(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御部は、前記物品群の同一の段に含まれる複数の物品のうち、1番目に把持する物品に対してのみ、前記把持部が把持している前記物品の高さを表す物品高さを計測するよう前記第2センサを制御する、請求項1又は2に記載の荷降し装置。
前記制御部は、前記物品を把持して持ち上げる際に、前記把持部が把持している前記物品の水平方向の辺の長さである奥行きに応じて、前記高さ方向に移動させる前記アームの移動量を制御する、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の荷降し装置。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。以下に説明される荷降しシステムでは、荷降し装置は、アーム先端の把持部で把持して取り込んだ中間コンベア上の物品をメインコンベアに排出するのと並行して、中間コンベア上でアームを上方に退避させ、次に取り込む物品の上方の位置へ把持部を移動させることにより、荷降しのスループットを向上させる。
【0008】
図1は、荷降しシステム1の構成の一例を概略的に示す図である。荷降しシステム1は、荷降し装置10を有している。荷降し装置10は、アーム部11と、把持部12と、吸着パッド13と、中間コンベア部14と、第1センサ15と、第2センサ16とを有している。荷降し装置10は、荷降し装置10の近傍に配置されたパレット21に規則積載された物品群30の個々の物品31を把持して移動させ、
図1には示されない目的地、例えばメインコンベアに搬送する装置である。
【0009】
ここで、規則積載された物品群30とは、例えば直方体である複数の物品31を含む段が1又は複数積み重ねられたものであって、同一段に含まれる物品の高さが全て等しいものを指す。つまり、規則積載された物品群30は、段積みされ、各段における複数の物品が同一の高さを有するものである。
図1では、物品群30は、最上段である第1段32と、最下段である第2段33とである2つの段を含む。第1段32及び第2段33は、それぞれ、複数の物品31を含む。ある段(例えば第1段32)に含まれる物品の高さと他の段(例えば第2段33)に含まれる物品の高さとは、同じであってもよいし異なってもよい。同一段に含まれる物品は、高さが同じであれば縦の長さや横の長さが異なってもよい。同一段に含まれる物品の向きは、同じであってもよいし異なってもよい。例えば
図1では、物品群30の各段32、33は、向きの異なる複数の物品31を含む。規則積載された物品群30は、パレット21(平パレット)に限らず、キャスタ付きのカゴ状パレット、ロールボックスパレット(RBP)などに収容されてもよい。
【0010】
アーム部11は、
図1に示される3軸方向、すなわち、X方向とY方向(水平方向)、及びZ方向(高さ方向)に対して直動する直交型のロボットアーム、すなわちアーム11Aを含む。アーム11Aは、X方向に延びた部材であって、荷降し装置10の筐体17に取り付けられてよい。アーム部11は、X方向、Y方向及びZ方向の移動機構、すなわちアーム11Aを水平方向及び高さ方向に移動させるアーム移動機構11Bを備える。アーム11Aは、後述する荷降し制御装置100によるアーム移動機構11Bの制御により、X方向とY方向とZ方向とにそれぞれ独立して移動可能である。
【0011】
把持部12は、アーム11Aの先端に設けられている。把持部12は、アーム部11のX方向、Y方向及びZ方向の移動に伴って一緒に移動する。アーム部11は、例えばX方向に移動することにより、把持部12を物品群30の物品31を把持する位置まで移動させる。把持部12は、物品群30の物品31を把持する。
【0012】
把持部12は、吸着パッド13を備えている。吸着パッド13は、例えば真空吸着により物品31を把持する。吸着パッド13の数は、1つでもよいし、複数であってもよい。吸着パッド13が物品31の表面に接した状態で吸着パッド13内が負圧にされると、吸着パッド13は、物品31の表面に真空吸着する。吸着パッド13内の負圧が解除されると、吸着パッドは物品を解放する。
【0013】
