(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6591706
(24)【登録日】2019年9月27日
(45)【発行日】2019年10月16日
(54)【発明の名称】グループチャットシステムにおけるグループ自動編成のための方法、装置、システム、およびコンピュータプログラムを格納する媒体
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/30 20120101AFI20191007BHJP
G06Q 50/00 20120101ALI20191007BHJP
G06Q 10/06 20120101ALI20191007BHJP
G06F 13/00 20060101ALI20191007BHJP
【FI】
G06Q50/30
G06Q50/00 300
G06Q10/06 302
G06F13/00 650B
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2019-9796(P2019-9796)
(22)【出願日】2019年1月23日
【審査請求日】2019年3月11日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】391021684
【氏名又は名称】菱洋エレクトロ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】佐野 修
(72)【発明者】
【氏名】楠本 恭一
【審査官】
衣川 裕史
(56)【参考文献】
【文献】
特許第6263668(JP,B1)
【文献】
特開2015−197734(JP,A)
【文献】
特開2018−128728(JP,A)
【文献】
特開2005−098880(JP,A)
【文献】
国際公開第2014/069041(WO,A1)
【文献】
国際公開第2019/010362(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00−99/00
G06F 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数名のユーザーを対象とするグループチャットシステムにおいてグループの自動編成を行うための、コンピュータが実施する方法であって、
各ユーザーがそれぞれ有するユーザープロファイルに対し、そのユーザーの職務を表す一種以上のタグを付与するステップと、
運輸における運行便に対して、必要とされる一種以上の属性を決定し、前記運行便に対応するグループを作成して、前記グループに有効期限を与えるステップと、
前記運行便において必要とされる一種以上の属性に対応するタグを有するユーザープロファイルを検索し、対応する一名以上のユーザーのリストを得るステップと、
前記グループに、前記リストに含まれる一名以上のユーザーを加入させるステップと、
前記グループが前記有効期限を迎える前に、前記グループに加入したユーザーが前記グループを離脱した場合、その離脱したユーザーを前記グループへ再度加入させるステップと
を含むことを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記ユーザーが、運輸における運行便に従事する人員、および前記運行便への乗客もしくは見送り客のうちのいずれか一種以上を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記属性がさらに、人数、時間的な限定、および空間的な限定からなる群から選択される一種以上の要素も含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法をコンピュータに実施させるためのプログラムを格納するコンピュータ可読媒体。
【請求項5】
複数名のユーザーを対象とするグループチャットシステムにおいてグループの自動編成を行うための装置であって、
各ユーザーがそれぞれ有するユーザープロファイルを保存する記憶手段と、
一個以上のプロセッサと
を含み、
前記プロセッサが、
前記記憶手段に保存されるユーザープロファイルに対し、そのユーザーの職務を表す一種以上のタグを付与することと、
運輸における運行便に対して、必要とされる一種以上の属性を決定し、前記運行便に対応するグループを作成して、前記グループに有効期限を与えることと、
前記運行便において必要とされる一種以上の属性に対応するタグを有するユーザープロファイルを検索し、対応する一名以上のユーザーのリストを得ることと、
前記グループに、前記リストに含まれる一名以上のユーザーを加入させることと、
前記グループが前記有効期限を迎える前に、前記グループに加入したユーザーが前記グループを離脱した場合、その離脱したユーザーを前記グループへ再度加入させることと
を行うように構成される
ことを特徴とする、装置。
【請求項6】
複数名のユーザーを対象とするグループチャットシステムにおいてグループの自動編成を行うためのシステムであって、
