(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
本発明は、概して血管内超音波イメージング(IVUS)に関する。より詳細には、本発明は、パルス圧縮及び周波数合成を用いて高コントラスト解像度及び高空間解像度を備えた新規のIVUSシステムを記載する。
【0003】
IVUSイメージングは、一般に冠状動脈疾患の診断のため、さらに典型的にはステントの配置である経皮的冠動脈形成術を誘導するために実行される。
【0004】
破裂しやすい動脈硬化病変、いわゆる脆弱性プラークは、介入心臓病専門医にとって一層の関心の対象となっている。プラーク破裂の大部分の原因となると考えられる脆弱性プラークの一種は、ひ薄化線維性被膜粥腫(thin-cap fibroatheroma)であり、これは薄い(<65 μm)線維性被膜が、力学的に不安定な脂質に富んだ又は壊死性のコアの上に覆い被さっているものである。現在市販されているIVUSシステムは最大40 MHzでしか動作せず、概ね100 μmに限られた軸方向解像度を備えている。結果として、現在市販されているIVUSシステムは、脆弱性プラークの被膜厚さを測定できない。
【0005】
現在市販のIVUSの解像度は、血管が配置後に治癒する際にステント上に形成される薄層の組織である新生内膜の特徴を記述するには不十分である。ステントストラットの視覚化を向上させ、それらの並置をより高い解像度イメージングで評価できるはずである。血栓、小切開、及び小規模の石灰沈着などの他の病理学的な対象となる特徴は、より高い解像度のイメージングを使えば視覚化が向上可能である。
【0006】
一般に、IVUSシステムの空間的解像度を向上させるためには変換器周波数を増大させる必要がある。しかし、イメージング周波数が増大すると、血液組織と非血液組織とのコントラストが減少することにも繋がり、これが内膜プラークから血液が充満した内腔をセグメント化することを困難にする。変換器周波数を増大させると高い組織減衰も起こり、これが信号対雑音比の低下に繋がり且つコントラスト解像度の低下に至ってしまう。テオの米国特許第5,876,343号に記載されているように、幾つかの自動セグメント化アルゴリズムは、血液と非血液組織の周波数依存超音波特定を利用するものもある。実時間の自動セグメント化ツールは頻繁にエラーを起こしやすく、これが臨床診療での有用性を低下させてしまう。
【0007】
多周波数イメージングシステムの従来技術の例は、米国特許第5,876,343号及び第6,139,501号並びに米国特許出願公開第2011/0087104号に開示されており、それぞれの内容全体はここに引用して援用する。
【0008】
多周波数IVUSイメージングも、多数の変換器イメージングカテーテルの使用によって概ね達成できる。しかし、多数の変換器は、使い捨てイメージングカテーテル及びイメージングシステムの複雑性とコストを増大させる。別々の変換器からの画像を位置合わせする潜在的な必要性によってそれらの実用性がさらに難しくなる。
【0009】
冠状動脈診断を向上させるためのより高いコントラスト解像度を実現すると同時に、ステント治癒及び脆弱性プラークの特性を記述するのに十分な空間的解像度ももたらす技術に対する必要性が存在する。さらに、そうした技術が複数の画像間での位置合わせ工程を必要としないことが望ましい。さらに、そうした技術は、既存の市販システム及びカテーテルに比べて、システム及びカテーテルの複雑性並びにコストを実質的に増大させないことが望ましい。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次の説明は、請求項に記載された主題を完全に理解するために、具体的な詳細を含めた様々な例を示す。しかし、通常の技能を備えた当業者であれば、本明細書で開示された1つ又は複数の具体的な詳細が無くても実施できることは理解できるはずである。さらに、他の状況では、請求項に記載された主題を不要に曖昧にさせないため、周知の方法、手順、システム、構成要素、及び/又は回路は詳述されていない。次の詳細な説明では、その一部をなす添付の図面を参照する。これら図面では、類似の記号は、文脈からそうでないことが示されていなければ典型的には類似の構成要素を示す。詳細な説明、図面、及び特許請求の範囲に記載されている例示的な実施形態は、限定を意図したものではない。本明細書に示された主題の要旨及び範囲から逸脱することなく、他の実施形態を使用することもでき、その他の変更も可能である。本開示の側面は本明細書で一般的に記載され且つ図面に示されているとおり、種々多様な異なる構成で配置し、置換し、組合せ、且つ設計できるが、これらは明示的に考慮され且つ本開示の一部となることは容易に理解されるはずである。
【0016】
