特許第6591736号(P6591736)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6591736
(24)【登録日】2019年9月27日
(45)【発行日】2019年10月16日
(54)【発明の名称】操作パネル及び洗濯機
(51)【国際特許分類】
   D06F 39/00 20060101AFI20191007BHJP
【FI】
   D06F39/00 A
【請求項の数】9
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-161335(P2014-161335)
(22)【出願日】2014年8月7日
(65)【公開番号】特開2016-36498(P2016-36498A)
(43)【公開日】2016年3月22日
【審査請求日】2017年7月20日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】特許業務法人 サトー国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】池田 陽祐
(72)【発明者】
【氏名】河野 哲之
(72)【発明者】
【氏名】堀田 浩平
【審査官】 村山 達也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−061150(JP,A)
【文献】 特表2012−530935(JP,A)
【文献】 米国特許第05456955(US,A)
【文献】 米国特許第06326569(US,B1)
【文献】 特開2005−021602(JP,A)
【文献】 特開2008−135904(JP,A)
【文献】 特開平09−117587(JP,A)
【文献】 特開2011−143083(JP,A)
【文献】 特開2000−037596(JP,A)
【文献】 特開2008−000251(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 39/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気機器本体の外面部に設けられ、表示部及び操作部を有するパネル主部と、このパネル主部の裏面側に配置され点灯により前記表示部及び/又は操作部を投影表示させる光源とを備えて構成される操作パネルであって、
前記パネル主部は、表面に配置される飾り板と、この飾り板を保持し前記電気機器本体に取付けるための取付部を有した非透光材料からなる支持部材とを備えると共に、
前記飾り板は、透明樹脂層の裏面部に接して有色層を設け、前記有色層の裏面部に接して表示用透光部が色抜き状態に形成されている遮光フィルムを設けて構成されることを特徴とする操作パネル。
【請求項2】
前記遮光フィルムは、インサート成形により前記飾り板に一体的に設けられていることを特徴とする請求項1記載の操作パネル。
【請求項3】
前記飾り板には、前記透明樹脂層の表面側に位置して、常時表示部を有する表面フィルムが設けられていることを特徴とする請求項1又は2記載の操作パネル。
【請求項4】
前記飾り板の裏面側には、前記操作部のタッチ操作を検出するための静電シートが配設されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の操作パネル。
【請求項5】
前記静電シートは、前記飾り板の裏面に直接貼付けられると共に、該飾り板の裏面部には、貼付け位置を示すマークが設けられていることを特徴とする請求項4記載の操作パネル。
【請求項6】
前記飾り板と支持部材とは、前記表示部及び操作部を除いた部分において、接着部材を介して固定されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の操作パネル。
【請求項7】
前記接着部材は、弾性を有して構成されていることを特徴とする請求項6記載の操作パネル。
【請求項8】
前記飾り板と支持部材との間には、それらの位置合せを行うための位置決め部が設けられていることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の操作パネル。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載の操作パネルを、本体の外面部に備えることを特徴とする洗濯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は操作パネル及び洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
