特許第6591777号(P6591777)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6591777
(24)【登録日】2019年9月27日
(45)【発行日】2019年10月16日
(54)【発明の名称】共重合体を有する化粧料
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/81 20060101AFI20191007BHJP
   A61K 8/37 20060101ALI20191007BHJP
   A61K 8/31 20060101ALI20191007BHJP
   A61Q 1/14 20060101ALI20191007BHJP
【FI】
   A61K8/81
   A61K8/37
   A61K8/31
   A61Q1/14
【請求項の数】6
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2015-86375(P2015-86375)
(22)【出願日】2015年4月21日
(65)【公開番号】特開2016-6032(P2016-6032A)
(43)【公開日】2016年1月14日
【審査請求日】2018年3月5日
(31)【優先権主張番号】特願2014-110225(P2014-110225)
(32)【優先日】2014年5月28日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002288
【氏名又は名称】三洋化成工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】杉山 義光
(72)【発明者】
【氏名】加藤 友香
(72)【発明者】
【氏名】元廣 春美
【審査官】 辰己 雅夫
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−193789(JP,A)
【文献】 特開昭52−108030(JP,A)
【文献】 特表2008−510602(JP,A)
【文献】 特開昭58−027771(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K8/00− 8/99
A61Q1/00−90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で表される単量体(a1)と下記一般式(2)で表される単量体(a2)の共重合体であって、(a1)の平均重合モル数mと(a2)の平均重合モル数nの和で表される共重合体の平均重合度(m+n)が、3〜22である共重合体であって、分子鎖に下記一般式(3)で表される基を有し、数平均分子量が1,000〜4,900である共重合体(A)を0.1〜89.0重量%、油性成分(B)を11.0〜99.9重量%含有してなるクレンジング料
【化1】
[式中、Rは水素原子またはメチル基を表し、Rは炭素数1〜28の炭化水素基を表す。]
【化2】
[式中、Rは水素原子またはメチル基を表し、Rは水素原子または炭素数1〜18の炭化水素基を表し、AOは同一または相異なり炭素数2〜6の直鎖状または分岐状のオキシアルキレン基を表し、pは1〜40の整数を表す。]
【化3】
[式中、Rは炭素数1〜18の炭化水素基を表し、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基、またはメルカプト基を含有してもよい。]
【請求項2】
共重合体(A)のm/nが0.2〜6である、請求項1に記載のクレンジング料
【請求項3】
共重合体(A)の単量体(a1)および単量体(a2)の合計重量に基づく(a1)の重量の割合が20〜70重量%である請求項1又は2のいずれか1項に記載のクレンジング料
【請求項4】
共重合体(A)の、下記式(1)により算出されるHLB(グリフィン法)が5.0〜11.0である請求項1〜3のいずれか1項に記載のクレンジング料

HLB(グリフィン法)=20×{親水基の分子量/共重合体(A)の分子量} (1)
【請求項5】
共重合体(A)が10.0〜60.0重量%、油性成分(B)が40.0〜90.0重量%含有されてなる、請求項1〜4のいずれか1項に記載のクレンジング料
【請求項6】
下記一般式(4)で表される連鎖移動剤(b)およびラジカル開始剤(c)の存在下で、単量体(a1)および単量体(a2)を共重合させて得た共重合体(A)と油性成分(B)を混合する工程を有する請求項1〜5のいずれか1項に記載のクレンジング料の製造方法。
【化4】
[式中、Rは炭素数1〜18の炭化水素基を表し、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基、またはメルカプト基を含有してもよい。]
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、共重合体を含有する化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、クレンジング用組成物としてはジェル状やクリーム状のものが多く用いられてきた。しかしながら、近年、耐水性ファンデーション、落ちにくい口紅、アイメイクの流行などにより、より除去能力に優れたクレンジングオイル組成物が急速に普及している。
【0003】
クレンジングオイル組成物に使用される界面活性剤としては油分との相溶性が良く、水との乳化性に優れる各種のノニオン性界面活性剤が主に用いられており、ファンデーションなどの化粧料とのなじみが良く、メイク落としの能力に優れるノニオン性界面活性剤が提案されている。(例えば、特許文献1〜4)
【0004】
一方、化粧料についてより一層優れた低刺激性が期待されており、この観点から、高分子乳化剤が提案されている。(例えば、特許文献5〜6)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−241224号公報
【特許文献2】特開2005−104892号公報
【特許文献3】特開2005−187355号公報
【特許文献4】特開2005−306818号公報
【特許文献5】特開2009−137914号公報
【特許文献6】特開2001−316422号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1〜4に記載のノニオン性界面活性剤を含有した従来の油性クレンジングオイル組成物は、メイクを落とした後の油分を洗い流しにくく、洗顔時に良好な感触が得られず、1回の洗顔では洗い上がりが十分にさっぱりとしないという問題があった。また、特許文献5〜6に記載の高分子乳化剤は、油分との相溶性が悪く、高分子乳化剤を含有したクレンジングオイル組成物は、水との乳化性が低いという課題があった。
