(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
(b)の非イオン性界面活性剤が、モノオキシアルキレン化、ポリオキシアルキレン化、モノグリセロール化若しくはポリグリセロール化非イオン性界面活性剤又はそれらの混合物から選ばれる、請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明者は、鋭意検討を行い、本発明によるケラチン繊維用組成物が、そのアンモニウム臭を抑え得ることを驚くべきことに見出した。
【0028】
(I)組成物
したがって、本発明による組成物は、ケラチン繊維、例えば毛髪用であり、
(a)少なくとも1種の非中和型陰イオン性界面活性剤、
(b)少なくとも1種の非イオン性界面活性剤、
(c)少なくとも1種の脂肪アルコール、及び
(d)少なくとも1種のアルカリ剤
を含む。
【0029】
更に、本発明による組成物は、リン酸界面活性剤を2質量%以下、好ましくは1質量%以下、より好ましくは0.2質量%以下しか含まない。
【0030】
本発明のケラチン繊維用組成物によれば、組成物から生じるアンモニア臭を減らすことができる。
【0031】
以下、本発明による組成物を、より詳細に説明する。
【0032】
(a)非中和型陰イオン性界面活性剤
用語「非中和型陰イオン性界面活性剤」とは、中和されていない陰イオン性界面活性剤を意味する。言い換えれば、用語「非中和型陰イオン性界面活性剤」は、その親水性官能基のプロトンが解離されていない陰イオン性界面活性剤を意味する。したがって、非中和型陰イオン性界面活性剤は、酸の形態となり、塩の形態又はイオン化された形態
ではない。2種以上の非中和型陰イオン性界面活性剤を用いてもよい。そのため、単一のタイプの非中和型陰イオン性界面活性剤、又は異なるタイプの非中和型陰イオン性界面活性剤の組合せが用いられ得る。
【0033】
本発明において用いることができる非中和型陰イオン性界面活性剤は、カルボン酸タイプの界面活性剤、スルホン酸タイプの界面活性剤、及び硫酸エステルタイプの界面活性剤を含むことができる。好ましくは、非中和型陰イオン性界面活性剤は、カルボン酸タイプの界面活性剤である。
【0034】
本発明において用いることができるカルボン酸タイプの界面活性剤としては、これらに限定されないが、脂肪カルボン酸、脂肪エーテルカルボン酸、N-アシルアミノ酸、及びタンパク質の陰イオン性誘導体が挙げられる。
【0035】
脂肪カルボン酸の非限定的な例には、式(I)に対応する、6から40個、好ましくは8から36個、より好ましくは10から32個、更に好ましくは12から28個の炭素原子を有する脂肪酸が挙げられる。
RCOOH (I)
[式中、
Rは、6から40個の炭素原子を有する炭化水素基である]。更に、Rは、直鎖状若しくは分枝状、非環式若しくは環式、飽和若しくは不飽和、脂肪族若しくは芳香族、置換又は非置換となり得る。一般的には、Rは、直鎖状若しくは分枝状の、非環式C
6〜C
40アルキル若しくはアルケニル基又はC
1〜C
40アルキルフェニル基、より一般的にはC
8〜C
24アルキル基若しくはアルケニル基又はC
4〜C
20アルキルフェニル基、更により一般的にはC
10〜C
18アルキル基若しくはアルケニル基又はC
6〜C
16アルキルフェニル基であり、これらは置換されていてもよい。置換基の例として、一価の官能基、例えば、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、C
1〜C
6アルコキシ基、アミノ基、C
1〜C
6アルキルアミノ基、C
1〜C
6ジアルキルアミノ基、ニトロ基、カルボニル基、アシル基、カルボキシル基、シアノ基等を挙げることができる。
【0036】
6から40個の炭素原子を有する適当な脂肪カルボン酸としては、これらに限定されないが、それらのINCI名(INCI:Cosmetic, Toiletry and Fragrance Association Inc.(CTFA)、Washington D.C.、USAによって発表されたInternational Cosmetic Ingredient Dictionary、第10版による原材料についての命名法)により称される以下の典型例が挙げられる。アラキジン酸、アラキドン酸、ビーズワックス酸、カプリン酸、カプロン酸、カプリル酸、ヤシ脂肪酸(coconut acid)、イソステアリン酸、ラウリン酸、リノール酸、リノレン酸、ミリスチン酸、オレイン酸、オリーブ油脂肪酸(olive acid)、パルミチン酸、ナタネ油脂肪酸(rapeseed acid)、ステアリン酸、牛脂脂肪酸(tallow acid)、ウンデカン酸、ウンデシレン酸又はコムギ胚芽油脂肪酸(wheat germ acid)及びそれらの混合物。好ましくは、6から40個の炭素原子を有する脂肪カルボン酸は、カプリン酸、カプリル酸、ラウリン酸、オレイン酸、イソステアリン酸、又はステアリン酸である。
【0037】
脂肪エーテルカルボン酸は、カルボン酸基が、ポリオキシアルキレン単位又はグリコールエーテル単位によって疎水基に結合する化合物を示すことができ、これらには限定されないが、ポリオキシアルキレン化アルキルエーテルカルボン酸、ポリオキシアルキレン化アルキルアリールエーテルカルボン酸、ポリオキシアルキレン化アルキルアミドエーテルカルボン酸、及びアルキルグリコールカルボン酸が挙げられる。
【0038】
脂肪エーテルカルボン酸の非限定的な例としては、式(II)に対応する化合物が挙げられる。
RO[CH
2O]
u[(CH
2)
xCH(R')(CH
2)
y(CH
2)
zO]
v[CH
2CH
2O]
wCH
2COOH (II)
[式中、
Rは、6から40個の炭素原子を含む炭化水素基であり、
u、v及びwは、互いに独立して、0〜60の数を表し、
x、y及びzは、互いに独立して、0〜13の数を表し、
R'は、水素、アルキル、好ましくはC
1〜C
12アルキルを表し、
x+y+zの合計は、0以上である]。
【0039】
式(II)に対応する脂肪エーテルカルボン酸は、単独のアルコキシドとしてのエチレンオキシド又はいくつかのアルコキシドによりアルコール ROHをアルコキシル化させ、その後酸化することにより得ることができる。u、v、及びwの数はそれぞれ、アルコキシル化の程度を表す。一方、分子レベルにおいて、u、v及びwの数並びにアルコキシル化の総計の程度は、ゼロを含めた整数となり得るに過ぎず、巨視的レベルにおいて、これらは、端数の形態の平均値である。
【0040】
式(II)中、Rは、直鎖状若しくは分枝状、非環式若しくは環式、飽和若しくは不飽和、脂肪族若しくは芳香族、置換又は非置換である。置換基の例として、一価の官能基、例えば、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、C
1〜C
6アルコキシ基、アミノ基、C
1〜C
6アルキルアミノ基、C
1〜C
6ジアルキルアミノ基、ニトロ基、カルボニル基、アシル基、カルボキシル基、シアノ基等を挙げることができる。一般的には、Rは、直鎖状若しくは分枝状の、非環式C
6〜C
40アルキル若しくはアルケニル基又はC
1〜C
40アルキルフェニル基、より一般的にはC
8〜C
24アルキル若しくはアルケニル基又はC
4〜C
20アルキルフェニル基、更により一般的には、C
10〜C
18アルキル基若しくはアルケニル基又はC
6〜C
16アルキルフェニル基であり、これらは置換されていてもよく;u、v、wは、互いに独立して、一般的には2から20までの数、より一般的には3から17までの数、最も一般的には5から15までの数であり;x、y、zは、互いに独立して、一般的には2から13までの数、より一般的には1から10までの数、最も一般的には0から8までの数である;
【0041】
適した脂肪エーテルカルボン酸としては、これらには限定されないが、それらのINCI名により称される以下の典型例が挙げられる。ブトキシノール(Butoxynol)-5カルボン酸、ブトキシノール-19カルボン酸、カプリレス(Capryleth)-4カルボン酸、カプリレス-6カルボン酸、カプリレス-9カルボン酸、セテアレス-25カルボン酸、コセス-7カルボン酸、C9〜11パレス-6カルボン酸、C
11〜C
15パレス-7カルボン酸、C12〜13パレス-5カルボン酸、C
12〜C
13パレス-8カルボン酸、C
12〜C
13パレス-12カルボン酸、C
