(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ハウジングと、該ハウジングの内側に収納され周方向に配置される複数のティースを有したステータコアと、該ティースに巻回されるコイルと、前記ステータコアの内側に回転自在に設けられる回転子と、該回転子に対してシャフトを介して連結される回転部材と、前記ステータコアの軸方向において前記ハウジングの一端側に配置され前記回転部材の回転により燃料を吸入・昇圧するポンプ部と、前記回転子の外周と前記ステータコアの内周との間に設けられ前記ポンプ部からの燃料が流通する燃料通路と、前記シャフトにおける前記ポンプ部側とは反対側となる他端部を回転自在に支持する軸受と、前記燃料を外部へ吐出する吐出通路及び前記軸受を保持する軸受保持部を有し前記ハウジングの他端側を覆うカバー部材とを備え、前記軸受保持部における周方向の一部に前記燃料通路と前記吐出通路とを連通する連通路を備えた燃料供給装置において、
前記ステータコアの軸方向から見て、周方向に隣り合う一方のティースと他方のティースとの間に形成された隙間のうち最も径方向内側と前記ステータコアの軸中心とがなす第1角度範囲と、前記連通路の周方向に沿った範囲のうち最も径方向外側と軸中心とがなす第2角度範囲の少なくとも一部が重複するように設定される、燃料供給装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、前記の提案に関連してなされたものであり、ロータとステータコアとの間を通じて送出された燃料を吐出通路へとより円滑に流通させ吸入効率を高めることが可能な燃料供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の目的を達成するために、本発明の態様は、ハウジングと、ハウジングの内側に収納され周方向に配置される複数のティースを有したステータコアと、ティースに巻回されるコイルと、ステータコアの内側に回転自在に設けられる回転子と、回転子に対してシャフトを介して連結される回転部材と、ステータコアの軸方向においてハウジングの一端側に配置され回転部材の回転により燃料を吸入・昇圧するポンプ部と、回転子の外周とステータコアの内周との間に設けられポンプ部からの燃料が流通する燃料通路と、シャフトにおけるポンプ部側とは反対側となる他端部を回転自在に支持する軸受と、燃料を外部へ吐出する吐出通路及び軸受を保持する軸受保持部を有しハウジングの他端側を覆うカバー部材とを備え、軸受保持部における周方向の一部に燃料通路と吐出通路とを連通する連通路を備えた燃料供給装置において、
ステータコアの軸方向から見て、周方向に隣り合う一方のティースと他方のティースとの間に形成された隙間のうち最も径方向内側とステータコアの軸中心とがなす第1角度範囲と、連通路の周方向に沿った範囲のうち最も径方向外側と軸中心とがなす第2角度範囲の少なくとも一部が重複するように設定される。
【0008】
本発明によれば、燃料供給装置における回転子の外周とステータコアの内周との間に、ポンプ部からの燃料が流通する燃料通路を備えると共に、ポンプ部とは反対側となる回転子のシャフトを回転自在に支持する軸受と、燃料を外部へ吐出する吐出通路及び軸受を保持する軸受保持部を有したカバー部材を備え、カバー部材によってハウジングの他端部を覆うと共に、軸受保持部には燃料通路と吐出通路とを連通する連通路が設けられる。
【0009】
そして、ステータコアの軸方向から見て、周方向に隣り合う一方のティースと他方のティースとの間に設けられた隙間のうち最も径方向内側とステータコアの中心とがなす第1角度範囲と、連通路の周方向に沿った範囲のうち最も径方向外側と軸中心とがなす第2角度範囲の少なくとも一部を重複させている。
【0010】
従って、ポンプ部から燃料通路に沿って燃料が他端部側へと流れた後に径方向内側へと流れる際、ティースの間となる隙間の第1角度範囲が連通路の第2角度範囲に対して重複しているため、ティースの内側に形成された幅狭な燃料通路に比して流量の多い隣り合うティースの間に形成された幅広な燃料通路を通って流れた燃料が直線的に連通路へと導かれ、円滑に連通路へと流通させることができる。
【0011】
その結果、隣接する歯部の間となる幅広な通路部位と軸受を支持するための壁部との位置関係を考慮していなかった従来の燃料供給装置と比較し、ポンプ部で吸入された燃料のうち、隣り合うティースの間に形成された幅広な燃料通路を通った燃料を円滑に連通路へ導いて吐出通路へと流通させることで、燃料供給装置による燃料の吸入効率をより高めることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、以下の効果が得られる。