本発明の課題は、刺激性が低く、メイクを落とした後の油分を洗い流しやすく、洗顔時に良好な感触を得ることができる化粧料を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者等は、上記目的を達成すべく鋭意検討した結果、本発明に到達した。すなわち本発明は、下記一般式(1)で表される単量体(a1)と下記一般式(2)で表される単量体(a2)の共重合体であって、(a1)の平均重合モル数mと(a2)の平均重合モル数nの和で表される共重合体の平均重合度(m+n)が、3〜22である共重合体であって、分子鎖に下記一般式(3)で表される基を有し、数平均分子量が1,000〜4,900である共重合体(A)を0.1〜89.0重量%、油性成分(B)を11.0〜99.9重量%含有してなるクレンジング料;該クレンジング料の製造方法である。
【化1】
[式中、Rは水素原子またはメチル基を表し、Rは炭素数1〜28の炭化水素基を表す。]
【化2】
[式中、Rは水素原子またはメチル基を表し、Rは水素原子または炭素数1〜18の炭化水素基を表し、AOは同一または相異なり炭素数2〜6の直鎖状または分岐状のオキシアルキレン基を表し、pは1〜40の整数を表す。]
【化3】
[式中、Rは炭素数1〜18の炭化水素基を表し、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基、またはメルカプト基を含有してもよい。]
【発明の効果】
【0008】
本発明の化粧料は、刺激性が低く、メイクを落とした後の油分を洗い流しやすく、洗顔時に良好な感触を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、共重合体(A)について説明する。共重合体(A)は、上記一般式(1)で表される単量体(a1)と上記一般式(2)で表される単量体(a2)の共重合体であって、(a1)の平均重合モル数mと(a2)の平均重合モル数nの和で表される共重合体の平均重合度(m+n)が3〜22である。
【0010】
単量体(a1)のRは炭素数1〜28の炭化水素基であり、乳化性および油性成分への溶解性の観点から、炭素数6〜26が好ましく、炭素数8〜24がより好ましい。炭化水素基の具体例としては、直鎖状、分岐状、または環状のアルキル基、アルケニル基、アリールアルキル基、アルキルアリール基、アルケニルアリール基、フェニル基が挙げられる。これらのうち、乳化性および油性成分への溶解性の観点から、直鎖状または分岐状のアルキル基またはアルケニル基が好ましい。
【0011】
乳化性および油性成分への溶解性は炭素数と相関があり、炭素数が同数の炭化水素鎖はその構造が直鎖、分岐、不飽和結合を含有する場合であっても、乳化性・油性成分への溶解性は同等である。炭化水素鎖に分岐または不飽和結合が存在する場合は、存在しない場合と比較し融点が下がるため、低温での固化を防ぐことが必要とされる場合は好ましい。
【0012】
単量体(a1)のRの具体例としては、メチル基、エチル基、エテニル基、プロピル基、プロペニル基、ブチル基、ブテニル基、ペンチル基、ペンテニル基、ヘキシル基、ヘキセニル基、ヘプチル基、ヘプテニル基、オクチル基、オクテニル基、ノニル基、ノネニル基、デシル基、デセニル基、ウンデシル基、ウンデセニル基、ドデシル基、ドデセニル基、トリデシル基、トリデセニル基、テトラデシル基、テトラデセニル基、ペンタデシル基、ペンタデセニル基、ヘキサデシル基、ヘキサデセニル基、ヘプタデシル基、ヘプタデセニル基、オクタデシル基、オクタデセニル基、オクタデカジエニル基、オクタデカトリエニル基、ノナデシル基、ノナデセニル基、イコシル基、イコセニル基、イコサジエニル基、イコサトリエニル基、イコサテトラエニル基、ヘンイコシル基、ヘンイコセニル基、ドコシル基、ドコセニル基、トリコシル基、トリコセニル基、テトラコシル基、テトラコセニル基、ペンタコシル基、ペンタコセニル基、ヘキサコシル基、ヘキサコセニル基、ヘプタコシル基、ヘプタコセニル基、オクタコシル基、オクタコセニル基等の直鎖および分岐のアルキル基が挙げられる。これらのうち、乳化性および油性成分への溶解性の観点から、オクチル基、オクテニル基、ノニル基、ノネニル基、デシル基、デセニル基、ウンデシル基、ウンデセニル基、ドデシル基、ドデセニル基、トリデシル基、トリデセニル基、テトラデシル基、テトラデセニル基、ペンタデシル基、ペンタデセニル基、ヘキサデシル基、ヘキサデセニル基、ヘプタデシル基、ヘプタデセニル基、オクタデシル基、オクタデセニル基、オクタデカジエニル基、オクタデカトリエニル基、ノナデシル基、ノナデセニル基、イコシル基、イコセニル基、イコサジエニル基、イコサトリエニル基、イコサテトラエニル基、ヘンイコシル基、へンイコセニル基、ドコシル基、ドコセニル基、トリコシル基、トリコセニル基、テトライコシル基、テトライコセニル基が好ましい。
【0013】
単量体(a1)の具体例としては、(メタ)アクリル酸n−メチル、(メタ)アクリル酸n−エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸tert−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ペンチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸n−ヘプチル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸イソ−オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルへキシル、(メタ)アクリル酸n−ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸n−デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸n−ウンデシル、(メタ)アクリル酸n−ドデシル、(メタ)アクリル酸2−メチルウンデシル、(メタ)アクリル酸n−トリデシル、(メタ)アクリル酸2−メチルドデシル、(メタ)アクリル酸n−テトラデシル、(メタ)アクリル酸2−メチルトリデシル、(メタ)アクリル酸n−ペンタデシル、(メタ)アクリル酸2−メチルテトラデシル、(メタ)アクリル酸n−ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸n−ヘキサデセニル、(メタ)メタクリル酸n−ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸n−オクタデシル、(メタ)アクリル酸n−オクタデセニル、(メタ)アクリル酸n−ノナデシル、(メタ)アクリル酸n−エイコシル、(メタ)アクリル酸n−ドコシル、(メタ)アクリル酸2−メチルペンタデシル、(メタ)アクリル酸2−ヘキシルデシル、(メタ)アクリル酸2−メチルヘキサデシル、(メタ)アクリル酸2−オクチルデシル、(メタ)アクリル酸2−ヘキシルドデシル、(メタ)アクリル酸2−メチルヘプタデシル、(メタ)アクリル酸2−メチルオクタデシル、(メタ)アクリル酸2−オクチルドデシル、(メタ)アクリル酸2−デシルテトラデシル、(メタ)アクリル酸14−メチルペンタデシル、(メタ)アクリル酸12−メチルヘプタデシル、(メタ)アクリル酸13−メチルヘプタデシル、(メタ)アクリル酸14−メチルヘプタデシル、(メタ)アクリル酸15−メチルヘプタデシル、(メタ)アクリル酸16−メチルヘプタデシル等が挙げられる。