一般に、本発明のIVUSカテーテル及びイメージングシステムは、患者の血管系に経皮的に導入されるよう構成された遠位端を備えた延伸本体を具備したカテーテルを含むことができる。さらに、このカテーテルは、該カテーテルの延伸本体に挿入又は収容されるよう構成されたイメージングアッセンブリを含むことができる。このイメージングアッセンブリは、概ねこのカテーテルの遠位端に又はその近傍に位置した圧電変換器に接続された1つ又は複数の電線管を含むことができる。これら電線管及び圧電変換器は、カテーテルの遠位端から離れる方向で標的組織に向けられた超音波エネルギーを放出するよう構成できる。このイメージングアッセンブリは、反射超音波エネルギーを受け取るようさらに構成できる。このイメージングアッセンブリは、カテーテルの周りの全半径方向で円周沿いに超音波エネルギーを放射し且つ受け取るように、カテーテルの長手方向軸の周りを回転するよう構成されている。
【0017】
本発明のシステムは、パルサー及び受信器を含む画像プロセッサをさらに含むことができ、この画像プロセッサは、イメージングアッセンブリに動作可能に接続されると共に、符号化された多周波数又は広帯域波形信号をパルサーがこのイメージングアッセンブリに与えるよう構成されており、この信号は、圧電変換器に超音波エネルギーを標的組織に向けて放射させる。この画像プロセッサは、受信器が反射エコー信号を圧電変換器から受信し、受信波形信号を生成するよう構成されている。この受信器は、受信波形信号を復号し、次に、全帯域幅信号を含む複数の個別のサブバンド信号に分解し、各サブバンド信号を個別に処理し、次に、これら複数のサブバンド信号を、冠状動脈のような標的血管内組織又はステントなどの構造体を表す1つ又は複数のイメージング信号に再構成するようにさらに構成できる。
【0018】
新規の周波数合成(Frequency Compounding)及びパルシング方針、システム、並びに方法
図1aは、高コントラスト及び高空間的解像度を同時に達成することを意図したIVUS信号生成及び処理の第1方法のフローチャートを示す。圧電変換器100は、送信/受信(T/R)スイッチ102を介して選択された励起パルサー101によって励起させることができ、圧電変換器100に標的組織に向けて超音波エネルギーを照射させる。変換器100は、圧電磁器/ポリマー複合変換器、圧電性単結晶Pb(Mg1/3Nb2/3)O3-PbTiO3 (PMN-PT) 及び Pb(In1/3Nb2/3)O3-Pb(Mg1/3Nb2/3)O3-PbTiO3 (PIN-PMN-PT)複合変圧器でよい。変換器100は、1つ又は複数の整合層を含むことができる。変換器100は、円形、正方形、又は他の適切な形状としてよい。
【0019】
変換器100により受信された帰還エコー信号は、次にT/Rスイッチ102を介して帯域フィルタ103に送信できる。ここで、励起パルサー101は、通常のパルサー又は後述するように例えばチャープパルサーのような符号化パルサーでよい。そして、受信された信号は、低ノイズ利得増幅器104を介して増強され、次に時間利得補償(TGC)105が実行されて、深さに依存した組織減衰の影響を低下させる。次に、この信号は、アナログ/デジタルA/D変換器107に進む前にアンチエイリアシング帯域フィルタ106を通過できる。
【0020】
デジタル化されたこの無線周波(RF)信号は受信したエコー信号を表し、復号化ブロック108を通過でき、これは選択された励起パルサー101に対応する。次に、復号化された信号はフィルタバンク分析動作109を経ることができ、すなわち複数のサブバンドデータが生成できる。このフィルタバンク分析は、信号を異なる周波数特性を備えた多数の成分(サブバンド)に分解するための広く使用されている一群のツールでよい。例示的なグループのフィルタバンク分析は離散ウェーブレット分解である。各サブバンドデータに関して、対応するクリーンアップブロックは、例えば組織構造などの興味の対象となる特徴を増強し且つ血液スペックルのようなノイジースペックルなどのアーティファクトを抑制するよう設計できる。クリーンアップ処理の後、処理済みサブバンドデータはフィルタバンク合成ブロック110を通過させることができ、これにより単一チャンネルRF信号が生じる。フィルタバンク合成ブロック110は、フィルタバンク分析ブロック109に対応し、再構成のためにサブバンドデータを組み合わせる。そうした再構成の一例は離散ウェーブレット再構成とすることができる。幾つかの実施形態では、このフィルタバンクは、サブバンドデータを組み合わせる線形演算でよい。他の実施形態では、サブバンドデータを組み合わせるフィルタバンクの演算は非線形でもよい。すなわち、サブバンドデータセットは適応的な方式で(すなわち、値の差、値の比などに基づいて)組み合わせてもよい。
【0021】
この説明の目的では、フィルタバンク分析109とフィルタバンク合成110との間の動作を合わせて周波数合成(frequency compounding)という。
【0022】
フィルタバンク合成110の後、RF信号は、標準的なミクサ、低域フィルタ、ダウンサンプリング、及び振幅動作を含む包絡線検波のため復調ブロック111を介して復調できる。次に、包絡線信号は、例えば時間利得補償(TGC)及びログ圧縮などの標準的な後処理112を通過できる。包絡線信号(極領域(polar domain)で収集できる)をデカルト領域に走査変換器114を介して変換する前に、このデータは標準的な画像向上ブロック113を通過させて、コントラスト制御及びスペックル除去動作を介してIVUS画像の視覚化を増強できる。