家庭用の電気機器、例えばドラム式の洗濯機においては、外箱の上面部前部に位置して、洗濯機の運転に関する設定操作や表示を行う操作パネルが設けられる。近年、この種の操作パネルとして、樹脂或いはガラス製の意匠板の裏面側に、人の指がタッチしたことを検出するための静電容量方式のタッチスイッチ(検知電極)を設けた構成のものが知られている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
この操作パネルにおいては、意匠板は、表面に模様や色のシートを貼付けて、10〜50%の光透過率を有するものとされている。そして、その意匠板の裏面側に、スイッチの種類を示す所定の文字や図形等の光透過パターンを形成した表示用マスク板、バックライト用導光板及び光源からなるバックライト、上記検知電極が配設されている。これにより、バックライトの消灯時(通常時)には、スイッチは非表示状態とされ、ユーザの指が接近したことが検知電極により検出されると、バックライトが点灯され、光透過パターン(スイッチ)が浮き上がって見え、操作可能となるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−145719号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来構成では、意匠板の透明樹脂層において、光源からの光が乱反射し、周囲に漏れてしまう事情があった。特に、例えば7セグメント型の数字表示部を設けたものでは、隣から漏れる光によって、本来消灯されているべきセグメントがぼんやり明るくなるなど、クリアな数字表示とならない傾向にあった。
【0006】
そこで、飾り板の表面に表示部や操作部を裏面側から投影表示させるものにあって、クリアな表示が可能な操作パネル及び洗濯機を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の操作パネルは、電気機器本体の外面部に設けられ、表示部及び操作部を有するパネル主部と、このパネル主部の裏面側に配置され点灯により前記表示部及び/又は操作部を投影表示させる光源とを備えて構成されるものであって、前記パネル主部は、表面に配置される飾り板と、この飾り板を保持し前記電気機器本体に取付けるための取付部を有した非透光材料からなる支持部材とを備えると共に、前記飾り板は、透明樹脂層の裏面部に接して有色層を設け、前記有色層の裏面部に接して表示用透光部が色抜き状態に形成されている遮光フィルムを設けて構成されるところに特徴を有する。
【0008】
また、実施形態の洗濯機は、上記した構成の操作パネルを本体の外面部に備えるところに特徴を有する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】一実施形態を示すもので、ドラム式洗濯機の外観を示す斜視図
図2】操作パネル部分の分解斜視図
図3】コース選択用の操作部部分の縦断側面図
図4】飾り板の構成を概略的に示す拡大縦断面図
図5】パネル主部の操作表示部に全ての表示がされた様子を示す平面図
図6】飾り板の裏面に接着部材を貼付けた様子を示す底面図
図7】支持部材及び飾り板の後端部部分の縦断側面図
図8】遮光フィルムを白黒反転状態で裏面側から示す図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、ドラム式の洗濯機に適用した一実施形態について、図面を参照しながら説明する。図1は、電気機器本体としてのドラム式の洗濯機の本体1の外観構成を示している。この本体1は、ほぼ矩形箱状をなし、その前面部には、ほぼ円形状の衣類出入口2を開閉するための扉3が設けられている。
【0011】
この本体1の外面部としての上面部の前部の右側部位には、ユーザが洗濯運転に関する各種設定を行ったり、ユーザに対し必要な表示を行ったりするための、本実施形態に係る操作パネル4が設けられている。以下に詳しく述べるが、この操作パネル4は、パネル主部5の裏面側に、操作表示ユニット6を配設して構成される(図2図3参照)。後述するように、前記パネル主部5の表面部分の横長矩形状の領域に、操作部及び表示部の双方を兼ねる操作表示部5aが設けられる。
