特許第6591645号(P6591645)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6591645
(24)【登録日】2019年9月27日
(45)【発行日】2019年10月16日
(54)【発明の名称】樹脂製ペダルアーム
(51)【国際特許分類】
   B60K 26/02 20060101AFI20191007BHJP
   B62L 3/04 20060101ALI20191007BHJP
   G05G 1/44 20080401ALI20191007BHJP
   G05G 1/50 20080401ALI20191007BHJP
【FI】
   B60K26/02
   B62L3/04 A
   G05G1/44
   G05G1/50
【請求項の数】2
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2018-176874(P2018-176874)
(22)【出願日】2018年9月21日
【審査請求日】2019年2月4日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000241496
【氏名又は名称】豊田鉄工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000992
【氏名又は名称】特許業務法人ネクスト
(72)【発明者】
【氏名】宇野 巧
(72)【発明者】
【氏名】北口 和章
(72)【発明者】
【氏名】吉村 康宏
(72)【発明者】
【氏名】深津 芳信
(72)【発明者】
【氏名】竹中 稔
(72)【発明者】
【氏名】白鳥 祐基
(72)【発明者】
【氏名】▲濱▼▲崎▼ 星太
【審査官】 木戸 優華
(56)【参考文献】
【文献】 特表2014−516177(JP,A)
【文献】 特開2004−013186(JP,A)
【文献】 特開2015−071379(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 26/02
B62L 3/04
G05G 1/44
G05G 1/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アーム本体と、
前記アーム本体に設けられた踏面部とを備え、
前記アーム本体は、
第1部位と、
前記第1部位に対向する第2部位と、
前記第1部位と前記第2部位の間に設けられ、前記踏面部に所定値以上の荷重が作用したときに破壊することによって、該第1部位が該第2部位に突き当たる状態にする脆弱部とを備え、
前記アーム本体は、
第1縁面部と、
前記第1縁面部に対向する第2縁面部と、
前記第1部位であって、前記第1縁面部と前記第2縁面部に連設された第1リブと、
前記第2部位であって、前記第1縁面部と前記第2縁面部に連設されると共に、該第1縁面部から該第2縁面部に向かうに連れて、前記第1リブから離隔した状態で該第1リブとの間隔が長くなることによって、側面視で該第1リブとV字状をなす第2リブとを備え、
前記脆弱部は、前記第2縁面部の一部であって、前記第1リブの連設位置と前記第2リブの連設位置との間に設けられる
ことを特徴とする樹脂製ペダルアーム。
【請求項2】
アーム本体と、
前記アーム本体に設けられた踏面部とを備え、
前記アーム本体は、
第1部位と、
前記第1部位に対向する第2部位と、
前記第1部位と前記第2部位の間に設けられ、前記踏面部に所定値以上の荷重が作用したときに破壊することによって、該第1部位が該第2部位に突き当たる状態にする脆弱部とを備え、
前記アーム本体は、
前記第1部位であって、前記踏面部が踏み込まれた際に前記アーム本体の回転中心となるボスと、
前記第2部位であって、前記ボスの周囲を取り囲む環状内壁面と、
前記脆弱部であって、前記ボスと前記環状内壁面を繋ぐ連結部とを備える
ことを特徴とする樹脂製ペダルアーム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂製ペダルアームに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、樹脂製ペダルアームに関し、種々の技術が提案されている。例えば、下記特許文献1に記載の技術は、筒形状の支持部を介してその筒形状の中心線である一直線まわりの回動可能に配設されるとともに、その一直線に対して略直角な方向へ延び出すように前記支持部に連続して一体にアーム部が設けられており、そのアーム部が前記一直線まわりに踏込み操作される、樹脂材料にて一体成形されている樹脂製ペダルにおいて、前記支持部は、それぞれ筒形状を成している内筒および外筒を有する二重筒構造を成しているとともに、その内筒および外筒は、その一直線と平行にその一直線まわりに多数設けられた軸方向リブを介して互いに一体に連結されており、前記アーム部はその外筒の外周面に一体に連結されている、ことを特徴とする。
