(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の全ての実施形態ではないが、いくつの実施形態を示す添付の図面を参照して、本発明をさらに詳細に説明する。実際、本発明は、多くの異なる形態で実施されてもよく、本明細書に記載される実施形態に制限されると解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施形態は、この開示が適用可能な法的要件を満たすように提示されている。全体を通して、同様の番号は、同様の要素を指すものとする。
【0009】
[外観]
本発明の種々の実施形態は、1つまたは複数の物品を貯蔵し、貯蔵された物品を正規ユーザーに払い出すように構成されたディスペンサーに向けられている。種々の実施形態によれば、ディスペンサーは、概して、1つまたは複数の物品を受け入れるように寸法決めされた内部を画定するハウジングを備えている。一例として、内部は、複数の物品を支持するように構成された1つまたは複数の棚を備えていてもよいし、または種々の物品を支持するように構成された可動カートを受け入れるように寸法決めされた1つの開空間を画定するようになっていてもよい。ディスペンサー内の物品への選択的アクセスをもたらすために、種々の実施形態は、可動アクセスドアを備えている。可動アクセスドアは、ユーザーがディスペンサー内に貯蔵された物品へのアクセスを許容される開位置およびユーザーがディスペンサー内に貯蔵された物品へのアクセスを阻止される閉位置に移動するように構成されている。
【0010】
本明細書においてさらに詳細に説明するように、ディスペンサーのアクセスドアの種々の実施形態は、正規ユーザーがディスペンサー内に貯蔵された物品により容易にアクセスすることを可能にするように構成されている。例えば、種々の実施形態では、アクセスドアは、正規ユーザーがアクセスドアを開位置または閉位置に容易に調整することができるように、ディスペンサーのハウジングに対して横方向に摺動するように構成されている。加えて、ディスペンサーのいくつかの実施形態は、正規ユーザーがディスペンサーからの物品の回収を完了したときに、アクセスドアを自動的に閉鎖するように構成された付勢システムを備えている。例えば、一実施形態では、付勢システムは、モータを必要とすることなく、アクセスドアを閉鎖するように機能するカウンターウエイトアセンブリを備えている。本明細書においてさらに詳細に説明するように、このような実施形態は、ディスペンサーの全電力消費を低減し、ディスペンサーの信頼性を改良することができる。さらに、アクセスドアおよび付勢システムのいくつかの実施形態は、設置面積の小さい大きな内部空間をもたらすために、ディスペンサー内の空間を節約するコンパクトな構造を有している。さらに、以下に詳細に説明するように、本明細書に記載されるディスペンサーの種々の実施形態は、信頼性を改良し、かつディスペンサーの全製造コストを低減するのに役立つ信頼性のある低コストの構成部品から構成されている。
【0011】
[一体化された物品支持特徴部を有するディスペンサー]
図1は、一実施形態によるディスペンサー5を示している。
図1に示されているように、ディスペンサー5は、概して、ハウジング10、アクセスドア20,および制御システム30を備えている。以下にさらに詳細に説明するように、アクセスドア20は、1つまたは複数の物品を貯蔵するように構成されたハウジング10の内部へのアクセスを阻止または許容するために、ハウジング10に対して横方向に摺動するように構成されている。アクセスを正規ユーザーのみに制限するために、制御システム30は、概して、ユーザーの入力に基づいてアクセスドア20をロックおよびロック解除するように構成された1つまたは複数のロッキング機構を制御するように、構成されている。
【0012】
図1の例示的実施形態では、ハウジング10は、1対の側パネル102、上パネル104、後パネル106、および底パネル108を備えている。種々の実施形態によれば、パネル102〜108は、どのような適切な構造材料(例えば、金属または高強度プラスチック)から形成されていてもよく、また別々に接続されたパネルから構成されていてもよいし、単一品の成形構造材料から形成されていてもよい。
図1に示されているように、ハウジングのパネル102〜108は、アクセス開口110を介してアクセス可能な内部を画定している。例示的実施形態では、内部は、複数の実質的に水平に延在する実質的に矩形の棚114を備えている。棚114は、垂直方向において互いに離間しており、ハウジング10の内部に配置された複数の物品を支持するための物品支持特徴部として機能するように構成されている。例えば、医療業界に用いられるように構成された場合、棚114は、種々のリネン、スクラブ、などを支持することができる。しかし、本明細書の記載から理解されるように、棚114に加えてまたは棚114に代わって、種々の他の支持特徴部が、ハウジング10の内部に設けられていてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、物品を受け入れるように寸法決めされた種々の長孔または収納孔が、ハウジング10の内部に配置されていてもよい。加えて、ディスペンサー5のいくつかの実施形態は、ハウジングの内部に物品支持特徴部を備えていなくてもよい。
【0013】
種々の実施形態によれば、アクセスドア20は、ハウジングのアクセス開口110に隣接してハウジング10に操作可能に接続されている。以下にさらに詳細に説明するように、アクセスドア20は、アクセスドア20がハウジング10の内部に貯蔵された物品へのアクセスを許容する開位置とアクセスドア20がハウジング10の内部に貯蔵された物品へのアクセスを阻止する閉位置との間で、横方向に摺動するように構成されている。例えば、一実施形態によれば、
図1は、開位置にあるアクセスドア20を示しており、
図2は、閉位置にあるアクセスドア20を示している。
【0014】
図1および
