(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記鞘部は、前記RFIDモジュールが芯鞘構造の芯部となるように、前記RFIDモジュールの全体を被覆するように構成されている、請求項1に記載の無線通信デバイス。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の一態様に係る無線通信デバイスは、RFIC素子と、前記RFIC素子に接続される導電性を有するアンテナ線とを備えるRFIDモジュールと、
少なくとも前記RFIC素子の外周に配置された鞘部と、
を備え、
前記鞘部の少なくとも一部には、熱可塑性樹脂を含む糸が含まれるように構成されている。
【0010】
この構成によれば、鞘部の少なくとも一部に熱可塑性樹脂を含む糸が含まれるので、例えば、繊維製品に熱圧着する(熱可塑性樹脂を溶融固化させる)ことで、無線通信デバイスを繊維製品に容易に取り付けることができる。また、熱可塑性樹脂を溶融固化させることで、鞘部内でRFIC素子を固定することができる。従って、より簡易な構成でRFIDモジュールの脱落を抑えることができる。
【0011】
なお、前記鞘部は、前記RFIDモジュールが芯鞘構造の芯部となるように、前記RFIDモジュールの全体を被覆するように構成されてもよい。この構成によれば、RFIDモジュールが外部に露出することを抑えることができる。これにより、例えば、無線通信デバイスを繊維製品に取り付けた際に、RFIDモジュールを目立たなくすることができる。
【0012】
また、前記RFIC素子は、溶融固化した前記熱可塑性樹脂により全体を被覆されてもよい。この構成によれば、RFIC素子の防水性や耐久性、絶縁性を向上させることができる。これにより、例えば、無線通信デバイスを取り付けた繊維製品を洗濯した場合であっても、RFIC素子が水濡れして故障することを抑えることができる。
【0013】
また、前記鞘部の両端部は、溶融固化した前記熱可塑性樹脂により閉塞されてもよい。この構成によれば、鞘部からRFIDモジュールが抜け出ることをより確実に抑えることができる。
【0014】
また、前記鞘部の少なくとも一部には、前記糸で編成される編地が含まれてもよい。この構成によれば、鞘部に伸縮性や柔軟性を付与することができる。これにより、例えば、靴下や洋服などの編織物を構成する糸と同様に鞘部を取り扱うことが可能になり、編機や織機を利用して編んだり、織ったりすることも可能になる。また、RFIDモジュールに編地が絡み付き易くなり、鞘部からRFIDモジュールが抜け出ることを一層抑えることができる。
【0015】
また、前記アンテナ線は、前記RFIC素子の外周にヘリカル状に巻き付けられ、前記RFIC素子と磁界結合するように構成され、前記RFIC素子の外周に巻き付けられた前記アンテナ線の一部は、前記編地の少なくとも一部の編み目内に突出してもよい。この構成によれば、アンテナ線の一部の移動を編地の編み目内に規制することができるので、鞘部からRFIDモジュールが抜け出ることを一層抑えることができる。
【0016】
また、前記糸は、第1糸部と第1糸部より融点が高い第2糸部とを含んでもよい。この構成によれば、第1糸部のみを溶融させ、第2糸部を溶融させずに残すことにより、RFIDモジュールと熱可塑性樹脂をより密着させることができる。また、第2糸部が残ることで過剰な厚さが生じる場合等には両方の糸部を時間差で溶融させることもできる。
【0017】
また、前記第1糸部と前記第2糸部とは、引き揃えられて編地を編成してもよい。この構成によれば、例えば、第1糸部のみを溶融させて無線通信デバイスを繊維製品に取り付けるとともに、第2糸部を溶融させずに残すことで編地の形状を維持することができる。編地の形状を維持することで、RFIDモジュールに編地を絡み付けることができ、鞘部からRFIDモジュールが抜け出ることを抑えることができる。また、無線通信デバイスを繊維製品に取り付けた際に、RFIDモジュールを目立たなくすることができる。
【0018】
また、前記第1糸部は、前記RFIDモジュールの外周に筒状編地を編成し、前記第2糸部は、前記第1糸部を前記RFIDモジュールの外周に密着させるように前記第1糸部の外周にヘリカル状に巻き付けられてもよい。この構成によれば、RFIDモジュールを傷つけることなく、鞘部からRFIDモジュールが抜け出ることを一層抑えることができる。
