(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6591640
(24)【登録日】2019年9月27日
(45)【発行日】2019年10月16日
(54)【発明の名称】エレベータ敷居溝清掃具及び清掃方法
(51)【国際特許分類】
B66B 13/30 20060101AFI20191007BHJP
【FI】
B66B13/30 N
【請求項の数】5
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2018-172373(P2018-172373)
(22)【出願日】2018年9月14日
【審査請求日】2018年9月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】390025265
【氏名又は名称】東芝エレベータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小林 正輝
【審査官】
加藤 三慶
(56)【参考文献】
【文献】
実開平7−2369(JP,U)
【文献】
特開平9−132374(JP,A)
【文献】
特開平7−79899(JP,A)
【文献】
特開平3−152086(JP,A)
【文献】
特開2011−11881(JP,A)
【文献】
特開2014−30581(JP,A)
【文献】
実公昭48−39565(JP,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 13/30
B08B 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端にブラシを有し、他方の端に平板部を有する棒状のエレベータ敷居溝清掃具であって、
前記ブラシに対して着脱可能なスポンジを備えることを特徴とする、エレベータ敷居溝清掃具。
【請求項2】
前記スポンジは、メラミンスポンジであることを特徴とする、請求項1に記載のエレベータ敷居溝清掃具。
【請求項3】
前記ブラシの毛は前記スポンジより硬く、
前記スポンジは、前記毛が前記スポンジに差し込まれることで、前記ブラシに対して装着されることを特徴とする、請求項1又は2に記載のエレベータ敷居溝清掃具。
【請求項4】
一端にブラシを有し、他方の端に平板部を有する棒状のエレベータ敷居溝清掃具を用いた清掃方法であって、
前記ブラシを用いて溝内の第1の汚れをかき寄せ、
かき寄せた前記第1の汚れを、前記平板部を用いて回収し、
前記ブラシに装着したスポンジを用いて、溝内に対して前記第1の汚れより強く付着した第2の汚れを剥離させる、清掃方法。
【請求項5】
更に、剥離させた前記第2の汚れを、前記平板部を用いて回収する、請求項4に記載の清掃方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、エレベータ敷居溝清掃具及び清掃方法に関する。
【背景技術】
【0002】
エレベータの乗りかごは、昇降路内を移動して、任意のフロアにて停止する。更に、乗りかごが停止した後、乗りかご側のドア及びフロア側のドアが開くことにより、利用者の乗り降りが可能となる。ここで、乗りかごとフロアとの間には敷居が存在する。即ち、乗りかごとフロアとの間には、乗りかご側のドアが開閉するための溝と、フロア側のドアが開閉するための溝とを有する敷居が存在する。
【0003】
かかる敷居の溝については、通常、ブラシ及び金属部を備えた棒状の清掃具により清掃が行われる。具体的には、作業員は、清掃具のブラシを用いて敷居の溝内の砂ホコリ等を清掃する。しかしながら、敷居の溝内に強く付着した汚れについては、ブラシにより清掃できない場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015−168558号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、敷居溝を傷付けることなく清掃することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態のエレベータ敷居溝清掃具は、一端にブラシを有し、他方の端に平板部を有する棒状のエレベータ敷居溝清掃具である。また、エレベータ敷居溝清掃具は、前記ブラシに対して着脱可能なスポンジを備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、実施形態に係るエレベータ敷居溝清掃具の一例を示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係るエレベータ敷居溝清掃具の使用例を示す図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係るエレベータ敷居溝清掃具の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係るエレベータ敷居溝清掃具の使用例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して、実施形態に係るエレベータ敷居溝清掃具及び清掃方法を説明する。
【0009】
(実施形態)
図1は、実施形態に係るエレベータ敷居溝清掃具1の一例を示す図である。
図1に示すように、エレベータ敷居溝清掃具1は、棒状であって、一端にブラシ11を有し、他方の端に平板部12を有する。また、エレベータ敷居溝清掃具1は、ブラシ11と平板部12との間を接続する本体部13を有する。また、エレベータ敷居溝清掃具1は、本体部13上にフック14を有する。
【0010】
図1に示すように、ブラシ11は、毛11aと、接続部11bとを有する。毛11aは、ナイロンやポリプロピレン等の化学繊維であってもよいし、タンピコやパーム等の植物から収集された繊維であってもよい。接続部11bは、毛11aを束ねるとともに、毛11aを本体部13に対して接続する。なお、ブラシ11は、本体部13と一体的に形成されてもよいし、本体部13に対して着脱可能に接続されてもよい。即ち、ブラシ11は、交換可能であってもよい。
【0011】
平板部12は、エレベータ敷居溝清掃具1の一端に位置し、先端が直線状となる方形の金属板を含む。また、平板部12は、方形の金属板における辺のうち、エレベータ敷居溝清掃具1の長手方向に沿った2辺にふちを有する。即ち、
