に形成されることを特徴とするドレン装置。
【請求項9】
請求項5乃至8の何れか一項に記載のドレン装置において、前記底部部分および前記カバーが互いにスナップ結合するために構成されることを特徴とするドレン装置。
【請求項10】
請求項1乃至9の何れか一項に記載のドレン装置において、前記シール部材が、前記入口ポートの直径よりも大きい直径を有し、かつ前記入口ポートに係合するための入口面と、前記ドレン装置の周囲に向かって方向付けられた出口面とを画定するシールディスクであることを特徴とするドレン装置。
【請求項11】
請求項5に記載のドレン装置において、前記底部部分が、前記カバーのスナップ結合を可能にするように構成されたフランジを有する側壁を含むことを特徴とするドレン装置。
【請求項12】
請求項11に記載のドレン装置において、前記フランジが、前記シール保持部材からの流体流れを促進する開口により形成されることを特徴とするドレン装置。
【請求項13】
請求項2乃至9の何れか一項に記載のドレン装置において、前記入口ノズルが、前記燃料蒸気付属品に形成された開口に導入されるように構成された挿入端部を含むことを特徴とするドレン装置。
【請求項14】
請求項13に記載のドレン装置において、前記燃料蒸気付属品の前記開口が、前記挿入端部の直径よりも小さい直径を含むことを特徴とするドレン装置。
【請求項15】
請求項13に記載のドレン装置において、前記円周壁部分が内側方向に僅かに曲げられ、それによってリング状の折り目を形成するように、前記挿入端部が前記燃料蒸気付属品の前記開口の円周壁部分に係合するように構成されることを特徴とするドレン装置。
【請求項16】
請求項15に記載のドレン装置において、前記リング状の折り目が前記挿入端部に当接し、それによって前記折り目とのシール係合を提供することを特徴とするドレン装置。
【請求項17】
請求項13に記載のドレン装置において、前記挿入端部が、前記燃料蒸気付属品の内部で延びるように、かつ前記付属品の内壁から突出するように構成されることを特徴とするドレン装置。
【請求項18】
請求項13に記載のドレン装置において、前記挿入端部が、燃料蒸気付属品と前記入口ノズルとの間の流体連通を提供するボアを含むことを特徴とするドレン装置。
【請求項19】
請求項18に記載のドレン装置において、前記挿入端部が、前記挿入端部の周りの前記燃料蒸気付属品の壁部分に沈下する流体が前記ボアに入ることを可能にするように構成された切れ込みを含むことを特徴とするドレン装置。
【請求項20】
請求項19に記載のドレン装置において、前記燃料蒸気付属品の液位が前記付属品の前記挿入端部の突出部の高さよりも低いときでも、前記ボアと前記挿入端部の周りとの間の流体連通が可能にされるように前記切れ込みが構成されることを特徴とするドレン装置。
【請求項21】
請求項20に記載のドレン装置において、前記燃料蒸気付属品内の圧力レベルが前記入口ノズルの内部の圧力レベルよりも高くないときにも、前記切れ込みが、前記燃料蒸気付属品からの液体の排出を可能にするように構成されることを特徴とするドレン装置。
【請求項22】
請求項20に記載のドレン装置において、前記切れ込みが前記ボア内への流体用通路を提供することを特徴とするドレン装置。
【請求項23】
請求項13に記載のドレン装置において、前記挿入端部が、前記挿入端部の遠隔端部で画定された先細り部分をさらに含み、前記先細り部分が、前記入口ノズルに向かって増大変化する変化する外径により構成されることを特徴とするドレン装置。
【請求項24】
請求項23に記載のドレン装置において、前記遠隔端部が前記燃料蒸気付属品の前記開口の直径よりも小さい直径を含み、それによって前記開口を通した前記挿入端部の挿入を容易にすることを特徴とするドレン装置。
【請求項25】
請求項13に記載のドレン装置において、前記挿入端部が、前記挿入端部の直径よりも大きい直径により構成された肩部部分を含むことを特徴とするドレン装置。
【請求項26】
請求項25に記載のドレン装置において、前記肩部部分が、前記燃料蒸気付属品の前記開口からの前記挿入端部の変位を防止する停止部材として役立つことを特徴とするドレン装置。
【請求項27】
請求項25に記載のドレン装置において、前記挿入端部が、前記燃料蒸気付属品の前記開口の円周壁部分とのシール係合を提供するように構成された係合部分をさらに備えることを特徴とするドレン装置。
【請求項28】
請求項19乃至22の何れか一項に記載のドレン装置において、前記切れ込みが、前記挿入の長さに沿って形成されたスリットの形態であることを特徴とするドレン装置。
【請求項29】
ドレン構成を有する燃料蒸気システムにおいて、
円周壁部分によって画定された開口を有するパイプセグメントと、
燃料蒸気付属品から燃料タンク内に燃料を排出するためのドレン装置であって、
−前記開口に導入されるように、かつ前記円周壁部分が僅かに内側方向に曲げられるように前記円周壁部分に係合するように構成された挿入端部を有し、それによって前記挿入端部にシール係合する入口ノズルであって、前記挿入端部が、前記パイプセグメントと前記入口ノズルとの間の流体連通を提供するボアと、前記パイプセグメントからの流体が前記ボアに入ることを可能にするように構成された切れ込みとを含む入口ノズルと、
