特許第6591768号(P6591768)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6591768
(24)【登録日】2019年9月27日
(45)【発行日】2019年10月16日
(54)【発明の名称】ラベル付き容器及び筒状ラベル
(51)【国際特許分類】
   B65D 55/06 20060101AFI20191007BHJP
   B65D 75/62 20060101ALI20191007BHJP
   B65D 77/20 20060101ALI20191007BHJP
   B65D 25/36 20060101ALI20191007BHJP
【FI】
   B65D55/06 110
   B65D75/62 B
   B65D77/20 S
   B65D25/36
【請求項の数】3
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-68385(P2015-68385)
(22)【出願日】2015年3月30日
(65)【公開番号】特開2016-188086(P2016-188086A)
(43)【公開日】2016年11月4日
【審査請求日】2018年2月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】313004403
【氏名又は名称】株式会社フジシール
(74)【代理人】
【識別番号】100104640
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 陽一
(72)【発明者】
【氏名】水谷 直紀
(72)【発明者】
【氏名】植村 周平
【審査官】 植前 津子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−062703(JP,A)
【文献】 特開2015−016902(JP,A)
【文献】 特開2008−087766(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 39/00−55/16
B65D 35/44−35/54
B65D 23/00−25/56
B65D 67/00−79/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱収縮性フィルムによって形成された筒状ラベルが、蓋部と胴部との境界が周方向と異なる方向に傾斜または湾曲している部分を有する蓋付容器の蓋部から胴部に渡って装着されたラベル付き容器であって、
前記筒状ラベルは、蓋部の装着部分を胴部の装着部分から切り離すために、蓋付容器の蓋部と胴部との境界またはその境界に沿うように前記胴部側に形成された環状のミシン目線を備え、
前記環状のミシン目線は、少なくともその一部が、周方向と異なる方向に延びる、直線状又は曲線状の非周ミシン目線によって形成されており、
前記非周ミシン目線の少なくとも一端部に、前記非周ミシン目線を構成している各切目よりも長い切込が形成されていることを特徴とするラベル付き容器。
【請求項2】
前記環状のミシン目線は、前記非周ミシン目線及び周方向に延びる周ミシン目線によって環状に形成されており、
前記非周ミシン目線は、その一端部において前記周ミシン目線に接続されている請求項1に記載のラベル付き容器。
【請求項3】
蓋部と胴部との境界が周方向と異なる方向に傾斜または湾曲している部分を有する蓋付容器の蓋部から胴部に渡って装着される、熱収縮性フィルムによって形成された筒状ラベルであって、
蓋部の装着部分を胴部の装着部分から切り離すために、蓋付容器に装着した状態で蓋付容器の蓋部と胴部との境界に対応する位置またはその境界に沿う前記胴部側の対応する位置に形成された環状のミシン目線を備え、
前記環状のミシン目線は、少なくともその一部が、周方向と異なる方向に延びる、直線状又は曲線状の非周ミシン目線によって形成されており
