(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
起伏自在に枢支されたブームを有するクレーンに用いられ、定滑車としてはたらくようにブーム先端部に設けられるブーム側シーブ装置と、動滑車としてはたらくようにフック部に設けられるフック側シーブ装置とを備え、前記ブーム側シーブ装置と前記フック側シーブ装置間にワイヤロープが掛け回されるクレーン用シーブ装置であって、
前記ブーム側シーブ装置は、前記ブームの起伏に応じて前記ブーム先端部の主軸中心まわりに回転可能に支持された第一のシーブ支持体と、前記第一のシーブ支持体に回動自在に枢支されるとともに上方に凸の半円弧状に配置された三以上のシーブからなる第一のシーブ群と、前記第一のシーブ群よりも径方向内周側に設けられて前記第一のシーブ支持体に回動自在に枢支されるとともに上方に凸の半円弧状に配置された三以上のシーブからなる第三のシーブ群とを有し、
前記フック側シーブ装置は、クレーンのフックが連結される第二のシーブ支持体と、前記第二のシーブ支持体に回動自在に枢支されるとともに下方に凸の半円弧状に配置された三以上のシーブからなる第二のシーブ群と、前記第二のシーブ群よりも径方向内周側に設けられて前記第二のシーブ支持体に回動自在に枢支されるとともに下方に凸の半円弧状に配置された三以上のシーブからなる第四のシーブ群とを有し、
前記第一から第四のシーブ群は、前記第一から前記第四のシーブ群の順に各シーブ群の外周側に沿ってワイヤロープが掛け回されたときに、掛け回されるワイヤロープの軸線が同一平面上で渦巻き状に巻回されるように配置されており、
前記ブーム側シーブ装置の重心と前記フック側シーブ装置の重心は、前記掛け回されるワイヤロープの軸線と同一平面上に存在していることを特徴とするクレーン用シーブ装置。
前記第一から第四のシーブ群は、前記第一のシーブ群のブーム先端側端部を、前記第二のシーブ群のブーム先端側端部と上下で対向させたときに、前記第二のシーブ群のブーム基端側端部と前記第三のシーブ群のブーム基端側端部とが上下で対向するとともに、前記第三のシーブ群のブーム先端側端部と前記第四のシーブ群のブーム先端側端部とが上下で対向するように配置されている請求項1に記載のクレーン用シーブ装置。
クレーンの4本掛けシーブ装置として用いられ、前記ワイヤロープが、前記第一のシーブ群、前記第二のシーブ群、前記第三のシーブ群、前記第四のシーブ群の順に各シーブ群の外周側に沿って渦巻き状に巻回され、前記ワイヤロープの終端部が前記第一のシーブ支持体に固定されている請求項1〜3のいずれか一項に記載のクレーン用シーブ装置。
クレーンの2本掛けシーブ装置として用いられ、前記第一のシーブ群から前記第四のシーブ群の順に外周側に沿って巻回され、前記ワイヤロープの終端部が前記第一のシーブ支持体に固定されている請求項1〜3のいずれか一項に記載のクレーン用シーブ装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、クレーンに用いられるシーブ装置では、より質量のある吊荷を吊り上げる際に、クレーンのウインチ巻上げ能力が同じであり且つクレーンの出力も同じであるとき、ワイヤロープを4本掛けで使用する場合がある。
しかしながら、特許文献1記載の技術では、小径シーブを半円弧状に配置したシーブ群を有するシーブ装置を厚さ方向に並設してワイヤロープを4本掛けで使用可能にしている。そのため、同文献記載のシーブ装置は、上下方向にはコンパクト化し得るものの、厚さ方向には広く膨らむことになる。
【0005】
ここで、荷吊の現場において、特に、建屋の柱が骨組状態での建築現場では、瓦などの屋根を敷設前は、建屋の梁と梁の隙間を通して屋根上方から構成材としての鉄骨を挿入するクレーン作業がある。2本の梁同士の隙間は梁に沿って細長く開放されている。そのため、クレーン作業者は、フック部を梁に干渉させないように、梁と梁の細い隙間に挿入しなければならない。すなわち、フック部が厚さ方向に薄くコンパクトであれば、クレーンの使い勝手が良くなる。
そこで、本発明は、このような問題点に着目してなされたものであって、上下方向および厚さ方向にコンパクトなクレーン用シーブ装置およびこれを備えるクレーンを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係るクレーン用シーブ装置は、起伏自在に枢支されたブームを有するクレーンに用いられ、定滑車としてはたらくようにブーム先端部に設けられるブーム側シーブ装置と、動滑車としてはたらくようにフック部に設けられるフック側シーブ装置とを備え、前記ブーム側シーブ装置と前記フック側シーブ装置間にワイヤロープが掛け回されるクレーン用シーブ装置であって、前記ブーム側シーブ装置は、前記ブームの起伏に応じて前記ブーム先端部の主軸中心まわりに