【0019】
本発明の一態様に係る繊維製品は、前記いずれか1つの無線通信デバイスが、溶融固化した前記熱可塑性樹脂を介して取り付けられている。この構成によれば、例えば、当該繊維製品を繰り返し洗濯した場合においても、無線通信デバイスが繊維製品から外れることを抑えるとともに、鞘部内からRFIC素子が抜け出ることを抑えることができる。
【0020】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施形態によって本発明が限定されるものではない。また、図面において実質的に同一の部材については同一の符号を付している。
【0021】
(実施形態)
以下、本発明の実施形態に係る無線通信デバイスについて説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る無線通信デバイスの構成を示す平面図である。
【0022】
図1に示すように、本実施形態に係る無線通信デバイス1は、RFID(Radio-Frequency IDentification)モジュール2と、RFIDモジュール2の外周に配置された鞘部(sheath)3とを備えている。
【0023】
RFIDモジュール2は、RFIC(Radio-Frequency Integrated Circuit)素子4と、RFIC素子4に接続される導電性を有するアンテナ線5とを備えている。RFIDモジュール2の構成については、後で詳しく説明する。
【0024】
鞘部3は、少なくともRFIC素子4の外周を被覆するように筒状に形成されている。本実施形態において、鞘部3は、RFIDモジュール2が芯鞘構造の芯部となるように、RFIDモジュール2の全体を被覆するように形成されている。
【0025】
鞘部3の少なくとも一部には、熱可塑性樹脂を含む糸が含まれている。鞘部3内にRFIC素子5を配置した状態で鞘部3を加熱することにより、熱可塑性樹脂が溶融固化し、当該溶融固化した熱可塑性樹脂を介して鞘部3とRFIDモジュール2とが固定される。加熱により鞘部3とRFIDモジュール2とを固定する際には、鞘部3の全体を加熱する必要はなく、RFIDモジュール2が存在する鞘部3の一部を加熱するだけでよい。また、鞘部3を繊維製品に接触させた状態で熱を加えることで、熱可塑性樹脂が溶融固化し、当該溶融固化した熱可塑性樹脂を介して無線通信デバイス1を繊維製品に取り付けることができる。
【0026】
熱可塑性樹脂は、加熱により溶融固化する性質を有する樹脂である。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリウレタン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリプロピレン樹脂等を挙げることができる。熱可塑性樹脂を含む糸としては、例えば、ポリエチレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリプロピレン樹脂等の熱可塑性樹脂からなる熱可塑性合成繊維糸を用いることができる。
【0027】
繊維製品とは、例えば、天然繊維、半合成繊維、又は合成繊維の糸を用いて織られたり、編まれたり、接着剤や熱処理によって接合したり、撚られたり、組まれたりして得られる織物、編物、不織布、撚紐、組紐を用いて製造される製品である。繊維製品としては、例えば、靴下や洋服などの衣類、ラベル、ロープ、靴紐、漁網、建築用ネットなどが挙げられる。
【0028】
図2は、無線通信デバイス1がアイロンIRにより靴下Sに熱圧着された例を示す模式図である。
図3は、無線通信デバイス1がアイロンIRにより洋服Cに熱圧着された例を示す模式図である。
【0029】
図2及び
図3に示すように、無線通信デバイス1は、取り付け位置が限定されることなく、靴下S及び洋服Cのどこにでも熱圧着することができる。
【0030】
また、本実施形態において、鞘部3の少なくとも一部には、熱可塑性樹脂を含む糸で編成される編地が含まれている。鞘部3が編地を含むことで、鞘部3に伸縮性や柔軟性を付与することができる。本実施形態においては、鞘部3の全体が編地を含み、無線通信デバイス1の全体が実質的に糸の形態を有している。本実施形態に係る無線通信デバイス1を「RFID内蔵糸」ともいう。