前記ボアと流体連通している入口ポートと、
前記燃料タンクと流体連通するように構成された出口ポートと、
前記入口ポートが前記シール部材によって閉鎖される閉位置と前記燃料蒸気付属品からの燃料を前記出口ポートを介して前記燃料タンク内に排出することができる開位置との間で変位可能なシール部材とを備え、
前記シール部材が、前記燃料タンク内の圧力が燃料蒸気付属品における圧力とほぼ等しく、また前記燃料タンク内の燃料レベルが前記燃料蒸気付属品内の燃料レベル未満であるときに前記開位置内に変位され、この結果、前記シール部材が、前記燃料蒸気付属品からの前記燃料によって前記シール部材に対して及ぼされる流体力によって前記開位置に変位され、
前記ドレン装置の動作時には、前記シール部材の重力が、前記閉位置において、前記シール部材と前記入口ポートとの係合の維持を促進することを特徴とする燃料蒸気システム。
【請求項30】
請求項29に記載の燃料蒸気システムにおいて、前記燃料蒸気付属品が、燃料蒸気弁とキャニスターとの間に延びる管であることを特徴とする燃料蒸気システム。
【請求項31】
請求項29に記載の燃料蒸気システムにおいて、前記燃料蒸気付属品が、燃料液体を前記燃料蒸気システムの内部の燃料蒸気から分離するために構成された液体トラップであることを特徴とする燃料蒸気システム。
【請求項32】
請求項29に記載の燃料蒸気システムにおいて、前記ドレン装置が、前記ドレン装置を通した排出がサイフォンとして実施されるように前記タンクに対して上方に配置されることを特徴とする燃料蒸気システム。
【請求項33】
請求項29に記載の燃料蒸気システムにおいて、前記ポートの面積が、前記タンクからの圧力が適用される前記シール部材の面の面積よりも小さいことを特徴とする燃料蒸気システム。
【請求項34】
請求項33に記載の燃料蒸気システムにおいて、前記シール部材を前記シール部材の閉位置に保持するために必要な圧力が、前記シール部材を前記シール部材の開位置に変位させるために必要な圧力よりも小さいように、前記シール部材が構成されることを特徴とする燃料蒸気システム。
【請求項35】
請求項1乃至28の何れか一項に記載のドレン装置を備える燃料タンク。
【請求項36】
請求項1に記載のドレン装置において、前記シール部材が、前記入口ポートと係合する入口面および前記燃料タンクの内部体積に向く出口面を画定することを特徴とするドレン装置。
【請求項37】
請求項1に記載のドレン装置において、前記シール部材がシールディスクの形であることを特徴とするドレン装置。
【請求項38】
請求項1に記載のドレン装置において、前記開位置において、前記シール部材が前記入口ポートから離れるよう構成され、それにより流体が前記入口ポートおよび前記出口ポートを介してドレン装置から排出されることを特徴とするドレン装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明に開示した主題は一般にドレン装置に、特に燃料蒸気システムから燃料タンクに燃料を排出するためのドレン弁に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料蒸気システムは燃料タンクに設置され、燃料タンクから放出される燃料を処理するように構成される。燃料蒸気システムは、一般に、蒸気を処理するように構成された燃料処理装置、例えばキャニスターを含む。燃料蒸気システムは、燃料蒸気から燃料液滴を分離しかつ液滴を燃料タンクに排出して戻すように構成された燃料トラップをさらに含むことができる。
【0003】
一般に、燃料蒸気システムは、部品、例えば当該システムに燃料を蓄積する傾向を有する燃料蒸気付属品またはチューブセグメントを含む。しかし、これらの部品の内部の燃料の蓄積は、燃料処理装置に向かう燃料通路が遮断され、したがって、燃料蒸気が燃料処理装置に到達しないので、燃料蒸気システムの誤動作を引き起こし得る。
【0004】
したがって、ドレン装置を有する燃料蒸気システムを、燃料蒸気システムに、特に燃料を蓄積する傾向を有するその部分に設けることが必要である。
【発明の概要】
【0005】
本発明に開示した主題の一態様によると、燃料蒸気システムから燃料タンク内に燃料を排出するためのドレン装置が提供され、ドレン装置は、燃料蒸気付属品に結合されるように構成されたポートと、ポートがシール部材によって閉鎖される閉位置と燃料蒸気付属品からの燃料をタンク内に排出することができる開位置との間で変位可能なシール部材とを備え、この場合、シール部材は、タンク内の圧力が大気圧とほぼ等しく、またタンク内の燃料レベルが燃料蒸気付属品内の燃料レベル未満であるときに開位置内に変位される。
【0006】
ドレン装置は、燃料蒸気付属品に接続可能なポートを有するシール保持体と、燃料タンクの内部と流体連通している1つまたは複数の開口で構成されるカバーとを含むことができる。
【0007】
シール保持体は、ポートの直径よりも大きい直径を有し、かつシール部材の部分に係合するように構成される底部部分を含むことができる。
【0008】