回転可能に支持された第一のシーブ支持体と、前記第一のシーブ支持体に回動自在に枢支されるとともに上方に凸の半円弧状に配置された三以上のシーブからなる第一のシーブ群と、前記第一のシーブ群よりも径方向内周側に設けられて前記第一のシーブ支持体に回動自在に枢支されるとともに上方に凸の半円弧状に配置された三以上のシーブからなる第三のシーブ群とを有し、前記フック側シーブ装置は、クレーンのフックが連結される第二のシーブ支持体と、前記第二のシーブ支持体に回動自在に枢支されるとともに下方に凸の半円弧状に配置された三以上のシーブからなる第二のシーブ群と、前記第二のシーブ群よりも径方向内周側に設けられて前記第二のシーブ支持体に回動自在に枢支されるとともに下方に凸の半円弧状に配置された三以上のシーブからなる第四のシーブ群とを有し、前記第一から第四のシーブ群は、前記第一から前記第四のシーブ群の順に各シーブ群の外周側に沿ってワイヤロープが掛け回されたときに、掛け回されるワイヤロープの軸線が同一平面上で渦巻き状に巻回されるように配置されていることを特徴とする。
【0007】
ここで、本発明の一態様に係るクレーン用シーブ装置において、前記第一から第四のシーブ群は、前記第一のシーブ群のブーム先端側端部を、前記第二のシーブ群のブーム先端側端部と上下で対向させたときに、前記第二のシーブ群のブーム基端側端部と前記第三のシーブ群のブーム基端側端部とが上下で対向するとともに、前記第三のシーブ群のブーム先端側端部と前記第四のシーブ群のブーム先端側端部とが上下で対向するように配置されていることは好ましい。
【0008】
また、本発明の一態様に係るクレーン用シーブ装置において、クレーンの4本掛けシーブ装置として用いられ、前記ワイヤロープが、前記第一のシーブ群、前記第二のシーブ群、前記第三のシーブ群、前記第四のシーブ群の順に各シーブ群の外周側に沿って渦巻き状に巻回され、前記ワイヤロープの終端部が前記第一のシーブ支持体に固定されていることは好ましい。
【0009】
また、本発明の一態様に係るクレーン用シーブ装置において、クレーンの2本掛けシーブ装置として用いられ、前記第一のシーブ群から前記第四のシーブ群の順に外周側に沿って巻回され、前記ワイヤロープの終端部が前記第一のシーブ支持体に固定されていることは好ましい。
本発明の一態様に係るクレーン用シーブ装置によれば、ブーム側シーブ装置およびフック側シーブ装置は、相互に上下を向く凸の半円弧状に配置された三以上のシーブからなる2組のシーブ群を有するので、シーブ装置全体の上下方向の寸法を略半分にまでコンパクト化することができる。よって、例えば車両搭載型クレーンに用いた場合、運転席からの前方視界不良の軽減に対して大きく貢献する。また、クレーンの懐寸法も広くなるため、荷台高さに対しても優位である。
【0010】
さらに、本発明の一態様に係るクレーン用シーブ装置によれば、ブーム側シーブ装置およびフック側シーブ装置は、2組のシーブ群が、径方向の内周側と外周側との2層に配列された構造(以下、「径方向二層配列構造」ともいう)となっており、この径方向二層配列構造は、各シーブ装置の2組のシーブ群が、第一から第四のシーブ群の順に各シーブ群の外周側に沿ってワイヤロープが巻回されるときに、ブーム側シーブ装置とフック側シーブ装置間に掛け回されるワイヤロープの軸線が同一平面上で渦巻き状に巻回されるように配置されているので、4本掛けシーブ装置として用いる際は、各シーブ群の外周側に沿って第一から第四のシーブ群の順にワイヤロープが渦巻き状に並ぶように掛け回す4本掛けが可能である。
【0011】
そして、この径方向二層配列構造は、掛け回されるワイヤロープの軸線が同一平面上に並ぶように掛け回されるので、4本掛けした場合であっても、2本掛けのシーブ装置と変わらない幅寸法程度にフック部の厚さ方向の薄さを抑えてコンパクト化することができる。よって、例えば荷吊の現場において、比較的に狭い隙間に対してもクレーン用シーブ装置を干渉させずに挿入可能となり、使い勝手が良いシーブ装置となる。
【0012】
また、上記課題を解決するために、本発明の他の一態様に係るクレーン用シーブ装置は、クレーンに用いられて定滑車および動滑車の少なくとも一方としてはたらくクレーン用シーブ装置であって、シーブ支持体と、前記シーブ支持体に回動自在に枢支されるとともに径方向に離隔して同一方向に凸の半円弧状に配置された三以上のシーブからなる複数のシーブ群とを備え、前記複数のシーブ群における、いずれか一のシーブ群と他のシーブ群に掛け回されるワイヤロープの軸線は、同一平面上に位置するように設けられていることを特徴とする。
【0013】
本発明の他の一態様に係るクレーン用シーブ装置によれば、径方向に離隔して同一方向に凸の半円弧状に配置された三以上のシーブからなる複数のシーブ群を有するので、クレーン用シーブ装置全体の上下方向の寸法を略半分にまでコンパクト化することができる。