【0013】
すなわち、燃料供給装置において、ポンプ部で吸入された燃料がステータコアとロータとの間の燃料通路に沿って他端部側へと流れる際、ステータコアにおいて隣接するティースの間に設けられた隙間の第1角度範囲が、回転子のシャフトを支持する軸受保持部に形成され燃料通路と吐出通路とを連通する連通路の第2角度範囲に対して重複されている。
【0014】
そのため、隣接する歯部の間となる幅広な通路部位と軸受を支持するための壁部との位置関係を考慮していなかった従来の燃料供給装置と比較し、ポンプ部で吸入された燃料のうち、隣り合うティースの間に形成された幅広な燃料通路を通った燃料を円滑に連通路へ導いて吐出通路へと流通させることで、燃料供給装置による燃料の吸入効率をより高めることができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明に係る燃料供給装置について好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照しながら以下詳細に説明する。
図1において、参照符号10は、本発明の実施の形態に係る燃料供給装置を示す。
【0017】
この燃料供給装置10は、図示しない車両の燃料タンク内に配置され使用されるものであり、
図1に示されるように、円筒状のハウジング12と、該ハウジング12の一端部側(矢印A方向)に収納されるポンプ部14と、前記ハウジング12の中央部に収納され該ポンプ部14を駆動するブラシレスモータからなるモータ部16と、前記ハウジング12の他端部を閉塞するカバー部材18とを含む。
【0018】
ハウジング12は、例えば、金属製材料から円筒状に形成され、軸方向(矢印A、B方向)に沿った中央に形成される本体部20と、該本体部20に対して一端部側(矢印A方向)に形成されポンプ部14を保持する第1保持部22と、該本体部20に対して他端部側(矢印B方向)に形成されカバー部材18を保持する第2保持部24とを含む。
【0019】
本体部20は、例えば、略一定の内周径で形成され、その内周面には後述するモータ部16のステータコア46が圧入されて保持される。
【0020】
第1保持部22は、本体部20に対して内周径が拡径して形成され、その内部には、ポンプ部14を構成するポンプボディ26及びポンプカバー28の外縁部が収納されると共に、先端が径方向内側へと折曲されることで前記外縁部に対して加締められる。
【0021】
第2保持部24は、第1保持部22と同様に、本体部20に対して内周径が拡径して形成され、その内部にはカバー部材18の一端部が収納されると共に、先端が径方向内側へと折曲されることで前記カバー部材18に対して加締められる。
【0022】
ポンプ部14は、例えば、ポンプボディ26と、該ポンプボディ26を覆うポンプカバー28と、前記ポンプボディ26と前記ポンプカバー28との間に設けられるインペラ(回転部材)30とを含む。
【0023】
このポンプボディ26は、ハウジング12の一端部側(矢印A方向)である第1保持部22に固定され、中央に設けられた第1軸受32にモータ部16を構成するロータ(回転子)56のシャフト68が挿通され回転自在に支持される。また、ポンプボディ26には、その厚さ方向(矢印A、B方向)に貫通し燃料の吐出される吐出口34が形成されると共に、その内部に形成されたポンプ室36にはインペラ30が回転自在に収納される。
【0024】
ポンプカバー28は、ポンプ室36を覆うようにポンプボディ26の一端部に当接し、その外縁部が前記ポンプボディ26と共にハウジング12の第1保持部22に収納された状態で、該第1保持部22の先端が径方向内側へと折曲されることで前記ポンプカバー28の一端部が加締められ固定される。
【0025】
また、ポンプカバー28には、その一端面に開口し厚さ方向(矢印A、B方向)に貫通した吸入口38と、ポンプボディ26に臨む他端面に形成されたポンプ流路40と、前記ポンプ流路40に開口して気体燃料を外部へと排出させる脱気孔42とを備える。
【0026】
吸入口38は、ポンプカバー28の一端面から軸方向(矢印A方向)へ突出した吸入ポート44に形成されポンプ流路40と連通する。そして、インペラ30の回転作用下に図示しない燃料タンク内の燃料が吸入口38から内部へと吸入される。
【0027】
モータ部16はブラシレスモータからなり、ハウジング12内に設けられたステータコア46と、コイル48の巻回される一組の第1及び第2インシュレータ50、52と、前記第2インシュレータ52に固定され前記コイル48に対して給電するターミナル54と、前記ステータコア46の内周側に回転自在に設けられるロータ56とを含む。
【0028】
