(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記特許文献1に記載の健康増進具は、胸押さえ部の位置を変更することでマッサージ作用を生じさせるものであって、使用者の体型に合わせて胸押さえ部の位置を調整することができない。すなわち、使用者によって身体の厚みや形状は異なるため、使用者の体型に合ったマッサージができないという問題がある。そこで本発明は、上述した問題を解消するためになされたものであり、体型に応じて身体の表面側を適切にマッサージできるマッサージ機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、使用者の身体を背面側から支持する身体支持部と、前記身体の表面側に位置させることができ、前記身体の表面側をマッサージする施療手段と、前記施療手段の位置を厚み方向へ変更可能であり、かつ変更前後において身長方向及び左右方向の位置を略一致させることができる位置調整手段と、を有することを特徴とする。
このような構成とすることにより、使用者の身体の厚みに応じて、身体の表面側を適切にマッサージできる。
【0006】
本発明は、使用者の身体を背面側から支持する身体支持部と、前記身体の表面側に位置させることができ、前記身体の表面側をマッサージする施療手段と、前記施療手段の位置を身長方向へ変更可能であり、かつ変更前後において左右方向及び厚み方向の位置を略一致させることができる位置調整手段と、を有することを特徴とする。
このような構成とすることにより、使用者の身体の身長に応じて、身体の表面側を適切にマッサージできる。
【0007】
本発明は、使用者の身体を背面側から支持する身体支持部と、前記身体の表面側に位置させることができ、前記身体の表面側をマッサージする施療手段と、前記施療手段の位置を左右方向へ変更可能であり、かつ変更前後において身長方向及び厚み方向の位置を略一致させることができる位置調整手段と、を有することを特徴とする。
このような構成とすることにより、使用者の身体の横幅に応じて、身体の表面側を適切にマッサージできる。
【0008】
本発明は、使用者の身体を背面側から支持する身体支持部と、前記身体の表面側に位置させることができ、前記身体の表面側をマッサージする施療手段と、前記施療手段の位置を身長方向、左右方向、及び厚み方向のそれぞれにおいて任意に変更可能とする位置調整手段と、を有することを特徴とする。
このような構成とすることにより、使用者の体型に応じて、身体の表面側を適切にマッサージできる。
【0009】
また、前記位置調整手段は、前記施療手段を厚み方向にスライドさせることが好ましい。
このような構成とすることにより、使用者の身体の厚みに応じて、身体の表面側を適切にマッサージできる。
【0010】
また、前記位置調整手段は、前記施療手段を前記身体に向けて付勢する付勢手段と、前記施療手段を位置決めする第1ロック手段と、を有することが好ましい。
このような構成とすることにより、使用者の身体の厚みに関わりなく、施療手段を身体の表面側にフィットさせることができる。しかも、施療手段を位置決めすることができる。
【0011】
また、前記位置調整手段は、前記施療手段を厚み方向へ駆動する駆動手段を有していることが好ましい。
このような構成とすることにより、身体の表面側に対するマッサージ力を自動で調整することができる。
【0012】
また、前記施療手段は、前記身体の表面側に作用する施療子と、前記施療子を支持する支持部材と、を有し、前記身体支持部と前記施療手段の間に厚み方向に所定距離を空けて前記支持部材を支持するアームを有していることが好ましい。
このような構成とすることにより、身体の表面側で施療手段を支持することができる。
【0013】
また、前記アームをフレキシブル構造又は多関節構造とすることにより前記位置調整手段を構成していることが好ましい。
このような構成とすることにより、使用者の身体の厚みに応じて、身体の表面側を適切にマッサージできる。
【0014】
また、前記アームは、曲げ抵抗を変更可能とされていることが好ましい。
このような構成とすることにより、施療手段の位置調整を行うことができ、調整した位置で保持することができる。
【0015】
また、前記施療手段と前記アームの組が複数組設けられており、前記複数の施療手段を互いに連結する連結手段を有していることが好ましい。
このような構成とすることにより、施療子の動作による身体からの反力に抗することができる。
【0016】
本発明は、使用者の身体を背面側から支持する身体支持部と、前記身体の表面側に位置させることができ、前記身体の表面側をマッサージする施療手段と、前記身体支持部と前記施療手段の間に厚み方向に所定距離を空けて前記施療手段を支持するアームと、を有し、前記施療手段は前記アームに対して揺動可能であることを特徴とする。