さらに、複数のシーブ群は、径方向に離隔して内周側と外周側との複数層に配列された構造(以下、「径方向複数層配列構造」ともいう)となっており、この径方向複数層配列構造は、複数のシーブ群における、いずれか一のシーブ群と他のシーブ群に掛け回されるワイヤロープの軸線が同一平面上に位置するように設けられているので、例えば、この他の一態様に係るクレーン用シーブ装置をクレーンの定滑車と動滑車として二つ用いたときに、定滑車および動滑車としてはたらく複数のシーブ群の間に掛け回されるワイヤロープの軸線を、同一平面上に並ぶように掛け回すことができる。よって、クレーン用シーブ装置の厚さ方向の薄さをも抑えてコンパクト化することができる。
【0014】
また、上記課題を解決するために、本発明の一態様に係るクレーンは、本発明のいずれか一の態様に係るクレーン用シーブ装置を備えることを特徴とする。本発明の一態様に係るクレーンによれば、本発明のいずれか一の態様に係るクレーン用シーブ装置を備えるので、クレーン用シーブ装置の上下方向の寸法および厚さ方向の寸法を抑えてコンパクト化することができる。よって、例えば荷吊の現場において、比較的に狭い隙間に対してもシーブ装置を干渉させずに挿入可能となり、クレーンの使い勝手が良くなる。
【発明の効果】
【0015】
上述のように、本発明によれば、クレーン用シーブ装置が上下方向および厚さ方向にコンパクトである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態について図面を適宜参照しつつ説明する。本実施形態は、車両搭載型クレーン付き車両のクレーンに、本発明の一態様に係るクレーン用シーブ装置を採用した例である。なお、図面は模式的なものである。そのため、厚みと平面寸法との関係、比率等は現実のものとは異なることに留意すべきであり、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている。また、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記の実施形態に特定するものではない。
【0018】
図1に示すように、この車両搭載型クレーン付き車両1は、自車両の後方のシャシフレーム3上に荷台5を有している。荷台5の前端部には、荷台5に積載した貨物等の運転室1a側の部材への接触を防止するための鳥居5aが取り付けられている。鳥居5aと運転室1aとの間に車両搭載型クレーン(以下、単に「クレーン」ともいう)15が架装されている。
【0019】
クレーン15は、車両のシャシフレーム3上に横架して取り付けられたベース4を有する。ベース4には、その左右に張り出し自在に一対のアウトリガ2が取り付けられている。ベース4上には旋回自在にコラム6が立設されている。コラム6の上端部には、ブーム伸縮用油圧シリンダ8の作動による伸縮およびブーム起伏用油圧シリンダ9の作動により起伏自在に枢支されたブーム7が設けられている。
【0020】
コラム6にはウインチ11が設けられ、ウインチ11からブーム先端部30にワイヤロープ12が導かれている。ワイヤロープ12とフック部20は、シーブ装置45におけるブーム側シーブ装置35を介して掛回される。シーブ装置45は、
図3に一部を破断して示すように、ブーム側シーブ装置35とフック側シーブ装置25とを備える。ブーム側シーブ装置35は、定滑車としてはたらくようにブーム先端部30に設けられる。フック側シーブ装置25は、動滑車としてはたらくようにフック部20に設けられる。
フック部20は、ウインチ11の駆動により巻き上げおよび巻き下げ可能になっている。なお、このクレーン15は、
図1に示したように、ブーム7が荷台5側に向けた姿勢で格納される。
【0021】
以下、フック側シーブ装置25およびブーム側シーブ装置35について
図3〜
図7を適宜参照しつつ詳しく説明する。
まず、フック部20およびフック側シーブ装置25の構造について説明する。
フック部20は、
図3および
図4に示すように、鉤爪状のフック13と、フック13の基端部13kに水平に設けられたトラニオンピン23と、フック部20を支持するフック側シーブ装置25とを有する。フック側シーブ装置25には、フック部20よりも上方の位置に、二組のシーブ群として、第二のシーブ群26と第四のシーブ群27が設けられている。
【0022】
フック側シーブ装置25は、板部材から形成されたシーブ支持体21を備える。シーブ支持体21は、フック13の基端部13kを挟んで、厚さ方向の前後に離隔して並設された一対の側板21a,21bを有する。各側板21a,21bは、尖頭部21tが下方に凸の略ホームベース型をなす同一外形の五角形状を有する。各側板21a,21bは、尖頭部21tの頂点近傍が、フック13の基端部13kを厚さ方向の両側から挟んでトラニオンピン23の両端を支持している。トラニオンピン23は、フック13が振り子状の回動及び略水平方向の軸周りに回動可能に設けられている。