【0023】
図1bは、IVUS信号パイプラインの第2の例示的方法のフローチャートを示す。
図1aと比較すると、幾つかの動作はフィルタバンク分析109前に実行できる。異なるサブバンドデータが生成された後は、各サブバンドデータは、対応するクリーンアップブロックに入る前に、それぞれの変調ブロック及び後処理ブロックを通過させることができる。得られた処理済みサブバンドデータは、次に、画像向上ブロック113及び走査変換ブロック114に入る前にフィルタバンク合成ブロック110を介して組み合わせできる。
【0024】
図1cは、
図1aの周波数合成動作の拡張例を示す。復号の後のRF信号は、2レベル離散ウェーブレット分解を通過させることができ、このウェーブレットは単純なハールウェーブレットでもよいし、より複雑な一般ドベシーウェーブレット又は別のウェーブレットでよい。この2レベルウェーブレット分解を用いて、先ず高周波のサブバンド_H及び低周波のサブバンド_Lを第1レベルにおいて生成し、続いてサブバンド_Lは、さらに第2レベルでそれぞれサブバンド_LL及びサブバンド_LHに分解できる。そうした分解に続き、サブバンド_Hは微細スケールの高周波成分を含み、サブバンド_LLはより粗いスケールの低周波成分を含み、サブバンド_LHはより粗いスケールの高周波成分を含む。各サブバンドについて、対応するクリーンアップ動作を別個に実行できる。例えば、サブバンド_Hに関し、ノイズ除去動作は所定の閾値を上回る係数を保存するもので、スペックルノイズを抑制するために使用できる。サブバンド_LHに関し、ノイズ除去動作は線形/非線形フィルタを使用でき、より粗いスケールのスペックルノイズをさらに抑制するために使用できる。サブバンド_LLに関し、貫通深さ(depth penetration)を増強するために、深さ依存の利得/ガンマ修正を使用できる。クリーンアップ動作後に、処理されたRF信号は2レベル離散ウェーブレット再構成を介して再構築でき、その後に
図1aに示したその他のステップが行われる。
【0025】
幾つかの実施形態では、異なる周波数サブバンド信号及び個別のサブバンド処理を使用してスペックル抑制及び特徴抽出を実行できる。例えば、低周波数サブバンドは良好な血液スペックル抑制を備え、これは血液スペックル抑制のマスクを得るために直接使用できる。「マスク」という用語は、例えば、ゼロ(0)といち(1)のみを備えた2次元行列などのバイナリマップなどのマップを説明するために使用されており、ここでは1は血液スペックルの領域を示し、ゼロは非血液スペックル領域を示す。このマスクは、ユーザが血管内腔のような重要な特徴を識別し易くする助けとするためのオーバーレイとして使用してもよい。このマスクは、境界における連続性を改善又は向上させるため独立して処理してもよい。他の実施形態では、低周波数サブバンド及び高周波数サブバンドを組み合わせて、一般的なスペックル抑制のマスクを得ることができる。血液スペックルは、近接場(near field)で識別される重要な特徴となりうる。
【0026】
他の実施形態では、複数のサブバンド信号を用いて、特徴検出及び対応する特徴向上のため組織信号の異なる周波数応答に基づいてマスクを得ることができる。更なる実施形態では、こうした生成されたマスクは、加法又は乗法演算のいずれかを使用することによって全帯域幅信号と組合せできる。
【0027】
図1dは、
図1bの周波数合成動作を実行する一実装例を示す。復号後のRF信号は、3つの異なる帯域フィルタを並列で通過させることができ、すなわち、変換器の固有の中心周波数よりも低い中心周波数を備えた帯域フィルタ1と、変換器の固有の中心周波数よりも大きい中心周波数を備えた帯域フィルタ2と、変換器の全帯域幅をカバーする整合フィルタとである。例えば、50MHzの固有中心周波数と100%帯域幅とを備えた圧電変換器については、フィルタ1は、25MHzから45MHzまでの通過帯域の範囲を備えるよう選択してよく、フィルタ2は、55MHzから75MHzまでの通過帯域の範囲を備えるよう選択してよく、整合フィルタは、25MHzから75MHzまでの通過帯域の範囲を備えるよう選択してよい。
【0028】
従って、対応するサブバンドデータは、低周波、高周波、及び全帯域幅の情報を提供できる。すると、各チャンネルは、
図1bに示したもののような復調及び後処理ブロックを通過させることができる。
図1bに示したサブバンドクリーンアップ動作は、
図1dの特徴抽出ブロックに集約されている。興味のある特徴(遠距離場での血液スペックル及び組織など)が、低周波数及び高周波数サブバンドの両方で捕捉できる。従って、特徴抽出ブロックは、例えば、低周波数サブバンド(正の重みをつけた)と高周波数サブバンド(負の重みをつけた)との線形結合など、これら2つのサブバンドからの情報のみを使用できる。全帯域幅サブバンドは完全な空間解像度を維持し、そして、これを画像統合ブロックを介して特徴抽出からの特徴マップと組み合わせてもよい。この画像統合ブロックは、加法、乗法、畳み込み、又は他の演算を含むことができ、
図1bのフィルタバンク分析に対応する。
【0029】
幾つかの実施形態では、サブバンドの指定は、興味のある特徴をユーザが指定且つ変更できるようにユーザによって調節又は選択可能である。