図2の例示的実施形態では、アクセスドア20は、柔軟バリア202および垂直支持部材210を備えている。種々の実施形態によれば、柔軟バリア202は、耐引裂材料(例えば、バリスティックナイロン、ポリエステル、Kevlar布)から作製された布シートから構成されているとよい。しかし、本明細書の記載から理解されるように、柔軟バリアは、適切な耐久力および強度を有するどのような柔軟材料から形成されていてもよい。加えて、本明細書に用いられている「垂直」および「水平」という用語は、略垂直または略水平に配向された構成要素を指すことが意図されている。このような構成要素は、支持表面に対して垂直または水平に正確に配向されてもよいが、「垂直」および「水平」という用語は、このような正確な配向が必要であることを意図するものではない。
【0015】
図2に示されているように、柔軟バリア202の上下縁202a,202bは、第1の組のリング203からなる第1の複数のドア取付部材および第2の組のリング204からなる第2の複数の取付部材によって、ハウジング10に操作可能に接続されている。第1の組のリング203は、柔軟バリアの上縁202aに沿って配置されており、上側水平ガイドロッド120からなる上側水平支持部材に係合されている。同様に、第2の組のリング204は、柔軟バリアの下縁202bに沿って配置されており、下側水平ガイドロッド122からなる下側水平支持部材に係合されている。
図2の例示的実施形態では、上下の水平ガイドロッド120,122は、ハウジングのアクセス開口110の幅を横切って延在しており、それぞれ、アクセス開口の上側周縁110aおよび下側周縁110bに隣接してハウジング10に接続されている。本明細書の記載から理解されるように、上側水平ガイドロッド120および下側水平ガイドロッド122は、ハウジング10に取り付けられた別のロッド部材から構成されていてもよいし、ハウジング10自体の一部から形成されたロッド部材から構成されていてもよい。リング203,204および水平ガイドロッド120、122は、一緒になって、柔軟バリア202がアクセス開口110の高さを実質的に横切って延在し、前述した開位置と閉位置との間で横方向に移動可能となるように、柔軟バリア202をハウジング10に固定するように機能している。
【0016】
図3は、柔軟バリア202の上部および第1の組のリング203の外観図である。図示されている実施形態では、リング203の各々は、上側水平ガイドロッド120に沿って横方向に摺動するように、上側水平ガイドロッド120の周りに延在している。加えて、リング203の各々は、柔軟バリア202の孔を貫通しており、これによって、これらのリング203は、一緒になって、柔軟バリア202の上縁202aを上側水平ガイドロッド120に操作可能に接続している。同様に、
図4は、柔軟バリア202の下部および第2の組のリング204の外観図を示している。
図4に示されているように、リング204の各々は、下側水平ガイドロッド122に沿って横方向に摺動するように、下側水平ガイドロッド122の周りに延在している。加えて、リング204の各々は、柔軟バリア202の孔を貫通しており、これによって、これらのリング204は、一緒になって、柔軟バリア202の下縁202bを下側水平ガイドロッド122に操作可能に接続している。
【0017】
図2を再び参照すると、柔軟バリア202は、その側縁202c,202dに沿って、それぞれ、垂直支持部材210およびハウジング10にも取り付けられている。
図2の例示的実施形態では、垂直支持部材210は、ハウジング10に摺動可能に接続された略細長部材から構成されており、アクセス開口110の全高さを横切って延在するように実質的に垂直方向に配向されている。種々の実施形態では、垂直支持部材210は、略剛性であり、高強度金属材料、例えば、鋼またはアルミニウムから構成されている。しかし、本明細書の記載から理解されるように、垂直支持部材210は、適切な強度および剛性を有する種々の材料から構成されていてもよい。種々の実施形態では、垂直支持部材210は、アクセスドア20がその開位置と閉位置との間で移動することを可能にするために、ハウジング10に対して横方向に摺動するように構成されている。例えば、
図2および
図3に示されている閉位置では、垂直支持部材210は、ハウジングのアクセス開口110の第1の側面110cに隣接して配置されている。アクセスドア20をその開位置に調整するために、垂直支持部材210は、アクセス開口の反対側の第2の側面110dに向かって横方向に移動可能になっている。加えて、
図3の例示的実施形態では、垂直支持部材210は、ユーザーが垂直支持部材210の位置を容易に調整することを可能にするように構成されたハンドル211を備えている。
【0018】
図2に示されているように、柔軟バリア202の第1の側縁202cは、垂直支持部材210に取り付けられている。特に、
図3の例示的実施形態では、柔軟バリアの第1の側縁202cは、垂直支持部材210に固定されたC字状取付部材208間に締め付けられている。しかし、本明細書の記載から理解されるように、柔軟バリアの第1の側縁202cは、種々の他の取付装置または方法によって(例えば、接着剤または複数の締付装置を用いて)垂直支持部材210に取り付けられていてもよい。
【0019】
加えて、柔軟バリアの第2の側縁202dは、アクセス開口110の第2の側面110dに隣接してハウジング10に取付けられている。
図4に示されているように、柔軟バリアの第2の側縁202dは、アクセス開口の第2の側面110dに沿ってハウジング10に固定されたC字状取付部材209間に締め付けられている。しかし、本明細書の記載から理解されるように、柔軟バリアの第2の側縁202dは、種々の他の取付装置または方法によって(例えば、接着剤または複数の締付装置を用いて)ハウジング10に取付けられていてもよい。
【0020】
図1および
図2の例示的実施形態では、垂直支持部材210は、その上下端が、それぞれ、上側摺動アセンブリ130および下側摺動アセンブリ160によって、ハウジング10に摺動可能に接続されている。