【0023】
シーブ支持体21の五角形状の上面21uは、フック部20をブーム先端部30まで巻上げた格納状態のときに、ブーム側シーブ装置35のシーブ支持体38(
図3(a)参照)と当接する水平面から形成されている。シーブ支持体21の側板21a,21b略中央部には、二段の折り曲げ部21dが設けられている。
二段の折り曲げ部21dは、フック13の基端部の寸法と二組のシーブ群26、27を回転自在に保持するために必要な幅を有するように、フック13側が厚さ方向の前後にそれぞれ張り出すように曲げられている。二組のシーブ群26、27を保持するために必要な幅は、フック13の基端部の寸法よりも狭い寸法になっている。
【0024】
なお、これは一例であり、フック部20の厚さ方向の幅は、二組のシーブ群26、27のシーブ幅にて決定され、それは使用するワイヤロープ12の直径に合わせて、当該厚さ方向の形状および幅が決定されるためである。フック部20の幅がフック13の基端部の寸法よりも狭い寸法になっているのは、本実施形態で使用されるワイヤロープ12の直径が、φ10mm前後、フック部20の最大吊り上げ能力は3t未満を想定しているためである。
【0025】
一対の側板21a,21b相互は、水平に装着された平板からなる下部連結部22と上部連結部24とによって、二組のシーブ群26、27の各シーブ26a、27aを回転自在に挟持可能な寸法を隔てて上下の二か所で連結されている。下部連結部22と上部連結部24とは、二組のシーブ群26、27およびワイヤロープ12に干渉しない位置に設けられる。シーブ支持体21は、フック13の基端部13kよりも上方の位置に、二組のシーブ群26、27を回転自在に支持している。トラニオンピン23は、軸線が厚さ方向に沿って設けられ、径方向外側の第二のシーブ群26よりもシーブ支持体21の下部に位置している。
【0026】
ここで、フック側シーブ装置25の二組のシーブ群26、27は、厚さ方向に薄くコンパクトにワイヤロープ12を4本掛け可能とするために、「径方向二層配列構造」を有する。
詳しくは、径方向外側の第二のシーブ群26は、半円弧状に配置された小径の三以上のシーブ26aを有する。径方向内側の第四のシーブ群27は、半円弧状に配置された小径の三以上のシーブ27aを有する。全てのシーブ26a、27aのそれぞれは、一対の側板21a,21b同士の間に、シーブ支軸29によって回動自在に軸線が平行に支持されて各シーブ群26、27を構成している。各シーブ支軸29は、軸線が厚さ方向に沿って水平に支持されるように、両端が各側板21a,21bに固定されている。
【0027】
第二のシーブ群26のそれぞれのシーブ26aは、下方に向けて凸の略半円状に所定の円弧に沿って等間隔に配列されている。また、同様に、第四のシーブ群27のそれぞれのシーブ27aは、下方に向けて凸の略半円状に所定の円弧に沿って等間隔に配列されている。これにより、二組のシーブ群26、27は、ワイヤロープ12を巻回したときのピッチ円が、いずれも下に凸の略半円状になるよう配列される。本実施形態では、ワイヤロープ12を4本掛け時に、二組のシーブ群26、27に掛け回されるワイヤロープ12の軸線が描く中心円相互が略同心になっている。
【0028】
二組のシーブ群26、27を構成する小径のシーブ26a、27aの数は、三以上であれば構成可能であり、4個以上であれば好ましく、5個以上であればより好ましい。本実施形態では、径方向外側の第二のシーブ群26は、計13個のシーブ26aから構成されている。径方向内側の第四のシーブ群27は、計9個のシーブ27aから構成されている。各シーブ群26、27を構成するシーブ26a、27aは、それぞれ幅方向左右対称に配置されている。左右の中心に位置するシーブ26a、27aは、トラニオンピン23の軸心を通る垂線上にそれぞれ設けられている。
【0029】
一対の側板21a,21b同士の間には、第二のシーブ群26の外側に、ワイヤロープ12の外側への移動を規制するための4つの案内板28が周方向に沿って互いに離隔してワイヤロープ12に沿った円弧状に配置されている。4つの案内板28は、ワイヤロープ12(
図4参照)が第二のシーブ群26のシーブ26aから外れるのを防止するために、シーブ支持体21の幅方向左右および下方から第二のシーブ群26の外周部分に掛け回されるワイヤロープ12を外側から案内可能になっている。
【0030】