12〜C
15パレス-7カルボン酸、C
12〜C
15パレス-8カルボン酸、C
14〜C
15パレス-8カルボン酸、デセス-7カルボン酸、ラウレス-3カルボン酸、ラウレス-4カルボン酸、ラウレス-5カルボン酸、ラウレス-6カルボン酸、ラウレス-8カルボン酸、ラウレス-10カルボン酸、ラウレス-11カルボン酸、ラウレス-12カルボン酸、ラウレス-13カルボン酸、ラウレス-14カルボン酸、ラウレス-17カルボン酸、PPG-6-ラウレス-6カルボン酸、PPG-8-ステアレス-7カルボン酸、ミレス-3カルボン酸、ミレス-5カルボン酸、ノノキシノール-5カルボン酸、ノノキシノール-8カルボン酸、ノノキシノール-10カルボン酸、オクテス(Octeth)-3カルボン酸、オクトキシノール-20カルボン酸、オレス-3カルボン酸、オレス-6カルボン酸、オレス-10カルボン酸、PPG-3-デセス-2カルボン酸、カプリレス-2カルボン酸、セテス-13カルボン酸、デセス-2カルボン酸、ヘキセス(Hexeth)-4カルボン酸、イソステアレス-6カルボン酸、イソステアレス-11カルボン酸、トルデセス(Trudeceth)-3カルボン酸、トリデセス-6カルボン酸、トリデセス-8カルボン酸、トリデセス-12カルボン酸、トリデセス-3カルボン酸、トリデセス-4カルボン酸、トリデセス-7カルボン酸、トリデセス-15カルボン酸、トリデセス-19カルボン酸、ウンデセス-5カルボン酸、及びそれらの混合物。
【0042】
好ましくは、脂肪エーテルカルボン酸は、オレス-10カルボン酸、ラウレス-5カルボン酸、及びラウレス-11カルボン酸である。
【0043】
一般的には、ポリオキシアルキレン化アルキルエーテルカルボン酸、ポリオキシアルキレン化アルキルアリールエーテルカルボン酸、及びポリオキシアルキレン化アルキルアミドエーテルカルボン酸は、エチレンオキシド単位を2から50個、好ましくは2から10個、より好ましくは2から5個含む。これらの化合物に含まれるアルキル基は、一般的にはC
4〜C
30アルキル基、好ましくはC
6〜C
28アルキル基、より好ましくはC
8〜C
24アルキル基である。
【0044】
ポリオキシアルキレン化アルキルエーテルカルボン酸の非限定的な例は、オキシエチレン化(6EO)ラウリルエーテルカルボン酸及びオキシエチレン化(6EO)トリデシルエーテルカルボン酸である。アミドエーテルカルボン酸の非限定的な例は、ラウリルアミドエーテルカルボン酸(3EO)である。
【0045】
アルキルグリコールカルボン酸に含まれるアルキル基は、一般的にはC
4〜C
30アルキル基、好ましくはC
6〜C
28アルキル基、より好ましくはC
8〜C
24アルキル基である。アルキルグリコールカルボン酸の非限定的な例は、ラウリルグリコールカルボン酸である。
【0046】
N-アシルアミノ酸を構成することができるアミノ酸は、カルボン酸を含めたアミノ酸となり得る。アミノ酸は、グルタミン酸、アスパラギン酸、アラニン、リシン、サルコシン、及びそれらの混合物からなる群から一般的には選ぶことができる。
【0047】
N-アシルアミノ酸を構成することができるアシル基は、R'C=O[式中、R'は、10から30個の炭素原子、好ましくは12から22個の炭素原子、好ましくは14から22個の炭素原子、更に良好には16から20個の炭素原子を好ましくは含む、飽和若しくは不飽和の、直鎖状又は分枝状の炭化水素鎖を表す]によって表すことができる。アシル基は、ラウロイル基、ミリストイル基、ベヘノイル基、パルミトイル基、ステアロイル基、イソステアロイル基、オリボイル基、ココイル基又はオレオイル基、及びそれらの混合物からなる群から一般的に選ぶことができる。
【0048】
N-アシルアミノ酸の非限定的な例には、ココイルグルタミン酸、ラウロイルグルタミン酸、ミリストイルグルタミン酸、ステアロイルグルタミン酸、ラウロイルアスパラギン酸、ココイルアラニン、ラウロイルアラニン、ココイルサルコシン、ミリストイルサルコシン、ラウロイルサルコシン、パルミトイルサルコシン、及びラウロイルリシンが挙げられる。
【0049】
N-アシルアミノ酸には、それらの誘導体、例えば、N-アシルアルキル(C
1〜C
12)アミノ酸等が含まれる。N-アシルアルキル(C
1〜C
12)アミノ酸の非限定的な例には、ラウロイルメチル-β-アラニン及びミリストイルメチル-β-アラニンが挙げられる。
【0050】
好ましくは、N-アシルアミノ酸は、ココイルグルタミン酸、ココイルサルコシン、ラウロイルメチル-β-アラニン、及びミリストイルメチル-β-アラニンである。
【0051】
タンパク質の陰イオン性誘導体は、疎水性基を含むタンパク質加水分解物であり、前記疎水性基は、タンパク質中に天然に存在していること、又はタンパク質及び/又はタンパク質加水分解物の、疎水性化合物との反応により加えることが可能である。タンパク質は、植物起源又は絹由来であり、疎水性基は、特に、脂肪鎖、例えば10から22個の炭素原子を含むアルキル鎖となり得る。植物起源タンパク質の陰イオン性誘導体として更に特定して挙げることができるものは、10から22個の炭素原子を有するアルキル鎖を含む、リンゴ、コムギ、大豆又はエンバクタンパク質加水分解物及びそれらの塩である。アルキル鎖は、特にラウリル鎖であり得、塩はナトリウム塩、カリウム塩及び/又はアンモニウム塩であり得る。
【0052】
したがって、疎水基を含むタンパク質加水分解物として、例えば、タンパク質が、ラウリン酸によって改変された絹タンパク質であるタンパク質加水分解物;タンパク質がラウリン酸によって改変されたコムギタンパク質であるタンパク質加水分解物;タンパク質が10から22個の炭素原子を有するアルキル鎖を含むカラスムギタンパク質であるタンパク質加水分解物、更に詳細には、タンパク質がラウリン酸によって改変されたカラスムギタンパク質であるタンパク質加水分解物;又は10から22個の炭素原子を有するアルキル鎖を含むリンゴタンパク質加水分解物を挙げることができる。
【0053】
他のカルボン酸タイプの界面活性剤には、例えば、(C
8〜C
20)アシル乳酸及び(C
6〜C
30)アルキル-D-ガラクトシドウロン酸が含まれる。
【0054】
本発明に用いることができるスルホン酸タイプの界面活性剤としては、これらには限定されないが、(C
6〜C
30)アルキルスルホン酸、(C
6〜C
30)アルキルアミドスルホン酸、(C
6〜C
30)アルキルアリールスルホン酸、α-オレフィンスルホン酸、パラフィンスルホン酸、(C
6〜C
30)アルキルスルホコハク酸、(C
6〜C
30)アルキルエーテルスルホコハク酸、(C
6〜C
30)アルキルアミドスルホコハク酸、(C
6〜C
30)アルキルスルホ酢酸、(C
6〜C
30)アルキルポリグリコシドスルホコハク酸、(C
6〜C
24)アルキルイセチオン酸、N-[(C
6〜C
24)アシル]タウリン酸が挙げられる。
【0055】
本発明に用いることができる硫酸エステルタイプの界面活性剤としては、これらには限定されないが、(C
6〜C
30)アルキル硫酸、(C
6〜C
30)アルキルエーテル硫酸、(C
6〜C
30)アルキルアミドエーテル硫酸、アルキルアリールポリエーテル硫酸、及びモノグリセリド硫酸が挙げられる。
【0056】
本発明の一実施形態によれば、非中和型陰イオン性界面活性剤の量は、本発明による組成物の総質量に対して、0.01〜20質量%、好ましくは0.05〜10質量%、より好ましくは0.1〜7質量%の範囲となり得る。
【0057】
(b)非イオン性界面活性剤
本組成物は、少なくとも1種の非イオン性界面活性剤を含む。2種以上の非イオン性界面活性剤を組み合わせて用いてもよい。
【0058】