図5は、一実施形態によるハウジング10の内部から見た垂直支持部材210の上部を示している。
図5に示されているように、垂直支持部材210の上部は、下側ブラケット132によって、上側摺動アセンブリ130に操作可能に接続されている。上側摺動アセンブリ130は、上側ガイドレール125からなる第2の上側水平支持部材に沿って横方向に摺動するように構成されている。種々の実施形態では、上側ガイドレール125は、アクセス開口の上側周縁110aのいくらか上方においてハウジング10の内部に配置されており、アクセス開口110の幅にわたって拡がるように、ハウジング10を横切って実質的に水平方向に延在している。
【0021】
上側摺動アセンブリ130は、上側ガイドレール125に沿って滑らかに摺動することができるように、上側ガイドレール125に係合するように構成された軸受ブロック131を備えている。種々の実施形態では、軸受ブロック131および上側ガイドレール125は、市販のレールおよびスライドユニット(例えば、部品番号MHTG20CIR1540HS2/Tを有するIKOユニットまたは部品番号WS−10,WJRM−01−10−LLを有するIgus)から構成されているとよい。加えて、上側摺動アセンブリ130は、開口134を画定する第1の横フランジ133、およびボルト136を備えた第2の横フランジ135を備えている。以下にさらに詳細に説明するように、第1の横フランジ133および第2の横フランジ135は、アクセスドア20が開位置または閉位置にロクされることを可能にするために、ハウジング10に配置されたロッキング機構に係合するように構成されている。
【0022】
図6は、一実施形態によるハウジング10の内部から見た垂直支持部材210の下部を示している。
図6に示されているように、垂直支持部材210の下部は、上側ブラケット162によって、下側摺動アセンブリ160に操作可能に接続されている。下側摺動アセンブリ160は、下側ガイドレール127からなる第2の下側水平支持部材に沿って横方向に摺動するように構成されている。種々の実施形態では、下側ガイドレール127は、アクセス開口の下側周縁110bのいくらか下方においてハウジング10の内部に配置されており、アクセス開口110の幅にわたって拡がるように、ハウジング10を横切って実質的に水平方向に延在している。下側摺動アセンブリ160は、下側ガイドレール127に沿って滑らかに摺動することができるように、下側ガイドレール127に係合するように構成された軸受ブロック161を備えている。種々の実施形態では、軸受ブロック161および下側ガイドレール127は、市販のレールおよびスライドユニット(例えば、部品番号WS−10,WJRM−01−10−LLを有するIgus、または部品番号MHTG20CIR1540HS2/Tを有するIKOユニット)から構成されているとよい。
【0023】
前述したように、上下ガイドレール125,127に沿って横方向に摺動する垂直支持部材210の能力によって、アクセスドア20は、開位置と閉位置との間で調整されることが可能になる。例えば、
図2は、一実施形態による閉位置にあるアクセスドア20を示している。アクセスドア20が
図2の閉位置にあるとき、アクセスドアの柔軟バリア202は、ハウジングのアクセス開口110の高さおよび幅にわたって実質的に拡がっている。これによって、ハウジングの内部に配置された物品は、アクセスドアが閉位置にあるとき、ディスペンサー5の外側のユーザーがアクセスできないことになる。特に、
図2の閉位置では、垂直支持部材210は、アクセス開口の第1の側面110cに隣接してハウジング10に対して配置されており、柔軟バリアの第1の測縁202cは、垂直支持部材210に沿って固定されている。反対側では、柔軟バリアの第2の側縁202dは、アクセス開口の第2の側面110dに隣接してハウジング10に固定されている。従って、
図2の閉位置では、平均サイズの人の手が柔軟バリアの側縁202c,202dに沿ってハウジング10の内部にアクセスする空間が存在しない。
【0024】
加えて、
図2の例示的実施形態では、リング203,204は、柔軟バリアの上下縁202a,202bに沿って互いに離間している。具体的には、柔軟バリア202が
図2の閉位置に拡げられたとき、リング203,204は、平均サイズの人の手がリング203,204間に入らないような距離だけ互いに離間するようになっている。同様に、
図2の例示的実施形態では、アクセス開口の上側周縁110aおよび下側周縁110b、上側水平ガイドロッド120および下側水平ガイドロッド122、および柔軟バリアの上下縁202a,202bは、平均サイズの人の手がこれらの間を通ってハウジング10の内部に入ることができないように、互いに近接して配置されている。従って、
図2の閉位置では、平均サイズの人の手が、柔軟バリアの上縁202a,202bに沿ってハウジング10の内部にアクセスする空間が存在しないことになる。
【0025】
図1は、一実施形態による開位置にあるアクセスドア20を示している。
図2と対照的に、
図1は、垂直支持部材210がアクセス開口の第2の側面110dに向かって横方向に移動したときのアクセスドア20を示している。垂直支持部材210が
図1の位置に移動した状態では、柔軟バリア202は、複数の折目をもたらすように圧縮されており、アクセス開口110を介するハウジング10の内部へのアクセスを遮らないようになっている。
【0026】
種々の実施形態によれば、アクセスドア20の前述した構成要素によって、アクセスドア20は、ユーザーによって、
図1,2の開位置と閉位置との間で容易に移動されることが可能である。例えば、
図1〜
図6の例示的実施形態では、上側および下側ガイドロッド120,122、リング203,204、上側ガイドレール125および下側ガイドレール127と、上側摺動アセンブリ130および下側摺動アセンブリ160は、その開位置と閉位置との間でアクセスドア20を摺動させるための低摩擦システムをもたらしている。加えて、柔軟バリア202および垂直支持部材210は、アクセスドア20を比較的軽量とし、アクセスドア20を移動させるのに必要な労力を低減させるようになっている。さらに、アクセスドア20の横方向に摺動する特性によって、ユーザーは、アクセスドアを楽な姿勢で移動させることが可能である。