【0012】
前記パネル主部5は、本体1の上面部の前部の右側部位を構成するようになっており、左辺部の前側コーナー部分が矩形状に切取られた如き形態の横長な長方形状をなすと共に、図3にも示すように、前方に緩やかに下降傾斜するような湾曲状をなしている。このとき、図1図2に示すように、前記操作表示部5aは、パネル主部5のうち左端部及び周囲部を除く前側の矩形領域に設けられる。そして、図2に示すように、このパネル主部5は、表面に配置される飾り板41と、この飾り板41の裏面側に配置される非透光材料からなる支持部材42とを備えて構成される。本実施形態におけるパネル主部5(及び飾り板41)の詳細についても後述する。
【0013】
尚、図示はしないが、周知のように、本体1の内部には、水槽、横軸型のドラム、このドラムを回転駆動する回転駆動機構、前記水槽内に給水を行う給水機構、前記水槽内からの排水を行う排水機構、前記水槽内に乾燥用空気を供給する乾燥機構などが設けられている。また、本体1内(操作パネル4内)には、コンピュータを主体として構成され、全体を制御する制御装置が設けられる。この制御装置は、操作パネル4の操作部からの信号や各種センサ信号等に基づいて、運転制御プログラムに従って上記各機構を制御し、洗い、すすぎ、脱水、乾燥といった洗濯及び乾燥の行程を自動的に実行する。また、制御装置は、操作パネル4の操作表示部5aの表示を制御する。
【0014】
ここで、前記操作パネル4の構成について、図2から図8も参照して詳述する。図5は、操作パネル4において、前記パネル主部5(飾り板41)の表面に操作表示部5aの全ての表示がなされた(全ての光源が点灯された)状態を例示している。この場合、後述するように、飾り板41は、有色(白色)とされながら、例えば光透過度が5%〜30%とされており、裏面側に配置される光源としてのLED37が点灯された時のみ、操作表示部5aが視認可能とされるようになっている。以下、操作表示部5aにおける操作部及び表示部について述べる。
【0015】
前記パネル主部5(飾り板41)の右端部の前部には、他の操作部とは異なった形態の電源入りスイッチ7及び電源切りスイッチ8が右左に並んで設けられている。これら電源入りスイッチ7及び電源切りスイッチ8は、夫々、飾り板41の表面部に設けられた常時表示部としての円形の押ボタン部7a及び8aと、その裏面側(操作表示ユニット6)に設けられた押ボタンスイッチ装置7b及び8b(図2参照)とを備えて構成されている。図1に示すように、これら押ボタン部7a及び8aは、後述する表面フィルム44(図4参照)に印刷されていて常に表示された形態とされ、ユーザがそれらを常に操作可能な状態とされている。
【0016】
この操作パネル4(パネル主部5)には、ユーザが手の指でタッチ操作する複数の操作部が設けられる。本実施形態では、各操作部は、周知の静電容量式タッチセンサから構成され、パネル主部5(飾り板41)の前面に設定される操作ボタンにユーザが指を触れた(接近させた)ことを静電容量の変化として検出するものである。具体的には、図5に示すように、操作部として、スタート・一時停止操作部9、時間設定用のアップ・ダウン操作部24、ユーザが自動運転のコースを選択するためのコース選択用の操作部10〜13、ユーザが運転コース(内容)を自由に設定するための設定用の操作部14〜23が設けられている。
【0017】
そのうち、スタート・一時停止操作部9は、前記電源切りスイッチ8の左側に位置して設けられ、パネル主部5(飾り板41)の前面に仮想的に設定される操作ボタン9aと、その裏面側に位置する静電容量検出部9b(図2参照)とを有している。操作ボタン9aは、円の中に、「スタート・一時停止」の文字を配置して構成される。
【0018】
前記アップ・ダウン操作部24は、スタート・一時停止操作部9の左側に位置して設けられ、パネル主部5(飾り板41)の前面に仮想的に設定されるアップ及びダウンの操作ボタン24a,24aと、その裏面側に位置する静電容量検出部24b,24b(図2参照)とを有している。操作ボタン24a,24aは、上下に長い長円の中に、アップ及びダウンの一対のマーク(矢印)を配置して構成される。
