(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
対象体の少なくとも一つの細胞において、ストレスプロテオームが刺激され、および/または増加した亜酸化窒素産生が検出され、および/またはストレス感知オルガネラが組成物の投与の前の量より増加する、請求項2に記載の組成物。
熱ショックタンパク質のための遺伝子には、熱ショックタンパク質40、70、および/または90ファミリーのメンバーが含まれ、アンフォールデッドタンパク質遺伝子には、グルコース調節タンパク質78(BIP)、プロテインキナーゼRNA-様小胞体キナーゼ(PERK)、イノシトール要求性1(IRE1)および活性化転写因子6が含まれ、オートファジー反応遺伝子には、ベクリン-1(BCN1)、オートファジータンパク質5(ATG5)および微小管-関連タンパク質1軽鎖3(LC3またはAPG8)が含まれ、および抗酸化反応遺伝子には、核因子赤血球系2-様2(NFE2L2)、ヘムオキシゲナーゼ1(HMOX1)およびスーパーオキシドジスムターゼ2(SOD2)の発現が含まれる、請求項5に記載の組成物。
組成物には、ヒストンデアセチラーゼインヒビター、クラスIヒストンデアセチラーゼインヒビター、またはクラスIIヒストンデアセチラーゼインヒビターの少なくとも一つが含まれる、請求項1または2に記載の組成物。
【発明を実施するための形態】
【0023】
A.自閉症および自閉症スペクトラム障害
【0024】
自閉症スペクトラム障害(ASD)および自閉症は共に、脳発達の複合疾患のグループについての一般名辞である。これらの障害は社会的相互作用における困難、言語的および非言語的コミュニケーションおよび反復行動によって、様々な程度で、特徴付けられる。これらの障害には、制限されないが、自閉(症)性障害、レット症候群(Rett syndrome)、小児期崩壊性障害、広汎性発達障害-特定不能のもの(PDD-NOS)およびアスペルガー症候群(Asperger syndrome)が含まれる。ASDは、知的障害、運動協調での困難(difficulties in motor coordination)および注意力およびたとえば、睡眠および胃腸障害などのような身体の健康問題に関連付けることができる。ASDを有する若干の個員は、視覚的なスキル、音楽、数学および芸術で優れている。〔例は、Wiggins(ウィギンズ)ら、2011年を参照し、それを、ここに参照することにより全体として組み込み、そしてそれは、ASDを有する若者がデフォルトネットワークの後方ハブおよび右上前頭葉の脳回(右上前頭回)の間の弱い接続があることを示す〕。いかなる特定の理論に縛られることを望まないが、自閉症スペクトラム障害は、様々な非致死性遺伝性疾患および関連する代謝経路に影響を与えるエピジェネティックな効果(後成的影響)に起因しうると考えられる。
【0025】
たとえば、自己組織化マップ(SOM)などのようなものは、各参加者のための基準を作り出して、接続性を計算する。本発明者らは、ASDグループ(群)でのより一層弱い後部-前部の接続性の以前の知見を裏付け、そしてASD群およびコントロール群での加齢変化を調べるために、SOMアルゴリズムによって識別された個別化安静状態クラスター(individualized resting-state clusters)を使用した。ASDの三十九名の若者および41名のコントロールは、10分、開眼で、安静状態機能的MRIスキャンを受けた。さらに、コントロールは、ASD群と比較して齢との接続性においてより一層大きな増加を有する。これらの知見は、SOMが臨床集団において接続性を計算するための補完的な方法であることを示す。また、ASDを有する若者は、コントロールと比較して、デフォルトネットワークの異なる発達曲線(developmental trajectory)をもつ。
【0026】
自閉症児の38%〔Miles(マイルズ)、2010〕ないし83%〔Curran(カラン)ら、2007〕の行動は発熱のエピソード(出現)の間に一過性に改善された。改善は、減少した常同行為および不適切なスピーチで最も注目すべきであった。改善は、発熱または病気の重症度に関係しなかった〔Curranら、2007、これをこの参照によりその全体として組み込む〕。発熱は、HSPを刺激し、それはシナプス伝達を含め、CNSにおける複数の細胞プロセスとして重要である。〔Stetler(ステットラー)ら、2010〕。
【0027】
細胞ストレスプロテオームは、様々なストレス要因、たとえば、発熱、照射および低酸素などのようなものに反応する経路において関与する相互作用性タンパク質の複合体であり、そして恒常性を再確立するために機能する。ストレス反応経路は、ストレス要因特異性でなく、そしてオルガネラバイオジェネシス(細胞小器官構築)が含まれる。MAPKシグナル伝達、抗酸化物質生産、熱ショックタンパク質、小胞体ストレス反応(アンフォールデッドタンパク質反応、以下、アンフォールデッドは「折り畳まれていない」または「変性」とも記載する。)、およびオートファジー(Stetlerら、2010)。
【0030】
本発明は、自閉症および自閉症スペクトラム障害の処置のためのグルコシノラート(グルコシノレート)が含まれる方法および組成物を包含する。いかなる特定の理論に縛られることも望まないが、現在、十字花植物(アブラナ科植物)の利点が、イソチオシアナートおよびそれらの前駆体分子、グルコシノラートの含量であると考えられる。グルコシノラートは、イソチオシアナートに変換され、たとえば、チオグルコシド、ミロシナーゼのような酵素による。概して、植物細胞において、ミロシナーゼおよびグルコシノラートは細胞において分離され、および細胞が、たとえば、昆虫捕食などのようなものによって、区画化の喪失を伴い損傷した場合、ミロシナーゼまたは他の同様に作用する酵素はグルコシノラートと接触し、それらは次いで、イソチオシアナートに変換される。ミロシナーゼ、EC 3.2.1.147、CAS番号9025-38-1は、たとえば、グルコシノラートなどのような前駆体分子を、たとえば、スルホラファンなどの、イソチオシアナートのような、より一層活性な化合物に変換するものと同様に働く酵素として、この技術において熟練した者(当業者)に知られる。
【0031】
本発明は、自閉症および自閉症スペクトラム障害の処置のために、一以上の酵素、および/または一以上のタイプの酵素、および代謝経路において随意の補因子または他の酵素を含む方法および組成物を包含する。本発明により企図される酵素は、ここに本発明の酵素として言及し、それには、制限されないが、ミロシナーゼ、チオグルコシダーゼ、グルタチオントランスフェラーゼ、NAD(P)H:キノンレダクターゼ(QR)およびグルクロノシルトランスフェラーゼが含まれ、それらは同様の活性を有し、または関連経路にある。たとえば、この技術において知られるように、水の存在下、ミロシナーゼはグルコシノラートからグルコース基を切断する。残余の分子は次に、チオシアナート、イソチオシアナートまたはニトリルに変換し;これらは、植物のための防御として働く活性物質である。ミロシナーゼまたは本発明の他の酵素または同様に作用する酵素によるグルコシノラートの加水分解は、pHおよび特定の補因子の存在のような様々な生理学的条件に応じて、様々な生成物を産生することができる。反応は、初期のステップを共有することが観察されている。まず、β-チオグルコシド結合は、ミロシナーゼによって切断され、D-グルコースが放出される。結果として生じるアグリコンは自発的なロッセン様再構成(Lossen-like rearrangement)を受け、サルフェート(硫酸塩)が放出される。メカニズムでの最後のステップは、生理的条件に応じて、最も多様な対象となり、その下で反応が起こる。中性pHで、主な生成物はイソチオシアナートである。酸性条件(pH<3)下、および第一鉄イオンまたはエピチオスペシファー(epithiospecifer)タンパク質の存在において、ニトリルの形成が代わりに支持される。
【0032】
たとえば、スルホラファンのような化合物のための供給源として天然産物の抽出についての方法には、化学合成法によって生産されるものとは対照的に、植物供給源からの抽出のための方法、たとえば、アブラナ科のベジタブル(野菜)などの、植物供給源からのような方法が含まれ、それには、制限されないが、冷水におけるベジタブルの均質化、凍結乾燥や、得られた粉末のアセトニトリルでの抽出、ろ過および蒸発濃縮が含まれる。植物からの化合物の抽出のための他の方法は、当技術分野で知られ、および本発明によって企図されており、そして本発明の化合物を生産するために、たとえば、米国特許第5725895号によって教示され、それをここにその全体として組み込むもののように、たとえば、シード(種子)およびスプラウト(芽)の抽出物を含んでもよい。天然産物、特に、アブラナ科植物からの抽出のための既知の方法には、望ましい化合物の熱湯抽出を含めた抽出方法が含まれる。
【0033】
なんらの特定の理論に縛られることは望まないが、現在、グルコシノラートは活性を伴わない前駆体分子であり、それは次いで、酵素によって活性型、たとえば、イソチオシアナートで、スルホラファンのようなものに変換されると考えられる(それは、ここでは、より一層活性な化合物と称し、それは、その化合物が、特定のアッセイにおいてその前駆体分子の活性よりも活性が高いからである。本発明の組成物は、一以上の前駆体化合物、たとえば、グルコシノラートなどのようなものを含み、および/または、より一層活性な分子、たとえば、グルコシノラート上の酵素活性によって作られる生成物のようなもの、たとえば、スルホラファン、または一以上の前駆体化合物および一以上の活性化合物の双方を含んでよく、またさらに、随意に一以上の酵素および/またはそのような酵素の補因子を含んでよく、それらは前駆体化合物または基質としてより一層活性な化合物を使用する。ヒトにおいて、食物におけるグルコシノラートは、少なくとも部分的にイソチオシアナートに変換され、それは、現在、消化管の微生物によると考えられている。たとえば、本発明の組成物は、自閉症および自閉症スペクトラム障害の処置用に、たとえば、グルコシノラートなどのような一以上の前駆体化合物を含みうる。組成物はさらに、一以上の酵素を含んでもよく、それに対して、組成物中に提供される化合物は一以上の酵素の基質分子である。組成物は、単位のデリバリービヒクルにおいて提供されてよく、または二以上のデリバリービヒクルにおいて提供することができ、それは、同時に、逐次的に、または他の管理(投与)方法において提供することができる。
【0035】
ここに開示される方法および組成物に使用するのに適した植物の供給源は、アブラナ科の植物の任意の部分であることができ、制限されないが、細胞、種、芽、葉、茎、根、花および他の植物の構造が含まれる。本発明によって企図される植物源には、制限されないが、たとえば、Brassiceae(アブラナ類)などのような、アブラナ科(family Cruciferae)からの植物、およびBrassicinaeが含まれる。たとえば、植物源は、とりわけ、acephala(アセファラ)(ケール、コラード、ワイルド・キャベツ、カーリー・ケール)、medullosa(メドロッサ)〔marrowstem kale(マローステム・ケール)〕、ramosa(ラモサ)〔thousand head kale(サウザンド・ヘッド・ケール)〕、alboglabra(カイラン)〔Chinese kale(チャイニーズケール)〕、botrytis(ボトリチス)〔カリフラワー、sprouting broccoli(発芽ブロッコリー)〕、costata(コスタータ)〔Portuguese kale(ポルトガルカンラン)〕、gemmifera(ジェミフェラ)〔Brussels sprouts(芽キャベツ)〕、gongylodes〔kohlrabi(コールラビ)〕、italica(イタリカ)〔broccoli(ブロッコリー)〕、palmifolia〔Jersey kale(ジャージー・ケール)〕、sabauda(サバウダ)〔savoy cabbage(チリメンキャベツ)〕、sabellica(コラード)、およびselensia(セレンシア)〔borecole(カーリーケール)〕、等の種類の群から選ばれるBrassica oleracea(ブラッシカ・オレラセア)でありうる。
【0036】
ここに開示される方法および組成物に使用される有用なブロッコリー栽培品種は、Saga(サガ)、DeCicco(デチッコ)、エベレスト、エメラルド・シティ、パックマン、Corvet(コルベット)、ダンディ・アーリー、エンペラー、マリナー、グリーン・コメット、グリーン・ヴァリアント、アルカディア、カラブレーゼ・カラベル、チャンセラー、サイテーション、クルーザー、アーリー・パープル・スプラウティング・レッド・アロー、ユーレカ、エクセルシオール、ガレオン、ギンガ、ゴリアテ、グリーン・デューク、グリーンベルト、イタリアン・スプラウティング、レート・パープル・スプラウティング、レート・ウインター・スプラウティング・ホワイト・スター、レジェンド、レプラコーン、マラソン、マリナー、ミナレット(ロマネスコ) 、パラゴン、パトリオット、プレミアム・クロップ、ラパイン(スプリング・ラーブ)、ロザリンド、サラダ(フォール・ラーブ)、サムライ、ショーグン、スプリンター、スルタン、タイコ、およびトリクシーである。しかし、多くの他のブロッコリー栽培品種が適する。
【0037】
ここに開示される方法および組成物(compsotions)で使用する有用なカリフラワー栽培品種は、Alverda(アルベルダ)、アメージング、アンデス、ブルゴーニュ・クイーン、キャンディド・チャーム、カシミア、クリスマス・ホワイト、ドミナント、Elby(エルビー)、エクストラ・アーリー・スノーボール、フリーモント、インクライン、ミルキーウェイ・ミニットマン、ラシュモアS-207、セラーノ、シエラ・ネバダ、Siria(シリア)、スノー・クラウン、スノー・フレーク、スノー・グレース、Snowbred(スノーブレッド)、Solide(ソリド)、タイパン、バイオレット・クイーン、ホワイト・バロン、ホワイト・ビショップ、ホワイト・コンテッサ、ホワイト・コロナ、ホワイト・ドーブ、ホワイト・フラッシュ、ホワイト・フォックス、ホワイト・ナイト、ホワイト・ライト、ホワイト・クイーン、ホワイト・ロック、ホワイト・セールズ、ホワイト・サマー、ホワイト・トップ、ユーコンである。しかし、多くの他のカリフラワー栽培品種が適する。
【0039】
本発明の組成物には、スルホラファン、有機硫黄化合物〔1-イソチオシアナト-4R-(メチルスルフィニル)ブタン〕、当技術分野において知られる誘導体、たとえば、ジチオカルバマート誘導体のようなもの、およびここに開示される他のもの、および当技術分野で知られ、および/またはここに開示されるアナログ(類似体)が含まれる。スルホラファンは、ホルメティック(hormetic)ドラッグ(薬物)であり、なんらかの特定の理論に束縛されるものではないが、一般的な「細胞保護的」反応を誘導すると考えられる。スルホラファンは、多くの植物の活性成分であり、そしてたとえば、ブロッコリーのスプラウト(芽)から抽出することができ、または化学合成法によって作成することができる。スルホラファンは、3日齢のブロッコリースプラウトの凍結乾燥、フリーズドライした抽出物から得ることができる。ブロッコリースプラウトは、副作用のなんらのレポートもなく、非常に大数の個体によって、世界中すべてで広く消費されている。ヒトの調査研究はまた、スルホラファンの投与によって何ら著しい副作用を示していない。
【0040】
スルホラファンは血液脳関門を通過する。研究は、脳、末梢神経系、および神経細胞に対するスルホラファンの生物学的利用能を実証した。マウスおよびラットの種々の株の研究は、脳において、種々の投与経路後に、スルホラファン(およびそのジチオカルバマート代謝物)の蓄積を実証している〔Zhao(チョウ)ら、2005年およびClarke(クラーク)ら、2011年、それらの双方を、この参照によりそれらをそっくりそのままで組み込む〕。
【0041】
特定の理論に縛られることを望まないが、スルフロファン(sulfurophane)が酸化および炎症性ストレス、たとえば、システムの障害のようなものに対する保護を提供し、それは酸化的損傷、熱ショック、およびタンパク質ミスフォールディングにより引き起こされる障害に対して細胞を保護することができると考えられる。これらの保護機構は、転写因子Nrf2によって媒介され、それはKeap1/Nrf2/ARE調節システムを介して、ヒトゲノム遺伝子の発現を制御すると考えられる。このシステムは、脳を含む多くの組織において、スルホラファンによってアップレギュレートすることができる。〔例は、Baird(ベアード)ら、2011年を参照し、それをこの参照によってその全体として組み込む〕。
【0042】
データは、熱ショックタンパク質およびユビキチン26sプロテアソームサブユニットがスルホラファンによる処置の後にマウスで誘導されたことを示した〔Hu(フー)ら、2008〕。熱ショック因子1(HSF1)およびHSP 27の発現は、スルホラファンによって増幅された。HeLa(ヒーラ)細胞では、スルホラファンは、HSP70およびHSP90をアップレギュレートする。他はKeap1-Nrf2経路が関与しうることを見出した。〔Baird(ベアード)ら、2011年〕。
【0043】
この技術は、スルホラファン類似体に詳しく、それらには、制限されないが、以下の、6-イソチオシアナト-2-ヘキサノン、エキソ-2-アセチル-6-イソチオシアナトノルボルナン(isothiocyanatonorbornane)、エキソ-2-イソチオシアナト-6-メチルスルホニルノルボルナン、6-イソチオシアナト-2-ヘキサノール、1-イソチオシアナト-4-ジメチルホスホニルブタン(dimethylphosphonylbutane)、エキソ-2-(1'-ヒドロキシエチル)-5-イソチオシアナトノルボルナン、イキソ-2-アセチル-5-イソチオシアナトノルボルナン、1-イソチオシアナト-5-メチルスルホニルペンタン、シス-3-(メチルスルホニル)シクロヘキシルメチルイソチオシアナンテ〔cis-3-(methylsulfonyl)cyclohexylmethylisothiocyanante〕およびトランス-3-(メチルスルホニル) シクロヘキシルメチルイソチオシアナンテが含まれる。
【0045】
本発明の組成物は、ここに開示される一以上の化合物を含むことができ、たとえば、ヒストンデアセチラーゼインヒビター(ヒストン脱アセチル化酵素抑制剤)、クラスIおよびクラスIIヒストンデアセチラーゼインヒビター、およびたとえば、ヒドロキシウレア(ヒドロキシ尿素)などのようなヒストンデアセチラーゼインヒビターではない化合物、スルホラファン、および/またはその誘導体および類似体である。本発明の組成物は、細胞の一般的な細胞ストレス反応の一以上の態様を調節する化合物を含んでもよい。目下、一以上の経路が、細胞の一般的細胞ストレス反応を調節することに関与することがあり、そして、本発明は、ここに開示されるものに制限されないが、化合物で、ここに説明されるように、そして当技術分野で普通に理解されるように、細胞の一般的細胞ストレス反応をアップレギュレートするものが企図されると考えられる。
【0046】
たとえば、ある態様では、組成物には、4-フェニルブチラート(4-フェニル酪酸)が含まれる。ある態様では、組成物には、ナトリウムブチラート(酪酸ナトリウム)が含まれる。ある態様では、組成物には、ヒドロキシウレアが含まれる。ある態様では、組成物には、スルホラファンが含まれる。ある態様においては、組成物には、スルホラファンの誘導体が含まれる。ある態様において、組成物には、スルホラファンの類似体が含まれる。ある態様において、組成物には、トリコスタチンAが含まれる。ある態様において、組成物には、ここに開示される化合物の組合せが含まれ、たとえば、組成物は、ヒドロキシウレア、スルホラファン、4-フェニルブチラート、ナトリウムブチラート、および/またはトリコスタチンAの一以上を含む。たとえば、組成物には、フェニルブチラートおよびナトリウムブチラートを含む組合せが含まれる。ある態様において、組成物には、フェニルブチレートおよびトリコスタチンAを含む組合せが含まれる。ある態様においては、組成物には、ナトリウムブチラートおよびトリコスタチンAを含む組合せが含まれる。ある態様において、組成物には、ヒドロキシウレア、フェニルブチラート、ナトリウムブチラートを含む組合せが含まれる。ある態様において、組成物には、ヒドロキシウレアおよびスルホラファンを含む組合せが含まれる。ある態様においては、組成物には、既知の、および/またはここに開示されるように、ヒドロキシウレアおよびスルホラファンの誘導体または類似体を含む組合せが含まれる。ある態様において、組成物には、ヒドロキシウレア、スルホラファン、フェニルブチラート、ナトリウムブチラート、およびトリコスタチンAを含む組合せが含まれる。ある態様において、組成物には、スルホラファン、フェニルブチラート、ナトリウムブチラート、およびトリコスタチンAを含む組合せが含まれる。ある態様においては、組成物には、スルホラファン誘導体または類似体、およびフェニルブチラート、ナトリウムブチラート、およびトリコスタチンAの一以上を含む組合せが含まれる。
【0047】
本発明の組成物には、次の式で表される構造として存在する化合物またはサブグループまたはその薬学的に許容可能な塩を含んでもよい。
【化1】
【0048】
v)一般的細胞ストレス反応を調節する化合物
【0049】
本発明には、一般的細胞ストレス反応を調節し、たとえば、熱ショック因子および熱ショックタンパク質の転写および発現を調節する自閉症および自閉症スペクトラム障害の処置のための化合物を含む方法および組成物が包含される。熱ショックタンパク質(HSPs)は、DNA損傷を感知し、および修復すること、および多くの経路における分子シャペロンとしての機能に関与する。熱ショック因子(HSF)は、細胞および生物体において、恒常性を維持するために、ストレスインテグレーターとして作用するHSPのための転写調節因子であり、そして進化的に保存される。〔Akerfelt(アーケルフェルト)ら、2010年〕。
【0050】
本発明の方法には、本明細書に開示された化合物、たとえば、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)インヒビターおよび非(ノン)HDACインヒビターようなもので、たとえば、ヒドロキシウレアまたはスルホラファンなどのようなものの有効量を投与することが包含され、それは、一般的細胞ストレス反応を調節し、たとえば、一般的細胞ストレス反応に関連する核酸およびペプチドおよびタンパク質のレベルおよび量で、ミトコンドリアバイオジェネシス、ペルオキシソーム増殖、ストレスプロテオームの活性化や、遺伝子、および熱ショックおよび変性タンパク質を含む遺伝子、オートファジー反応のための遺伝子、抗酸化反応(アンチオキシダント反応)のための遺伝子、およびc-jun-N-末端キナーゼ経路のための遺伝子によってコードされるタンパク質の転写および/または翻訳を含めたようなものを調節するためである。
【0051】
細胞において一般的ストレス反応を調節する本発明の組成物は、次の式で表される構造として存在する化合物またはサブグループまたはその薬学的に許容可能な塩を含んでもよい。
【化2】
【0052】
本発明の組成物は、ここに開示される化合物を含むことができ、それはメディカルフードとして調剤される。本発明の組成物には、メディカルフードを生産するために、ここに開示される化合物および当業者に既知の成分を含むメディカルフードが含まれる。メディカルフードは、特別に調剤され、そして疾患、たとえば、自閉症および/または自閉症スペクトラム障害のようなものの食餌管理のために意図されるフードであり、それは、普通の単独の食餌によって満たすことができない特有の栄養ニーズを持つ。ある態様において、疾患は、たとえば、自閉症である。ある態様において、疾患は、たとえば、一以上の自閉症スペクトラム障害である。用語「メディカルフード」は、FDAによってOrphan Drug Act(オーファンドラッグ法)〔21 U.S.C. 360ee(b)(3)〕のセクション5(b)に規定されるように、「医師の監督の下に経腸的に消費され、または投与されるように調剤され、および認識された科学的原理に基づき、独有の栄養所要量が医学的評価によって確立される疾患または状態の特定の食事管理を対象とするフード」と定められる。
【0054】