ステータコア46は、軸方向(矢印A、B方向)に積層された複数の磁性鋼板から構成され、ハウジング12に対して前記軸方向に圧入されることで、その外周面が前記ハウジング12における本体部20に対して圧入され所定位置に固定される。また、ステータコア46には、
図2及び
図3に示されるように、その周方向に沿って等間隔離間して軸方向に沿って延在した複数のティース58を有している。
【0029】
ティース58は、径方向内側に向かって突出し該径方向内側が幅広状となる断面T字状に形成され、周方向に隣接する一方のティース58の内縁部58aと他方のティース58の内縁部58aとの間には前記周方向に沿って所定間隔の隙間60が形成されている。
【0030】
図1に示されるように、第1及び第2インシュレータ50、52は樹脂製材料から形成され、この第1インシュレータ50がステータコア46の一端部を覆い、前記第2インシュレータ52が前記ステータコア46の他端部を覆うようにそれぞれ嵌合される。すなわち、第1及び第2インシュレータ50、52はステータコア46の両端部を軸方向(矢印A、B方向)に沿って挟むように配置される。
【0031】
また、
図1〜
図3に示されるように、第1及び第2インシュレータ50、52の軸方向に沿った端部には、隣接するティース58の間に挿入される複数の被覆部62が形成され、この被覆部62は、隣接するティース58の間において、内縁部58aの間を除いてコイル48に臨むステータコア46の全側面を覆っている。
【0032】
そして、第1及び第2インシュレータ50、52がステータコア46に対して嵌合された際、第1インシュレータ50の各被覆部62と第2インシュレータ52の各被覆部62とが、対応するステータコア46の各ティース58の間に対して軸方向(矢印A、B方向)に一直線状となるように配置され、前記第1インシュレータ50の各被覆部62と前記第2インシュレータ52の各被覆部62とをわたすように、且つ、隣接する2つのティース58の間をわたすようにそれぞれコイル48が巻回される。
【0033】
ロータ56は、
図1に示されるように、中空筒状のロータ本体64と、該ロータ本体64の外周側に設けられた永久磁石66と、前記ロータ本体64の中心を貫通したシャフト68とを有し、ハウジング12の内部においてステータコア46の内周側に回転自在に設けられる。
【0034】
このシャフト68の両端部は、第1及び第2軸受32、70を介してそれぞれポンプボディ26及びカバー部材18に対して回転自在に支持されると共に、その一端部がインペラ30の中心に連結されている。これにより、ロータ56の回転作用下にインペラ30が一体的に回転する。
【0035】
また、ロータ56の外周とステータコア46との間には、ポンプ部14から吐出された燃料の流通する燃料通路72が軸方向(矢印A、B方向)に沿って形成される。
【0036】
この燃料通路72は、
図2及び
図3に示されるように、各ティース58の内縁部58aとロータ56の外周との間に形成される第1通路部74と、隣接する2つのティース58の間と前記ロータ56との間に形成される第2通路部(連通部)76とからなる。第1通路部74は、断面円弧状に形成される各ティース58の内縁部58aとロータ56との間で径方向に所定間隔を有した断面円弧状に形成される。
【0037】
第2通路部76は、隣接するティース58の内縁部58aの間に形成された隙間60と、該隙間60のさらに外周側に形成され前記ティース58に巻回されたコイル48の間に設けられた第1空間77aと、該隙間60の内周側に形成されロータ56との間に設けられた第2空間77bとから構成される(
図2参照)。
【0038】
すなわち、断面円弧状に形成された複数の第1通路部74の間に、第2通路部76が各ティース58間に分割するように複数形成され、その数はティース58と同数となるように形成されると共に、前記第1通路部74の径寸法に対して前記第2通路部76の径寸法が大きく形成されている。すなわち、第1通路部74と第2通路部76とが周方向に交互となるように配置されている。
【0039】
換言すれば、径方向において第1通路部74が幅狭状、第2通路部76が該第1通路部74に対して幅広状に形成されると共に、前記第1通路部74の通路断面積に対して前記第2通路部76の通路断面積が大きく形成される。
【0040】
カバー部材18は、
図1に示されるように、例えば、樹脂製材料から形成され、ハウジング12側(矢印A方向)に形成され第2保持部24に保持される基部78と、該基部78に対して前記ハウジング12から離間する方向(矢印B方向)に延在した円筒部80と、図示しないコネクタ等の接続される端子接続部82とを含む。
【0041】