各ユーザーがそれぞれ有するユーザープロファイルを保存する記憶手段と、一個以上のプロセッサとを有するサーバと、
前記サーバと通信可能に接続する一基以上のユーザー装置と
を含み、
前記サーバが有する前記プロセッサが、
前記記憶手段に保存されるユーザープロファイルに対し、そのユーザーの職務を表す一種以上のタグを付与することと、
運輸における運行便に対して、必要とされる一種以上の属性を決定し、前記運行便に対応するグループを作成して、前記グループに有効期限を与えることと、
前記運行便において必要とされる一種以上の属性に対応するタグを有するユーザープロファイルを検索し、対応する一名以上のユーザーのリストを得ることと、
前記グループに、前記リストに含まれる一名以上のユーザーを加入させることと、
前記グループが前記有効期限を迎える前に、前記グループに加入したユーザーが前記グループを離脱した場合、その離脱したユーザーを前記グループへ再度加入させることと、
前記グループに加入しているユーザーが有するユーザー装置からの入力を受信し、前記グループに加入しているその他のユーザーが有するユーザー装置へと送信して当該ユーザー装置が有する表示手段上に出力させることと
を行うように構成される
ことを特徴とする、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グループチャットシステムにおけるグループ自動編成に関し、特には、運輸業界において用いられるグループチャットシステムにおけるグループ自動編成に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄道、航空機、トラック、船舶などにより乗客や貨物を輸送する運輸業界では、多数の運行便を並行して管理する必要がある。各運行便にはそれぞれ、その輸送手段を運転する人員のみならず、荷の積み下ろし、整備、管制、接客、搭乗受付、客室対応などのさまざまな役割を担う多数の人員が関わることになる。
【0003】
各人員がどの運行便に関与するかをリアルタイムで管理していくのは非常に繁雑な業務であり、ときには間違いが発生することもある。運行便の時間厳守は運輸業界における強い要請であるため、そうした間違いの発生は非常に大きな問題となっていた。
【0004】
他方、ソフトウェア分野などの他業界では、多数の並行するプロジェクトを管理するためにグループチャットシステムの採用が行われている。例えば特許文献1には、グループチャットシステムにおいてユーザーのリクエストに応じてグループ構成員を追加する手法が開示されている。
【0005】
また特許文献2には、複数のグループに基づく通信チャネルを有するグループチャットシステムにおいて、開設した通信チャネルへのアクセス権限の管理を行う手法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2014-013575号公報
【特許文献2】米国特許出願公開第2018/0212903号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、運輸業界において従来のグループチャットシステムを使用しようとしても、多数の運行便の管理との整合が困難な問題が解決できなかった。
【0008】
すなわち、グループチャットシステムにおいてグループを複数設けなければ、運行便の数が多いため、個々の人員にとっては関係のないノイズが多くなりすぎて不便であり、実用に堪えない。
【0009】
だがその一方で、運行便は刻一刻とその状態が変化していくため、ただ単純に運行便ごとにグループを複数開設していったとしても、どの人員(ユーザー)がいつまでそのグループに属していればよいのかの判断が難しい問題があった。さらには、誤操作や思い込みによってグループから外れてしまった人員の管理が不可能になるという問題も解決できていなかった。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決するため、本発明では以下の態様を提供できる。
【0011】
態様1.
複数名のユーザーを対象とするグループチャットシステムにおいてグループの自動編成を行うための、コンピュータが実施する方法であって、
各ユーザーがそれぞれ有するユーザープロファイルに対し、そのユーザーの職務を表す一種以上のタグを付与するステップと、
運輸における運行便に対して、必要とされる一種以上の属性を決定し、前記運行便に対応するグループを作成して、前記グループに有効期限を与えるステップと、
前記運行便において必要とされる一種以上の属性に対応するタグを有するユーザープロファイルを検索し、対応する一名以上のユーザーのリストを得るステップと、
前記グループに、前記リストに含まれる一名以上のユーザーを加入させるステップと、
前記グループが前記有効期限を迎える前に、前記グループに加入したユーザーが前記グループを離脱した場合、その離脱したユーザーを前記グループへ再度加入させるステップと
を含むことを特徴とする、方法。
【0012】
態様2.