なお、把持部12には、吸着パッド以外の種々の把持機構を採用してよい。把持部は、例えば、物品31を把持するグリッパを含むものであってよい。グリッパは、複数の指と、複数の指を連結している複数の関節機構とを備える。関節機構は、関節機構の動作に連動して指が動作するように構成されてよい。グリッパは、例えば、複数の指による2点以上の接点で、対向する複数の方向から物品に対して力を加える。これにより、把持部は、指と物品との間に生じる摩擦によって物品を把持する。このように、物品群30の物品31を把持可能な種々の把持機構を用いてよい。
【0014】
中間コンベア部14は、荷降し装置10の筐体17内に配置された中間コンベア14Aを含む。中間コンベア14Aは、例えば、昇降するベルトコンベアであり、ローラーコンベアであってもよい。中間コンベア部14は、中間コンベア14AをZ方向、すなわち高さ方向に移動(昇降)させる中間コンベア昇降機構14Bを備える。中間コンベア14Aには、把持部12の吸着パッド13で吸着把持された物品31が、アーム部11の移動及び吸着パッド13内の負圧解除により解放されて配置される。中間コンベア14Aには、アーム移動機構11Bにより移動された物品31が載置され、載置された物品31が
図1には示されない目的地、例えばメインコンベアに送り出される。
【0015】
第1センサ15は、筐体17に取り付けられ、パレット21の物品群30が配置される位置の上方に配置されている。第1センサ15は、例えばステレオカメラである。ステレオカメラは、異なる2点から撮像した際の視差に基づいて当該カメラと物品群30の各物品31との距離を計測する。第1センサ15は、パレット21に規則積載された物品群30を撮影し、物品群30の個々の物品31の位置を認識する。
【0016】
第2センサ16は、X方向において、パレット21に規則積載された物品群30と中間コンベア部14との間に配置されている。第2センサ16は、例えば筐体17の底枠に取り付けられている。
【0017】
第2センサ16は、例えばレーザーレンジファインダ(LRF)である。LRFは、例えば、第2センサ16が設置されている計測位置から赤外線レーザーを発振してレーザー光Lを照射し、把持部12が把持している物品31による反射の度合いにより物品31までの距離を測定する光学機器である。第2センサ16は、把持部12の吸着パッド13により把持されてアーム部11により中間コンベア14A上に移動される物品31の移動軌跡上で物品31の底までの距離を測定することで、物品高さを計測する。レーザー光は、赤外線レーザー光に限定されず、可視光線、紫外光線、X線などのレーザー光であってもよい。
【0018】
図2は、荷降しシステム1の構成の一例を示すブロック図である。荷降しシステム1は、上述の荷降し装置10と、荷降し制御装置100とを有している。荷降し制御装置100は、荷降し装置10の各部の動作を制御する制御装置である。
【0019】
荷降し制御装置100は、通信インタフェース101と、プロセッサ102と、メモリ103と、ストレージ104とを有している。これらは、バスライン105を介して通信可能である。
【0020】
通信インタフェース101は、外部機器との通信に用いるインタフェースである。通信インタフェース101は、荷降し装置10の各部と通信するための通信規格などに対応した端子及び回路を備える。通信インタフェース101は、ネットワーク2を介して、プロセッサ102の制御に基づいて、アーム部11、把持部12、吸着パッド13、中間コンベア部14、第1センサ15及び第2センサ16の各部と通信する。
【0021】
プロセッサ102は、例えば、CPU(Central Processing Unit)により構成される。メモリ103は、読み出し専用のデータメモリであるROM(Read Only Memory)又はデータを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)を含む。ストレージ104は、HDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)などの大容量ストレージであってよい。メモリ103又はストレージ104は、荷降し装置10の各機器の制御プログラムや各種データを記憶している。プロセッサ102は、メモリ103又はストレージ104に記憶されているプログラム等に基づいて種々の処理を行う。つまり、プロセッサ102は、ソフトウェア機能部として各種プログラムを実行する。CPUに代わって、ハードウェア機能部としてのASIC(Application Specific Integrated Circuit)又はFPGA(Field Programmable Gate Array)などが用いられてよい。