この基部78は、ハウジング12の内周径と略同一径の外径となるように形成され、その一端部がハウジング12の第2保持部24に加締められることでカバー部材18が一体的に固定される。
【0042】
また、基部78の内部には、
図1〜
図3に示されるように、後述する燃料出口(吐出通路)88と連通する複数の連通路84と、第2軸受(軸受)70の外周面を保持する複数の軸受保持部86とが形成され、複数の連通路84及び軸受保持部86の中心が、燃料供給装置10(第2軸受70)の軸線上となるように同軸に配置される。
【0043】
連通路84は、基部78の周方向に沿って互いに等間隔離間し径方向に向かって幅広状となる断面扇状に形成され、且つ、基部78の下端面から上方(矢印B方向)に向かって所定深さで窪んで形成される(
図3参照)。また、連通路84は、
図2に示されるように、カバー部材18の軸方向から見てステータコア46において周方向に隣接するティース58の間に臨むように径方向内側に配置されている。すなわち、連通路84は、基部78において隙間60及び第2通路部76と径方向に一直線上となるように同数で形成される。
【0044】
換言すれば、
図2に示されるステータコア46の軸方向から見て、隙間60(第2通路部76)において最も径方向内側となる部位とステータコア46の軸中心Pとがなす第1角度範囲θ1と、該軸中心Pと前記連通路84の周方向に沿った範囲のうち最も径方向外側とがなす第2角度範囲θ2の少なくとも一部が重複するように、前記隙間60と前記連通路84とが形成されている。詳細には、第2角度範囲θ2は、連通路84における最外周部のうち周方向に延在する円弧部の両端と軸中心Pとがなす角度である。
【0045】
そして、ハウジング12内において、ステータコア46の内周とロータ56の外周との間に形成された燃料通路72と後述するカバー部材18の燃料出口88とが複数の連通路84を介して連通している。
【0046】
軸受保持部86は、隣接する2つの連通路84の間にそれぞれ設けられ、内周面が第2軸受70の外周面に対して当接することで保持している。すなわち、軸受保持部86は、
図2に示されるカバー部材18の軸方向から見て、第2軸受70の外周側に配置され各ティース58の内縁部58aに臨むように配置される。
【0047】
円筒部80は、
図1に示されるように、基部78に対して上方(矢印B方向)へと突出し、その中心には燃料が外部へと吐出される燃料出口88が軸方向(矢印A、B方向)に沿って貫通する。また、円筒部80の内部には、燃料が所定圧力となることで弁開状態となり通路を開放するチェック弁90が設けられ、このチェック弁90は、円筒部80との間に介装されたスプリング92によってモータ部16側(矢印A方向)へと常に付勢されており、弁閉状態から燃料の圧力によって上昇することで開放される。
【0048】
端子接続部82は、基部78において円筒部80よりも外周側に形成され、第2インシュレータ52に固定されモータ部16の軸方向に延在したターミナル54が圧入され、その一部が外部へと露呈した状態で固定される。そして、ターミナル54には、第1及び第2インシュレータ50、52に巻回されたコイル48の端部が電気的に接続される。
【0049】
本発明の実施の形態に係る燃料供給装置10は、基本的には以上のように構成されるものであり、次にその動作並びに作用効果について説明する。
【0050】
先ず、燃料供給装置10において、図示しないコントローラからの制御信号に基づいてターミナル54へと通電がなされ、コイル48が励磁することで回転磁界が生じ、磁極となる永久磁石66を有したロータ56がシャフト68と共に回転駆動する。このモータ部16のロータ56が回転することによってポンプ部14のインペラ30がポンプ室36で回転駆動し、このインペラ30の回転によって図示しない燃料タンク内の燃料が吸入ポート44の吸入口38を通じて内部へと吸入される。
【0051】
そして、吸入された燃料は、吸入口38からポンプ流路40に沿って周方向へと流れることで徐々に圧力が上昇すると共に、気体燃料が脱気孔42を通じて外部へと排出された後、ポンプボディ26の吐出口34へと流通する。
【0052】
この吐出口34から吐出された燃料は、モータ部16におけるステータコア46とロータ56との間に形成された燃料通路72を通じてカバー部材18側(矢印B方向)に向かって上昇する。詳細には、燃料は、ステータコア46におけるティース58の内縁部58aとロータ56の外周面との間となる幅狭な第1通路部74に沿って流れると共に、該第1通路部74に対して径方向に幅広な第2通路部76に沿って該第1通路部74を流れる燃料よりも大流量で流れる。
【0053】