【0030】
別の実施形態では、データ平均化/合計(整合的に)は、合成110の後に異なる周波数パルスで実行でき、より広い帯域の信号が得られ詳細及びコントラスト解像度が向上する。
【0031】
図1eは、
図1dに示した周波数合成方法の代表的な実装例を示す。この図は、異なる動作がどこで物理的に実行されるかを示す。A/Dブロック107前のすべての動作100-106は、アナログ回路を使用してアナログ領域で実行できる。A/D 107とスリップリングとの間のすべての動作は、IVUSカテーテルと一体回転可能な利用者書き込み可能グリッドアレイ(FPGA)又はデジタル信号プロセッサ(DSP)チップに実装できる。スリップリング後の残りの動作は、例えば、FPGA、DSP、画像処理装置(GPU)、中央処理装置(CPU)などの固定プリント回路基板に実装できる。また、この構成は、
図1a-1cに示した方法の動作に適用できる。
【0032】
図1fは、
図1dに示した周波数合成方法の別の代表的な実装例を示し、異なる動作が物理的にどこで実行されるかを示すことを主眼とする。この例では、A/D107前のすべての動作100-106は、アナログ回路介してアナログ領域で実行できる。A/D 107とスリップリングとの間のすべての動作は、カテーテルと一体回転可能なFPGA 又はDSPチップで実装できる。残りの動作は、プリント回路基板を用いて実装できる。
【0033】
図1gは、本発明による周波数合成方法の様々な動作のための物理的な構成の別の例を示す。この図は
図1eの拡張を示す。画像統合ブロックの出力と帯域フィルタ2チャンネルからのデータとは、例えば、帯域フィルタ2チャンネルからのデータを画像統合ブロックからのデータ後にパディングするなど、データ連結ブロックを介して結合できる。このデータは、スリップリングの後で、データ分離ブロックを介して取り出しできる。画像統合ブロックからのデータは、良好な空間及びコントラスト解像度を備えた横断IVUS画像視覚化に使用できる。同時に、帯域フィルタ2チャンネルからのデータは組織特性決定には十分であり、例えば、低周波数サブバンド画像では血液スペックル抑制は十分であり、よって内腔検出が容易になる。帯域フィルタ2チャンネルからのデータは、比較的小さい帯域幅(例えば、25 MHz-75 MHzの通過帯域と50MHzの帯域幅を備えた変換器と比較して、25 MHz-45 MHzの通過帯域と20MHzの帯域幅を備えたフィルタ2)でよいため、より高いダウンサンプリングレート(例えば2倍の高さ)を使用してもよく、より少ない量のデータがエイリアシングなしで送信できることは注目すべきである。
【0034】
カテーテルの延伸遠位端の詳細は
図1hに示した。回転可能イメージングアッセンブリ202は、該アッセンブリを組織及び循環する血液から分離するため外装201内に収容できる。回転可能イメージングアッセンブリ202は、外装201内でイメージングアッセンブリ202の回転及び軸方向運動を促進するための編み組トルクケーブル203を含むことができる。このイメージングアッセンブリは、1つ又は複数の電線管205により作動される超音波振動子100をさらに含む。超音波振動子100は、超音波エネルギーを血管壁に向けて放射し、該血管壁から反射されたエネルギーを受け取るよう構成できる。
【0035】
所望のチャープ波形は、次の制約を備えた従来のアプローチを介して達成できる。それらの制約とは、(i)近接場が縁効果により犠牲にならないような限定された持続期間及び/又は、(ii)波形は、周波数依存の組織減衰を補償するよう重み付けでき、且つ/又は(iii)波形は、受信したエコー信号でリンギングアーティファクトを生成することがあるレンジローブを抑制するようアポダイズする(重み付けする)できる。
【0036】
サブバンド分解原理を以下詳述する。フィルタバンク分析又は通常の線形フィルタリングを用いたサブバンド分解の目的は、興味のある組織特徴を異なるサブバンドに集約、分類、及び抽出することである。これによって、これら興味のある特徴を組み合わせることで、画像向上をこの分析の後の段階で実行できる。例えば、もしユーザが血液スペックルに興味があれば、中心周波数F2が高周波数範囲にあるサブバンドを用いてより高強度の血液スペックルを与えることができ、一方、ユーザが遠距離場の組織データに興味があれば、中心周波数F1が低周波数範囲にあるサブバンドを用いて遠距離場の組織データをより多く保存でき、ユーザが高解像度の画像に興味があれば、全帯域幅画像を用いて組織をより高い解像度で表示できる。
【0037】
用途によっては、幾つかの特徴は他の特徴からより分離している必要がある。これらの場合は、比較的小さい帯域幅を各サブバンドに選択でき、これらは互いに重ならないようにする。より高解像度の特徴を抽出することが好ましい場合は、比較的大きい帯域幅を各サブバンドに選択でき、これらは互いに重複しないようにする。
図2d及び下記の記載を参照のこと。3つ以上の特徴に興味があれば、データ全体を、
図2c、2e、及び2fに示し且つ後述するもののような3つ以上のサブバンドに分解すればよい。
【0038】