【0003】
このような特徴により、下記特許文献1に記載の技術においては、支持部が、多数の軸方向リブを介して互いに一体に連結された内筒および外筒から成る二重筒構造を成しており、その外筒の外周面にアーム部が連結されるため、支持部の肉厚を厚くして外径寸法を大きくした場合と同様に、支持部の剛性や強度が向上する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−184135号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載の技術には、安全性向上に関し、改善の余地があった。
【0006】
そこで、本発明は、上述した点を鑑みてなされたものであり、更なる安全性の向上を図った樹脂製ペダルアームを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
【0008】
請求項に係る発明は、樹脂製ペダルアームであって、アーム本体と、アーム本体に設けられた踏面部とを備え、アーム本体は、第1部位と、第1部位に対向する第2部位と、第1部位と第2部位の間に設けられ、踏面部に所定値以上の荷重が作用したときに破壊することによって、第1部位が第2部位に突き当たる状態にする脆弱部とを備え、アーム本体は、第1縁面部と、第1縁面部に対向する第2縁面部と、第1部位であって、第1縁面部と第2縁面部に連設された第1リブと、第2部位であって、第1縁面部と第2縁面部に連設されると共に、第1縁面部から第2縁面部に向かうに連れて、第1リブから離隔した状態で第1リブとの間隔が長くなることによって、側面視で第1リブとV字状をなす第2リブとを備え、脆弱部は、第2縁面部の一部であって、第1リブの連設位置と第2リブの連設位置との間に設けられることを特徴とする。
【0009】
請求項に係る発明は、樹脂製ペダルアームであって、アーム本体と、アーム本体に設けられた踏面部とを備え、アーム本体は、第1部位と、第1部位に対向する第2部位と、第1部位と第2部位の間に設けられ、踏面部に所定値以上の荷重が作用したときに破壊することによって、第1部位が第2部位に突き当たる状態にする脆弱部とを備え、アーム本体は、第1部位であって、踏面部が踏み込まれた際にアーム本体の回転中心となるボスと、第2部位であって、ボスの周囲を取り囲む環状内壁面と、脆弱部であって、ボスと環状内壁面を繋ぐ連結部とを備えることを特徴とする。
【0010】
【発明の効果】
【0011】
本発明の樹脂製ペダルアームでは、更なる安全性の向上を図ることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】第1実施形態の樹脂製ペダルアームが表された側面図である。
図2】同樹脂製ペダルアームが表された側面図である。
図3】同樹脂製ペダルアームが表された側面図である。
図4】第2実施形態の樹脂製ペダルアームが表された側面図である。
図5】同樹脂製ペダルアームが表された側面図である。
図6】第3実施形態の樹脂製ペダルアームが表された側面図である。
図7】同樹脂製ペダルアームが表された側面図である。
図8】第1実施形態の樹脂製ペダルアームの第1変更例が表された側面図である。
図9】同第1変更例が表された側面図である。
図10】同樹脂製ペダルアームの第2変更例が表された側面図である。
図11】同第2変更例が表された側面図である。
図12】第2実施形態の樹脂製ペダルアームの第1変更例が表された側面図である。
図13】同樹脂製ペダルアームの第2変更例が表された側面図である。
図14】第3実施形態の樹脂製ペダルアームの変更例が表された側面図である。
図15】同変更例が表された側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る樹脂製ペダルアームについて、具体化した各実施形態に基づき、図面を参照しつつ説明する。各実施形態において、本発明に係る樹脂製ペダルアームは、溶融樹脂を射出成形して製造された樹脂成形品であって、車両(不図示)に取り付けられることにより、ブレーキペダルとして使用されるものである。尚、以下の説明において、本発明に係る樹脂製ペダルアームが取り付けられる車両は、車両と略記する。