シール部材は、シール材料から製造されたシールディスクであることができ、ポートの直径よりも大きい直径を有することができる。シール部材は、ポートに係合するための入口面、および弁の周囲に向かって方向付けられた出口面、例えば燃料タンクの容積を規定することができる。シール部材の入口面の周辺の部分は、シール保持部材の底部部分に係合するように構成することができる。
【0009】
カバーは、ドレン弁がその開位置にあるときに、シール部材を適所に維持するように構成することができる。実施例によれば、カバーは、シール保持体の底部部分に結合されたケージであることができる。
【0010】
カバーの開口は、シール部材がカバーの内側面の上に付勢されるときに、開口がカバーされないままであり、それによって燃料が開口を通過することを可能にするように、カバーの周りに形成することができる。
【0011】
シール保持体は、その円周の周りに画定されかつシール部材の厚さよりも大きい側壁を有することができ、側壁は、その上に画定された開口を有し、この結果、シール部材がカバーの内側面に係合するときに、燃料は開口を通過することができる。
【0012】
本発明に開示した主題の他の態様によると、燃料蒸気付属品から燃料タンク内に燃料を排出するために燃料蒸気付属品に取り付けられたドレン弁を有する燃料蒸気付属品が提供され、ドレン装置は、燃料蒸気付属品に結合されるように構成されたポートと、ポートがシール部材によって閉鎖される閉位置と燃料蒸気付属品からの燃料をタンク内に排出することができる開位置との間で変位可能なシール部材とを備え、この場合、シール部材は、タンク内の圧力が大気圧とほぼ等しいときに開位置内に変位される。
【0013】
ドレン装置は、燃料タンクの内部の圧力がタンクの外部の圧力よりも高いときに、シール部材がポートとのその係合を維持するように構成することができる。
【0014】
ドレン装置は、燃料蒸気付属品の内部の液体の重力を克服する程度に十分な力がないときに、シール部材がポートを係合解除するように構成することができる。
【0015】
ドレン装置は、シール部材の重力がポートとのその係合を維持することを促進するように、上方にまたは対角線上に上方に燃料蒸気付属品に取り付けることができる。ドレン装置は、燃料蒸気付属品の内部の液体の調和的な排出のために構成することができる。
【0016】
ドレン装置は、タンク内の燃料レベルがその最大能力の近くにあるときにのみ、ドレン装置が開口しないように、タンクの内部の高い箇所に配置することができる。
【0017】
燃料蒸気システムの液体の排出が妨げられたとき、燃料蒸気システムの内部の燃料は、タンクの燃料補給を防止し得ることを指摘したい。したがって、タンク内のドレン装置の高さは、タンクの望ましい最大の燃料補給レベルに従って決定することができる。
【0018】
本発明に開示した主題の別の態様によると、燃料蒸気システムから燃料を燃料タンク内に排出するために燃料蒸気システムに結合されたドレン弁を有する燃料蒸気システムを有する燃料タンクが提供され、ドレン装置は、燃料蒸気付属品に結合されるように構成されたポートと、ポートがシール部材によって閉鎖される閉位置と燃料蒸気付属品からの燃料をタンク内に排出することができる開位置との間で変位可能なシール部材とを備え、この場合、シール部材はタンク内の圧力が大気圧とほぼ等しいときに開位置内に変位される。
【0019】
燃料蒸気システムは、タンクに燃料を補給しようと試みるときにタンク内の燃料レベルが液体トラップの内部の燃料レベルよりも低いように、燃料タンクの頂部部分に取り付けることができる
【0020】
ドレン装置は、燃料タンクのフィラーヘッドが開口されるときにのみ、ポートからのシール部材の係合解除を可能にするように構成することができる。
【0021】
ドレン装置は、タンクの内部と外部周囲との圧力平衡が生じるときにのみ、ポートからのシール部材の係合解除を可能にするように構成することができる。
【0022】
本発明に開示した主題に従って、次の特徴および設計の任意の1つ以上を個々にまたはそれらを組み合わせて燃料蒸気システムおよび弁に構成することができる、すなわち、
・側壁および側壁に画定された開口を有するカバー。
・ポートは、燃料蒸気付属品に結合されように構成された入口ノズルに結合することができる。
・シール保持体の底部部分およびそのカバーは、互いにスナップ結合するために構成することができる。
・燃料蒸気付属品は、燃料蒸気弁と燃料蒸気処理装置との間に延びる燃料蒸気システムのチューブであることができる。
・燃料蒸気付属品は、燃料液体をタンクの内部の燃料蒸気から分離するように構成された液体トラップであることができる。
【0023】
本発明の別の態様によると、燃料蒸気システムから燃料タンク内に燃料を排出するためのドレン装置が開示され、前記ドレン装置は、燃料蒸気付属品に結合されるように構成されたポートと、前記ポートが前記シール部材によって閉鎖される閉位置と前記燃料蒸気付属品からの燃料をタンク内に排出することができる開位置との間で変位可能なシール部材とを備え、この場合、前記シール部材は、タンク内の圧力が燃料蒸気付属品における圧力とほぼ等しく、またタンク内の燃料レベルが前記燃料蒸気付属品内の燃料レベル未満であるときに前記開位置内に変位され、この結果、前記シール部材は燃料蒸気付属品からの前記燃料によってシール部材に対して及ぼされる流体力によって前記開位置に変位される。