このような構成とすることにより、使用者の身体の形状に応じて、身体の表面側を適切にマッサージできる。
【0017】
また、前記施療手段と前記アームはボールジョイントにより連結されていることが好ましい。
このような構成とすることにより、使用者の身体の形状に応じて、施療手段の向きを自由に調整できる。
【0018】
また、前記施療手段は前記アームに対して、身長方向、左右方向、又は厚み方向に延びる枢軸のうち一又は複数の前記枢軸回りに揺動可能であることが好ましい。
このような構成とすることにより、使用者の身体の形状に応じて、施療手段の向きを調整できる。
【0019】
また、前記施療手段の揺動をロックする第2ロック手段を有することが好ましい。
このような構成とすることにより、施療手段の向きを調整することができ、調整した位置で保持することができる。
【0020】
また、前記身体支持部として、使用者が着座する座部と、使用者が凭れる背凭れ部と、を有し、前記アームは、前記背凭れ部の側部に設けられ、前記施療手段を前記座部の側部に位置させた状態から、左右方向に延びる枢軸を中心として上方へ揺動可能であることが好ましい。
このような構成とすることにより、施療手段を座部の側部に位置させることができるため、着座の際や施療手段の非使用時に邪魔にならない。また、施療手段の非使用時にマッサージ機がかさばらない。
【0021】
また、前記身体支持部として、使用者が着座する座部と、使用者が凭れる背凭れ部と、使用者の脚部を支持するフットレストと、のうちの少なくとも複数を有し、前記施療手段は、一の前記身体支持部に対応する位置と、他の前記身体支持部に対応する位置と、の間を移動可能であることが好ましい。
このような構成とすることにより、施療手段の個数を増やさなくても、複数の箇所をマッサージすることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、体型に応じて身体の表面側を適切にマッサージできる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
[マッサージ機の全体構成]
以下、本発明のマッサージ機1の全体構成について説明する。
図1は本発明の一実施形態に係るマッサージ機1の斜視図である。
図2はマッサージ機1のブロック図である。
図3は背凭れ部3の平面図である。
なお、以下の説明で用いる方向の概念は、身体の長手方向を「身長方向」、身体の横幅方向を「左右方向」、身長方向及び左右方向に直交する方向を「厚み方向」と規定する。また、上下、左右、前後の方向は、
図1のマッサージ機1に着座した使用者から見た方向と一致するものとする。その他の場合は適宜説明する。
【0025】
図1に示すとおり、本発明のマッサージ機1は、主として、使用者が着座する座部2と、座部2の後部にリクライニング可能に設けられた使用者が凭れる背凭れ部3と、座部2の前部に上下揺動可能に設けられた使用者の脚部又は足部を支持するフットレスト4と、を有している。座部2、背凭れ部3、及びフットレスト4は、使用者の身体を背面側から支持する身体支持部として機能する。身体支持部2〜4の各所には、使用者の身体をマッサージするマッサージ部7〜10が設けられている。なお、座部2の左右両側には、使用者が腕部を載置する肘掛け部が設けられていてもよい。
【0026】
図1及び
図2に示すとおり、背凭れ部3は、座部2の下方に設けられたアクチュエータ5により、座部2に対して前後にリクライニング可能に構成されており、
図1に示す起立姿勢から背凭れ面3aが床面と略水平となるリクライニング姿勢までの間の任意の位置で停止できるようになっている。フットレスト4は、座部2の下方に設けられたアクチュエータ6により、座部2に対して上下に揺動可能に構成されており、
図1に示す垂下姿勢から膝を伸ばした状態で脚部又は足部が支持される上昇姿勢までの間の任意の位置で停止できるようになっている。
【0027】
背凭れ部3には、使用者の上半身を後方(背面側)からマッサージするマッサージ部7が設けられている。このマッサージ部7は、左右で対をなすアーム7aと、アーム7aの上下両端に設けられた施療子7bと、により構成されており、マッサージモータM1の駆動により左右の施療子7bが近接離反する揉みマッサージ、及び左右の施療子7bが交互に使用者側へ進退する叩きマッサージを行わせることができる。また、マッサージ部7は、昇降モータM2の駆動により身長方向に沿って上方又は下方へ移動して、身体に対する位置を変更したり、ローリングマッサージを行わせたりすることができる。更に、背凭れ部3には、背中及び腰を後方(背面側)からマッサージする左右で対をなすマッサージ部8が設けられている。マッサージ部8は、エアの給排気により膨張収縮するエアセルにより構成されている。