用途によっては、異なる複数のサブバンドには同一の又は異なる帯域幅を指定でき、こうしたサブバンドは、超音波振動子100の中心周波数に対して対称又は非対称とすることができる。
【0039】
フィルタバンクに基づいた分析がサブバンド分解に使用されるときは、対応するフィルタバンクに基づいた分析が、個別のサブバンドから画像を優雅に再構成するために使用できる。代替的には、ユーザは、サブバンド画像の線形又は非線形結合を介して画像を再構成することを選択してもよい。
【0040】
図2aは、時間領域についてのIVUSエコー応答の一例を示す。周波数領域でのその対応するパワースペクトルは
図2bに示した。
【0041】
図2cは、フィルタバンク分析におけるサブバンド区分の一例を示す。ここではF1、F2、及びFcは、それぞれ低周波、高周波、及び全帯域幅情報を備えたサブバンドの中心周波数に対応する。これら低周波数サブバンドも高周波数サブバンドも全帯域幅サブバンドの周波数範囲内であることが示されているが、互いに重なっていない。
【0042】
図2dは、フィルタバンク分析におけるサブバンド区分の別の例を示す。
図2cに示した例と比べると、低周波数サブバンドと高周波数サブバンドとが重なっていてもよい。
【0043】
図2eは、フィルタバンク分析におけるサブバンド区分のさらに別の例を示す。
図2cに示した例と比べると、中心周波数Fcを備えた全帯域幅サブバンドに加え、F1、F2、F3、F4の中心周波数を備えたサブバンドが採用されており、異なる周波数範囲からのより洗練された情報が抽出できる。他の実装例は、2つ又は4つ以外の中心周波数を含んだサブバンドを含むことができる。
【0044】
図2fは、フィルタバンク分析におけるサブバンド区分のさらに別の例を示す。
図2eと比べると、これら中心周波数F1、F2、F3、F4のサブバンドは重なっていてもよい。
【0045】
図3aは、時間領域におけるチャープパルスの一例を示し、これは低周波数F_L0から始まり高周波数F_H0で終わる。
【0046】
図3bは
図3aのチャープパルスの一例を示し、これは選択した窓関数で重みづけられている(これは例えば
図3aのチャープパルスをガウス関数で乗算することで生成できる)。この窓関数を用いて画像の潜在的なレンジローブ(パルスのサイドローブ)を抑制することができ、これが空間的解像度を向上できる。例えば、50%チューキー(Tukey)関数を用いた乗算窓を選択できる。適切な窓を選択することで、復号化チャープ信号はサイドローブの数、すなわち本当の信号付近のより小さく且つ少数のリンギング信号アーティファクトが減少する。
【0047】
図3c及び3dは、同じ開始及び終了周波数を備えるが、持続時間が異なるチャープパルスの2つの例を示している。
図3dはより長いパルス持続時間を示し、対応する復号化信号は、信号対雑音比が高いためより良好な貫通深さを備えることができる。大きな視野を必要とするイメージング用途では、持続期間が長いパルスを使用できる。一例では、信号対雑音比は、200nsの持続時間を備えた
図3cのチャープパルスと比べて、400nsの持続時間を備える
図3dのチャープパルスでは6dBだけ上昇できる。
【0048】
図3e-3gは、持続時間は同じだが周波数範囲が異なるチャープパルスの3つの例を示している。
図3eのチャープパルスは、広い周波数範囲[F_L1, F_H1は、例えばそれぞれ20及び80 MHzで、200 ns持続期間]を備え、これが、より良好な空間的解像度で広い範囲から組織情報を捕獲できる。
図3fのチャープパルスは、比較的狭い周波数範囲[F_L2,F_H2は例えばそれぞれ20及び30 MHzで、200 ns持続期間]を備え、F_L2=F_L1且つF_H2< F_H1であるが、対応するより低い周波数範囲で比較的エネルギーが大きい。これにより低周波数応答の組織データがより多く保存されることになる。
図3gのチャープパルスは、比較的狭い周波数範囲[F_L3,F_H3]を備え、F_H3=F_H1且つF_L3> F_L1であるが、対応するより高い周波数範囲で比較的エネルギーが大きい。これにより、高周波数応答の組織データがより多く保存されることになる。
【0049】
このチャープパルサーは、開始周波数から終了周波数まで連続的に掃引するよう動作させることができる。例えば、ベーカーコード及びゴレイコードなど、他の形式の多周波数波形信号も、本発明の目的で使用できる。これらは、0又は-1及び1である2つの離散値を備えた例示的な二進コードである。チャープ信号と同様に、これらコードは、長いパルサーを使用することで、パルス圧縮を介して良好な空間的解像度を維持したままで超音波振動子により多くのエネルギーを伝達できる。ベーカーコードを用いた符号化の例を
図3h-3jに示した。
図3hは例示的なベーカーコードを示し、
図3iは従来のシステムで使用されるバイポーラパルスであり、
図3jは、
図3iを
図3hで変調することによるべーカー符号化パルサーである。得られるベーカー符号化パルサーは、良好なパルス圧縮特性を持つ多周波数範囲を備え、波形の一区分から別の区分へのスイッチングが、超音波振動子において遷移周波数変化を必然的に引き起こす。
【0050】
