【実施例】
【0025】
以下、本発明を実施例を挙げて詳述する。これらの実施例は単に本発明をより具体的に説明するためのものであり、本発明の範囲がこれらの実施例に制限されないことは当業者において通常の知識を有する者にとって自明である。
【0026】
下記実施例では、ヒラメに対する浸漬ワクチンの効果を確認したが、ウイルス性出血性敗血症が現れるヒラメ、ニジマス、大西洋サケ、ブラウントラウト、ギンザケ、マスノスケ、タラ、ターボット、イワシ、カタクチイワシなどの魚類にも制限なしに使用できることは当業者に自明である。
【0027】
実施例1:VHSワクチン製作及び実験群選択
1−1:VHSワクチン製作
VHSVウイルス菌株としては、発明者が以前分離したFP−VHS2010−1(NCBI accession no.KP334106.1)を不活性化させて使用した。
【0028】
製造方法は、VHSVに感染したヒラメの組織をMEMを添加して磨砕した後、培地で50倍、100倍希釈してウイルスを準備した。前記準備されたウイルス接種液の200ulを単層培養されたEPC細胞株に接種して室温で30分間吸着させた後、2%FBSと1%antibiotics(Gibco)を添加したMEM培地を入れて20℃で培養して細胞変性効果(EPC)を逆像顕微鏡を利用して観察した。CPEが確認されたウイルス培養液を集めて遠心分離で細胞を除去した後、上澄み液でTCID
50を決めた。正常細胞は同量のPBSを接種して前記のような条件で観察した。
【0029】
このように準備されたウイルスで60℃で3日間置いて不活性化させてheat inactivated vaccineを準備した。準備されたワクチンは、細胞に再接種して一週間観察して不活性化を確認した。濃度別にモンタナイドIMS1312VG(Seppic社)と混合して5分間浸漬してワクチン処理に使用した。
【0030】
1−2:試験魚選択及び実験群選択
VHSVに感染した履歴がないヒラメ養殖場(浦項(ポハン)、韓国)を選択して、real−time PCR法を使用して、VHSVに感染していないことを確認した。
試験魚は、VHSVに対する抗体価が現れない健康なヒラメ(14.1±0.1cm、25.5±1.5g)を選定して試験区当たり70匹ずつ収容して実験に使用した。試験用水槽は、300L FRP水槽を使用し、実験終了時まで流水式で管理した。
【0031】
実施例1で製造したVHSワクチンとアジュバントモンタナイドIMS1312VG(Seppic社)と混合して5分間浸漬した後、表1に提示された群別にワクチン処理に使用した。
【0032】
【表1】
【0033】
実施例2:VHS浸漬ワクチンの安定性確認
VHS浸漬ワクチンの安定性を確認するために、浸漬処理したヒラメに対して、病理組織学的検査と血液生化学的性状を分析した(
図1)。
【0034】
病理組織学的検査は、ワクチン処理第2週目及び4週目に各臓器に対する目視検査を実施して病理組織学的検査に必要な臓器を摘出した。
【0035】
その結果、ワクチン処理群と対照群で、副作用が見られずヒラメに安全であると判断されて、生検結果、アジュバントによる副作用はないことが確認された。
【0036】
ワクチン接種が試験の血液性状に及ぼす影響を調べるために、ワクチン処理されたヒラメの血液を採取して、Glucose、GOT,総タンパク質及び総コレステロール濃度を自動血液分析器を利用して測定した。
【0037】
その結果、グルコースの濃度は12.3±3.5〜31.0±19.3mg/dL、GOTは20.0±3.5〜39.7±6.4U/L、GPTは1.0±0.0〜8.4±42.3U/L、総タンパク質濃度は3.7±0.4〜4.6±0.2g/dLで示された(表2)。血清中のグルコース濃度、GOT(Glutamic oxaloacetic transaminase)、GPT(Glutamin pyruvic tranaminase)及び総タンパク質濃度は、すべてのワクチン接種区と対照区との間に有意な差が見られずアジュバントまたはワクチンによる副作用はないと判断された。
【0038】