メディカルフードは、特別な食餌ユース用のより一層広範なカテゴリーの食物および健康強調表示(health claim)を担う伝統的な食物とは異なる。メディカルフードを考慮するために、生成物は、最低でも:(i)経口摂取またはチューブによる摂食(経管栄養)(経鼻胃管)用の食物であり、(ii)特定の医学的障害、疾患または状態の食餌管理のために標識され、それについて、独特の栄養所要量があり、(iii)医師の指導の下で使用することを意図されるものでなければならない。ある態様において、特有の栄養要件がある疾患は、たとえば、自閉症である。ある態様において、特有の栄養要件がある疾患は、たとえば、一以上の自閉症スペクトラム障害である。
【0055】
ここに開示されるのは、自閉症を処置するために使用されるメディカルフードである。ここに開示されるのは、一以上の自閉症スペクトラム障害を処置するために使用されるメディカルフードである。
【0056】
本発明の組成物には、ここに開示される一以上の化合物、一般的細胞ストレス反応を調節する一以上の化合物、ヒストンデアセチラーゼインヒビター、クラスIヒストンデアセチラーゼインヒビター、およびまたはクラスIIヒストンデアセチラーゼインヒビターの一以上を含むメディカルフードが包含される。たとえば、ある態様において、メディカルフードには、4-フェニルブチラートが含まれる。ある態様では、メディカルフードには、ナトリウムブチラートが含まれる。ある態様では、メディカルフードには、トリコスタチンAが含まれる。ある態様においては、メディカルフードには、4-フェニルブチラート、ナトリウムブチラート、および/またはトリコスタチンAの組合せが含まれる。たとえば、メディカルフードには、フェニルブチラートおよびナトリウムブチラートを含む組合せが含まれる。ある態様では、メディカルフードには、フェニルブチラートおよびトリコスタチンAを含む組合せが含まれる。ある態様において、メディカルフードには、ナトリウムブチラートおよびトリコスタチンAを含む組合せが含まれる。ある態様においては、メディカルフードには、フェニルブチラート、ナトリウムブチラートおよびトリコスタチンAを含む組合せが含まれる。ある態様では、メディカルフードには、ヒドロキシウレアが含まれる。ある態様では、メディカルフードには、一以上のクラスIIヒストンデアセチラーゼインヒビターが含まれる。ある態様では、メディカルフードには、スルホラファンまたはスルホラファン類似体が含まれる。ある態様では、メディカルフードには、スルホラファンジチオカルバマート代謝物が含まれる。
【0057】
ある態様では、メディカルフードには、ヒストンデアセチラーゼインヒビター、クラスIデアセチラーゼインヒビター、クラスIIヒストンデアセチラーゼインヒビター、4-フェニルブチラート、トリコスタチンA、ヒドロキシウレア、スルホラファンまたはスルホラファン類似体、スルホラファン誘導体、スルホラファンジチオカルバマート代謝物の少なくとも一つが含まれる。ある態様において、メディカルフードには、ヒストンデアセチラーゼインヒビター、クラスIヒストンデアセチラーゼインヒビター、クラスIIヒストンデアセチラーゼインヒビター、4-フェニルブチラート、トリコスタチンA、ヒドロキシウレア、スルホラファンまたはスルホラファン類似体、スルホラファン誘導体、またはスルホラファンジチオカルバマート代謝物の組合せが含まれる。ある態様では、メディカルフードには、ヒストンデアセチラーゼインヒビター、たとえば、クラスIヒストンデアセチラーゼインヒビターまたはクラスIIヒストンデアセチラーゼインヒビターのようなもの、および以下の:4-フェニルブチラート、トリコスタチンA、ヒドロキシウレア、スルホラファン、スルホラファン誘導体、またはスルホラファン類似体、またはスルホラファンジチオカルバマート代謝物の一以上の組合せが含まれる。ある態様では、メディカルフードには、4-フェニルブチラート、トリコスタチンA、ヒドロキシウレア、およびスルホラファンまたはスルホラファン類似体の組合せが含まれる。
【0058】
ある態様では、メディカルフードには、一以上のアブラナ科の種子またはスプラウト、または一以上のアブラナ科スプラウトからの抽出物が含まれる。
【0059】
自閉症または一以上の自閉症スペクトラム障害の処置の開示された方法では、メディカルフードには、次の式で表される構造として存在する化合物またはサブグループまたはその薬学的に許容可能な塩が含まれる。
【化3】
【0060】
自閉症または一以上の自閉症スペクトラム障害の処置の開示された方法では、スルホラファン類似体は、6-イソチオシアナト-2-ヘキサノン、エキソ-2-アセチル-6-イソチオシアナトノルボルナン、エキソ-2-イソチオシアナト-6-メチルスルホニルノルボルナン、6-イソチオシアナト-2-ヘキサノール、1-イソチオシアナト-4-ジメチルホスホニルブタン、エキソ-2-(1'-ヒドロキシエチル)-5-イソチオシアナトノルボルナン、エキソ-2-アセチル-5-イソチオシアナトノルボルナン、1-イソチオシアナト-5-メチルスルホニルペンタン、シス-3-(メチルスルホニル)シクロヘキシルメチルイソチオシアナンテ、またはトランス-3-(メチルスルホニル)シクロヘキシルメチルイソシアナンテである。
【0061】
自閉症または一以上の自閉症スペクトラム障害の処置のある開示された方法では、メディカルフードには、賦形剤または希釈剤が含まれる。
【0062】
ある態様においては、開示されたメディカルフードには、(i)ミトコンドリアバイオジェネシス、(2)ペルオキシソーム増殖、(3)ストレスプロテオームの活性化、または(4)遺伝子および(a)熱ショックおよび変性タンパク質が含まれる遺伝子、(b)オートファジー反応のための遺伝子、(c)抗酸化反応のための遺伝子、および(d)c-jun-N-末端キナーゼ経路のための遺伝子によってコードされるタンパク質の転写および/または翻訳を引き起こす一以上の化合物が含まれる。
【0063】
ある態様において、ここに開示されるメディカルフードには、本発明の化合物および組成物が含まれ、そして随意に酵素が含まれ、それについて本発明の化合物は基質である。メディカルフード組成物は、投与経路のために適切なデリバリービヒクルで、たとえば、カプセル、局所クリーム(塗り薬)、鼻スプレー(鼻腔用スプレー)、注射可能な溶液、パスティール(トローチ剤)、サシェ(小袋)などのようなものにおいて、対象体によってとることができ、そしてそのような組成物は、単独で、または他の成分の組成物と組み合わせて施すことができる。たとえば、組成物には、本発明の酵素組成物を含む第二の組成物と同時にか、または連続的に投与される一つのデリバリービヒクルにおいて本発明の化合物が含まれうる。ここで使用される酵素組成物には、より一層活性な化合物をもたらすために前駆体分子を変えるための一以上の開示された酵素が含まれてよく、そして補因子、補酵素、および/または変換経路において他の酵素が含まれてよい。
【0065】
本発明は、ここに開示された化合物が自閉症および自閉症スペクトラム障害の処置のために含まれる方法および組成物を包含し、それらは、ダイエタリー(食糧の)、またはニュートリショナル(栄養学上の)サプリメント(栄養補助剤)として調剤される。また、食糧の栄養補助剤は、食物の栄養補助剤(フードサプリメント)または栄養学上の栄養補助剤として知られており、ダイエット(食餌)を補い、そして化合物、たとえば、ここに開示されたもののようなもの、またはたとえば、ビタミン、ミネラル、繊維、脂肪酸、またはアミノ酸のようなもので、それらは通常の食餌供給源からは失われることがあり、または個員の食事では十分な量が消費されないことがあるものを提供することを目的とした調製物である。若干の国では、食糧栄養補助剤を食物として規定し、その一方、他では、それらは薬物または自然健康生産物として規定される。食糧栄養補助剤は、投与に適したデリバリービヒクルにおいて提供されてもよく、または対象体が食べるか、または飲むことができる食物、液体、固体、飲料、水、または他の摂取可能な、または栄養になる組成物に添加されてよい。
【0066】
ここに開示されるのは、自閉症を処置するために使用される栄養補助剤である。ここに開示されるのは、一以上の自閉症スペクトラム障害を処置するために使用される栄養補助剤である。
【0067】
本発明の組成物は、ここに開示される一以上の化合物、一般的細胞ストレス反応を調節する一以上の化合物、一以上のヒストンデアセチラーゼインヒビター、クラスIヒストンデアセチラーゼインヒビター、およびまたはクラスIIヒストンデアセチラーゼインヒビターが含まれる栄養補助剤を含む。ある態様において、栄養補助剤には、一以上のクラスIヒストンデアセチラーゼインヒビターを含む。たとえば、ある態様では、栄養補助剤には、4-フェニルブチラートが含まれる。ある態様においては、栄養補助剤には、ナトリウムブチラートが含まれる。ある態様において、栄養補助剤には、トリコスタチンAが含まれる。ある態様では、栄養補助剤には、4-フェニルブチラート、ナトリウムブチラート、および/またはトリコスタチンAの組合せが含まれる。ある態様においては、たとえば、栄養補助剤には、フェニルブチラートおよびナトリウムブチラートを含む組合せが含まれる。ある態様において、栄養補助剤には、フェニルブチラートおよびトリコスタチンAを含む組合せが含まれる。ある態様においては、栄養補助剤には、ナトリウムブチラートおよびトリコスタチンAを含む組合せが含まれる。ある態様において、栄養補助剤には、フェニルブチラート、ナトリウムブチラート、およびトリコスタチンAを含む組合せが含まれる。ある態様において、栄養補助剤には、ヒドロキシウラアが含まれる。ある態様では、栄養補助剤には、一以上のクラスIIヒストンデアセチラーゼインヒビターが含まれる。ある態様において、栄養補助剤には、スルホラファン(以下「スルフォラファン」とも言う。)またはスルフォラファン類似体または誘導体が含まれる。ある態様では、栄養補助剤には、スルフォラファンのジチオカルバマート代謝物が含まれる。
【0068】
ある態様では、栄養補助剤には、少なくとも一種のヒストンデアセチラーゼインヒビター、クラスIヒストンデアセチラーゼインヒビター、クラスIIヒストンデアセチラーゼインヒビター、4-フェニルブチラート、トリコスタチンA、ヒドロキシウレア、スルフォラファンまたはスルフォラファン類似体、またはスルフォラファンジジチオカルバマート(dithocarbamate)代謝産物が含まれる。ある態様では、栄養補助剤には、ヒストンデアセチラーゼインヒビター、クラスIヒストンデアセチラーゼインヒビター、クラスIIヒストンデアセチラーゼインヒビター、4-フェニルブチラート、トリコスタチンA、ヒドロキシウレア、スルフォラファンまたはスルフォラファン類似体、またはスルフォラファンジトカルバマート代謝産物の組合せが含まれる。ある態様において、栄養補助剤には、たとえば、クラスIヒストンデアセチラーゼインヒビターまたはクラスIIヒストンデアセチラーゼインヒビターなどのようなヒストンデアセチラーゼインヒビター、および以下の一以上の組合せを含む:4-フェニルブチラート、トリコスタチンA、ヒドロキシウレア、スルフォラファンまたはスルフォラファン類似体、またはスルフォラファンジトカルバマート代謝産物。ある態様において、栄養補助剤には、4-フェニルブチラート、トリコスタチンA、ヒドロキシウレア、およびスルフォラファンまたはスルフォラファン類似体の組合せが含まれる。
【0069】
本発明の組成物には、次の式で表される構造として存在する化合物またはサブグループまたはその薬学的に許容可能な塩を含む栄養補助剤が包含される。
【化4】
【0070】
開示される自閉症または一以上の自閉症スペクトラム障害の処置の方法では、栄養補助剤には、賦形剤または希釈剤、または栄養補助剤を調剤するのに日常的に使用されるその他の成分が含まれる。
【0071】
ある態様では、開示される栄養補助剤には、一以上のアブラナ科のスプラウト、または一以上のアブラナ科植物源からの抽出物が含まれる。
【0072】
ある態様において、開示される栄養補助剤には、(i)ミトコンドリアバイオジェネシス、(2)ペルオキシソーム増殖、(3)ストレスプロテオームの活性化、または(4)遺伝子、および(a)熱ショックおよび変性タンパク質が含まれる遺伝子、(b)オートファジー反応のための遺伝子、(c)抗酸化反応のための遺伝子、および(d)c-jun-N-末端キナーゼ経路のための遺伝子によってコードされるタンパク質の転写および/または翻訳を引き起こす一以上の化合物が含まれる。
【0073】
ある態様において、開示される栄養補助剤には、本発明の化合物および組成物が含まれ、そして随意に、本発明の化合物を変える酵素組成物が含まれる。栄養補助剤の組成物は、経路管理のために適切なデリバリービヒクル、たとえば、カプセル、局所クリーム、鼻スプレー、注射可能溶液、パスティール、サシェのようなものにおいて対象体によって採取されることができ、およびそのような組成物は、単独で、または他の成分の組成物と組み合わせて投与することができる。たとえば、この方法では、一つの組成物は、一つのデリバリービヒクルにおいて本発明の化合物を含んでよく、それは本発明の酵素組成物を含む第二の組成物と同時にまたは連続的に投与される。
【0075】
ここに開示するのは、自閉症を処置する方法である。
【0076】
ここに開示されるのは、自閉症と判断された対象体に、製薬上組成物の有効量を投与することであり、そこでは、組成物には、対象体の少なくとも一つの細胞において一般的細胞ストレス反応を誘導する化合物が含まれ;および対象体が化合物を投与されるのに先立って存在した恒常性に戻ることができるようにすることを含む、自閉症を処置する方法である。
【0077】
ここに開示されるのは、自閉症と判断された対象体の少なくとも一つの細胞に、対象体の少なくとも一つの細胞において一般的細胞ストレス反応を誘導する化合物を含む製薬上組成物の有効量を投与すること;および細胞が化合物を投与されるのに先立って存在した恒常性に戻ることができるようにすることを含む、自閉症を処置する方法である。
【0078】
ここに開示されるのは、自閉症と判断された対象体に、行動症状の測定可能な効果を調節する製薬上組成物の有効量が投与されることを含む、自閉症を処置する方法である。
【0079】
ここに開示されるのは、自閉症を処置する方法であり、それには、自閉症と判断される対象体に、処置される対象体の社会的反応性を調節する製薬上組成物の有効量を投与することが含まれる。当業者は、自閉症または自閉症スペクトラム障害を有する対象体の社会的反応性を、Constantino(コンスタンチノ)ら、2003年に説明されるように、よく知る〔J Autism Devel Disorders(ジャーナル・オブ・オーティズム・アンド・デベロップメンタル・ディスオーダーズ)、33:427-433、そこでは、Social Responsiveness Scale(社会的反応性スケール)またはSRS- a well-validated measure of autistic traits(自閉的特性の良好に検証された尺度)を議論する。〕。
【0080】
開示される自閉症を処置する方法では、対象体は雄性または雌性である。ある態様において、対象体は特定の齢または性を意味しない。したがって、成体および新生の対象体、ならびに胎仔が、雄性または雌性にかかわらず含まれることが意図される。ある態様において、対象体は哺乳動物である。
【0081】
開示される自閉症を処置する方法では、行動症状における改善には、次の一以上を含む:(i)易刺激性、(ii)活動過多、(iii)常同症、および/または(iv)不適切なスピーチ(話し方)の減少。ある態様において、行動症状での改善には、(i)易刺激性、(ii)活動過多、(iii)常同症、および(iv)不適切な話し方の減少を含むものが含まれる。ある態様において、行動症状での改善には、(i)易刺激性、(ii)活動過多、(iii)常同症、および/または(iv)不適切な話し方の減少の二以上の組合せを含む。たとえば、ある態様において、行動症状における改善には、易刺激性および活動過多においての減少が含まれる。たとえば、ある態様では、行動症状での改善には、易刺激性および常同症の減少が含まれる。たとえば、ある態様では、行動症状での改善には、易刺激性および不適切な話し方においての減少が含まれる。たとえば、ある態様においては、行動症状の改善には、活動過多および不適切な話し方での減少が含まれる。たとえば、ある態様において、行動症状での改善には、常同症および不適切な話し方の減少が含まれる。たとえば、ある態様において、行動症状での改善には、易刺激性、活動過多、および常同症での減少が含まれる。たとえば、ある態様において、行動症状における改善には、易刺激性、活動過多、および不適切な話し方での減少が含まれる。たとえば、ある態様では、行動症状での改善には、易刺激性、常同症、不適切な話し方での減少が含まれる。たとえば、ある態様において、行動症状での改善には、活動過多、常同症、および不適切な話し方での減少が含まれる。当業者に知られるように、自閉症および自閉症スペクトラム障害における行動症状およびその改善は、Aman(アマン)ら、1985年において議論される。
【0082】
対象体の少なくとも一つの細胞において、開示される自閉症を処置する方法では、ストレスプロテオームが刺激される。開示される自閉症を処置する方法では、対象体の少なくとも一つの細胞において、増大した亜酸化窒素産生を測定する。開示される自閉症を処置する方法では、対象体の少なくとも一つの細胞において、ストレス感知オルガネラ(ストレス感知細胞小器官)は、組成物を施される前の量から増加する。ストレス感知オルガネラは、ミトコンドリア(mitrochondrion)またはペルオキシソームであることができる。ある態様において、ストレス感知オルガネラはミトコンドリアである。ある態様においては、ストレス感知オルガネラはペルオキシソームである。
【0083】
開示される自閉症を処置する方法では、開示される自閉症を処置する方法の一般的細胞ストレス反応は、以下の少なくとも一つを含む:(1)ミトコンドリアバイオジェネシス、(2)ペルオキシソーム増殖、(3)ストレスプロテオームの活性化、または(4)遺伝子、および(a)熱ショックおよび変性タンパク質が含まれる遺伝子、(b)オートファジー反応のための遺伝子、(c)抗酸化反応のための遺伝子、および(d)c-jun-N-末端キナーゼ経路のための遺伝子によってコードされるタンパク質の転写および/または翻訳。ある態様では、一般的細胞ストレス反応は、以下の一よりも多くのものを含む:(1)ミトコンドリアバイオジェネシス、(2)ペルオキシソーム増殖、(3)ストレスプロテオームの活性化、または(4)遺伝子、および(a)熱ショックおよび変性タンパク質が含まれる遺伝子、(b)オートファジー反応のための遺伝子、(c)抗酸化反応のための遺伝子、および(d)c-jun-N-末端キナーゼ経路のための遺伝子によってコードされるタンパク質の転写および/または翻訳。
【0084】
たとえば、ある態様においては、組合せには、ミトコンドリアバイオジェネシス(以下に、「ミトコンドリア生合成」と記載する。)およびペルオキシソーム増殖が含まれる。ある態様では、組合せには、ミトコンドリア生合成とストレスプロテオームの活性化とが含まれる。ある態様において、組合せには、ミトコンドリア生合成と、遺伝子、および(a)熱ショックおよび変性タンパク質が含まれる遺伝子、(b)オートファジー反応のための遺伝子、(c)抗酸化反応のための遺伝子、および(d)c-jun-N-末端キナーゼ経路のための遺伝子によってコードされるタンパク質の転写および/または翻訳とが含まれる。ある態様において、組合せには、ペルオキシソーム増殖とストレスプロテオームの活性化とが含まれる。
【0085】
ある態様においては、組合せには、ペルオキシソーム増殖と、遺伝子、および(a)熱ショックおよび変性タンパク質が含まれる遺伝子、(b)オートファジー反応のための遺伝子、(c)抗酸化反応のための遺伝子、および(d)c-jun-N-末端キナーゼ経路のための遺伝子によってコードされるタンパク質の転写および/またはの翻訳とが含まれる。ある態様では、組合せには、ストレスプロテオームの活性化と、遺伝子、および(a)熱ショックおよび変性タンパク質が含まれる遺伝子、(b)オートファジー反応のための遺伝子、(c)抗酸化反応のための遺伝子、および(d)c-jun-N-末端キナーゼ経路のための遺伝子によってコードされるタンパク質の転写および/または翻訳とが含まれる。ある態様では、組合せには、ミトコンドリア生合成、ペルオキシソーム増殖、およびストレスプロテオームの活性化が含まれる。ある態様では、組合せには、ミトコンドリア生合成、ペルオキシソーム増殖と、遺伝子、および(a)熱ショックおよび変性タンパク質が含まれる遺伝子、(b)オートファジー反応のための遺伝子、(c)抗酸化反応のための遺伝子、および(d)c-jun-N-末端キナーゼ経路のための遺伝子によってコードされるタンパク質の転写および/または翻訳とが含まれる。ある態様では、組合せには、ミトコンドリア生合成、ストレスプロテオームの活性化と、遺伝子、および(a)熱ショックおよび変性タンパク質が含まれる遺伝子、(b)オートファジー反応のための遺伝子、(c)抗酸化反応のための遺伝子、および(d)c-jun-N-末端キナーゼ経路のための遺伝子によってコードされるタンパク質の転写および/または翻訳とが含まれる。ある態様において、組合せには、ペルオキシソーム増殖、ストレスプロテオームの活性化と、遺伝子、および(a)熱ショックおよび変性タンパク質が含まれる遺伝子、(b)オートファジー反応のための遺伝子、(c)抗酸化反応のための遺伝子、および(d)c-jun-N-末端キナーゼ経路のための遺伝子によってコードされるタンパク質の転写および/または翻訳とが含まれる。
【0086】
開示される自閉症を処置する方法では、熱ショックタンパク質のための遺伝子は、熱ショックタンパク質40、70、および/または90のファミリーのための遺伝子であることができる。ある態様では、熱ショックタンパク質のための遺伝子には、熱ショックタンパク質40ファミリーのメンバーのための遺伝子が含まれる。ある態様では、熱ショックタンパク質のための遺伝子には、熱ショックタンパク質70ファミリーのメンバーのための遺伝子が含まれる。ある態様では、熱ショックタンパク質のための遺伝子には、熱ショックタンパク質90ファミリーのメンバーのための遺伝子が含まれる。ある態様では、熱ショックタンパク質のための遺伝子には、熱ショックタンパク質40および70ファミリーメンバーのための遺伝子が含まれる。ある態様では、熱ショックタンパク質のための遺伝子には、熱ショックタンパク質40および90ファミリーメンバーのための遺伝子が含まれる。ある態様では、熱ショックタンパク質のための遺伝子には、熱ショックタンパク質70および90ファミリーメンバーのための遺伝子が含まれる。ある態様では、熱ショックタンパク質のための遺伝子には、熱ショックタンパク質40、熱ショックタンパク質70、および熱ショックタンパク質90ファミリーメンバーのための遺伝子が含まれる。
【0087】
開示される自閉症を処置する方法では、変性タンパク質遺伝子には、グルコース調節タンパク質78(BIP)、プロテインキナーゼRNA様小胞体キナーゼ(PERK)、イノシトール要求性1(inositol requiring 1、イノシトールリクワイアリング1)(IRE1)、および/または活性化転写因子6が含まれうる。ある態様では、変性タンパク質遺伝子はグルコース調節タンパク質78(BIP)である。ある態様では、変性タンパク質遺伝子はPERKである。ある態様では、変性タンパク質遺伝子はイノシトール要求性1(IRE1)である。ある態様において、変性タンパク質遺伝子は転写因子6である。
【0088】
開示される自閉症を処置する方法のある態様では、変性タンパク質遺伝子には、グルコース調節タンパク質78(BIP)、プロテインキナーゼRNA様小胞体キナーゼ(PERK)、イノシトール要求性1(IRE1)および/または活性化転写因子6の組合せが含まれる。ある態様において、変性タンパク質遺伝子の組合せには、グルコース調節タンパク質78(BIP)およびPERKが含まれる。ある態様において、変性タンパク質遺伝子の組合せには、グルコース調節タンパク質78(BIP)およびイノシトール要求性1(IRE1)が含まれる。ある態様において、変性タンパク質遺伝子の組合せには、グルコース調節タンパク質78(BIP)および活性化転写因子6が含まれる。ある態様において、変性タンパク質遺伝子の組合せには、PERKおよびイノシトール要求性1(IRE1)が含まれる。ある態様において、変性タンパク質遺伝子の組合せには、PERKおよび活性化転写因子6が含まれる。ある態様において、変性タンパク質遺伝子の組合せには、グルコース調節タンパク質78(BIP)、PERKおよびイノシトール要求性1(IRE1)が含まれる。開示される自閉症を処置する方法のある態様では、変性タンパク質遺伝子には、グルコース調節タンパク質78(BIP)、PERK、および活性化転写因子6の組合せが含まれる。開示される自閉症を処置する方法のある態様では、変性タンパク質遺伝子には、グルコース調節タンパク質78(BIP)、イノシトール要求性1(IRE1)、および活性化転写因子6の組合せが含まれる。開示される自閉症を処置する方法のある態様では、変性タンパク質遺伝子には、PERK、イノシトール要求性1(IRE1)、および活性化転写因子6の組合せが含まれる。