【0028】
座部2には、使用者の臀部及び大腿部を下方(背面側)からマッサージする左右で対をなすマッサージ部9が設けられている。また、フットレスト4には、使用者の脚部を後方(背面側)からマッサージする左右で対をなすマッサージ部10が設けられている。マッサージ部9,10は、エアの給排気により膨張収縮するエアセルにより構成されている。
【0029】
マッサージ機1には、使用者の身体の表面側をマッサージする施療手段11が設けられている。本実施形態では、施療手段11が、座部2の上部、背凭れ部3の前部、及びフットレスト4の前部に、左右で対をなして設けられている。詳細は後述するが、施療手段11はエアセル等よりなる施療子20を有している。なお、施療手段11を配置する位置や個数は、これに限定されない。
【0030】
座部2の下方には、エアセルよりなる各マッサージ部8〜10及び施療子20に対してエアを給排気する給排気装置12と、マッサージ機1の各種動作を制御する制御手段13と、が設けられている。制御手段13は、プログラマブルなマイコン等を有しており、各アクチュエータ5,6、マッサージ部7、及び給排気装置12を駆動制御する。制御手段13には、使用者が操作するコントローラ14が電気的に接続されている。マッサージ機1は、予め定められたプログラムに従って動作する他、使用者によるコントローラ14からの指示に従って動作する。
【0031】
[位置調整手段の構成(その1)]
以下、施療手段11及び施療手段11の位置を変更する位置調整手段22の構成について、身体支持部としての背凭れ部3に施療手段11が設けられた場合を例示して説明する。従って、以下で説明する背凭れ部3は、他の身体支持部である座部2又はフットレスト4に読み代えることができる。
図1及び
図3に示すとおり、施療手段11は、身体の表面側に作用する施療子20と、施療子20を支持する支持部材21と、を有している。支持部材21は、板状の部材であり、その板面を厚み方向に向けることができる。支持部材21の身体に対向する面には、施療子20が設けられている。この施療子20は、エアの給排気により膨張収縮するエアセルにより構成されている。また、詳細は後述するが、施療手段11を使用者の体型に応じて位置調整可能とする位置調整手段22が設けられている。なお、施療子20はエアセル以外の構成であってもよく、例えばモータの駆動により動作するものであってもよい。
【0032】
背凭れ部3と施療手段11の間に使用者の胴体(身体)を介在させるべく、背凭れ部3から胴体(身体)の厚み方向に所定距離を空けて施療手段11を支持するアーム23が設けられている。すなわち、施療手段11は、アーム23を介して背凭れ部3に取り付けられている。アーム23は、基部側23aが背凭れ部3の側方(側面)に取り付けられ、先端側23bが施療手段11を構成する支持部材21に取り付けられている。座部2及びフットレスト4に着目すると、座部2の上部に位置する施療手段11を支持するアーム23は、基部側23aが座部2の側面に取り付けられ、フットレスト4の前部に位置する施療手段11を支持するアーム23は、基部側23aがフットレスト4の側面に取り付けられている。
【0033】
アーム23は、棒状に構成されたステンレス鋼等の金属部材、又は所定の弾性を有するホース状部材よりなるフレキシブル構造とされており、所定の曲げ抵抗を有している。すなわち、このアーム23は、身長方向、左右方向、及び厚み方向のそれぞれにおいて自由に曲げることができ、かつその形状を維持することができる。
【0034】
アーム23が前述したフレキシブル構造とされているため、アーム23に連結された施療手段11を、身長方向、左右方向、及び厚み方向のそれぞれにおいて任意に位置変更することができる。しかも、施療手段11を、身長方向にのみ、左右方向にのみ、又は厚み方向にのみ位置変更することもできる。換言すると、位置変更前後で身長方向、左右方向、又は厚み方向の施療手段11の位置を略一致させることができる。例えば、施療手段11により胸部をマッサージする場合、胸板の薄い使用者は
図3の実線で示すように、アーム23を左右外側に拡張させて(アーム23の曲率を大きくして)、施療手段11を背凭れ部3に接近させればよい。一方、胸板の厚い使用者は
図3の二点鎖線で示すように、アーム23を厚み方向前方に拡張させて(アーム23の曲率を小さくして)、施療手段11を背凭れ部3から離反させればよい。
【0035】
そして、施療手段11を調整した位置で保持して、施療子20であるエアセルを膨張収縮させて胸部(身体の表面側)をマッサージすればよい。また、施療子20による身体の表面側のマッサージに加えて、身体の背面側に設けたマッサージ部7〜10を動作させることにより、身体の表裏両方からマッサージすることができマッサージ効果が高まる。すなわち、施療子20の押圧作用により身体が身体支持部に押し付けられ、マッサージ部7〜10によるマッサージが身体の背面側により作用する。