【0014】
以下の説明に用いる各図面では、基本的構成の一部が省略されて描かれており、描かれた各部の寸法比等は必ずしも正確ではない。また、各図における方向は、各図に記載された通りである。従って、各図において、紙面に対して直交する方向は、左右方向であり、本発明に係る樹脂製ペダルアームの幅方向、及び車両の幅方向(以下、「車幅方向」と言う。)と一致する。尚、以下の説明において、本発明に係る樹脂製ペダルアームの幅方向は、車幅方向と表記することがある。
【0015】
(1)第1実施形態
先ず、本発明を具体化した第1実施形態について説明する。図1に表されたように、第1実施形態の樹脂製ペダルアーム10は、アーム本体20及び踏面部22を有している。アーム本体20の形状は、中空である。その詳細については、後述する。踏面部22は、車幅方向に対して平行な平面等で構成されており、アーム本体20の下端部の後方側に設けられている。
【0016】
アーム本体20の上端部には、第1円筒部24、第2円筒部26、及び第3円筒部28が設けられている。第1円筒部24、第2円筒部26、及び第3円筒部28の各中心軸は、車幅方向に対して平行である。
【0017】
第1円筒部24は、クレビスのピン(不図示)が差し込まれるものである。尚、クレビスは、車両のブレーキブースタ(不図示)から延出するオペレーティングロッド(不図示)の先端部を、アーム本体20に対して回動可能に連結するものである。
【0018】
第2円筒部26は、アーム本体20のボスであって、軸ピン(不図示)が差し込まれるものである。従って、第2円筒部26の中心は、車両の運転者が踏面部22を前方向へ踏み込んだ際の、アーム本体20の回転中心Cとなる。
【0019】
第3円筒部28は、その空洞に第2円筒部26が内在する形態で、アーム本体20に形成されている。これにより、第3円筒部28の内壁面28Aは、第2円筒部26の周囲を取り囲んでいる。
【0020】
第2円筒部26と第3円筒部28の間には、6個の円筒用リブ30が等ピッチで放射状に渡し設けられている。これにより、第2円筒部26は、アーム本体20に固設されている。尚、各円筒用リブ30の厚みは、後述する複数のリブ44の厚みと同じである。
【0021】
アーム本体20は、第1縁面部40、第2縁面部42、及び複数のリブ44を有している。第1縁面部40及び第2縁面部42は、車幅方向に対して平行な平面や曲面等で構成されており、第1円筒部24と踏面部22の間において、前後方向で対向している。第1縁面部40及び第2縁面部42の各下端部は、後方向へ折れ曲がった形状であり、踏面部22に連なっている。これに対して、第1縁面部40及び第2縁面部42の各上端部は、第1円筒部24の上方にて、湾曲した形態で連なっている。
【0022】
第1縁面部40と第2縁面部42の間、及び踏面部22と第2縁面部42の間には、複数のリブ44が渡し設けられている。更に、第3円筒部28と第2縁面部42の間には、2個のリブ44が渡し設けられている。第3円筒部28は、その後方側が第1縁面部40に連なった状態で形成されると共に、その前方側が上述した2個のリブ44を介して第2縁面部42に連なった状態で形成されることによって、アーム本体20に固設されている。これに対して、第1円筒部24は、その外周面に連なって形成された側面部46が、第3円筒部28の外周面、第1縁面部40の内壁面、及び第2縁面部42の内壁面等に連なって形成されることによって、アーム本体20に固設されている。
【0023】
アーム本体20には、第3円筒部28の下方にて、上下方向で互いに向かい合った第1リブ44A及び第2リブ44Bが、第1縁面部40と第2縁面部42の間に渡し設けられている。第1リブ44A及び第2リブ44Bは、上記複数のリブ44に含まれる。第1リブ44A及び第2リブ44Bの間では、その上下方向の間隔Dが、第1縁面部40から第2縁面部42に向かうに連れて、つまり、前方向へ向かうに連れて長くなる。また、第2リブ44Bには、その下方側において、第1リブ44Aへ向けて突出した支えリブ48が設けられている。
【0024】