これらのうち、乳化性および油性成分への溶解性の観点から、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルへキシル、(メタ)アクリル酸n−ノニル、(メタ)アクリル酸n−デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸n−ドデシル、(メタ)アクリル酸n−トリデシル、(メタ)アクリル酸n−テトラデシル、(メタ)アクリル酸n−ペンタデシル、(メタ)アクリル酸2−メチルテトラデシル、(メタ)アクリル酸n−ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸n−ヘキサデセニル、(メタ)メタクリル酸n−ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸n−オクタデシル、(メタ)アクリル酸オクタデセニル、(メタ)アクリル酸n−ノナデシル、(メタ)アクリル酸n−エイコシル、(メタ)アクリル酸n−ドコシル、(メタ)アクリル酸2−メチルペンタデシル、(メタ)アクリル酸2−ヘキシルデシル、(メタ)アクリル酸2−メチルヘキサデシル、(メタ)アクリル酸2−オクチルデシル、(メタ)アクリル酸2−ヘキシルドデシル、(メタ)アクリル酸2−メチルヘプタデシル、(メタ)アクリル酸2−メチルオクタデシル、(メタ)アクリル酸2−オクチルドデシル、(メタ)アクリル酸2−デシルテトラデシル、(メタ)アクリル酸14−メチルペンタデシル、(メタ)アクリル酸16−メチルヘプタデシルが好ましく、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルへキシル、(メタ)アクリル酸n−ノニル、(メタ)アクリル酸n−デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸n−ドデシル、(メタ)アクリル酸n−トリデシル、(メタ)アクリル酸n−テトラデシル、(メタ)アクリル酸n−ペンタデシル、(メタ)アクリル酸2−メチルテトラデシル、(メタ)アクリル酸n−ヘキサデシル、(メタ)メタクリル酸n−ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸n−オクタデシル、(メタ)アクリル酸n−オクタデシル、(メタ)アクリル酸オクタデセニル、(メタ)アクリル酸n−エイコシル、(メタ)アクリル酸n−ドコシル、(メタ)アクリル酸2−メチルペンタデシル、(メタ)アクリル酸2−ヘキシルデシル、(メタ)アクリル酸2−オクチルデシル、(メタ)アクリル酸2−ヘキシルドデシル、(メタ)アクリル酸2−メチルヘプタデシル、(メタ)アクリル酸2−メチルオクタデシル、(メタ)アクリル酸2−オクチルドデシル、(メタ)アクリル酸2−デシルテトラデシル、(メタ)アクリル酸14−メチルペンタデシル、(メタ)アクリル酸16−メチルヘプタデシルがより好ましい。
【0014】
単量体(a2)の炭素数1〜18の炭化水素基であり、乳化性および油性成分への溶解性の観点から、炭素数1〜14が好ましく、炭素数1〜10がより好ましい。炭化水素基の具体例としては、直鎖状、分岐状、または環状のアルキル基、アルケニル基、アリールアルキル基、アルキルアリール基、アルケニルアリール基、フェニル基が挙げられる。これらのうち、乳化性および油性成分への溶解性の観点から、直鎖状または分岐状のアルキル基が好ましい。
【0015】
単量体(a2)の炭素数1〜18の直鎖状または分岐状のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基等の直鎖および分岐のアルキル基が挙げられる。これらのうち、乳化性および油性成分への溶解性の観点から、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基が好ましい。
【0016】
一般式(2)におけるAの同一または相異なる炭素数2〜6のアルキレン基の具体例としては、エチレン基、1,2−プロピレン基、1,3−プロピレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基等が挙げられ、乳化性の観点からエチレン基、1,2−プロピレン基が好ましく、エチレン基がより好ましい。pは、1〜40の整数が挙げられ、乳化性の観点から2〜30が好ましく、4〜25がより好ましい。
【0017】
単量体(a2)の具体例としては、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、エトキシポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、エトキシポリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレートが挙げられる。これらの内、乳化性の観点から、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、エトキシポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレートが好ましく、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートがより好ましい。
【0018】
共重合体(A)における単量体(a1)の平均重合度mは、1〜21であり、乳化性と油性成分への溶解性の観点から、2〜12が好ましく、3〜8がより好ましい。mが21を超えると乳化性、および油性成分への溶解性が低下する。
【0019】
共重合体(A)における単量体(a2)の平均重合度nは、1〜21であり、乳化性の観点から、2〜12が好ましく、3〜9がより好ましい。nが21を超えると乳化性、および油性成分への溶解性が低下する。
【0020】