【0036】
このようにアーム23をフレキシブル構造とすることにより位置調整手段22を構成している。この位置調整手段22にあっては、施療手段11の位置を身長方向へ変更可能であり、かつ変更前後において左右方向及び厚み方向の位置を略一致させることができる。また、施療手段11の位置を左右方向へ変更可能であり、かつ変更前後において身長方向及び厚み方向の位置を略一致させることができる。また、施療手段11の位置を厚み方向へ変更可能であり、かつ変更前後において身長方向及び左右方向の位置を略一致させることができる。また、施療手段11の位置を身長方向、左右方向、及び厚み方向のそれぞれにおいて任意に変更することができる。
【0037】
施療手段11には、複数の施療手段11を互いに連結する連結手段24が設けられている。本実施形態における連結手段24は、左右で対をなす施療手段11を連結可能とするよう構成されている。この連結手段24は、左右で対をなす施療手段11のそれぞれに設けられた帯状部材24aと、それぞれの帯状部材24aに設けられた面ファスナー24bと、により構成されている。なお、面ファスナー24bに代えて、ボタン又はホック等その他の連結手段を採用することもできる。複数の施療手段11を互いに連結することにより、施療子20(エアセル)が動作(膨張)することによる胴体(身体)からの反力に抗することができ、フレキシブルであるアーム23の形状変化を抑えることができる。なお、身長方向に並設された施療手段11を連結してもよいし、異なる身体支持部に設けられた施療手段11を連結してもよい。
【0038】
[位置調整手段の構成(その2)]
以下、位置調整手段22の他の実施形態について、身体支持部としての背凭れ部3に施療手段11が設けられた場合を例示して説明する。従って、以下で説明する背凭れ部3は、他の身体支持部である座部2又はフットレスト4に読み代えることができる。
図4は背凭れ部3の平面図である。
図5はアーム23の説明図である。
【0039】
図4及び
図5に示すとおり、前述したフレキシブル構造に代えて、アーム23をその長手方向に複数の関節部30を設けた多関節構造とすることにより、位置調整手段22を構成することもできる。この場合、各関節部30にボールジョイント31を設けることが好ましい。ボールジョイント31は、連結する一方のアーム部34の端部に設けた球面座31aと、連結する他方のアーム部35の端部に設けた球状部材31bと、により構成する。球面座31aは、球状部材31bを摺動可能に支持している。このように構成した位置調整手段22は、アーム23をフレキシブル構造とした前述の位置調整手段22と同等の機能を発揮することができる。また、ボールジョイント31に代えて各関節部30に枢軸を設けてもよい。この場合、枢軸の軸方向によって各関節部30において位置調整可能となる方向が限定されるが、枢軸の軸方向を各関節部30で異ならせれば位置調整する方向の自由度を高めることができる。
【0040】
また、前述したフレキシブル構造又は多関節構造のアーム23は、曲げ抵抗を変更可能に構成されていてもよい。
図6はアーム23の説明図であり、(a)はホース部25内のエアが所定量以下の状態、(b)はホース部25内のエアが所定量以上の状態を示している。
【0041】
図6に示すとおり、フレキシブル構造のアーム23は、例えば、伸縮性を有するホース部25と、ホース部25の内部に充填した多数の粒子26と、により構成する。そして、給排気装置12によりホース部25に対してエアを給排気可能に構成する。ホース部25内のエアが所定量以上となると、ホース部25内からのエア圧によりホース部25は径方向rに伸長する。そうすると、粒子26間の隙間が増加して粒子26間の摩擦抵抗が減少する。従って、アーム23の曲げ抵抗が減少し、アーム23を曲げることが可能となる。一方、ホース部25内のエアが所定量以下となると、ホース部25は径方向rに収縮する。そうすると、粒子26間の隙間が減少して粒子26間の摩擦抵抗が増加する。従って、アーム23の曲げ抵抗が増加し、アーム23の形状を維持することが可能となる。
【0042】
図5に示すとおり、多関節構造のアーム23は、例えば、関節部30に設けたボールジョイント31の摺動抵抗を変更可能に構成する。具体的には、球面座31aは開閉可能に構成されており、球状部材31bを挟持している。そして、球面座31aを開閉することにより、球状部材31bを挟む挟持力を変更可能としている。このように構成すれば、ボールジョイント31の摺動抵抗を変更可能となり、その結果、アーム23の曲げ抵抗を変更可能となる。
【0043】
[位置調整手段の構成(その3)]