【0031】
図4は、編地の一例を示す一部拡大平面図である。
図4に示すように、編地は、例えば、熱可塑性樹脂を含む糸を緯編みすることにより編成されている。本実施形態において、編地は、RFIDモジュール2の外周を被覆するように筒状編地として編成される。
【0032】
なお、緯編みは、経編みに比べて編み目を細かくすることができるので、RFIDモジュール2の被覆率を高めることができる。また、緯編みは、RFIC素子4を巻き込むように編み目を編成するので、RFIC素子4を比較的強く締め付けることができる。これにより、鞘部3からRFIDモジュール2が抜け出ることを抑えることができる。
【0033】
なお、編地における同一コースの編み目の数は、2個以上6個以下であることが好ましい。この場合、筒状編地の直径を小さくすることができるので、RFIC素子4に対する編地の密着性を一層向上させることができる。
【0034】
また、編地における同一ウェールの自然長1cmあたりの編み目の数は、6個以上14個以下であることが好ましい。ここで、自然長とは、テンション等を与えない状態、すなわちそのまま台の上に自然に置いた状態での長さを意味する。編地における同一ウェールの自然長1cmあたりの編み目の数が6個以上であれば、RFIDモジュール2に対する編地の被覆率を高めることができる。また、編地における同一ウェールの自然長1cmあたりの編み目の数が14個以下であれば、編み目が細かくなり過ぎることによる、編地編目の目かぶり(タックキズ)による不良発生を抑制することができる。
【0035】
本実施形態によれば、鞘部3に熱可塑性樹脂を含む糸が含まれるので、靴下Sや洋服Cなどの繊維製品に熱圧着する(熱可塑性樹脂を溶融固化させる)ことで、無線通信デバイス1を繊維製品に容易に取り付けることができる。
【0036】
また、本実施形態によれば、熱可塑性樹脂を溶融固化させることで、鞘部3内でRFIC素子4を固定することができる。従って、より簡易な構成でRFIDモジュール2の脱落を抑えることができる。また、RFIC素子4とアンテナ線5との位置ずれを抑えられるので、インダクタンス等の電気特性が外力によってずれることを抑えることができ、RFIDモジュール2の通信特性を安定させることができる。なお、鞘部3内でRFIC素子4を固定するために熱可塑性樹脂の一部を溶融固化させることは、無線通信デバイス1を繊維製品に熱圧着する前に予め行われてもよい。
【0037】
このようにして無線通信デバイス1が取り付けられた繊維製品においては、繰り返し洗濯された場合でも、無線通信デバイス1が繊維製品から外れることを抑えることができるとともに、鞘部3内からRFIC素子4が抜け出ることを抑えることができる。
【0038】
また、本実施形態によれば、鞘部3は、RFIDモジュール2が芯鞘構造の芯部となるように、RFIDモジュール2の全体を被覆するように構成されている。この構成によれば、RFIDモジュール2が外部に露出することを抑えることができる。これにより、
図2及び
図3に示すように、無線通信デバイス1を繊維製品に取り付けた際に、RFIDモジュール2を目立たなくすることができる。
【0039】
また、本実施形態によれば、鞘部3には編地が含まれているので、鞘部3に伸縮性や柔軟性を付与することができる。これにより、無線通信デバイス1を靴下Sや洋服Cの曲面部分や屈曲部分等に取り付けた場合でも、アンテナ線5が切れたり、折れたりすることを抑えることができる。また、靴下Sや洋服Cなどの編織物を構成する糸と同様に鞘部3を取り扱うことが可能になり、編機や織機を利用して編んだり、織ったりすることが可能になる。また、撚紐や組紐などを構成する意図と同様に鞘部3を取り扱うことが可能になり、撚機や組紐機を利用して、撚ったり、組んだりすることが可能になる。また、RFIDモジュール2に編地が絡み付き易くなり、鞘部3からRFIDモジュール2が抜け出ることを一層抑えることができる。
【0040】