第1リブ44Aが第2縁面部42に連なる位置P1と、第2リブ44Bが第2縁面部42に連なる位置P2の間には、脆弱部42Aが設けられている。脆弱部42Aは、第2縁面部42の一部である。脆弱部42Aは、その厚みが第2縁面部42の厚みと比べて薄く形成されている。このような構成により、脆弱部42Aは、図2に表されたように、踏面部22に所定値以上の荷重Fが前方向へ作用したときに、第2縁面部42から分断する。
【0025】
ここで、車両の運転者が踏面部22を前方向へ踏み込む力を「踏力」と表記すると、所定値とは、脆弱部42Aが第2縁面部42から分断した際の踏力の値であって、通常操作時の踏力の値よりも著しく大きな値を示している。更に詳しく言えば、所定値とは、通常操作時に踏面部22の移動距離を最大にするために必要な踏力の値よりも大きな値であり、且つ、脆弱部42Aが設けられていない第2縁面部42を有したアーム本体20が分断する際の踏力の値よりも小さな値である。
【0026】
以上より、第1実施形態の樹脂製ペダルアーム10では、例えば、車両の運転者が踏面部22を踏み込む操作(以下、「ブレーキ操作」と言う。)を行うことにより、所定値以上の荷重Fが踏面部22に作用すると、脆弱部42Aが第2縁面部42から分断する。更に、第1リブ44Aが、踏面部22に作用する荷重Fによって、上方向へ移動する。このとき、第1実施形態の樹脂製ペダルアーム10では、図3に表されたように、第1縁面部40が第1リブ44Aと第2リブ44Bの間で折れ曲がると共に、第1リブ44Aの前端部が支えリブ48を介して第2リブ44Bの下壁面に受け止められる。これにより、アーム本体20の更なる変形が抑制されると共にアーム本体20の分断が回避されるので、ブレーキ操作の維持が可能となる。そのため、車両の運転者は、ブレーキ操作時の違和感を通じて、樹脂製ペダルアーム10の異常を知ることが可能であると共に、ブレーキ操作を続行することによって、車両のブレーキ機能の喪失を回避することが可能である。このようにして、第1実施形態の樹脂製ペダルアーム10は、更なる安全性の向上を図っている。
【0027】
特に、第1実施形態の樹脂製ペダルアーム10では、第1リブ44Aが第2リブ44Bに受け止められた状態になると、アーム本体20の剛性が変化するので、車両の運転者は、樹脂製ペダルアーム10の異常を確実に知ることができる。
【0028】
尚、第2縁面部42において、脆弱部42Aは、例えば、上記各位置P1,P2に形成される溝によって設けられてもよい。
【0029】
(2)第2実施形態
次に、本発明を具体化した第2実施形態について説明する。尚、以下の説明では、上記第1実施形態と実質的に共通する部分には同一の符号を付し、詳しい説明を省略する。第2実施形態では、第1実施形態の脆弱部42A及び支えリブ48が設けられておらず、図4に表されたように、第2縁面部42の厚みは均一である。
【0030】
更に、第2実施形態の樹脂製ペダルアーム12では、第2円筒部26と第3円筒部28の間において、複数のリブ44の厚みよりも薄い6個の円筒用リブ30が等ピッチで渡し設けられている。尚、ブレーキ操作時には、第2円筒部26(内の軸ピン)の中心に対して、後方向の反力が作用する。
【0031】
このような構成により、第2実施形態の樹脂製ペダルアーム12では、図5に表されたように、踏面部22に所定値以上の荷重Fが前方向へ作用すると、第2円筒部26(内の軸ピン)の中心に作用する後方向の反力によって、6個の円筒用リブ30が第2円筒部26から分断する。
【0032】
以上より、第2実施形態の樹脂製ペダルアーム12では、例えば、車両の運転者がブレーキ操作を行うことにより、所定値以上の荷重Fが踏面部22に作用すると、6個の円筒用リブ30が第2円筒部26から分断する。更に、第2円筒部26が、その中心に対して作用する反力によって、後方向へ移動する。このとき、第2実施形態の樹脂製ペダルアーム12では、第2円筒部26が第3円筒部28の内壁面28Aに受け止められる。これにより、アーム本体20の分断が回避されるので、ブレーキ操作の維持が可能となる。そのため、車両の運転者は、ブレーキ操作時の違和感を通じて、樹脂製ペダルアーム12の異常を知ることが可能であると共に、ブレーキ操作を続行することによって、車両のブレーキ機能の喪失を回避することが可能である。このようにして、第2実施形態の樹脂製ペダルアーム12は、更なる安全性の向上を図っている。
【0033】