以下、位置調整手段22の他の実施形態について、身体支持部としての背凭れ部3に施療手段11が設けられた場合を例示して説明する。従って、以下で説明する背凭れ部3は、他の身体支持部である座部2又はフットレスト4に読み代えることができる。
図7は背凭れ部3の平面図であり、(a)は施療手段11が後退した状態、(b)は施療手段11が進出した状態を示している。
図8は施療手段11及びアーム23の平面図であり、(a)は施療手段11が後退した状態、(b)は施療手段11が進出した状態を示している。
図9は施療手段11及びアーム23の側面図であり、(a)は施療手段11が後退した状態、(b)は施療手段11が進出した状態を示している。
【0044】
施療手段11は、身体の表面側に作用する施療子20と、施療子20を支持する支持部材21と、を有している。支持部材21は、板状の部材であり、その板面を身体の厚み方向に向けて姿勢を維持することができる。支持部材21の身体に対向する面には、施療子20が設けられている。この施療子20は、エアの給排気により膨張収縮するエアセルにより構成されている。また、詳細は後述するが、施療手段11を使用者の体型に応じて位置調整可能とする位置調整手段22が設けられている。なお、施療子20はエアセル以外の構成であってもよく、例えばモータの駆動により動作するものであってもよい。
【0045】
背凭れ部3と施療手段11の間に使用者の胴体(身体)を介在させるべく、背凭れ部3から胴体(身体)の厚み方向に所定距離を空けて施療手段11を支持するアーム23が設けられている。すなわち、施療手段11は、アーム23を介して背凭れ部3に取り付けられている。アーム23は、先端側23bが施療手段11を構成する支持部材21に取り付けられている。
【0046】
支持部材21は、アーム23の先端側23bに身長方向の枢軸33を介して揺動可能として取り付けられ、
図7(b)の実線で示すように施療子20が胴体(身体)の表面に対向する位置から、
図7(b)の二点鎖線で示すように離脱できることが好ましい。このような構成とすることにより、マッサージ機1に着座する際に施療手段11が邪魔にならずに済む。
【0047】
背凭れ部3の側部には、施療手段11及びアーム23を厚み方向にスライドさせるスライド機構40を有している。スライド機構40は、背凭れ部3の側部に設けられ厚み方向に延設されたレール41を有している。レール41は、厚み方向に交差する方向(上方)が開口したコの字型をなしている。アーム23は、レール41にスライド可能として上方から嵌合している。
【0048】
施療手段11を後方(身体側)に向けて付勢する付勢手段42が設けられている。付勢手段42は、例えば、アーム23とレール41を連結する引っ張りバネにより構成されていることが好ましい。また、施療手段11を厚み方向において位置決めする第1ロック手段43が設けられている。第1ロック手段43は、例えば、出没自在な突起部43aと、突起部43aが嵌合可能であり厚み方向に沿って複数形成された孔部43bと、により構成することができる。
【0049】
レール41には、アーム23に対して出没する突起部43aを設け、突起部43aをバネ等の付勢手段(図示せず)により進出方向へ付勢するとよい。また、使用者の操作により前記付勢力に抗して、突起部43aを後退させる操作部(図示せず)を設けることが好ましい。一方、アーム23には、厚み方向に沿って孔部43bを複数形成するとよい。突起部43aが孔部43bに嵌合することにより、アーム23に連結された施療手段11が位置決めされる。この構成を有する第1ロック手段43にあっては、厚み方向に沿って設けられた孔部43bの個数に応じて、位置決め可能な範囲を設定することができる。なお、レール41に複数の孔部43bを設け、アーム23に突起部43aを設けることも可能である。
【0050】
第1ロック手段43は、前述した実施形態に代えて、のこぎり歯状の凹凸をなす可動係合部50及び被係合部51を有していてもよい。
図10は施療手段11及びアーム23の平面図であり、(a)は施療手段11が後退した状態、(b)は施療手段11が進出した状態を示している。
【0051】
図10に示すとおり、アーム23には、厚み方向に沿った歯列を有する可動係合部50が設けられている。レール41には、可動係合部50に係合する厚み方向に沿った歯列を有する被係合部51が設けられている。被係合部51は、コの字型のレール41の内側面に設けられている。のこぎり歯状の係合面50a,51aは、施療手段11が身体へ近づく方向(後方)に可動係合部50が移動するには抵抗が大きく、施療手段11が身体から離れる方向(前方)に可動係合部50が移動するには比較的抵抗が少なくなるように凹凸傾斜面の角度が設定されている。また、可動係合部50と被係合部51を離反させて係合を解除するロック解除手段52を設けることが好ましい。ロック解除手段52は、コントローラ14からの信号により駆動されるエアセル等より構成するとよい。