【0024】
ドレン装置は、燃料蒸気付属品に結合されるように構成され、かつポートと流体連通している入口ノズルとをさらに含むことができる。
【0025】
ポートは、シール部材を保持するために構成されたシール保持体に画定することができる。
【0026】
シール保持体は、ポートの直径よりも大きい直径を有する底部部分を含むことができる。
【0027】
シール保持体は、複数の開口を有しかつシール部材をシール保持体の内部に維持するように構成されたカバーを含むことができる。開口は、カバーの側壁に画定することができる。開口は、カバーの円周に画定することができ、側壁はシール部材の厚さよりも大きくてもよい。
【0028】
カバーは、シール部材の直径よりも大きい直径を含むことができ、またこの場合、開口がカバーの周辺の周りに形成され、この結果、シール部材をカバーの内側面の上に付勢することができるときにも、開口が残る。底部部分およびカバーは、互いにスナップ結合するために構成することができる。
【0029】
シール部材は、ポートの直径よりも大きい直径を有し、かつポートに係合するための入口面と、ドレン装置の周囲に向かって方向付けられた出口面とを画定するシールディスクであることができる。底部部分は、カバーのスナップ結合を可能にするように構成されたフランジを有する側壁を含むことができる。フランジは、シール保持部材からの流体流れを促進する開口により形成することができる。
【0030】
入口ノズルは、燃料蒸気付属品に形成された開口に導入されるように構成された挿入端部を含むことができる。開口は、挿入端部の直径よりも小さい直径を含むことができる。円周壁部分を内側方向に僅かに曲げることができ、それによってリング状の折り目を形成するように、開口の円周壁部分に係合するように挿入端部を構成することができる。リング状の折り目は、それが挿入端部に当接し、それによって折り目とのシール係合を提供するように形成することができる。
【0031】
挿入端部は、燃料蒸気付属品の内部で延びるように、かつ付属品の内壁から突出するように構成することができる。
【0032】
挿入端部は、燃料蒸気付属品と入口ノズルとの間の流体連通を提供するボアを含むことができる。挿入端部は、挿入端部の周りの燃料蒸気付属品の壁部分に沈下する流体がボアに入ることを可能にするように構成された切れ込みを含むことができる。燃料蒸気付属品の液位が当該付属品の挿入端部の突出部の高さよりも低いことがあるときでも、ボアと挿入端部の周りとの間の流体連通を可能にすることができるように切れ込みを構成することができる。燃料蒸気付属品内の圧力レベルが入口ノズルの内部の圧力レベルよりも高くないことがあるときにも、燃料蒸気付属品からの液体の排出を可能にするように、切れ込みを構成することができる。切れ込みは、ボア内への流体用通路を提供する。
【0033】
挿入端部は、挿入端部の遠隔端部で画定された先細り部分をさらに含むことができ、先細り部分は、入口ノズルに向かって増大変化する変化する外径により構成される。遠隔端部は開口の直径よりも小さい直径を含むことができ、それによって開口を通した挿入端部の挿入を容易にする。
【0034】
挿入端部は、挿入端部の直径よりも大きい直径により構成された肩部部分を含むことができる。肩部部分は、開口からの挿入端部の変位を防止する停止部材として役立つ。挿入端部は、開口の円周壁部分とのシール係合を提供するように構成された係合部分をさらに備えることができる。切れ込みは、挿入の長さに沿って形成されたスリットの形態であることができる。
【0035】
本発明に開示した主題の別の態様によると、ドレン構成を有する燃料蒸気システムにおいて、
円周壁部分によって画定された開口を有するパイプセグメントと、
燃料蒸気付属品から燃料タンク内に燃料を排出するためのドレン装置であって、
−開口に導入されるように、かつ円周壁部分を僅かに内側方向に曲げることができるように円周壁部分に係合するように構成された挿入端部を有し、それによって挿入端部にシール係合する入口ノズルであって、挿入端部が、パイプセグメントと入口ノズルとの間の流体連通を提供するボアと、パイプセグメントからの流体がボアに入ることを可能にするように構成された切れ込みとを含むことができる入口ノズルと、
ボアと流体連通しているポートと、ポートをシール部材によって閉鎖することができる閉位置と燃料蒸気付属品からの燃料をタンク内に排出することができる開位置との間で変位可能なシール部材とを備え、
シール部材は、タンク内の圧力が燃料蒸気付属品における圧力とほぼ等しいことがあり、またタンク内の燃料レベルが燃料蒸気付属品内の燃料レベル未満であることができるときに開位置内に変位されることができ、この結果、シール部材は、燃料蒸気付属品からの燃料によってシール部材に対して及ぼされる流体力によって開位置に変位されることができる、燃料蒸気システムが提供される。
【0036】
燃料蒸気付属品は、燃料蒸気弁とキャニスターとの間に延びる管であることができる。代わりに、燃料蒸気付属品は、燃料液体を燃料蒸気システムの内部の燃料蒸気から分離するために構成された液体トラップであることができる。
【0037】