前記ユーザーが、運輸における運行便に従事する人員、および前記運行便への乗客もしくは見送り客のうちのいずれか一種以上を含む、態様1に記載の方法。
【0013】
態様3.
前記属性がさらに、人数、時間的な限定、および空間的な限定からなる群から選択される一種以上の要素も含む、態様1または2に記載の方法。
【0014】
態様4.
態様1〜3のいずれかに記載の方法をコンピュータに実施させるためのプログラムを格納するコンピュータ可読媒体。
【0015】
態様5.
複数名のユーザーを対象とするグループチャットシステムにおいてグループの自動編成を行うための装置であって、
各ユーザーがそれぞれ有するユーザープロファイルを保存する記憶手段と、
一個以上のプロセッサと
を含み、
前記プロセッサが、
前記記憶手段に保存されるユーザープロファイルに対し、そのユーザーの職務を表す一種以上のタグを付与することと、
運輸における運行便に対して、必要とされる一種以上の属性を決定し、前記運行便に対応するグループを作成して、前記グループに有効期限を与えることと、
前記運行便において必要とされる一種以上の属性に対応するタグを有するユーザープロファイルを検索し、対応する一名以上のユーザーのリストを得ることと、
前記グループに、前記リストに含まれる一名以上のユーザーを加入させることと、
前記グループが前記有効期限を迎える前に、前記グループに加入したユーザーが前記グループを離脱した場合、その離脱したユーザーを前記グループへ再度加入させることと
を行うように構成される
ことを特徴とする、装置。
【0016】
態様6.
複数名のユーザーを対象とするグループチャットシステムにおいてグループの自動編成を行うためのシステムであって、
各ユーザーがそれぞれ有するユーザープロファイルを保存する記憶手段と、一個以上のプロセッサとを有するサーバと、
前記サーバと通信可能に接続する一基以上のユーザー装置と
を含み、
前記サーバが有する前記プロセッサが、
前記記憶手段に保存されるユーザープロファイルに対し、そのユーザーの職務を表す一種以上のタグを付与することと、
運輸における運行便に対して、必要とされる一種以上の属性を決定し、前記運行便に対応するグループを作成して、前記グループに有効期限を与えることと、
前記運行便において必要とされる一種以上の属性に対応するタグを有するユーザープロファイルを検索し、対応する一名以上のユーザーのリストを得ることと、
前記グループに、前記リストに含まれる一名以上のユーザーを加入させることと、
前記グループが前記有効期限を迎える前に、前記グループに加入したユーザーが前記グループを離脱した場合、その離脱したユーザーを前記グループへ再度加入させることと、
前記グループに加入しているユーザーが有するユーザー装置からの入力を受信し、前記グループに加入しているその他のユーザーが有するユーザー装置へと送信して当該ユーザー装置が有する表示手段上に出力させることと
を行うように構成される
ことを特徴とする、システム。
【発明の効果】
【0017】
本発明の実施形態によれば、グループチャットシステムにおいて各運行便ごとに関与する人員を含めるようにグループを自動編成でき、しかも各グループからの人員の誤離脱も起こさないという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の或る実施形態に係る方法を説明するためのフローチャートである。
【
図2】本発明の或る実施形態に係るシステムを示す模式図である。
【
図3】本発明の或る実施形態に係るグループチャットシステムを表示する画面の例である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下図面を参照しながら本発明を詳細に説明するが、複数の図面に跨がる同じ参照番号は、同じ要素もしくは類似の要素を指す。
【0020】
本発明の実施形態は、運輸分野において使用できるものであり、その輸送手段の種類・形態には特に制限は無いが、例えば鉄道、航空機、トラック、船舶などを使用した運輸において使用可能である。本実施形態は運輸に業務として携わる人員(例えば運転手、空港職員、客室乗務員、荷下ろし業務員などの乗務員や業務構成員)を主な対象ユーザーと想定するものではあるが、運行便の乗客や見送り客がユーザーに含まれていたとしてもかまわない。