【0022】
図3、
図4A乃至
図4D、並びに
図5A及び
図5Bを参照して、荷降しシステム1における荷降し動作について説明する。
図3は、荷降しシステム1の荷降し動作の一例を示すフローチャートである。
図4A乃至
図4D、並びに
図5A及び
図5Bは、荷降し動作中のメインコンベア22と中間コンベア14Aとアーム11Aとの位置関係の一例を模式的に示す図である。なお、
図4乃至
図4D、並びに
図5A及び
図5Bでは、アーム11A及び把持部12は、一体的なものとして高さ方向において同じ高さに簡略的に図示されている。
【0023】
ステップS101において、荷降し制御装置100は、パレット21に規則積載された物品群30の個々の物品31の位置を第1センサ15で認識する。荷降し制御装置100は、例えばステレオカメラである第1センサ15(
図4Aには示されない)により、
図4Aに示されるような規則積載された、すなわち各段が同一の高さを有する複数の物品を含む少なくとも1つの段からなる物品群30の最上段である第1段34の全ての物品を撮影し、個々の物品の位置を認識する。
【0024】
ステップS102において、荷降し制御装置100は、ステップS101で認識した第1センサ15の認識結果、すなわち第1段34の個々の物品の位置に基づいて、行動計画を策定する。行動計画とは、例えばステップS101で認識した物品群30の第1段34の物品を荷降し装置10で荷降しする順番を含む計画である。荷降し制御装置100は、決定部として、第1センサ15で認識した第1段34の物品を荷降しする順番を決定する。例えば、アーム11Aの最短移動距離で第1段34の各物品を中間コンベア14Aに荷降しするように、第1段34の各物品の荷降しの順番が決定される。
【0025】
ステップS103において、荷降し制御装置100は、ステップS101で認識した第1段34の物品の位置に基づいて、中間コンベア昇降機構14Bにより、第1段34の物品の下端の位置、すなわち底面の位置に中間コンベア14Aを移動させる。つまり、中間コンベア14Aの高さが物品群30の第1段34の物品の底面の高さに合わせられる。これにより、中間コンベア14Aの高さは、
図4Aに示される高さh1となる。
【0026】
ステップS104において、荷降し制御装置100は、ステップS102での行動計画(例えば把持の順番)に従って、アーム移動機構11Bにより、アーム11Aを第1段34の把持対象の物品35の把持位置まで移動させる。つまり、アーム部11により物品35が把持位置に移動される。ここで、把持位置とは、把持対象の物品35の上方の位置である。つまり、把持位置は、水平方向の位置が物品35に等しく、高さ方向の位置が物品35と異なる(物品35よりも上方である)位置である。アーム11Aは、例えば
図4Aに矢印A1で示される方向に移動する。
【0027】
ステップS105において、荷降し制御装置100は、アーム11Aの先端の把持部12に物品35を把持させる。アーム11A及び把持部12は、例えば
図4Aに矢印A2で示される方向に移動する。把持部12は、吸着パッド13で把持対象の物品35の上面を真空吸着して把持する。
【0028】
ステップS106において、荷降し制御装置100は、ステップS105で把持した物品35が段の最初の物品、すなわちここでは第1段34において最初に把持された物品であるか否かを判定する。段の最初の物品でないと判定された場合には(ステップS106−No)、処理はステップS109に進む。段の最初の物品であると判定された場合には(ステップS106−Yes)、処理はステップS107に進む。
【0029】
ステップS107において、荷降し制御装置100は、アーム移動機構11Bにより、把持部12で把持している物品35を第2センサ16(
図4Aには示されない)の測定範囲へ移動させる。ステップS108において、荷降し制御装置100は、第2センサ16により、物品高さを計測する。なお、このとき、中間コンベア14Aは、中間コンベア昇降機構14Bにより、一旦最も低い位置に移動されてよい。測定後、元の高さに戻される。これにより、計測を妨げない。
【0030】