【0019】
前記操作部10〜13は、アップ・ダウン操作部24の左側に位置して4個が縦一列(前後)に並んで設けられ、やはりパネル主部5(飾り板41)の前面に仮想的に設定される操作ボタン10a〜13aと、その裏面側に位置する静電容量検出部10b〜13b(図2参照)とを有している。具体的には、上から順に、「脱臭・消臭」の操作部10(操作ボタン10a)、「洗濯」の操作部11(操作ボタン11a)、「洗乾」の操作部12(操作ボタン12a)、「乾燥」の操作部13(操作ボタン13a)が設けられている。前記各操作ボタン10a〜13aについては、円の中にそれらの文字を配置して構成される。
【0020】
前記操作部14〜23は、「乾燥」の操作部13の左方に位置し、操作パネル4の前辺部に沿って並んで設けられており、やはり、パネル主部5(飾り板41)の前面に仮想的に設定される操作ボタン14a〜23aと、その裏面側に位置する静電容量検出部14b〜23b(図2参照)とを有している。詳細な説明は省略するが、操作ボタン14a〜23aは、四角い枠内に、各文字を配置して構成されている。
【0021】
また、図5に示すように、この操作パネル4(操作表示部5a)には、表示部として、大きく分けて、第1の項目表示部25、第2の項目表示部26、第3の項目表示部27、設定時間や残り時間等の数字表示を行うためのセグメント表示部28が設けられている。詳細な説明は省略するが、そのうち第1の項目表示部25は、操作パネル4の右端側の後部に位置して設けられ、「フィルターお掃除」、「チャイルドロック」、「ドアロック」等の複数個の項目(文字)が必要に応じて選択的に表示されるようになっている。
【0022】
同様に、第2の項目表示部26は、操作パネル4のほぼ中央部に位置して設けられ、「ドラム回転」、「ドラム停止」、「柔らか」、「おやすみ」、「ザブザブ」といった複数個の項目(文字)が横方向に3列に並んで必要に応じて選択的に表示されるようになっている。第3の項目表示部27は、操作パネル4の左端側の後部に位置して設けられ、「すすぎ1」、「すすぎ2」、「すすぎ3」等の複数個の項目(文字)が必要に応じて選択的に表示されるようになっている。前記セグメント表示部28は、いわゆる7セングメントの数字表示部を、横に4個並べて備え、最大4ケタの数字が表示可能とされている。これにて、設定時間や残り時間等の数字表示を行うようになっている。
【0023】
上記したように、この操作パネル部4は、パネル主部5の裏面側に操作表示ユニット6を備えている。図2図3に示すように、前記操作表示ユニット6は、薄型のケース30内に、裏面側(奥側)から順に、回路基板31、LED支え部材32、押圧部材33,34、透明電極シート(静電シート)35、36を重ねるように配置して構成される。そして、前記飾り板41は、この操作表示ユニット6の上面(前記ケース30の上面開口部)を塞ぐように配置される。
【0024】
前記回路基板31は、横長の矩形状に構成され、その表面(上面)に、前記各操作部9〜24及び各表示部25〜28に対応して、それらの光源となる複数個のLED37が実装されている。これと共に、詳しく図示はしないが、回路基板31には、それらLED37に対する通電用回路や、前記操作部9〜24(静電容量検出部9b〜24b)の信号処理回路、上記制御装置、コネクタ等も設けられている。
【0025】
この場合、図3に示すように、前記LED37としては、表面実装用のチップ型でなく、リード脚37aを有するいわゆる砲弾型のものが採用されている。これらLED37は、リード脚37aにより回路基板31上に浮き上がった形態で実装されている。尚、図示はしないが、防湿性、絶縁性の向上を図るために、前記回路基板31の表面部(ケース30内の下部)を、例えばウレタン樹脂等からなるポッティング材により覆うようにしても良い。
【0026】
図2に示すように、前記LED支え部材32は、光を遮蔽する(透過率が極めて低い)濃い色例えば黒やグレー等に着色されたリジッドなプラスチック成型品からなり、全体として横長矩形状に構成されている。図3図4にも一部示すように、このLED支え部材32は、前記各LED37からの光を、光の漏れが無いようにしながら、上方の各操作部9〜24及び各表示部25〜28(飾り板41側)に向けて夫々案内するためのものであり、多数個の光ガイド部39及び40を上面側で一体的に連結した形態をなしている。