【0052】
本実施形態では、位置調整手段22は、スライド機構40、付勢手段42、及び第1ロック手段43により構成されている。この位置調整手段22にあっては、施療手段11の位置を厚み方向へ変更可能であり、かつ変更前後において身長方向及び左右方向の位置を略一致させることができる。また、使用者の身体の厚みに応じて施療手段11を身体の表面に簡単にフィットさせることができる。また、施療手段11を位置決めして、付勢手段42による付勢力に抗することができる。なお、係合面50aと係合面51bの凹凸傾斜面の角度を
図10と逆に設定すれば、施療子20(エアセル)が動作(膨張)することによる胴体(身体)からの反力に抗することができる。また、レール41の延設方向を身長方向とすれば施療手段11を身長方向へスライド可能となり、レール41の延設方向を左右方向とすれば施療手段11を左右方向へスライド可能となる。
【0053】
[位置調整手段の構成(その4)]
以下、位置調整手段22の他の実施形態について、身体支持部としての背凭れ部3に施療手段11が設けられた場合を例示して説明する。従って、以下で説明する背凭れ部3は、他の身体支持部である座部2又はフットレスト4に読み代えることができる。
図11は背凭れ部3の平面図であり、(a)は施療手段11が後退した状態、(b)は施療手段11が進出した状態を示している。
【0054】
この位置調整手段22は、前述したスライド機構40(レール41)に加えて、施療手段11を厚み方向へ駆動する駆動手段60を有している。この場合、アーム23は、基部側23aから左右内側へ延設した延設部23cを有している。延設部23cは、背凭れ部3の後方(背面側)に位置している。駆動手段60は、背凭れ部3とアーム23(延設部23c)の間に介在している。駆動手段60は、エアの給排気により膨張収縮するエアセルにより構成されている。背凭れ部3とアーム23(延設部23c)の間には、施療手段11を胴体(身体)の表面から離反させる方向に付勢する付勢手段61が設けられている。付勢手段61は、背凭れ部3と延設部23cを連結する引っ張りバネにより構成されている。
【0055】
駆動手段60であるエアセルが膨張すると、付勢手段61の付勢力に抗して延設部23cを押動して背凭れ部3から離反させ、施療手段11を胴体(身体)の表面に近接させることができる。駆動手段60であるエアセルが収縮すると、付勢手段61の付勢力により延設部23cが背凭れ部3に近接して、施療手段11を胴体(身体)の表面から離反させることができる。このように、駆動手段60の動作を制御することにより、胴体(身体)の表面側に対するマッサージ力を自動で調整することができる。なお、駆動手段60はエアセルに限られず、モータの駆動により伸縮するアクチュエータ等の他の構成であってもよい。
【0056】
[位置調整手段の構成(その5)]
以下、位置調整手段22の他の実施形態について、身体支持部としての背凭れ部3に施療手段11が設けられた場合を例示して説明する。従って、以下で説明する背凭れ部3は、他の身体支持部である座部2又はフットレスト4に読み代えることができる。
図12は背凭れ部3の平面図である。
図13は背凭れ部3の正面図である。
図14はアーム23の説明である。
図15は背凭れ部3の平面図である。
【0057】
図12及び
図13に示すとおり、施療手段11は、身体の表面側に作用する施療子20と、施療子20を支持する支持部材21と、を有している。支持部材21は、板状の部材であり、その板面を身体の厚み方向に向けることができる。支持部材21の身体に対向する面には、施療子20が設けられている。この施療子20は、エアの給排気により膨張収縮するエアセルにより構成されている。また、詳細は後述するが、施療手段11を使用者の体型に応じて位置調整可能とする位置調整手段22が設けられている。なお、施療子20はエアセル以外の構成であってもよく、例えばモータの駆動により動作するものであってもよい。
【0058】
背凭れ部3と施療手段11の間に使用者の胴体(身体)を介在させるべく、背凭れ部3から胴体(身体)の厚み方向に所定距離を空けて施療手段11を支持するアーム23が設けられている。すなわち、施療手段11は、アーム23を介して背凭れ部3に取り付けられている。アーム23は、基部側23aが背凭れ部3の側方(側面)に取り付けられており、先端側23bが施療手段11を構成する支持部材21に取り付けられている。
【0059】
図12〜