図1に示す平板部12は、長手方向から見てコの字の形状を有する。なお、
図1においては、平板部12が本体部13と一体的に形成される場合を示すが、平板部12は、本体部13に対して着脱可能に接続されてもよい。即ち、平板部12は、交換可能であってもよい。
【0012】
本体部13は、ブラシ11と平板部12との間を接続する棒である。例えば、本体部13は、平板部12と同じ金属で作製されたパイプである。また、本体部13には、フック14が設けられる。例えば、エレベータ敷居溝清掃具1を使用しない時には、フック14を壁の突起等に引っ掛けることで、エレベータ敷居溝清掃具1を容易に収納することができる。
【0013】
次に、
図2を用いて、エレベータ敷居溝清掃具1を用いた清掃について説明する。
図2は、実施形態に係るエレベータ敷居溝清掃具1の使用例を示す図である。なお、以下では、乗りかご側のドアが開閉するための溝と、フロア側のドアが開閉するための溝とを総称して、単に、敷居溝2と記載する。
【0014】
敷居溝2内には、種々の汚れが蓄積する。例えば、敷居溝2内には、砂ホコリの他、エレベータの利用者がこぼした飲料水等によって強く付着した汚れが蓄積する。以下では、
図2に示すように、敷居溝2内に強く付着していない汚れ(砂ホコリ等)を、第1の汚れ31とする。また、敷居溝2内に強く付着した汚れ(飲料水等)を、第2の汚れ32とする。
【0015】
例えば、清掃を実施する作業員は、まず、エレベータ敷居溝清掃具1のブラシ11を用いて、敷居溝2内の第1の汚れ31をかき寄せる。次に、作業員は、かき寄せた第1の汚れ31を、エレベータ敷居溝清掃具1の平板部12を用いて回収する。即ち、作業員は、敷居溝2内の砂ホコリ等をブラシ11により集め、平板部12ですくって排出する。
【0016】
ここで、敷居溝2内に強く付着した第2の汚れ32については、通常、ブラシ11によりかき寄せることはできない。即ち、第2の汚れ32の付着力に毛11aの強度が負けてしまうため、ブラシ11を用いて、敷居溝2から第2の汚れを剥離させることはできない。従って、作業員は、第2の汚れ32については、通常、金属製の平板部12を用いて擦り取る。
【0017】
しかしながら、平板部12を用いて第2の汚れ32を擦り取る場合、敷居溝2に傷を付けてしまう場合がある。また、毛11aを金属で作製し、ブラシ11を用いて第2の汚れ32を擦り取る場合も同様に、敷居溝2に傷を付けてしまう場合がある。
【0018】
そこで、エレベータ敷居溝清掃具1は、
図3に示すように、ブラシ11に対して着脱可能なスポンジ15を備える。スポンジ15は、例えば、メラミン樹脂を原料とするメラミンスポンジである。なお、
図3は、実施形態に係るエレベータ敷居溝清掃具1の一例を示す図である。
【0019】
例えば、作業員は、まず、ブラシ11及び平板部12を用いて第1の汚れ31を清掃する。次に、作業員は、ブラシ11に対してスポンジ15を装着する。例えば、作業員は、ブラシ11の毛11aをスポンジ15に差し込むことで、ブラシ11に対してスポンジ15を装着する。
【0020】
ここで、毛11aは、スポンジ15より硬くなるように作製される。具体的には、毛11aは、スポンジ15に対して容易に差し込むことができるように、毛の太さや先端形状、材料等が選択される。これにより、作業員は、毛11aをスポンジ15に対して容易に差し込み、ブラシ11に対してスポンジ15を装着することができる。
【0021】
ここで、
図4を用いて、スポンジ15を装着した状態のエレベータ敷居溝清掃具1を用いた清掃について説明する。
図4は、実施形態に係るエレベータ敷居溝清掃具1の使用例を示す図である。例えば、作業員は、まず、スポンジ15を水で湿らせる。次に、作業員は、
図4に示すように、スポンジ15を敷居溝2内に挿入し、スポンジ15で第2の汚れ32を擦る。ここで、メラミンスポンジであるスポンジ15は、第2の汚れ32を削り落とし、敷居溝2から第2の汚れ32を剥離させることができる。なお、スポンジ15は使用により摩耗するものの、摩耗したスポンジ15については容易に交換することができる。
【0022】
なお、第2の汚れ32が少量である場合、スポンジ15は、剥離させた第2の汚れ32を吸収することができる。即ち、作業員は、スポンジ15のみを用いて、第2の汚れ32を除去することができる。また、第2の汚れ32が多量である場合、スポンジ15が剥離させた第2の汚れ32の一部は、敷居溝2に残存する場合がある。この場合、作業員は、剥離させた第2の汚れ32を、平板部12を用いて回収することができる。
【0023】
上述したように、エレベータ敷居溝清掃具1は、一端にブラシ11を有し、他方の端に平板部12を有する棒状のエレベータ敷居溝清掃具である。また、エレベータ敷居溝清掃具1は、ブラシ11に対して着脱可能なスポンジ15を備える。これにより、実施形態に係るエレベータ敷居溝清掃具1は、敷居溝2を傷付けずに清掃することを可能とする。即ち、エレベータ敷居溝清掃具1は、敷居溝2を傷付けずに、第1の汚れ31及び第2の汚れ32の双方を清掃することを可能とする。
【0024】
更に、スポンジ15により清掃を行なうことにより、敷居溝2をよりきれいな仕上がりとすることができる。即ち、スポンジ15により清掃を行う場合、飲料水等による第2の汚れ32のみならず、ブラシ11では除去しにくい種々の汚れ(錆や水垢等)をも除去することができる。
【0025】
以上説明した少なくとも一つの実施形態によれば、敷居溝を傷付けることなく清掃することができる。
【0026】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0027】
1 エレベータ敷居溝清掃具、11 ブラシ、11a 毛、11b 接続部、12 平板部、13 本体部、14 フック、15 スポンジ、2 敷居溝、31 第1の汚れ、32 第2の汚れ
【要約】
【課題】敷居溝を傷付けることなく清掃すること。
【解決手段】実施形態のエレベータ敷居溝清掃具は、一端にブラシを有し、他方の端に平板部を有する棒状のエレベータ敷居溝清掃具である。また、エレベータ敷居溝清掃具は、前記ブラシに対して着脱可能なスポンジを備える。
【選択図】
図3