【0021】
本明細書におけるグループチャットシステムとは、ネットワークを介してユーザーが情報をやりとりできるアプリケーション(ソフトウェアやシステム)を指す。本実施形態は既存のグループチャット機能を有するシステム、例えばプロプライエタリなもの(Slack、LINE、Skype、Windows Messenger、Chatworkなど)やオープンソースのもの(Mastodonなど)の上で機能させることも可能であるし、あるいは専用のグループチャットシステム上で機能させることもできる。
【0022】
グループチャットシステムには、一名以上のユーザーを登録できる。各ユーザーにはそれぞれ紐付けられたユーザープロファイル(データ)が存在する。ユーザープロファイルには、そのユーザーの情報を格納でき、例えば氏名、ハンドルネーム、職務、所属する組織・部署名などを表す情報を格納可能である。
【0023】
図1は、本発明の或る実施形態に係る方法を説明するためのフローチャートである。この方法ではまずステップ S110 において、各ユーザーのユーザープロファイルに職務を表す情報(タグ)を付与する。タグは一種に限られず、複数種であってもよい。すなわちユーザーは複数の職務に対応できてもよく、例えば或るユーザーが操縦も客室対応もできるような場合も想定可能である。
【0024】
このようにタグを付与しておくことで、後にそのタグを使って各運行便に関連するユーザーを絞り込み、その運行便に関係するグループに、必要な職務を有するユーザーを加入させることができる。なおここで言う「職務」には、運行便に関係する業務、例えば運転(操縦)、客室対応、荷の積み下ろし、整備、管制、車掌、水先案内、交代要員などを任意に含めることができる。また必要であれば、「その運行便の乗客や見送り客であること」を職務として扱ってもかまわない。すなわち本明細書では、「職務」とはそのユーザーと運行便の関係を一般的に意味する用語であると考えてもよい。
【0025】
次にステップ S120 として、運行便において必要とされる属性を決定し、その運行便に対応するグループをグループチャットシステム上で作成する。この属性とは、運行便の実施において必要と考えられる属性である。グループ作成時には、グループの名称を自動で設定してもよく、または管理者もしくはユーザーにより手動で設定することもできる。自動設定の場合、グループの名称は運行便にちなんだ名称にしてもよいし(例えば「XX57便」という名前の便に対してグループの名称を「XX57C」とするなど)、あるいは何か別の命名規則に従ってもよいし、ランダムにつけてもかまわない。
【0026】
好ましい実施形態では、一度決定されたグループの名称の変更を抑止することができる。この機能が有効であると、グループ名が運行便名に対応していたのに変更されてしまってユーザーが関与すべき運行便を間違えてしまったり、いたずらを防止できたりする効果がある。この機能の実施にあたっては例えば、グループ名の変更権限を与えられていないユーザーがグループ名変更の操作を行った際、システムがグループ名変更を自動で拒否するようにしてもよいし、あるいはグループ名が変更された後に自動で元の名前に戻すような動作を行ってもよい。
【0027】
また運行便において必要とされる属性としては例えば、上述した職務のいずれかを要求するもの、例えば「操縦する人員が必要」「荷を積む人員が必要」のようなものであってもよい。または当該属性として、職務のいずれかと人数を要求するもの、例えば「客室対応をする人員が三名必要」「乗客として五名必要」のようなものが含まれていてもよい。さらには当該属性として、職務のいずれかを時間的な限定または空間的な限定を付して要求するもの、すなわち例えば「某月某日の午前6時から午前7時のあいだに整備をする人員が必要」「A駅からB駅のあいだに車掌をする人員が必要」のようなものが含まれていてもよい。言い換えれば、当該属性は、人数、時間的な限定、または空間的な限定のうちのいずれか一種以上の要素を含んでいてもよいということである。