物品高さの計測は、同一の段の最初の物品に対してのみ行われる。第2センサ16は、物品群30の同一の段に含まれる複数の物品のうち、行動計画における把持の順番が1番目の物品に対してのみ、把持部12が把持している物品までの距離を測定し、測定した距離に基づいて把持部12が把持している物品の高さを表す物品高さを計測する。つまり、荷降し制御装置100は、物品群30の同一の段に含まれる複数の物品のうち、1番目に把持する物品に対してのみ、把持部12が把持している物品高さを計測するように第2センサ16を制御する。同一段における物品高さの計測動作を1回のみとすることにより、荷降し動作のスループットの向上が図れる。
【0031】
ステップS109において、荷降し制御装置100は、アーム移動機構11Bにより、把持部12で把持した物品35を中間コンベア14Aまで移動させる。アーム11A及び把持部12は、例えば
図4Bに矢印A3で示される方向に移動されて、物品35を中間コンベア14Aに載置する。
【0032】
ここで、物品群30の物品35,36等の底面(下面)には、積載状態でのずれ防止のために糊付けがされていることが多い。このような場合に中間コンベア14Aに物品35を移動させる際には、荷降し制御装置100は、アーム移動機構11Bにより、物品35を
図4Bに示されるように水平方向に対して浮くように傾けて底面の糊付けをはがすようにして物品35を中間コンベア14Aに載置する。
【0033】
また、アーム移動機構11Bは、荷降し制御装置100の制御により、把持部12が把持している物品35の水平方向(X方向)の辺の長さである奥行きに応じて、アーム11Aを高さ方向に移動させてよい。例えば、奥行きが長い場合にはアーム移動機構11Bは、奥行きが短い場合よりも把持対象の物品35を高く持ち上げてよい。つまり、荷降し制御装置100は、物品35を把持して持ち上げる際に、把持部12が把持している物品35の奥行きに応じて、高さ方向に移動させるアーム11Aの移動量を制御する。これにより、物品35を確実に引き上げられる。
【0034】
ステップS110において、荷降し制御装置100は、把持部12による物品35の把持を解除し、物品31を中間コンベア14A上に解放する。
【0035】
ステップS111において、荷降し制御装置100は、高さA=現在高さ+物品高さ+規定量を設定する。
図4Cを参照すると、現在高さh1は、中間コンベア14Aの現在の高さ(ステップS103で設定した高さ)である。物品高さh2は、第1段34の物品35の高さである。なお、物品群30では、同一段の物品の高さは全て等しい。規定量h3は、最上段である第1段34の物品とぶつからないように設定された所定の高さ(退避高さ)である。規定量h3は、アーム部11、把持部12及び吸着パッド13が物品群30の最上段である第1段34の物品36の上面に接触しないように設定される高さである。
【0036】
ステップS112において、荷降し制御装置100は、高さB=中間コンベア排出高さh4+物品高さh2+規定量h3を設定する。
図4Cを参照すると、中間コンベア排出高さh4は、中間コンベア14Aがメインコンベア22に物品35を排出する際の高さである。中間コンベア排出高さh4は、メインコンベア22の高さに等しい。メインコンベア22の高さは、荷降し装置10と一緒に使用されるメインコンベア22ごとに異なるが、荷降し動作中は不変である。すなわち、中間コンベア排出高さh4は不変である。
【0037】
ステップS113において、荷降し制御装置100は、アーム移動機構11Bにより、アーム11Aを、
図4Cに矢印A4で示されるように、破線で示される位置から高さAの位置まで上昇させる。ここでは高さAが退避高さである。
【0038】
ステップS114において、荷降し制御装置100は、ステップS111で設定した高さAとステップS112で設定した高さBとを比較する。ここで、高さAと高さBとの比較により比較しているのは、実質的には中間コンベア14Aの現在高さとメインコンベア22の高さとである。高さAが高いと判定された場合には(ステップS114−No)、処理は、並列処理であるステップS116及びステップS118に進む。高さBよりも高さAが高い場合とは、高さAと高さBとが
図4Cに示されるような位置関係の場合である。
【0039】
一方、高さBが高いと判定された場合には(ステップS114−Yes)、処理はステップS115に進む。高さAよりも高さBが高い場合とは、高さAと高さBとが
図5Aに示されるような位置関係の場合である。