図14に示すとおり、支持部材21は、アーム23の先端側23bに揺動可能として取り付けられている。具体的には、支持部材21の基部側21aがボールジョイント70を介してアーム23に連結されている。ボールジョイント70は、支持部材21の基部側21aに設けた球面座70aと、アーム23の先端部23bに設けた球状部材70bと、により構成する。球面座70aは球状部材70bを摺動可能に支持している。施療手段11は、身長方向に延びる仮想軸線L1、左右方向に延びる仮想軸線L2、及び厚み方向に延びる仮想軸線L3を中心とした揺動を行うことができ、施療手段11の向きを自由に変更することができる。このように、ボールジョイント70が位置調整手段22を構成している。
【0060】
施療手段11を仮想軸線L3回りに揺動させることにより、身長(座高)に応じて胴体(身体)の表面側を適切にマッサージできるし、マッサージ箇所を変更することもできる。施療手段11を仮想軸線L1回りに揺動させることにより、胴体(身体)の厚みに応じて身体の表面側を適切にマッサージできるし、施療子20を胴体(身体)の表面に対向する位置から離脱させてマッサージ機1への着座を容易とすることもできる。施療手段11を仮想軸線L2回りに揺動させることにより、胴体(身体)の表面形状に応じて胴体(身体)の表面側を適切にマッサージできる。
【0061】
図14に示すとおり、位置調整手段22は、施療手段11の揺動をロックする第2ロック手段72を有していることが好ましい。第2ロック手段72は、ボールジョイント70の摺動抵抗を変更可能として構成する。具体的には、球面座70aは開閉可能に構成されており、球状部材70bを挟持している。そして、球面座70aを開閉することにより、球状部材70bを挟む挟持力を変更可能としている。このように構成すれば、ボールジョイント70の摺動抵抗を変更可能となり、施療手段11の向きを調整することができ、調整した位置で保持することができる。また、施療子20(エアセル)が動作(膨張)することによる胴体(身体)からの反力に抗することができる。
【0062】
第2ロック手段72は、施療手段11の仮想軸線L1を中心とする揺動を規制するストッパ73を有していてもよい。
図15に示すとおり、ストッパ73は平面視でL字型をなしている。ストッパ73は、支持部材21の施療子20が設けられる面と反対側の面に当接し、施療手段11の仮想軸線L1回りの揺動を規制する。ストッパ73の作用により、施療子20が胴体(身体)の表面に略対向する位置よりも、施療手段11が左右外側へ揺動することを規制でき、施療子20(エアセル)が動作(膨張)することによる胴体(身体)からの反力に抗することができる。
【0063】
[位置調整手段の構成(その6)]
以下、位置調整手段22の他の実施形態について、身体支持部としての背凭れ部3に施療手段11が設けられた場合を例示して説明する。従って、以下で説明する背凭れ部3は、他の身体支持部である座部2又はフットレスト4に読み代えることができる。
図16は、施療手段11及びアーム23の斜視図である。なお、
図16では、背凭れ部3に設けた左側の施療手段11及びアーム23を例示している。
【0064】
施療手段11は、身体の表面側に作用する施療子20と、施療子20を支持する支持部材21と、を有している。支持部材21は、板状の部材であり、その板面を身体の厚み方向に向けることができる。支持部材21の身体に対向する面には、施療子20が設けられている。この施療子20は、エアの給排気により膨張収縮するエアセルにより構成されている。また、詳細は後述するが、施療手段11を使用者の体型に応じて位置調整可能とする位置調整手段22が設けられている。なお、施療子20はエアセル以外の構成であってもよく、例えばモータの駆動により動作するものであってもよい。
【0065】
背凭れ部3と施療手段11の間に使用者の胴体(身体)を介在させるべく、背凭れ部3から胴体(身体)の厚み方向に所定距離を空けて施療手段11を支持するアーム23が設けられている。すなわち、施療手段11は、アーム23を介して背凭れ部3に取り付けられている。アーム23は、基部側23aが背凭れ部3の側方(側面)に取り付けられており、先端側23bが施療手段11を構成する支持部材21に取り付けられている。
【0066】
支持部材21は、アーム23の先端側23bに揺動可能として取り付けられている。具体的には、アーム23の先端側23bには、身長方向に延びる枢軸A1が取り付けられており、この枢軸A1にナット80が揺動可能に設けられている。ナット80には厚み方向に延びる枢軸A3が取り付けられており、この枢軸A3にナット81が揺動可能に設けられている。ナット81には左右方向に延びる枢軸A2が取り付けられており、この枢軸A2にナット82が揺動可能に設けられている。そして、ナット82は、支持部材21の基部側21a(左右方向の外側)に取り付けられている。従って、施療手段11は、身長方向、左右方向、及び厚み方向に延びるそれぞれの枢軸A1〜A3回りに揺動可能であり、向きを自由に変更することができる。このように、各枢軸A1〜A3と各ナット80〜82が位置調整手段22を構成している。