共重合体(A)における単量体(a1)の平均重合度mと(a2)の平均重合度nの合計は、3〜22であり、刺激性、乳化性、および油性成分への溶解性の観点から、4〜20が好ましく、6〜15がより好ましい。
mとnの合計が、3未満であると刺激性が高まり、22を超えると乳化性、および油性成分への溶解性が低下する。
【0021】
共重合体(A)における単量体の平均重合度m/nは、乳化性と油性成分への溶解性の観点から、0.2〜6.0が好ましく、0.4〜5.0がより好ましく、0.5〜3.0が特に好ましい。
【0022】
共重合体(A)における単量体(a1)および単量体(a2)の合計重量に基づく(a1)の重量の好ましい範囲は以下の通りである。以下の%は重量%を表す。
(a1)の割合は乳化性と油性成分への溶解性の観点から、好ましくは20%〜70%であり、より好ましくは25%〜60%であり、特に好ましくは30%〜55%である。
【0023】
共重合体(A)の数平均分子量は、乳化性および刺激性の観点から、好ましくは1,000〜4,900であり、より好ましくは1,500〜4,500であり、特に好ましくは2,000〜4,300である。測定方法はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した。数平均分子量が4,900以下であると、乳化性が良好であり、油性成分(B)の洗い流し速度が低下しないが、数平均分子量が1,000未満であると皮膚刺激性が増加する。
【0024】
共重合体(A)の重量平均分子量は、乳化性および刺激性の観点から、好ましくは1,500〜8,000であり、より好ましくは2,000〜7,000であり、特に好ましくは2,500〜6,000である。測定方法はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した。共重合体(A)の分子量分布は一般的に1.2〜2.0であり、重量平均分量は数平均分子量に係数(1.2〜2.0)を掛けることにより算出できる。
【0025】
共重合体(A)は、単量体(a1)および(a2)に加え、下記一般式(3)で表される基を有する共重合体であることが乳化性、油性成分への溶解性、および刺激性の観点から好ましい。
【0026】
【化3】
【0027】
[式中、Rは炭素数1〜18の炭化水素基を表し、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基、またはメルカプト基を含有してもよい。]
【0028】
炭素数1〜18の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基、ノナメチレン基、デカメチレン基、ウンデカメチレン基、ドデカメチレン基、トリデカメチレン基、テトラデカメチレン基、ペンタデカメチレン基、ヘキサデカメチレン基、ヘプタデカメチレン基、オクタデカメチレン基等が挙げられる。これらのうち、乳化性、油性成分への溶解性、および刺激性の観点から炭素数2〜14が好ましく、4〜10がより好ましい。
【0029】
上記一般式(3)の基は、分子鎖の末端にあることが、乳化性、油性成分への溶解性および刺激性の観点から好ましい。
【0030】
共重合体(A)は、単量体(a1)、単量体(a2)、および下記一般式(4)で表される連鎖移動剤(b)をラジカル開始剤の存在下で共重合させて得ることができる。(A)の重合形態としては、ランダム付加重合体又は交互共重合体のいずれでもよく、また、グラフト共重合体又はブロック共重合体のいずれでもよい。また、これらの構成単位以外の構成単位を含んでもよく、必要に応じて単量体(a3)を共重合できる。
【0031】
単量体(a3)としては、カチオン性ビニルモノマー、アニオン性ビニルモノマー、ビニルエステル、オレフィン、スチレン系モノマー、ジエン系モノマー、ニトリル系モノマー等が挙げられる。
【0032】
単量体(a3)の具体例としては、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、ジエチルアミノエチルメタクリレート、ジプロピルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノプロピルメタアクリルアミド、アリルジメチルアミン、アリルジエチルアミン、アリルジプロピルアミン、メタアクリルジメチルアミン、メタアクリルジエチルアミン、メタアクリルジプロピルアミン、アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、メタクリル酸ジメチルアミノメチルエチルクロライド、ジメチルアミノエチルメタクリレート、N−メタクリロイルオキシエチル‐N,N−ジメチルアンモニウム‐α‐N−メチルカルボキシベタイン、ジメチルジアリルアンモニウムクロライド等のカチオン性ビニルモノマー、アクリル酸、メタアクリル酸、イタコン酸、アコニット酸、ヒドロキシアクリル酸、無水マレイン酸、フマール酸、ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、メタアクリルスルホン酸、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、アクリルアミドジメチルプロパンスルホン酸等のアニオン性ビニルモノマー、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル、エチレン、プロピレン、イソブチレン、塩化ビニル、ビニリデンクロリド等のオレフィン、スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン系モノマー、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等のジエン系モノマー、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のニトリル系モノマーが挙げられる。これらは、1種、あるいは2種以上混合して用いることができる。
【0033】
共重合体(A)の単量体(a1)、(a2)の合計重量に基づく(a3)の重量の好ましい範囲は以下の通りである。以下の%は重量%を表す。
油性成分への溶解性、および乳化性の観点から、(a3)の割合は、好ましくは0〜20.0%であり、より好ましくは0.1%〜15.0%であり、特に好ましくは0.5%〜10.0%である。
【0034】
【化4】
【0035】
[式中、Rは炭素数1〜18の炭化水素基を表し、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基、またはメルカプト基を含有してもよい。]
【0036】