上記の説明から、「多周波数波形」という用語は、本明細書ではチャープ符号化方法とベーカーコード及びゴレイコードを含む二進符号化方法との両方を指す。
【0051】
図4aは均一パルサー信号分布の図であり、ここでは同じパルサー信号P1、P2、P3などを用いて圧電変換器100を励起させ、各aラインを形成するようエコー信号を受信できる。それに比べ、
図4bは不均一パルサー信号分布の図を示し、ここでもなお同じパルサーを使用でき、Pm_1乃至Pm_n (m = 1,2, 3など)により励起された圧電変換器100から受信した受信エコー信号を結合して(線形又は非線形に)単一のaラインを生成できる。線形結合は、例えば標準的なボックスカー平均演算として実行できる一方で、非線形結合は、例えば中央値フィルタリングとして実行できる。得られたaラインは、ある程度の運動アーティファクトを犠牲にして比較的高い信号対雑音比を備えることができる。例えば、n = 4且つ線形ボックスカー平均を使用すれば、信号対雑音比で6 dBまでの改善を得ることができる。
【0052】
幾つかの実施形態では、インターaラインフィルタリング(aライン平均)を復号化ブロックの動作の前又は後に実行できる。この場合、信号対雑音比を増大するための他の線形又は非線形フィルタリング動作に加え、隣接するaラインのボックスカー平均も利用可能にできる。
【0053】
後に詳述するように、様々な符号化パルサーをこの目的で使用できる。そうした符号化パルサーの例は、チャープ符号化、ベーカー符号化、ゴレイ符号化、及び本発明の分野で他の公知のものを含む。信号が符号化励起を用いたシステムから直接受信され、パルサーがパルス圧縮を実行するよう慎重に構成されていれば、その信号は、パルスによって符号化された超音波振動子のインパルス応答信号として見ることができる。従って、高い信号対雑音比(雑音レベルを同一に維持したままでの信号増強により)と小さいレンジローブ(類似の解像度を維持するため)とを備えた信号を取り出すには、適切な復号化が必要となりうる。この目的で使用可能な1つの復号化方法は、励起パルサーを用いた整合フィルタリングでよい。幾つかの例では、慎重に選択した重み関数を、レンジローブを抑制するため整合フィルタリングで使用できる。
図5a-5dは、符号化及び復号化処理の一例を示す。
図5aは、従来のユニポーラパルスを用いて収集されたエコー信号を示し、この信号が基準としての役目を担うことができる。
図5bは重みづけチャープ励起パルスを示し、
図5cは対応した受信エコー信号を示す。長い励起パルスによって、この直接受信されたエコー信号はより長い持続時間を備え、これが解像度の低下に繋がる。
図5dは、
図5bのパルサーで
図5cの生エコーに整合フィルタリングを実行した後のエコー信号を示す。復号化エコーは比較的低いノイズフロアを備え、よってエコー持続時間が短くなる一方で信号対雑音比が高くなることに注目すべきである。
【0054】
上述の信号処理方法では、より高いコントラスト解像度が可能となり(チャープ及び周波数合成を介して)、内腔境界判別などのより良好な境界識別が実現する。さらに、本発明の方法は、より高い空間的解像度を達成することも可能であり(広い帯域幅の変換器の使用によって)、例えば内膜プラークキャップ厚さなどの特徴のより良好な識別が実現する。
【0055】
符号化パルサーの説明
以下に本発明の新規の符号化パルサーの動作及びハードウェアの原理を説明する。超音波振動子100を作動させて超音波信号を放射させるには、多周波数又は広帯域パルス波形が必要である。この多周波数波形はこの符号化パルサーによって生成できる。波形はこのパルサーにより所定の周波数範囲をスイープすることによって生成できる。良好な空間的解像度を維持しつつ信号対雑音比を向上させるためには、様々なパルシング圧縮技法(チャープ、ゴレイ、ベーカーなどのコード変調励起)を採用できる。
【0056】
デジタル/アナログ変換器(DAC)を使用して、デジタル生成されるチャープ波形で上述したように超音波振動子100をパルス動作させることができる。さらに、低インピーダンス変換器を±40V付近の電圧で駆動できる増幅器を使用してもよい。反復可能で低歪みの波形によって、チャープ脱相関器(de-correlator)が、受信した符号化データを正確に検出できる。幾つかの実施形態は、高解像度IVUSの符号化パルサーは、次の内の1つ又は複数の特徴を含むことができる。
・ 10 MHz未満から 70 MHz以上までの波形周波数。
・ ±40Vピーク波形を概ね50オーム変換器に。
・ 100pS未満のIVUS取得に関する波形ジッタ。
・ 高調波成分をEMI限界未満に維持するための低高調波歪み。
・ 低デューティサイクル: <1 : 300 出力波形は、4パルス×4 KHz (16 KHz = 62.5μs)の繰り返し率で~200 nSにわたり能動的である。
【0057】
幾つかの実施形態では、パルサーは、低消費電力、低部品コスト、及び/又は低プリント回路基板コストを備えることができる。
【0058】