【0027】
図3に示すように、LED支え部材32のうち、各操作部9〜13,24に対応した位置に夫々設けられる各光ガイド部39は、円筒状又は、下方に向けてすぼまっていくような円錐面状(テーパ状)をなしている。図2図4に示すように、各操作部14〜23に対応した位置に設けられる各光ガイド部39は、四角形の角筒状に構成されている。各項目表示部25〜27(各項目を示す文字)に対応した位置に夫々設けられる光ガイド部40は、横方向に細長い矩形枠状(角筒状)をなしている。セグメント表示部28に対応した位置に夫々設けられる光ガイド部40は、各セグメントに対応した筒状に構成されている。
【0028】
このLED支え部材32は、前記回路基板31の表面側に、位置決め状態で被せられようにして結合される。このとき、図3に示すように、LED支え部材32の先端面(上面)は、湾曲状の飾り板41に倣った曲面状とされている。また、図2に示すように、LED支え部材32の先端面(上面)には、スタート・一時停止操作部9、アップ・ダウン操作部25並びに各操作部10〜13に対応した位置に、次に述べる押圧部材33,34を配置するために、やや窪んだ凹所32aが形成されている。
【0029】
前記押圧部材33は、柔軟性(弾性)を有する透明なプラスチック材料からなり、スタート・一時停止操作部9(操作ボタン9a)、アップ・ダウン操作部24(操作ボタン24a,24a)及び各操作部10〜13(操作ボタン10a〜13a)に対応した肉厚の円形部分を、複数個有した形態に構成される。前記押圧部材34は、同様に柔軟性(弾性)を有する透明なプラスチック材料からなり、各操作部14〜23(操作ボタン14a〜23a)に対応した肉厚の四角形部分を、複数有した形態をなしている。
【0030】
これら押圧部材33,34は、LED支え部材32に形成された凹所32aに嵌り込むように取付けられる。これにて、押圧部材33、34は、次に述べる透明電極シート35,36の各静電容量検出部9b〜24bの裏面側に配置されるばね性を有したクッション材として機能し、それら各静電容量検出部9b〜24bを、前記飾り板41の裏面に対して押当てる機能を果たす。
【0031】
そして、図2図4に示すように、前記透明電極シート(静電シート)35は、全体として、前記操作部9,24及び操作部10〜13を覆うような形状の薄型シート状をなしている。詳しく図示はしないが、この透明電極シート35は、可撓性を有する例えばPETからなる透明なベースフィルムの表面に、前記静電容量検出部9b〜13b,24b及び、配線、誤検出防止用電極等を印刷形成し、その表面をやはりPETからなる透明なカバーフィルムで覆った構成を備える。
【0032】
同様に、前記透明電極シート36は、図2に示すように、全体として、前記操作部14〜23を覆うような形状の薄型シート状をなし、静電容量検出部14b〜23b及び配線などが印刷形成されている。前記各静電容量検出部14b〜23bは、ベースフィルムの表面に、例えば一定の透明性を有する導電性ポリマーを、夫々円形或いは四角形に印刷塗布し、その表面をやはりPETからなる透明なカバーフィルムで覆って構成されている。
【0033】
さて、前記パネル主部5及び飾り板41について述べる。上記したように、パネル主部5は、飾り板41の裏面側に支持部材42を備える。図2に示すように、支持部材42は、非透光材料例えば白やグレー等に着色されたリジッドなプラスチック成型品からなり、飾り板41と同等の外形で、操作表示部5aに対応した部分に開口を有した枠板状をなしている。また、支持部材42の下面側には、パネル主部5を本体1に取付けるための取付部としての複数個のねじボス部42aが一体に設けられている。
【0034】
図2図6に示すように、前記支持部材42と飾り板41とは、例えば両面粘着テープからなる接着部材43により固着される。このとき、接着部材43は、例えば発泡樹脂製のシートの両面に接着剤(粘着剤)を添付して構成され、弾性(クッション性)を有するものとされている。この接着部材43は、前記支持部材42と同様に操作表示部5aに対応した開口部を有すると共に、飾り板41の外周縁部よりもやや小さい大きさに裁断され、操作表示部5aを除いた部位つまり操作表示部5aの外側周囲部において、支持部材42と飾り板41とを接着するようになっている。図6は、飾り板41の裏面に接着部材43を貼付けた様子(支持部材42を接着する前の様子)を示しており、この図6では、便宜上、接着部材43にハッチングを付して示している。