また、本実施形態によれば、鞘部3の全体が編地を含むため、無線通信デバイス1の全体がニットの形態を有しているものの、実質的に編織用の糸として取り扱うことができる。これにより、靴下Sや洋服Cなどの編織物を構成する糸と同様に無線通信デバイス1を取り扱うことが可能になり、より一層、編機や織機を利用して編んだり、織ったりすることが可能になる。また、例えば、刺繍糸や値札の紐などの既存の糸や紐の代替品として利用することも可能になる。また、例えば、編物を作製する際のカットボス編として利用することもできる。また、例えば、ロープを作製する際に他の撚糸と撚り合わせることも可能となる。
【0041】
なお、編地を編成する糸の太さは、33デシテックス以上250デシテックス以下であることが好ましい。33デシテックスよりも小さいと、RFIDモジュール2に対する編地の被覆が十分ではなく、250デシテックスよりも大きいと、糸が太すぎて編機による編成が困難になる。
【0042】
なお、RFIC素子4の外周に巻き付けられたアンテナ線5の一部(後述するヘリカル状結合部5a)は、編地の少なくとも一部の編み目内に突出してもよい。すなわち、アンテナ線5の一部は、編地の編み目に引っ掛かるように、編み目の孔を通じて外側に突出(露出)していてもよい。この構成によれば、アンテナ線5の一部の移動を編地の編み目内に規制することができるので、鞘部3からRFIDモジュール2が抜け出ることを一層抑えることができる。このような構成は、例えば、アンテナ線5の直径よりも編地の厚さを薄くすることによって容易に実現することができる。
【0043】
また、RFIC素子4は、溶融固化した熱可塑性樹脂により全体を被覆されてもよい。この構成によれば、RFIC素子4の防水性や耐久性、絶縁性を向上させることができる。これにより、例えば、無線通信デバイス1を取り付けた繊維製品を洗濯した場合であっても、RFIC素子4が水濡れして故障することを抑えることができる。また、RFIC素子4を鞘部3内に配置する前に、RFIC素子4の全体を他の樹脂で封止するなどして、RFIC素子4に防水性や耐久性、絶縁性を持たせる必要性を無くすことができる。なお、RFIC素子4の全体を溶融固化した熱可塑性樹脂により被覆することは、無線通信デバイス1を繊維製品に熱圧着する前に予め行われてもよいし、無線通信デバイス1を繊維製品に熱圧着するときに同時に行われてもよい。
【0044】
また、鞘部3の両端部は、溶融固化した熱可塑性樹脂により閉塞されてもよい。この構成によれば、鞘部3からRFIDモジュール2が抜け出ることをより確実に抑えることができる。
【0045】
また、鞘部3は、第1糸部と第1糸部より融点の高い第2糸部とを含んでもよい。この構成によれば、第1糸部のみを溶融させ、第2糸部を溶融させずに残すことができる。また、第2糸部が残ることで過剰な厚さが生じる場合等には第2糸部を第1糸部に対して時間差で溶融させることもできる。なお、少なくとも第1糸部に熱可塑性樹脂を含んでいればよく、第2糸部は、熱可塑性樹脂を含んでもよいし、含まなくてもよい。
【0046】
図5は、第1糸部と第2糸部との材料の組み合わせの例を示す表である。
図5に示すように、第1糸部と第2糸部との融点の差は、30℃以上であることが好ましく、50℃以上であることがより好ましい。
【0047】
また、鞘部3は、互いに融点の異なる3以上の糸部(例えば繊維)を含んでもよい。例えば、鞘部3は、熱可塑性樹脂で作製される少なくとも一本の繊維を含む合成繊維で編成されてもよい。
【0048】
また、第1糸部と第2糸部とは、引き揃えられて編地を編成してもよい。この構成によれば、例えば、一方の糸部のみを溶融させて無線通信デバイス1を繊維製品に取り付けるとともに、他方の糸部を溶融させずに残すことで編地の形状を維持することができる。編地の形状を維持することで、RFIDモジュール2に編地を絡み付けることができ、鞘部3からRFIDモジュール2が抜け出ることを一層抑えることができる。また、無線通信デバイス1を繊維製品に取り付けた際に、RFIDモジュール2を目立たなくすることができる。
【0049】
また、
図6に示すように、第1糸部31は、RFIDモジュール2の外周に筒状編地を編成し、第2糸部32は、第1糸部31をRFIDモジュール2の外周に密着させるように第1糸部31の外周にヘリカル状に巻き付けられてもよい。この構成によれば、RFIDモジュール2を傷つけることなく、鞘部3からRFIDモジュール2が抜け出ることを一層抑えることができる。この場合、第2糸部32としては、例えば、綿や麻、毛などの天然繊維糸、セルロースなどの半合成繊維糸、ナイロン、アクリル、ポリエステル、ポリウレタンなどの合成繊維糸のほか、複数の繊維素材を組み合わせた複合糸、テープや紐等を用いてもよい。