【0027】
種々の実施形態によれば、ディスペンサー5は、アクセスドア20を
図2の閉位置に付勢するように構成された付勢システムも備えている。
図7〜
図9は、一実施形態によるディスペンサーの付勢システムの種々の態様を示している。
図7〜
図9に示されているように、付勢システムは、概して、ワイヤ152によって上側摺動アセンブリ130に操作可能に接続されたカウンターウエイト151を備えている。
図7は、後パネル106が取り外されたハウジング10の後方から見たディスペンサーの付勢システムの一部を示している。
図7に示されているように、ワイヤ152の第1の端は、カウンターウエイト151に接続されている。カウンターウエイト151は、ワイヤ152によって上下動するときに実質的に垂直方向に移動するように構成された細長の円筒部材(例えば、3ポンド鋼シリンダー)からなっている。カウンターウエイト151がディスペンサー内に貯蔵された物品と接触しないようにするために、カウンターウエイト151は、ハウジング10の内部コーナに固定された管状部材153に垂直方向に出入りするように構成されている。
図7から分かるように、カウンターウエイト151および管状部材153は、アクセス開口の第1の側面110cに最も近いハウジングの側パネル102に隣接して配置されている。いくつかの実施形態では、カウンターウエイト151および管状部材153の配置およびそれらのスリムな輪郭によって、ハウジング10内において付勢システムが占める空間を小さくすることができる。
【0028】
図7の例示的実施形態では、ワイヤ152は、カウンターウエイト151から垂直方向上方に延在し、第1のプーリ154を周回し、ハウジングの上パネル104の直下において水平方向に延在している。
図8は、上パネル104が取り外されたハウジング10の上方から見たディスペンサーの付勢システムの他の部分を示している。
図8に示されているように、ワイヤ152は、第2のプーリ155および第3のプーリ156間を通され、水平ブラケット137から上方に延在する接続部材158に取り付けられている。水平ブラケット137は、上側摺動アセンブリ130に取り付けられており、これによって、カウンターウエイト151は、ワイヤ152に下向き力を加え、上側摺動アセンブリ130をアクセス開口の第1の側面110cに向かって(すなわち、アクセスドアの閉位置に向かって)引っ張ることになる。
【0029】
種々の実施形態では、上側摺動アセンブリ130は、アクセスドアの閉鎖方向における上側摺動アセンブリ130の運動を減衰させるように構成された回転減衰機構も備えている。例えば、
図9は、一実施形態によるハウジング10の内部から見た上側摺動アセンブリ130を示している。
図9に示されているように、水平ブラケット137は、上側摺動アセンブリ130から外方に延在し、回転減衰器138を支持している。回転減衰器138の上部は、タイミングプーリ139に接続されている。
図8を再び参照すると、ハウジング10は、ハウジング10内において実質的に水平方向に配置されたタイミングベルト140を備えている。タイミングベルト140は、(
図8では、取り外されている)ハウジングの上パネル104の直下に位置している。図示されている実施形態では、タイミングベルト140は、クランプ141によって、ハウジング10に少なくとも部分的に固定されている。タイミングプーリ139は、その歯がタイミングベルト140の歯に係合するように配置されており、これによって、回転減衰器138は、上側摺動アセンブリ130の運動を減衰することが可能になる。種々の実施形態では、回転減衰器138は、上側摺動アセンブリ130がアクセスドアの閉位置に向かって移動するときに回転抵抗をもたらすが、上側摺動アセンブリ130がアクセスドアの開位置に向かって移動するときに回転抵抗をもたらさないように構成されており、これによって、アクセスドア20を低労力で開けることが可能になる。しかし、他の実施形態では、回転減衰器138は、アクセスドア20の両方向において抵抗をもたらすように構成されていてもよい。
【0030】
いくつかの実施形態によれば、ディスペンサーの付勢システムの前述した構成要素は、アクセスドア20に閉鎖力を加え、これによって、もしユーザーがアクセスドア20を開き、(例えば、以下に説明する開ロッキング機構を介して)アクセスドア20を開位置に固定することなく解放したなら、アクセスドア20は、
図2に示されている閉位置に自動的に移動するようになっている。一方、付勢システムの回転減衰機構は、アクセスドア20が閉位置に向かって移動する速度を制御するようになっている。例えば、いくつかの実施形態では、回転減衰機構は、ハウジング10と閉じているアクセスドア20との間に挟まった人の手が傷つかないように、アクセスドアの閉鎖速度を減速するように構成されている。
【0031】
本明細書の記載から理解されるように、ディスペンサー5のいくつかの実施形態、例えば、前述した付勢システムを備えるディスペンサー5は、電動モータを備えていなくてもよい。このような実施形態では、ディスペンサー5の全エネルギー消費および動力効率が、電動モータを用いないことによって、改良されることになる。加えて、ディスペンサー5の全体に対する信頼性および製造コストも、信頼性の高いかつ単純な付勢システムを備える構成要素によって、改良されることになる。さらに、電動モータを用いないことによって、設置面積/内部容量の比率が高いコンパクトな設計が可能になる。何故なら、ディスペンサー5は、モータアセンブリを収容する場所を取らないからである。
【0032】
しかし、他の実施形態では、付勢システムに代わってまたは付勢システムに加えて、電動モータが設けられてもよい、このような実施形態では、
図1〜