非イオン性界面活性剤は、それ自体よく知られている化合物である(この点に関して、例えば、「Handbook of Surfactants」M.R.Porter著、Blackie & Son publishers(Glasgow and London)、1991年、116〜178頁を参照のこと)。したがって、非イオン界面活性剤は、例えば、アルコール、α-ジオール、アルキルフェノール及び脂肪酸のエステルから選ぶことができ、これらの化合物は、エトキシル化、プロポキシル化又はグリセロール化されており、例えば8から30個の炭素原子を含む少なくとも1つの脂肪鎖を有し、エチレンオキシド又はプロピレンオキシド基の数が2から50の範囲であり、グリセロール基の数が1から30の範囲であることが可能である。マルトース誘導体を挙げることもできる。限定するものではないが、エチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドのコポリマー;エチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドの脂肪アルコールとの縮合物;例えば、エチレンオキシド2〜30モルを含むポリエトキシル化脂肪アミド;例えば、1.5から5個、例えば、1.5から4個等のグリセロール基を含む、ポリグリセロール化脂肪アミド;エチレンオキシド2〜30モルを含むソルビタンのエトキシル化脂肪酸エステル;植物起源のエトキシル化油;スクロースの脂肪酸エステル;ポリエチレングリコールの脂肪酸エステル;グリセロール(C
6〜C
24)アルキルポリグリコシドのポリエトキシル化脂肪酸モノ若しくはジエステル;N-(C
6〜C
24)アルキルグルカミン誘導体;(C
10〜C
14)アルキルアミンオキシド又はN-(C
10〜C
14)アシルアミノプロピルモルホリンオキシド等のアミンオキシド;シリコーン界面活性剤;及びそれらの混合物をやはり挙げることができる。
【0059】
非イオン性界面活性剤は、モノオキシアルキレン化、ポリオキシアルキレン化、モノグリセロール化若しくはポリグリセロール化非イオン性界面活性剤又はそれらの混合物から好ましくは選ぶことができる。オキシアルキレン単位は、より詳細にはオキシエチレン若しくはオキシプロピレン単位、又はこれらの組合せであり、好ましくはオキシエチレン単位である。
【0060】
挙げることができるモノオキシアルキレン化又はポリオキシアルキレン化非イオン性界面活性剤の例には、以下が含まれる。
モノオキシアルキレン化又はポリオキシアルキレン化(C
8〜C
24)アルキルフェノール、
飽和若しくは不飽和の、直鎖状又は分枝状のモノオキシアルキレン化又はポリオキシアルキレン化C
8〜C
30アルコール、
飽和若しくは不飽和の、直鎖状又は分枝状のモノオキシアルキレン化又はポリオキシアルキレン化C
8〜C
30アミド、
飽和若しくは不飽和の、直鎖状又は分枝状のC
8〜C
30酸及びポリアルキレングリコールのエステル、
飽和若しくは不飽和の、直鎖状又は分枝状のC
8〜C
30酸及びソルビトールのモノオキシアルキレン化又はポリオキシアルキレン化エステル、
飽和若しくは不飽和のモノオキシアルキレン化又はポリオキシアルキレン化植物油、
とりわけ単独の又は混合物としてのエチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドの縮合物。
【0061】
界面活性剤は、1から100の間、最も好ましくは2から50の間のモル数のエチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドを好ましくは含む。
【0062】
本発明の実施形態の一つによれば、ポリオキシアルキレン化非イオン性界面活性剤は、ポリオキシエチレン化脂肪アルコール(脂肪アルコールのポリエチレングリコールエーテル)及びポリオキシエチレン化脂肪エステル(脂肪酸のポリエチレングリコールエステル)から選ばれる。
【0063】
挙げることができるポリオキシエチレン化脂肪アルコール(又はC
8〜C
30アルコール)の例には、ラウリルアルコールとのエチレンオキシドの付加物、特に、9から50個のオキシエチレン単位を含むもの、より詳細には、10から12個のオキシエチレン単位を含むもの(CTFA名としてラウレス-10からラウレス-12)、ベヘニルアルコールとのエチレンオキシドの付加物、特に、9から50個のオキシエチレン単位を含むもの(CTFA名としてベヘネス-9からベヘネス-50)、セテアリルアルコール(セチルアルコールとステアリルアルコールの混合物)とのエチレンオキシドの付加物、特に、10から30個のオキシエチレン単位を含むもの(CTFA名としてセテアレス-10からセテアレス-30)、セチルアルコールとのエチレンオキシドの付加物、特に、10から30個のオキシエチレン単位を含むもの(CTFA名としてセテス-10からセテス-30)、ステアリルアルコールとのエチレンオキシドの付加物、特に、2から30個のオキシエチレン単位を含むもの(CTFA名としてステアレス-2からステアレス-30)、イソステアリルアルコールとのエチレンオキシドの付加物、特に、10個から50個のオキシエチレン単位を含むもの(CTFA名としてイソステアレス-10からイソステアレス-50)、及びそれらの混合物が含まれる。
【0064】
酸化プロピレン2〜50モルを含有するポリオキシアルキレン化脂肪アルコールの例として、PPG-15ステアリルエーテルを挙げることができる。
【0065】
モノグリセロール化又はポリグリセロール化非イオン性界面活性剤の例として、モノグリセロール化若しくはポリグリセロール化C
8〜C
40アルコールが好ましくは用いられる。
【0066】
特に、モノグリセロール化又はポリグリセロール化C
8〜C
40アルコールは、次式
【0067】
RO-[CH
2-CH(CH
2OH)-O]
m-H又はRO-[CH(CH
2OH)-CH
2O]
m-H
【0068】
[式中、Rは、直鎖状若しくは分枝状のC
8〜C
40、好ましくはC
8〜C
30アルキル基又はアルケニル基を表し、mは、1から30、好ましくは1.5から10の範囲の数を表す]に対応する。
【0069】
本発明との関連で適する化合物の例として、グリセロール4モルを含有するラウリルアルコール(INCI名:ポリグリセリル-4ラウリルエーテル)、グリセロール1.5モルを含有するラウリルアルコール、グリセロール4モルを含有するオレイルアルコール(INCI名:ポリグリセリル-4オレイルエーテル)、グリセロール2モルを含有するオレイルアルコール(INCI名:ポリグリセリル-2オレイルエーテル)、グリセロール2モルを含有するセテアリルアルコール、グリセロール6モルを含有するセテアリルアルコール、グリセロール6モルを含有するオレオセチルアルコール及びグリセロール6モルを含有するオクタデカノールを挙げることができる。
【0070】
mの値が統計値を表すのと同様のやり方で、アルコールはアルコールの混合物を表すことができ、これは、市販品において、複数種のポリグリセロール化脂肪アルコールが混合物の形態で共存し得ることを意味する。
【0071】
モノグリセロール化又はポリグリセロール化アルコールの中でも、グリセロール1モルを含有するC
8/C
10アルコール、グリセロール1モルを含有するC
10/C
12アルコール及び、グリセロール1.5モルを含有するC
12アルコールを用いることが好ましい。
【0072】
モノグリセロール化又はポリグリセロール化C
8〜C
40脂肪エステルは、次式
【0073】
R'O-[CH
2-CH(CH
2OR''')-O]
m-R''又はR'O-[CH(CH
2OR''')-CH
2O]
m-R''
【0074】
[式中、R'、R''及びR'''はそれぞれ独立に、水素原子、又は直鎖状若しくは分枝状のC
8〜C
40、好ましくはC
8〜C
30アルキル-CO-又はアルケニル-CO-基を表し、ただし、R'、R''及びR'''の少なくとも1つは、水素原子でなく、mは、1から30、好ましくは1.5から10までの数を表す]に対応することができる。
【0075】
挙げることができるポリオキシエチレン化脂肪エステルの例には、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸又はベヘン酸のエステルとのエチレンオキシドの付加物、並びにそれらの混合物、特に、9から100個のオキシエチレン単位を含むもの、例えばラウリン酸PEG-9からラウリン酸PEG-50(CTFA名として:ラウリン酸PEG-9からラウリン酸PEG-50);パルミチン酸PEG-9からパルミチン酸PEG-50(CTFA名としてパルミチン酸PEG-9からパルミチン酸PEG-50);ステアリン酸PEG-9からステアリン酸PEG-50(CTFA名としてステアリン酸PEG-9からステアリン酸PEG-50);パルミトステアリン酸PEG-9からパルミトステアリン酸PEG-50;ベヘン酸PEG-9からベヘン酸PEG-50(CTFA名としてベヘン酸PEG-9からベヘン酸PEG-50);モノステアリン酸ポリエチレングリコール100 EO(CTFA名:ステアリン酸PEG-100);及びそれらの混合物が含まれる。