炭素数1〜18の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基、ノナメチレン基、デカメチレン基、ウンデカメチレン基、ドデカメチレン基、トリデカメチレン基、テトラデカメチレン基、ペンタデカメチレン基、ヘキサデカメチレン基、ヘプタデカメチレン基、オクタデカメチレン基等が挙げられる。これらのうち、乳化性、油性成分への溶解性、および刺激性の観点から炭素数2〜14が好ましく、4〜10がより好ましい。
【0037】
連鎖移動剤(b)の具体例としては、メタンチオール、エタンチオール、プロパンチオール、n−オクタンチオール、n−ドデカンチオール、ヘキサデカンチオール、n−オクタデカンチオール、2−メルカプトエタノール、メルカプト酢酸、3−メルカプトプロピオン酸、1−チオグリセロール、チオグリコール酸モノエタノールアミン、チオマレイン酸、メルカプトコハク酸、システイン、システアミン、シクロペンタンチオール、シクロヘキサンチオールベンゼンチオール、チオサリチル酸、チオクレゾール、チオキシレノール、チオナフトール、エタンジチオール、プロパンジチオール、ブタンジチオール、ヘキサンジチオール、ネオペンタンジチオール、シクロペンタンジチオール、シクロヘキサンジチオール、ベンゼンジチオール、ビフェニルジチオールキシレンジチオール、ジエチレングリコールジメルカプタン、トリエチレングリコールジメルカプタン等が挙げられる。
【0038】
共重合体(A)の単量体(a1)、(a2)の合計重量に基づく(b)の重量の好ましい範囲は以下の通りである。(b)の重量範囲を以下の範囲に調整することで、共重合体(A)の重合度、および数平均分子量を調整することができる。以下の%は重量%を表す。
(b)の割合は、好ましくは0.2%〜20.0%であり、より好ましくは0.3%〜15.0%であり、特に好ましくは0.5%〜10.0%である。
【0039】
共重合体(A)の重合溶媒としては、例えば芳香族系炭化水素(トルエン、キシレン等)、低級アルコール(エタノール、イソプロパノール等)、ケトン(アセトン、メチルエチルケトン)、エーテル(テトラヒドロフラン、ジエチレングリコールジメチルエーテル等)などの有機溶媒を使用することができる。溶媒量(質量基準)は、モノマー全量に対し0.5〜10倍量が好ましい。
【0040】
重合開始剤としては、公知のラジカル重合開始剤を用いることができ、例えばアゾ系重合開始剤(アゾビスイソブチロニトリル及びアゾビスバレロニトリル等)、過酸化物系触媒(ベンゾイルパーオキサイド、クミルパーオキサイド及びラウリルパーオキサイド等)、およびレドックス系触媒(ベンゾイルパーオキサイドと3級アミンの混合物等)が挙げられる。重合開始剤量は、モノマー成分全量に対し0.01〜5モル%が好ましく、0.01〜3モル%がより好ましく、0.01〜1モル%が特に好ましい。
重合反応は、窒素気流下、50〜180℃の温度範囲で行うのが好ましく、反応時間は0.5〜20時間が好ましい。
【0041】
共重合体(A)は、化粧料用の洗浄剤、起泡剤、乳化剤、分散剤、可溶化剤として使用できる。共重合体(A)は油性成分(B)と高い親和性をもち、(A)と(B)を混合した組成物は化粧料として使用できる。使用できる化粧料としては、例えば、クレンジングオイル、クレンジングリキッド、クレンジングジェル等のクレンジング料、ファンデーション、ローション、クリーム、乳液、化粧水、皮膚柔軟化化粧料、栄養化粧料、収斂化粧料、美白化粧料、サンスクリーン、シワ改善化粧料、老化防止化粧料、制汗剤、デオドラント剤等の皮膚化粧料や、香水、オーデコロン、オーデトワレ等が挙げられる。
上記化粧料のなかで共重合体(A)と油性成分(B)の混合物は、クレンジング料として好ましく適用でき、特に好適に用いられるのはクレンジングオイルである。
【0042】
本発明において使用される油性成分(B)は25℃において液状の油分であり、例えば炭化水素、高級アルコール、高級脂肪酸、合成エステル油、シリコーン油、植物油などが挙げられる。炭化水素としては、常温で非揮発性の液状炭化水素、例えば流動パラフィンおよびスクワランなどが挙げられる。
【0043】
高級アルコールとしては、炭素数10〜24のもの、例えばヤシ油アルコール、セチルアルコール、イソステアリルアルコールおよび2−オクチルドデカノールなどが挙げられる。
高級脂肪酸としては、炭素数10〜24のもの、例えば、ヤシ油脂肪酸およびイソステアリン酸などが挙げられる。
合成エステル油としては、炭素数10〜24の高級脂肪酸のアルキル(アルキル基の炭素数は1〜18)エステル(例えばミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸2−オクチルドデシル、パルミチン酸オクチルおよび2‐エチルヘキサン酸セチルなど)、多価カルボン酸のアルキルエステル(例えばリンゴ酸ジイソステアリルなど)、多価アルコールのカルボン酸エステル{例えばトリ(2‐エチルヘキサン酸)グリセリルおよびジネオペンタン酸トリプロピレンポリグリコールなど}が挙げられる。
植物油としては、紅花油、サンフラワー油、ローズマリー油、ホホバ油、マカダミアナッツ油、オリーブ油、ツバキ油およびヒマシ油などが挙げられる。
これらの油性成分(B)は単独で又は2種以上を任意に組み合わせて使用することができる。
【0044】
共重合体(A)と油性成分(B)の合計重量に基づく共重合体(A)と油性成分(B)の重量の好ましい範囲は以下の通りである。以下の%は重量%を表す。
共重合体(A)の割合は、0.1〜89.0%であり、より好ましくは5.0〜70.0%であり、特に好ましくは10.0〜60.0%である。油性成分(B)の割合は、好ましくは、11.0〜99.9%であり、より好ましくは30.0〜95.0%であり、特に好ましくは40.0〜90.0%である。
【0045】
共重合体(A)は、油性成分(B)を水で洗い流せるようにする目的で配合され、共重合体(A)0.1%未満では、油性成分(B)を十分に洗い流すことが出来ず、89.0%を超えると、肌刺激性が強くなるため好ましくない。
【0046】
油性成分(B)は、メイクを落とす目的で配合され、油性成分(B)が11.0%未満ではメイクを十分落とすことができない。99.9%を超えると水への乳化性が悪くなり、使用感が悪くなる。
【0047】
本発明の化粧料は、上記の範囲の比率で混合された油性成分(B)と共重合体(A)のみからなる場合、常温で均一な透明液体となることが好ましい。
【0048】
共重合体(A)のHLB(グリフィン法)は、好ましくは5.0〜11.0であり、水との乳化性の観点から、さらに好ましくは5.2〜10.0であり、より好ましくは5.5〜9.0であり、特に好ましくは5.7〜8.0である。