図6の低摩擦、低重量の横方向に摺動するアクセスドア設計が、比較的低電力モータを用いるように、なされるとよい。これによっても、電力消費、信頼性、製造コスト、および設置面積効率を改善することができる。
【0033】
種々の実施形態によれば、ディスペンサー5は、閉ロッキング機構180および開ロッキング機構190も備えている。閉ロッキング機構180および開ロッキング機構190は、それぞれ、閉位置および開位置にあるアクセスドア20を選択的にロックするように構成されている。例えば、
図5および
図7の例示的実施形態では、閉ロッキング機構180は、アクセス開口の上側周縁110aと第1の側面110cとの交点に隣接して、ハウジングの側パネル102の内部に固定されている。図示されている実施形態では、閉ロッキング機構180は、上側摺動アセンブリの第1の横フランジ133によって画定された開口134に係合するように構成されたラッチを備えている。具体的には、閉ロッキング機構180は、アクセスドア20がその完全な閉位置に移動したとき、閉ロッキング機構のラッチが開口134に係合し、アクセスドア20がその閉位置から外れないように、構成されている。さらに、いくつかの実施形態では、閉ロッキング機構180は、アクセスドア20が付勢システムのみによって閉位置に移動したとき、アクセスドアの第1の横フランジ133および開口134が、閉ロッキング機構のラッチに自動的に係合し、アクセスドア20を閉位置に固定するように、構成されている。このような実施形態では、ユーザーは、アクセスドア20を単に解放し、付勢システムがアクセスドア20を閉位置に自動的に移動させることによって、アクセスドア20をその閉位置にロックすることが可能である。
【0034】
アクセスドア20をその閉位置から解除するため、閉ロッキング機構180は、そのラッチを上側摺動アセンブリの開口から離脱させている。種々の実施形態では、これは、自動的にまたは手動によって行うことができる。例えば、いくつかの実施形態では、キー付き機構が設けられているとよい。このキー付き機構によって、ユーザーは、キーをハウジング10に設けられたキーホール内に挿入し、キーを回転させることによって、閉ロッキング機構のラッチを離脱させることが可能である。加えて、ラッチを機械的に離脱させるように構成されたレバーまたはボタン機構が用いられてもよい。
【0035】
他の実施形態では、ディスペンサーの制御システム30は、閉ロッキング機構180を制御するように構成されていてもよい。種々の実施形態では、制御システム30は、ハウジングの外部に配置された1つまたは複数のユーザー入力装置(例えば、キーパッド、カードリーダー、および/またはRFIDリーダー)と連動するように構成されたコンピュータ装置(例えば、プロセッサおよびメモリ)を備えている。例えば、
図1および
図2の例示的実施形態では、制御システム30は、ディスペンサー側壁102の1つの外面の小さいハウジング内に含まれており、キーパッド、カードリーダー、およびディスプレイスクリーンを備えるユーザーインターフェイス32を備えている。
【0036】
種々の実施形態では、閉ロッキング機構180は、制御システム30から受信した制御信号に応じて閉ロッキング機構のラッチを作動するように構成されたソレノイドまたは他の電気機械装置を備えていてもよい。従って、一実施形態では、制御システム30は、正規ユーザー入力(正規ユーザーに割り当てられたカードの挿通またはキーパッドを介して入力された正規コード)に応じて、閉鎖されたアクセスドア20をロック解除すべく、閉ロッキング機構のラッチを作動させるように構成されている。アクセスドア20がこのような正規ユーザー入力をもたらすことができないユーザーによってロック解除されることを阻止することによって、制御システム30および閉ロッキング機構180は、ハウジング10の内部に貯蔵された物品へのアクセスを阻止することができる。いくつかの実施形態では、閉ロッキング機構180は、自動化制御システム30が機能しなくなった場合にアクセスドア20をロック解除するための冗長バックアップ方法として、前述した機械的ロック解除システムを備えていてもよい。本明細書の記載から理解されるように、上側摺動アセンブリ130および閉ロッキング機構180の種々の実施形態は、アクセスドア20をその閉位置に固定するのに適した種々のロッキング機構を備えていてもよい。
【0037】
図9の例示的実施形態では、開ロッキング機構190は、アクセス開口の上側周縁110aと第2の側面110dとの交点に隣接してハウジングの側パネル102の内部に固定されている。例示的実施形態では、開ロッキング機構は、上側摺動アセンブリの第2の横フランジ135に設けられたボルト136に係合するように配置されたラッチ195を備えている。いくつかの実施形態では、ラッチ195は、アクセスドア20が完全な開位置に移動したとき、開ロッキング機構のラッチ195がボルト136に係合し、アクセスドア20がその開位置から離脱することを阻止するように、構成されている。このような実施形態では、ユーザーは、アクセスドア20をその開位置に単に押すことによって、アクセスドア20をその開位置にロックするようになっている。
【0038】
アクセスドア20をその開位置からロック解除するには、開ロッキング機構190のラッチ195を上側摺動アセンブリのボルト136から離脱させるとよい。種々の実施形態では、これは、自動的にまたは手動によって行うことができる。例えば、種々の実施形態では、ラッチ195をボルト136から機械的に離脱させるように構成されたレバー、ボタン、またはキー付き機構が、ハウジング10の外部に設けられるとよい。
【0039】
他の実施形態では、ディスペンサーの制御システム30が開ロッキング機構190を制御するように構成されていてもよい。具体的には、