【0076】
本発明による実施形態の一つによれば、非イオン性界面活性剤は、例えば、8から24個の炭素原子、好ましくは12から22個の炭素原子を含む飽和若しくは不飽和の鎖を有する脂肪酸とのポリオールのエステル、10から200個、より好ましくは10から100個のオキシアルキレン単位を好ましくは含むそれらのポリオキシアルキレン化誘導体、例えば、C
8〜C
24、好ましくはC
12〜C
22、脂肪酸若しくは酸のグリセリルエステル及び10から200個、より好ましくは10から100個のオキシアルキレン単位を好ましくは含むそれらのポリオキシアルキレン化誘導体;C
8〜C
24、好ましくはC
12〜C
22、脂肪酸のソルビトールエステル及び10から200個、より好ましくは10から100個のオキシアルキレン単位を好ましくは含むそれらのポリオキシアルキレン化誘導体;C
8〜C
24、好ましくはC
12〜C
22、脂肪酸の糖(スクロース、マルトース、グルコース、フルクトース、及び/又はアルキルグリコース(alkylglycose))エステル及び10から200個、より好ましくは10から100個のオキシアルキレン単位を好ましくは含むそれらのポリオキシアルキレン化誘導体;脂肪アルコールのエーテル;糖及びC
8〜C
24、好ましくはC
12〜C
22脂肪アルコールのエーテル;並びにそれらの混合物から選択することができる。
【0077】
脂肪酸のグリセリルエステルとして、ステアリン酸グリセリル(モノ-、ジ-及び/又はトリステアリン酸グリセリル)(CTFA名:ステアリン酸グリセリル)又はリシノレイン酸グリセリル及びそれらの混合物を挙げることができ、それらのポリオキシアルキレン化誘導体として、ポリオキシアルキレン化グリセロールとの脂肪酸のモノ-、ジ-若しくはトリエステル(グリセロールのポリアルキレングリコールエーテルとの脂肪酸のモノ-、ジ-若しくはトリエステル)、好ましくはポリオキシエチレン化ステアリン酸グリセリル(モノ-、ジ-及び/又はトリステアリン酸)、例えば、ステアリン酸PEG-20グリセリル(モノ-、ジ-及び/又はトリステアリン酸)等を挙げることができる。
【0078】
これら界面活性剤の混合物、例えば、ARLACEL 165という名称でUniqema社によって市販されている、ステアリン酸グリセリル及びステアリン酸PEG-100を含む製品、並びにTEGINという名称でGoldschmidt社によって市販されている、ステアリン酸グリセリル(モノ-及びジステアリン酸グリセリル)及びステアリン酸カリウムを含む製品(CTFA名:ステアリン酸グリセリル SE)等も用いることができる。
【0079】
C
8〜C
24脂肪酸のソルビトールエステル及びそれらのポリオキシアルキレン化誘導体は、パルミチン酸ソルビタン、イソステアリン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン並びに脂肪酸及び例えば、20から100 EOを含有するアルコキシル化ソルビタンのエステル、例えば、ICI社によって、Span 60という名称で販売されているモノステアリン酸ソルビタン(CTFA名:ステアリン酸ソルビタン)、ICI社によってSpan 40という名称で販売されているモノパルミチン酸ソルビタン(CTFA名:パルミチン酸ソルビタン)、及びICI社によってTween 65という名称で販売されているトリステアリン酸ソルビタン20 EO(CTFA名:ポリソルベート 65)、ポリエチレントリオレイン酸ソルビタン(ポリソルベート 85)又はUniqema社によってTween 20又はTween 60という商品名で市販されている化合物から選択することができる。
【0080】
脂肪酸及びグルコース又はアルキルグルコースのエステルとして、パルミチン酸グルコース、セスキステアリン酸アルキルグルコース、例えば、セスキステアリン酸メチルグルコース等、アルキルパルミチン酸グルコース、例えば、メチルグルコース又はパルミチン酸エチルグルコース、メチルグルコシド脂肪エステル、メチルグルコシド及びオレイン酸のジエステル(CTFA名:ジオレイン酸メチルグルコース)、メチルグルコシド及びオレイン酸/ヒドロキシステアリン酸の混合物の混合エステル(CTFA名:ジオレイン酸/ヒドロキシステアリン酸メチルグルコース)、メチルグルコシド及びイソステアリン酸のエステル(CTFA名:イソステアリン酸メチルグルコース)、メチルグルコシド及びラウリン酸のエステル(CTFA名:ラウリン酸メチルグルコース)、メチルグルコシド及びイソステアリン酸のモノエステル及びジエステルの混合物(CTFA名:セスキイソステアリン酸メチルグルコース)、メチルグルコシド及びステアリン酸のモノエステル及びジエステルの混合物(CTFA名:セスキステアリン酸メチルグルコース)、特に、AMERCHOL社によってGlucate SSという名称で市販されている製品、及びそれらの混合物を挙げることができる。
【0081】
脂肪酸及びグルコース又はアルキルグルコースのエトキシル化エーテルとして、例えば、脂肪酸及びメチルグルコースのエトキシル化エーテル、特に、メチルグルコース及びステアリン酸のジエステルのエチレンオキシド約20モルとのポリエチレングリコールエーテル(CTFA名:ジステアリン酸PEG-20メチルグルコース)、例えば、AMERCHOL社によってジステアリン酸Glucam E-20という名称で市販されている製品、メチル-グルコース及びステアリン酸のモノエステル及びジエステルのエチレンオキシド約20モルとの混合物のポリエチレングリコールエーテル(CTFA名:セスキステアリン酸PEG-20メチルグルコース)、特に、AMERCHOL社によってGlucamate SSE-20という名称で市販されている製品及びGOLDSCHMIDT社によってGrillocose PSE-20という名称で市販されているもの、並びにそれらの混合物を挙げることができる。
【0082】
スクロースエステルとして、例えば、パルミト-ステアリン酸サッカロース、ステアリン酸サッカロース及びモノラウリン酸サッカロースを挙げることができる。
【0083】
糖エーテルとして、アルキルポリグルコシドを用いることができ、例えば、MYDOL 10という名称でKao Chemicals社によって市販されている製品、PLANTAREN 2000という名称でHenkel社によって市販されている製品、及びORAMIX NS 10という名称でSeppic社によって市販されている製品等のデシルグルコシド、ORAMIX CG 110という名称でSeppic社によって又はLUTENSOL GD 70という名称でBASF社によって市販されている製品等のカプリリル/カプリルグルコシド、PLANTAREN 1200 N及びPLANTACARE 1200という名称でHenkel社によって市販されている製品等のラウリルグルコシド、PLANTACARE 818/UPという名称でHenkel社によって市販されている製品等のココ-グルコシド、セトステアリルアルコールと場合によって混合されているセトステアリルグルコシドで、例えばMONTANOV 68という名称でSeppic社によって、TEGO-CARE CG90という名称でGoldschmidt社によって、及びEMULGADE KE3302という名称でHenkel社によって市販されているもの、アラキジルグルコシド、例えばアラキジル及びベヘニルアルコール及びアラキジルグルコシドの混合物の形態でMONTANOV 202という名称でSeppic社によって市販されているもの、ココイルエチルグルコシド、例えばセチル及びステアリルアルコールとの混合物(35/65)の形態でMONTANOV 82という名称でSeppic社によって市販されているもの、並びにこれらの混合物を特に挙げることができる。
【0084】
アルコキシル化植物油のグリセリドの混合物、例えば、エトキシル化(200 EO)パーム及びコプラ(7 EO)グリセリドの混合物等も挙げることができる。
【0085】
本発明による非イオン性界面活性剤は、アルケニル又は分枝状C
12〜C
22アシル鎖、例えば、オレイル若しくはイソステアリル基を好ましくは含有する。より好ましくは、本発明による非イオン性界面活性剤は、トリイソステアリン酸PEG-20グリセリルである。
【0086】
本発明による実施形態の一つによれば、非イオン性界面活性剤は、エチレンオキシド及びプロピレンオキシドのコポリマー、特に、次式
【0087】
HO(C
2H
4O)