【0028】
あるいは当該属性は、上述した「職務」タグと実質的に同一であってもかまわない。またこうした属性は一種に限られず、複数種であってもよい。
【0029】
またこのステップ S120 では、作成したグループにはその運行便の事情に応じた有効期限を設定する。この有効期限とは、例えば運行便が終点または目的地に到着するまでの期限であってもよいし、乗務員/業務構成員が交代すべき時刻までの期限であってもよいし、その他の事情に応じた何らかの期限であってもかまわない。このようにグループに有効期限を設定するのは、運輸の性質上、運行便が恒久的に動き続けるというのは考えにくいためである。そして、運行便に紐付けられるグループはむしろ期間有限であった方が、野放図にグループが増殖せず管理しやすいという効果もある。
【0030】
次に当該方法はステップ S130 に進み、運行便が求める属性に対応する職務を決定し、その職務に対応するタグを含んだユーザープロファイルを検索することで、対応する一名以上のユーザーのリストを作成する。例えば運行便が要求する属性が「操縦する人員が必要」であれば、「操縦」に関する職務タグが付されたユーザーを検索してリストアップできる。またこの検索では、完全一致、部分一致、連想、シソーラスなどソフトウェア分野で知られる任意の手法を用途に応じて採用できる。例えば運行便が要求する属性が「食事の提供が必要」なのであれば、「調理」や「客室対応」や「(食品に関する)荷の積み込み」に関する職務タグが付されたユーザーを検索してリストアップすることもまた可能である。
【0031】
なお上記の「有効期限」が満了した後であっても、当該グループをシステム上から消滅させる必要は無く、その後もグループチャットに使用可能である。つまり本明細書で言う「有効期限」とは、そのグループが機能できなくなるまでの期限とは限らず、求める属性を有するユーザーを加入させておきたい期間を示す期限のことであると考えることができる。
【0032】
次に当該方法はステップ S140 に進み、ステップ S130 で作成したユーザーのリストに含まれるユーザーの全部または一部を、運行便に紐付いたグループに加入させることができる。この加入対象となるユーザーの数は、当該リストに含まれている全数であってもよいし、あるいは運行便の事情に対応する上限人数以下の数であってもかまわない。
【0033】
またこのグループへの加入は、自動的に行われてもよい。あるいはその加入が、対象ユーザーへの招待を介する半自動のものであってもかまわない。半自動の場合、ユーザーは招待を受信した後、招待を受諾するか拒否するかを選択可能であってよい。
【0034】
そのような招待は、ユーザーが有するユーザー装置に出される通知プロンプト(例えばユーザー装置にインストールされているOSを介して、ユーザー装置の表示手段上のユーザーインターフェイス(UI)が有する通知領域へ出す通知)であってもよいし、あるいは、ユーザー装置の有する表示手段上のチャット画面でのボットによる促しであってもよい。なお本明細書において「ボット」とは、グループチャットシステムにおけるボット、すなわち機械が制御する(擬似)ユーザーのことを指す。
【0035】
あるいはそうした加入の別の手法として、ユーザーがユーザー装置上で或るグループへの加入のための操作をした際に、そのグループの対象としてリストアップされているユーザーであるかどうかを判断し、加入するか否かをシステムが決定するようにしてもよい。
【0036】
そうした加入のための操作としては例えば、グループチャットシステムのUI上でのグループを指定しての加入操作(入力)や、ボットに向けての発言を介した加入操作が挙げられる。ボットを介する加入操作の場合、ユーザーはグループチャットシステムのUI上で、グループ名や運行便名などのキーワードに何らかのメタ文字を付した発言(入力)をすることで、ボットがその発言を認識し、そのグループ名を持つグループへの加入をさせるようシステムに促すことができる。そうした入力の例としては、「%グループ名」(%がメタ文字)や「#便名」(#がメタ文字)などが考えられる。
【0037】