【0035】
このとき、図2に示すように、前記パネル主部5の左右両端部の後部においては、支持部材42の上面に、上方に凸となる突起部42cが形成され、飾り板41の下面には、前記各突起部42cが嵌合する嵌合凹部41が形成されている。更に、図7に示すように、前記パネル主部5の後辺部においては、支持部材42の上面に段差状の凹部42bが形成され、飾り板41の下面に、下方に凸となり前記凹部42bに嵌合する凸部41aが形成されている。これにて、突起部42c及び嵌合凹部41b、並びに、凹部42b及び凸部41aが、支持部材42と飾り板41との間の位置合せを行うための位置決め部として機能する。
【0036】
尚、図示はしないが、飾り板41と支持部材42とを接着するにあたっては、パネル主部5の外形に対応した凹所を有する治具が用いられる。作業者は、例えば、まず、飾り板41を裏向き(表面側を下向き)にして治具の凹所内にセットし、その飾り板41の裏面に接着部材43を貼付ける(図6参照)。次いで、支持部材42を飾り板41との位置合せ状態(嵌合凹部41bに対する突起部42cの嵌合状態、並びに、凸部41aに対する凹部42bの嵌合状態)にしながら重ねて押し付けることにより、接着が行われる。
【0037】
そして、本実施形態では、前記飾り板41は、図4に示すような多層構造を備えている。即ち、飾り板41は、表面側から順に、表面フィルム44、透明樹脂層45、有色層としての白色塗装層46、遮光フィルム47を備えている。前記表面フィルム44は、例えば透明なPETシート材に、前記押ボタン部7a及び8aを印刷して構成されている。前記透明樹脂層45は、例えばABS樹脂から、飾り板41全体としての強度を確保できる厚みで形成されている。
【0038】
前記白色塗装層46は、白色の塗料を例えば複数層に塗装して構成されている。前記遮光フィルム47は、透明フィルム材の表面に、黒又はグレーの遮光部(図4で便宜上ハッチングを付して示す)及び表示用透光部47a(図4でハッチングなしで示す)を設けて構成されている。そのうち表示用透光部47aは、前記各操作ボタン9a〜24aを表示するためのマークや文字、並びに、各表示部25〜28を構成する各文字やセグメントに対応して(透明に抜かれた色抜き状態で)形成されている。
【0039】
図8は、遮光フィルム47を裏面(下面)側から見た様子を白黒(ネガポジ)反転して示している。このとき、遮光フィルム47の裏面部には、複数個所に位置して、前記透明電極シート35,36の貼付け位置を示すマーク48が印刷により設けられている。これらマーク48は、透明電極シート35,36の複数個のコーナー部分(角部)を位置決めするための、いわば鉤括弧状に形成されている。
【0040】
尚、前記白色塗装層46は、例えば曇り度(ヘーズ)が5%〜30%とされ、前記LED37の非点灯状態では、ユーザが飾り板41を見た際に飾り板41内の遮光フィルム47の表示用透光部47aの存在が認識できず白色に見え、LED37が点灯されて初めて操作部9〜24及び表示部25〜28を視認できる程度とされている。この白色塗装層46の曇り度を、5%〜30%としたことにより、美観に優れ且つ極めてクリアな表示とすることができる。
【0041】
前記飾り板41の製造は、例えば次の手順でなされる。即ち、まず、押ボタン部7a及び8aを印刷した表面フィルム44を形成する。これと共に、表示用透光部47aを有する遮光フィルム47を形成する。更に、この遮光フィルム47の表面側に、白色塗料の塗装により白色塗装層46を形成する。そして、上記のように得られた表面フィルム44及び遮光フィルム47を、成形型内に収容し、いわゆるインサート成形により透明樹脂層45を形成する。これにより、表面フィルム44、透明樹脂層45、白色塗装層46、遮光フィルム47を一体に有した飾り板41が得られるのである。尚、飾り板41のうち、前記押ボタン部7a及び8a部分については、表面フィルム44のみが存在する円形穴が形成され、各円形穴部分に前記押ボタンスイッチ装置7b及び8bが配置される。
【0042】