a(C
3H
6O)
b(C
2H
4O)
cH
【0088】
(式中、a、b及びcは、a+cが2から100までの範囲であり、bは、14から60までの範囲であるような整数である)のコポリマー及びそれらの混合物から選択することができる。
【0089】
本発明による実施形態の一つによれば、非イオン性界面活性剤は、シリコーン界面活性剤から選択することができる。US-A-5364633及びUS-A-5411744の文献に開示されたものを限定せずに挙げることができる。
【0092】
[式中、
R
1、R
2及びR
3は、互いに独立に、C
1〜C
6アルキル基又は-(CH
2)
x-(OCH
2CH
2)
y-(OCH
2CH
2CH
2)
z-OR
4基を表し、少なくとも1つのR
1、R
2又はR
3基はアルキル基ではなく、R
4は、水素、アルキル基又はアシル基であり、
Aは、0から200の範囲の整数であり、
Bは、0から50の範囲の整数であり、ただし、A及びBは同時に0に等しくなく、
xは、1から6の範囲の整数であり、
yは、1から30の範囲の整数であり、
zは、0から5の範囲の整数である]の化合物に好ましくはなり得る。
【0093】
本発明の好ましい一実施形態によれば、式(I)の化合物において、アルキル基はメチル基であり、xは2から6の範囲の整数であり、yは4から30の範囲の整数である。
【0094】
式(I)のシリコーン界面活性剤の例として、式(II)
【0096】
(式中、Aは、20から105の範囲の整数であり、Bは、2から10の範囲の整数であり、yは、10から20の範囲の整数である)の化合物を挙げることができる。
【0097】
式(I)のシリコーン界面活性剤の例として、式(III)
【0098】
H-(OCH
2CH
2)
y-(CH
2)
3-[(CH
3)
2SiO]
A'-(CH
2)
3-(OCH
2CH
2)
y-OH (III)
【0099】
(式中、A'及びyは、10から20の範囲の整数である)の化合物も挙げることができる。
【0100】
用いることができる本発明の化合物は、Dow Corning社によってDC5329、DC7439-146、DC2-5695及びQ4-3667という名称で販売されているものである。化合物DC5329、DC7439-146、及びDC2-5695は式(II)の化合物であり、式中、それぞれDC5329は、Aが22、Bが2、yが12であり、DC7439-146は、Aが103、Bが10、yが12であり、DC2-5695は、Aが27、Bが3、yが12である。
【0101】
化合物Q4-3667は、Aが15であり、yが13である、式(III)の化合物である。
【0102】
非イオン性界面活性剤のHLBは、好ましくは8から13、より好ましくは9から12、更により好ましくは10から11である。2種以上の非イオン性界面活性剤を用いる場合、HLB値は、全非イオン性界面活性剤のHLB値の質量平均によって決定される。HLBは、分子中の親水性部分と親油性部分との間の比である。この用語HLBは、当業者に周知であり、「The HLB system. A time-saving guide to emulsifier selection」(ICI Americas Inc.により出版、1984年)に記載されている。非イオン性界面活性剤のHLBが8より低い場合、洗い流した後に油っぽい感じが残るはずである。非イオン性界面活性剤のHLBが13よりも高い場合、本組成物の除去可能性が更に悪くなるはずである。
【0103】
本発明の一実施形態によれば、非イオン性界面活性剤の量は、本発明による組成物の総質量に対して、0.1〜20質量%、好ましくは0.5〜10質量%、より好ましくは1〜7質量%の範囲となり得る。
【0104】
(c)脂肪アルコール
本明細書において、用語「脂肪の」とは、比較的多数の炭素原子が含まれることを意味する。そのため、6個以上、好ましくは8個以上、より好ましくは10個以上の炭素原子を有するアルコールは、脂肪アルコールの範囲内に包含される。脂肪アルコールは、飽和でも不飽和でもよい。脂肪アルコールは、直鎖状でも分枝状でもよい。2種以上の脂肪アルコールを組み合わせて用いることができる。
【0105】
脂肪アルコールは、構造R-OH(式中、Rは、8から40個の炭素原子、例えば8から30個の炭素原子を含む、飽和及び不飽和の、直鎖状及び分枝状の基から選ばれる)を有することができる。少なくとも一実施形態では、Rは、C
12〜C
24アルキル基及びC
12〜C
24アルケニル基から選ばれる。Rは、少なくとも1つのヒドロキシル基で置換されていてもよく、置換されていなくてもよい。
【0106】
挙げることができる脂肪アルコールの非限定的な例としては、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、ベヘニルアルコール、リノレイルアルコール、ウンデシレニルアルコール、パルミトレイルアルコール、アラキドニルアルコール、エルシルアルコール、セテアリルアルコール及びそれらの混合物が挙げられる。
【0107】
適当な脂肪アルコールの例としては、これらに限定されないが、セチルアルコール、セテアリルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、オレイルアルコール及びそれらの混合物が挙げられる。
【0108】
脂肪アルコールは、脂肪アルコールの混合物を表すこともでき、これは、数種の脂肪アルコールが市販製品において混合物の形態で共存し得ることを意味する。
【0109】
少なくとも一実施形態によれば、本発明による組成物に用いられる脂肪アルコールは、セチルアルコール及びセテアリルアルコールから選ばれる。
【0110】
本発明の一実施形態によれば、脂肪アルコールの量は、本発明による組成物の総質量に対して、0.1〜40質量%、好ましくは0.5〜30質量%、より好ましくは1〜20質量%の範囲となり得る。
【0111】
(d)アルカリ剤
アルカリ剤は、無機アルカリ剤となり得る。無機アルカリ剤は、アンモニア;アルカリ金属水酸化物;アルカリ土類金属水酸化物;アルカリ金属リン酸塩及びリン酸一水素塩、例えば、リン酸ナトリウム又はリン酸一水素ナトリウム;水酸化アンモニウム;及び炭酸水素アンモニウムからなる群から選択されることが好ましい。2種以上のアルカリ剤を用いることができる。
【0112】
アルカリ金属水酸化物の例として、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムを挙げることができる。アルカリ土類金属水酸化物の例として、水酸化カルシウム及び水酸化マグネシウムを挙げることができる。無機アルカリ剤として、水酸化ナトリウム、水酸化アンモニウム、アンモニア、及び炭酸水素アンモニウムが好ましい。
【0113】
アルカリ剤は、有機アルカリ剤となり得る。有機アルカリ剤は、モノアミン及びそれらの誘導体;ジアミン及びそれらの誘導体;ポリアミン及びそれらの誘導体;塩基性アミノ酸及びそれらの誘導体;塩基性アミノ酸とそれらの誘導体とのオリゴマー;塩基性アミノ酸とそれらの誘導体とのポリマー;尿素及びそれらの誘導体;並びにグアニジン及びその誘導体からなる群から選択されることが好ましい。
【0114】
有機アルカリ剤の例として、モノ、ジ及びトリエタノールアミン並びにイソプロパノールアミン等のアルカノールアミン;尿素、グアニジン及びそれらの誘導体;リジン、オルニチン又はアルギニン等の塩基性アミノ酸;並びに1,3-プロパンジアミン及びそれらの誘導体によって例示することができる、ジアミン、例えば、下記の構造:
【0116】
[式中、
Rは、ヒドロキシル又はC
1〜C
4アルキル基によって場合によって置換されている、アルキレン例えばプロピレンを表し、R
1、R
2、R
3及びR
4は、独立に、水素原子、アルキル基又はC
1〜C
4ヒドロキシアルキル基を表す]に記載されるものを挙げることができる。アルギニン、尿素及びモノエタノールアミンが好ましい。
【0117】
好ましくは、アルカリ剤には、その安全性及び性能、例えば、毛髪着色性能及び毛髪パーマネントウエーブ性能により、アンモニアが含まれる。別のアルカリ剤をアンモニアと混合してもよい。
【0118】
アルカリ剤は、混合物のpH値をアルカリpHに変えることができる。本発明による得られた組成物のpH値は、一般に、例えば7から12、好ましくは8から11、より好ましくは9から11である。
【0119】