前記非周ミシン目線の少なくとも一端部に、前記非周ミシン目線を構成している各切目よりも長い切込が形成されていることを特徴とする筒状ラベル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、熱収縮性フィルムによって形成された筒状ラベルが、蓋付容器の蓋部から胴部に渡って装着されたラベル付き容器に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のラベル付き容器としては、例えば、図12に示すようなものがある。このラベル付き容器50は、同図に示すように、熱収縮性フィルムによって形成された筒状ラベル60を、蓋付容器Vの胴部B及び蓋部C部分に被嵌し、これを加熱収縮させて胴部B及び蓋部C部分に密着させることで蓋付容器Vを封緘したものであり、筒状ラベル60は、同図13(a)、(b)に示すように、蓋付容器Vの蓋部Cの下端位置を通る周ミシン目線61が全周にわたって形成されていると共に、上端縁から周ミシン目線61に至る2本の縦ミシン目線62、63とが形成されている。このようにして、筒状ラベル60が蓋付容器Vに装着されたラベル付き容器50は、2本の縦ミシン目線62、63間部分を下方に引き裂いて切除し、その両側に残った部分を周ミシン目線61に沿って引き裂いて切除することで、胴部Bにだけラベルが装着された状態で開封されるようになっている。
【0003】
ところで、蓋付容器の形態は、近年多様化・異形化しており、例えば、図14(a)〜(c)に示すように、蓋部Cの下端縁が部分的に下方側に突出するように湾曲している蓋付容器V1がある。こういった蓋付容器V1に、全周にわたって周ミシン目線61を形成した筒状ラベル60を装着する場合は、図15(a)、(b)に示すように、蓋部Cの下端縁における下方側に湾曲した部分よりも下側に周ミシン目線61を配置しなければならないので、図16(a)、(b)に示すように、筒状ラベル60における蓋部Cに装着されている部分を胴部B及び蓋部Cの境界に沿って剥ぎ取って開封することができないといった問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−75387号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
こういった問題を解決するため、周ミシン目線を全周にわたって形成するのではなく、例えば、図17(a)、(b)に示す筒状ラベル70のように、蓋部Cの下端縁が平坦な両側部は、蓋部Cの下端縁に沿って周方向に延びる周ミシン目線71を形成し、蓋部Cの下端縁が下側に湾曲している正面部及び背面部は、蓋部Cの下端縁に沿うように、両側部の周ミシン目線71の両端部から斜め下方に方向を変えて延びる、下方側に湾曲した非周ミシン目線72を形成することが考えられる。なお、同図(b)における符号73,74は縦ミシン目線を示している。
【0006】
しかしながら、熱収縮性フィルムによって形成された筒状ラベルは、周方向に熱収縮させるために主として周方向に延伸されており、周方向に破断し易く、周方向と異なる方向には破断しにくい性質を有している。このため、蓋付容器V1に装着された筒状ラベル70が非周ミシン目線72を有していると、蓋部Cの装着部分を胴部B及び蓋部Cの境界に沿って綺麗に切除することはできない。
【0007】
そこで、この発明の課題は、蓋付容器の蓋部から胴部に渡って装着された筒状ラベルにおいて非周ミシン目線を有するミシン目線に沿って破断することができるラベル付き容器及び筒状ラベルを提供することにある。好ましくは、蓋付容器の蓋部から胴部に渡って装着された筒状ラベルにおける蓋部の装着部分を胴部及び蓋部の境界に沿って綺麗に切除することができるラベル付き容器及び筒状ラベルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、請求項1に係る発明は、熱収縮性フィルムによって形成された筒状ラベルが、蓋部と胴部との境界が周方向と異なる方向に傾斜または湾曲している部分を有する蓋付容器の蓋部から胴部に渡って装着されたラベル付き容器であって、前記筒状ラベルは、蓋部の装着部分を胴部の装着部分から切り離すために、蓋付容器の蓋部と胴部との境界またはその境界に沿うように前記胴部側に形成された環状のミシン目線を備え、前記環状のミシン目線は、少なくともその一部が、周方向と異なる方向に延びる、直線状又は曲線状の非周ミシン目線によって形成されており、前記非周ミシン目線の少なくとも一端部に、前記非周ミシン目線を構成している各切目よりも長い切込が形成されていることを特徴とするラベル付き容器を提供するものである。
【0009】
また、請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明のラベル付き容器において、前記環状のミシン目線は、前記非周ミシン目線及び周方向に延びる周ミシン目線によって環状に形成されており、前記非周ミシン目線は、その一端部において前記周ミシン目線に接続されていることを特徴としている。