ドレン装置は、ドレン装置を通した排出がサイフォンとして実施することができるようにタンクに対して上方に配置することができる。
【0038】
ポートの面積は、タンクからの圧力を適用することができるシール部材の面の面積よりも小さくてもよい。
【0039】
シール部材をシール部材の閉位置に保持するために必要な圧力が、シール部材をシール部材の開位置に変位させるために必要な圧力よりも小さくできるように、シール部材を構成することができる。
【0040】
本発明に開示した主題の別の態様によると、上述のようなドレン装置を備える燃料タンクが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0041】
本明細書に開示される主題をより良く理解するために、かつ実際に主題をいかに実施し得るかを例示するために、次に、添付図面を参照して、非限定的な実施例のみによって実施形態について説明する。
【0042】
【
図1A】
図1Aは、本発明に開示した主題の実施例によるドレン弁の斜視図である。
【
図3】
図3は、燃料蒸気システムのチューブに結合された
図1Aのドレン弁の斜視図である。
【
図4】
図4は、燃料液体トラップに結合された
図1Aのドレン弁の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
図1A〜
図1Dは、本発明に開示した主題の実施例によるドレン弁10を示している。ドレン弁10は、燃料蒸気付属品、例えば液体トラップまたは蒸気処理装置(図示せず)に向かって延びるチューブに結合されるように構成された入口ノズル12を含む。入口ノズル12は、シール保持体14に結合されたポート15の入口ノズルの一方の端部に終端する。シール保持体14は、その中に保持されたシール部材16を含み、シール部材は、閉位置にあるときにポート15をシールするように、かつ開位置にあるときにポートを通した流体流れを可能にするように構成される。
【0044】
図示した実施例によると、シール保持体14は、ポート15の直径よりも大きい直径を有する底部部分18と、カバー20の側壁14aに画定されるようにここに示した複数の開口23を有するカバー20とを含む。底部部分18およびカバー20は、互いにスナップ結合するために構成することができる。
【0045】
シール部材16は、この実施例によれば、ポート15の直径よりも大きい直径を有するシール材料、例えばゴム、シリコーンなどから製造されたシールディスクである。シール部材16は、ポート15に係合するための入口面16a、および弁の周囲に向かって方向付けられた出口面16b、例えば燃料タンクの容積を画定する。
【0046】
閉位置では、シール部材16は、ポート15の上方に配置され、それによって、タンクからの流体がポート15および入口ノズル12に入ることを妨げる。しかし、開位置では、シール部材16は、ポート15から移動するように構成され、それによって、ノズル12からの流体がポートおよび開口23を通してドレン装置10を出ることを可能にする。シール部材16は、カバー20によって本体14の内部に維持され、一方、入口ノズル12からの燃料は、カバーの開口23を通して排出される。
【0047】
シール部材16がポート15から係合解除されるときにシール部材によってカバーされないように、カバー20の開口23を形成することができることが認識される。例えば、本体14は、その円周の周りに画定され、シール部材16の厚さよりも大きい側壁14aを有してもよい。この実施例による開口は、カバー20の内側面に係合するシール部材16がその開位置で変位されるときに、ノズル12からの燃料が側壁の開口を通して本体14を出ることができるように、側壁14aに画定される。
【0048】
別の実施例によれば、シール保持部材14の底部部分18は、カバー20のスナップ結合を可能にするように構成されたフランジ18aを含む側壁を含む。フランジ18aは、シール保持部材からの流体流れを促進する開口19により形成することができる。開口19は、タンクに向かう側面からのみの流体流れを促進するフランジの一方の側面に画定することができることが認識される。このようにして、開口が下向きに方向付けられ、それによって燃料がタンクに向かって沈下することを可能にするように、ドレン弁10をタンクの内部に配置することができる。
【0049】
他の実施例によると、カバー20は、シール部材16の直径よりも大きい直径を有することができ、また開口23をカバーの周辺の周りに形成することができ、この結果、シール部材がカバーの内側面の上に付勢されるときにも、開口がカバーされないままであり、ノズルからの燃料が本体14を通過して、開口23を通して本体から出ることを可能にする。
【0050】
本発明に開示した主題の実施例によると、シール部材16は、ポート15の直径よりも大きい直径を含む。このようにして、以下に詳細に説明するように、シール部材16のその開位置への変位を防止するために必要な圧力は最小である。
【0051】
図示した実施例によれば、入口ノズル12は、燃料蒸気付属品に形成された開口に導入されるように構成された挿入端部22を含む。
【0052】
図2Aは、
図1A〜