本発明の一実施形態によれば、アルカリ剤の量は、本発明による組成物の総質量に対して、0.01〜20質量%、好ましくは0.05〜10質量%、より好ましくは0.1〜7質量%の範囲となり得る。
【0120】
(e)他の成分
本発明による組成物は、ケラチン繊維のための化粧用組成物に通常用いられる他の成分、特に、ケラチン繊維を着色するための毛髪染色剤(hair dyeing agent)又はケラチン繊維をリシェイプするための毛髪のパーマネントウエーブ剤を含むことができる。他の成分としては、これらには限定されないが、油、水、酸化染料、直接染料、還元剤、及び様々なアジュバントが挙げられる。
【0121】
本明細書において、用語「油」とは、常温(25℃)及び大気圧(760mmHg)において水に不溶(5%未満、好ましくは1%未満、更により優先的には0.1%未満の溶解度)である有機化合物を意味する。更に、油は、同じ温度及び圧力条件下で、有機溶媒、例えば、クロロホルム、エタノール又はベンゼンに可溶である。更に詳細には、油は、室温及び大気圧において液体又はペースト状である化合物から選ばれる。好ましくは、油は、25℃の温度及び大気圧において液体である化合物である。本発明の目的では、用語「油」は、脂肪酸を含まない。
【0122】
用いることができる油の例は、非シリコーン脂肪物質、例えば、アルカン、脂肪アルコール、脂肪酸エステル、脂肪アルコールエステル、流動パラフィン、鉱油、植物油、動物油、合成油、非シリコーンワックス及びシリコーンが含まれる。
【0123】
油の量は、本発明による組成物の全質量に対して、0.1〜30質量%、好ましくは2〜25質量%となり得る。
【0124】
酸化染料は、1種若しくは複数のカプラーと場合によって組み合わせた1種又は複数の酸化ベースから一般に選ばれる。例えば、酸化ベースは、パラ-フェニレンジアミン、ビス(フェニル)アルキレンジアミン、パラ-アミノフェノール、オルト-アミノフェノール、及び複素環式ベース、例えば、ピリジン誘導体、ピリミジン誘導体及びピラゾール誘導体並びにそれらの付加塩から選ばれる。用いることができるカプラーには、これらには限定されないが、メタ-フェニレンジアミン、メタ-アミノフェノール、メタ-ジフェノール、レソルシノール、2-メチル-5-ヒドロキシエチルアミノフェノール、4-アミノ-2-ヒドロキシトルエン、ナフタレンに基づいたカプラー及び複素環式カプラー、またそれらの付加塩が挙げられる。
【0125】
酸化染料の量は、組成物の総質量に対して、0.0001〜10質量%、好ましくは0.005〜5質量%となり得る。カップラーの含有量は、それ(それら)が存在する場合には、有利には、本発明による組成物の総質量に対して、0.0001〜10質量%、好ましくは0.005〜5質量%を表す。
【0126】
本発明による組成物において用いることができる直接染料は、ニトロベンゼン染料、アゾ直接染料、及びメタン直接染料を含むことができる。これらの直接染料は、性質上非イオン性又はアニオン性又はカチオン性となり得る。直接染料は、組み合わせて用いてもよい。
【0127】
直接染料の量は、本発明による組成物の全質量に対して、0.0005〜12質量%、好ましくは0.005〜6質量%となり得る。
【0128】
本発明による組成物において用いることができる還元剤としては、硫黄化化合物(sulfured compound)、例えば、チオール、スルファイト(sufite)及びハイドロサルファイト等、並びに非硫黄化化合物、例えば、レダクトン、特にアスコルビン酸及びエリソルビン酸及びそれらの塩が挙げられる。
【0129】
1種又は複数の還元剤は、存在する場合、本発明による組成物の総質量に対して、0.0005質量%〜20質量%、好ましくは0.05質量%〜10質量%となり得る。
【0130】
アジュバントは、毛髪化粧用組成物において従来の方法で用いられるアジュバントであり得る。アジュバントの例には、陰イオン性、陽イオン性、非イオン性、両性若しくは両イオン性コポリマー、又はそれらの混合物;鉱物性増粘剤(mineral thickener)、特に、充填材、例えば、クレイ、タルク;特に、陰イオン性、陽イオン性、非イオン性、及び両性ポリマー結合性(polymeric associative)増粘剤による有機増粘剤;浸透剤;イオン性界面活性剤、例えば、陽イオン性、陰イオン性、両イオン性界面活性剤;金属イオン封鎖剤、例えば、EDTA及びペンテト酸5ナトリウム;香料;分散剤;被膜剤;セラミド;保存剤;酸化防止剤、例えば、メタ重亜硫酸ナトリウム;乳白剤;並びにポリオール、例えば、ソルビトール及びPEG-20が挙げられる。
【0131】
上記アジュバントはそれぞれ、本発明による組成物の質量に対して0.01質量%〜20質量%の間の量で一般に存在する。
【0132】
本発明はまた、25℃での粘度が3Pas以上であるケラチン繊維用組成物に関する。粘度は、周知の方法によって、例えば、Rheomat 180粘度計(Rheometric Scientific社)を用いて測定することができる。
【0133】
一実施形態では、本発明による組成物は、エマルションの形態である。エマルションは、(a)の非中和型陰イオン性界面活性剤、(b)の非イオン性界面活性剤、及び(c)の脂肪アルコールを含む油相、並びに水性相を含み得る。有利には、本発明による組成物は、ゲル又はクリームの形態である。
【0134】
エマルション中の水性相は、本質的に水から成り得る、又は1から5個の炭素原子を有するモノアルコール、例えば、エタノール又はイソプロパノール、2〜8個の炭素原子を有するグリコール、例えば、プロピレングリコール、エチレングリコール、1,3-ブチレングリコール又はジプロピレングリコール、C
3〜C
4ケトン、C
2〜C
4アルデヒド、並びにそれらの混合物から選ばれる水及び水混和性溶媒の混合物を含むことができる。
【0135】
本発明のこの実施形態によれば、水性相の量は、本発明による組成物の総質量に対して、1〜90質量%、好ましくは2〜85質量%、より好ましくは3〜80質量%の範囲となり得る。
【0136】
本発明による組成物のpH値は、一般に、例えば、6から12である。このpH値は、7から11、好ましくは8から11、より好ましくは9から11の範囲となり得る。
【0137】
本発明による組成物によってそのアンモニア臭を減らすことが可能になるメカニズムは、現時点ではあまり明らかでないが、本発明において、組成物中でアルカリ剤を捕捉する効果が生じていることが想定される。詳細には、アルカリ剤を加える前の組成物は、ラメラ構造からなるエマルション形態であると想定され、アルカリ剤を加えた後、アルカリ剤及び水がラメラ構造間に深く浸透すると想定される。したがって、アルカリ剤はラメラ構造間で捕捉され得ると想定される。
【0138】
本組成物は、毛髪等のケラチン繊維のための美容処置法のために用いることができる。例えば、本発明による組成物は、ケラチン繊維を着色又はケラチン繊維をリシェイプ(再成形)するために用いることができる。
【0139】
本発明による組成物は、その不快なアンモニア臭を抑えることができる。詳細には、本組成物は、本組成物が酸化染毛剤又は毛髪脱色剤(すなわち、顕色剤)と混合するときに生じ得る不快なアンモニア臭を抑えることができる。
【0140】
本組成物が、ケラチン繊維を染色するために用いられるとき、ケラチン繊維の着色過程は、最初に、本発明による組成物を1種又は複数の酸化剤を含む顕色剤(デベロッパー)と混合することにより行うことができる。本発明による組成物対顕色剤の混合比は、1:1から1:3、好ましくは1:1から1:2.5となり得る。
【0141】
更に詳細には、酸化剤は、過酸化水素、過酸化尿素、臭素酸アルカリ金属又はフェリシアン化物、及び過酸化塩、例えば、アルカリ金属又はアルカリ土類金属過硫化塩、アルカリ金属又はアルカリ土類金属過ホウ酸塩及びアルカリ金属又はアルカリ土類金属過炭酸塩、並びにこれらの過酸及び前駆物質から選ばれる。
【0142】
酸化剤は、特に水溶液(過酸化水素水溶液)としての過酸化水素により、有利には構成され、その濃度は1〜50質量%、好ましくは5〜40質量%の範囲となり得る。
【0143】
明色化の所望の程度に応じて、顕色剤はまた、過酸化塩から好ましくは選ばれる酸化剤を含むこともできる。
【0144】
顕色剤は、水性であっても非水性であってもよい。用語「水性」とは、顕色剤が、水5質量%超、好ましくは水10質量%超、更により有利には水20質量%超を含むことを意味する。