上記のように構成された飾り板41を備えたパネル主部5は、予め、飾り板41の裏面側に、透明電極シート35,36が直接貼付けられる。このとき、上記のように、遮光フィルム47の裏面に印刷されたマーク48により、貼付け位置の位置合せを容易に行うことができる。そして、パネル主部5は、図2等に示すように、本体1の上面の前部右側に前記操作表示ユニット6の上面を塞ぐようにして、前記支持部材42に設けられた取付部42aにおいてねじ止めにより本体1に取付けられ、もって操作パネル4が構成される。
【0043】
このとき、図3図4に一部示すように、LED支え部材32の光ガイド部39,40の先端部が、飾り板41(透明電極シート35,36)の裏面に密着する。これと共に、図3にも示すように、LED支え部材32上の押圧部材33、34が、透明電極シート35,36の各静電容量検出部9b〜24bを飾り板41に対し裏面側から押圧するように配置される。
【0044】
次に、上記構成の作用及び効果について述べる。洗濯機本体1の電源が入っていない状態では、操作パネル4の全てのLED37が非点灯(消灯)状態とされ、電源入りスイッチ7(押ボタン部7a)及び電源切りスイッチ8(押ボタン部8a)のみが表示された状態となっている。この状態では、操作パネル4の表面には、飾り板41の白色塗装層46がユーザに見えるようになり、シンプルなデザインで美観に優れたものとなる。またこのとき、飾り板41の表面に透明なPETからなる表面フィルム44が設けられていることにより、光沢のあるクリアな白色とされる。
【0045】
そして、ユーザにより電源入りスイッチ7(押ボタン部7a)が操作されて電源が投入されると、制御装置は、必要なLED37を点灯状態とさせる。このLED37の点灯により、LED37から上方に向けて照射される光が、飾り板41の遮光フィルム47の表示用透光部47aを通して透明樹脂層45を通り、以て、各操作部9〜24及び表示部25〜28が飾り板41の表面側に投影表示される。これにて、ユーザが操作部9〜24及び表示部25〜28の文字やマークが視認可能となり、操作部9〜24の操作が可能となる。
【0046】
このとき、遮光フィルム47の表示用透光部47aを通った光のみが飾り板41の表面側に投影表示されるようになると共に、遮光フィルム47は飾り板41の裏面側に設けられているので、遮光フィルム47と光源としてのLED37との間の距離が比較的短くなり、隣接する表示部への光の漏れを抑制することができる。LED支え部材32は、各LED37を区画して光の漏れが無いようにしながら案内する光ガイド部39及び40を有し、且つ、光を遮蔽する濃い色に着色されているので、LED37の光の漏れを防止して、くっきりと表示させることができる。更に、飾り板41と支持部材42とを別体にしたので、支持部材42からの光の漏れを防止することができる。
【0047】
またこの際には、制御装置は、静電容量式タッチセンサ(各静電容量検出部9b〜24b)の検出信号に基づく各操作ボタン9a〜24aのタッチ操作(近接操作)を監視する。ユーザは、各操作ボタン9a〜24aをタッチ操作することにより、自動コースのいずれかを選んだり、洗濯のコースを自由に設定したりすることができる。制御装置は、各静電容量検出部9b〜24bの検出信号に基づいて、各操作ボタン9a〜24aのタッチ操作を認識し、それに応じて運転コースの設定や、表示の変更等を行う。スタート・一時停止スイッチ9がオンされると、設定された運転コースの洗濯運転を開始させる。制御装置は、運転中においても、実行しているコースの表示や残り時間の表示など、現状の設定情況に応じた必要な表示を行う。
【0048】
このように本実施形態によれば、操作パネル4において、通常時つまりLED37の非点灯時には、飾り板41の白色塗装層46がユーザにとって見えるようになり、シンプルなデザインで美観に優れたものとなる。そして、各LED37が点灯されると、操作部9〜24及び表示部25〜28が飾り板41の表面側に投影表示され、ユーザが視認可能となり、操作パネル4としての機能を果たすことができる。
【0049】
このとき、表示用透光部47aが形成された遮光フィルム47は飾り板41の裏面側に設けられているので、LED37から遮光フィルム47(表示用透光部47a)までの距離が比較的短くなり、その分、隣り合う表示部への光の漏れを抑えることができ、クリアな表示が可能となる。LED支え部材32に設けられた光ガイド部材39,40によっても、LED37の光の漏れを防止でき、より一層くっきりと表示させることができる。