【0089】
開示される自閉症を処置する方法では、オートファジー反応遺伝子には、ベクリン-1(BCN1)、オートファジータンパク質5(ATG5)、および/または微小管関連(結合)タンパク質1軽鎖3(LC3またはAPG8)が含まれうる。ある態様において、オートファジー反応遺伝子はベクリン-1(BCN1)である。ある態様では、オートファジー反応遺伝子はオートファジータンパク質5(ATG5)である。ある態様では、オートファジー反応遺伝子は微小管関連タンパク質1軽鎖3(LC3またはAPG8)である。ある態様において、オートファジー反応遺伝子には、ベクリン-1(BCN1)、オートファジータンパク質5(ATG5)、および/または微小管関連タンパク質1軽鎖3(LC3またはAPG8)の組合せが含まれる。ある態様では、組合せには、ベクリン-1(BCN1)およびオートファジータンパク質5(ATG5)が含まれる。ある態様において、組合せには、ベクリン-1(BCN1)および微小管関連タンパク質1軽鎖3(LC3またはAPG8)が含まれる。ある態様では、組合せには、オートファジータンパク質5(ATG5)および微小管関連タンパク質1軽鎖3(LC3またはAPG8)が含まれる。
【0090】
開示される自閉症を処置する方法では、抗酸化反応遺伝子には、核因子赤血球系2(nuclear factor erythroid 2、赤血球転写因子2)-様2(-like 2)(NFE2L2)、ヘムオキシゲナーゼ1(HMOX1)、およびスーパーオキシドジスムターゼ2(SOD2)の発現が含まれうる。ある態様では、抗酸化反応遺伝子は核因子赤血球系2-様2(NFE2L2)である。ある態様では、抗酸化反応遺伝子はヘムオキシゲナーゼ1(HMOX1)である。ある態様において、抗酸化反応遺伝子はスーパーオキシドジスムターゼ2(SOD2)である。ある態様において、抗酸化反応遺伝子は、核因子赤血球系2-様2(NFE2L2)、ヘムオキシゲナーゼ1(HMOX1)、および/またはスーパーオキシドジスムターゼ2(SOD2)の組合せの発現が含まれる。ある態様では、抗酸化反応遺伝子には、核因子赤血球系2-様2(NFE2L2)およびヘムオキシゲナーゼ1(HMOX1)の組合せの発現が含まれる。ある態様では、抗酸化反応遺伝子には、核因子赤血球系2-様2(NFE2L2)およびスーパーオキシドジスムターゼ2(SOD2)の組合せの発現が含まれる。ある態様では、抗酸化反応遺伝子には、ヘムオキシゲナーゼ1(HMOX1 )およびスーパーオキシドジスムターゼ2(SOD2)の組合せの発現が含まれる。ある態様において、抗酸化反応遺伝子には、核因子赤血球系2-様2(NFE2L2)、ヘムオキシゲナーゼ1(HMOX1)、およびスーパーオキシドジスムターゼ2(SOD2)の組合せの発現が含まれる。
【0091】
開示される自閉症を処置する方法では、対象体の少なくとも一つの細胞は対象体の脳内に位置する。ある態様では、対象体の少なくとも一つの細胞は対象体の脳内にない。ある態様において、一般的ストレス反応は、対象体のすべての細胞ではあるが、異なる程度に起こる。ある態様では、細胞が一般的ストレス反応を例証する程度は、特定の組織および細胞タイプに依存する。たとえば、ある態様において、対象体の脳において細胞は、高いエネルギー必要量およびミトコンドリア活性のために感受性である。
【0092】
開示される自閉症を処置する方法において、組成物には、一以上のヒストンデアセチラーゼインヒビターが含まれる。開示される自閉症を処置する方法において、組成物には、一以上のクラスIヒストンデアセチラーゼインヒビターが含まれる。たとえば、ある態様において、組成物には、4-フェニルブチラートが含まれる。ある態様では、組成物には、ナトリウムブチラートが含まれる。ある態様では、組成物には、トリコスタチンAが含まれる。ある態様では、組成物には、4-フェニルブチラート、ナトリウムブチラート、および/またはトリコスタチンAを含む組合せが含まれる。たとえば、ある態様において、組成物には、フェニルブチラートおよびナトリウムブチラートを含む組合せが含まれる。ある態様では、組成物には、フェニルブチートおよびトリコスタチンAを含む組合せが含まれる。ある態様においては、組成物には、ナトリウムブチラートおよびトリコスタチンAを含む組合せが含まれる。ある態様では、組成物には、フェニルブチラート、ナトリウムブチラート、およびトリコスタチンAを含む組合せが含まれる。
【0093】
開示される自閉症を処置する方法では、組成物には、ヒドロキシウレアが含まれる。
【0094】
開示される自閉症を処置する方法において、組成物には、一以上のクラスIIヒストンデアセチラーゼインヒビターが含まれる。
【0095】
開示される自閉症を処置する方法では、組成物には、スルフォラファンまたはスルフォラファン誘導体または類似体、またはそれらの組合せが含まれる。
【0096】
開示される自閉症を処置する方法では、組成物には、スルフォラファンのジトカルバマート(dithocarbamate)代謝産物が含まれる。
【0097】
開示される自閉症を処置する方法において、組成物には、ヒストンデアセチラーゼインヒビター、クラスIヒストンデアセチラーゼインヒビター、クラスIIヒストンデアセチラーゼインヒビター、4-フェニルブチラート、トリコスタチンA、ヒドロキシウレア、スルフォラファンまたはスルフォラファン類似体、またはスルフォラファンジトカルバマート(dithocarbamate)代謝産物のうちの少なくとも一種が含まれる。ある態様において、組成物には、ヒストンデアセチラーゼインヒビター、クラスIヒストンデアセチラーゼインヒビター、クラスIIヒストンデアセチラーゼインヒビター、4-フェニルブチラート、トリコスタチンA、ヒドロキシウレア、スルフォラファンまたはスルフォラファン類似体、またはスルフォラファンジトカルバマート代謝産物の組合せが含まれる。ある態様において、組成物には、ヒストンデアセチラーゼインヒビター、たとえば、クラスIヒストンデアセチラーゼインヒビターまたはクラスIIヒストンデアセチラーゼインヒビター、および以下の一以上のようなものの組合せが含まれる:4-フェニルブチラート、トリコスタチンA、ヒドロキシウレア、スルフォラファンまたはスルフォラファン類似体、またはスルフォラファンジトカルバマート代謝産物。ある態様では、組成物には、4-フェニルブチラート、トリコスタチンA、ヒドロキシウレア、およびスルフォラファンまたはスルフォラファン類似体の組合せが含まれる。
【0098】
開示される自閉症を処置する方法では、組成物には、次の式で表される構造として存在する化合物またはサブグループまたはその薬学的に許容可能な塩が含まれる。
【化5-1】
【化5-2】
【0099】
開示される自閉症を処置する方法において、組成物には、さらに薬学的賦形剤または希釈剤、または組成物の適切な投与のためのデリバリービヒクルにおいて使用される調剤の成分が含まれる。
【0100】
開示される自閉症を処置する方法では、組成物は、経口的に、局所に、注射、血管内で、皮下、筋肉内、経鼻によって、または他の既知の投与の経路によって投与される。開示される自閉症を処置する方法において、組成物は一以上の回数投与される。たとえば、ある態様において、組成物は、一日あたり少なくとも一回投与される。ある態様において、組成物は連続的に投与される。ある態様において、組成物は断続的に投与される。ある態様(asepct)において、投与は繰り返すことができ、たとえば、一日一回、または一日あたり二回以上、または一週あたり一回または週あたり二回以上、または隔週、または月あたり一回、月あたり一回以上、または一日おき、または隔週、または月にわたり毎回(every over month)、または隔年、その他などである。
【0101】
開示される自閉症を処置する方法には、さらに、対象体の神経疾患または神経障害、たとえば、自閉症または一以上の自閉症スペクトラム障害のようなものの進行を評価することが含まれる。臨床医(例は、医師)または研究者は、予定(スケジュール)された時間での対象体を評価することができる。たとえば、ある態様では、ヒト対象体についてのデータの取得は、定期的に実行することができ、そこでは予定時間は、対象体の生活のための3ヶ月、6ヶ月、9ヶ月、または毎年、隔年毎、5年毎、10年毎などのような定期的な間隔で発生する。ある態様では、予定された時間は周期的である必要はない。別の例として、ある態様では、非ヒト対象のデータの取得は、非ヒト対象の生活のための、毎週、隔週、毎月、隔月、3ヶ月毎、6ヶ月毎、9ヶ月毎、毎年、隔年でのように、一定間隔で予定された時間に定期的に遂行することができる。
【0102】
自閉症スペクトラム障害を処置する方法
【0103】
ここに開示されるのは、一以上の自閉症スペクトラム障害を処置する方法である。
【0104】
ここに開示されるのは、一以上の自閉症スペクトラム障害を処置する方法であり、それには、一以上の自閉症スペクトラム障害と判断された対象体に、個員の少なくとも一つの細胞において一般的細胞ストレス反応を誘導する化合物が含まれる製薬上組成物の有効量を投与することが含まれる。
【0105】
ここに開示されるのは、一以上の自閉症スペクトラム障害を処置する方法であり、それには、一以上の自閉症スペクトラム障害と判断された対象体に、行動症状の測定可能な効果を調節する製薬上組成物の有効量を投与することが含まれる。
【0106】
ここに開示されるのは、一以上の自閉症スペクトラム障害を処置する方法であり、それには、一以上の自閉症スペクトラム障害と判断された対象体に、処置される対象体の社会的反応性を調節する製薬上組成物の有効量を投与することが含まれる。当業者は、自閉症または自閉症スペクトラム障害を有する対象体の社会的反応性を、Constantinoら、2003年に説明されるように、よく知る(J Autism Devel Disorders、33:427-433、そこでは、Social Responsiveness ScaleまたはSRS- a well-validated measure of autistic traitsを議論する。)。
【0107】
開示される一以上の自閉症スペクトラム障害を処置する方法では、対象体は、雄性または雌性である。ある態様において、対象は特定の齢または性を意味しない。したがって、成体および新生の対象、ならびに胎仔が、雄性または雌性かどうかにかかわらず、含まれることが意図される。ある態様において、対象は哺乳動物である。
【0108】
開示される一以上の自閉症スペクトラム障害を処置する方法では、対象体の少なくとも一つの細胞においてストレスプロテオームが刺激される。開示される自閉症を処置する方法では、対象体の少なくとも一つの細胞において、増大した亜酸化窒素産生を測定する。
【0109】
開示される一以上の自閉症スペクトラム障害を処置する方法では、対象体の少なくとも一つの細胞において、ストレス感知オルガネラ(以下には、「ストレス感知細胞小器官」と記載することがある。)は組成物の投与に先立つ量から増加する。ストレス感知細胞小器官は、ミトコンドリア(mitrochondrion)またはペルオキシソームであることができる。ある態様において、ストレス感知オルガネラはミトコンドリアである。ある態様において、ストレス感知オルガネラはペルオキシソームである。
【0110】
開示される一以上の自閉症スペクトラム障害を処置する方法では、自閉症を処置する開示された方法の一般的細胞ストレス反応には、以下のうちの少なくとも一つが含まれる:(1)ミトコンドリア生合成、(2)ペルオキシソーム増殖、(3)ストレスプロテオームの活性化、または(4)遺伝子、および(a)熱ショックおよび変性タンパク質が含まれる遺伝子、(b)オートファジー反応のための遺伝子、(c)抗酸化反応のための遺伝子、および(D)c-jun-N-末端キナーゼ経路のための遺伝子によってコードされるタンパク質の転写および/または翻訳。ある態様では、一般的細胞ストレス反応には、以下の一よりも多くのものが含まれる:(1)ミトコンドリア生合成、(2)ペルオキシソーム増殖、(3)ストレスプロテオームの活性化、または(4)遺伝子、および(a)熱ショックおよび変性タンパク質が含まれる遺伝子、(b)オートファジー反応のための遺伝子、(c)抗酸化反応のための遺伝子、および(d)c-jun-N-末端キナーゼ経路のための遺伝子によってコードされるタンパク質の転写および/または翻訳。
【0111】
たとえば、ある態様において、組合せには、ミトコンドリア生合成およびペルオキシソーム増殖が含まれる。ある態様では、組合せには、ミトコンドリア生合成とストレスプロテオームの活性化とが含まれる。ある態様において、組合せには、ミトコンドリア生合成と、遺伝子、および(a)熱ショックおよび変性タンパク質が含まれる遺伝子、(b)オートファジー反応のための遺伝子、(c)抗酸化反応のための遺伝子、および(d)c-jun-N-末端キナーゼ経路のための遺伝子によってコードされるタンパク質の転写および/または翻訳とが含まれる。ある態様において、組合せには、ペルオキシソーム増殖とストレスプロテオームの活性化とが含まれる。
【0112】
ある態様において、組合せには、ペルオキシソーム増殖と、遺伝子、および(a)熱ショックおよび変性タンパク質が含まれる遺伝子、(b)オートファジー反応のための遺伝子、(c)抗酸化反応のためのの遺伝子、および(d)c-jun-N-末端キナーゼ経路のためのの遺伝子によってコードされるタンパク質の転写および/または翻訳とが含まれる。ある態様において、組合せには、ストレスプロテオームの活性化と、遺伝子、および(a)熱ショックおよび変性タンパク質が含まれる遺伝子、(b)オートファジー反答のための遺伝子、(c)抗酸化反応のための遺伝子、および(d)c-jun-N-末端キナーゼ経路のための遺伝子によってコードされるタンパク質の転写および/または翻訳とが含まれる。ある態様において、組合せには、ミトコンドリア生合成、ペルオキシソーム増殖、およびストレスプロテオームの活性化が含まれる。ある態様において、組合せには、ミトコンドリア生合成、ペルオキシソーム増殖と、遺伝子、および(a)熱ショックおよび変性タンパク質が含まれる遺伝子、(b)オートファジー反応のための遺伝子、(c)抗酸化反応のための遺伝子、および(d)c-jun-N-末端キナーゼ経路のための遺伝子によってコードされるタンパク質の転写および/または翻訳とが含まれる。ある態様において、組合せには、ミトコンドリア生合成、ストレスプロテオームの活性化と、遺伝子、および(a)熱ショックおよび変性タンパク質が含まれる遺伝子、(b)オートファジー反応のための遺伝子、(c)抗酸化反応のための遺伝子、および(d)c-jun-N-末端キナーゼ経路のための遺伝子によってコードされるタンパク質の転写および/または翻訳とが含まれる。ある態様において、組合せには、ペルオキシソーム増殖、ストレスプロテオームの活性化と、遺伝子、および(a)熱ショックおよび変性タンパク質が含まれる遺伝子(b)オートファジー反応のための遺伝子、(c)抗酸化反応のための遺伝子、および(d)c-jun-N-末端キナーゼ経路のための遺伝子によってコードされるタンパク質の転写および/または翻訳とが含まれる。
【0113】
開示される一以上の自閉症スペクトラム障害を処置する方法では、熱ショックタンパク質のための遺伝子は、熱ショックタンパク質40、70、および/または90ファミリーのメンバーのための遺伝子であることができる。ある態様では、熱ショックタンパク質のための遺伝子には、熱ショックタンパク質40ファミリーメンバーのための遺伝子が含まれる。ある態様では、熱ショックタンパク質のための遺伝子には、熱ショックタンパク質70ファミリーメンバーのための遺伝子が含まれる。ある態様では、熱ショックタンパク質のための遺伝子には、熱ショックタンパク質90ファミリーメンバーのための遺伝子が含まれる。ある態様では、熱ショックタンパク質のための遺伝子には、熱ショックタンパク質40および70ファミリーメンバーのための遺伝子が含まれる。ある態様では、熱ショックタンパク質のための遺伝子には、熱ショックタンパク質40および90ファミリーメンバーのための遺伝子が含まれる。ある態様では、熱ショックタンパク質のための遺伝子には、熱ショックタンパク質70および90ファミリーメンバーのための遺伝子が含まれる。ある態様では、熱ショックタンパク質のための遺伝子には、熱ショックタンパク質40、熱ショックタンパク質70、および熱ショックタンパク質90ファミリーメンバーのための遺伝子が含まれる。
【0114】
開示される一以上の自閉症スペクトラム障害を処置する方法では、変性タンパク質遺伝子には、グルコース調節タンパク質78(BIP)、プロテインキナーゼRNA様小胞体キナーゼ(PERK)、イノシトール要求性1(IRE1)、および/または活性化転写因子6が含まれる。ある態様では、変性タンパク質遺伝子はグルコース調節タンパク質78(BIP)である。ある態様では、変性タンパク質遺伝子はPERKである。ある態様において、変性タンパク質遺伝子はイノシトール要求性1(IRE1)である。ある態様において、変性タンパク質遺伝子は転写因子6である。
【0115】
開示される一以上の自閉症スペクトラム障害を処置する方法のある態様において、変性タンパク質遺伝子には、グルコース調節タンパク質78(BIP)、プロテインキナーゼRNA様小胞体キナーゼ(PERK)、イノシトール要求性1(IRE1)、および/または活性化転写因子6の組合せが含まれる。ある態様において、変性タンパク質遺伝子の組合せは、グルコース調節タンパク質78(BIP)およびPERKを含む。ある態様において、変性タンパク質遺伝子の組合せは、グルコース調節タンパク質78(BIP)およびイノシトール要求性1(IRE1)を含む。ある態様において、変性タンパク質遺伝子の組合せは、グルコース調節タンパク質78(BIP)および活性化転写因子6を含む。ある態様において、変性タンパク質遺伝子の組合せは、PERKおよびイノシトール要求性1(IRE1)を含む。ある態様において、変性タンパク質遺伝子の組合せは、PERKおよび活性化転写因子6を含む。ある態様において、変性タンパク質遺伝子の組合せは、グルコース調節タンパク質78(BIP)、PERKおよびイノシトール要求性1(IRE1)を含む。開示される自閉症を処置する方法のある態様では、変性タンパク質遺伝子は、グルコース調節タンパク質78(BIP)、PERK、および活性化転写因子6の組合せを含む。開示される自閉症を処置する方法のある態様では、変性タンパク質遺伝子は、グルコース調節タンパク質78(BIP)、イノシトール要求性1(IRE1)、および活性化転写因子6の組合せを含む。開示される自閉症を処置する方法のある態様において、変性タンパク質遺伝子には、PERK、イノシトール要求性1(IRE1)、および活性化転写因子6の組合せが含まれる。
【0116】
開示される一以上の自閉症スペクトラム障害を処置する方法において、オートファジー反応遺伝子には、ベクリン-1(BCN1)、オートファジータンパク5(ATG5)、および/または微小管結合タンパク質1軽鎖3(LC3またはAPG8 )が含まれる。ある態様において、オートファジー反応遺伝子はベクリン-1(BCN1)である。ある態様では、オートファジー反応遺伝子はオートファジータンパク質5(ATG5)である。ある態様では、オートファジー反応遺伝子は微小管結合タンパク質1軽鎖3(LC3またはAPG8)である。ある態様において、オートファジー反応遺伝子には、ベクリン-1(BCN1)、オートファジータンパク質5(ATG5)、および/または微小管結合タンパク質1軽鎖3(LC3またはAPG8)の組合せが含まれる。ある態様では、組合せには、ベクリン-1(BCN1)およびオートファジータンパク質5(ATG5)が含まれる。ある態様において、組合せには、ベクリン-1(BCN1)および微小管結合タンパク質1軽鎖3(LC3またはAPG8)が含まれる。ある態様では、組合せは、オートファジータンパク質5(ATG5)および微小管結合タンパク質1軽鎖3(LC3またはAPG8)が含まれる。
【0117】
開示される一以上の自閉症スペクトラム障害を処置する方法では、抗酸化(物質)反応遺伝子には、核因子赤血球系2-様2(NFE2L2)、ヘムオキシゲナーゼ1(HMOX1)、およびスーパーオキシドジスムターゼ2(SOD2)の発現が含まれる。ある態様において、抗酸化反応遺伝子は核因子赤血球系2-様2(NFE2L2)である。ある態様では、抗酸化反応遺伝子はヘムオキシゲナーゼ1(HMOX1)である。ある態様では、抗酸化反応遺伝子はスーパーオキシドジスムターゼ2(SOD2)である。ある態様では、抗酸化反応遺伝子は、核因子赤血球系2-様2(NFE2L2)、ヘムオキシゲナーゼ1(HMOX1)、および/またはスーパーオキシドジスムターゼ2(SOD2)の組合せの発現を含む。ある態様では、抗酸化反応遺伝子は、核因子赤血球系2-様2(NFE2L2)およびヘムオキシゲナーゼ1(HMOX1)の組合せの発現を含む。ある態様では、抗酸化反応遺伝子は、核因子赤血球系2-様2(NFE2L2)およびスーパーオキシドジスムターゼ2(SOD2)の組合せの発現を含む。ある態様では、抗酸化反応遺伝子は、ヘムオキシゲナーゼ1(HMOX1)およびスーパーオキシドジスムターゼ2(SOD2)の組合せの発現を含む。ある態様において、抗酸化反応遺伝子は、核因子赤血球系2-様2(NFE2L2)、ヘムオキシゲナーゼ1(HMOX1)、およびスーパーオキシドジスムターゼ2(SOD2)の組合せの発現を含む。
【0118】
開示される一以上の自閉症スペクトラム障害を処置する方法では、対象体の少なくとも一つの細胞は対象体の脳に位置する。ある態様では、対象体の少なくとも一つの細胞は対象体の脳にはない。ある態様において、一般的ストレス反応は、対象体のすべての細胞においてではあるが、異なる程度に起こる。ある態様では、細胞は、一般的ストレス反応が実証される程度は、特定の組織および細胞タイプに依存する。たとえば、ある態様において、対象体の脳において細胞は、高いエネルギー必要性およびミトコンドリア活性のために特に感受性である。
【0119】
開示される一以上の自閉症スペクトラム障害を処置する方法において、組成物には、一以上のクラスIヒストンデアセチラーゼインヒビターが含まれる。たとえば、ある態様において、組成物は4-フェニルブチラートを含む。ある態様において、組成物は、ナトリウムブチラートを含む。ある態様において、組成物はトリコスタチンAを含む。ある態様において、組成物は、4-フェニルブチラート、ナトリウムブチラート、および/またはトリコスタチンAの組合せを含む。たとえば、組成物はフェニルブチラートおよびナトリウムブチラートが含まれる組合せを含む。ある態様において、組成物は、フェニルブチラートおよびトリコスタチンAが含まれる組合せを含む。ある態様においては、組成物は、ナトリウムブチラートおよびトリコスタチンAが含まれる組合せを含む。ある態様において、組成物は、フェニルブチラート、ナトリウムブチラート、およびトリコスタチンAが含まれる組合せを含む。
【0120】
開示される一以上の自閉症スペクトラム障害を処置する方法において、組成物はヒドロキシウレアを含む。
【0121】
開示される一以上の自閉症スペクトラム障害を処置する方法において、組成物は一以上のクラスIIヒストンデアセチラーゼインヒビターを含む。
【0122】
開示される一以上の自閉症スペクトラム障害を処置する方法において、組成物はスルフォラファンまたはスルフォラファン誘導体または類似体を含む。
【0123】
開示される一以上の自閉症スペクトラム障害を処置する方法において、組成物はスルフォラファンジトカルバマート(dithocarbamate)代謝産物を含む。
【0124】
開示される一以上の自閉症スペクトラム障害を処置する方法において、組成物は、少なくとも一つの、ヒストンデアセチラーゼインヒビター、クラスIヒストンデアセチらーゼインヒビター、クラスIIヒストンデアセチラーゼインヒビター、4-フェニルブチラート、トリコスタチンA、ヒドロキシウレア、スルフォラファンまたはスルフォラファン類似体、またはスルフォラファンジトカルバマート代謝産物を含む。ある態様において、組成物は、ヒストンデアセチラーゼインヒビター、クラスIヒストンデアセチラーゼインヒビター、クラスIIヒストンデアセチラーゼインヒビター、4-フェニルブチラート、トリコスタチンA 、ヒドロキシウレア、スルフォラファンまたはスルフォラファン類似体、またはスルフォラファンジトカルバマート代謝産物の組合せを含む。ある態様において、組成物は、ヒストンデアセチラーゼインヒビター、たとえば、クラスIヒストンデアセチラーゼインヒビターまたはクラスIIヒストンデアセチラーゼインヒビターのようなもの、および以下の一以上のものの組合せを含む:4-フェニルブチラートトリコスタチンA、ヒドロキシウレア、スルフォラファンまたはスルフォラファン類似体、またはスルフォラファンジトカルバマート代謝産物。ある態様において、組成物は、4-フェニルブチラート、トリコスタチンA、ヒドロキシウレア、およびスルフォラファンまたはスルフォラファン類似体の組合せを含む。