ここで、径方向内側の第四のシーブ群27の三以上のシーブ27a全体がなすピッチ円半径は、厚生労働省労働基準局「移動式クレーン構造規格」によって定められた、ワイヤロープの曲率を保持して配列されている。すなわち、シーブに掛け回される際のワイヤロープのピッチ円は、「移動式クレーン構造規格」によって定められているところ、三以上のシーブ27aの配列からなる第四のシーブ群27では、第四のシーブ群27全体として、使用するワイヤロープ12の直径比と同等の径、またはそれよりも大きくなるように、各シーブ27a中心が一の円弧に沿った並びを有するとともに、第四のシーブ群27の外周側に沿ってワイヤロープ12が掛け回わされるように構成される。
【0031】
これにより、第四のシーブ群27に掛け回されたワイヤロープ12の中心円の直径とワイヤロープ12の直径との比が一定値以上に確保されている。なお、径方向外側の第二のシーブ群26についても、同様にワイヤロープ12が掛け回され、径方向外側の第二のシーブ群26が「移動式クレーン構造規格」のワイヤロープの曲率を保持して配列される。但し、外側の第二のシーブ群26の配列は、内側の第四のシーブ群27に掛るワイヤロープ12の脱落防止機能を奏するように、内側の第四のシーブ群27に対して、径方向にワイヤロープ12の直径以下の対向距離を隔てて配列される。
【0032】
次に、ブーム先端部30およびブーム側シーブ装置35の構造について説明する。
ブーム側シーブ装置35は、
図3に示すように、その取付け位置(主軸40の中心位置)自体は、従来のシーブの取付け位置と同様にブーム先端部30に設けられている。ブーム側シーブ装置35は、
図5、
図6に示すように、上方に凸の半円形状のシーブ支持体38を備える。シーブ支持体38には、二組のシーブ群として、第一のシーブ群36と第三のシーブ群37が設けられている。
【0033】
シーブ支持体38は、
図5に示すように、厚さ方向の前後に離隔して並設された一対の側板38a,38bを有する。各側板38a,38bは、上方に凸の半円形状をなす同一形状の板部材から形成されている。各側板38a,38bの下面38sは、上記フック部20の格納時に、フック部20側のシーブ支持体21の上面21uと当接させるために平面をなしている。
【0034】
一対の側板38a,38bは、下方側の中央(凸の半円形状の中心位置)が、円筒状のボス39により相互に所定の離隔距離を隔てて連結されている。ボス39の中心には、主軸40を挿通するための挿通孔38dが厚さ方向に沿って貫通している。ボス39による一対の側板38a,38bの離隔寸法は、一対の側板38a間に二組のシーブ群36、37が設けられた際に、二組のシーブ群36、37の各シーブ36a、37aを円滑に回転可能に枢支する隙間になっている。
【0035】
二組のシーブ群36、37を構成する全てのシーブ36a、37aのそれぞれは、シーブ支軸33によって軸線が平行に且つ回転自在に支持されている。各シーブ支軸33は、軸線が厚さ方向に沿って水平に支持されるように、各シーブ支軸33の両端が、一対の側板38a,38bにそれぞれ固定されている。各シーブ36a、37aは、側板38a,38bの凸の半円形状に沿って、2枚の側板38a,38bの周方向に沿って略同心円上に取付けられている。
【0036】
このシーブ装置35においても、三以上の小型のシーブ36a、37aの配列からなる二組のシーブ群36、37は、上記フック側シーブ装置25と同様に、各シーブ群36、37全体として、使用するワイヤロープ12の直径比と同等の径、またはそれよりも大きくなるように、各シーブ36a、37a中心が一の円弧に沿った並びを有するとともに、各シーブ群36、37の外周側に沿ってワイヤロープ12が掛け回わされるように構成され、各シーブ群36、37に掛け回されたワイヤロープ12の中心円の直径とワイヤロープ12の直径との比が一定値以上に確保されている。但し、外側の第一のシーブ群36の配列は、内側の第三のシーブ群37に掛るワイヤロープ12の脱落防止機能を奏するように、内側の第三のシーブ群37に対して、径方向にワイヤロープ12の直径以下の対向距離を隔てて配列されている。
【0037】
二組のシーブ群36、37を構成する小径のシーブ36a、37aの数は、三以上であれば構成可能であり、4個以上であれば好ましく、5個以上であればより好ましい。本実施形態では、径方向外側の第一のシーブ群36は、計14個のシーブ36aから構成されている。径方向内側の第三のシーブ群37は、計11個のシーブ37aから構成されている。径方向内側の第三のシーブ群37を構成するシーブ37aは、幅方向左右対称に配置されている。一方、径方向外側の第一のシーブ群36を構成するシーブ36aは、左右非対称配置であり、
図5(a)に示すように、同図左端部分に空位箇所があり、ボス39の中心を通る垂線上のシーブ36aに対して、右側に7個、左側に6個が配置されている。
【0038】
さらに、上記シーブ支持体38は、一対の側板38a,38b相互の外周縁部が、二つの回動防止ストッパ32A、32Bによって連結されている。二つの回動防止ストッパ32A、32Bは、直方体状のブロック部材であり、長手方向を厚さ方向に向け、一対の側板38a,38b相互の外周縁部の両端を繋ぐように設けられている。