図1Dのドレン弁10を含むドレン構成50および円周壁部分56によって画定された開口54を有するパイプセグメント52の斜視図である。パイプセグメントは、燃料蒸気付属品の部分であることができるか、または燃料蒸気付属品に結合することができる。
【0053】
図示した実施例によれば、円形開口である開口54は、挿入端部22の直径よりも僅かに小さい直径を含む。パイプセグメント52は、それとのシール係合を可能にする可撓性材料から製造される。さらに、挿入端部22は、挿入端部が開口54に挿入されるときに、開口54の円周壁部分56とのシール係合を提供する材料から製造することができる。
【0054】
開口の直径と挿入端部22の直径との僅かな差のため、挿入端部22は、円周壁部分56が内側方向に僅かに曲げられるように円周壁部分に係合するようにさらに構成され、それによってリング状の折り目58(
図4Aに図示)を形成し、それによって開口54と挿入端部22との間のシール係合をさらに提供する。挿入端部22は、開口54の内部に配置されたとき、パイプセグメント52の内部に突出し、この結果、リング状の折り目58は挿入端部22に当接し、それによって挿入端部とのシール係合を提供することが指摘される。
【0055】
開口54の壁部分56によって形成されたリング状の折り目58の幅は、開口54の直径と挿入端部22の直径との差によって決定されることが認識される。すなわち、挿入端部22が開口54の内部に配置されるとき、開口はそれによって強制されて拡張し、壁部分56を内側方向に曲げて、リング状の折り目58を形成する。したがって、リング状の折り目58は、パイプセグメント52と挿入端部22との間の必要なシールを提供するために構成される幅を有することができる。さらに、挿入端部22は、いくつかの実施形態によれば、パイプセグメント52の内部に延びるようにかつその内壁から突出するように構成することができ、この結果、リング状の折り目58の全幅は挿入端部22を支承することが指摘される。すなわち、挿入端部22は、リング状の折り目58の幅による長さで構成される。
【0056】
開口54の直径と挿入端部22の直径と比率は、シール要件に従って決定することができることが認識されるであろう。例えば、材料が膨潤および膨張にさせられる燃料蒸気システムにドレン構成が利用される場合、比率は、挿入端部22の膨張および開口54の膨張が漏洩をもたらさないように決定することができる。一実施例によると、パイプセグメント52の材料は、挿入端部22の特性と同様の特性を有し、この結果、それらに対する燃料の影響はほぼ同様である。
【0057】
さらに、挿入端部22は、パイプセグメント52と入口ノズル12との間の流体連通を提供するボア24と、流体がパイプセグメントの壁部分に沈下してボア24に入ることを可能にするように構成された切れ込み25とを含む。言い換えれば、挿入端部22は、パイプセグメント52の内壁から突出するので、液位が挿入端部22の突出部の高さを越えるまで、パイプセグメントの周りに蓄積する液滴を入口ノズル12内に排出することができない。したがって、パイプセグメント52内の任意の液体随伴を入口ノズル12内に排出することを可能にするために、切れ込み25は、パイプセグメント内の液位がパイプセグメント52の内部の挿入端部22の突出部の高さよりも低いときでも、ボア24と挿入端部22の周囲との間に流体連通が可能にされるように構成される。
【0058】
したがって、切れ込み25は、パイプセグメント52内の圧力レベルが入口ノズル12の内部の圧力レベルよりも高くないときでも、パイプセグメント52からの液体の排出を可能にすることが認識される。すなわち、パイプセグメント52の内部の流体は、パイプセグメント52の内部の単なる圧力によっては入口ノズル12内に排出するように付勢されず、むしろパイプセグメント内の流体はその最も低い箇所に沈下する。したがって、パイプセグメント52は、ドレン弁10および入口ノズル12の上に配置することができ、それによってパイプセグメント内の流体が入口ノズル12内に沈下することを可能にする。したがって、挿入端部22に形成された切れ込み25は、入口ノズル12のボア24内への流体用通路を提供する。
【0059】
図1A〜
図2Bに示した特定の実施例によると、挿入端部22は、挿入端部の遠隔端部22aで画定され、かつ入口ノズル12に向かって増大変化する変化する外径により構成された先細り部分27をさらに含む。遠隔端部22aにおける直径は、開口54の直径よりも小さいかまたはそれと同一であり、それによって開口54を通した挿入端部22の挿入を容易にし、一方、直径は入口ノズル12に向かって大きくなる。したがって、挿入端部22が開口54を通してさらに押圧されるとき、先細り部分27の増大する直径は開口54の円周の壁部分56を内側方向に付勢し、それによってリング状の折り目58を形成する。
【0060】
本実施例では、挿入端部22は、挿入端部22の直径よりも大きい直径により構成された肩部部分29をさらに含むことができ、この結果、挿入端部22が開口54の内部に配置され、かつリング状の折り目58が挿入端部22に係合すると、肩部部分29はリング状の折り目58の縁部に当接する。したがって、肩部部分29は、開口54からの挿入端部22の変位を防止する停止部材として役立つ。