【0050】
特に本実施形態では、遮光フィルム47を、インサート成形により飾り板41(透明樹脂層45)に一体的に設けるようにしたので、構成が簡単で、別体の遮光フィルムを飾り板41に貼付けるといった場合に比較して、組付けが容易となる。飾り板41には、透明樹脂層45の表面側に位置して、押ボタン部7a及び8aを印刷形成した表面フィルム44が設けられているので、常時表示部(押ボタン部7a及び8a)を容易に設けることができる。また、表面フィルム44によって、飾り板41の表面に光沢などを簡単に付与することもできる。表面フィルム44についても、インサート成型により飾り板41に一体化されるので、組付け作業をより一層容易とすることができる。
【0051】
前記飾り板41の裏面側に、操作部9〜24のタッチ操作を検出するための透明電極シート35,36を設け、静電容量式のタッチスイッチを構成するようにしたので、操作性に優れたタッチ操作部を容易に設けることができる。透明電極シート35,36を、飾り板41の裏面に直接貼付ける構成とすると共に、飾り板41(遮光フィルム47)の裏面部に、貼付け位置を示すマーク48を設けるようにしたので、組付け時の位置合せ作業をより容易に行うことができる。また、操作部表面と透明電極シート35,36との間の距離を最短として、感度を高めることができる。
【0052】
本実施形態では、パネル主部5を、飾り板41と支持部材42とから構成し、それらを、操作表示部5aを除いた部位において、接着部材43を介して固着するようにしたので、飾り板41と支持部材42との固定を確実に行うことができ、それらの隙間における防水も図ることができる。接着部材43は弾性を有するので、飾り板41と支持部材42との間の寸法誤差を吸収することができる。飾り板41と支持部材42との間には、それらの位置合せを行うための位置決め部(突起部42c及び嵌合凹部41b、並びに、凸部41a及び凹部42b)を設けたので、組付け時の位置合せ作業をより容易に行うことができる。
【0053】
尚、図示は省略するが、以下のような変更も可能である。即ち、上記実施形態では、飾り板に表面フィルムを設けるようにしたが、表面フィルムは必ずしも設けなくても良い。上記実施形態では、有色層として、白色塗装層46を設けるようにしたが、白色以外でも、薄いグレーや、白色に赤等の他の色を混ぜたものなど、様々な色にすることができる。LED支え部材の光ガイド部の内面を、光を反射しやすい白色等とすることも可能である。上記実施形態では、飾り板41と支持部材42との間の位置決め部として、突起部42c及び嵌合凹部41b、並びに、凸部41a及び凹部42bの2組を設けるようにしたが、いずれか一方でも良く、それら以外の構造の位置決め部を設けるようにしても良い。
【0054】
操作パネルにおける、透明電極シートや押圧部材、LED支え部材等の具体的構造や、操作部や表示部の種類やレイアウトなどについても、様々な変形が可能である。その他、上記した各実施形態に限定されるものではなく、例えば、ドラム式の洗濯機に限らず、いわゆる縦軸型の洗濯機にも適用することもでき、更には、例えば炊飯器や他の調理器具、冷蔵庫などの各種の家庭用電気機器の操作パネルに適用することができる等、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施し得るものである。
【符号の説明】
【0055】
図面中、1は洗濯機本体(電気機器本体)、4は操作パネル、5はパネル主部、5aは操作表示部、6は操作表示ユニット、7a,8aは押ボタン部(常時表示部)、9〜24は操作部、25〜27は項目表示部、28はセグメント表示部、30はケース、31は回路基板、32はLED支え部材、33,34は押圧部材、35,36は透明電極シート、39,40は光ガイド部、41は飾り板、41aは凸部(位置決め部)、41bは嵌合凹部(位置決め部)、42は支持部材、42aは取付部、42bは凹部(位置決め部)、42bは突起部(位置決め部)、43は接着部材、44は表面フィルム、45は透明樹脂層、46は白色塗装層(有色層)、47は遮光フィルム、47aは表示用透光部、48はマークを示す。
図1
図2
図3
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図5
図6
図7
図8