【0050】
なお、前記では、鞘部3はRFIDモジュール2の全体を被覆するものとしたが、本発明はこれに限定されない。例えば、
図7に示すように、鞘部3は、RFIC素子4の外周のみを被覆するように形成されてもよい。この場合でも、鞘部3の少なくとも一部に熱可塑性樹脂を含む糸が含まれることで、無線通信デバイスを繊維製品に熱圧着することができる。
【0051】
なお、前記では、鞘部3の少なくとも一部には、熱可塑性樹脂を含む糸で編成される編地が含まれるものとしたが、本発明はこれに限定されない。鞘部3は、少なくとも一部に熱可塑性樹脂を含む糸を含めばよく、例えば、
図8に示すようにRFIDモジュール2の外周にヘリカル状に巻き付けられてもよい。
【0052】
次に、RFIDモジュール2の構成についてより詳しく説明する。
図9は、RFIDモジュール2の一例を示す斜視図である。なお、図中に示すX−Y−Z座標系は、発明の理解を容易にするためのものであって、発明を限定するものではない。
【0053】
図9に示すように、RFIDモジュール2は、例えば、UHF帯の通信周波数で無線通信可能なRFIDタグである。RFIDモジュール2は、RFIC素子4と、RFIC素子4の外周にヘリカル状に巻き付けられ、RFIC素子4と磁界結合するアンテナ線5とを有している。
【0054】
アンテナ線5は、RFIDモジュール2のアンテナとして機能可能な導体である。アンテナ線5は、例えば、樹脂などの絶縁材料によって被覆されて自由に変形可能な糸状の導体である。なお、アンテナ線5は、1本の糸状の導体ではなく、複数の糸状の導体を撚った撚り線であってもよい。また、アンテナ線5は、スリットテープ糸、カバリング糸、コーディング糸、アルミド線に銅めっきを施したものなどであってもよい。
【0055】
アンテナ線5は、RFIC素子4の外周に巻き付けられるヘリカル状結合部5aと、ヘリカル状結合部5aの両端部から延在する放射部5b,5bとを有している。本実施形態において、各放射部5bの長さは、RFIDモジュール2が使用する通信周波数の波長の略1/4の長さに設定されている。すなわち、ヘリカル状結合部5aを除くアンテナ線5の長さは、波長の略1/2(例えば14cm)に設定されている。これにより、アンテナ線5は、半波長ダイポールアンテナとして機能する。
【0056】
本実施形態において、RFIC素子4は、長手方向(X方向)を備える略直方体形状のブロック体である。RFIC素子4の長手方向(X方向)の長さは、例えば、5.0mm〜6.0mmである。RFIC素子4の短手方向(Y方向又はZ方向)の長さは、例えば、1.0mmである。
【0057】
アンテナ線5のヘリカル状結合部5aは、RFIC素子4の長手方向(X方向)に対して実質的に平行に延在する巻回軸を中心にして、RFIC素子4の外周に巻回されている。これにより、ヘリカル状結合部5aの巻き数を、RFIC素子4の短手方向(Y方向又はZ方向)に延在する巻回軸を中心にして巻回される場合に比べて、より多くすることができる。この場合、ヘリカル状結合部5aは、より強い磁界を発生することができ、後述するRFIC素子4のヘリカルコイルと大きい結合度で磁界結合することができる。
【0058】
図10は、RFIC素子4の内部構成を示す斜視図である。
図11は、RFIC素子4の内部構成を示す平面図である。
図12は、RFIC素子4の縦断面図である。
【0059】
図10に示すように、RFIC素子4は、RFICチップ41と、RFICチップ41に接続されたヘリカルコイル42A,42Bとを備えている。RFICチップ41とヘリカルコイル42A,42Bとは、絶縁材料で作製されたプリント配線基板43の主面43a上に設けられている。プリント配線基板43の主面43a上には、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂から作製された硬質な樹脂ブロック体44がRFICチップ41及びヘリカルコイル42A,42Bを覆う(埋設する)ように設けられている。すなわち、プリント配線基板43と樹脂ブロック体44とは、RFIC素子4の絶縁材料から作製された本体(絶縁素体)を構成し、当該本体にRFICチップ41とヘリカルコイル42A,42Bとが内蔵されるとともにアンテナ線5が巻回されている。