あるいは加入手法の変形例として、グループへの加入操作を行ったユーザーの加入は随時受け入れつつも、そのグループの対象としてリストアップされていないユーザーについては、何らかの時点で自動的に退出(離脱)させる、または離脱を促す通知を与えるようにしてもよい。このようにすることで、定期的に不適切なユーザーの整理を行い、グループを「あるべき姿」に整えることができる。
【0038】
そして当該方法はステップ S150 として、ユーザーが加入しているグループがその有効期限を迎える前に、当該ユーザーがグループを離脱した場合(離脱しようとした場合も含む)に、そのユーザーを当該グループに再加入させ、離脱を許さないようにできる(
図1では、ステップ S140 へ戻すという表現にしている)。これにより、ユーザーの誤操作や誤った思い込みによって本来加入しているべきであるグループからの離脱を抑止する効果が奏される。なお上述した「離脱しようとした場合」とは、ユーザーが離脱操作をしたとしてもシステムがそれを受け付けないようにするということを意味する。
【0039】
この再加入は、システムが自動的に行うのがその効果上好ましいが、上述した加入と同様に他の手法を採ったとしてもかまわない。
【0040】
一方、ステップ S150 でグループの有効期限が満了していた場合には、ステップ S160 へ進んで離脱操作のとおりに当該ユーザーを離脱させ、処理を終了する。
【0041】
なお上述した方法が含む各ステップの順番は必ずしも時系列順ではなく、本発明の効果を発揮できる限りにおいて時間的に入れ替えてもかまわない。
【0042】
図2は、本発明の或る実施形態に係るシステム 200 の構成を示す模式図である。システム 200 にはハードウェア要素として、サーバ 210 と、一基以上のユーザー装置 220 とが含まれてよい。サーバ 210 とユーザー装置 220 は、ネットワーク 230 を介して通信可能である。サーバ 210 は集約型であっても分散型であってもよいし、分散型の場合はネットワーク 230 またはその他のネットワークを介して互いに接続するものであってもよい。サーバ 210 は、少なくとも上述したユーザープロファイルを保存できる記憶手段と、本発明の実施形態に係る方法の各ステップを実施できる一個以上のプロセッサとを含むことができる。
【0043】
ユーザー装置 220 としては、当該技術分野で知られるコンピュータデバイスを任意に使用でき、例えばスマートフォン、タブレット、パーソナルコンピュータなどであってよい。ユーザー装置 220 は、グループチャットシステムを何らかの態様で表現できる表示手段を有し、そのような表示手段としては映像的な画面(スクリーンやプロジェクターなど)、音響発生手段(読み上げ手段と協働できるスピーカーなど)、といったものが挙げられる。
【0044】
コンピュータ装置であるサーバ 210 とユーザー装置 220 はそれぞれ、プロセッサと記憶手段(ストレージやRAM)の他、公知のコンポーネントや周辺機器を含んでもよく、例えばタッチパネルやディスプレイなどの表示手段、ポインティングデバイスやキーボードなどの入出力手段、磁気・光学媒体読み取りドライブ、ネットワーク接続手段、バス、計時手段などを含んでいてもよい。
【0045】
図3は、本発明の或る実施形態に係るグループチャットシステムを表示する画面(UI)の例である。ここではわかりやすさのため、画面Aとして「XX57C」という名称のグループのチャット画面を、画面Bとしてユーザー「NEW」とボットとのペアトークルーム(特定のユーザー同士でのプライベートチャット)の画面を、それぞれ並べて示してある。画面Aと画面Bは実際の表示手段上でも並んで表示されていてもよいし、あるいは切り替えて表示できるようになっていてもよい。なおこの例では文字の入出力を前提としているが、音声による入出力でも代替できるのは言うまでもない。
【0046】
まず画面Aを見ると、グループ「XX57C」には「pilot_A」「flightattendant_B」「crew_C」「gatekeeper_D」という名前の四名のユーザーが加入している。このグループ「XX57C」は、何らかの運行便(例えば「XX57便」という名前の便)に紐付けられているものである。