【0010】
また、請求項3に係る発明は、蓋部と胴部との境界が周方向と異なる方向に傾斜または湾曲している部分を有する蓋付容器の蓋部から胴部に渡って装着される、熱収縮性フィルムによって形成された筒状ラベルであって、蓋部の装着部分を胴部の装着部分から切り離すために、蓋付容器に装着した状態で蓋付容器の蓋部と胴部との境界に対応する位置またはその境界に沿う前記胴部側の対応する位置に形成された環状のミシン目線を備え、前記環状のミシン目線は、少なくともその一部が、周方向と異なる方向に延びる、直線状又は曲線状の非周ミシン目線によって形成されており、前記非周ミシン目線の少なくとも一端部に、前記非周ミシン目線を構成している各切目よりも長い切込が形成されていることを特徴とする筒状ラベルを提供するものである。
【0011】
なお、上述した「周方向と異なる方向」とは、筒状ラベルの周方向(0度)に対する角度(小さい側の角度)が10度を超え90度以下の方向をいう。従って、筒状ラベルの周方向(0度)に対する角度(小さい側の角度)が10度以内のミシン目線は、非周ミシン目線ではない。また、切込は非周ミシン目線の両端部に形成されていてもよいことはいうまでもない。
【発明の効果】
【0012】
以上のように、請求項1に係る発明のラベル付き容器は、蓋部と胴部との境界が周方向と異なる方向に傾斜または湾曲している部分を有する蓋付容器の蓋部と胴部との境界またはその境界に沿うように胴部側に形成された環状のミシン目線の少なくとも一部が、周方向と異なる方向に延びる、直線状又は曲線状の非周ミシン目線を有し、その非周ミシン目線の少なくとも一端部に、非周ミシン目線を構成している各切目よりも長い切込が形成されているので、当該一端部において逸れることなく環状のミシン目線に沿って破断される。従って、筒状ラベルにおける蓋部に装着されている部分を胴部及び蓋部の境界に沿って綺麗に剥ぎ取って開封することができる。
【0013】
このように、筒状ラベルにおける蓋部に装着されている部分を胴部及び蓋部の境界またはその境界に沿って剥ぎ取ることにより、開封後も胴部に装着されたまま残るラベルの表示面積を最大限に確保することができる。
【0014】
また、請求項2に係る発明のラベル付き容器は、環状のミシン目線が、非周ミシン目線及び周方向に延びる周ミシン目線によって環状に形成されており、非周ミシン目線は、その一端部において周ミシン目線に接続されているので、周ミシン目線又は非周ミシン目線に沿った破断線が切込によって非周ミシン目線又は周ミシン目線に誘導され、破断線が周ミシン目線や非周ミシン目線から逸れることなく、環状のミシン目線に沿って破断される。
【0015】
また、請求項3に係る発明の筒状ラベルは、蓋部と胴部との境界が周方向と異なる方向に傾斜または湾曲している部分を有する蓋部の装着部分を胴部の装着部分から切り離すために形成された環状のミシン目線を備え、環状のミシン目線は、少なくともその一部が、周方向と異なる方向に延びる、直線状又は曲線状の非周ミシン目線によって形成されており、非周ミシン目線の少なくとも一端部に、非周ミシン目線を構成している各切目よりも長い切込が形成されているので、蓋付容器に装着した筒状ラベルを、環状のミシン目線に沿って引き裂いていくと、当該一端部において逸れることなく環状のミシン目線に沿って破断される。従って、筒状ラベルにおける蓋部に装着されている部分を環状のミシン目線に沿って綺麗に剥ぎ取って開封することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】(a)はこの発明に係るラベル付き容器の一実施形態を示す平面図、(b)は同上のラベル付き容器を示す正面図、(c)は同上のラベル付き容器を示す側面図である。
図2】同上のラベル付き容器に使用されている筒状ラベルを扁平に折り畳んだ状態を示す平面図である。
図3】(a)〜(c)は筒状ラベルに形成されている非周ミシン目線と蓋付容器の蓋部の下縁との関係を示す図である。
図4】(a)、(b)は周ミシン目線、切込及び非周ミシン目線の位置関係を示す図である。
図5】(a)はラベル付き容器の他の実施形態を示す平面図、(b)は同上のラベル付き容器を示す正面図、(c)は同上のラベル付き容器を示す側面図である。
図6】同上のラベル付き容器に使用されている筒状ラベルを扁平に折り畳んだ状態を示す平面図である。
図7】非周ミシン目線の異なる態様を示す図である。
図8】非周ミシン目線の異なる態様を示す図である。