特に、第2実施形態の樹脂製ペダルアーム12では、第2円筒部26が第3円筒部28の内壁面28Aに受け止められた状態になると、アーム本体20の回転中心Cが第3円筒部28の空洞内を移動して不安定な状態になるので、車両の運転者は、樹脂製ペダルアーム12の異常を確実に知ることができる。
【0034】
(3)第3実施形態
次に、本発明を具体化した第3実施形態について説明する。尚、以下の説明では、上記第1実施形態と実質的に共通する部分には同一の符号を付し、詳しい説明を省略する。第3実施形態では、第1実施形態の支えリブ48が設けられていない。更に、第3実施形態では、第1実施形態の脆弱部42Aに対して、歪ゲージ60が取り付けられている。歪ゲージ60は、脆弱部42Aの歪を電気的信号に置き換えるものである。歪ゲージ60から出力される電気的信号は、電子回路(不図示)等を通して、車両の運転状態を制御する制御装置(不図示)に伝達される。尚、脆弱部42Aが第2縁面部42から分断したきには、歪が零であることを示す電気的信号が歪ゲージ60から出力される。
【0035】
従って、第3実施形態の樹脂製ペダルアーム14では、例えば、車両の運転者がブレーキ操作を行うことにより、所定値以上の荷重Fが踏面部22に作用すると、図7に表されたように、歪ゲージ60を取り付けた脆弱部42Aが、第2縁面部42から分断する。このとき、脆弱部42Aが第2縁面部42から分断したことは、歪ゲージ60で一層確実に検出され、更に、制御装置を介して車両の運転制御に反映されることによって、運転者に認識される。このようにして、第3実施形態の樹脂製ペダルアーム14は、更なる安全性の向上を図っている。
【0036】
尚、歪ゲージ60に代えて、脆弱部42Aの分断によって破断するリード線を、脆弱部42Aに取り付けてもよい。そのような場合には、リード線の破断を検出したセンサからの電気的信号が、制御装置に伝達される。
【0037】
(4)まとめ
以上詳細に説明した通り、各実施形態の樹脂製ペダルアーム10,12,14では、更なる安全性の向上を図ることが可能である。
【0038】
ちなみに、第1実施形態において、第1リブ44Aは、「第1部位」の一例である。第2リブ44Bは、「第2部位」の一例である。第1リブ44Aと第2リブ44Bの間隔Dは、「第1リブとの間隔」の一例である。第1リブ44Aが第2縁面部42に連なる位置P1は、「第1リブの連設位置」の一例である。第2リブ44Bが第2縁面部42に連なる位置P2は、「第2リブの連設位置」の一例である。
【0039】
第2実施形態において、第2円筒部26は、「第1部位」及び「ボス」の一例である。第3円筒部28の内壁面28Aは、「第2部位」及び「環状内壁面」の一例である。各円筒用リブ30は、「脆弱部」及び「連結部」の一例である。
【0040】
第3実施形態において、歪ゲージ60は、「センサ」の一例である。
(5)その他
尚、本発明は、上記各実施形態に限定されるものでなく、その趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
例えば、各実施形態の樹脂製ペダルアーム10,12,14は、ブレーキペダル以外の車両のペダル(例えば、アクセルペダル又はクラッチペダル等)として使用されるものでもよい。
【0041】
また、第1実施形態及び第3実施形態の各アーム本体20は、第1リブ44Aと第2リブ44Bと脆弱部42Aで囲まれた空間、第1円筒部24、及び第2円筒部26を除けば、中実状に形成されてもよい。また、第2実施形態のアーム本体20は、第1円筒部24、第2円筒部26、及び第3円筒部28を除けば、中実状に形成されてもよい。
【0042】
(5−1)第1実施形態の第1変更例
次に、第1実施形態の第1変更例について説明する。尚、以下の説明では、上記第1実施形態と実質的に共通する部分には同一の符号を付し、詳しい説明を省略する。第1実施形態の第1変更例では、第1実施形態の支えリブ48が設けられていない。更に、第1実施形態の第1変更例では、第1実施形態の脆弱部42Aに代えて、図8に表されたように、リベット70が設けられている。従って、第1実施形態の第1変更例である樹脂製ペダルアーム10Aでは、踏面部22に所定値以上の荷重Fが前方向へ作用すると、リベット70が破断する。
【0043】
更に、樹脂製ペダルアーム10Aでは、第1リブ44Aが第2縁面部42に連なる位置P1と、第2リブ44Bが第2縁面部42に連なる位置P2の間において、第2縁面部42が、突片部72とストッパ74に分かれている。突片部72は、第2縁面部42において、上記の位置P1から上方向へ延出している。
【0044】