【0061】
図示した実施例によれば、肩部部分29は、挿入端部22の直径よりも大きい直径を含む先細り部分27の近位端によって画定される。したがって、挿入端部22は、開口54の直径よりも小さいかまたはそれとほぼ同一の直径により構成された遠隔端部22aを有する先細り部分27を含む。直径は、肩部部分29に向かって増大変化し、この場合、その直径は開口54の直径よりも大きく、またリング状の折り目58の直径とほぼ同一であるかまたはそれよりも大きい。挿入端部22は、肩部部分29と先細り部分27との間に画定され、かつリング状の折り目58とのシール係合を提供するように構成された係合部分31をさらに画定する。
【0062】
本実施例による切れ込み25は、遠隔端部22aと肩部部分29との間に延びる先細り部分27の長さに沿って形成されたスリットとして形成される。
【0063】
係合部分31の長さ(
図1Dにdとして図示)は、リング状の折り目58が一方で係合部分31にシール係合し、他方で肩部部分29に当接するように、リング状の折り目58の幅に従って構成されることが認識される。このようにして、挿入端部22は適所に確実に保持され、耐久性のシール係合を提供する。肩部部分29は、リング状の折り目58とのさらなるシール係合を提供するように構成することができることが認識される。
【0064】
次に
図3を参照すると、ドレン弁10は、燃料蒸気システム(図示せず)の燃料蒸気チューブ60、例えば燃料蒸気弁とキャニスターとの間に延びるチューブに取り付けることができる。図示した実施例によると、燃料蒸気チューブ60は、ドレン弁10がチューブの内部の燃料のタンク内への排出を可能にし、燃料がキャニスターに到達することを妨げるように、燃料タンク(図示せず)の内部に取り付けられる。
【0065】
図示した実施例によれば、ドレン弁10は、以下に説明するように、それを通した排出がサイフォンとして実施されるように上方に配置される。タンクの燃料蒸気システムが動作するとき、燃料液体はタンクに蓄積され、チューブは液体で詰まることがある。ドレン弁10の入口ノズル12は燃料で充填され、燃料の重力がシール部材16の内部面16aの上方に加えられる。タンクが取り付けられる車両が動作しているとき、燃料タンクの内部の圧力はタンクの外部の圧力よりも高く、したがって、シール部材16の外側面16aの上方に加えられる圧力は、シール部材とポート15との係合を維持する。このようにして、弁10はその閉位置にあり、タンクからの燃料蒸気はドレン弁10を通して燃料蒸気システムに入らない。この位置で、タンクからの燃料蒸気は、指定された燃料付属品を通して、例えば液体トラップを通して燃料蒸気システムにのみ入ることができる。
【0066】
既知のように、上部リザーバおよび下部リザーバ内の液体の間の重力ポテンシャルエネルギの差が高さの差に比例してサイフォンの頂部において減圧を残すときに、サイフォンが働く。
【0067】
したがって、タンクの内部の圧力が低減され、大気圧にほぼ等しいとき、入口ノズル12の内部の液体とタンクの内部の液体との重力ポテンシャルエネルギを克服するほど十分な力がない。この結果、シール部材はポートから付勢される。したがって、この点で、シール部材16は、ポート15からドレン弁10の開位置内に変位され、チューブからの液体は、ポート15およびカバー20に画定された開口23を通して燃料タンクに排出される。
【0068】
上に言及したように、シール部材16はポート15の直径よりも大きい直径を含むので、シール部材16のその開位置への変位を防止するために必要な圧力は最小である。すなわち、弁の周囲(例えば弁が取り付けられる燃料タンク)とポート15の内部との間のシール部材16の上方の圧力勾配は、力が分布される面積に対する力の比率として規定され、すなわち、
ここで、F
oは、シール部材16の出口面16aに加えられる力であり、またAは、力が加えられる出口面16aの面積である。したがって、シール部材16は、ポート16、ノズル12およびチューブ60の内部の燃料の重量によってその開位置に付勢されるので、出口面16aの上方に加えられるタンクの内部の圧力は、シール部材の移動を防止する対抗力として役立つ。したがって、入口面16aの圧力と出口面16bの圧力との差を示すΔPは、ポートの内部の液体によって及ぼされる重力を克服するために必要な圧力勾配力の量を規定する。
【0069】
したがって、ポート15の面積は、シール部材16の出口面16bの面積よりも小さいので、タンクからの圧力は、圧力が入口面16aに加えられた領域よりもシール部材のより大きな面積に加えられることが認識される。したがって、液体の力を克服するために必要な圧力の量は最小である。
【0070】
一実施例によると、ドレン装置10は、シール部材16が上方にまたは対角線上に上方に配置されるようにチューブ30に取り付けられる。このようにして、シール部材16の重力は、シール部材とポート15との係合の維持を促進する。しかし、タンク内の圧力が低減されるとき、調和な排出が促進され、チューブからの液体はシール部材16を持ち上げるように力を及ぼし、それによって、液体がポート15を通してかつ下方に燃料タンク内に排出されることを可能にする。