【0125】
開示される一以上の自閉症スペクトラム障害を処置する方法において、組成物は、次の式で表される構造として存在する化合物またはサブグループまたはその薬学的に許容可能な塩を含む。
【化6-1】
【化6-2】
【0126】
開示される一以上の自閉症スペクトラム障害を処置する方法では、組成物はさらに薬学的賦形剤または希釈剤、または組成物の適切な投与のためにデリバリービヒクルにおいて用いる調剤物の成分を含む。
【0127】
開示される一以上の自閉症スペクトラム障害を処置する方法において、組成物は、経口的に、局所に、注射、経鼻によって、または投与の他の既知の経路によって投与される。
【0128】
開示される一以上の自閉症スペクトラム障害を処置する方法において、組成物は、一以上の回数投与される。たとえば、ある態様において、組成物は一日あたり少なくとも一回投与される。ある態様において、組成物は連続的に投与される。ある態様では、組成物は間欠的に投与される。ある態様(asepct)において、投与は繰り返され、たとえば、一日一回、または一日あたり二回以上、または一週あたり一回または週二回以上、または隔週、または一月あたり一回、または月に一回以上、または一日おき、または隔週、または月にわたり毎回、または隔年、などというようにすることができる。
【0129】
開示される一以上の自閉症スペクトラム障害を処置する方法はさらに、対象体の神経疾患または神経障害、たとえば、自閉症または一以上の自閉症スペクトラム障害などのようなものの進行を評価することを含むことができる。臨床医(例は、医師)または研究者は、予定された時間に対象体を評価することができる。たとえば、ある態様では、ヒト対象のためのデータの取得は、定期的に実行することができ、そこでは、予定された時間は、定期的な間隔、たとえば、3ヶ月、6ヶ月、9ヶ月毎、または対象の生活について、毎年、隔年毎、5年毎、10年毎、などで生じる。ある態様では、予定された時間は周期的である必要はない。別の例として、ある態様では、非ヒト対象についてのデータの取得は、一定間隔をおいた予定時間、たとえば、非ヒト対象の生活について、毎週、隔週、毎月、隔月、3ヶ月毎、6ヶ月毎、9ヶ月、毎年、隔年などのように定期的に遂行することができる。
【0131】
ここに開示するのは、自閉症または自閉症関連障害の処置における化合物の有効性を定める方法であり、それには、第一の細胞に、テストされる化合物の有効量を投与すること、第一の細胞の反応を、一般化されたストレス反応を誘導する化合物で処理した同じ細胞の反応と比較すること、およびテストした化合物が細胞において一般的細胞ストレス反応を誘導するかまたは否かを定めることを含む。ある態様では、細胞は正常ヒト線維芽細胞である。ある態様において、細胞はXALD線維芽細胞である。ある態様では、細胞はK562細胞である。
【0132】
開示される自閉症または自閉症関連障害の処置における化合物の有効性を定める方法では、細胞は対象体からのものである。ある態様において、対象は雄性または雌性である。ある態様において、対象は特定の齢または性を意味しない。したがって、成体および新生の対象、ならびに胎仔は、雄性または雌性であろうとなかろうと含まれることが意図される。ある態様では、対象は哺乳動物である。
【0133】
開示される自閉症または自閉症関連障害の処置における化合物の有効性を定める方法では、第一の細胞のストレスプロテオームが刺激される。開示される自閉症または自閉症関連障害の処置における化合物の有効性を定める方法では、増大した亜酸化窒素産生は第一細胞において測定される。
【0134】
開示される自閉症または自閉症関連障害の処置における化合物の有効性を定める方法において開示された方法では、ストレス感知オルガネラは、第一細胞において化合物の投与に先立つ量から増大される。ストレス感知オルガネラは、ミトコンドリア(mitrochondrion)またはペルオキシソームであることができる。ある態様において、ストレス感知オルガネラはミトコンドリアである。ある態様において、ストレス感知オルガネラはペルオキシソームである。
【0135】
開示される自閉症または自閉症関連障害の処置における化合物の有効性を定める方法では、一般的細胞ストレス反応は、以下の少なくとも一つを含む:(1)ミトコンドリア生合成、(2)ペルオキシソーム増殖、(3 )ストレスプロテオームの活性化、または(4)遺伝子、および(a)熱ショックおよび変性タンパク質が含まれる遺伝子、(b)オートファジー反応のための遺伝子、(c)抗酸化反応のための遺伝子、および(d)c-jun-N-末端キナーゼ経路のための遺伝子によってコードされるタンパク質の転写および/または翻訳。ある態様では、一般的細胞ストレス反応は、以下の一よりも多くのものを含む:(1)ミトコンドリア生合成、(2)ペルオキシソーム増殖、(3)ストレスプロテオームの活性化、または(4)遺伝子、および(a)熱ショックおよび変性タンパク質が含まれる遺伝子、(b)オートファジー反応のための遺伝子、(c)抗酸化反応のための遺伝子、および(d)c-jun-N-末端キナーゼ経路のための遺伝子によってコードされるタンパク質の転写および/または翻訳。
【0136】
たとえば、ある態様では、組合せには、ミトコンドリア生合成およびペルオキシソーム増殖が含まれる。ある態様では、組合せには、ミトコンドリア生合成とストレスプロテオームの活性化とが含まれる。ある態様において、組合せは、ミトコンドリア生合成と、遺伝子および(a)熱ショックおよび変性タンパク質が含まれる遺伝子、(b)オートファジー反応のための遺伝子、(c)抗酸化反応のための遺伝子、および(d)c-jun-N-末端キナーゼ経路のための遺伝子によってコードされるタンパク質の転写および/または翻訳とを含む。ある態様において、組合せは、ペルオキシソーム増殖とストレスプロテオームの活性化とを含む。
【0137】
ある態様において、組合せは、ペルオキシソーム増殖と、遺伝子、および(a)熱ショックおよび変性タンパク質が含まれる遺伝子、(b)オートファジー反応のための遺伝子、(c)抗酸化反応のための遺伝子、および(d)c-jun-N-末端キナーゼ経路のための遺伝子によってコードされるタンパク質の転写および/または翻訳とを含む。ある態様において、組合せは、ストレスプロテオームの活性化と、遺伝子、および(a)熱ショックおよび変性タンパク質が含まれる遺伝子、(b)オートファジー反応のための遺伝子、(c)抗酸化反応のための遺伝子、および(d)c-jun-N-末端キナーゼ経路のための遺伝子によってコードされるタンパク質の転写および/または翻訳とを含む。ある態様において、組合せは、ミトコンドリア生合成と、ペルオキシソーム増殖と、ストレスプロテオームの活性化とを含む。ある態様において、組合せは、ミトコンドリア生合成、ペルオキシソーム増殖と、遺伝子、および(a)熱ショックおよび変性タンパク質が含まれる遺伝子、(b)オートファジー反応のための遺伝子、(c)抗酸化反応のための遺伝子、および(d)c-jun-N-末端キナーゼ経路のための遺伝子によってコードされるタンパク質の転写および/または翻訳とを含む。ある態様において、組合せは、ミトコンドリア生合成、ストレスプロテオームの活性化と、遺伝子、および(a)熱ショックおよび変性タンパク質が含まれる遺伝子、(b)オートファジー反応のための遺伝子、(c)抗酸化反応のための遺伝子、および(d)c-jun-N-末端キナーゼ経路のための遺伝子によってコードされるタンパク質の転写および/または翻訳とを含む。ある態様において、組合せは、ペルオキシソーム増殖、ストレスプロテオームの活性化と、遺伝子、および(a)熱ショックおよび変性タンパク質が含まれる遺伝子、(b)オートファジー反応のための遺伝子、(c)抗酸化反応のための遺伝子、および(d)c-jun-N末端キナーゼ経路のための遺伝子によってコードされるタンパク質の転写および/または翻訳とを含む。
【0138】
開示される自閉症または自閉症関連障害の処置における化合物の有効性を定める方法では、熱ショックタンパク質のための遺伝子は、熱ショックタンパク質40、70、および/または90ファミリーのメンバーのための遺伝子であることができる。ある態様において、熱ショックタンパク質のための遺伝子は熱ショックタンパク質40ファミリーメンバーのための遺伝子を含む。ある態様においては、熱ショックタンパク質のための遺伝子は熱ショックタンパク質70ファミリーメンバーのための遺伝子を含む。ある態様において、熱ショックタンパク質のための遺伝子は熱ショックタンパク質90ファミリーメンバーのための遺伝子を含む。ある態様においては、熱ショックタンパク質のための遺伝子は熱ショックタンパク質40および70ファミリーメンバーのための遺伝子を含む。ある態様では、熱ショックタンパク質のための遺伝子は熱ショックタンパク質40および90ファミリーメンバーのための遺伝子を含む。ある態様では、熱ショックタンパク質のための遺伝子は熱ショックタンパク質70および90ファミリーメンバーのための遺伝子を含む。ある態様では、熱ショックタンパク質のための遺伝子は熱ショックタンパク質40、熱ショックタンパク質70、および熱ショックタンパク質90ファミリーメンバーのための遺伝子を含む。
【0139】
開示される自閉症または自閉症関連障害の処置における化合物の有効性を定める方法においては、変性タンパク質遺伝子には、グルコース調節タンパク質78(BIP)、プロテインキナーゼRNA様小胞体キナーゼ(PERK)、イノシトール要求性1(IRE1)、および/または活性化転写因子6が含まれる。ある態様において、変性タンパク質遺伝子はグルコース調節タンパク質78(BIP)である。ある態様においては、変性タンパク質遺伝子はPERKである。ある態様では、変性タンパク質遺伝子はイノシトール要求性1(IRE1)である。ある態様において、変性タンパク質遺伝子は転写因子6である。
【0140】
開示される自閉症または自閉症関連障害の処置における化合物の有効性を定める方法においては、変性タンパク質遺伝子には、グルコース調節タンパク質78(BIP)、プロテインキナーゼRNA様小胞体キナーゼ(PERK)、イノシトール要求性1(IRE1)、および/または活性化転写因子6の組合せが含まれる。ある態様においては、変性タンパク質遺伝子の組合せは、グルコース調節タンパク質78(BIP)およびPERKを含む。ある態様において、変性タンパク質遺伝子の組合せは、グルコース調節タンパク質78(BIP)およびイノシトール要求性1(IRE1)を含む。ある態様において、変性タンパク質遺伝子の組合せは、グルコース調節タンパク質78(BIP)および活性化転写因子6を含む。ある態様において、変性タンパク質遺伝子の組合せは、PERKおよびイノシトール要求性1(IRE1)を含む。ある態様において、変性タンパク質遺伝子の組合せは、PERKおよび活性化転写因子6を含む。ある態様において、変性タンパク質遺伝子の組合せは、グルコース調節タンパク質78(BIP)、PERKおよびイノシトール要求性1(IRE1)を含む。開示される自閉症を処置する方法のある態様では、変性タンパク質遺伝子は、グルコース調節タンパク質78(BIP)、PERK、および活性化転写因子6の組合せを含む。開示される自閉症を処置する方法のある態様では、変性タンパク質遺伝子は、グルコース調節タンパク質78(BIP)、イノシトール要求性1(IRE1)、および活性化転写因子6の組合せを含む。開示される自閉症を処置する方法のある態様において、変性タンパク質遺伝子は、PERK、イノシトール要求性1(IRE1)、および活性化転写因子6の組合せを含む。
【0141】
開示される自閉症または自閉症関連障害の処置における化合物の有効性を定める方法では、オートファジー反応遺伝子には、ベクリン-1(BCN1)、オートファジータンパク質5(ATG5)、および/または微小管結合タンパク質1軽鎖3(LC3またはAPG8)が含まれる。ある態様において、オートファジー反応遺伝子はベクリン-1(BCN1)である。ある態様では、オートファジー反応遺伝子はオートファジータンパク質5(ATG5)である。ある態様では、オートファジー反応遺伝子は微小管結合タンパク質1軽鎖3(LC3またはAPG8)である。ある態様において、オートファジー反応遺伝子は、ベクリン-1(BCN1)、オートファジータンパク質5(ATG5)、および/または微小管結合タンパク質1軽鎖3(LC3またはAPG8)の組合せを含む。ある態様では、組合せは、ベクリン-1(BCN1)およびオートファジータンパク質5(ATG5)を含む。ある態様において、組合せは、ベクリン-1(BCN1)および微小管結合タンパク質1軽鎖3(LC3またはAPG8)を含む。ある態様では、組合せは、オートファジータンパク質5(ATG5)および微小管結合タンパク質1軽鎖3(LC3またはAPG8)を含む。
【0142】
開示される自閉症または自閉症関連障害の処置における化合物の有効性を定める方法では、抗酸化反応遺伝子には、核因子赤血球系2-様2(NFE2L2)、ヘムオキシゲナーゼ1(HMOX1)、およびスーパーオキシドジスムターゼ2(SOD2)の発現が含まれる。ある態様では、抗酸化反応遺伝子は核因子赤血球系2-様2(NFE2L2)である。ある態様では、抗酸化反応遺伝子はヘムオキシゲナーゼ1(HMOX1)である。ある態様において、抗酸化反応遺伝子はスーパーオキシドジスムターゼ2(SOD2)である。ある態様においては、抗酸化反応遺伝子は、核因子赤血球系2-様2(NFE2L2)、ヘムオキシゲナーゼ1(HMOX1)、および/またはスーパーオキシドジスムターゼ2(SOD2)の組合せの発現を含む。ある態様では、抗酸化反応遺伝子は、核因子赤血球系2-様2(NFE2L2)およびヘムオキシゲナーゼ1(HMOX1)の組合せの発現を含む。ある態様では、抗酸化反応遺伝子は、核因子赤血球系2-様2(NFE2L2)およびスーパーオキシドジスムターゼ2(SOD2)の組合せの発現を含む。ある態様では、抗酸化反応遺伝子は、ヘムオキシゲナーゼ1(HMOX1 )およびスーパーオキシドジスムターゼ2(SOD2)の組合せの発現を含む。ある態様において、抗酸化反応遺伝子は、核因子赤血球系2-様2(NFE2L2)、ヘムオキシゲナーゼ1(HMOX1)、およびスーパーオキシドジスムターゼ2(SOD2)の組合せの発現を含む。
【0143】
開示される自閉症または自閉症関連障害の処置における化合物の有効性を定める方法では、第一細胞は脳細胞である。ある態様においては、第一細胞は脳細胞ではない。ある態様では、一般的ストレス反応は、対象体のすべての細胞においてではあるが、異なる程度に起こる。ある態様では、細胞が一般的ストレス反応を実証する程度は、特定の組織および細胞タイプに依存する。たとえば、ある態様では、脳細胞は、高いエネルギー必要量およびミトコンドリア活性のために特に感受性である。
【0144】
開示される自閉症または自閉症関連障害の処置における化合物の有効性を定める方法において、化合物はクラスIヒストンデアセチラーゼインヒビターを含む。たとえば、ある態様において、化合物は4-フェニルブチラートを含む。ある態様において、化合物はナトリウムブチラートを含む。ある態様において、化合物はトリコスタチンAを含む。ある態様においては、化合物は4-フェニルブチラート、ナトリウムブチラート、および/またはトリコスタチンAの組合せを含む。たとえば、化合物は、フェニルブチラートおよびナトリウムブチラートが含まれる組合せを含む。ある態様において、化合物は、フェニルブチラートおよびトリコスタチンAが含まれる組合せを含む。ある態様において、化合物には、ナトリウムブチラートおよびトリコスタチンAを含む組合せが含まれる。ある態様において、化合物には、フェニルブチラート、ナトリウムブチラート、およびトリコスタチンAを含む組合せが含まれる。
【0145】
開示される自閉症または自閉症関連障害の処置における化合物の有効性を定める方法において、化合物には、ヒドロキシウレアが含まれる。
【0146】
開示される自閉症または自閉症関連障害の処置における化合物の有効性を定める方法において、化合物には、一以上のクラスIIヒストンデアセチラーゼインヒビターが含まれる。
【0147】
開示される自閉症または自閉症関連障害の処置における化合物の有効性を定める方法において、化合物には、スルフォラファンまたはスルフォラファン類似体が含まれる。
【0148】
開示される自閉症または自閉症関連障害の処置における化合物の有効性を定める方法において、化合物には、スルフォラファンジトカルバマート(dithocarbamate)代謝産物が含まれる。
【0149】
開示される自閉症または自閉症関連障害の処置における化合物の有効性を定める方法において、化合物には、少なくとも一つの、ヒストンデアセチラーゼインヒビター、クラスIヒストンデアセチラーゼインヒビター、クラスIIヒストンデアセチラーゼインヒビター、4-フェニルブチラート、トリコスタチンA、ヒドロキシウレア、スルフォラファンまたはスルフォラファン類似体、またはスルフォラファンジトカルバマート代謝産物が含まれる。ある態様において、組成物は、ヒストンデアセチラーゼインヒビター、クラスIヒストンデアセチラーゼインヒビター、クラスIIヒストンデアセチラーゼインヒビター、4-フェニルブチラート、トリコスタチンA、ヒドロキシウレア、スルフォラファンまたはスルフォラファン類似体、またはスルフォラファンジトカルバマート代謝産物の組合せを含む。ある態様において、化合物は、ヒストンデアセチラーゼインヒビター、たとえば、クラスIヒストンデアセチラーゼインヒビターまたはクラスIIヒストンデアセチラーゼインヒビター、および以下の一以上のものの組合せを含む:4-フェニルブチラート、トリコスタチンA 、ヒドロキシウレア、スルフォラファンまたはスルフォラファン類似体、またはスルフォラファンジトカルバマート代謝産物。ある態様では、化合物は、4-フェニルブチラート、トリコスタチンA、ヒドロキシウレア、およびスルフォラファンまたはスルフォラファン類似体の組合せを含む。
【0150】
開示される自閉症または自閉症関連障害の処置におけるテスト化合物の有効性を定める方法では、比較化合物は、テストされる化合物が、アッセイにおいて細胞での有効性または変化についてそれと比較され、次の式で表される構造またはサブグループまたはその薬学的に許容可能な塩として存在する。
【化7-1】
【化7-2】
【0151】
化合物は、インビトロ条件下で、またはインビボ条件下でテストすることができる。
【0153】
本明細書および添付の請求の範囲において用いるように、単数形「あるひとつ(a)」、「あるひとつ(an)」および「その(the)」は、文脈上明確に指示しない限り、複数の指示対象を含む。
【0154】
ここで使用される用語「または」は、特定のリストのいずれかのメンバーを意味し、また、そのリストのメンバーの任意の組合せを含む。
【0155】
範囲は、ここでは一つの特定の「およそ(約)」の値から、および/または別のの特定「およそ(約)」の値まで表すことができる。そのような範囲が表されるとき、さらなる態様には、ある特定の値から、および/または他の特定の値までが含まれる。同様に、値が近似値として表されるとき、先行詞「約」を用いて、その特定の値が別の態様を形成することが理解されるであろう。さらに、各々の範囲の終点は、他の終点に関連して、および他の終点とは独立して、双方で有意であることが理解されるであろう。また、ここに開示される多数の値があり、そして各値は、その値自体に加えてその特定の「およそ(約)」の値としてここに開示されることが理解される。たとえば、値「10」が開示される場合、それで「約10」も開示される。また、2つの特定の単位の間の各単位も開示されることが理解される。たとえば、10および15が開示される場合、それにより、11、12、13、および14も開示されている。
【0156】
ここで用いるように、アブラナ科の芽(スプラウト)は、種子発芽後の発生の初期段階にある植物または実生である。アブラナ科種子は、それらが発芽し成長する環境に置かれる。アブラナ科の芽は、2葉期を介し、およびそれを含む種子発芽後に収穫することができる。
【0157】
ここに用いるように、用語「対象体」は、投与の標的、例は、動物に言及する。したがって、ここに開示される方法の対象は、脊椎動物、たとえば、哺乳類、魚類、鳥類、爬虫類、または両生類などのようなものであることができる。あるいはまた、ここに開示される方法の対象体は、ヒト、非ヒト霊長類、ウマ、ブタ、ウサギ、イヌ、ヒツジ、ヤギ、ウシ、ネコ、モルモットまたはげっ歯類であることができる。この用語は、特定の齢または性を意味しない。したがって、成体および新生の対象、ならびに、胎仔が、雄性または雌にかかわらずに、含まれることが意図される。ある態様では、対象は哺乳動物である。対象はまた、トランスジェニック、非ヒト動物であることができ、制限されないが、トランスジェニックマウスまたはトランスジェニックラットが含まれる。
【0158】
受動体(患者)は、疾患または障害に罹患している対象に言及する。用語「受動体」には、ヒトおよび獣医学に関する対象体が含まれる。開示される方法の若干の態様においては、対象体は、投与ステップに先立ち、自閉症または一以上の自閉症スペクトラム障害の処置のための必要性があると判断される。
【0159】
ここに用いるように、用語「類似体(アナログ)」は、親化合物の構造に由来する構造を有する化合物(例は、ここに開示される化合物)に言及し、およびその構造は、ここに開示されたものと十分に類似し、そしてその類似性に基づき、請求した化合物と同じまたは類似の活性およびユーティリティを見せること、または前駆体として、請求した化合物と同じまたは類似の活性およびユーティリティを誘導することが、当業者によって予想されるであろう。
【0160】
ここで用いるように、「相同物」または「相同体」は、特定の既知の配列と相同性を有するポリペプチドまたは核酸に言及する。具体的に開示されたものは、記載または既知の配列に対して少なくとも40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、 81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99パーセントの相同性を有するここに開示される核酸およびポリペプチドの変異形である。当業者は、二つのタンパク質または核酸の相同性をどのように決定するかを難なく理解する。たとえば、相同性は、相同性がその最高レベルになるように2つの配列を配列決定した(整列させた)後に算出することができる。ここに開示される遺伝子およびタンパク質の任意の変異形、修飾形、または誘導体を定義する一つの方法は、特定の既知の配列に対する相同性の観点から変異形、修飾形、および誘導体を規定することによるものであることが理解される。
【0161】
ここに用いるように、用語「処置」は、疾患、病的状態、または障害、たとえば、自閉症または一以上の自閉症スペクトラム障害などのようなものを、治癒、改善、安定化、または防止する目的で、対象体または受動体の医学的管理に言及する。この用語には、積極的治療、つまり、疾患、病的状態、または障害の改善に特に向けられた治療が含まれ、そしてまた、原因治療、つまり、関連する疾患、病的状態、または障害の原因の除去に向けられた治療が含まれる。加えてまた、この用語には、緩和医療、つまり、疾患、病的状態、または障害の治癒よりはむしろ症状緩解のために設計された処置;予防的治療、すなわち、関連する疾患、病的状態、または障害の発達を最小化または部分的にまたは完全に抑制することに向けた治療;および支持療法、すなわち、関連する疾患、病的状態、または障害の改善に向けられた別の特定の治療を補完するために用いられる処置が含まれる。様々な態様において、この用語は、対象体、哺乳動物(例は、ヒト)を含め、任意の処置を包含し:(i)病気にかかり易いと言えるが、まだそれを診断されていない対象体が疾患から予防されること;(ii)疾患を抑制すること、すなわち、その進行を阻止すること;または(iii)疾患を軽減すること、すなわち、疾患の退行を引き起こすことが含まれる。ある態様において、疾患、病的状態、または障害は、自閉症または一以上の自閉症スペクトラム障害である。
【0162】