そして、ハウジング12内において燃料通路72に沿って流れた燃料は、燃料通路72から複数の連通路84へと流入する。この際、隣接するティース58の間に形成された通路断面積の大きな第2通路部76が連通路84と径方向に一直線上に配置されているため、前記第2通路部76を流れる大流量の燃料が径方向内側へと流れることで各連通路84へと円滑に導かれる。なお、第1通路部74を流れる燃料は、周方向に流れて連通路84へと流入する。
【0054】
この燃料は各連通路84に沿って上方(矢印B方向)へと流れた後に、カバー部材18の燃料出口88に向かって流れてチェック弁90を上方へと押圧して弁開状態とすることで前記燃料出口88から外部へと吐出され、例えば、図示しない内燃機関の燃料噴射装置へと供給される。
【0055】
以上のように、本実施の形態では、燃料供給装置10を構成するモータ部16において、ステータコア46の内周とロータ56との間にポンプ部14からの燃料が流通する燃料通路72を備え、前記燃料通路72は、ステータコア46に設けられる複数のティース58における内縁部58aとロータ56の外周との間に設けられる幅狭な第1通路部74と、前記ロータ56の外周側において隣接する2つのティース58の間に設けられる第2通路部76とを有すると共に、カバー部材18には、第2軸受70を支持する軸受保持部86の間に第2通路部76に臨むように複数の連通路84が形成され燃料出口88と連通している。
【0056】
従って、ポンプ部14からモータ部16の燃料通路72に沿って流れてきた燃料は、その第1及び第2通路部74、76を通じて連通路84から燃料出口88へと流れるが、この際、前記第1通路部74に対して通路断面積の大きな第2通路部76(隙間60)の径方向内側に臨むように連通路84が設けられている。そのため、第2通路部76から連通路84へ一直線状に大流量の燃料を円滑に導くことで各連通路84から燃料出口88へと流通させることができる。
【0057】
その結果、隣接する歯部の間となる通路の幅広な部位と軸受を支持するための壁部との位置関係を考慮していなかった従来の燃料供給装置と比較し、ポンプ部14で吸入された燃料のうち、第1通路部74に対して大流量で第2通路部76を流れた燃料を、円滑に燃料出口88へと流通させることが可能となり、燃料供給装置10による燃料の吸入効率をより高めることが可能となる。換言すれば、従来の燃料供給装置と比較して燃料通路72を流れる燃料の流路抵抗を低減することが可能となる。
【0058】
また、連通路84をティース58の数に応じて複数設けることにより、隣接する一方のティース58と他方のティース58との間に形成される第2通路部76に対向するように連通路84を配置することが可能となる。そのため、燃料通路72のうち、隣接する2つのティース58間の第2通路部76を通じて流れる燃料を円滑に連通路84へと導いて流通させることができ、燃料供給装置10による燃料の吸入効率をさらに高めることができる。
【0059】
一方、上述した燃料供給装置10のように、ロータ56のシャフト68を第1及び第2軸受32、70で支持する構成に限定されるものではなく、シャフト68の他端部を支持する第2軸受70の代わりに、例えば、
図4に示される燃料供給装置100のように、カバー部材102の軸受保持部104によって前記シャフト68を直接回転自在に支持するようにしてもよい。
【0060】
これにより、第2軸受70及び軸受保持部86を備えた燃料供給装置10と比較し、該第2軸受70がない分だけ連通路84をより径方向内側まで延在させることが可能となる。その結果、燃料通路72から連通路84へと流れる燃料の流路抵抗をさらに低減させることができ、さらなる吸入効率の向上を図ることができると共に、第2軸受70を不要とすることで燃料供給装置100における部品点数及び製造コストの削減を図ることも可能となる。
【0061】
なお、本発明に係る燃料供給装置は、上述の実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。
【解決手段】燃料供給装置10を構成するステータコア46とロータ56との間に燃料の流通する燃料通路72を備え、前記ステータコア46には周方向に沿って複数のティース58が設けられる。また、カバー部材18には、ロータ56のシャフト68を支持する第2軸受70を保持する複数の軸受保持部86と、該軸受保持部86の間に設けられた複数の連通路84とを備え、隣接する2つのティース58の間に設けられた隙間60に臨むように形成される。そして、隙間60において最も径方向内側となる部位の周方向の第1角度範囲θ1と、連通路84において最も径方向外側となる部位の周方向の第2角度範囲θ2とが少なくとも一部で重複するように形成される。