【0047】
またこのグループチャットシステムの例では、ボットが実装されており、このボットが上述した機能を発揮できる。またここで図示はしていないが、各ユーザーにはユーザープロファイルが付されている。
【0048】
ここで画面Bで、新たなユーザー「NEW」が、当該ボットに対して「%57」という発言を入力したとする。この場合「%」はメタ文字であるとする。ボットはメタ文字とそれに続くキーワード「57」に反応し、キーワード「57」からグループを検索する。ここでは簡単のために、グループ「XX57C」だけが検索にヒットしたとする。そこでボットは、ユーザー「NEW」に対してグループ「XX57C」への招待を発行する。
【0049】
ユーザー「NEW」が当該招待を受諾する操作を行うと、当該グループへの参加処理が実行される。画面Aには、グループに加入しているユーザーへのパブリックなメッセージとして、「ボットがNEWを追加しました。」なる出力が行われる。もちろんこのように招待を介さずに、何らかのトリガー(時刻、ユーザーの所在など)に基づいて、当該ユーザーを強制的に当該グループへ加入する処理を行ってもよい。
【0050】
そして、ユーザー「NEW」のユーザープロファイルに、当該グループに関する運行便が要求する属性に対応する職務タグが付されていたとする。この場合は、ユーザー「NEW」は当該グループの有効期限が満了するまでは、その離脱が本システムにより抑止されることになる。例えばユーザー「NEW」がグループ離脱操作を行おうとしても、ボットが「離脱できません」とメッセージを返して離脱処理を実行しないようにもできるし、あるいは一旦離脱処理が行われた後にボットが当該グループへの再加入を強制実行したり促したりすることが可能である。これにより、グループのメンバーを自動的にかつ望ましい姿として編成できる効果が奏される。
【0051】
また本実施形態の変形例として、対象となるユーザーを乗務員や業務構成員には限らず、乗客や見送り客を含めることもできる。この場合は例えば、或る運行便に搭乗する乗客の全部または一部をユーザーとして或るグループに加入させ、点呼として機能させることも可能である。こうした構成では、乗客の身元確認も兼ねられるため、セキュリティ向上の効果も期待できる。
【0052】
本発明の或る実施形態では、上述した方法をコンピュータに実施させるためのプログラム、および当該プログラムを格納するコンピュータ可読媒体も提供できる。
【0053】
また別の実施形態では、上述した方法の各工程を実施できるプロセッサと、少なくともユーザープロファイルを保存する記憶手段とを含んだ装置も提供できる。
【0054】
また別の実施形態ではシステムも提供でき、当該システムには、ユーザープロファイルを保存する記憶手段とプロセッサとを含んだサーバと、各ユーザーに紐付けられる一基以上のユーザー装置とが含まれる。当該サーバとユーザー装置は、ネットワークを介して通信可能である。当該システムでは、当該プロセッサが、グループに加入しているユーザーが有するユーザー装置からの入力を受信し、グループに加入しているその他のユーザーが有するユーザー装置へと送信して当該ユーザー装置が有する表示手段上に出力させることができる。
【要約】
【課題】多数の運行便の管理に適応できるグループチャットシステムの提供。
【解決手段】複数名のユーザーを対象とするグループチャットシステムにおいてグループの自動編成を行うためのコンピュータが実施する方法であって、各ユーザーがそれぞれ有するユーザープロファイルに対しそのユーザーの職務を表す一種以上のタグを付与するステップと、運輸における運行便に対して必要とされる一種以上の属性を決定し運行便に対応するグループを作成してグループに有効期限を与えるステップと、運行便において必要とされる一種以上の属性に対応するタグを有するユーザープロファイルを検索し対応する一名以上のユーザーのリストを得るステップと、グループにリストに含まれる一名以上のユーザーを加入させるステップと、グループが有効期限を迎える前にグループに加入したユーザーがグループを離脱した場合その離脱したユーザーをグループへ再度加入させるステップを含む方法。
【選択図】
図1