ここで用いるように、用語「有効量」および「有効な量」は、望ましい結果を達成するために、または望ましくない状態に影響を与えるために十分である量に言及する。たとえば、「治療上有効な量」は、望ましい治療上の結果を達成するために、または望ましくない症状に対する効果をもたせるのに十分な量を指すが、有害な副作用を引き起こすには不十分なものである。任意の特定の受動体に対する特定の治療上有効な用量レベルは、処置される障害および障害の重症度を含む種々の要因;採用される特定の組成物;受動体の齢、体重、一般的(全体的)健康、性別および食餌;投与時期;投与経路;用いる特定の化合物の排泄速度;処置期間;組み合わせるか、または用いる特定の化合物および医療分野でよく知られる類似因子を伴う偶然による薬の使用に依存するであろう。たとえば、望ましい治療上の効果を達成するために、および望ましい効果が達成されるまでに用量を徐々に増加させるために、必要なものより低いレベルで化合物の用量を開始することは、当該技術分野の技術の範囲内である。必要に応じて、有効な毎日の用量を、投与の目的のために複数の用量に割ることができる。結果として、単回投与用量組成物は、一日用量を構成する量またはその約数を含むことができる。投薬量は、任意の禁忌の場合には、個々の医師によって調整することができる。投薬量は変動させることができ、そして一日に一またはそれよりも多くの用量投与において、一または数日間投与することができる。ガイダンスは、医薬品の所定クラスのための適切な投薬量についての文献に記載されています。さらに、様々な態様において、調製物は、「予防上有効な量」;すなわち、疾患または状態の予防のために有効な量で投与することができる。
【0163】
ここで使用するように、用語「有効量」および「有効な量」は、望ましい結果を達成するために、または望ましくない状態に影響を与えるために十分である量を指す。たとえば、「治療上有効な量」は、望ましい治療上の結果を達成するために、または望ましくない症状に対する効果をもたせるために十分な量を指すが、有害な副作用を引き起こすには大抵は不十分である。任意の特定の受動体に対する特定の治療上有効な用量レベルは、処置される障害および障害の重症度を含む種々の要因;用いられる特定の組成物;受動体の齢、体重、一般的健康、性別および食餌;投与時期;投与経路;用いられる特定の化合物の排泄速度;治療上の期間;組み合わせるか、または用いる特定の化合物および医療分野でよく知られる類似因子を伴う偶然による薬の使用に依存するであろう。
【0164】
別段明確に記載しない限り、任意の方法またはここに記載される態様が、そのステップを特定の順序で実行することを必要とすると解釈されることを意図するものでは決してない。それに応じて、方法クレームが、ステップを特定の順序に制限されるようにクレームまたは説明に具体的に明記していない場合、順序がいかなる点においても、推定されることを意図したものでは決してない。このことは、ステップの配置または動作の流れ(operational flow)、文法的な構成または句読法から派生した明白な意味、または明細書に記載された態様の数または種類に関して、論理の事項を含む解釈のための任意の可能な非明示的な根拠についても同様である。
【0165】
ここで使用されるように、アミノ酸の略語はアミノ酸について慣習的な一文字コードであり、以下のように表現される。すなわち、A、アラニン;B、アスパラギンまたはアスパラギン酸;C、システイン;Dアスパラギン酸;E、グルタマート、グルタミン酸;F、フェニルアラニン;G、グリシン;Hヒスチジン;I、イソロイシン;K、リジン;L、ロイシン;M、メチオニン;N、アスパラギン;P、プロリン;Q、グルタミン;R、アルギニン;S、セリン;T、スレオニン;V、バリン;W、トリプトファン;Y、チロシン;Z、グルタミンまたはグルタミン酸である。
【0166】
ここで用いる「ペプチド」は、任意のペプチド、オリゴペプチド、ポリペプチド、遺伝子産物、発現産物、またはタンパク質に言及する。たとえば、ペプチドは酵素であることができる。ペプチドは連続したアミノ酸から構成される。ポリペプチドは、自然発生(天然)または合成分子を包含し、そして20の遺伝子コードアミノ酸以外の修飾されたアミノ酸を含んでもよい。ポリペプチドは、自然のプロセス、たとえば、翻訳後プロセシングなどのようなものによって、または当技術分野でよく知られる化学修飾技術によってのいずれかで修飾することができる。修飾は、ペプチド骨格、アミノ酸側鎖およびアミノまたはカルボキシル末端を含め、ポリペプチドのどこでも起こりうる。同じタイプの修飾が所定のポリペプチドにおいていくつか(5または6くらい)の部位で同じまたは種々の程度で存在することができる。
【0167】
概して、遺伝子/核酸またはペプチドの生物学的活性または生物学的作用は、遺伝子/核酸またはペプチドによって見せられ、または実行される任意の機能に言及し、それは、インビボで(すなわち、遺伝子/核酸またはペプチドの自然な生理的環境において)またはインビトロで(すなわち、実験室条件下)測定または観察されるように、遺伝子/核酸またはペプチドから自然発生形態に起因する。
【0168】
ここで使用する用語「酵素」は、それ自体が、反応の完了の際に破壊されたり、または変えられたりせずに、他の物質の化学反応を触媒する任意のペプチドを意味する。典型的には、酵素活性を有するペプチドは、1つまたは複数の基質からの1つまたは複数の産物の形成を触媒する。そのようなペプチドは、酵素活性の任意のタイプを、制限されないが、たとえば、ここに開示されるものなどのような酵素と関連した酵素活性または酵素活性群などを含めて有することができる。
【0169】
用語「薬学的に許容可能な」は、生物学的にか、またはその他でも望ましくないものでない、すなわち、望ましくない生物学的効果の許容できないレベルの原因となるか、または有害な仕方で相互作用することのない物質を説明する。ここ用いるように、用語「薬学的に許容可能な担体(キャリヤー)」は、滅菌の水性または非水性溶液、分散物、懸濁物または乳濁物、ならびに使用直前に滅菌注入可能溶液または分散物に再構成するための滅菌粉体を指す。適切な水性および非水性担体、希釈剤、溶媒またはビヒクルの例としては、水、エタノール、ポリオール(グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなどのようなもの)、カルボキシメチルセルロースおよびそれらの適切な混合物、植物油(オリーブ油などのようなもの)および注入可能な有機エステルで、たとえば、オレイン酸エチルなどのようなものが含まれる。適切な流動性は、たとえば、たとえば、レシチンなどのようなコーティング材料の使用によって、分散液の場合には必要な粒子サイズ(粒径)の維持によって、および界面活性剤の使用によって維持することができる。これらの組成物はまた、保存剤、湿潤剤、乳化剤および分散剤などのようなアジュバント(補助剤)を含むことができる。微生物の作用の防止は、たとえば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸などのような種々の抗菌物質および抗真菌剤を含めることによって確保することができる。また、糖、塩化ナトリウムなどのような等張剤を含めることが望ましいことがある。注入可能製薬上形態の持続的吸収は、たとえば、アルミニウムモノステアラートおよびゼラチンなどのような薬剤の包含によってもたらされえ、それらは吸収を遅延させる。注入可能なデポー形態は、たとえば、ポリラクチド-ポリグリコリド、ポリ(オルトエステル)およびポリ(無水物)のような生分解性ポリマーにおいて薬物のマイクロカプセルマトリクスを形成することによって作成される。薬物対ポリマーの比および採用する特定のポリマーの性質に応じて、薬物放出速度を制御することができる。デポー注入調剤物はまた、生体組織と適合するリポソームまたはマイクロエマルジョンにおいて薬物を閉じ込めることによっても調製される。注入可能調剤物は、たとえば、ろ過により細菌保持フィルターに通して、または使用直前に滅菌水または他の滅菌注入可能媒体に溶解または分散させることができる滅菌固形組成物の形態において滅菌剤を組み込むことによって、滅菌することができる。適切な不活性担体には、ラクトースなどのような糖を含むことができる。望ましいことには、活性成分の粒子の少なくとも95重量%は、0.01ないし10マイクロメートルの範囲の有効粒径を有する。
【0170】
ここで使用されるように、「EC
50」は、生物学的プロセス、またはプロセスの構成要素で、タンパク質、サブユニット、オルガネラ、リボ核タンパク質などを含むものの50%の増大または活性化のために必要とされる物質(例は、化合物または薬物)の濃度または用量を指すことが意図される。EC
50はまた、ここのさらに別の場所で規定されるように、インビボで50%の増大または活性化に必要な物質の濃度または用量を指す。代わりに、EC
50は、ベースラインおよび最大の反応の間で反応を中間点で誘発する化合物の濃度または用量に言及することができる。反応は、関心がある生物学的反応のための都合の良い、および適切なように、インビトロまたはインビボシステムにおいて測定することができる。たとえば、反応は、培養された脳細胞を用いてインビトロで、または単離された脳細胞群を有するエキソビボ器官培養システムにおいて測定することができる。代わりに、反応は、マウスおよびラットを含むげっし類動物などのような適切な研究モデルを用いてインビボで測定することができる。必要に応じて、反応は、疾患プロセスを複製するために、必要に応じて遺伝子または遺伝子導入またはノックアウトされている、、トランスジェニックまたはノックアウトマウスまたはラットにおいて測定することができる。
【0171】
ここで使用されるように、「IC
50」は、生物学的プロセス、またはプロセスの構成要素で、タンパク質、サブユニット、細胞小器官、リボ核タンパク質などを含むものの50%抑制または減少のために必要とされる物質(例は、化合物または薬物)の濃度または用量を指すことが意図される。IC
50はまた、ここでのさらに別の場所で規定されるように、インビボで50%の抑制または減少のために必要とされる物質の濃度または用量を指す。あるいは、IC
50はまた、最大値の半分(half maximal)(50%)の抑制濃度(IC、inhibitory concentration)または物質の抑制用量を指す。反応は、関心がある生物学的応答のために都合がよく、および適切なように、インビトロまたはインビボシステムにおいて測定することができる。たとえば、反応は、培養された脳細胞を用いてインビトロで、または単離された脳細胞群を有するエキソビボ器官培養システムにおいて測定することができる。代わりに、反応は、たとえば、げっし類動物で、マウスおよびラットを含めたようなものなどの適切な研究モデルを用いてインビボで測定することができる。必要に応じて、反応は、疾患プロセスを複製するために、必要に応じて、遺伝子または遺伝子導入またはノックアウトされているトランスジェニックまたはノックアウトマウスまたはラットにおいて測定することができる。
【0172】
細胞は、たとえば、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(ATCC)などのような商業上の供給源から得ることができ、そして原核生物または真核生物であることができる。細胞は、液体培地培養で、または組織培養プレート上で、増殖させることができる。増殖条件は、用いる特定の細胞に依存し、そしてこのような条件は、当業者に知られているであろう。宿主細胞のトランスフェクションおよび増殖は、Maniatis(マニアティス)らに記載されている。
【0173】
本明細書の説明および請求の範囲を通して、単語「備える(含む)」および単語の変形、「備わる」および「含まれる」などのようなものは、「制限されないが含まれる」ことを意味し、そしてたとえば、他の添加物、成分、統合またはステップを排除することを意図するものではない。 「例示的」は、「一例」を意味し、好適なまたは理想的な実施形態の指示を伝えることを意図するものではない。「のような」は制限的な意味では用いないが、説明の目的のためのものである。
【0174】
ここで使用されるように、用語「随意の」または「随意に」は、続いて記載される事象または状況が起こるか、または起こり得ないことがあることを意味し、そしてその説明には、前記事象または状況が起こる場合およびそうでない場合が含まれる。
【0175】
ここで使用するように、用語「形質転換」および「トランスフェクション」は、前記細胞の染色体DNAへの核酸の導入を含むレシピエント細胞への核酸、例は、発現ベクターの導入を意味する。当該技術では、レシピエント細胞への核酸の導入を達成するために使用される、様々な組成物、方法、技術等が知られている。この技術では、真核および原核細胞の両方のために、そのような組成物、方法、技術などが知られている。当該技術では、レシピエント細胞へのおよびその内部での核酸の導入および発現の最適化のため、そのような組成物、方法、技術などがよく知られている。
【0176】
ここで使用されるように、用語「接触させる」は、開示された化合物と細胞、標的受容体、遺伝子、ペプチド、または他の生物学的実体を、その化合物が、標的(例は、受容体、転写因子、細胞等)の活性に影響を与えることができるような方法で、直接的に;すなわち、ターゲット自体と相互作用することによって、または間接的に;すなわち、標的の活性が依存する別の分子、補因子、因子、またはタンパク質と相互作用することによってのいずれかで、呼び集めることを意味する。
【0177】
ここで用いるように、用語「定める」は、発現および/または活性レベル、たとえば、ヌクレオチドまたは転写物またはポリペプチドの数量または量または変化の測定または確認することに言及することができる。たとえば、ここで使用されるサンプル(試料)中に開示される転写産物(転写物)またはポリペプチドの量の測定は、当業者が、試料中の転写物またはポリペプチドの若干の定量化可能な値を測定または確認するために要する手順を指すことができる。当技術では、開示されたヌクレオチド、転写物、ポリペプチド等の量を測定する方法がよく知られている。
【0178】
ここで使用するように、「レベル」という用語は、サンプル、たとえば、対象体からのサンプルにおける標的分子の量を指す。分子の量は、当技術分野で既知の任意の方法によって定めることができ、そして分子(すなわち、遺伝子、mRNA、cDNAは、タンパク質、酵素など)の性質に部分的には依存する。当該技術では、ヌクレオチド(たとえば、遺伝子などのcDNAは、mRNA)、ならびにタンパク質、ポリペプチド、酵素、等のための定量化方法がよく知られている。試料中の分子の量またはレベルは絶対的には決定する必要はないが、しかし相対的には決定することができる〔例は、コントロールまたはシャム(偽造物)または未処理試料と比較するとき〕ことが理解される。
【0179】
「調節」によって、増加または減少することで、変化させることが意味される。ここで使用するように、「モジュレーター」は、遺伝子またはたとえば、ペプチドなどのような遺伝子産物の発現レベルまたは活性レベルを増加または減少させることができる組成物のいずれかを意味することができる。発現または活性での調節は、完全である必要はない。たとえば、発現または活性は、約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、99%、100%または遺伝子または遺伝子産物の発現または活性が組成物によって調節されていないコントロール細胞と比較してその間での任意の割合によって調節することができる。
【0180】
ここで使用するように、用語「判断した」は、当業者、たとえば、医師によって理学的検査を施され、およびここに開示される化合物、組成物、または方法によって判断または処置または改善または検出または緩和することができる条件を有することが見出されたことを意味する。たとえば、「自閉症と判断され」または「一以上の自閉症スペクトラム障害と判断され」とは、当業者、たとえば、医師によって理学的検査を行われ、そして自閉症または一以上の自閉症スペクトラム障害を軽減または改善する化合物または組成物によって判断されるか、または処置されることができる状態を有することが見出されたことを意味する。
【0181】
ここで使用するように、語句「障害の処置を必要とすると識別され」、またはその他は、障害の処置の必要性に基づく対象体の選定を指す。たとえば、対象は、当業者による早期診断に基づいて、障害(例は、自閉症または自閉症スペクトラム)の処置の必要性を有するものとして同定することができ、その後、疾患の処置を施される。なお、識別は、一態様では、判断を行う人物とは別の個員によって実行されうることが企図される。また、さらなる態様において、管理は、その後の投与を行う者によって行うことができると企図される。
【0182】
ここに使用するように、用語「施す」および「投与」は、対象に、開示された組成物または開示された組成物を含む製薬上の調製物を提供する任意の方法を指す。このような方法は当業者によく知られており、そして、制限されないが、心(臓)内投与、心筋内投与、経口投与、経皮投与、吸入による投与、経鼻投与、局所投与、膣内投与、点眼投与、耳内(intraaural)投与、大脳内投与、直腸投与、舌下投与、頬側(口腔内)投与、および非経口投与が含まれ、たとえば、静脈内投与、動脈内投与、筋肉内投与、および皮下投与などのような注射可能なものを含む。投与は連続的または断続的であることができる。投与は、繰り返され、たとえば、一日一回、または1日あたり2回以上、または週1回または週2回以上、もしくは隔週、または月に1回、または月に1回以上、または一日おき、または隔週、または毎月あたり、または隔年、などなどとすることができる。様々な態様においては、製剤は、治療上に投与することができ;すなわち、既存の疾患または状態を治療するために投与される。さらに様々な態様において、製剤は、予防的に投与;すなわち、疾患または状態の予防のために投与されることができる。
【0183】
本発明の組成物、ならびにそれら自体がここに開示される方法内で使用される組成物を調製するために使用される成分を開示する。これらの、および他の物質はここに開示され、そしてこれらの物質の組合せ、サブセット、相互作用、グループなどが開示される一方で、これらの化合物の様々な個々の、および集合的な組合せおよび順列のそれぞれの具体的な言及を明確に開示することができないとき、各々が具体的に意図され、そしてここに記載されていると理解される。たとえば、特定の化合物が開示され、そして議論され、および化合物を含む多数の分子に対してなされることがある多数の修飾が議論される場合、化合物のありとあらゆる組み合わせおよび順列および可能な修飾が、具体的に反対のことが示される場合を除き、具体的に意図される。分子A、B、およびCのクラスが、分子D、EおよびFのクラスおよび組合せ分子の例、A-Dと同様に開示される場合、そのとき、各々が個別に列挙されていない場合でも、各々は、個別かつ集合的に組合せを意味していると意図され、A-E、A-F、B-D、B-E、B-F、C-D、C-E、およびC-Fは、開示されていると考えられる。同様に、これらの任意のサブセットまたは組合せも開示されている。したがって、たとえば、A-E、B-F、およびC-Eのサブグループが開示されていると考えられるであろう。この概念は、本出願の全ての態様に適用され、それには、制限されることはないが、本発明の組成物を作成および使用する方法におけるステップが含まれる。そのようにして、種々の追加的工程が存在し、それらが行われうる場合、これらの追加のステップの各々は、本発明の方法の実施形態のいずれかの特定の実施形態または組合せにより行うことができることが理解される。
【0184】
本発明は、本発明の以下の詳細な記載およびそこに含まれる例を参照することによってより一層難なく理解することができる。
【0185】
ここで言及するすべての刊行物は、引用される刊行物に関連する方法および/または材料を開示し、および記載するために参照によりここに組み込まれる。ここで論じる刊行物は、本出願の出願日に先立ちそれらの開示についてのみ提供される。ここには、本発明が先行発明によってそのような刊行物に先行する権利がないという承認として解釈されるべきではない。さらに、ここに提供される刊行物の日付は、実際の刊行日とは異なる場合があり、それは独自に確認を必要とすることがある。
【0187】
小分子のそれぞれが、多様なメンデル説、または複雑な疾患で同様の結果を生成することができ、これらの小分子はおそらく、普通の細胞効果を誘発する。これらの分子には、二つ(2)のヒストンデアセチラーゼインヒビター、4-フェニルブチラートおよびトリコスタチンA、および二つ(2)の小分子で、直接ヒストンデアセチラーゼインヒビター活性を伴わないもの、ヒドロキシウレアおよびスルフォラファンが挙げられる。いくつかの場合において、ヒストンデアセチラーゼインヒビター(HDACi)の治療上の効果は、疾患を引き起こす遺伝子に関連する遺伝子の発現の増加に起因する。神経学的障害のX-リンクド(連鎖)副腎白質ジストロフィー(XALD)において、トリコスタチンAによる超長鎖脂肪酸レベルの潜在的に有益な減少は、補償遺伝子(compensatory gene)の発現の増加によるものではなかった。むしろ、4-フェニルブチラートにおける低下は、キーのストレス感知オルガネラ、すなわち、ミトコンドリアおよびペルオキシソームの増殖における増加を伴った。これらの研究は、4-フェニルブチラート、トリコスタチンA、ヒドロキシウレア、およびスルフォラファンが一般的な細胞応答を共有し、それが、ミトコンドリア生合成の誘導、ペルオキシソーム増殖、ストレスプロテオームの活性化によって含まれ、それらが総称してアダプティブ細胞生存応答と称されるかどうかを調べる。
【0188】
ここに記載される研究は、小分子療法に共通する細胞応答として進化的に保存されたストレスプロテオームおよびミトコンドリア生合成の活性化を識別した。反応のこのシリーズは、様々な疾患における治療上の作用の共通基盤となりうる。この新規な治療上の標的の調節は、処置可能な疾患の範囲を広げることができ、そして直接の原因遺伝子異常を標的とすることなく、治療上の小分子または薬剤を最適化するために使用することができる。
【0191】
一次ヒト線維芽細胞、HeLa(ヒーラ)細胞〔ATCC#CCL-2、Hal Dietz(ハル・ディーツ)博士、ジョンズホプキンス大学、メリーランド州ボルチモアからの贈物〕、およびK562細胞(ATCC#CCL-243)を、最小限イーグル培地(minimal Eagle medium)〔MEM;Mediatech(メディアテック)、マナッサス、VA〕、10mMのHEPESおよび1mMのピルビン酸ナトリウムを補充したRPMI培地(Mediatech)、またはRPMIで、それぞれ、10%ウシ胎仔血清、ペニシリン(100 U/mL)、およびストレプトマイシン(100U/ml)を補充したものにおいて増殖させた。線維芽細胞(70-95%コンフルエント)は、特に断らない限り、5 mMの4PBA(JNK抑制研究のために1 mM)、600μMのHU、200nMのTSA、または5μMのSFNで処置した。K562細胞は、1.2mMのSBまたは100μMのHUで処置した。すべての薬物はSigma-Aldrich(シグマアルドリッチ社)(セントルイス、MO)から入手した。細胞の種類ごとに各薬物の濃度は、100%の生存率を可能にし、そして増殖速度に最小限の影響しか与えないように滴定した。図の凡例に示されるように、処置の持続時間は実験によって変動した。
【0193】
製造業者のプロトル〔K331;Biovision(バイオビジョン)、マウンテンビュー、CA〕に従い、HeLa細胞または線維芽細胞溶解物の100-200μgを使用して比色分析HDAC活性アッセイを三連で行った。
【0195】
Watkins(ワトキンス)ら、1995に記載のように、4%ホルムアルデヒド、1%トリトンX-100、一次抗体の抗ATP5B〔Millipore(ミリポア社)、ビルリカ、MA〕または抗ABCD3〔Invitrogen(インビトロジェン)、カールスバッド、CA〕、および二次抗体ヒツジ抗マウスIgG FITCコンジュゲート〔Santa Cruz Biotechnology(サンタクルズバイオテクノロジー)、サンタクルズ、CA〕またはヤギ抗ウサギIgGローダミンコンジュゲート〔Jackson ImmunoReseach(ジャクソン・イムノリサーチ)、ウエストグローブ、PA〕を用いて実行した。
【0197】
一次ヒト線維芽細胞の抗ATP5B、DRAQ5〔Cell Signaling Technologies(セルシグナリングテクノロジーズ)、ダンバース、MA(マサチューセッツ州);細胞数を正規化するために細胞DNA染色〕、および二次抗体のIRDye 800CWロバ抗マウスIgG〔Li-cor Biosciences(Li-コアバイオサイエンシーズ)、リンカーン、NE(ネブラスカ州)〕による免疫染色は、上述し、そして二重に行った間接免疫蛍光手順と同じであった。画像化および定量化は、Odyssey Imager(オデッセイイメージャ)(Li-cor Biosciences)を用いて行った。