【0067】
施療手段11を枢軸A3回りに揺動させることにより、身長(座高)に応じて胴体(身体)の表面側を適切にマッサージできるし、マッサージ箇所を変更することもできる。施療手段11を枢軸A1回りに揺動させることにより、胴体(身体)の厚みに応じて身体の表面側を適切にマッサージできるし、施療子20を胴体(身体)の表面に対向する位置から離脱させてマッサージ機1への着座を容易とすることもできる。施療手段11を枢軸A2回りに揺動させることにより、胴体(身体)の表面形状に応じて胴体(身体)の表面側を適切にマッサージできる。
【0068】
以下、本発明の他の実施形態に係るマッサージ機1について説明する。
図17は本発明の他の実施形態に係るマッサージ機1の側面図である。
マッサージ機1は、主として、使用者が着座する座部2と、座部2の後部にリクライニング可能に設けられた使用者が凭れる背凭れ部3と、座部2の前部に上下揺動可能に設けられた使用者の脚部又は足部を支持するフットレスト4と、を有しており、身体支持部の構成は前述したマッサージ機1と同様である。
【0069】
マッサージ機1には、使用者の身体の表面側をマッサージする施療手段11が設けられている。本実施形態では、この施療手段11が、背凭れ部3の前部に左右で対をなして設けられている。施療手段11は、身体の表面側に作用する施療子20と、施療子20を支持する支持部材21と、を有している。支持部材21は、板状の部材であり、その板面を厚み方向に向けることができる。支持部材21の身体に対向する面には、施療子20が設けられている。この施療子20は、エアの給排気により膨張収縮するエアセルにより構成されている。なお、施療子20はエアセル以外の構成であってもよく、例えばモータの駆動により動作するものであってもよい。
【0070】
背凭れ部3と施療手段11の間に使用者の胴体を介在させるべく、背凭れ部3から胴体の厚み方向に所定距離を空けて施療手段11を支持するアーム23が設けられている。すなわち、施療手段11は、アーム23を介して背凭れ部3に取り付けられている。アーム23は、側面視で略L字型をなしている。アーム23は、基部側23aが背凭れ部3の側方(側面)に取り付けられ、先端側23bが施療手段11を構成する支持部材21に取り付けられている。
【0071】
アーム23の基部側23aは、左右方向に延びる枢軸A4回りに揺動可能として背凭れ部3の側部に取り付けられている。従って、施療手段11を座部2の側部(外側端又は側面)に位置させた状態(
図17の実線)と、施療手段11を胴体(胸)の前側に位置させた状態(
図17の二点鎖線)と、の間で施療手段11の位置変更が可能である。施療手段11は、使用者の脇の下方からアーム23が上方に揺動して
図17の二点鎖線の状態となる。また、支持部材21は、施療手段11を座部2の側部に位置させた状態において、厚み方向(前後方向)に延びる枢軸A5回りに揺動可能としてアーム23に取り付けられている。換言すれば、支持部材21は、施療手段11を胴体(胸)の前側に位置させた状態において、身長方向(上下方向)に延びる枢軸A5回りに揺動可能としてアーム23に取り付けられている。
【0072】
施療手段11を座部2の側部に位置させた状態において、支持部材21の板面を左右方向に向けておくことにより、マッサージ機1に着座する際に施療手段11が邪魔にならずに済む。また、支持部材21の施療子20が設けられた板面を左右内側に向けておけば、臀部又は大腿部の側部を施療子20によりマッサージすることもできる。また、施療手段11の非使用時にはマッサージ機1がかさばらない。一方、施療手段11を胴体(胸)の前側に位置させた状態において、支持部材21の施療子20が設けられた板面を厚み方向後方に向けておくことにより、施療子20により胴体の表面側をマッサージすることができる。
【0073】
また、本発明のマッサージ機1は、図示する形態に限らず、この発明の範囲内において他の形態のものであってもよい。
例えば、
図1又は
図3に示すマッサージ機1において、施療手段11は、一の身体支持部に対応する位置と、他の身体支持部に対応する位置と、の間を移動可能であってもよい。具体的には、背凭れ部3に対向する位置に設けられた施療手段11を、座部2に対向する位置まで移動可能とすればよい。あるいは、座部2に対向する位置に設けられた施療手段11を、フットレスト4に対向する位置まで移動可能とすればよい。アーム23は、フレキシブル構造又は多関節構造とされているため、施療手段11の身体支持部間の移動が容易である。このような構成とすることにより、施療手段11の個数を増やさなくても、複数の箇所をマッサージすることができる。