【0145】
通常、顕色剤のpHは、水性である場合、7未満である。
【0146】
顕色剤はまた、本分野において従来の方法で用いられる他の成分、特に本発明による組成物に関連して先に詳述した成分を含有することもできる。
【0147】
顕色剤は、様々な形態、例えば、溶液、エマルション又はゲルである。
【0148】
次に、本発明による組成物及び顕色剤の混合物を毛髪等のケラチン繊維に塗布し、適切な処理時間後に洗い流す。結果として、毛髪等のケラチン繊維は着色又は脱色され得る。
【0149】
一方、本発明に従ってケラチン繊維をリシェイプするための組成物は、一般的に、ケラチン繊維中のジスルフィド結合を切断するために、チオグリコール酸等の還元剤を含有する。本発明に従ってケラチン繊維をリシェイプするための組成物はまた、前述の通り様々なアジュバントを含有することもできる。一般に、上記アジュバントはそれぞれ、本発明による組成物の質量に対して0.01質量%〜20質量%の間の量で存在する。
【0150】
本発明に基づきケラチン繊維をリシェイプする過程は、次の通り実施することもできる。
【0151】
まず、変形のために機械的張力をケラチン繊維にかける。所期の形状にケラチン繊維を変形させるための任意の手段により、ケラチン繊維に機械的張力を加えることができる。例えば、機械的張力は、カーラー、ローラー、プレート及びアイロンからなる群から選択される少なくとも1つのリシェイプ手段により与えることができる。リシェイプ手段は、少なくとも1種のヒーターを含むことができる。
【0152】
次に、本発明に従ってケラチン繊維をリシェイプするための組成物をケラチン繊維に塗布する。したがって、ケラチン繊維中のジスルフィド結合は切断される。本組成物の塗布は、任意の手段、例えばブラシ及びくし等により行うことができる。機械的張力を加えられたケラチン繊維は、本組成物を用いて処理するべきである。
【0153】
次に、上記に記載した通り1種又は複数の酸化剤を含む酸化組成物をケラチン繊維に塗布してジスルフィド結合を再び形成させる。結果として、毛髪等のケラチン繊維は、リシェイプすることができる。
【0154】
本発明による化粧用組成物をケラチン繊維に塗布する工程の後及び/又はケラチン繊維を加熱する工程の後に、ケラチン繊維をすすぐことができる。
【0155】
必要に応じて、ケラチン繊維に機械的張力を加える前及び/又は加えている間に、本発明による組成物をケラチン繊維に塗布してもよい。
【0156】
(II)組成物を調製するための方法
本発明の他の態様は、(i)(a)の少なくとも1種の非中和型陰イオン性界面活性剤、(b)の少なくとも1種の非イオン性界面活性剤及び(c)の少なくとも1種の脂肪アルコールを混合して油相を調製する工程と、(ii)工程(i)で得られた油相を水性相と混合してエマルションを調製する工程と、(iii)(d)の少なくとも1種のアルカリ剤を工程(ii)で得られたエマルションに加える工程とを含む、ケラチン繊維、例えば、毛髪用組成物を調製するための方法に関する。
【0157】
本発明による方法は、本発明による組成物を調製するための方法である。一般に、本組成物は、(a)の少なくとも1種の非中和型陰イオン性界面活性剤、(b)の少なくとも1種の非イオン性界面活性剤、(c)の少なくとも1種の脂肪アルコール;及び(d)の少なくとも1種のアルカリ剤を混合することにより調製される。好ましくは、最初に成分(a)から(c)が混合され、次いで、成分(d)が混合される。
【0158】
本発明の方法によれば、これによって、アンモニア臭が減少した、ケラチン繊維用、例えば、毛髪用組成物を生成することができる。更に、本発明による方法によって、その粘度の増加によって安定性が改善されている組成物を生成し得ることを驚くべきことに見出した。したがって、得られた組成物は、容易に混合し塗布され、特に、塗布した時点で流れず留まったままである。
【0159】
工程(i)は、(a)の少なくとも1種の非中和型陰イオン性界面活性剤、(b)の少なくとも1種の非イオン性界面活性剤及び(c)の少なくとも1種の脂肪アルコールを混合して油相を調製する工程である。
【0160】
工程(i)中の温度は制限されないが、好ましくは、工程(i)は、40〜95℃、好ましくは50〜85℃の温度で行うことができる。
【0161】
工程(ii)は、工程(i)で得られた油相と水性相を混合してエマルションを調製する工程である。
【0162】
工程(ii)中の温度は制限されないが、好ましくは、工程(ii)は、40〜95℃、好ましくは50〜85℃の温度で行うことができる。
【0163】
工程(ii)におけるエマルションのpH値は、9.5未満、好ましくは9.0未満、より好ましくは8.0未満、更に好ましくは7.0未満、最も好ましくは7.0未満となり得る。
【0164】
工程(iii)は、(d)の少なくとも1種のアルカリ剤を工程(ii)で得られたエマルションに加える工程である。
【0165】
工程(iii)中の温度は制限されないが、好ましくは、工程(iii)は、0℃超〜40℃、好ましくは10〜30℃の温度で行うことができる。
【0166】
したがって、成分(a)から(d)以外の他の成分は、工程(i)から(iii)の前、工程(i)から(iii)の間又は工程(i)から(iii)の後に加えることができる。油相、例えば、油、コポリマー、及び有機増粘剤に、例えば、分散することができる、溶解することができる、又は混和性となり得る他の成分は、工程(i)の間に油相に加えることができる。水性相に分散することができる、溶解することができ、又は混和性となり得る他の成分は、工程(ii)において水性相と共に加えることができる。他の成分の中でも、特に、感熱性成分は、アルカリ剤を加える場合、0℃超〜40℃の温度でエマルションに加えることができる。
【0167】
本発明による方法によって安定した組成物を生成することが可能になるメカニズムは、現時点ではあまり明らかでない。しかしながら、前述した本発明による組成物のアルカリ剤-捕捉効果のメカニズムと同じ方式で、エマルションのラメラ構造間のアルカリ剤の浸透によって、組成物の構造化された連続相を生成することができると想定できる。したがって、本発明による方法によって、粘度が増加した、安定した組成物を生成することができると想定できる。
【実施例】
【0168】
本発明を、実施例によってより詳細に記述するが、これによって本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【0169】
(I)におい嗅ぎ試験(スニフテスト)及び粘度における比較
実施例1から8及び比較例1から4による組成物を、表1から3に示す成分を混合することにより調製した。これらの例において、表に示す成分の量についての数値は、すべて「質量%」に基づく。
【0170】
[調製プロトコール]
(i)(a)非中和型陰イオン性界面活性剤(本発明)又は(a')中和された陰イオン性界面活性剤(比較)、(b)非イオン性界面活性剤、(c)脂肪アルコール、及び鉱油を、80℃で混合して油相を調製した。
(ii)工程(i)で得られた油相を、水、ソルビトール、ペンテト酸5ナトリウム、エリソルビン酸、メタ重亜硫酸ナトリウム、p-フェニレンジアミン、p-アミノフェノール、レソルシノール、m-アミノフェノール、2-メチル-5-ヒドロキシエチルアミノフェノール、及び4-アミノ-2-ヒドロキシトルエンと80℃で混合して、エマルションを調製した。
(iii)(d)アルカリ剤及び香料を、工程(ii)で得られたエマルションに加え、得られた混合物を室温(25℃)で混合した。
【0171】
これらの例において次の成分を用いた。
(a)ラウレス-5カルボン酸(Akypo RLM 45 CA、Kao社)
(a)ココイルグルタミン酸(Aminosurfact CCA、Asahi Kasei Chemicals社)
(a)ラウロイルメチルβ-アラニン(Alanon ALA、Kawaken Fine Chemicals社)
(a)ミリストイルメチルβ-アラニン(Alanon AMA、Kawaken Fine Chemicals社)
(a)ココイルサルコシン(Soypon SCA、Kawaken Fine Chemicals社)
(b)ステアレス-2(Brij S2、Croda社)
(b)ステアレス-20 (Brij S20、Croda社)
(b)セテス-10 (Brij C10、Croda社)