HLB(グリフィン法)はノニオン性界面活性剤の親水性及び疎水性を示す尺度として知られている。HLB(グリフィン法)の値が高いほど親水性が高いことを意味する。本発明におけるHLB(グリフィン法)とは下記式(1)で計算される数値である(藤本武彦著、界面活性剤入門、142頁、三洋化成工業株式会社発行)。
【0049】
HLB(グリフィン法)=20×{親水基の分子量/共重合体(A)の分子量} (1)
【0050】
小田法のHLBは、共重合体(A)が油性成分(B)へ透明に溶解するかどうかの指標となる。共重合体(A)のHLB(小田法)は、好ましくは11.0以下であり、さらに好ましくは10.0以下であり、より好ましくは9.0以下であり、特に好ましくは8.5以下である。HLB(小田法)が11を超えると、油性成分(B)との相溶性が悪化し、共重合体(A)と油性成分(B)の混合物が25℃で均一透明の液体にならなくなるため好ましくない。
なお、本発明で用いるHLB(小田法)は、有機概念図に基づく小田式による計算値である。その計算方法は、たとえば「乳化・可溶化の技術」〔昭和51年、工業図書(株)〕に記載されている。また、HLB(小田法)を導き出すための有機性値および無機性値の算出については「有機概念図−基礎と応用−」〔昭和59年、三共出版(株)〕記載の無機性基表(昭和49年、藤田らの報告値)を用いて行える。
【0051】
本発明の化粧料には、本発明の効果を損なわない範囲で、通常の化粧料や医薬品等に使用されるその他の成分(D)を配合することができる。
その他の成分(D)としては、1価アルコール、多価アルコール、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、ゲル化剤、薬効剤、抗炎症剤、殺菌剤、防腐剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、外観調整剤、色素、香料並びに水等が挙げられる。
【0052】
1価アルコールとしては、エタノールおよびイソプロピルアルコール等(好ましくは炭素数1〜6の低級アルコール)が挙げられる。
【0053】
多価アルコールとしては、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、1,3−ブタンジオールおよびプロピレングリコール等が挙げられる。
【0054】
アニオン性界面活性剤としては、カルボン酸(炭素数8〜22の飽和または不飽和脂肪酸)塩、カルボキシメチル化物の塩、硫酸エステル塩、高級アルキルエーテル硫酸エステル塩、硫酸化油、硫酸化脂肪酸エステル、硫酸化オレフィン、スルホン酸塩およびリン酸エステル塩などが挙げられる。
【0055】
両性界面活性剤としては、アミノ酸型両性界面活性剤、ベタイン型両性界面活性剤、硫酸エステル塩型両性界面活性剤およびスルホン酸塩型両性界面活性剤などが挙げられる。
【0056】
カチオン性界面活性剤としては、第4級アンモニウム塩型およびアミン塩型などが挙げられる。
【0057】
ノニオン性界面活性剤としては、アルキレンオキシド付加型非イオン界面活性剤[高級アルコール(炭素数8〜24)、アルキルフェノール(炭素数10〜24)、高級脂肪酸(炭素数12〜24)もしくは高級アミン(炭素数8〜18)にアルキレンオキシドを付加させたもの、ポリオキシアルキレングリコールに高級脂肪酸(炭素数12〜24)などを反応させたもの;ジオールまたは3〜8価の多価アルコールなどの水酸基含有化合物に高級脂肪酸(炭素数12〜24)を反応させて得られたエステル化物にアルキレンオキシドを付加させたもの、高級脂肪酸(炭素数8〜24)アミドにアルキレンオキシドを付加させたもの、多価アルコール(前記のもの)アルキル(炭素数8〜60)エーテルにアルキレンオキシドを付加させたものなど]、および多価アルコール(炭素数3〜20)型非イオン界面活性剤[多価アルコール脂肪酸(炭素数8〜60)エステル、多価アルコールアルキル(炭素数8〜60)エーテル、脂肪酸(炭素数8〜60)アルカノールアミドなど]などが挙げられる。
【0058】
ゲル化剤、薬効剤、抗炎症剤、殺菌剤、防腐剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、色素および香料としては、「香粧品科学」田村健夫著 社団法人日本毛髪科学協会1976年発行のp204〜211に記載のゲル化剤としての高分子化合物、p185〜196に記載の殺菌剤と防腐剤、p177〜183に記載の紫外線吸収剤、p199〜p203に記載の酸化防止剤、p145〜148に記載の着色料、およびp150〜176に記載の香料などが挙げられる。
【0059】
1価アルコール、多価アルコール類、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、または水のそれぞれの添加量は、本発明の油性クレンジング用組成物の重量に基づいて、好ましくは0.01%〜20%、さらに好ましくは0.01%〜10%であり、これらの合計の添加量は好ましくは0.01%〜20%である。
ゲル化剤、薬効剤、抗炎症剤、殺菌剤、防腐剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、色素または香料のそれぞれの添加量は、本発明の油性クレンジング用組成物の重量に基づいて、好ましくは0.01%〜5%、さらに好ましくは0.01%〜2%であり、これらの合計の添加量は好ましくは0.01%〜10%である。
また、共重合体(A)と油性成分(B)の合計重量に基づいて、(D)の合計の添加量は好ましくは0.01%〜30%、さらに好ましくは0.01%〜20%、特に好ましくは0.01%〜15%である。
【0060】
本発明のクレンジングオイル組成物は、その他の成分(D)を含む場合であっても、常温で均一な透明液状であることが好ましい。
【実施例】
【0061】
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものでは
ない。以下において部は重量部、%は重量%を示す。
【0062】
製造例1
撹拌装置、加熱冷却装置、温度計、脱水装置及び空気導入管を備えた反応容器に、オレイルアルコール[和光純薬(株)製]268.5部、p−トルエンスルホン酸[東京化成(株)製]9部、ハイドロキノン[和光純薬(株)製]0.04部及びメタクリル酸[(株)クラレ製]111.9部を投入し、空気を液層に導入しながら、120℃で5時間反応を行った。なお反応中に生成する水は、脱水装置で除去した。室温まで冷却後、10重量%水酸化ナトリウム水溶液132部で中和し、有機層を採取した。有機層を100℃で2時間減圧(0.003MPa)乾燥し、メタクリル酸オレイル(a1−4)を得た。
【0063】
製造例2