図9の例示的実施形態では、ラッチ195は、ソレノイド191によって作動されるようになっている。ソレノイド191は、リンケージ193を介して、ラッチ195をボルト136との係合から離脱させるように構成されている。ソレノイド191は、制御システム30によって生じた制御信号によって作動されるようになっている。一実施形態では、制御システム30は、ディスペンサーのユーザーインターフェイス32を介して受信したユーザー入力(例えば、正規ユーザーに割り当てられたカートの挿通またはキーパッドを介して入力された正規コード)に応じて、またはハウジング10に設けられた他の制御機構を介して、制御信号を生じるように構成されているとよい。他の実施形態では、制御システム30は、プログラム化された期間の後(例えば、このタイミングは、ラッチ195がボルト136に係合したときに開始するようになっている)、ソレノイド191を作動させ、ラッチ195を離脱させる時間的調整機能を備えているとよい。このような実施形態では、制御システム30は、長期間にわたって無人のディスペンサー5のアクセスドア20が開いた状態で放置されることを防ぐことになる。本明細書の記載から理解されるように、種々の実施形態によれば、開ロッキング機構190の構成要素は、閉ロッキング機構として用いられるように構成されているとよく、閉ロッキング機構180の構成要素は、開ロッキング機構として用いられるように構成されているとよい。
【0040】
種々の実施形態によれば、ディスペンサーの制御システム30は、種々の他の機能性をもたらすように構成されているとよい。一例として、いくつかの実施形態では、ディスペンサー5は、ハウジング10の内部に貯蔵された物品の重量(例えば、棚14に貯蔵された全ての物品の全重量)を監視するように構成されたスケールを備えていてもよい。このような実施形態では、制御システム30は、ネットワークで接続された種々のディスペンサー内に存在する物品の量を監視するように構成されたネットワーク上のリモートサーバに接続されているとよい。例えば、制御システム30は、米国特許出願第11/236,214号、現在は米国特許第7,428,447号に開示されているような在庫管理システムに用いられるように適合されているとよい。この開示内容は、参照することによって、その全体がここに含まれるものとする。
【0041】
本明細書の記載から理解されるように、ディスペンサー5の種々の修正が、本発明の範囲内においてなされてもよい。例えば、ハウジング10への柔軟バリアの接続に関して、リング203,204は、(例えば、柔軟バリアの上下縁202a,202bに沿って配置されたループまたはリベットを介して)任意の適切な形態によって柔軟バリア202に接続されていてもよい。加えて、リング203,204は、ガイドロッド120,122に沿って摺動するのに適する他のドア取付部材、例えば、布ループまたは金属フックに置き換えられてもよい。他の実施形態では、ガイドロッド120,122は、付加的なガイドレールに置き換えられ、柔軟バリア202が、柔軟バリアの上下縁202a,202bに沿って接続された複数の軸受ブロックによって、これらの付加的なガイドレールに操作可能に接続されるようになっていてもよい。他の実施形態では、このような軸受ブロックは、上側および下側摺動アセンブリ130,160と一緒に上側ガイドレール125および下側ガイドレール127に沿って移動するように構成されていてもよい。
【0042】
種々の実施形態によると、垂直支持部材210は、種々の方法を用いて、ハウジング10に操作可能に接続されてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、垂直支持部材210の上下端は、上側および下側ガイドロッド120,122に沿って摺動するように構成されてもよい。他の実施形態では、ディスペンサー5は、柔軟バリア202の両側縁に配置された1対の垂直支持部材を備えていてもよい。さらなる実施形態では、垂直支持部材210、従って、アクセスドア20は、ディスペンサー5が配置される支持面と直交しないように傾斜されていてもよい。
【0043】
[物品支持カートを受け入れるように構成されたディスペンサー]
図10は、本発明の他の実施形態によるディスペンサー7を示している。
図10に示されているように、ディスペンサー7は、概して、ハウジング50、アクセスドア60、および制御システム70を備えている。
図1および
図2の例示的実施形態に示されているアクセスドア20と同様、アクセスドア60は、ハウジング10の内部へのアクセスを阻止または許容するために、ハウジング50に対して横方向に摺動するように構成されている。しかし、
図10の例示的実施形態では、ハウジング50は、移動可能な貯蔵カートがハウジング50に出入りすることを可能にするように構成された部分的に開いた下側周縁を備えている。従って、
図11に示されているように、アクセスドア60は、その上縁402aに沿ってハウジング50に操作可能に接続されているが、その下縁402bに沿って不安定になっている。
【0044】
図10の例示的実施形態では、ハウジング50は、1対の側パネル302、上パネル304、および後パネル306を備えている。
図1および
図2に示されているパネル102〜108と同じように、パネル302〜306は、どのような適切な構造材料(例えば、金属または高強度プラスチック)から形成されていてもよく、また別に接続されたパネルから構成されていてもよいし、または成形構造材料の単一品から形成されていてもよい。
図10に示されているように、ハウジングのパネル302〜306は、アクセス開口310を介してアクセス可能な内部を画定している。例示的実施形態では、ハウジングの内部は、種々の物品を支持するように構成された移動可能な貯蔵カート、例えば、現在、米国特許出願公開第2008/0272565号として公開されている米国特許出願第11/849,332号に開示されている貯蔵キャリッジ200を受け入れるように寸法決めされている。この開示内容は、参照することによって、その全体がここに含まれるものとする。加えて、
図10に示されているように、ディスペンサー7は、可動カートをアクセス開口31を通ってハウジング50の内部に案内するように構成されたホイールガイド装置314を備えている。
【0045】