図9】非周ミシン目線の異なる態様を示す図である。
図10】非周ミシン目線の異なる態様を示す図である。
図11】(a)はラベル付き容器の他の実施形態を示す正面図、(b)は同上のラベル付き容器を示す側面図である。
図12】従来のラベル付き容器を示す斜視図である。
図13】(a)は同上のラベル付き容器に使用されている筒状ラベルを正面側から視た斜視図、(b)は同上の筒状ラベルを背面側から視た斜視図である。
図14】(a)は蓋付容器の一例を示す平面図、(b)は同上の蓋付容器を示す正面図、(c)は同上の蓋付容器を示す側面図である。
図15】(a)は同上の蓋付容器に従来の筒状ラベルを装着したラベル付き容器を示す正面図、(b)は同上のラベル付き容器を示す側面図である。
図16】(a)は同上ラベル付き容器から、筒状ラベルにおける蓋部の装着部分を剥ぎ取って開封した状態を示す正面図、(b)は同上の状態を示す側面図である。
図17】蓋付容器の蓋部と胴部との境界に沿ってミシン目線を形成した筒状ラベルを蓋付容器に装着したラベル付き容器を示す正面図、(b)同上のラベル付き容器を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、実施の形態について図面を参照して説明する。図1(a)〜(c)は、本発明のラベル付容器の一実施形態を示している。このラベル付き容器1は、熱収縮性フィルムによって形成された筒状ラベル10を、蓋付容器Vの胴部B及び蓋部C部分に被嵌し、これを加熱収縮させて胴部B及び蓋部C部分に密着させることで蓋付容器Vを封緘したものである。蓋付容器Vは、胴部B及び蓋部Cの正面部及び背面部が前後方向に膨らんだ湾曲面を有していると共に、両側面部が平坦面を有しており、蓋部Cの両側面部の下端縁は、蓋付容器Vの軸線方向に直交する方向に延びる直線部を有していると共に、蓋部Cの正面部及び背面部の下端縁は、幅方向の両端部において両側面部の直線部に繋がる短い直線部と、その両直線部の内端から下方側に湾曲する湾曲部とをそれぞれ有している。
【0018】
なお、この蓋付容器Vは、蓋部Cの正面部及び背面部の下端縁が湾曲部を有しているが、これに限定されるものではなく、蓋付容器は、少なくとも、蓋部の正面部、背面部、側面部のいずれかの下端縁が湾曲部を有していればよい。特に、蓋付容器は、蓋部の両側面部が直線部を有しており、しかも、蓋部の正面部又は背面部の少なくとも一方の下端縁が、蓋部の両側面部の下端縁の直線部より下側に湾曲する湾曲部を有しているものが好ましい。
【0019】
また、この蓋付容器Vは、胴部B及び蓋部Cの正面部及び背面部が湾曲面を、両側面部が平坦面を有しているが、これに限定されるものではなく、胴部及び蓋部の正面部、背面部、側面部は、湾曲面、平坦面のいずれであってもよい。従って、胴部及び蓋部の正面部及び背面部が平坦面を、両側面部が湾曲面を有していてもよいが、蓋部の下端縁が湾曲部を有している面部が湾曲面であることが好ましい。
【0020】
前記筒状ラベル10は、図1及び図2に示すように、主として周方向に熱収縮性を有する筒状のラベル本体11と、蓋部Cの装着部分を胴部Bの装着部分から切り離すために、蓋付容器Vの蓋部Cと胴部Bとの境界(蓋部Cの下端縁)に沿うように形成された環状の横ミシン目線12と、蓋部Cの一方の側面に対応する部分に形成された、上端縁から横ミシン目線12に繋がる傾斜した一対の縦ミシン目線15、15とを備えており、横ミシン目線12は、蓋部Cの下端縁の直線部に沿ってラベル本体11の周方向に延びる直線状の周ミシン目線13、13と、一方の周ミシン目線13の両端部から他方の周ミシン目線13の両端部に向かって、蓋部Cの下端縁の湾曲部に沿うようにそれぞれ延びる、下方側に湾曲した非周ミシン目線14、14とから構成されている。なお、筒状ラベル10における蓋付容器Vの胴部Bに対応する部分を蓋付容器Vの胴部Bに接着するために、ラベル本体11の内面に感熱接着剤等からなる接着層を部分的に形成したり、筒状ラベル10の蓋付容器Vに対する滑り性を向上させるために、ラベル本体11の内面に滑り層などを形成してもよい。
【0021】
前記横ミシン目線12(周ミシン目線13、非周ミシン目線14)及び縦ミシン目線15は、各切目の長さが0.7mm、隣接する切目間の間隔が0.7mmに設定されているが、これに限定されるものではなく、各切目の長さ及び間隔は、必要に応じて適宜設定すればよい。各切目の長さは、例えば、0.1mm〜3mmであり、好ましくは、0.2mm〜2mmであり、各切目間の間隔は、例えば、0.1mm〜2mmであり、好ましくは、0.1mm〜1mmである。また、各切目の長さ及び各切目間の間隔は均一でなくともよい。なお、「ミシン目線」とは、切目と切目間を一組として3組以上が連続したものをいう。