オレイルアルコール[和光純薬(株)製]268.5部を、イソステアリルアルコール[高級アルコール工業(株)製]270.5部に変更したこと以外は、製造例1と同様にして、メタクリル酸イソステアリル(a1−5)を得た。
【0064】
製造例3
温度計、攪拌機及びSUS製滴下ロートを備えたSUS製オートクレーブに、メタノール32部及び水酸化ナトリウム0.4部を仕込み、容器内を十分に窒素置換した後、密閉し、100℃に昇温した。エチレンオキシド132部を150℃以下で1時間かけて滴下ロートから滴下し反応させた後、180℃に昇温し、さらにエチレンオキシド528部を3時間かけて滴下ロートから滴下して反応させた。さらに180℃で1時間熟成した後、25℃に冷却した。温度計、攪拌機、生成水分離器、還流冷却管を備えたガラス製反応器に内容物を移し替え、ハイドロキノンモノメチルエーテル8部、硫酸6部、及びメタクリル酸860部を仕込み、攪拌下に、若干量の空気を供給しながら徐々に昇温すると共に減圧にし、エステル化反応により生成する水を40kPaの減圧度で反応系外に留去しつつ、120℃でエステル化反応を行なった。次いで、残存する過剰分のメタクリル酸を更に減圧度を上げて留去することにより、水酸基価0.5、弱酸価7.4、水酸基価から算出したエステル化率99%のメトキシポリエチレングリコール(付加モル数15モル)メタクリレート(a2−6)を得た。
【0065】
製造例4
撹拌装置、加熱冷却装置、温度計、および窒素導入管を備えた反応容器に、メタクリル酸n−ドデシル(a1−1)[日油(株)社製 ブレンマー DMA]を17.5部、メトキシポリエチレングリコール(9モル)メタクリレート(a2−1)[日油(株)社製 ブレンマー PME−400]を68.6部、n−ドデカンチオール(b1−1)[東京化成工業(株)社製]を13.9部、重合触媒として2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)[東京化成工業(株)社製]を0.08部仕込み、20℃で撹拌、混合して均一溶液を調整した。反応容器の気相部の窒素置換を行い、気相酸素濃度を500〜1,000ppmとした。密閉下に、70℃にて6時間重合反応した後、130℃、減圧度4kPa以下で2時間かけて低沸点成分を留去し、共重合体(A−1)を得た。得られた(A−1)の数平均分子量は1,400であった。
【0066】
製造例5
単量体として(a1−1)を30.0部、(a2−1)を58.5部、(b1)を11.5部に変更した以外は製造例4と同様に行い、共重合体で(A−2)を得た。得られた(A−2)の数平均分子量は1,500であった。
【0067】
製造例6
単量体として(a1−1)を32.0部、(a2−1)を63.0部、(b1)を5.0部に変更した以外は製造例4と同様に行い、共重合体で(A−3)を得た。得られた(A−3)の数平均分子量は3,800であった。
【0068】
製造例7
単量体として(a1−1)を34.5部、(a2−1)をメトキシポリエチレングリコール(23モル)メタクリレート(a2−2)[日油(株)社製 ブレンマー PME−1000]60.0部、(b1)を5.5部に変更した以外は製造例4と同様に行い、共重合体で(A−4)を得た。得られた(A−4)の数平均分子量は3,500であった。
【0069】
製造例8
単量体として(a1−1)をアクリル酸n−オクチル(a1−2)[大阪有機化学(株)社製 NOAA]59.0部、(a2−1)を39.5部、(b1)を2−メルカプトエタノール(b2)[東京化成工業(株)社製]1.5部に変更した以外は製造例4と同様に行い、共重合体で(A−5)を得た。得られた(A−5)の数平均分子量は4,600であった。
【0070】
製造例9
単量体として(a1−1)を(a1−2)28.7部、(a2−1)をポリエチレングリコール(4.5モル)メタクリレート(a2−3)[日油(株)社製 ブレンマー PE−200]69.6部、(b1)を(b2)1.7部に変更した以外は製造例4と同様に行い、共重合体で(A−6)を得た。得られた(A−6)の数平均分子量は4,500であった。
【0071】
製造例10
単量体として(a1−1)をメタクリル酸n−オクタデシル(a1−3)[共栄社化学(株)社製 ライトエステルS]20.7部、(a2−1)を(a2−3)78.1部、(b1)を(b2)1.2部に変更した以外は製造例4と同様に行い、共重合体で(A−7)を得た。得られた(A−7)の数平均分子量は6,500であった。
【0072】
製造例11
単量体として(a1−1)を(a1−3)41.3部、(a2−1)をメトキシポリエチレングリコール(4モル)メタクリレート(a2−5)[日油(株)社製 ブレンマー PME−200]53.7部、(b1)を5.0部に変更した以外は製造例4と同様に行い、共重合体で(A−8)を得た。得られた(A−8)の数平均分子量は4,000であった。
【0073】
製造例12
単量体として(a1−1)をメタクリル酸オレイル(a1−4)41.2部、(a2−1)を(a2−5)54.0部、(b1)4.7部に変更した以外は製造例4と同様に行い、共重合体で(A−9)を得た。得られた(A−9)の数平均分子量は4,300であった。
【0074】
製造例13
単量体として(a1−1)をメタクリル酸イソステアリル(a1−5)49.4部、(a2−1)を(a2−5)45.0部、(b1)5.6部に変更した以外は製造例4と同様に行い、共重合体で(A−10)を得た。得られた(A−10)の数平均分子量は3,600であった。
【0075】
製造例14
単量体として(a1−1)を(a1−3)36.2部、(a2−1)を(a2−5)59.0部、(b1)4.8部に変更した以外は製造例4と同様に行い、共重合体で(A−11)を得た。得られた(A−11)の数平均分子量は4,200であった。
【0076】
製造例15
単量体として(a1−1)を(a1−3)45.3部、(a2−1)48.7部、(b1)6.0部に変更した以外は製造例4と同様に行い、共重合体で(A−12)を得た。得られた(A−12)の数平均分子量は3,300であった。
【0077】
製造例16
単量体として(a1−1)をメタクリル酸n−ヘキサデシル(a1−6)[日油(株)社製 ブレンマーCME]52.6部、(a2−1)を(a2−6)41.9部、(b1)5.5部に変更した以外は製造例4と同様に行い、共重合体で(A−13)を得た。得られた(A−13)の数平均分子量は3,600であった。
【0078】
製造例17
単量体として(a1−1)を(a1−2)31.4部、(a2−1)を(a2−5)47.1部、(b1)21.5部に変更した以外は製造例4と同様に行い、共重合体で(A−14)を得た。得られた(A−14)の数平均分子量は900であった。
【0079】