図5Aでは、高さA=現在高さh5+物品高さh6+規定量h3であり、高さB=中間コンベア排出高さh4+物品高さh6+規定量h3でる。ステップS115において、荷降し制御装置100は、アーム移動機構11Bにより、アーム11Aを、
図5Aに矢印A8で示されるように、破線で示される位置から高さBの位置まで上昇させる。ここでは高さBが退避高さである。
【0040】
ステップS115の後、処理は、並列処理であるステップS116及びステップS118に進む。
【0041】
ステップS116において、荷降し制御装置100は、次の把持対象の物品36又は39が最上段の最後の物品、すなわちここでは第1段34における最後の物品(
図4C)又は第1段37における最後の物品(
図5A)であるか否かを判定する。最上段の最後の物品であると判定された場合には(ステップS116−Yes)、処理はステップS119の終了を待つ。最上段の最後の物品でないと判定された場合には(ステップS116−No)、処理はステップS117に進む。
【0042】
ステップS117において、荷降し制御装置100は、アーム11Aを現在高さのまま、次の物品の把持位置の上まで挿入する。アーム11Aは、アーム移動機構11Bにより、例えば
図4Dに示される矢印A5の方向に移動されて、現在高さAのままで次の物品36の把持位置の上に挿入される。あるいは、アーム11Aは、例えば
図5Bに示される矢印A11の方向に移動されて、現在高さBのままで次の物品39の把持位置の上に挿入される。
【0043】
一方、ステップS116と並列で行われるステップS118において、荷降し制御装置100は、中間コンベア14Aを
図4Dに矢印A6で示される方向に移動させて、中間コンベア14Aの高さを中間コンベア排出高さh4とする。これにより、中間コンベア14Aとメインコンベア22とが同じ高さとなる。
【0044】
ステップS119において、荷降し制御装置100は、中間コンベア昇降機構14Bを駆動させる。これにより、
図4Dに示される矢印A7の方向に移動されて、中間コンベア14A上の物品35がメインコンベア22に搬送される。
【0045】
このように、荷降しシステム1では、物品31の把持を解除し中間コンベア14A上に解放した直後にアーム11Aを中間コンベア14Aと衝突しない高さに退避させ、中間コンベア14Aの排出位置移動及び物品排出と並行させて、次の物品の把持位置上空までアーム部11及び把持部12を移動させることにより、荷降しのスループットを向上させることができる。例えば、アーム部11と中間コンベア14Aの高さ方向への移動は同じ速度で行われるため、いったんアーム部11と中間コンベア14A上の物品35が接触しない距離、すなわち規定量h3を確保した後は、アーム部11と中間コンベア部14とを接近させる方向に高さを移動しない限りは、アーム11Aと中間コンベア14A上の物品とが接触することはない。したがって、アーム部11により物品を破損させることはない。
【0046】
ステップS117及びステップS119の終了を待って、処理はステップS120に進む。ステップS120において、荷降し制御装置100は、その段の物品の把持が完了したか否かが判定される。完了していないと判定された場合には(ステップS120−No)、処理はステップS103に戻る。その段の全ての物品の把持が完了するまで、ステップS103からステップS119までの処理が繰り返される。完了したと判定された場合には(ステップS120−Yes)、処理はステップS126に進む。
【0047】
ステップS126において、荷降し制御装置100は、パレット21上の物品群30の物品の有無を判定する。つまり、物品群30のすべての物品が荷降しされたか否かを判定する。物品の有無は、例えば、パレット21に規則積載された物品群30の物品の撮影及び認識に基づいて判定されてよい。物品があると判定された場合には(ステップS126−Yes)、処理はステップS101に戻る。これにより、パレット21上の次の最上段の物品の荷降し動作が行われる。物品がないと判定された場合には(ステップS126−No)、荷降し制御装置100は処理を終了する。
【0048】