【0060】
RFICチップ41は、ICチップであって、アンテナ線5を介して、外部の通信装置(例えば、RFIDモジュール2のリーダ/ライタ装置)と通信するように構成されている。本実施形態において、RFICチップ41は、プリント配線基板43の主面43aにおける長手方向(X方向)の中央に配置されている。
【0061】
本実施形態において、ヘリカルコイル42A,42Bは、RFICチップ41に接続され、RFICチップ41に対してRFIC素子4の長手方向(X方向)の両側に配置されている。また、本実施形態において、ヘリカルコイル42A,42Bは、複数の導体パターン421、複数の導体パターン422、及び複数の金属ピン423で構成されている。
【0062】
複数の導体パターン421は、ヘリカルコイル42A,42Bの一部を構成する導体である。複数の導体パターン421は、樹脂ブロック体44の頂面44a(プリント配線基板43から最も遠い表面)に形成されている。複数の導体パターン421は、樹脂ブロック体44の頂面44a上に形成された保護層45によって覆われて保護されている。
【0063】
複数の導体パターン422は、ヘリカルコイル42A,42Bの一部を構成する導体である。複数の導体パターン422は、プリント配線基板43の主面43a上に形成されている。
【0064】
これらの導体パターン421,422は、例えば、銅などの導電材料から作製されている。導体パターン421,422は、例えば、銅膜を形成し、その銅膜をフォトレジスト及びエッチング等によってパターニングすることにより形成される。また、導体パターン421,422は、導電性ペーストをスクリーン印刷することにより形成されてもよい。
【0065】
複数の金属ピン423は、ヘリカルコイル42A,42Bの一部を構成する導体である。各金属ピン423は、樹脂ブロック体44を貫通し、樹脂ブロック体44の頂面44a上の導体パターン421と、プリント配線基板43の主面43a上の導体パターン422とを接続するように設けられている。各金属ピン423は、例えば、銅製ピンなどの柱状の導体である。なお、各金属ピン423は、断面形状が円形である必要はない。
【0066】
本実施形態においては、1つの導体パターン421と、1つの導体パターン422と、2つの金属ピン423とで、ヘリカルコイル42A,42Bにおける1つのループが構成されている。このように構成されるヘリカルコイル42A,42Bのそれぞれは、コイル軸がRFIC素子4の長手方向(X方向)に対して実質的に平行になるように設けられている。
【0067】
ヘリカルコイル42Aの他方の端部(RFIC素子4の長手方向中央側の金属ピン423A)と、ヘリカルコイル42Bの一方の端部(RFIC素子4の長手方向中央側の金属ピン423B)は、導体パターン424によって接続されている。導体パターン424は、複数の導体パターン422と同様に、プリント配線基板43の主面43a上に形成されている。
【0068】
ヘリカルコイル42Aの一方の端部(RFIC素子4の長手方向外側の金属ピン423C)は、RFICチップ41の第1入出力端子(図示せず)に接続されている。具体的には、ヘリカルコイル42Aの一方の端部である金属ピン423Cは、プリント配線基板43の主面43a上のランド425Aに接続されている。ランド425Aは、プリント配線基板43を貫通するスルーホール導体などの層間接続導体426Aを介して、プリント配線基板43の裏面43b上に形成された導体パターン427Aの一端部に接続されている。導体パターン427の他端部は、層間接続導体428Aを介して、プリント配線基板43の主面43a上に形成されたランド429Aに接続されている。ランド429Aは、RFICチップ41の第1入出力端子(図示せず)にはんだ等によって接続されている。
【0069】
ヘリカルコイル42Bの他方の端部(RFIC素子4の長手方向外側の金属ピン423D)は、RFICチップ41の第2入出力端子(図示せず)に接続されている。具体的には、ヘリカルコイル42Bの他方の端部である金属ピン423Dは、プリント配線基板43の主面43a上のランド425Bに接続されている。ランド425Bは、プリント配線基板43を貫通するスルーホール導体などの層間接続導体426Bを介して、プリント配線基板43の裏面43b上に形成された導体パターン427Bの一端部に接続されている。導体パターン427Bの他端部は、層間接続導体428Bを介して、プリント配線基板43の主面43a上に形成されたランド429Bに接続されている。ランド429Bは、RFICチップ41の第2入出力端子(図示せず)がはんだ等によって接続されている。