【0199】
アンチマイシンA(10ng/mL)、LY294002、PD98059、RO-31-8425、SB203580、SP600125、およびL-NAMEをSigmaから入手した。化合物Cは、EMD Biosciences(EMDバイオサイエンシーズ社)(ダルムシュタット、ドイツ国)からであった。ヒト線維芽細胞を、各インヒビターで処理した。その後、45-75分後に、4PBA、HU、TSA、またはSFNのいずれかを添加した。細胞は、小分子の一つで処理した後に4乃至6日間染色した。DMSOに溶解したインヒビターのためのコントロールとして、線維芽細胞を、インヒビターの不存在下において同等量のDMSOで処理した。
【0200】
Ff.リアルタイムPCR解析(RT-PCR)
【0201】
製造業者のプロトコルに従って、DNアーゼI処理したcDNAを、Superscript(スーパースクリプト)IIIまたはThermoscript(サーモスクリプト)逆転写酵素(Invitrogen)を用いて合成した。PCR反応は、Quantitech(クオンティテク)SYBRグリーンPCRミックス〔Qiagen(キアゲン社)、バレンシア、CA〕を用いて、Roche Lightcycler(ロシュライトサイクラー)3.5(バーゼル、スイス)またはBio-Rad(バイオラッド社製の)iCycler(ヘラクレス、CA)上で二重に実行した。GeNorm(ゲノルム)ソフトウェアは、少なくとも以下の参照遺伝子の二つ、β2-ミクログロブリン、グリセルアルデヒド-6-ホスファート、アクチン、および/または真核生物伸長因子1A〔Vandesompele(バンデソムプル)ら、2002〕の相対量を用いて各試料について正規化因子を算出した。ここに記載された様々な実験のためのプライマーは以下のとおりである。
【化8-1】
【化8-2】
【0203】
細胞溶解物を、哺乳動物タンパク質抽出試薬〔m-PER;Thermo Scientific(サーモサイエンティフィック)、ロックフォード、IL〕プラス1×プロテアーゼインヒビター(Sigma-Aldrich)および1×Halt(ホルト)ホスファターゼインヒビター(サーモサイエンティフィック)中に収集した。変性SDS-PAGEおよびイムノブロット分析は、以下の抗体を用いて行った:サンタクルズバイオテクノロジーからリン酸化JNKおよびβ-アクチン、細胞シグナリング、HSP70、HSP90、BIP、リン酸化eIF2α、およびXBP1、APG8〔Abgent(アブジェント)、サンディエゴ、CA〕、およびSOD2〔Stressgen(ストレスゲン)、アナーバー、MI(ミシガン州)〕。定量は、Fuji Intelligent Dark box II(フジインテリジェントダークボックスII)、FUJI(フジ)LAS-1000 Lite(ライト)ソフトウェアおよびImage Gauge(イメージゲージ)v4.22ソフトウェア(東京、日本)を用いて実行した。
【0205】
XALD線維芽細胞における脂肪酸β-酸化活性をMcGuiness(マクギネス)ら、2003に記載のように1-
14C-標識された脂肪酸を水溶性生成物に分解するそれらの能力を測定することにより決定した。
【0207】
K562細胞を、50nMのMitotracker Green(ミトトラッカー・グリーン)FM、300nMのMitotracker Deep Red(ディープ・レッド)633(Invitrogen)、または陰性コントロールとしてPBSにより37℃で15分間インキュベートし、またはCaltag Fix(カルタグフィックス)およびPerm(パーム)試薬(Invitrogen)を製造者の指示に従って用いて抗Pex14で染色した。染色した細胞を1%パラホルムアルデヒド/ PBSの0.5mLに懸濁し、そしてフローサイトメトリー分析〔FACSスキャンマシン、Becton Dickinson(ベクトンディッキンソン)、フランクリンレイクス、NJ〕に供した。
【0209】
K562細胞を1.1mLの培地、そしてDAF [ワーキング溶液50μLの2,7ジアミノフルオレン(DAF)ストック(5mLの90%氷酢酸中50μgのDAF)、50μLの30%過酸化水素、および2.5mlの200mMトリス-HCl、pH 7.0] の240μLに懸濁した。DAF染色ヘモグロビン化細胞は血球計数器を用いてスコア化した。
【0211】
SMAタイプI(GM00232)線維芽細胞を、2.5mMの4PBA、300mMのHU、100nMのTSAまたは2.5mMのSFNで5日間処理し、予め温めたMEM培地においてCO
2インキュベーター中37℃で15分間、25nMのMitotracker Red CMXROS(Invitrogen)でライブ染色した。染色された細胞を、予め温めておいたMEMで洗浄し、PBSで洗浄し、そして過剰のPBSを除去した。細胞は顕微鏡下X80で調べた。
【0213】
蛍光ベースのSIRT1活性アッセイを、製造業者のプロトコル〔10010401;Cayman Chemical Company(ケイマンケミカル社)、アナーバー、MI、USA〕に従って三連で行った。展開剤干渉のパーセントは各小分子について3%未満であった。蛍光体干渉のパーセントは、各小分子について9%未満であった。許容可能な干渉値は≦10%であった。
【0215】
三以上の独立した実験は、特に断りのない限り、それぞれの技術について実行し、そして平均値の標準誤差(SEM)を計算し、そしてグラフ化した。片側スチューデントt検定をp値の算出のために用いた。P値≦0.05は有意であると考えられた。
【0216】
ii)ストレスプロテアソームの活性化
【0217】
多くの小分子は、メンデル説の、および複雑な遺伝性疾患のスペクトルのための潜在的な治療上の薬剤として研究中である。小分子のためのスクリーニングは、典型的に、特定の障害に関連するか、または関与する特定の細胞経路を標的にする。しかしながら、ヒストンデアセチラーゼインヒビター(HDACi)およびヒストンデアセチラーゼを抑制しないものも含め、異なる作用既知の機構を有する種々の小分子は、多種多様な異種の疾患モデルにおいて同様の良好な成果を生成し、そこでタンパク質の異なるクラス、異なる細胞型、および様々な分子経路が影響を受ける。(表1)。
【0219】
クラスIおよびクラスIIのHDACi、4-フェニルブチラート(4PBA)およびトリコスタチンA(TSA)は、広く研究されている。いくつかの場合において、HDACiの処置の有益な効果は、一次疾患の原因となる遺伝子に関連する遺伝子の発現の増加、またはそのための補償に起因する〔Kemp(ケンプ)ら、1998;Gardian(ガーディアン)ら、2005〕。
【0220】
X連鎖副腎白質ジストロフィー(XALD)、神経疾患の研究は、HDACiおよび他の小分子の観察された治療上の重なりが、補償ターゲットの直接標的によるものよりもむしろ、大抵は細胞機能の調節であることを示す。4PBAおよびTSA処理の両方は、ヒトXALD線維芽細胞およびインビボでのALDを(Abcd1-/Y)マウスモデルにおける超長鎖脂肪酸(VLCFA)の異常に高いレベルを正規化した(McGuinnessら、2003)。 4PBAは、TSAではなくABCD2の発現を増加させ、その機能が不完全なペルオキシソーム遺伝子ABCD1のものと重なる〔Li(リー)ら、2002〕。このように、ABCD2の誘導はすべての場合においてVLCFAレベルの減少に直接相関しない。しかしながら、XALD線維芽細胞の4PBA処置はまた、ミトコンドリアおよびペルオキシソーム生合成を増加し、それらは細胞解毒およびストレス感知のために必要な細胞小器官である(Kempら、1998;McGuinnessら、2003)。4PBA処理によるペルオキシソーム増殖の誘導は、ペルオキシソーム生合成因子11アルファ(PEX11α)に依存する(Liら、2002)。PEX11βは、構成的ペルオキシソーム豊富化に必要であるが、PEX11αはそうではない。むしろ、PEX11αは、外部刺激またはストレスに応答して、ペルオキシソーム増殖を誘導する〔Schrader(シュレーダー)ら、1998〕。したがって、一般化された細胞のストレス応答の誘導は、また、適応細胞生存応答として知られ、小分子によってモニターされた〔Kultz(クルツ)2003〕。一般的な細胞応答を調節する治療上の関連性は、小分子がどのようにして疾患の広域スペクトルにおいて観察された多様な効果を誘発するのが可能であるかを説明することができる(例は、表1、そこでは、受け入れられる疾患が、臨床表現型の重症度にかかわらず、細胞レベルでの軽微な不具合を見せる)。
【0221】
細胞ストレス応答は、古細菌から真核生物まで保存され、損傷から保護し、そしてそれらの環境に細胞を適応させることによって生存能力を推進する(Kultz 2003)。この応答は、(i)酸化還元調節に影響を与え、(ii)DNA損傷を感知し、そして修復し、(iii)タンパク質分解に関与し、および(iv)脂肪酸、脂質、およびエネルギー代謝に関与する分子シャペロンおよびタンパク質の活性を調節する。これらの適応生存経路の刺激は、細胞を様々なストレス因子に対して再調整し、そして熱ショック応答(HSR)、小胞体ストレス応答(変性タンパク質応答)(UPR)、オートファジー応答、抗酸化応答、およびミトコンドリアおよびペルオキシソーム生合成を誘導することにより、細胞の恒常性を復元する。UPRおよびオートファジーの活性化、ストレス応答のタンパク質静的(proteostatic)成分、およびミトコンドリアエネルギー特性の調節は、神経変性の症状および加齢障害を軽減し、そしてモデル生物の寿命を延ばすことができる〔Ong(オング)ら、2010;Powers(パワーズ)ら、2009;Durieux(デューリークス)ら、2011〕。本実験は、ストレスプロテオームのジョイント(共同)活性化およびその後のホメオスタシスの再確立は、広範囲の疾患に有益であることを示す(表1)。
【0222】
適応細胞生存応答を誘導するために、重複する治療上の利益であるが、異なる既知の機能を有する(表1参照)四つの小分子の潜在能力を評価した。これらの小分子の作用の主な既知の形態:4PBA、TSA、ヒドロキシウレア(HU)、およびスルフォラファン(SFN)を表2に挙げる。これらの研究は、最小限にしか細胞増殖に影響を及ぼさない濃度で、これらの四つの薬物が、正常およびXALDヒト線維芽細胞の双方において、ならびにヒトK562赤白血病細胞において、ミトコンドリア生合成およびペルオキシソーム増殖を増加させることを示す。これらの四つの薬理学的な小分子は、細胞保護ストレスプロテオームを構成する主要な経路を誘導した。したがって、これらの薬理学的小分子または薬剤の治療上の効果は、適応細胞生存応答の刺激および細胞ホメオスタシスの再確立から生じる。これらの共通的な細胞応答の識別は、より一層臨床的に有効な分子についてのスクリーニングを可能にし、未知の遺伝的病因を有するものを含むように現時点で処置可能な疾患のレパートリーを拡大し、そしていくつかの疾患のための処置までの時間を短縮する。
【0224】
a.ミトコンドリア生合成およびペルオキシソーム増殖の小分子誘導
【0225】
健康個体、XALD受動体、およびペルオキシソーム生合成障害を有する受動体からの線維芽細胞の4PBA処理は、ミトコンドリア質量およびペルオキシソーム増殖を2ないし3倍に増加した〔Kempら、1998;McGuinnessら、2003;Wei(ウェイ)ら、2000〕。HU、TSA、およびSFNを含む他の小分子は、4PBAと共に治療上の重なりを示す(表1)。ミトコンドリア生合成およびペルオキシソーム増殖の低分子誘導の検討を広くするために、正常ヒト線維芽細胞を、4PBA、HU、TSA、またはSFNにより四ないし五日間処理した。薬物濃度は、100%の生存を可能にし、そして最小限の細胞増殖にしか影響を与えないために滴定した。ミトコンドリア生合成およびペルオキシソーム生合成の双方をモニターした。ミトコンドリア膜タンパク質ATPシンターゼベータサブユニット(ATP5B)および70kDのペルオキシソーム膜タンパク質(ABCD3)についての免疫蛍光染色は、すべての四つの小分子または薬剤により、それぞれ、ミトコンドリア生合成およびペルオキシソーム増殖における薬物誘発性の増加を明らかにした(
図1A)。
図1Aは、ミトコンドリア膜タンパク質ATP5B(上)およびペルオキシソーム膜タンパク質ABCD3(下)のための免疫蛍光染色を示す。正常ヒト線維芽細胞を四ないし五日間各薬物で処理した。(400×倍率)。これは、これらの小分子を用いた処理に共通する細胞応答としてミトコンドリア生合成およびペルオキシソーム増殖を識別した。
【0226】
b.XALD細胞における4PBAの有益な効果が増加ミトコンドリア機能を要求する
【0227】
4PBA誘発ペルオキシソームVLCFAβ酸化(分解)は、ミトコンドリアの長鎖脂肪酸(LCFA)β酸化に依存する(McGuinnessら、2003)。4PBA誘発ペルオキシソームVLCFAβ酸化がミトコンドリアの機能に依存していたかどうかを定めるために、ミトコンドリアの機能をアンチマイシンA(AA)により化学的に抑制した。アンチマイシンA(AA)は、ミトコンドリアの電子伝達鎖、ミトコンドリア生合成、そしてそれゆえ、細胞呼吸を抑制するシトクロムcレダクターゼ(還元酵素)インヒビターである〔Ranganathan(ランガナタン)ら、2009〕。AAの濃度は、最小限にしかLCFAおよびVLCFAβ酸化の基礎レベルに影響を与えないように滴定され、なんら観察可能な細胞毒性が示されず、そして細胞増殖に影響を及ぼさなかった。4PBAでのXALD線維芽細胞の処理は、(1)LCFAおよびVLCFAβ酸化を誘発し(
図1B)、そして(2)二酸化炭素の放出を増加した(Heinzerら、2003)。
図1BはVLCFA分析を示す。XALD線維芽細胞は、アンチマイシンA(AA)、シトクロムc還元酵素インヒビターの存在下または非存在下に、4PBAで5日間処理し、そしてLCFA(C16:0)のβ酸化のレベルおよびVLCFA(C24:0)のレベルを測定した。しかし、AAの存在下では、ミトコンドリアのLCFAのβ酸化の4PBA誘発が抑制された。この抑制は、付随的にペルオキシソームVLCFAβ酸化の誘発をブロックした。このように、4PBA処理によるペルオキシソームVLCFAレベルでの薬理学的な減少は、ミトコンドリアLCFAβ酸化に依存しただけでなく、より一層一般的には増加したミトコンドリアのエネルギー生産に依存していた。
【0228】
c.Β-異常ヘモグロビン症モデルにおけるナトリウムブチラートおよびヒドロキシウレアの有益な効果は誘導ミトコンドリア生合成を要求する
【0229】
β-ヘモグロビン症で、たとえば、鎌状赤血球症(SCD)およびβ-サラセミア(thalasemmia)などのようなの臨床的重症度は、HbF含有細胞(F-細胞)の数を増加させることで改善された。HbF含有細胞の数の増加は合計HbFのレベルを上昇させた〔Perrine(ペリン)2008〕。ナトリウムブチラート(SB、4PBAのアナログ)およびHUは、いくつかの状況で:SCDおよびβ-サラセミア受動体において、K562細胞において、およびCD34+誘導造血幹細胞においてHbFのレベルを増加させた〔Keefer(キーファー)ら、2006〕。さらに神経疾患XALDとは無関係な疾患モデルにおけるミトコンドリアおよびペルオキシソーム生合成の誘発の薬理学的共通性を評価するために、これらの応答をK562細胞において調べた。K562細胞は、HbFを生成し、そしてF-細胞産生の誘導のモデルとして普通に用いられる赤白血病細胞系である。
【0230】
K562細胞を4ないし10日間、SBおよびHUで処理した。フローサイトメトリー分析はSBおよびHUの双方が有意にミトコンドリアの質量、HbFの生細胞の数、およびペルオキシソーム増殖を増加させることを実証した(
図1C、1D、および1E)。
図1C、1D、および1Eは、SB、HU、またはコントロール(CON)としてPBSでのK562細胞の処理からの結果を示す。(n≧3特に断らない限り)。
【0231】
SBまたはHU処理によるミトコンドリア生合成の誘発がHbF生産細胞の産生の誘発に必要であったかどうかを定めるために、K562細胞をAAの存在下または不存在下にSBまたはHUで処理した。再度最小限にしかHbF産生細胞の基礎レベルに影響を与えないために滴定したAAの濃度は、なんら観察可能な細胞毒性を示さず、そして細胞増殖に影響を及ぼさなかった。ミトコンドリア生合成の誘発およびSBまたはHU処理によるHbF生産細胞の誘発はAAによって著しく抑制された(
図1C-1D)。
図1Cは、ミトコンドリア質量のフローサイトメトリー分析を示す。AAを伴うか、または伴わない薬物処置の2ないし4日後、ミトコンドリア質量を、Mitotracker(ミトトラッカー)、ミトコンドリア染色を用いて測定した。フォールド(倍率)変化(薬剤処理/コントロール)が示される。
図1DはHbF生産細胞の産生の分析を示す。AAを伴うか、または伴わない薬物処置の4日後、細胞をDAFで染色した。HbFを産生する細胞(DAF染色細胞)の相対数をプロットした。
図1Eは、ペルオキシソーム増殖のフローサイトメトリー分析を示す。薬物処理の8ないし10日後、ペルオキシソーム増殖を、ペルオキシソーム膜タンパク質、PEX14およびFITC標識二次抗体に対する抗体を用いて測定した。フォールド変化(薬剤処理/コントロール)が示される。
図1C、1D、および1Eにおいて、*は、薬剤処理およびコントロールサンプルの間で測定に統計的に有意な増加を示し、または薬物処理およびAAの存在下での薬物処理サンプルの間で測定に統計的に有意な減少を表す(P≦0.05)(バー=SEM)。この知見は、誘発されミトコンドリア生合成に有益な効果の依存性(すなわち、上昇したHbFのレベル)を示す。このように、SCDにおいて観察された治療上の効果は、SBまたはHUによるミトコンドリア生合成の薬理学的な誘発を伴うことができる。
【0232】
d.ミトコンドリア生合成の薬理学的誘発はJNK経路に依存する
【0233】
ミトコンドリア生合成は種々のシグナル(伝達)経路によって刺激され、それは転写因子ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体ガンマコアクチベーター1アルファおよびベータ(それぞれ、PGC1およびPGC1β)を活性化する(Leeら、2005)。これらの小分子によるミトコンドリア生合成の誘発が共通のキナーゼカスケードまたは内皮型一酸化窒素合成酵素(eNOS)の活性化を必要としたかどうかを決定するために、XALD線維芽細胞を、(i)各々誘導する薬物、および(ii)いずれかのeNOSインヒビターまたは種々の特異的キナーゼインヒビターで処理した(表3)。
【0235】
4PBA、HU、TSA、およびSFNはXALD線維芽細胞においてミトコンドリア生合成を増加させた(
図2A。一番上の行)。経路の抑制は、p38マイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MAPK)、細胞外調節キナーゼ、MAPKキナーゼ1および2、アデノシン一リン酸キナーゼ、プロテインキナーゼC、ホスホイノシチド-3-キナーゼ、およびeNOSの経路を含め、薬剤誘発性のミトコンドリアの生合成に関する効果がなかった。ストレス活性化プロテインキナーゼ(SAPK)経路のSP600125抑制〔Bennett(ベネット)ら、2001〕だけが、別名c-jun N末端キナーゼ(JNK)経路として知られ、処理XALDにおいて免疫蛍光染色によって、および量的なインセル(細胞内)ウエスタン分析正常ヒト線維芽細胞によって実証されるように、ミトコンドリア生合成の減少した薬理学的誘発を有する。(
図2A-B)。
図2A-Bにおいて、JNKインヒビターSP600125(10μM+inh)を利用した。
図2Aはミトコンドリア膜タンパク質ATP5Bための免疫蛍光染色を示す。XALD線維芽細胞はSP600125と共にまたはなしに4日間各薬物で処理した。(400×倍率)。
図2Bはミトコンドリア生合成の薬理学的な誘発の定量化を示す。正常ヒト線維芽細胞を、6日間、SP600125を伴うか、または伴わないで、小さい4分子の各々で処理した。定量的インセルウェスタン分析は抗ATP5Bを用いて行った。
【0236】
ATP5B染色における増加によって示されるように、4PBA、HU、TSA、またはSFN処置は単独でミトコンドリアの質量を著しく増加させた。未処理細胞と比較したとき、正常ヒト線維芽細胞では、ミトコンドリアの質量が大幅に、4PBA処理で2.4倍に、HU処理で1.8倍に、TSA処理で2.5倍に、およびSFN処置で2.2倍に増加した。各薬物およびJNKインヒビターで処理した細胞のミトコンドリアの質量は未処理細胞のミトコンドリアの質量とほとんど差はなかった。
【0237】
K562細胞において、JNKインヒビターSP600125(Bennettら、2001)も、HU-誘導性ミトコンドリア生合成を、そして結果として、HbF産生細胞の生産をブロックした(
図2C-D)。
図2C-Dはミトコンドリア生合成およびHbF含有細胞の生産の抑制を示す。K562細胞は、SP600125またはコントロール(CON)としてPBSの存在下または不存在下にHUで4日間処理した。
図2Cは、ミトコンドリアの質量を示し(
図1Cのようにプロットされる)、そして
図2Dは、HbF産生細胞の相対数が、それぞれ、ミトトラッカーおよびDAFで染色することによって定めたことを示す(n=2)。十分に有能な造血幹細胞において、HU刺激されたF細胞産生は、JNK経路に同様に依存した。JNK経路は、たとえば、熱ショック、浸透圧ショック、および紫外線照射などのような外部ストレスおよび刺激により活性化される〔Yang(ヤン)ら、2003〕。したがって、これらのデータは、同じ細胞保護経路が4PBA、HU、TSA、およびSFN処理によってミトコンドリア生合成の薬理学的誘導に関与していることを示す。
【0238】
JNK経路の活性化は、リン酸化を介して、転写因子JUNの活性化を導いた。PGC1αおよびPGC1βはミトコンドリアの基礎レベルを維持した。PGC1αもまた、たとえば、適応性熱発生(adaptive thermogenesis)、持久運動(endurance exercise)、または断食の間などのような生理的ストレス下でのミトコンドリア生合成を誘導した(Kultz 2005)。JUN転写レベルは、4PBA、HU、またはTSAで処置の6時間後に有意に増加した。PGC1αおよびPGC1βの転写レベルは四つの小分子の各々での処置の48時間以上の後に有意に増加した(
図2E)。JUNの転写レベルは、SFN処理後一貫して変化しなかった。
図2Eは、JUN、ミトコンドリア転写因子PGC1αおよびPGC1βのmRNA発現をRT-PCRによって示す。未処理の正常ヒト線維芽細胞と比較した各処置についての相対的な遺伝子発現を計算し、そしてフォールド変化(薬物処理/未処理)を示す。SFN処理後PGC1αおよびPGC1βレベルの測定は、重複して2回行った。
【0239】
しかしながら、JNKリン酸化は、SFNを含めて、各薬物での処置の24時間以内に増加した(
図2F)。したがって、JNK経路が活性化され、そしてミトコンドリア転写因子の存在量は、4PBA、HU、TSA、またはSFN処理後に増加した。
図2Fは、JNKリン酸化(46 kDa)の免疫ブロット分析を示す。正常ヒト線維芽細胞は、様々な時点で処理した。処理は収集の前に指示された時間に開始した。3回以上の独立した実験について(24時間以内)の最大のタンパク質発現の平均はフォールド変化(薬物処理/未処理)として示される。アクチン(43 kDa)はローディングコントロールであった。Mはマーカーレーンを示す。(4PBAおよびTSA処理サンプルについて0.05≦P≦0.10)。*は、薬物処理および未処理またはコントロールサンプルの間に、測定値での統計学的に有意な増加、または薬物処理およびSP600125の存在下での薬物処理サンプルの間に測定値での統計的に有意な減少(P≦0.05)(特に断りのない限り、n≧3の独立した実験)(バー= SEM)。
【0241】