以上説明したように、本実施形態では、荷降し装置10、あるいは荷降し制御装置100は、中間コンベア14Aに物品が載置された場合に、中間コンベア14Aの現在高さと目的地であるメインコンベア22の高さとのうち、いずれか高い方の高さと物品高さとの和よりも高い退避高さ(例えば高さAと高さBとのいずれか)にアーム11Aを移動させた後、退避高さにおいて次に把持する物品の位置に合わせてアーム11Aを水平方向に移動させるとともに、中間コンベア14Aの高さをメインコンベア22の高さに合わせるように、アーム移動機構11B及び中間コンベア昇降機構14Bを制御する制御部(例えばソフトウェア機能部又はハードウェア機能部としてのプロセッサ102)を備える。このような制御により、荷降し装置10では、中間コンベア14A上の物品の排出完了後即時に次の物品への把持位置移動を最短距離で行うことを可能とし、並列処理により荷降しのスループットを向上させることができる。水平方向においても高さ方向においても必要以上にアームを移動させることなく、タクトタイムが短縮される。
【0049】
なお、
図3では、ステップS111における高さAの設定、及びステップS112における高さBの設定を同一段の全ての物品に対して行っているため、同一段の物品の荷降し動作の多少のばらつきも吸収することができる。これに対して、高さA及び高さBの設定は、同一段の最初の物品に対してのみ行ってもよい。各段が同一の高さを有する複数の物品を含むことから、高さA及び高さBは毎回設定しなくても同一段において一度設定すればよい。これについて、
図6を参照して説明する。
【0050】
図6は、荷降しシステム1の動作の他の例を示すフローチャートである。
ステップS201において、荷降し制御装置100は、パレット21に規則積載された物品群30の個々の物品31の位置を第1センサ15で認識する。ステップS202において、荷降し制御装置100は、ステップS201で認識した最上段の個々の物品31の位置に基づいて、行動計画を策定する。ステップS203において、荷降し制御装置100は、ステップS201で認識した最上段の物品31の位置に基づいて、中間コンベア昇降機構14Bにより、最上段の物品の下端の位置に中間コンベア14Aを移動させる。
【0051】
ステップS204において、荷降し制御装置100は、ステップS202での行動計画(例えば把持の順番)に従って、アーム移動機構11Bにより、アーム11Aを物品35の把持位置まで移動させる。ステップS205において、荷降し制御装置100は、アーム11Aの先端の把持部12に物品35を把持させる。
【0052】
ステップS206において、段の最初の物品でないと判定された場合には(ステップS206−No)、処理はステップS209に進む。段の最初の物品であると判定された場合には(ステップS206−Yes)、処理はステップS207に進む。段の最初の物品でないと判定された場合には(ステップS206−No)、処理はステップS209に進む。
【0053】
ステップS207において、荷降し制御装置100は、アーム移動機構11Bにより、把持部12で把持している物品31を第2センサ16の計測位置へ移動させる。ステップS208において、荷降し制御装置100は、第2センサ16により、物品高さを計測する。
【0054】
ステップS209において、荷降し制御装置100は、アーム移動機構11Bにより、アーム11Aを、把持部12で把持した物品31を中間コンベア14Aまで移動させる。ステップS210において、荷降し制御装置100は、把持部12による物品35の把持を解除し、物品31を中間コンベア14A上に解放する。
【0055】
ステップS211において、荷降し制御装置100は、高さA=現在高さ+物品高さ+規定量を設定する。ステップS212において、荷降し制御装置100は、高さB=中間コンベア排出高さ+物品高さ+規定量を設定する。ステップS213において、荷降し制御装置100は、アーム移動機構11Bにより、アーム11Aを高さAの位置まで上昇させる。
【0056】
ステップS214において、荷降し制御装置100は、ステップS211で設定した高さAとステップS212で設定した高さBとを比較する。高さAが高いと判定された場合には(ステップS214−No)、処理は、並列処理であるステップS216及びステップS218に進む。
【0057】
一方、高さBが高いと判定された場合には(ステップS214−Yes)、処理はステップS215に進む。ステップS215において、荷降し制御装置100は、アーム移動機構11Bにより、アーム11Aを高さBの位置まで上昇させる。ステップS215の後、処理は、並列処理であるステップS216及びステップS218に進む。