一方、ブーム先端部30の内側面の先端側には、回動防止ストッパ32A、32B同士の間に位置するように、ワイヤロープ12の外れ防止用の案内板31が設けられている。案内板31は、ワイヤロープ12の外れ防止用として、シーブ支持体38の凸の円弧の外側面に沿って1/4の円弧をなす板部材であり、シーブ支持体38の側板38a,38b相互の外周縁部に対向するように設けられている。
【0039】
外側の第一のシーブ群36に掛け回されるワイヤロープ12は、案内板31に案内されることにより、ブーム7が約水平0°(
図6参照)から約80°(
図7参照)の仰角まで起伏した状態のいずれの姿勢においても、ブーム7の起伏姿勢に合わせてシーブ支持体38の動きに追従し、第一のシーブ群36から外れずに、ブーム先端部30の他の構造部材とワイヤロープ12とが干渉しないようになっている。
【0040】
さらに、ブーム側シーブ装置35は、二つの回動防止ストッパ32A、32Bと案内板31との協働により、ブーム7が約水平0°(
図6参照)から約80°(
図7参照)の仰角まで起伏した状態のいずれの姿勢においても、ブーム7の起伏姿勢に合わせてシーブ支持体38が追従回転するとともに、回動方向での移動限の位置が二つの回動防止ストッパ32A、32Bと案内板31の両端面とのそれぞれの当接によって規制されるようになっている(
図6および
図7参照)。
【0041】
なお、フック部20をブーム先端部30まで巻上げた格納状態において、ブーム側シーブ装置35の下面38sとフック側シーブ装置25の上面21uが相互に当接した後であっても、さらにワイヤロープ12を巻き過ぎてしまった場合は、ブーム側シーブ装置35のシーブ支持体38の回動によりフック側シーブ装置25がブーム先端側へと回動し、フック部20がブーム前方に突出するおそれがある。
【0042】
これに対し、本実施形態では、フック部20の前方突出を防止するために、回動防止ストッパ32Aをブーム側シーブ装置35のシーブ支持体38の先端側に設けるとともに、案内板31をブーム先端部30の内側面の先端側に設けて相互を所定の姿勢(
図6参照)で当接させるので、フック部20のブーム前方への突出も防止されている。
また、ウインチの巻上下の動作によっても、ワイヤロープ12の張力によってブーム側シーブ装置35のシーブ支持体38がワイヤロープ12に追随して回動するところ、シーブ支持体38が回動しても、回動防止ストッパ32A、32Bがブーム先端部30の内側面に設けた案内板31によって回動範囲が双方向で規制されているので問題は生じない。
【0043】
ここで、ワイヤロープ12の先端は、ワイヤロープ12の端末固定装置によってブーム先端部30のブーム側シーブ装置35で処理されている(
図6参照)。掛け回わされるワイヤロープ12の基端部はウインチ11に固定され、ワイヤロープ12の先端部はブーム側シーブ装置35のワイヤソケット50に固定される(
図6参照)。
詳しくは、本実施形態では、ワイヤロープ12の端末固定装置として、
図5に示すように、シーブ支持体38の側板38bの外側面には、径方向内側の第三のシーブ群37とボス39の外周面との間であって、ブーム先端側に当たる
図5(b)から見た右側面
図5(c)側の面に、二枚のワイヤ案内板51、52が設けられている。二枚のワイヤ案内板51、52は、ワイヤロープ12を主軸40の外周に沿ってワイヤソケット50まで案内するように、所定距離を隔てて対向して円弧状に立設されている。
【0044】
ワイヤロープ12の端末は、二枚のワイヤ案内板51、52の間を通る。シーブ支持体38の側板38bには、ワイヤロープ12を挿通可能に形成された縦方向に延びる切り欠き状の長孔53が、対向するワイヤ案内板51、52の間の位置に開口している。ワイヤソケット50は、側板38bの外側面とワイヤロープ12を離間させるために、側板38bの外側面と並行するように、側板38bの外側面下部からL字状のブラケット55を立ちあげるとともに、ブラケット55上部に楔型の筒部54を形成している。
【0045】
側板38bの外側面とブラケット55との間に離間した対向空間を設ける理由は、ワイヤソケット50とシーブ群36、37のシーブ支軸33との干渉を避けるためである。ワイヤロープ12は、
図6に示すように、ワイヤロープ12の端部がワイヤソケット50の筒部54内で不図示のコッタにてU字状に折り返してくさび止めされ、ワイヤクランプ56で係止される。
【0046】
なお、ワイヤソケット50と二枚のワイヤ案内板51、52との間には、丁度、ワイヤクランプ56が納まる空間が形成されている(
図6及び