【0022】
蓋付容器Vの蓋部Cと胴部Bとの境界に沿うように形成された横ミシン目線12は、必ずしも、蓋部Cの下端縁に一致している必要はなく、図3(a)〜(c)に示すように、蓋付容器Vの蓋部Cの下端縁と、その下端縁から下方側に所定距離Wを離間した位置に設定されている、蓋部Cの下端縁に平行な二点鎖線とによって挟まれた領域内に位置していればよい。ここで所定距離Wとは、例えば、好ましくは0mm〜15mmであり、さらに好ましくは1mm〜8mmであり、特に好ましくは2mm〜5mmである。
【0023】
また、横ミシン目線12は、同図(a)に示すように、周ミシン目線13及び非周ミシン目線14の双方が必ずしも蓋部Cの下端縁と平行である必要はなく、蓋部Cの下端縁と二点鎖線との間の領域内に位置しているのであれば、同図(b)、(c)に示すように、非周ミシン目線14の湾曲度と、蓋部Cの下端縁の湾曲度とが異なっていてもよい。
【0024】
また、前記非周ミシン目線14、14の両端部には、非周ミシン目線14を構成している各切目よりも長い切込16が形成されており、一対の縦ミシン目線15、15の上端部及び一対の縦ミシン目線15、15が繋がっている一方の周ミシン目線13における一対の縦ミシン目線15、15に挟まれた部分に切込17及び切込18が形成されている。
【0025】
前記切込16の長さは、2mm〜3mmに設定されているが、これに限定されるものではなく、少なくとも、非周ミシン目線14を構成している各切目より長ければよい。この条件下で、切込16の長さは、例えば、好ましくは0.5mm〜5mmであり、さらに好ましくは1mm〜4mmである。切込16は短すぎると周ミシン目線13から非周ミシン目線14に、非周ミシン目線14から周ミシン目線13にそれぞれ誘導できず、長すぎると切込16が収縮後に大きな楕円形状となって見た目が悪くなる等の欠点が生じる。
【0026】
また、切込16は、必ずしも、図4(a)に示すように、非周ミシン目線14の延長方向に延びている必要はなく、同図(b)に示すように、非周ミシン目線14の延長方向と異なる方向に延びるものであってもよい。同図(b)の実施形態では、ラベル本体11の周方向に対する非周ミシン目線14の傾斜角度(小さい側の角度)より、ラベル本体11の周方向に対する切込16の傾斜角度(小さい側の角度)が小さくなる方向に切込16が延びている。このように、周ミシン目線13に対する非周ミシン目線14の傾斜角度(小さい側の角度)より、周ミシン目線13に対する切込16の傾斜角度(小さい側の角度)が小さくなるので、周ミシン目線13と非周ミシン目線14との間で破断線がより逸れにくいという効果がある。なお、湾曲している非周ミシン目線の周方向に対する傾斜角度は、非周ミシン目線を構成している切目のうち、切込に隣接する切目の周方向に対する傾斜角度をいう。
【0027】
前記ラベル本体11は、熱収縮性フィルムの両側端部を重ね合わせ、この重ね合わせ部分を溶剤又は接着剤などを用いて封筒貼りシールすることによって筒状に形成されている。ラベル本体11を形成している熱収縮性フィルムは、ポリエステル系フィルムの単層フィルムまたはポリエステル系フィルムを含む積層フィルムによって形成されているが、ポリスチレン系、ポリオレフィン系、ポリスチレン系、塩化ビニル等であってもよい。
【0028】
前記ポリエステル系フィルムとしては、芳香族ポリエステル系フィルム、脂肪族ポリエステル系フィルム等を使用することができる。
芳香族ポリエステル系フィルムとしては、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸を主成分とし且つジオール成分としてエチレングリコールを主成分としたポリエチレンテレフタレート系フィルム等を使用することができ、脂肪族ポリエステル系フィルムとしては、ポリ乳酸を主成分とするポリ乳酸系フィルム等を使用することができる。
【0029】
前記積層フィルムは、ポリエステル系フィルムを2層以上積層した積層フィルム、又は、ポリエステル系フィルムの1層又は2層以上と他の層の1層又は2層以上とを積層した積層フィルムであり、好ましい積層フィルムは、ポリエステル系フィルム/他の層/ポリエステル系フィルムの3層構造である。