(b)PPG-15ステアリルエーテル(Arlamol PS15E-LQ-(RB)、Croda社)
【0172】
【表1】
【0173】
【表2】
【0174】
【表3】
【0175】
[評価]
実施例1から8及び比較例1から4の各組成物について、アンモニアの蒸発をにおい嗅ぎ試験によって評価し、組成物の安定性をその粘度によって次の通り評価した。
【0176】
(におい嗅ぎ試験)
実施例1から8及び比較例1から4の得られた各組成物を、質量比1:1で顕色剤A組成物と混合した。顕色剤Aの構成成分を表4に示す。
【0177】
【表4】
【0178】
判定員5名は、混合物を直接嗅ぐことにより官能検査を行い、次の基準に従って採点した。
【0179】
1 :アンモニア臭は非常に弱い
2 :アンモニア臭は弱い
3 :アンモニア臭は中程度である
4 :アンモニア臭は強い
5 :アンモニア臭は非常に強い
【0180】
(粘度)
実施例1から8及び比較例1から4の得られた各組成物自体の粘度を、25℃で200rpmでNo.4のスピンドルを有するRheomat 180粘度計(Rheometric Scientific社)を用いることにより測定した。粘度の測定を、スピンドルの回転を開始した時間から30秒後に行い、増粘を、次の基準に従って採点した。
【0181】
A:>7Pas、安定性のある増粘した組成物
B:3から7Pas、比較的安定性のある増粘した組成物であり、実用上の問題なし
C:<3Pas、安定性がない増粘した組成物
【0182】
これらの評価の結果を表5に示す。
【0183】
【表5】
【0184】
表5に示した通り、(a)非中和型陰イオン性界面活性剤を含む実施例1から8は、大幅に減少した又は許容されるアンモニア臭及びその粘度の増加による安定性の改善を示す。それに対して、(a)非中和型陰イオン性界面活性剤を含まない比較例1から3は、強いアンモニア臭を生じ、安定性を示さない。(a)非中和型陰イオン性界面活性剤を含まず、陽イオン性界面活性剤を含む比較例4は、優れた粘度を示すが、比較例1から3と同じように不快なアンモニア臭を生じる。
【0185】
(II)化学発光試験での比較
実施例9及び比較例5による組成物を、表6に示す成分を混合することによって調製した。
【0186】
[調製プロトコール]
(i)(a)非中和型陰イオン性界面活性剤(本発明)又は(a')リン酸界面活性剤(比較)、(b)非イオン性界面活性剤、(c)脂肪アルコール、及び鉱油を、80℃で混合して油相を調製した。
(ii)工程(i)で得られた油相を、水、PEG-20、EDTA、アスコルビン酸、メタ重亜硫酸ナトリウム、及び塩化ヘキサジメスリン(比較のみ)と80℃で混合してエマルションを調製した。
(iii)(d)アルカリ剤を、工程(ii)で得られたエマルションに加え、得られた混合物を、室温(25℃)で混合した。
【0187】
【表6】
【0188】
[評価]
実施例9及び比較例5の各組成物について、アンモニアの蒸発を、化学発光試験によって次の通り評価した。
【0189】
(化学発光試験)
実施例9及び比較例5のそれぞれ得られた組成物を、質量比1:1で顕色剤B組成物と混合した。顕色剤Bの構成成分を表7に示す。
【0190】
【表7】
【0191】
混合物から蒸発したアンモニアの濃度を、化学発光検知システム(Eco Physics AG社、Switzerlandによる、CLD 822 CMI、N=5)を用いることにより測定した。
【0192】
これらの結果を表8に示す。
【0193】
【表8】
【0194】
表8に示す通り、(a)非中和型陰イオン性界面活性剤を含む実施例9は、アンモニアの放出を抑制する。それに対して、(a')リン酸界面活性剤を0.2%超含む比較例5は、実施例9よりも更に多くのアンモニアを生じる。
【0195】
(III)製造方法における比較
異なる製造方法から生成した本発明による組成物を、同じ構成成分に基づいて比較した。
【0196】
これらの例に用いられる組成物の成分を表9に示す。
【0197】
【表9】
【0198】
製造例1を、以下の調製プロトコール(i)に従って行った。
【0199】
[調製プロトコール(i)]
(i)(a)非中和型陰イオン性界面活性剤、(b)非イオン性界面活性剤、(c)脂肪アルコール、及び鉱油を、80℃で混合して油相を調製した。
(ii)工程(i)で得られた油相を、水、ソルビトール、ペンテト酸5ナトリウム、エリソルビン酸、メタ重亜硫酸ナトリウム、p-フェニレンジアミン、p-アミノフェノール、レソルシノール、m-アミノフェノール、2-メチル-5-ヒドロキシエチルアミノフェノール、及び4-アミノ-2-ヒドロキシトルエンと80℃で混合して、エマルションを調製した。
(iii)(d1)エタノールアミン、(d2)アンモニア、及び香料を、工程(ii)で得られたエマルションに加え、得られた混合物を室温(25℃)で混合した。
【0200】
製造例2を、以下の調製プロトコール(ii)に従って行った。
【0201】
[調製プロトコール(ii)]
(i)(a)非中和型陰イオン性界面活性剤、(b)非イオン性界面活性剤、(c)脂肪アルコール、及び鉱油を、80℃で混合して油相を調製した。
(ii)工程(i)で得られた油相を、水、(d1)エタノールアミン、ソルビトール、ペンテト酸5ナトリウム、エリソルビン酸、メタ重亜硫酸ナトリウム、p-フェニレンジアミン、p-アミノフェノール、レソルシノール、m-アミノフェノール、2-メチル-5-ヒドロキシエチルアミノフェノール、及び4-アミノ-2-ヒドロキシトルエンと80℃で混合してエマルションを調製した。
(iii)(d2)アンモニア及び香料を、工程(ii)で得られたエマルションに加え、得られた混合物を室温(25℃)で混合した。
【0202】
[評価]
製造例1及び2を、(1)工程(ii)において得られたエマルション及び工程(iii)において得られた組成物のpH値、(2)エマルション及び組成物の粘度、並びに(3)におい嗅ぎ試験によるアンモニアの蒸発の点で比較した。
【0203】
(におい嗅ぎ試験)
製造例1及び2で得られた各組成物を、質量比1:1で顕色剤A組成物と混合した。顕色剤Aの構成成分を表10に示す。
【0204】
【表10】
【0205】
判定員5名は、混合物を直接嗅ぐことにより官能検査を行い、次の基準に従って採点した。
【0206】
1 :アンモニア臭は非常に弱い
2 :アンモニア臭は弱い
3 :アンモニア臭は中程度である
4 :アンモニア臭は強い
5 :アンモニア臭は非常に強い
【0207】
(粘度)
製造例1及び2で得られた各組成物自体の粘度を、25℃、200rpmでNo.4のスピンドルを有するRheomat 180粘度計(Rheometric Scientific社)を用いることにより測定した。粘度の測定を、スピンドルの回転を開始した時間から30秒後に行い、増粘を、次の基準に従って採点した。
【0208】
A:>7Pas、安定性のある増粘した組成物
B:3から7Pas、比較的安定性のある増粘した組成物であり、実用上の問題なし
C:<3Pas、安定性がない増粘した組成物
【0209】
これらの評価の結果を表11に示す。
【0210】
【表11】
【0211】
表11に示す通り、(d)アルカリ剤を工程(ii)で得られたエマルションに加える工程を含む、調製プロトコール(i)に従って調製された組成物は、大幅に減少したアンモニア臭及びその粘度の増加による安定性の改善を示す。これに対して、工程(ii)において水を含むアルカリ剤(d1)(エタノールアミン)を油相に加える工程、すなわち、エマルションが形成される前に、混合物のpH値をアルカリpHに変化させる工程を含む、調製プロトコール(ii)に従って調製した組成物は、調製プロトコール(i)に比べてアンモニア臭が比較的多く、安定性が低い。しかしながら、調製プロトコール(ii)に従って調製した組成物も、ケラチン繊維のための従来型の組成物に比べてアンモニア臭を抑えることができ、比較的に優れた安定性を保つ。
【0212】
図1は、製造プロトコール(i)に従って調製された組成物の混合物の顕微鏡写真を示す。
図1(a)は、アルカリ剤を加える前のエマルションを示す。
図1(b)は、アルカリ剤を加えて混合した後の組成物を示す。スケールバーは、50μmである。これらの写真によれば、アルカリ剤を加える前では、連続相1中にはかさ高い及び液体の領域が多くあるが、アルカリ剤を加えた後では、連続相2が構造化されたことを観察することができる。