ストッパ74は、上記の位置P2から下方向へ延出している。ストッパ74は、その下端が逆V字状に分岐しており、一対の内壁側面74A,74Aと、内壁上面74Bを有している。内壁上面74Bは、一対の内壁側面74A,74Aの各上端に連なっている。一対の内壁側面74A,74Aは、それらの間隔が下方向へ向かうに連れて広くなる形態で向かい合っている。一対の内壁側面74A,74Aのうち、前方にある内壁側面74Aには、突片部72がリベット70で接合されている。この接合により、突片部72は、その先端がストッパ74の内壁上面74Bから離れた状態でストッパ74に固定されている。
【0045】
以上より、樹脂製ペダルアーム10Aでは、例えば、車両の運転者がブレーキ操作を行うことにより、所定値以上の荷重Fが踏面部22に作用すると、リベット70が破断する。更に、第1リブ44A及び突片部72が、踏面部22に作用する荷重Fによって、上方向へ移動する。このとき、樹脂製ペダルアーム10Aでは、図9に表されたように、第1縁面部40が第1リブ44Aと第2リブ44Bの間で折れ曲がると共に、突片部72の先端がストッパ74の一対の内壁側面74A,74A及び内壁上面74Bで受け止められる。これにより、アーム本体20の分断が回避される。
【0046】
(5−2)第1実施形態の第2変更例
次に、第1実施形態の第2変更例について説明する。尚、以下の説明では、上記第1実施形態と実質的に共通する部分には同一の符号を付し、詳しい説明を省略する。第1実施形態の第2変更例では、第1実施形態の支えリブ48に代えて、図10に表されたように、第1リブ44Aへ向けて突出した一対の爪部50が第2リブ44Bに設けられている。一対の爪部50の先端は、返し形状になっている。更に、第1リブ44Aには、その上方側から一対の爪部50が貫入される一対の穴部52が設けられている。
【0047】
従って、樹脂製ペダルアーム10Bでは、例えば、車両の運転者がブレーキ操作を行うことにより、所定値以上の荷重Fが踏面部22に作用すると、脆弱部42Aが第2縁面部42から分断する。更に、第1リブ44Aが、踏面部22に作用する荷重Fによって、上方向へ移動する。このとき、樹脂製ペダルアーム10Bでは、図11に表されたように、第1縁面部40が第1リブ44Aと第2リブ44Bの間で折れ曲がると共に、第1リブ44Aの前端部が第2リブ44Bの下壁面に受け止められる。更に、第2リブ44Bの一対の爪部50が、第1リブ44Aの一対の穴部52に貫入する。これにより、第2リブ44Bの一対の爪部50が第1リブ44Aに係止されるので、アーム本体20の分断が回避される。
【0048】
(5−3)第2実施形態の第1変更例
次に、第2実施形態の第1変更例について説明する。尚、以下の説明では、上記第2実施形態と実質的に共通する部分には同一の符号を付し、詳しい説明を省略する。第2実施形態の第1変更例では、第2実施形態の第2円筒部26、各円筒用リブ30に代えて、図12に表されたように、第4円筒部80が設けられている。
【0049】
第4円筒部80は、前側円筒部82、後側円筒部84、及び連通口86を有している。前側円筒部82及び後側円筒部84は、それらの中心軸が車幅方向に対して平行であり、それらの空洞が連通口86を介して通し連なっている。前側円筒部82の前方側及び後側円筒部84の後方側は、第3円筒部28に連なった状態で形成されている。これにより、第4円筒部80は、アーム本体20に固設されている。
【0050】
第4円筒部80の前側円筒部82は、アーム本体20のボスであって、軸ピン(不図示)が差し込まれるものである。従って、前側円筒部82の中心は、車両の運転者が踏面部22を前方向へ踏み込んだ際の、アーム本体20の回転中心Cとなる。更に、踏面部22に所定値以上の荷重Fが前方向へ作用すると、前側円筒部82(内の軸ピン)の中心に対して、後方向の反力が作用する。その反力は、前側円筒部82内の軸ピンを介して、連通口86を形成する壁面に作用し、連通口86の開口幅を拡張変形させる。これにより、前側円筒部82内の軸ピンは、前側円筒部82から後側円筒部84に移動する。
【0051】
従って、第2実施形態の第1変更例である樹脂製ペダルアーム12Aでは、例えば、車両の運転者がブレーキ操作を行うことにより、所定値以上の荷重Fが踏面部22に作用すると、前側円筒部82(内の軸ピン)の中心に対して作用する反力によって、前側円筒部82内の軸ピンが、連通口86の開口幅を拡張変形させつつ、後側円筒部84に移動する。この結果、樹脂製ペダルアーム12Aでは、アーム本体20の回転中心Cが、前側円筒部82の中心から後側円筒部84に移動する。