【0071】
本発明に開示した主題のいくつかの実施例によると、タンク内の液位がチューブ30の内部の液位より高いとき、シール部材16は、タンク内の圧力が大気圧にほぼ等しいときでも、ポート15と係合維持されることが認識される。このことは、タンク内の燃料が、チューブ30内の燃料によってシール部材の内部面16aに及ぼされる力に等しいかまたはより高い力をシール部材16の外側面16bに及ぼすという事実による。したがって、チューブ60からの燃料の排出を可能にするために、タンク内の燃料レベルがその最大能力の近くにあるときにのみ、ドレン装置が開口しないように、ドレン装置10をタンクの内部の高い箇所に配置することができる。
【0072】
燃料蒸気システムの液体の排出が妨げられたとき、燃料蒸気システムの内部の燃料は、タンクの燃料補給を防止し得ることを指摘したい。したがって、タンク内のドレン装置の高さは、タンクの望ましい最大の燃料補給レベルに従って決定することができる。
【0073】
蒸気チューブ60は、燃料蒸気処理装置、例えばキャニスターに向かって燃料蒸気を送出する燃料付属品チューブのセグメントであることができることが認識される。任意の蓄積する燃料液体は、ドレン構成を通して燃料タンクに向かって排出することができる。したがって、燃料タンク内の圧力レベルは、燃料蒸気システム、すなわちパイプセグメント内の圧力レベルよりも高い可能性があるので、圧力は、挿入端部22に力を及ぼし、さらに挿入端部を開口(図示せず)内に付勢する。したがって、挿入端部22が開口の内部にさらに付勢されるとき、パイプセグメントの内部に位置する係合部分の長さが増大し、それによって、リング状の折り目(図示せず)に係合するためのより大きいシール係合面積を提供する。タンクの内部の圧力レベルが蒸気チューブ60内の圧力レベルに等しいかまたはそれよりも低いとき、パイプセグメントからの燃料の排出が可能にされる。
【0074】
さらに、蒸気チューブ60は、燃料状態におけるその特性を維持することができる必要な耐久性を提供する材料から製造することができることが認識される。少なくとも円周壁部分は、リング状の折り目を形成することを可能にし、かつ燃料タンクの状態を前提として必要とされるシール特性を有する可撓性により構成される。
【0075】
図4は、燃料液体をタンクの内部の燃料蒸気から分離するために構成された液体トラップ70に取り付けられたドレン装置10を示している。燃料蒸気は、入口42を通して液体トラップ40に入り、燃料液体はトラップの内部に蓄積され、次に、ドレン装置10を通してタンク(図示せず)内に排出して戻される。
図3のチューブ60に関して上述した動作と同様に、液体トラップ40は、タンク内の圧力が大気圧とほぼ等しいとき、またタンク内の液位が液体トラップ内の液位未満であるときに、ドレン装置10によって排出することができる。
【0076】
燃料タンクにおける車両圧力の通常動作の過程の間、ドレン弁10のシール部材に力を及ぼし、それによってドレン弁のポートにシール部材を付勢する。この位置で、燃料蒸気は、ドレン装置のポートを通して液体トラップ40に入ることができず、液体トラップの内部に蓄積された液体をタンク内に排出することができない。しかし、燃料タンクのフィラーヘッドが例えば燃料タンクの燃料補給のために開口されるとき、タンクの内部と外部周囲との間の圧力平衡が生じる。タンク内の圧力が大気圧レベルに低減されるとき、液体トラップ40の内部の液体によって及ぼされた力は、ドレン装置10のポート15からシール部材16を付勢し、それによってタンクに液体を排出することを可能にする。この段階で、タンク内の低圧は、シール部材16の変位を防止する程度に十分な力をシール部材に加えない。
【0077】
タンクの燃料補給を促進するために、タンクに燃料を補給しようと試みるときにタンク内の燃料レベルが液体トラップの内部の燃料レベルよりも低いように、液体トラップを燃料タンクの頂部部分に取り付けることができることが認識される。
【0078】
さらに、タンク内の燃料レベルがドレン装置に到達するとき、燃料は、シール部材を付勢してポートに係合させ、したがって、燃料がドレン装置を通して燃料蒸気システムに入ることを防止することが認識される。したがって、燃料がドレン装置に到達するように車両が横転するかまたは傾斜した場合、シール部材は、燃料によってその閉位置に付勢される。
【0079】
本発明に開示した主題によるドレン装置は、したがって、タンクの最高の箇所にドレン装置を配置することを可能にし、タンク内の燃料レベルがほとんどその最高レベルになるまで、ドレン装置が動作することを可能にすることが認識される。このことは、ドレン装置がサイフォンとして動作することができ、したがって、上向きに配置することができること、およびドレン装置が最小の空間を必要とするという事実による。
【0080】
さらに、本発明に開示した主題によるドレン装置は、燃料蒸気システムからの燃料の受動的排出のために構成されることが認識される。
【0081】
本発明に開示した主題が関連する技術分野の当業者は、本発明の範囲から逸脱することなく、必要に応じて多数の変更、変形および修正を行うことができることを容易に理解するであろう。