なお、前記他の層は特に限定されず、例えば、ポリスチレン、スチレン−ブタジエン共重合体などのポリスチレン系樹脂、ポリプロピレン、環状ポリオレフィンなどのポリオレフィン系樹脂、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル系樹脂などの熱可塑性樹脂から選ばれる1種単独、又は2種以上の混合物を含む樹脂フィルム;金属蒸着層;不織布などの断熱層等を採用することができる。
また、前記積層フィルムは、全体として熱収縮性を有していればよく、例えば、熱収縮性を有さないフィルムを含んでいてもよい。
【0030】
前記熱収縮性フィルムは、成膜後に少なくとも一軸延伸し、所要の温度で熱エージングすることにより得ることができる。
前記熱収縮性フィルムは、所要温度(例えば80℃〜100℃)で少なくとも一方向(主たる熱収縮方向)に熱収縮可能であり、この熱収縮性フィルムの一方向が周方向となるように熱収縮性フィルムを筒状に形成することにより、主として周方向に熱収縮性を有するラベル本体11が構成されている。
【0031】
前記熱収縮性フィルムには、必要に応じてデザイン印刷層が設けられていてもよい。デザイン印刷層は、熱収縮性フィルムの表面又は裏面に設けることができる。また、前記熱収縮性フィルムは、例えば、乳白色のような非透明なフィルムまたは透明性に優れたフィルムを用いてもよいが、デザイン印刷層を裏面側に設ける場合には透明性に優れたものが用いられる。
前記熱収縮性フィルムの厚みは、特に限定されないが、例えば20〜120μmであり、好ましくは、20〜80μmである。
【0032】
以上のように構成されたラベル付き容器1を開封するには、片手でラベル付き容器1における蓋付容器Vの胴部Bに対応する部分を持ち、もう一方の手で装着された筒状ラベル10の上端縁における一対の縦ミシン目線15、15間を摘まんで、縦ミシン目線15、15に沿って引き裂いて切除した後、その両側に残っている部分を、縦ミシン目線15が繋がっている周ミシン目線13から、非周ミシン目線14、周ミシン目線13、非周ミシン目線14、周ミシン目線13の順に破断していくことによって剥ぎ取ることになるが、非周ミシン目線14の両端部には、各ミシン目線を構成している各切目よりも長い切込16が形成されているので、蓋付容器Vに装着された筒状ラベル10を、縦ミシン目線15が繋がっている周ミシン目線13に沿って引き裂いていくと、破断線が非周ミシン目線14の一方の端部に形成された切込16によって非周ミシン目線14に誘導され、破断しやすい周方向に破断することなく、周方向と異なる方向に延びる非周ミシン目線14に沿って破断され、さらに破断線が非周ミシン目線14の他方の端部に形成された切込16に至ると一旦応力が解放されるため脱線することなく、周ミシン目線13に誘導される。そして、同様の非周ミシン目線14と周ミシン目線13が連続していたとしても、破断線は非周ミシン目線14、周ミシン目線13、非周ミシン目線14、周ミシン目線13と移行していき、横ミシン目線12(周ミシン目線13及び非周ミシン目線14)に沿って破断することができる。従って、筒状ラベル10における蓋部Cに装着されている部分を胴部B及び蓋部Cの境界に沿って綺麗に剥ぎ取って開封することができる。
【0033】
このように、筒状ラベル10における蓋部Cに装着されている部分を胴部B及び蓋部Cの境界に沿って剥ぎ取ることにより、ラベル付き容器1の開封後も胴部Bに装着されたまま残るラベルの表示面積を最大限に確保することができる。従って、例えば、蓋付容器の蓋部と胴部との境界に沿うようにデザインを印刷等したい場合に有利である。
【0034】
図5(a)〜(c)はラベル付き容器の他の実施形態を示している。このラベル付き容器2は、熱収縮性フィルムによって形成された、図6に示す筒状ラベル10Aを、上述した蓋付容器Vの胴部B及び蓋部C部分に被嵌し、これを加熱収縮させて胴部B及び蓋部C部分に密着させることで蓋付容器Vを封緘したものであり、筒状ラベル10Aに縦ミシン目線15、切込17、18が形成されていない点を除いて、上述したラベル付き容器1と同一の構成を有しているので、同一構成要素には同一符号付して、その説明を省略する。
【0035】
このラベル付き容器2を開封するには、片手でラベル付き容器2の胴部を持ち、もう一方の手でラベル付き容器2の蓋部を持って回転させ、横ミシン目線12を一気に破断させることで、筒状ラベル10Aを胴部B及び蓋部Cの境界に沿って分断することになるが、筒状ラベル10Aには、非周ミシン目線14の両端部に、各ミシン目線を構成している各切目よりも長い切込16が形成されているので、このようにして開封する場合も、破断線が切込16によって非周ミシン目線14に誘導され、破断しやすい周方向に破断することなく、周方向と異なる方向に延びる非周ミシン目線14に沿って破断され、筒状ラベル10Aを横ミシン目線12に沿って分断することができる。