【表2】
【0039】
実施例3:VHS浸漬ワクチン処理後、免疫関連遺伝子発現変化分析
VHSワクチン処理後、A〜F実験群の免疫関連遺伝子の発現パターン変化を確認するために、qPCRを実施した。
【0040】
実験区別RNeasy Plus Mini Kit(QIAGEN,Cat74136)を利用してTotal RNAを抽出してRNase−Free−DNase Set(QIAGEN,Cat79254)を処理した後、Total RNA qualityを確認してqPCRを実施した。Template cDNA 5ul(1/5 dilution)にPCR Premix AccuPower 2X GreenStar Master Mix(Cat.K−6253)、PCR Rxn.50ul/rxnで実施した。
【0041】
PCR条件は、下記の通りである。
Step 1:95℃ 分
Step 2:(95℃ 15秒、60℃ 1分)x45サイクル/scan
Step 3:65℃ 5分
Step 4:融解曲線分析 65℃〜95℃(1℃/秒)
PCR機械は、Exicycler TM 96 Real−Time Quantitative Thermal Block(Cat.K−2060)を使用して、データ分析は、2
−ddCtMethodを利用して相対定量分析を実施した。
IL−1β、IL−8、TNF及びIFN type 1に対するプライマーは、Bioneer社から購入して、残りのプライマーは表3に示された配列で製作した。
【0042】
【表3】
【0043】
ワクチン処理後免疫遺伝子発現率を確認した。
その結果、
図2及び表4に示された通り、アジュバント処理によって、IL−1βの発現が最も多く誘導されてTLR−7の発現率は変化がなかった。ワクチン処理後2週目、VHS immersion vaccine(アジュバント10g添加浸漬ワクチン群)の発現が誘導されて、8週目には注射ワクチンの発現誘導が最も活発であった(表4)。
【0044】
【表4】
【0045】
実施例4:VHS浸漬ワクチン処理によるヒラメのVHS感染予防効果確認
VHS浸漬ワクチンを処理したヒラメで、VHS感染に対して予防効果を有するか否かを確認するために、浸漬ワクチン処理後4週目及び8週目VHSVで感染させた後、生存率を調べた。腹腔注射法でヒラメを人為感染後、2週間累積斃死率を調べた。相対生存率は下記のように計算した。
相対生存率(%)=1−(試験区の累積斃死率/対照区の累積斃死率)×100
【0046】
その結果、
図3のAに示された通り、ワクチン処理4週目にVHSVを感染させたヒラメの累積斃死率は、対照区は85%ですべての実験区中最も高く、ワクチン浸漬区は65%、ワクチン注射区は35%、100gアジュバント添加浸漬ワクチン区は45%、50gアジュバント添加浸漬ワクチン区は15%、10gアジュバント添加浸漬ワクチン区は10%を示して、アジュバント濃度により感染防御能に差を示した。
【0047】
相対生存率は、ワクチン浸漬群が24%、ワクチン注射群59%、10gアジュバント添加浸漬群88%、50gアジュバント添加浸漬群82%、100gアジュバント添加浸漬群が27%であった。
【0048】
ワクチン接種8週目VHSVで感染させた後、防御能では
図3のBに示されたた通り、対照区の斃死率は65%である一方、注射ワクチンの斃死率は50%、100gアジュバント添加浸漬ワクチン区は40%、50gアジュバント添加浸漬ワクチン区は30%、10gアジュバント添加浸漬ワクチン区は20%、アジュバント非添加浸漬ワクチン区は80%で、アジュバントを添加しなかったワクチンの場合はワクチンの効果がないことを確認した。また、アジュバント濃度により感染防御能に差を示した。
【0049】
以上、本発明の内容の特定の部分を詳述したが、当業界における通常の知識を持った者にとって、このような具体的な記述は単なる好適な実施態様に過ぎず、これにより本発明の範囲が制限されることはないという点は明らかである。よって、本発明の実質的な範囲は特許請求の範囲とこれらの等価物により定義されると言える。