図5(c)参照)。このように構成された端末固定装置により、ワイヤロープ12の端部がブーム側シーブ装置35に固定されるので、フック部20をブーム先端部30まで巻上げた格納状態時に、ワイヤロープ12が、対向するブーム側シーブ装置35とフック側シーブ装置25との間に噛み込むことはない。
【0047】
次に、上述のブーム側シーブ装置35とフック側シーブ装置25相互のシーブ群36、37,26、27それぞれにワイヤロープ12が掛け回わされる巻回構造について説明する。
本実施形態のシーブ装置45は、フック側シーブ装置25がブーム下面に格納されたとき、ワイヤロープ12が、
図3(a)から見てウインチの側から時計まわりに渦を巻くように、各シーブ群36、37,26、27の半径が決定されている。そして、その決定された位置に対応するように、各々のシーブ26a、27a,36a、37aが配設されている。
【0048】
本実施形態では、ワイヤロープ12を4本掛けする場合、第一から第四のシーブ群は、
図3(a)に示すように、第一のシーブ群36のブーム先端側端部を、第二のシーブ群26のブーム先端側端部と上下で対向させたときに、第二のシーブ群26のブーム基端側端部と第三のシーブ群37のブーム基端側端部とが上下で対向するとともに、第三のシーブ群37のブーム先端側端部と第四のシーブ群27のブーム先端側端部とが上下で対向するように配置されている。
【0049】
このとき、本実施形態のシーブ装置45では、径方向で2層をなす半円弧状のシーブ群36、37とシーブ群26、27とは、各シーブ36a、37a,26a、27aが、
図3に示すように、主軸40の軸線と直交する方向から見たときに(同図(b)参照)、掛け回されるワイヤロープ12の軸線CLが同一平面上に位置するとともに、主軸40の軸線方向から見たときに(同図(a)参照)、渦巻き状に巻回されるように配置されている。
【0050】
これにより、ブーム側シーブ装置35とフック側シーブ装置25間に4本掛け時に掛け回されるワイヤロープ12は、
図3、
図6および
図7に示すように、上記第一から第四のシーブ群に対し、第一のシーブ群36、第二のシーブ群26、第三のシーブ群37、第四のシーブ群27の順に各シーブ群のシーブ外周側に沿ってワイヤロープ12が掛け回される。
【0051】
ここで、第一から第四の各シーブ群のシーブ軸心の並びが描く半径は、
図3(a)に示すように、第一のシーブ群36のシーブ36a中心の並びが作る半径をR1、第二のシーブ群26のシーブ26a中心の並びが作る半径をR2、第三のシーブ群37のシーブ37a中心の並びが作る半径をR3、第四のシーブ群27のシーブ27a中心の並びが作る半径をR4とするとき、R2=(R1+R3)/2を満たすとともに、R3=(R2+R4)/2を満たすように配設されている。本実施形態では、この「巻回構造」と上記「径方向二層配列構造」の効果によって、シーブ装置45を上下方向および厚さ方向にコンパクトに構成可能としている。
【0052】
次に、この車両搭載型クレーン付き車両1に架装されたクレーン15に装備されたシーブ装置45の作用・効果について説明する。
本実施形態のシーブ装置45によれば、ブーム側シーブ装置35およびフック側シーブ装置25は、
図6に示したように、ブーム側シーブ装置35が上に凸の半円弧状に配置された三以上のシーブからなる二層のシーブ群36、37を有し、フック側シーブ装置25が下に凸の半円弧状に配置された三以上のシーブからなる二層のシーブ群26、27を有するので、
図3(a)に示すように、フック格納時にシーブ装置45全体の上下方向の寸法を略半分にまでコンパクト化することができる。よって、このシーブ装置45によれば、一の円形状シーブを用いたシーブ装置に比べて、クレーン15の揚程を増加できる。
【0053】
また、このシーブ装置45は、シーブ装置45全体の上下方向の寸法がコンパクト化されているので、ブーム7を車両前方の運転室1a側に向けて格納したとき、運転席からの運転者の前方視界を良好にする効果がある。さらに、
図1に示すように、ブーム7を車両後方に向けて格納したときも、格納時のブーム側シーブ装置35が上方に上がった分だけ懐寸法Hも広くなる。そのため、例えば積載物を高く積み上げることができる等、荷台上のスペースを有効利用できる。
【0054】
さらに、本実施形態のシーブ装置45は、ブーム側シーブ装置35のシーブ群36、37およびフック側シーブ装置25のシーブ群26、27が、いずれも径方向二層配列構造とされ、各シーブ装置35,25の径方向二層配列構造は、4本掛けで用いる際に、各シーブ装置35,25の2組のシーブ群が、掛け回されるワイヤロープ12の軸線CLが同一平面上で渦巻き状に巻回されるように配置されているので、第一から第四のシーブ群36、26、37、27の順に、各シーブ群の外周側に沿ってワイヤロープ12を巻回することができる。
【0055】
すなわち、上記クレーン15のシーブ装置45を4本掛けで用いる際は、