種々の実施形態によれば、ディスペンサーのアクセスセスドア60は、ハウジングのアクセス開口310に隣接してハウジング50に操作可能に接続されており、柔軟バリア402および垂直支持部材410を備えている。種々の実施形態では、アクセスドア60は、ハウジング50の内部に貯蔵された物品へのアクセスを許容する開位置と、ハウジング50の内部に貯蔵された物品へのアクセスを阻止する閉位置との間で横方向に摺動するように構成されている。例えば、一実施形態によれば、
図10は、開位置にあるアクセスドア60を示しており、
図11は、閉位置にあるアクセスドア60を示している。多くの観点において、アクセスドア60は、
図1および
図2のアクセスドア20と同様である。例えば、アクセスドアの柔軟バリア402は、前述した耐引裂材料から作製された布シートから構成されているとよく、アクセスドアの垂直支持部材410は、前述した高強度材料から構成された細長部材からなっているとよい。
【0046】
図11に示されているように、柔軟バリア402の上縁402aは、第1の組のリング403からなる第1の複数のドア取付部材によってハウジング50に操作可能に接続されている。
図12は、柔軟バリア402の上部および第1の組のリング403の外観図を示している。
図12に示されているように、第1の組のリング403は、柔軟バリアの上縁402aに沿って配置されており、上側水平ガイドロッド420からなる上側水平支持部材に係合されている。種々の実施形態によれば、リング403およびガイドロッド420は、リング203およびガイドロッド120に関して前述したように機能している。従って、
図10および
図11に示されているように、リング403および上側水平ガイドロッド420は、柔軟バリア402がアクセス開口310の高さを実質的に横切って延在し、前述した開位置と閉位置との間で横方向に移動可能となるように、柔軟バリア402をハウジング50に固定している。
【0047】
また、柔軟バリア402は、その側縁402c,402dに沿って、それぞれ、垂直支持部材410およびハウジング50に取り付けられている。種々の実施形態によれば、柔軟バリアの側縁402c,402dは、柔軟バリア402、垂直支持部材210、およびハウジング10に関して前述したように、垂直支持部材410およびハウジング50に固定されている。
【0048】
種々の実施形態では、垂直支持部材410は、アクセスドア60がその開位置と閉位置との間で移動することを可能にするために、ハウジング50に対して横方向に摺動するように構成されている。一実施形態では、垂直支持部材410の上端は、上側水平ガイドレールに沿って摺動するように構成された上側摺動アセンブリによって、(例えば、垂直支持部材210および上側摺動アセンブリ130に関して前述したように)、ハウジング50に摺動可能に接続されている。しかし、垂直支持部材の下端は、ハウジング50に接続されていない。従って、力が垂直支持部材410に加えられ、垂直支持部材410をハウジングの内部に向かってまたはハウジングの内部から離れる方に押す場合に、垂直支持部材410に付加的な支持をもたらすために、垂直支持部材410は、上側水平ガイドロッド420にも操作可能に接続されている。例えば、
図12に示されているように、垂直支持部材410の上端は、上側水平ガイドロッド420の周りに延在する留め部材412を備えている。従って、力が垂直支持部材410に加えられたとき、留め部材412は、上側水平ガイドロッド420に係合し、これによって、垂直支持部材41に付加的な支持をもたらし、上側摺動アセンブリがその上側水平ガイドレールから離脱するのを防ぐことになる。
【0049】
前述したように、横方向に摺動する垂直支持部材410の能力によって、アクセスドア60は、開位置と閉位置との間で調整されることが可能になる。
図11に示されている閉位置では、柔軟バリア402、垂直支持部材410、リング403、および上側水平支持ロッド420の位置および方位によって、ディスペンサー5に関して前述したのと実質的に同じように、ハウジング50の内部へのアクセスが阻止される。しかし、ハウジング50の内部への外側からのアクセスを阻止するために、
図11に示されている柔軟バリア402は、その下縁402bがディスペンサー7の位置する支持面に近接して配置されるように、寸法決めされている。
【0050】
図13は、一実施形態によるアクセス開口の第1の側面310cの近傍の垂直支持部材の下部の外観図を示している。アクセスドア60が閉位置にあるときに垂直支持部材410に付加的な支持をもたらすために、垂直支持部材は、下側支持フランジ414を備えている。
図13に示されているように、下側支持フランジ414は、垂直支持部材410の先端から横方向外方に延在しており、アクセス開口の第1の側面310cに沿ってハウジング50に画定された線状凹部315に係合するように構成されている。アクセスドア60が完全に閉鎖されるとき、垂直支持部材410がハウジング50に対して移動し、下側支持フランジ414が線状凹部315内に挿入される。従って、力が垂直支持部材410に加えられ、垂直支持部材410をハウジング50の内部に向かって内方に押すとき、または垂直支持部材410をハウジング50から外方に押すとき、下側支持フランジ414は、垂直支持部材410に付加的な支持をもたらし、アクセスドア60を閉位置に固定するのを助長することになる。
【0051】
いくつかの実施形態では、柔軟バリア402は、アクセスドア60が閉位置にあるときに付加的なアクセス阻止をもたらす強化部材または強化装置も備えている。例えば、
図14は、ハウジングの後パネル306が取り外されたディスペンサー7の後面図を示している。
図14の例示的実施形態に示されているように、柔軟バリア402は、複数の垂直支持ロッド450を備えている。例示的実施形態では、垂直支持ロッド450は、柔軟バリア402内に縫い込まれた実質的に細長の金属ロッドを備えている。