【0058】
ステップS216において、荷降し制御装置100は、次の把持対象の物品が段の最後の物品であるか否かを判定する。段の最後の物品であると判定された場合には(ステップS216−Yes)、処理はステップS219の終了を待つ。段の最後の物品でないと判定された場合には(ステップS216−No)、処理はステップS217に進む。
【0059】
ステップS217において、荷降し制御装置100は、アーム部11を現在高さ(高さA又は高さB)のまま、次の把持位置の上まで挿入する。
【0060】
一方、ステップS216と並列で行われるステップS218において、荷降し制御装置100は、中間コンベア14Aを中間コンベア排出高さh4へ移動させる。ステップS219において、荷降し制御装置100は、中間コンベア昇降機構14Bを駆動させる。これにより、中間コンベア14A上の物品31がメインコンベア22に搬送される。
【0061】
ステップS217及びステップS219の終了を待って、処理はステップS220に進む。ステップS220において、荷降し制御装置100は、その段の物品の把持が完了したか否かが判定される。完了していないと判定された場合には(ステップS220−No)、処理はステップS221に進む。
【0062】
ステップS221において、荷降し制御装置100は、ステップS101で認識した最上段の物品31の位置に基づいて、中間コンベア昇降機構14Bにより、最上段の物品の下端の位置に中間コンベア14Aを移動させる。ステップS222において、荷降し制御装置100は、ステップS122での行動計画(例えば把持の順番)に従って、アーム移動機構11Bにより、アーム11Aを物品31の把持位置まで移動させる。ステップS223において、荷降し制御装置100は、アーム部11の先端の把持部12に物品31を把持させる。ステップS224において、荷降し制御装置100は、アーム移動機構11Bにより、把持部12で把持した物品31を中間コンベア14Aまで移動させる。ステップS225において、荷降し制御装置100は、把持部12による物品31の把持を解除し、物品31を中間コンベア14A上に解放する。ステップS225の後、処理はステップS213に戻る。
【0063】
ステップS126において、荷降し制御装置100は、パレット21上の物品の有無を判定する。物品があると判定された場合には(ステップS126−Yes)、処理はステップS101に戻る。これにより、パレット21上の次の段の物品の荷降し動作が行われる。物品がないと判定された場合には(ステップS126−No)、荷降し制御装置100は処理を終了する。
【0064】
一方、ステップS220において、完了したと判定された場合には(ステップS220−Yes)、処理はステップS226に進む。ステップS226において、荷降し制御装置100は、パレット21上の物品の有無を判定する。物品があると判定された場合には(ステップS226−Yes)、処理はステップS201に戻る。これにより、パレット21上の次の段の物品の荷降し動作が行われる。物品がないと判定された場合には(ステップS226−No)、荷降し制御装置100は処理を終了する。
【0065】
このように、同一段の物品の高さは同じことが前提であるから、第2センサ16による物品高さの計測がその段の最初の物品に対してのみ行われるのと同様に、同一段の物品に対する高さA、Bの設定は一度のみであってよい。
【0066】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【解決手段】荷降し装置は、段積みされ、各段における複数の物品が同一の高さを有する物品群の最上段の物品を認識する第1センサと、物品を把持する把持部を備えるアームと、アーム移動機構と、把持部が把持している物品の高さを表す物品高さを計測する第2センサと、アーム移動機構により載置された物品を目的地に送り出す中間コンベアと、中間コンベア昇降機構と、中間コンベアに物品が載置された場合に、中間コンベアの現在高さとメインコンベアの高さのうち、いずれか高い方の高さと物品高さとの和よりも高い退避高さにアームを移動させた後、退避高さにおいて次に把持する物品の位置に合わせてアームを水平方向に移動させるとともに、中間コンベアの高さを目的地の高さに合わせるようにアーム移動機構及び中間コンベア昇降機構を制御する制御部とを備える。