【0070】
なお、プリント配線基板43の裏面43b上に設けられた導体パターン427A,427Bも、主面43a上に設けられた導体パターン422と同様の方法で形成されている。また、導体パターン427A,427Bは、プリント配線基板43の裏面43b上に形成された保護層46によって覆われて保護されている。
【0071】
図13は、RFIDモジュール2の等価回路図である。
【0072】
上述したように、RFIC素子4にはヘリカルコイル42A,42Bが内蔵され、当該RFIC素子4に対してアンテナ線5のヘリカル状結合部5aがヘリカル状に巻回されている。すなわち、
図13に示すように、アンテナ線5のヘリカル状結合部5a内に、RFIC素子4のヘリカルコイル42A,42Bが配置されている。また、アンテナ線5のヘリカル状結合部5aの巻回軸とヘリカルコイル42A,42Bのコイル軸の両方がRFIC素子4の長手方向(X方向)に対して実質的に平行である。このような配置であるため、アンテナ線5のヘリカル状結合部5aとヘリカルコイル42A,42Bとが大きい結合度で磁界結合することができる。
【0073】
より具体的に説明すると、外部(例えば、RFIDモジュール2のリーダ/ライタ装置)からの電波(信号)をアンテナ線5の放射部5bが受信すると、アンテナ線5に電流が発生(誘起)する。それにより、ヘリカル状結合部5aが磁界を発生する。ヘリカル状結合部5a内の磁束は、RFIC素子4に内蔵されたヘリカルコイル42A,42B内を通過する。それにより、ヘリカルコイル42A,42B内に電流が発生(誘起)する。その電流によってRFICチップ41が駆動する。
【0074】
駆動したRFICチップ41は、内部の記憶部(メモリ)に記憶されている情報に対応する信号(電流)をヘリカルコイル42A,42Bに供給する。それにより、ヘリカルコイル42A,42Bが磁界を発生する。ヘリカルコイル42A,42B内の磁束は、アンテナ線5のヘリカル状結合部5a内を通過する。それにより、アンテナ線5に電流が発生(誘起)する。その電流によってアンテナ線5の放射部5bから電波が放射される。
【0075】
ヘリカル状結合部5a内にヘリカルコイル42A,42Bが配置され、ヘリカル状結合部5aの巻回軸とヘリカルコイル42A,42Bのコイル軸とが実質的に平行であるために、それらの一方の内部に発生した磁束が他方の内部を通過する。それにより、ヘリカル状結合部5aとヘリカルコイル42A,42Bとが、大きい結合度で磁界結合することができる。例えば、ヘリカルコイル42A,42Bに代えて単一のループが用いられる場合に比べて、大きい結合度の磁界結合を実現することができる。大きい結合度で磁界結合することにより、RFIDモジュール2は、長い通信距離を実現することができる。
【0076】
なお、前記では、アンテナ線5は、RFIC素子4の外周にヘリカル状に巻き付けられ、RFIC素子4と磁界結合するように構成されるものとしたが、本発明はこれに限定されない。例えば、RFIC素子4の第1入出力端子及び第2入出力端子のそれぞれに、アンテナ線となる導線糸をはんだ等で接続してもよい。
【0077】
本発明は、添付図面を参照しながら好ましい実施の形態に関連して充分に記載されているが、この技術に熟練した人々にとっては種々の変形や修正は明白である。そのような変形や修正は、添付した請求の範囲による本発明の範囲から外れない限りにおいて、その中に含まれると理解されるべきである。
繊維製品に対してより容易に取り付けられるとともに、より簡易な構成でRFIDモジュールの脱落を抑えることができる無線通信デバイスを提供する。本発明に係る無線通信デバイスは、RFIC素子(4)と、RFIC素子(4)に接続される導電性を有するアンテナ線(5)とを備えるRFIDモジュール(2)と、少なくともRFIC素子(4)の外周に配置された鞘部(3)とを備え、鞘部(3)の少なくとも一部には、熱可塑性樹脂を含む糸が含まれる。