DACサンプルレートは、必要な最大IVUS周波数の関数でよく、このIVUS周波数は、非限定的な一実施形態では70Mhzを上回ることができる。一実施形態では、このIVUS ADCは300 MHzで動作できる。低いジッタ(例えば、100pS未満)が発生するのは、パルサーDAC及びADCが同じクロックで又は同じクロックの整数約数で動作する場合である。上端では、パルス歪みはサンプルレートを制限することがある(例えば、最大約300 Mhz)。一実施形態では、300 MHzをパルサーのサンプルレートとして選択できる。300 MSを70 MHzで除算すると、70 MHzでサイクル毎に4.3サンプルとなり、これは適度なオ―バーサンプリングをもたらしうる。
【0059】
幾つかの実施形態では、限定されたオーバーサンプル周波数を補償する機能は、例えばゼロ次保持sincロールオフなどの一定の波形歪みで向上させることができる。
【0060】
この回路は、低デユーティサイクル特性を利用できる。高いピーク電流及び電圧を取り扱うように定格を設定された構成要素は、物理的に大きくなり、よって高い容量及び誘導寄生を備えることがある。本発明の目的で採用できるこの低デューティサイクルのため、電力損及び温度上昇を最小化でき、これによって寄生が低い物理的に小さく速い構成要素が使用可能となる。
【0061】
幾つかの実施形態では4ビット設計アプローチを使用でき、別の実施形態では他のビット設計アプローチも使用できる。
【0062】
図6を参照して4ビットの代表的回路トポロジーを以下説明する。使用されている回路トポロジーの電流実装は、大電流、高電圧の直接DACである。4ビット波形DACは、4ビットバイナリ・バイポーラ −3ビット変換器301を介し、電圧利得段304及び305により増幅され且つ変圧器306を介して結合された2つのユニポーラ3ビットバイナリ化(binary scaled)DAC302及び303からなり、信号接地に対して4ビットバイポーラ出力信号を与える。出力レベルは0を中央目盛とする±7である。16番目のコードは非対称となるため、使用しない。0のコードでは、これらDACに電流は流れないため消費電力を最小化できる。これがアイドル状態である。DAC入力がゼロでないときだけ電力が消費される。これを別の低出力DAC及び増幅器で達成するには、この増幅器は、零入力電流がないB級増幅器として動作させる必要があるが、これは交差歪みの原因となりうる。零入力電流は、この増幅器がAB級として動作するように増大させてもよいが、これは高い零入力電力を使用することになる。この変圧器は直流電流を通すことができないので、波形は0に対して対称でなければならない。従って、ユニポーラ波形は使用できない。
【0063】
他の実施形態では、0コード以外を中央目盛として使用してできるが、アイドル状態時には対応して消費電力が増大する。
【0064】
素子302及び303のDACトランジスタは、公称1ナノ秒の上がり下がり時間を備え、非常に高速でスイッチングする必要がある。論理信号のトランジスタ電流利得(ベータ)、帰還容量(CCB)、及び出力インピーダンス(駆動電流)は、適切な構成要素の選択を定める限定要因である。
【0065】
3.3Vの高出力駆動電流を備えた小電圧差動信号伝送方式(LVDS)受信器をこのDACを駆動するため選択できる。5V、500 mAの定格で、Ft >10 GHzであるRFトランジスタをこの段に選択できる。このDACのビットはバイナリ重みをつけ、各ビットが次の最小桁のビットの電流を二倍にできる。
【0066】
素子304及び305の回路構成は、一般に「カスコード」増幅器として知られている。この構成では、DAC出力電流は、共通ベース出力トランジスタ305及び306のエミッタ電圧増幅器に接続できる。ここではカスコード段は「ミラー効果」を最小化するために使用できる。ミラー効果は入力に容量結合された増幅器の出力を指し、高周波数における負のフィードバックと、よって高周波数応答の減少とをもたらす。これら出力トランジスタは最大100V以上の高電圧を処理するよう選択できるが、入力トランジスタ程は速い必要はない。200MHz Ft範囲のトランジスタが使用できる。
【0067】
電流対電圧駆動
出力フィルタ307はチャープパルサー信号を通過させ、それらの2番目、3番目、及び最も高い高調波成分を低減させることができる。このフィルタは電流源により駆動でき、同軸及び変換器によって負荷をかけることができる。
【0068】
デジタル生成された波形は、出力波形を向上させるため修正できる。例えば、それらは、プリエンファシスを印加して(低周波数を減少させ、高周波数を増大させることにより)回路及びsinx/x高周波数ロールオフを補償するか、又はシグマデルタ変調技法を使って波形の周波数応答を最適化できる。
本明細書の開示内容は、以下の態様を含み得る。
(態様1)
経皮的に血管内に挿入するよう構成されたカテーテルであって、該カテーテルは延伸本体とその内部に収容された回転可能イメージングアッセンブリとを含み、前記回転可能イメージングアッセンブリは、前記カテーテルの遠位端に又はその近傍に位置した超音波振動子と、該超音波振動子に接続された1つ又は複数の電線管とを含み、前記回転可能イメージングアッセンブリは、前記カテーテルの長手方向軸を中心に回転しつつ前記超音波振動子によって標的血管に向けて超音波エネルギーを放射するよう構成され、前記イメージングアッセンブリは、前記標的血管により反射された超音波エネルギーを受け取るようさらに構成された、カテーテルと、