図14に示されているように、垂直支持ロッド450は、垂直方向に配向され、柔軟バリア402の幅にわたって横方向に互いに離間している。種々の実施形態では、アクセスドア60が閉位置にあるとき、ハウジング50の内部の物品にアクセスするために、垂直支持ロッド450は、非正規ユーザーが柔軟バリア402の下縁402bをかなりの距離にわたって持ち上げるのを阻止するように機能している。
【0052】
アクセスドア60は、開位置にあるとき、アクセスドア20と同じように機能している。例えば、
図10に示されている開位置では、垂直支持部材410は、アクセス開口の第2の側面310dに向かって横方向に移動している。垂直支持部材410が
図10の位置まで移動すると、柔軟バリア402は、複数の折目をもたらすように圧縮され、アクセス開口310を介するハウジング50の内部へのアクセスを妨げないことになる。
【0053】
図15は、安全バー500がハウジング50に設けられているディスペンサー7の他の実施形態を示している。
図7に示されているように、安全バー500は、略剛性であり、高強度金属材料、例えば、鋼またはアルミニウムから構成されている。しかし、本明細書の記載から明らかなように、安全バー500は、適切な強度および剛性を有する種々の材料から構成されていてもよい。
図15に示されているように、安全バー500は、ハンドル502を備えており、ピン504によってハウジング50に回転可能に接続されており、これによって、上側アクセス位置と下側保持位置との間で回転することができる。加えて、ディスペンサーの垂直支持部材410は、安全バー500の一部を覆うように寸法決めされたU字状ブラケット506を備えている。
【0054】
図15は、開位置にあるアクセスドア60および上位置にある安全バー500を有するディスペンサー7を示している。
図15から理解されるように、安全バー500がその上位置にあり、アクセスドアが開位置にあるとき、安全バー500は、ディスペンサーのアクセス開口310を塞がず、ハウジング50の内部へのユーザーのアクセスは、許容されており、(例えば、これによって、貯蔵カートがディスペンサー7内に運ばれ、1つまたは複数の物品が、貯蔵カート上に配置され、かつ貯蔵カートから取り出されることが可能である)。種々の実施形態では、安全バー500およびハウジング50は、安全バー500をその上位置に選択的に固定するように構成されたロッキング機構(例えば、制御システム70による電気機械的なロッキング機構または手動による機械的なロッキング機構)を備えていてもよい。
【0055】
図16は、閉位置にあるアクセスドア60および下位置にある安全バー500を有するディスペンサー7を示している。
図16から分かるように、安全バー500がその下位置にあり、アクセスドア60がその閉位置にあると、安全バー500は、非正規ユーザーがアクセスドアの柔軟バリア402の底縁を持ち上げるかまたは手を付けることを実質的に阻止することになる。加えて、もしアクセスドア60が外方に引っ張られまたは内方に押し込まれたら、垂直支持部材のU字状ブラケット506が安全バー500に係合し、これによって、ハウジング50の内部へのアクセスを阻止するための付加的な安全をもたらすことになる。
【0056】
さらに、例示的実施形態では、アクセスドア60は、安全バー500がその下位置に維持されている間に、その開位置に移動されることが可能である。従って、アクセスドア60が開位置にあり、安全バー500がその下位置にある状態で、(例えば、ディスペンサー7から物品を取り出すために、または物品をディスペンサー7内に配置するために)ハウジング50の内部へのユーザーアクセスが可能である。しかし、その下側の保持位置にあるとき、安全バー500は、アクセスドア60が開いているかまたは閉じているかに関わらず、非正規ユーザーがディスペンサー内に配置された貯蔵キャリッジを取り出すことを阻止している。いくつかの実施形態では、U字状ブラケット506は、アクセスドア60がその開位置と閉位置との間で移動するとき、安全バー500に係合せず、これによって、アクセスドア60が調整されるときの摩擦を低減するように、構成されている。加えて、種々の実施形態では、安全バー500およびハウジング50は、安全バー500をその下位置に選択的に固定するように構成されたロッキング機構(例えば、制御システム70によって制御される電気機械的なロッキング機構または手動による機械的な機構)を備えていてもよい。本明細書の記載から理解されるように、種々の実施形態では、1つまたは複数の安全バーがディスペンサー7に設けられ、種々の形態(例えば、摺動、回転、など)によって、アクセス位置と保持位置との間で移動するように構成されていてもよい。
【0057】
種々の実施形態によれば、アクセスドア60の前述した構成要素によって、アクセスドア60は、
図10および
図11の開位置と閉位置との間でユーザーによって容易に移動されることが可能である。加えて、付加的なユーザー利便性およびアクセス阻止能力をもたらすために、ディスペンサー7の種々の実施形態は、ディスペンサー5に関して前述した付勢システム、開ロッキング機構、および/または閉ロッキング機構を備えていてもよい。さらに、
図10および
図11の例示的実施形態に示されているように、ディスペンサー7は、ユーザーインターフェイス72を有する制御システム70を備えている。種々の実施形態によれば、制御システム70およびユーザーインターフェイス72は、前述した制御システム30およびユーザーインターフェイス32と実質的に同じように作動するように構成されているとよい。同様に、ディスペンサー5に関して前述した修正と同様のディスペンサー7の修正も考慮されている。
【0058】
[結論]
前述の説明および関連する図面における示唆の利得を受けるこれらの発明が属する技術分野の当業者であれば、本明細書に記載されている本発明の多くの修正および他の実施形態が思い浮かぶだろう。従って、本発明が開示されている特定の実施形態に制限されないこと、および修正および他の実施形態が添付の請求項の範囲内に含まれることが意図されていることを理解されたい。特定の用語が本明細書に用いられているが、これらの用語は、制限するためではなく、包括的かつ記述的な意味でのみ用いられている。