3つの異なる細胞タイプ(正常ヒト線維芽細胞、XALD線維芽細胞、およびK562細胞)において、ストレス活性化JNK経路の抑制は、ミトコンドリア生合成の小分子誘導をブロック(阻止)した。ミトコンドリア生合成は、XALD細胞においてVLCFAの減少のために、およびK562細胞においてHbFのレベルの増加のために必要な応答である。ミトコンドリアは、ストレスに対する細胞の適応に関与し、これらの薬理学的な小分子または薬剤に共通する細胞応答は、ストレスプロテオームの刺激でありうることを示す。HSR、UPR、オートファジー応答、および抗酸化応答の鍵となる構成要素の発現を、転写、翻訳、および/または翻訳後レベルでモニターした。これらの応答は、様々な細胞ストレスに応答して一過性に活性化されることが知られる。各成分の誘導の程度は細胞の代謝状態(例は、密集度、細胞継代数)に依存して変化しうる〔Kultz 2003;Lallemand(ラルマン)ら、1998;Westerheide(ウェスターハイデ)ら、2009〕。これらの応答の一過性の性質のために、各経路のいくつかの成分を、24時間の処理内の様々な時点でモニターした。少なくとも二つの正常ヒト線維芽細胞系は、3回以上の独立した実験においてテストした。処理の2時間、6時間、または18時間後にmRNA発現において増加が発生した。24時間の時間枠内でのタンパク質発現において最大増加の平均はまた、未処理サンプルと比較した。各経路の活性化は、各経路の1以上の成分の増加により評価した。
【0243】
HSRの誘導は適応細胞生存応答のホールマーク(特質)である〔Fedoroff(フェドロフ)2006〕。その活性化、熱ショックタンパク質(HSP)40の発現を評価するために、HSP70、およびHSP 90のファミリーメンバーをモニターした。4PBA、TSA、またはSFNは、HSP70kDaのタンパク質1A(HSPA1A)の転写を増加させた。すべての4つの小分子または薬剤がDNAJ HSP40ホモログサブファミリーCメンバー3(DNAJC3)の転写およびHSP 90kDaのクラスAメンバー1の転写を増加させた(HSP90AA1;
図3A)。
図3Aは、HSRの遺伝子のmRNA発現のRT-PCR分析を示す。正常ヒト線維芽細胞を処理し、そしてHSPA1A(HSP70)、DNAJC3(HSP40)、およびHSP90AA1(HSP90)のmRNA発現を測定し、そして
図2Eにおけるようにプロットした。SFN DNAJC3測定のためのP値は0.10である。HSPA1A転写産物の発現は、調べ時点でHU処理によって刺激されなかった。
【0244】
しかし、合計HSP70およびHSP90タンパク質レベルは、すべての4つの小分子または薬剤により大幅に増加した(
図3B)。HSR mRNAおよびタンパク質発現の薬理学的誘導は、穏やかな熱ショックによって引き起こされるものと同様であった〔Clark(クラーク)ら、2009〕。したがって、HSRは、4PBA、HU、TSA、またはSFN処理によって活性化された。
図3Bは、HSP発現の免疫ブロット分析を示す。正常ヒト線維芽細胞を、24時間以内に様々な時点で処理し、HSP70(70kDa)およびHSP90(90kDa)の最大のタンパク質発現の平均を、
図2Fのようにプロットする。アクチン(43kDa)はローディングコントロールとして使用した。(UT=未処理細胞;*統計的有意性(p≦0.05);バー= SEM、n≧3の独立した実験について)。
【0245】
g.小胞体ストレス応答の小分子活性化
【0246】
評価されたUPRマーカーは、セントラルUPRレギュレーターグルコース調節タンパク質78(BIP)および他の成分を含み、それらは3つのER膜貫通受容体の活性化後に刺激される:PKR様ERキナーゼ(PERK)、イノシトール要求性1(IRE1)および活性化転写因子6(Fedoroff 2006)。伸長開始因子2アルファ(eIF2a)はPERKによってリン酸化され、一般的な翻訳を減弱させ、そして活性化転写因子4(ATF4)を誘導する。CHOPはPERKの再活性化を推進する。XBP1 mRNAは、UPR活性化の際IRE1のエンドヌクレアーゼ活性によって非慣例的にスプライスされる。BIP発現は、4PBA、HU、TSA、またはSFNで処理した後、転写および翻訳のレベルで有意に増加した(
図4A-4B)。これらの小分子を用いた処理もまた、ATF4およびCHOP mRNA発現を増加させ(
図4A)、eIF2αリンのリン酸化を中程度に増加し(
図4B)、そしてXBP1タンパク質の総量およびスプライスされたXBP1タンパク質の量を増加させた(
図4C)。
【0247】
図4Aは、UPR遺伝子のmRNA発現のRT-PCR分析を示す。正常ヒト線維芽細胞を、示されるように薬物で処理した。UPR遺伝子ATF4、CHOP、およびBIPの発現を、
図2Eに記載のように測定した。
図4Bは、UPRタンパク質発現の免疫ブロット分析を示す。正常ヒト線維芽細胞は、様々な時点で処理し、そしてBIP(78kDa)およびリン酸化eIF2α(38 kDa)の最大のタンパク質発現の平均を、
図2Fのようにプロットする。アクチン(43kDa)は、ローディングコントロールとして使用し、そして
図2Fと同じブロットである。UTは未処理細胞を示す。Mはマーカーレーンを表す。
図4C はXBP1(showsXBP1)のスプライシングを示す。正常ヒト線維芽細胞を処理した。XBP1の未スプライス形態(unspliced form)(XBP1-us;33kDa)および活性化形態およびスプライス形態(XBP1-s;54kDa)の発現を免疫ブロッティングによって分析した。BP1-sは、非標準の(non-canonical)mRNAスプライシングのため、XBP1-usよりも大きいタンパク質であり、それはより一層大きなカルボキシ末端ドメインをもたらすXBP1-サイトへXBP1-sの割合は、示されるように、各処置と共に増加した(24時間の時点)。 XBP1-sの最大発現の平均(24時間以内)を、
図2Fでのようにプロットする。アクチンをローディングコントロールとして用いた。〔P=0.08、TSA処理値について;*統計的有意性(P≦0.05);バー=SEM、n≧3の独立した実験について)。
【0248】
このように、すべての3つのUPRブランチ(枝わかれ)の生存促進性能力は、これらの小分子を用いて処理することにより、転写、転写後、翻訳、および翻訳後のレベルで活性化された。
【0250】
有害増殖条件は、細胞上のエネルギー需要を増加させ、それは順に、細胞の栄養素のために損傷し、そして余分なタンパク質および損傷した細胞小器官の利用を促進するために、オートファジーの異化過程を刺激する〔Martinet(マーティネット)ら、2009〕。オートファジーの活性化を監視するために、3つの古典的オートファジーマーカーの発現を調べた。3つの古典的オートファジーマーカーは、以下のとおりである:(i)ベクリン1(BCN1)、(ii)オートファジータンパク質5(ATG5)、および(iii)微小管結合タンパク質1軽鎖3(LC3またはAPG8)。オートファゴソーム形成はJNK1でのBCN1のリン酸化によって信号を送られ、ATG5およびATG12のコンジュゲート(結合体)およびAPG8の開裂(LC3-I)およびホスファチジルエタノールアミン脂質化(LC3-II)に依存する。4PBA、TSA、またはSFNを用いた処理は、BCN1およびATG5のmRNAレベルを増加させた(
図5A)。
図5Aは、オートファジー遺伝子のmRNA発現のRT-PCR分析を示す。正常ヒト線維芽細胞を、指し示されるように処理した。
図2Eに記載のようにBCN1およびATG5の発現を測定した。TSA処理後、ATG5のmRNAのレベルを、二連で2つの独立した実験において測定した。ATG5 HU処理されたサンプルについてのp値は0.10である。BCN1 HUおよびSFNサンプルについてのp値はそれぞれ0.23および0.06である。
【0251】
HU処理後、ATG5のmRNAレベルも増加したが、BCN1のmRNAレベルは、処理の6時間以内に再現性よく変われなかった。これらの小分子の各々を用いた処理は、LC3-II対LC3-Iのの割合、オートファジーの活性化の特質を大幅に増加させた(
図5B)。
図5Bは、オートファジータンパク質APG8の開裂および脂質化の免疫ブロット分析を示す。正常ヒト線維芽細胞を4時間-24時間処理し、そしてAPG8 LC-II(13kDa)の最大割合の平均、APG8 LC3-I(17kDa)に対するAPG8の開裂および脂質化形態を、
図2Fのようにプロットする。24時間の時点が示される。アクチン(43kDa)はローディングコントロールとして使用した。UTは未処理細胞を示す。したがって、4つの小分子のそれぞれでの処理はオートファジー経路を活性化した。
【0253】
抗酸化応答は、細胞を解毒し、そして活性酸素種(ROS)および活性窒素種(RNS)の効果を中和することによって還元-酸化(レドックス)ホメオスタシスを調節する。ROSおよびRNSは、適応細胞の生存応答の第二のメッセンジャーである(Fedoroff 2006)。 3つの主要成分の発現を調べた-(i)核因子赤血球系2-様2(NFE2L2)、(ii)ヘムオキシゲナーゼ1(HMOX1)、および(iii)スーパーオキシドジスムターゼ2(SOD2)。NFE2L2、抗酸化応答エレメントに結合する転写因子は、SFNによって提供される化学保護応答に関与する〔Myzak(マイザック)ら、2004〕。4PBA、HU、TSA、あるいはSFNで処理した後、NFE2L2およびSOD2のmRNAレベルは増加した(
図5C)。
図5Cは、抗酸化遺伝子のmRNA発現のRT-PCR分析を示す。正常ヒト線維芽細胞を18時間処理した。
図2Eに記載のようにNFE2L2、HMOX1、およびSOD2の発現を測定した。NFE2L2 HU測定についてp値は0.11であった。
【0254】
HMOX1 mRNAレベルは、HU、TSA、またはSFN処理に伴って有意に増加し、そして4PBA処理で大幅に減少した。SOD2タンパク質レベルもまた有意に増加した(
図5D)。
図5DはSOD2タンパク質発現の免疫ブロット分析を示す。正常ヒト線維芽細胞を2ないし5日間処理した。SOD2(26kDa)の相対的発現は、
図2Fでのように、UT細胞と比較して各処理についてプロットする。アクチン(43kDa)はローディングコントロールとして使用した。〔*統計的有意性(P≦0.05);バー= SEM、特に指定のない限り、n≧3の独立した実験について〕。したがって、細胞の抗酸化防御機構は、これらの小分子の各々で処理することによって転写および翻訳レベルにて誘導された。
【0255】
j.HUおよびSFNはクラスIおよびIIのHDACsを抑制しない
【0256】
これらの小分子は、ストレスプロテオームを活性化し、そして多様な疾患モデルにおいて同様の細胞応答を共有する。小分子の二つ、4PBAおよびTSAは、インビトロのヒストンデアセチラーゼ活性を直接抑制する〔Jung(ユンク)2001〕。クラスIおよびクラスIIのHDAC活性の抑制が、すべての4つの小分子の影響を説明できる共有の生化学的機能であるかどうか調べた。HeLa細胞および一次ヒト線維芽細胞からの溶解物を用いて、HDAC活性のインビトロでの比色アッセイを行った。各小分子の2つの濃度を使用した。第1の濃度は、ここに報告される実験において一次ヒト線維芽細胞を処理するために使用することであり、それは最小限にしか増殖に影響を与えなかった。第2の濃度は第1の濃度の10倍であり、そして細胞培養において致死的である。4PBAおよびTSAは、未処理のHeLa細胞およびヒト線維芽細胞溶解物と比較したとき、HDAC活性を有意に減少した(
図6A-B)。しかしながら、HUもSFNもいずれの濃度も溶解物中のクラスIまたはII HDAC活性を低下させなかった。
図6において、HDAC活性を、2つの細胞株からの抽出物を用いて示されるように測定した。(*P≦0.00009;対応t検定;バー=SEM、n≧3の独立した実験について)。
【0257】
SFNによるHDAC酵素活性の直接的な生化学的抑制の結果ではない遺伝子発現での変化を反映することができる全細胞のSFN処理後のヒストンアセチル化の生理的増加が実証された[Myzakら、2004]。4PBAまたはTSA処理によるHDAC活性の抑制は、ストレスプロテオームを誘導することができるが、HUおよびSFNは、直接HDAC抑制から独立しているストレスプロテオームを誘導する。
【0258】
k.脊髄性筋萎縮症細胞におけるSFNの有益な効果は、JNK経路、オートファジー、ミトコンドリア生合成およびSIRT1活性に依存する
【0259】
薬物誘発性ストレス経路のどれがこれらの小分子の治療上の効果について必要なのかを定めるために、脊髄性筋萎縮症線維芽細胞におけるそれらの効果を調べた。脊髄性筋萎縮症患者の95%は、テロメアのSMN1(chr 5q13)遺伝子またはエクソン7または8での遺伝子変換のホモ接合体欠失を有する〔Lefebvre(ルフェーブル)ら、1995〕。しかし、患者は、セントロメアのSMN1偽遺伝子、SMN2の1以上のコピーを有する。SMN1と比較して、SMN2は、エクソン7(SMND7)のスキッピングおよび分解される不安定なタンパク質をもたらすエクソンスプライスエンハンサー内のC からTへの転移を有する〔Sumner(サムナー)ら、2003;Lorson(ローソン)ら、1998〕。SMN2転写物の15-30%だけがエクソン7を含み、全長(FL-SMN)である。脊髄性筋萎縮症患者の臨床的重症度は、FL-SMN転写産物およびSMNタンパク質のレベルと逆に相関するので、FL-SMNおよびSMNタンパク質の生産を増加させる治療上の戦略は有望である。
【0260】
これらの3つの小分子およびSFNが共通の治療上のメカニズムを共有する場合、SFN処理もまた、FL-SMN mRNAおよびSMNタンパク質の発現を増加させる必要がある。これらの4つの小分子を用いた処置の共通の効果がストレスプロテオームの誘導であるかどうかを確認するために、次のものを検討した:(i)脊髄性筋萎縮症線維芽細胞において、これらの4つの小分子によるミトコンドリア生合成の誘導、(ii)脊髄性筋萎縮症におけるFL-SMN mRNAおよびSMNタンパク質の発現に対するSFN処置の効果、および(iii)FL-SMN mRNAおよびSMNタンパク質の発現の誘導をブロックするために様々なストレス経路のインヒビターの能力。
【0261】
X連鎖副腎白質ジストロフィー線維芽細胞、K562細胞および正常ヒト線維芽細胞の処置と同様に、4つの小分子の各々を用いる脊髄性筋萎縮症線維芽細胞の処理は、Mitotracker染色、細胞透過性ミトコンドリア選択性染料によって監視されるように、ミトコンドリア生合成を増加させた(
図7)。
図7は、ミトコンドリア生合成が、脊髄性筋萎縮症線維芽細胞において、4PBA、HU、TSAまたはSFN処理によって誘導されることを示す。ミトコンドリアのための免疫蛍光染色がMitotracker Red CMXROSを使用する。脊髄性筋萎縮症線維芽細胞を5日間、2.5mMの4PBA、300mMのHU、100nMのTSAまたは2.5mMのSFNで処理した(×80倍率)。
【0262】
SFN処理は、2つの脊髄性筋萎縮症タイプI細胞株(GM09677の2コピーSMN2およびGM00232 1コピーSMN2)および1つの脊髄性筋萎縮症タイプIII細胞株(96-2906の4コピーSMN2;
図8A)の合計SMN転写(FL-SMNプラスSMND7)と比較して、FL-SMN mRNA発現を大幅に増加した(Sumnerら、2003)。SMN2遺伝子コピーのはるかに多数を有する細胞株は処理に良好に応答する。
【0263】
図8は、FL-SMN mRNA発現の誘導を示し、およびSFNによるSMNタンパク質の発現はJNK経路、オートファジー、ミトコンドリア生合成およびSIRT1活性に依存する。たとえば、
図8Aは、FL-SMN mRNA発現のRT-PCR分析を、合計SMN転写産物の発現と比較して示す。タイプIおよびタイプIIIの脊髄性筋萎縮症(SMAIまたはSMAIII)の線維芽細胞は、示された時間について、SFNで処理した。未処理の細胞株と比較して(1に正規化)、FL-SMN/合計SMN転写産物の比において相対的フォールド増加(倍数増加)がプロットされる。細胞株は、左から右へGM09677、GM00232および2906である。N≧2の独立した実験。
【0264】
図8Bは、FL-SMNおよび合計SMN mRNA発現のRT-PCR分析を示す。脊髄性筋萎縮症線維芽細胞を1.5mMのSFN単独(SMA I、GM09677)で51時間処理し、または0.5 mMのSFN(SMA III、2906)で8時間、12.5mMのSP600125(JNKインヒビター)、2.5mMの3-メチルアデニン(オートファジーインヒビター、APG)、5mg/mLのアンチマイシンA(ミトコンドリアインヒビター、MITO)または3mMのシルチノール(SIRT1インヒビター)を伴うか、または伴わずに処理した。フォールドは、FL-SMN発現においてGAPDHまたは合計SMN発現のいずれかと比較して増加し、および合計SMN発現において、フォールド増加はSFN処理後GAPDH発現と比較してプロットする。未処理の値を1に正規化し、そして水平線で示される。(細胞株当りn=1で二重に行った)
【0265】
図8Cは、SMNタンパク質発現の免疫ブロット分析を示す。脊髄性筋萎縮症タイプI(SMAI;GM09677、n=7)またはタイプIII(SMAIII;2906、n=2)の線維芽細胞を、、それぞれ48-72時間、1.5mMのSFNまたは0.5mMのSFNのいずれかで処理した。SMNタンパク質(39kDa)の相対発現の平均をプロットする。アクチン(43kDa)はローディングコントロールとして使用した。
【0266】
図8Dは、SMNタンパク質発現に対するストレス経路インヒビターの効果の概要を示す。脊髄性筋萎縮症タイプI(SMA I;GM09677)の線維芽細胞を、10mM SP600125(JNKインヒビター)、1mMの3-メチルアデニン(APGインヒビター)、2-4mg/mlのアンチマイシンA(MITOインヒビター)、または2mMのシルチノール(SIRT1インヒビター)の存在下または非存在下で、300mMのHU(n=1)または1.5mMのSFN(n≧3)のいずれかで、48時間処理した。SMNタンパク質発現は、ローディングコントロールとしてアクチンを用いて定量的免疫ブロット分析法によって測定した。SMNタンパク質発現でのフォールド増加を、グラフ下の表にプロットし、そして数値的に表現する。未処理の値は1に正規化する(*p≦0.05;バー=SEM)。
【0267】
SFN処理後、FL-SMN転写物の相対的発現は、GAPDH転写産物レベルまたは合計SMN転写産物レベルのどちらかに正規化するときに、増加した(
図8B)。ただし、合計SMN転写産物レベルは、処理後GAPDH転写産物レベルに対して正規化したとき、変化しないままであった。したがって、SFN処理は、SMN2遺伝子から全体の転写発現を増加させることよりはむしろ、エクソン7の包含を高めることによって、FL-SMN転写産物の量を増加させる。
【0268】
4PBAによるX連鎖副腎白質線維芽細胞における超長鎖脂肪酸レベルでの減少は、ミトコンドリア生合成の誘導に依存し、そしてHUによるK562細胞におけるHbFの産生の誘導はJNK経路およびミトコンドリア機能に依存していた(
図1Bおよび1Dおよび
図2D)。FL-SMN産生での増加のために必要であるストレス経路を定めるために、脊髄性筋萎縮症線維芽細胞を、SFNと、いずれかのSP600125、JNK経路の阻害剤(Bennettら、2001)、3-メチルアデニン、オートファジー経路のインヒビター〔Seglen(セグレン)ら、1982〕、アンチマイシンA、ミトコンドリアインヒビター(Ranganathanら、2009)、またはシルチノール、SIRT1活性のインヒビター〔Grozinger(グレツィンゲル)ら、2001〕で同時処理した。各インヒビターの濃度は、細胞増殖または生存に影響を及ぼさなかった。SIRT1、NAD+依存性のデアセチラーゼは、細胞ストレス応答、細胞代謝および細胞生存率を調節することが知られている〔Salminen(サルミネン)ら、2009〕。具体的には、SIRT1インヒビターはHSR遺伝子の誘導を減少させ(Westerheideら、2009);SIRT1活性はSOD2発現を増強し〔Anastasiou(アナスタシオウ)ら、2006〕; SIRT1はラパマイシントリガオートファジーの哺乳類標的を打ち消して調節し〔Haigis(ヘイギス)ら、2010〕;およびSIRT1はストレス応答性転写因子PGC1aを介してミトコンドリア生合成を活性化する〔Yu(ユー)ら、2009〕。酵母のオルソログSir2は、Saccharomyces cerevisiae(サッカロマイセス・セレヴィシエ、出芽酵母)において4PBAまたはHUによるミトコンドリア生合成の誘導に必要である〔Cha(チャ)2010〕。SIRT1タンパク質の発現において、4PBA、HU、TSAまたはSFNで正常ヒト線維芽細胞の処理後に顕著な変化はみられなかった。しかし、SIRT1は様々な翻訳後変化によって活性化することができる。したがって、インヒビター研究によって、これらの薬物の治療上の効果におけるSIRT1の潜在的関与を評価した。JNK経路、オートファジー経路、ミトコンドリア生合成およびSIRT1活性の誘導を生化学的に遮断することは、SFN処理脊髄性筋萎縮症線維芽細胞におけるFL-SMN転写レベルの上昇を防ぎ、SFN処理に対する治療上の応答のためのこれらの経路のそれぞれの必要性および潜在的な協調行動が示される(
図8B)。
【0269】
さらに、これらの様々なストレス経路の誘導を実証することは、研究、合計SMNタンパク質発現中の小分子の治療上の効果のために必要であり、ストレス経路インヒビターの存在下または不存在下で、SFNまたはHU処理のいずれか後の発現を監視した。48-72時間の処理後、SFNは、脊髄性筋萎縮症タイプIIIの線維芽細胞で1.57倍におよび脊髄性筋萎縮症タイプIの線維芽細胞で1.64倍にSMNタンパク質の発現を増加させた(
図8C)。別々の実験では、HUまたはSFN処理は、それぞれ、SMNタンパク質の発現を1.4および1.46倍に増加させた(
図8D)。SMNタンパク質発現での薬理学的に誘導した増加は、様々なストレス経路インヒビターによって大幅に減少し、HUおよびSFNの両方によるSMNタンパク質の発現の増加がJNK経路の活性化、オートファジー、ミトコンドリア生合成およびSIRT1に依存していたことを示す(
図8D)。使用される濃度では、ストレス経路インヒビターは、SMNタンパク質発現の基礎レベルに影響を及ぼさなかった。未処理の細胞と比較してSFN処置脊髄性筋萎縮症細胞におけるFL-SMNの発現およびSMNタンパク質発現での増加の大きさは、SMA線維芽細胞において4PBA、HUまたはTSA処理後に観察されたものと同様である〔Andreassi(アンドレアッシ)ら、2004;Grzeschik(グジェシカ)ら、2005;Avila(アビラ)ら、2007〕。FL-SMN転写産物発現およびSMNタンパク質発現のSFN誘導がJNK経路、オートファジー経路、ミトコンドリア生合成およびSIRT1に依存するので、ストレスプロテオームの活性化の治療上の可能性は、個々のストレス経路の各々の協調的な作用を必要とするかもしれない。
【0270】
l.SIRT1活性化は4PBA、HU、TSAおよびSFNの作用の共通メカニズムではない
【0271】
SIRT1の活性化が検討中の小分子の共通の生化学的活性であったかどうかを定めるために、蛍光ベースのインビトロSIRT1活性アッセイを、各薬物の2つの濃度を用いて実行し、すなわち、それは、ここで報告する実験において、正常な一次ヒト線維芽細胞を処置するために使用され(低)、およびその濃度の10倍であり、それは細胞培養物において致死的である(高)。HUおよびTSAは、SIRT1活性に影響を及ぼさなかったが、一方で、4PBA(50mM;高)およびSFN(5および50mM)は、SIRT1活性をそれぞれ、54、14および40%有意に阻害した(
図9)。これは、非細胞ベースのアッセイであり、それで従って、インビボでSIRT1活性に対する4PBAおよびSFNの効果を決定することは困難である。それにもかかわらず、SIRT1の活性化は、細胞ストレス応答の誘導において役割を果たしうる(Anastasiouら、2006)が、直接生化学的活性化またはSIRT1の阻害はすべての四つの小分子による適応細胞生存応答の共通の薬理学的誘導に必要ではない。
【0272】
図9は、生化学的SIRT1の活性化が4PBA、HU、TSAおよびSFNによるストレスプロテオームの誘導に必要でないことを示す。SIRT1活性アッセイ。SIRT1活性は、アセチル化リジン基質を、ヒト組換えSIRT1、補(助)基質NAD+および各小分子の示された濃度とインキュベートすることによって測定した。SIRT1の阻害率をプロットする。 (バー=SEM、3重測定について、*P≦0.05、対応t検定)。
【0273】