【0052】
(5−4)第2実施形態の第2変更例
次に、第2実施形態の第2変更例について説明する。尚、以下の説明では、上記第2実施形態と実質的に共通する部分には同一の符号を付し、詳しい説明を省略する。第2実施形態の第2変更例では、第2実施形態の第1円筒部24に代えて、図13に表されたように、第5円筒部90が設けられている。
【0053】
第5円筒部90は、前側円筒部92、後側円筒部94、及び連通口96を有している。前側円筒部92及び後側円筒部94は、それらの中心軸が車幅方向に対して平行であり、それらの空洞が連通口96を介して通し連なっている。更に、前側円筒部92及び後側円筒部94は、側面部46及び第2縁面部42に連なった状態で形成されている。これにより、第5円筒部90は、アーム本体20に固設されている。
【0054】
尚、各円筒用リブ30の厚みは、第1実施形態と同様にして、複数のリブ44の厚みと同じである。
【0055】
第5円筒部90の後側円筒部94は、クレビスのピン(不図示)が差し込まれるものである。更に、踏面部22に所定値以上の荷重Fが前方向へ作用すると、後側円筒部94内のピンに対して前方向の反力が作用する。その反力は、後側円筒部84内のピンを介して、連通口96を形成する壁面に作用し、連通口96の開口幅を拡張変形させる。これにより、後側円筒部84内のピンは、後側円筒部94から前側円筒部92に移動する。
【0056】
従って、第2実施形態の第2変更例である樹脂製ペダルアーム12Bでは、例えば、車両の運転者がブレーキ操作を行うことにより、所定値以上の荷重Fが踏面部22に作用すると、後側円筒部94内のピンに対して作用する反力によって、後側円筒部94内のピンが、連通口96の開口幅を拡張変形させつつ、前側円筒部92に移動する。
【0057】
(5−5)第3実施形態の変更例
次に、第3実施形態の変更例について説明する。尚、以下の説明では、上記第3実施形態と実質的に共通する部分には同一の符号を付し、詳しい説明を省略する。第3実施形態の変更例では、第3実施形態の歪ゲージ60に代えて、図14に表されたように、スイッチ62が設けられている。スイッチ62は、その測定素子62Aが第1リブ44Aと向かい合うようにして、第2リブ44Bに取り付けられている。スイッチ62は、その測定素子62Aが変位すると、電気的信号を出力するものである。
【0058】
従って、第3実施形態の変更例である樹脂製ペダルアーム14Aでは、例えば、車両の運転者がブレーキ操作を行うことにより、所定値以上の荷重Fが踏面部22に作用すると、脆弱部42Aが第2縁面部42から分断する。更に、第1リブ44Aが、踏面部22に作用する荷重Fによって、上方向へ移動して、スイッチ62の測定素子62Aに向かう。このとき、樹脂製ペダルアーム14Aでは、図15に表されたように、第1縁面部40が第1リブ44Aと第2リブ44Bの間で折れ曲がると共に、第1リブ44Aの前端部が第2リブ44Bの下壁面に受け止められる。
【0059】
これにより、第1リブ44Aの前端部は、スイッチ62の測定素子62Aを上方向へ押動して変位させる。そのため、脆弱部42Aが第2縁面部42から分断したことは、スイッチ62で検出される。
【符号の説明】
【0060】
10,12,14 樹脂製ペダルアーム
20 アーム本体
22 踏面部
26 第2円筒部
28A 第3円筒部の内壁面
30 円筒用リブ
40 第1縁面部
42 第2縁面部
42A 脆弱部
44A 第1リブ
44B 第2リブ
60 歪ゲージ
C アーム本体の回転中心
D 第1リブと第2リブの間隔
F 所定値以上の荷重
P1 第1リブが第2縁面部に連なる位置
P2 第2リブが第2縁面部に連なる位置
【要約】
【課題】更なる安全性の向上を図った樹脂製ペダルアームを提供すること。
【解決手段】樹脂製ペダルアーム10は、アーム本体20と、アーム本体20に設けられた踏面部22とを備える。アーム本体20は、第1リブ44Aと、第1リブ44Aに対向する第2リブ44Bと、第1リブ44Aと第2リブ44Bの間に設けられ、踏面部22に所定値以上の荷重Fが作用したときに破壊することによって、第1リブ44Aが第2リブ44Bに受けられた状態にする脆弱部42Aとを備える。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15