前記イメージングアッセンブリの前記電線管に動作可能に結合されると共にパルサー及び受信器を含む画像プロセッサであって、前記パルサーは、前記超音波振動子を多周波数波形信号で作動させるよう構成され、前記受信器は、前記反射された超音波エネルギーを受け取ると共に複数の個別のサブバンド信号に分解し、該複数のサブバンド信号を個別に処理し、次に、前記複数のサブバンド信号を、前記標的血管を表す1つ又は複数のイメージング信号に再構成するよう構成されている、画像プロセッサとを含む、高解像度血管内超音波イメージングシステム。
(態様2)
前記複数の個別のサブバンド信号は、全帯域幅信号と、少なくとも1つの低周波数サブバンド信号又は高周波数サブバンド信号とを含む、態様1に記載の高解像度血管内超音波イメージングシステム。
(態様3)
前記画像プロセッサは、ノイズを軽減し、スペックルを抑制し、且つ対象となる所定の特徴を増強するために、前記複数のサブバンド信号それぞれを処理する間にそれをクリーニングするように、さらに構成されている、態様1に記載の高解像度血管内超音波イメージングシステム。
(態様4)
前記画像プロセッサは、離散ウェーブレット分解原理を用いて前記反射された超音波エネルギーを分解するようさらに構成され、前記画像プロセッサは、離散ウェーブレット再構成原理を用いて前記複数の個別のサブバンド信号を再構成するように、さらに構成されている、態様1に記載の高解像度血管内超音波イメージングシステム。
(態様5)
前記画像プロセッサは、前記複数のサブバンド信号を1つ又は複数のイメージング信号に再構成するようよう構成されている、態様1に記載の高解像度血管内超音波イメージングシステム。
(態様6)
前記受信器は、前記受け取られた反射された超音波エネルギーを復号化するよう構成されている、態様1に記載の高解像度血管内超音波イメージングシステム。
(態様7)
画像プロセッサと標的血管内に経皮的に挿入するよう構成されたカテーテルとを備えた高解像度血管内超音波イメージングシステムを用いて、高解像度血管内超音波画像を得るための方法であって、
a. 前記カテーテルの回転可能イメージングアッセンブリを前記カテーテルの長手方向軸を中心に回転させることと、
b. 前記画像プロセッサのパルサーによって、前記超音波振動子を多周波数波形信号で作動させることと、
c. 前記超音波振動子によって、超音波エネルギーを前記多周波数波形信号に基づいて前記標的血管に向けて放射することと、
d. 前記超音波振動子によって、前記標的血管から反射された超音波エネルギーを受け取ることと、
e. 前記画像プロセッサの受信器によって、受け取られた超音波エネルギーを複数の個別のサブバンド信号に分解することと、
f. 前記画像プロセッサの前記受信器によって、前記複数のサブバンド信号を個別に処理することと、
g. 前記画像プロセッサの前記受信器によって、個別に処理された前記複数のサブバンド信号に基づいて前記高解像度血管内超音波画像を構成することとを含む、方法。
(態様8)
前記工程(g)は、前記画像プロセッサによって、前記複数のサブバンド信号を1つ又は複数の信号に組み合わせることを含む、態様6に記載の方法。
(態様9)
前記複数の個別のサブバンド信号は、全帯域幅信号と、少なくとも1つの低周波数サブバンド信号又は高周波数サブバンド信号とを含む、態様6に記載の方法。
(態様10)
ノイズを軽減し、スペックルを抑制し、且つ対象となる所定の特徴を増強するために、前記複数のサブバンド信号それぞれを処理する間にそれを前記画像プロセッサによってクリーニングすることをさらに含む、態様6に記載の方法。
(態様11)
前記反射された超音波エネルギーを分解することは、離散ウェーブレット分解原理を利用し、
前記複数の個別のサブバンド信号を構成することは、離散ウェーブレット再構成原理を利用する、態様6に記載の方法。
(態様12)
前記画像プロセッサの前記受信器によって、前記受け取られた反射された超音波エネルギーを符号化することをさらに含む、態様6に記載の方法。
(態様13)
高解像度血管内超音波イメージングシステムであって、
血管内に経皮的に挿入するよう構成されたカテーテル内に収容された回転可能なイメージングアッセンブリの1つ又は複数の電線管に動作可能に結合された画像プロセッサを含み、
前記画像プロセッサは、
前記回転可能なイメージングアッセンブリの超音波振動子を多周波数波形信号で作動させるよう構成されたパルサーであって、前記超音波振動子は、前記カテーテルの遠位端に又はその近傍に位置すると共に、延伸本体を含んだ前記カテーテルの長手方向軸を中心に回転しつつ標的血管に向けて超音波エネルギーを放射するよう構成された、パルサーと、
前記標的血管によって反射されると共に前記イメージングアッセンブリによって受け取られた超音波エネルギーを受け取って複数の個別のサブバンド信号に分解し、該複数のサブバンド信号を個別に処理し、次に、前記複数のサブバンド信号を、前記標的血管を表す1つ又は複数のイメージング信号に再構成するよう構成された受信器と、を含む、高解像度血管内超音波イメージングシステム。