【0036】
なお、上述した各実施形態では、周ミシン目線13の一端から下方側に突出するように湾曲した曲線状の非周ミシン目線14を有する筒状ラベル10、10Aが蓋付容器Vに装着されたラベル付き容器1、2について説明したが、非周ミシン目線14は下方側に突出するように湾曲した曲線状のものに限定されず、例えば、図7に示すように、それぞれ逆方向に傾斜した直線状の非周ミシン目線14a、14aの下端が同一の周ミシン目線13の両端にそれぞれ繋がると共に、非周ミシン目線14a、14aの上端が異なる周ミシン目線の一端及び他端に繋がっているものであってもよく、図8に示すように、それぞれ逆方向に傾斜した2本の直線状の非周ミシン目14aがV字状に繋がると共に、各非周ミシン目14aの他方の端部が周ミシン目線13に繋がっているものであってもよい。また、図8に示すように、隣接する非周ミシン目14a同士が繋がる側の端部に形成される切込16、16がV字状に繋がると、筒状ラベルを熱収縮させることによって、そのV字状の切込部分が大きく収縮して穴が開いたような状態になってしまうので、そのような場合は、隣接する切込16、16間に繋がり部を設けて分断しておくことが望ましい。
【0037】
また、上述した各実施形態では、横ミシン目線12は、周ミシン目線13と非周ミシン目線14とによって構成されているが、これに限定されるものではなく、例えば、図9に示すように、それぞれ逆方向に傾斜した直線状の非周ミシン目14aが交互に繋がった、非周ミシン目線14aのみによって構成される横ミシン目線を採用することも可能である。この場合も、隣接する非周ミシン目線14a同士が繋がる側の端部に形成される切込16、16間に繋がり部を設けることによって、隣接する切込16、16を分断しておくことが望ましい。
【0038】
また、図10に示すように、上方側に突出するように湾曲した曲線状の非周ミシン目線14bを採用することも可能であるが、その場合は、開封後に胴部に残る筒状ラベルの破断端における上方側に突出した湾曲部分が下方側にめくれてくるおそれがあるので、図11(a)、(b)に示すラベル付き容器3のように、開封後に胴部Bに残る筒状ラベル10Bの湾曲部分に対応する部分を蓋付容器Vの胴部Bに部分的に接着するポイントシール部PSを設けておくことが望ましい。なお、図9に示すように、ジグザグ状に繋がった非周ミシン目線14aを採用する場合も、開封後に胴部Bに残る筒状ラベルの破断端における上方側に突出した山形部分が下方側にめくれてくるおそれがあるので、同様にポイントシールしておくことが望ましい。
【0039】
また、上述したように、非周ミシン目線のみによって構成される横ミシン目線については、隣り合う非周ミシン目線のなす角度(小さい側の角度)が±10度以内である場合は、双方の非周ミシン目線が繋がっている側の端部に切込を形成する必要はないが、隣り合う非周ミシン目線のなす角度(小さい側の角度)が±10度を超えている場合は、双方の非周ミシン目線が繋がっている側の端部に切込を形成しておくことが好ましい。
【0040】
また、上述した各実施形態では、非周ミシン目線14、14aの両端部に切込16が形成されているが、これに限定されるものではなく、切込は非周ミシン目線の少なくとも一端側に形成されていればよい。
【0041】
また、図3に示す非周ミシン目線14や図10に示す非周ミシン目線14bのように、湾曲した非周ミシン目線は、隣り合う切目のなす角度(小さい側の角度)が±10度以下の範囲内で角度を変えながら湾曲しているものが好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明は、蓋付容器を封緘する場合に利用することができる。
【符号の説明】
【0043】
1、2、3 ラベル付き容器
10、10A、10B 筒状ラベル
11 ラベル本体
12 横ミシン目線
13 周ミシン目線
14、14a、14b 非周ミシン目線
15 縦ミシン目線
16、17、18 切込
B 胴部
C 蓋部
V 蓋付容器
PS ポイントシール部
図1
図2
図3
図4
図5
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