比較製造例1
単量体として(a1−1)を27.0部、(a2−1)を52.0部、(b1)を21.0部に変更した以外は製造例4と同様に行い、共重合体で(A’−1)を得た。得られた(A’−1)の数平均分子量は800であった。
【0080】
比較製造例2
単量体として(a1−1)を(a1−2)69.5部、(a2−1)を27.0部、(b1)を3.5部に変更した以外は製造例4と同様に行い、共重合体で(A’−2)を得た。得られた(A’−2)の数平均分子量は5,500であった。
【0081】
比較製造例3
単量体として(a1−1)を(a1−2)30.0部、メトキシポリエチレングリコール(9モル)アクリレート(a2−4)[新中村工業(株)社製 AM−90G]70.0部、(b1)を0部に変更し、重合溶剤として酢酸エチル200部とエタノール200部を使用した以外は製造例4と同様に行い、共重合体で(A’−3)を得た。得られた(A’−3)の数平均分子量は9,000であった。
【0082】
比較製造例4
単量体として(a1−1)を(a1−3)40.0部、(a2−1)を60.0部、(b1)を0部に変更し、重合溶剤としてメチルエチルケトン100部を使用した以外は製造例4と同様に行い、共重合体で(A’−4)を得た。得られた(A’−4)の数平均分子量は46,000であった。
【0083】
共重合体(A)を表1に示す。
【0084】
【表1】
【0085】
本発明におけるGPCによる数平均分子量の測定条件は以下の通りである。
装置 :「Alliance」日本ウォーターズ(株)製
カラム :Guardcolumn Super H−L
TSKgel Super H4000
TSKgel Super H3000
TSKgel Super H2000
(上記カラムを直列に接続する。)
溶媒 :テトラヒドロフラン(THF)
基準物質 :ポリスチレン
試料溶液 :0.25重量%のテトラヒドロフラン(THF)溶液
カラム温度:40℃
【0086】
本発明における平均重合度mおよびnは以下のように算出できる。
平均重合度m={ [共重合体(A)の数平均分子量]/[(a1)の分子量]}×{[(a1)の仕込み重量%]/100}
平均重合度n={ [共重合体(A)の数平均分子量]/[(a2)の分子量]}×{[(a2)の仕込み重量%]/100}
【0087】
[化粧料]
実施例1〜22、比較例1〜7
本発明の化粧料として、以下のようにクレンジング料を調製し、評価を行った。
上記の製造例で得られた(A−1)〜(A−14)、比較製造例(A’−1)〜(A’−4)、および市販のクレンジング料用界面活性剤(E1)〜(E2)を表2に示した部数、並びに油性成分(B)として流動パラフィンおよびパルミチン酸オクチルを表2に示した部数を配合して、クレンジング料を調製した。
(E1):ポリオキシエチレンジイソステアリン酸(オキシエチレン基の数=12)「日本エマルジョン(株)社製 EMALEX600di−ISEX」
(E2):テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット(オキシエチレン基の数=30)「花王(株)社製 レオドール430V」
【0088】
実施例1〜22および比較例1〜7のクレンジング料について0℃、25℃での外観、水との乳化性、洗浄力、洗浄回数、洗い流しやすさ、洗い上がりのさっぱり感、皮膚刺激性を下記の試験方法で評価した。結果を表2、表3に示す。
【0089】
【表2】
【0090】
【表3】
【0091】
<外観の評価>
各クレンジング料を、0℃または25℃で、24時間静置した後の外観を肉眼で観察し、次の基準で評価した。
評価基準
○:透明液体
△:若干濁りがある/若干分離傾向
×:著しく濁りがある/分離
【0092】
<水との乳化性の評価>
50mLのスクリュー管に各クレンジング料1gと水19gを入れ、30秒間振とう混合し、1時間静置後の外観を肉眼で観察し、次の基準で評価した。
評価基準
○:均一に全体が乳白色(乳化状態良)
△:均一であるが、薄い白濁(乳化状態やや悪)
×:均一になっていない、油滴が分離(乳化状態悪)
【0093】
<洗浄力の評価>
前腕部にメイク(リップカラー赤、50mg/4cm2)を均一に塗布し、5分間室温にて乾燥させた。その後、各クレンジング料1.0gを、指を用いて通常のメイク落とし行為と同様に塗布部全体に約30秒間なじませ、その後35℃の水道水でこすらずに洗い流し、乾燥後のメイク残存率を求め、洗浄力を次の基準で評価した。なお、メイク残存率は分光測色計(SpectroPhotometer SD5000、日本電色製)を用いてリップカラー塗布前後、クレンジング料使用後の色を測定し、下式から洗浄力を求めた。
洗浄力(%)=100−{(F2−F0)/(F1−F0)}×100
0; リップカラー塗布前の色
1; リップカラー塗布後の色
2; クレンジング料使用後の色
【0094】
<洗浄回数の評価>
手のひらにクレンジング料1.0gをとり、両手の平全体に広げる。35℃の水道水を流速60ml/sで流し、その中に手を入れ3回両手の平をこすって流水の外に手を出す動作をすすぎ1回とし、すすぎ何回で手の平から油性成分(B)由来のぬめりが消えるかを判断した。
【0095】
<洗い流し易さ、洗い上がりのさっぱり感の評価>
20名のパネラーがファンデーションを顔全体に塗布し約30分間乾燥させた後、各クレンジング料3mLを手にとり、指を使って顔全体に伸ばしてファンデーションと良くなじませた後、約35℃のお湯で洗い流した。このときの洗い流しやすさおよび洗い上がりのさっぱり感を次の採点基準で表し、20名の平均点で評価した。
採点基準
非常に良い :5点
良い :4点
普通 :3点
悪い :2点
非常に悪い :1点
【0096】
<皮膚刺激性の評価方法>
各クレンジング料について、男女各5名による人パッチテスト(クローズド、60時間、上腕内側)を行い、以下の評価基準で評価し、男女各5名の合計点で皮膚刺激性を評価した。合計点が高いほど皮膚刺激性が低いことを表す。
[評価基準]
反応(紅斑)無し:3点
ごく軽度の紅斑:2点
明瞭な紅斑:1点
強度の紅斑:0点
【0097】
表2、表3の結果から明らかなように、本発明の化粧料は、洗浄力が高く、洗い流しやすさ、さっぱり感が良好である。
【産業上の利用可能性】
【0098】
本発明の化粧料は、洗浄剤、起泡剤、乳化剤、分散剤、可溶化剤として使用でき、クレンジングオイル、クレンジングリキッド、クレンジングジェル等のクレンジング料、ファンデーション、ローション、クリーム、乳液、化粧水、皮膚柔軟化化粧料、栄養化粧料、収斂化粧料、美白化粧料、シワ改善化粧料、老化防止化粧料、制汗剤、デオドラント剤等の皮膚化粧料や、香水、オーデコロン、オーデトワレ等に使用できる。