まとめると、ここに提示されたデータは、既知の重複分子機能を伴わない薬理学的小分子または薬剤が、ミトコンドリアおよびペルオキシソーム生合成および適応細胞生存応答(HSR、UPR、オートファジー、および抗酸化応答)の特徴的な成分(signature component)の転写および翻訳を誘導することを実証する。不利な細胞条件下では、ミトコンドリアは、恒常性(軽度ストレス)またはアポトーシス(重度ストレス)を再確立する内因性の適応細胞生存応答のいずれかを誘導する(Leeら、2005)。ここに研究する小分子は、二相またはホルミシス(hormetic)用量反応を示した(Calabreseら、2010)。ここで使用される低用量では、4つの小分子はストレスプロテオームを活性化し、有益な効果をもたらし;および高用量で、4つの小分子は細胞毒性であった。ミトコンドリア生合成の薬理学的誘導は、増加した細胞のストレスに対する代謝適応のために必要なエネルギー消費の大幅な増加と一致する。
【0274】
ここに示される結果は、XALD細胞およびK562細胞でのミトコンドリア生合成の薬理学的な誘導、HbFの誘導のモデルの治療的重要性を示す。4PBA処置XALD線維芽細胞におけるVLCFAレベルの減少およびHU-処理K562細胞におけるHbF産生細胞数の増加は、カスケードおよびミトコンドリア生合成のその後の誘導を知らせるストレス活性化JNKに依存した。小分子は、異なる既知の機能(表2)および異なる化学構造を有するが、まだ類似の分子応答を誘発するので、これらのデータは、様々な機能を有する小分子が、適応細胞生存応答を活性化し、類似の治療上の応答を誘発することができることを一般的に実証する。
【0275】
疾患病状を改善し、特定の遺伝的変異を変えることとは無関係な有益な治療上の効果が十分に立証されてきた 。例には、デュシェンヌの筋ジストロフィーのモデルのTSA処置、マルファン症候群受動体のロサルタン処置、および脊髄性筋萎縮症モデルの4PBA、HU、またはTSA処置が含まれる〔Lunnら、2008;Minetti(ミネッティ)ら、2006;Habashi(ハバシ)ら、2006〕。このような例は、間接的な介入からの修正生物学的応答の見事な実例を提供する。
【0276】
適応生存経路のための治療上の役割は疾患の範囲で観察される。熱ショックタンパク質の過剰発現または薬理学的誘導は、(i)ニーマンピック患者細胞株、リソソーム貯蔵障害を修正し、(ii)脊髄性筋萎縮症(SBMA)マウスモデルの表現型を改善し、および(iii)ハンチントン病、神経疾患の研究においてタンパク質凝集を減少させた〔Evans(エヴァンズ)ら、2010〕。UPRタンパク質XBP1およびATF6の誘導は、虚血-再灌流傷害に対して保護した〔Toth(トス)ら、2007〕。オートファジータンパク質の自食作用または過剰発現の薬理学的誘導は、虚血-再灌流障害に対して保護し、変異タンパク質クリアランスを改善し、および細胞およびハンチントン病、アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、脊髄小脳失調、およびSBMAの動物モデルにおけるタンパク質毒性を減少した(Martinetら、2009;Madeoら、2009)。抗酸化および4PBA処置は、糖尿病マウスモデルにおけるインスリン感受性およびグルコース恒常性を改善した〔Ozcanら、2006;Liu(リュー)ら、2009〕。 4PBA誘発ミトコンドリア生合成は、ミトコンドリア機能障害がインスリン抵抗性の主な誘因であるため、血糖値を正常化するのに役立つ。SOD2の4PBA誘導発現は、ALSで神経保護を増加する〔Petri(ペトリ)ら、2006〕。改善されたミトコンドリア膜電位および4PBA処置により誘導されるペルオキシソーム増殖の増加は、アルツハイマー病の研究におけるニューロンの完全性を促進した〔Santos(サントス)ら、2005〕。4PBA、HU、TSA、およびSFN処置が試験されたすべての4つの適応生存経路を誘導したが、すべての経路の誘導は、あらゆる応答性の疾患での治療上の結論のために必要ではないかもしれない。
【0277】
適応細胞生存応答の誘導および後続の細胞ホメオスタシスの再確立は、これらの多様な薬理学的小分子または薬剤が、そのような様々な疾患モデルに同様の治療上の効果をもたらす理由を説明する(表1)。これらの小分子に応答性の疾患は、軽度の細胞異常を有し、すなわち、細胞は、それらの次善の機能が重篤な臨床症状につながりうるとしても生存する。適応細胞生存応答の薬理学的増強および細胞ホメオスタシスの後続の再確立は、疾患関連代謝ストレスを有利に変化させ、細胞生存を促進し、そして疾患を引き起こす遺伝子を直接的に標的とすることなく、いくつかの軽度の細胞の遺伝的異常を改善する。たとえば、SOD1トランスジェニックALSマウスモデルにおけるオートファジーの増強は、タンパク質凝集をクリアにし、そして寿命を有意に増加した(Madeoら、2009)。また、Abcd1-/-線維芽細胞のTSA処理は、Abcd1またはABCD2発現とは無関係のVLCFAのβ酸化レベルを正規化した(McGuinessら、2003)。治療へのこの間接的アプローチは、代謝異常を補償し、および細胞機能を改善するために、内因性の細胞機構の適応能力、特にストレスプロテオームおよびミトコンドリア機能を薬理学的に調節する利点を提供する。これは、特定の遺伝子異常が未知な、多くの複雑な疾患を含めた疾患の治療のための理論的根拠を提供し、いくつかの現在処置不可能な疾患の治療までの時間を短縮することができる。
【0278】
ここに開示される4つの小分子は、それらの知られた生化学的活性を介して、または細胞内の未同定の分子相互作用を介して、ストレスプロテオームを活性化することができる。たとえば、K562細胞において、ROSの産生は、SBおよびTSA処理後に、HU処理後ではないが、F-細胞産生を増加させる(Hsiaoら、2006)。この結果は、F-細胞産生が異なる経路によって刺激されることを示す。興味がある下流の治療上の効果のために必要な細胞応答、すなわち、ミトコンドリア生合成の同定は、最適な臨床効果を有する小分子のスクリーニングを支援することができる。
【0279】
ここに調査される小分子は、疾患の成り行きに対する影響により同定された。これらの小分子による適応細胞の生存応答の治療可能性の確立は、より一層低い毒性を有するより一層有効な小分子を同定するための標的を提供する。生来の細胞生存プログラムの活用は、特定の分子または各個体の疾患のためのシグナル伝達経路を標的とすることなく、軽度の細胞の表現型を有する疾患のスペクトルにおいて、病気の症状を改善することができる。受け入れられる障害には、ミトコンドリアまたはペルオキシソーム欠損、増加した酸化ストレス、またはタンパク質立体構造やまたは輸送異常を有するものを含むだけでなく、未知の遺伝的病因および穏やかな細胞表現型を有する加齢性疾患および複合疾患が含まれる。恒常性の調節を標的にする療法は医学に大きな影響を与える可能性がある。
【0280】
iii)スルフォラファンによるHSPの刺激
【0281】
スルフォラファンは、いくつかの遺伝性疾患において、HSPおよびミトコンドリア生合成を刺激した。ここで提供されるデータは、スルフォラファンが、既知の細胞ストレス応答経路、および軽度の代謝障害から細胞を保護する熱ショックタンパク質を誘導することを実証した。スルフォラファンの低用量へのストレスプロテオーム応答は、酸化還元調節、DNA損傷感知および修復、分子シャペロン、脂肪酸および脂質代謝およびエネルギー代謝への影響を含む。
【0282】
スルフォラファンおよび関連HDACおよび非HDACインヒビターは、多数の神経疾患で示されているように、一般的「細胞保護」応答を誘発するホルミシス薬物である。細胞修復効果は、同じ薬の高用量への曝露後に発生することが報告される細胞および遺伝子損傷と著しい対照を成す。
【0283】
スルフォラファンは、既知の細胞ストレス応答経路および軽度の代謝障害から細胞を保護する熱ショックタンパク質を誘導する。スルフォラファンの低用量へのストレスプロテオーム応答は、酸化還元調節、DNA損傷感知および修復、分子シャペロン、脂肪酸および脂質代謝およびエネルギー代謝への影響を含む(Keeferら、2006)。ここに提示されるデータは熱ショック応答に及ぼすスルフォラファンの効果を示す。熱ショックタンパク質遺伝子のmRNA発現が、5マイクロモル(μM)のスルフォラファンへの曝露後の正常ヒト線維芽細胞において顕著に(3-7倍)に増加した。影響を受けた熱ショックタンパク質は、以下のHSP40、USP70、およびUSP90である。
【0284】
熱ショックタンパク質およびユビキチン/26 Sプロテアソームサブユニットは、胃管栄養法によるスルフォラファンの単回投与(90mg/kg)を用いる処理後の3-および12-時間であった時点でマウスの肝臓において誘導された(Huら、2005)。HeLa細胞およびCOS1細胞では、スルフォラファンはプロテアソーム活性を増強した。スルフォラファンはまた、熱ショックタンパク質の発現を調節する主要な転写因子である熱ショック因子1(HSF1)の活性化によってHsp27の遺伝子発現を増加させた〔Gan(ガン)ら、2010、それをここに参照することにより全体として(its entiretly)組み込む)。HeLa細胞において、スルフォラファン処理は、転写因子の核移行に続いて、その負の調節因子Hsp90およびHsp70からHSF1の解離を引き起こした。ルシフェラーゼレポーターシステムでは、スルフォラファンは、レポーターのHSF1媒介性転写、および内因性HSF1標的遺伝子Hsp70およびHsp27の発現を活性化した。
【0285】
スルフォラファンによるHSF1活性化のメカニズムは現在のところ不明である。しかし、HSF1は、たとえば、キノンメチドセラストロール、過酸化水素、メナジオン、三酸化ヒ素、15-デオキシ-PGJ2、および40-ヒドロキシノネナールなどのような求電子体によって活性化される。スルフォラファンは、このように、その負の調節因子のHsp90およびHsp70に対するHSF1の結合、および/または三量体形成し、およびDNAに結合する転写因子の能力を変えるHSF1の特定のシステイン残基を直接変えることが可能である。別の興味深い可能性は、細胞質の非ヒストンタンパク質デアセチラーゼHDAC6の活性を阻害するその能力を介して、およびその結果、スルフォラファンが、Hsp90アセチル化を高め(Gibbsら、2009)、HSF1との関連を阻害しうる。
【0286】
iv)インビトロスルフォラファン研究
【0287】
ここに記載されるように、インビトロ研究は、スルフォラファン(SF)が、適応細胞性ストレス反応を含む代謝経路を刺激したことを実証した。ミトコンドリアおよびペルオキシソーム生合成は未処理細胞と比較して2-ないし3-倍に増加した。また、JNK経路は活性化され、そしてミトコンドリア転写因子の濃度は2-ないし4-倍に増加した。
【0288】
熱ショック応答(HSR)誘導は適応細胞生存応答の特質である。スルフォラファン(SF)は、HSP70の転写を7-倍だけ増加し、HSP40およびHSP90の両方の転写を3倍だけ増加させた。SFは合計HSP70およびHSP90タンパク質レベルを3-ないし4-倍だけ増加させた。HSR mRNAおよびタンパク質発現の薬理学的誘導は、穏やかな熱ショックによって引き起こされるものと同様であった。スルフォラファン処理は、転写、転写後、翻訳、および翻訳後のレベルでUPRの3つのすべてのブランチの生存促進機能を活性化する。セントラルUPRレギュレータグルコース調節タンパク質78(BIP)は転写および翻訳レベルで2-3倍に増加した。SF処置はまた、ATF4およびCHOP mRNA発現の4-5倍増加し、eIF2aのリン酸化を程よく増加させ、およびXBP1タンパク質の総量およびスプライスXBP1タンパク質3-4の量を増加させた。
【0289】
3つの古典的オートファジーマーカー、ベクリン1(BCN1)、オートファジータンパク5(ATG5)、および微小管結合タンパク質1軽鎖3(LC3またはAPG8)の発現は、SF処理後に検査した。BCN1およびATG5のmRNAレベルは、5-倍、および3-倍に、それぞれ増加し、およびLC3-II対LC3-Iの割合、オートファジーの活性化の特質は著しく増加した。細胞抗酸化防御機構は、転写および翻訳レベルで誘導された。3つの主要成分の発現も増加した:核因子赤血球系2-様2(NFE2L2)3-倍だけ、ヘムオキシゲナーゼ1(HMOX1)6-倍だけ、およびスーパーオキシドジスムターゼ2(SOD2)4-倍による。NFE2L2、抗酸化応答要素に結合する転写因子は、スルフォラファンによって提供される化学保護応答に関与することが知られている。
【0290】
v)自閉症における、発熱、細胞ストレス、ヒドロキシウレアの効果
【0291】
自閉症は、臨床的異質性障害(clinically heterogeneous disorder)であり、それは関連する代謝経路に影響を与える様々な非致死遺伝性疾患およびエピジェネティック(後成的)効果に起因する。これらの経路の若干は、細胞ストレス応答の薬理学的刺激に反応する。その様々な形態の基礎となる遺伝的要因および環境要因が熱心な研究の焦点である。基本的な細胞メカニズムが異質であり、そして毒性に関して限界的で、恒常性を妨げると考えることができるが、これらの機構の、特に上記の複合効果は、重篤な臨床結果を生成する。たとえば、自閉症児の約(〜)38%で、発熱の間に発生する急速な開始および一時的行動の改善は、遺伝子発現の根底にある変化、細胞生理学、神経伝達、または信号処理によって説明されうる。
【0292】
さらに、データは、慢性低酸素症により、鎌状赤血球症(SCD)は、乳児期の間の自閉症の発達に対して保護的であることを示す(すなわち、SCDは自閉症と逆に相関する)。発熱およびSCDの両方は、恒常性に関与する細胞の代謝経路を増強することによって細胞の生存を改善させるストレス応答を活性化することができる。ストレスプロテオームの誘導は、分子整合性を維持するいくつかの相互接続経路に関与する。
【0293】
この目的を達成するために、ヒドロキシウレア(HU)は、鎌状赤血球症(SCD)を有する小児および成人の生活の質を大幅に向上させる抗腫瘍薬である。HUは、SCDの小児の認知機能を改善することも報告されている。〔Puffer(パファー)ら、2007〕。HUは幼少から青年期までの齢に及ぶ小児において毒性についてテストされており、SCDを有する成人で使用するためにFDAに認可されている。また、HUは、胎仔ヘモグロビンの増加した発現のため、SCDの処置に効果的であった。具体的には、脳卒中の発生率を低下させ、認知機能を改善し、そしてSCDを有する乳児において臨床試験が行われている。
【0294】
HUは、血液脳関門を通過するリボヌクレオチドレダクターゼおよび非ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)インヒビターである。HUはホルメティック効果を有し:高用量では毒性で、低用量で、HUは、一般的な細胞のストレス応答の発現および遺伝子発現(例は、ストレスプロテオーム)を刺激する。ここに示されるデータは、HUが、軽度の代謝障害から細胞を保護する既知の細胞ストレス経路を誘導することを実証する。低用量のHUに対するストレスプロテオーム応答には、レドックス調節、DNA損傷感知および修復、分子シャペロン、脂肪酸および脂質代謝およびエネルギー代謝への影響を含む。(Keeferら、2006)。HUおよび関連HDACおよび非HDACインヒビターは、概して、SCDならびにX連鎖副腎白質ジストロフィー(ALD)(Weiら、2000;McGuinnessら、2001)、脆弱X症候群、および脊髄性筋萎縮症(SMA)〔Liang(リャン)ら、2006〕に示されるように、「セルプロテクティブ(cellprotective)」応答を誘導するホルメティク薬物である。細胞修復効果は、同じ薬の高用量への曝露後に発生することが報告される細胞および遺伝子損傷と著しい対照を成す。
【0295】
このように、HUは自閉症のいくつかの異常な細胞機能を補う可能性が高く、例は、ミトコンドリア機能障害(Weissmanら、2008)、酸化ストレス(Jamesら、2009)および神経免疫病理学(Vargasら、 2005)である。低用量で、HUによるストレスプロテオームの刺激は、十分に特徴付けられた自閉症の青年および成人における改善された臨床機能につながる可能性がある。
【0296】
自閉症を有する青年および成人におけるヒドロキシウレア(HU)の投与は、安全を確保し、有効性データを取得するために設計された研究で評価される。HUは、インビトロでのストレスプロテオームへのその影響に基づき、発熱の間、自閉症を有する人の改善(例は、社会的応答性)の臨床観察に基づいて選定される。(Curranら、2007)。
【0297】
研究のハイブリッド設計は、初期の成果データのローバストネス(頑強性)を高めるために、二重マスク、プラセボコントロール、およびランダム化が組み込まれる。実験の対象は、以下のようなものである。(1)指定された用量範囲内で投与されるHUによる処置が安全であるかどうかを定める(すなわち、毒性);(2)指定された用量範囲内で投与されるHUでの処置が自閉症の雄性の青年および成体によって良好に許容されるかどうかを定める(すなわち、副作用および有害事象);(3)行動症状に対する測定可能な効果の証拠があるかどうかを定める;(4)指定された範囲内の処置が、社会的応答性、自閉症の身体障害コア形質(disabling core trait)に影響を及ぼす観測可能な活性を有するという証拠があるかどうかを定める;および(5)提案されたメカニズムが重要な細胞のバイオマーカーでサポートされているかを定める(すなわち、原理の証明)。
【0298】
四十五の雄性青年(13-18歳)および成人(19-30歳)が、無作為に、いずれかのHUを受け取るために割り当てられる(n=30、2カ月のエスカレート間隔で、10、15および20mg/kg/日またはプラセボ(n=15)。量的自閉症形質を、ADIR、社会応答性スケール(Social Responsiveness Scale)(小児および成体の形態)、臨床全般印象スケール(Clinical Global Impression Scale)(CGI)および自閉症行動チェックリスト(Autism Behavior Checklist)(ABC)を用いて評価する。各用量の段階的拡大に先立ち、および試験の終了時に、ADI電流状態アルゴリズム(ADI-Current State Algorithm)、SRS、CGI、およびABCを実行する。健康診断および実験室のモニタリングを、毒性の予期せぬ兆候を観察するために定期的に行い、そして安全モニターによって適用されるルールを停止する。データの統計分析は、各対象体に対する個々のトレンドを用いて、研究試料を説明するために使用する。自閉症の薬物試験におけるプラセボ効果が頻繁にマークされるので、本研究の処置および厳密なブラインディング(盲検法)の持続期間は、この効果を克服するのに十分である。
【0299】
データは、HUおよび関連薬物が、病因論的および臨床的に多様である、たとえば、脆弱X症候群、ALDおよびSMA、ならびにSCDなどのような様々な遺伝性疾患からの培養物において細胞修復を活性化することを実証する。
【0300】
vi)自閉症における窒素酸化物に対するヒドロキシウレアの効果
【0301】
自閉症は、臨床的異質性疾患であり、その様々な形態の基礎となる遺伝的および環境要因が熱心な研究の焦点である。基本的な細胞メカニズムが異質であり、そして毒性に関して限界的であり、恒常性を乱すと考えることができるが、これらの機構の複合効果は、特に超えて、重篤な臨床結果を生成する。
【0302】
ヒドロキシウレア(HU)、鎌状赤血球症(SCD)の小児および成人の生活の質を大幅に改善する抗腫瘍剤は、SCDの小児の認知機能を改善することも報告されている。 (Pufferら、2007)。HUは幼少から青年までの齢に及ぶ小児において毒性についてテストされ、SCDを有する成人での使用についてFDAに認可されている。HUは、リボヌクレオチドレダクターゼであり、および血液脳関門を通過する非ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)インヒビターである。HUはホルメティック効果を有し:高用量では毒性であるが、低用量で、それは一般的細胞ストレス応答の発現および遺伝子発現(例えば、SCDにおける胎仔ヘモグロビンの生産)を刺激する。
【0303】
自閉症において、過少発現された(under-expressed)遺伝子および脳への一酸化窒素(NO)の利用能の向上の両方が、HUを用いた処置に反応して起こる。HUは、NO産生を刺激し〔Lou(ルー)ら、2009〕、そしてシナプス可塑性およびメタシナプス柱状組織(metasynaptic columnar organization)を確保する上で神経発達における役割をもつ〔Gustafsson(グスタフソン)ら、2004;Guix(コイシ)ら、2005〕、HUは自閉症における熱の影響を軽度の細胞ストレスを刺激することにより、細胞レベルでシミュレートする。
【0304】
ヒドロキシウレアは、リボヌクレオチドレダクターゼおよび血液脳関門を通過する非ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)インヒビターである。HUはホルメティック効果を有し:高用量では毒性であるが、低用量では、それは遺伝子発現を刺激する(例は、SCDにおける胎仔ヘモグロビンの生産)。HUの低用量に対するストレスプロテオーム応答は、レドックス調節、DNA損傷および感知および修復、分子シャペロン、脂肪酸および脂質代謝およびエネルギー代謝への影響を含む。(Keeferら、2006)。HUおよび関連するHDACおよび非HDACインヒビターは、SCD、そのうえ、X連鎖副腎白質ジストロフィーに示されるように、一般的細胞防御応答を誘導するホルメティック薬物である(Weiら、2000;McGuinnessら、2001)。細胞修復効果は、同じ薬の高用量への曝露後に発生することが報告された細胞および遺伝子損傷と著しい対照を成す。
【0305】
自閉症におけるHUの効果は、安全性および有効性を確保するために評価される〔Piantadosi(ピアンタドッシ)ら、2005〕。ハイブリッド研究デザインは、初期成果データのローバストネスを高めるために、二重マスク、プラセボコントロール、およびランダム化が組み込まれる。調査の目的は以下の通りである:(1)指定された用量範囲内で施されるHU処理が安全であるかどうか(すなわち、毒性);(2)指定された用量範囲内で施されるHU処理が自閉症の雄性の青年および成体によって許容されるか否か(すなわち、副作用および有害事象);(3)行動症状に対する測定可能な影響の証拠があるかどうか;(4)指定された範囲内の処置が自閉症のコア形質である社会的応答性に影響を及ぼす観測可能な活性を有すること、および(5)細胞のバイオマーカーのレベルが提案されたメカニズムをサポートするかどうか(すなわち、原理の証明)。
【0306】
雄性青年(n=15、齢13-18年)および成体(n=30、齢19-30)をランダムに、HUのいずれか(2ヶ月のエスカレート間隔で:10、15および30mg/日)またはプラセボを受け取るように割り付ける。量的自閉症形質は、ADI-R、社会的応答性スケール(小児および成体の形態)(Constantinoら、2005)、臨床全般印象スケール(CGI)、および自閉症行動チェックリスト(ABC)を用いて評価する。各用量を漸増する前および調査の終了時に、ADI電流状態アルゴリズム、SRS、CGI、およびABCを実行する。健康診断および研究室の監視は、安全モニターによって適用された毒性の徴候、および停止ルールに観察するために、一定間隔で実行する。データの統計分析は、各被験体に対する個々のトレンドを用いて、研究試料を記述するために使用する。自閉症の薬物研究におけるプラセボ効果が頻繁にマークされるので、本研究の処置および厳格なブラインディングの継続期間は、この効果を克服するのに十分である。
【0307】
低用量でのHUによるストレスプロテオームの刺激および増加したNO生産は、十分に特徴付けられる自閉症の青年および成体における改善された臨床機能につながる。HUは、自閉症のいくつかの異常な細胞機能、たとえば、ミトコンドリア機能不全(Weissmanら、2008)、酸化ストレス(Jamesら、2009)、および神経免疫病理(Vargasら、2005)を補償する。
【0308】
データは、HUおよび関連薬物が病因的および臨床的に多様である様々なまれな遺伝性疾患およびSCDからの培養物で細胞修復を活性化することを実証する。
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