図6に示すように、ウインチから繰り出されたワイヤロープ12を、まず、ブーム側シーブ装置35の外側の第一のシーブ群36に掛け回す。次いで、フック側シーブ装置25の外側の第二のシーブ群26に掛け回し、次いで、ブーム側シーブ装置35の内側の第三のシーブ群37に掛け回す。最後に、フック側シーブ装置25の内側の第四のシーブ群27に掛け回してから、ワイヤロープ12の端末を、シーブ支持体38の側板38bに切り込まれた長孔53を通してワイヤクランプ56を用いてシーブ支持体38に付設されたワイヤソケット50に固縛する。
【0056】
このように、本実施形態のシーブ装置45は、
図3に示したように、ブーム側シーブ装置35とフック側シーブ装置25間に掛け回されるワイヤロープ12の軸線が同一平面上で渦巻き状に巻回されるように配置されているので、シーブ装置45を4本掛けとして用いる際は、各シーブ群36、26、37、27の外周側に沿ってワイヤロープ12が渦巻き状に並ぶように掛け回すことができる。
【0057】
これにより、本実施形態のシーブ装置45は、厚さ方向の寸法をもコンパクト化することができる。また、本実施形態のシーブ装置45によれば、ワイヤロープ12の終端部が、ブーム側シーブ装置35のシーブ支持体38に固定されるので、ブーム起伏時のブーム側シーブ装置35の追従回転をワイヤロープ12が阻害することがない。
そして、本実施形態のシーブ装置45は、ブーム側シーブ装置35およびフック側シーブ装置25ともに、2組のシーブ群36、37,26、27が径方向二層配列構造とされ、この径方向二層配列構造は、掛け回されるワイヤロープ12の軸線が同一平面上に並ぶように掛け回されるので、4本掛けしたシーブ装置45でありながら、2本掛けのシーブ装置と変わらない幅寸法程度にフック部20の厚さ方向の薄さを抑えてコンパクト化することができる。よって、例えば荷吊の現場において、比較的に狭い隙間に対してもフック部20を干渉させずに挿入可能となり、クレーン15の使い勝手が良くなる。
【0058】
以上説明したように、このシーブ装置45は、ブーム側シーブ装置35およびフック側シーブ装置25ともに、一の円形状シーブを用いた従来のシーブ装置に比べて、シーブ径が各々半分で良くなり、フック格納時、一の円形状シーブ一枚分相当の高さが不要になる。また、フック部20までに掛け回されるワイヤロープ12の軸線が同一平面上に並ぶので、厚さ方向にも薄くコンパクトである。また、
図7に示すように、フック部20が垂下されるとき、4本掛けされたワイヤロープ12の軸線は、同一平面上に縦に4本並列し、かつ「移動式クレーン構造規格」上のワイヤロープ曲率を保持した第四のシーブ群よりも、他の第一のシーブ群36、第二のシーブ群26、及び第三のシーブ群37のシーブ軸心の並びが描く半径は大きく取られており、ワイヤロープ軸線間隔が広いため、フック部20がよじれに強いと考えられる。
【0059】
なお、本発明に係るシーブ装置は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しなければ種々の変形が可能である。
例えば、上記実施形態では、車両搭載型クレーンに用いるシーブ装置の例で説明したが、これに限定されず、本発明に係るクレーン用シーブ装置は、種々のクレーンに採用可能なことは勿論である。また、上記実施形態の例では、ワイヤロープの4本掛けを例に説明したが、これに限定されず、
図8に示すように、2本掛け用として使用できる。
【0060】
特に、本実施形態のシーブ装置45は、ブーム側シーブ装置35およびフック側シーブ装置25ともに、径方向二層配列構造のシーブ群36、37,26、27であるため、ワイヤロープ12を4本掛仕様から2本掛仕様へと変更する際も容易に変更可能である。すなわち、一のシーブを用いた従来のシーブ装置の場合、2個のシーブ並列型であれば、4本掛けと2本掛けとを換装する場合、ワイヤロープ12の重心が取れないため、シーブの取付位置を中央位置に変更させなければ4本掛けから2本掛けには変更させることができなかった。
【0061】
これに対し、本実施形態のシーブ装置45は、4本掛けであっても2本掛けであってもブーム側シーブ装置35およびフック側シーブ装置25の重心位置が同一平面上にある。そのため、4本掛仕様から2本掛仕様へと替えた場合でも変わってしまうことがない。よって、2本掛で使用するシーブ群は、
図8に示すように、ブーム側シーブ装置35の外側の第一のシーブ群36からフック側シーブ装置25の内側の第四のシーブ群27に掛け回し、端末固定装置により、ワイヤロープ12の端部をシーブ装置35の裏面に固定するようにすれば、スムーズにワイヤロープ12を掛け回すことができる。よって、本実施形態のシーブ装置45によれば、クレーン15のワイヤロープ12の4本掛けと2本掛けへの変更が容易である。