特許第6591787号(P6591787)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6591787
(24)【登録日】2019年9月27日
(45)【発行日】2019年10月16日
(54)【発明の名称】現金自動取引装置
(51)【国際特許分類】
   G07D 11/14 20190101AFI20191007BHJP
   B65H 5/36 20060101ALI20191007BHJP
【FI】
   G07D11/14 101E
   G07D11/14 101G
   B65H5/36
【請求項の数】9
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2015-113356(P2015-113356)
(22)【出願日】2015年6月3日
(65)【公開番号】特開2016-224869(P2016-224869A)
(43)【公開日】2016年12月28日
【審査請求日】2017年12月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】504373093
【氏名又は名称】日立オムロンターミナルソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001689
【氏名又は名称】青稜特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】三山 敏史
(72)【発明者】
【氏名】塩見 英介
(72)【発明者】
【氏名】藤田 准司
(72)【発明者】
【氏名】寺尾 祐宣
【審査官】 小原 正信
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−014969(JP,A)
【文献】 特開2012−073875(JP,A)
【文献】 実開昭60−092365(JP,U)
【文献】 特開平11−175801(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第00907152(EP,A2)
【文献】 特開2005−250643(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0200072(US,A1)
【文献】 米国特許第05547062(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07D 11/14
B65H 5/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙幣の入出金に供される入出金口と、入出金される紙幣を収納する紙幣収納庫とを備えた現金自動取引装置において、
前記入出金口は、入出金される紙幣を収納する入出金空間と、出金の際に紙幣が集積される集積空間であって、集積される紙幣の搬送方向と垂直方向である幅方向の端部と接触し幅方向の位置を規制する幅方向規制部材とにより構成され、前記幅方向規制部材には傾斜部が設けられている前記集積空間とを有し、前記入出金空間の幅が前記収納庫の出入口幅よりも狭く、前記集積空間の幅が前記収納庫の出入口幅よりも広いことを特徴とする現金自動取引装置。
【請求項2】
請求項1記載の現金自動取引装置において、
前記集積空間は、利用者が紙幣を入金する際、もしくは利用者に紙幣を出金する際に遮蔽部材により覆われていることを特徴とする現金自動取引装置。
【請求項3】
請求項1記載の現金自動取引装置において、
前記入出金空間および前記集積空間は、紙幣を集積する際に、前記集積空間へ紙幣を案内するための案内部材が設けられていることを特徴とする現金自動取引装置。
【請求項4】
請求項2記載の現金自動取引装置において、
前記入出金口には、紙幣を集積する際に前記集積空間へ紙幣を案内するための案内部材を有しており、前記遮蔽部材が前記案内部材と同一であることを特徴とする現金自動取引装置。
【請求項5】
請求項1記載の現金自動取引装置において、
前記入出金口は、紙幣を前記入出金口に集積する集積機構を備え、前記集積機構には、突出することで紙幣を押出す押出部材と、前記幅方向規制部材とを備え、前記集積機構に備えられた前記幅方向規制部材に傾斜部を有することを特徴とする現金自動取引装置。
【請求項6】
請求項5記載の現金自動取引装置において、
前記集積機構には、紙幣下端を掻き出すための羽根車と、前記傾斜部を複数有する前記幅方向規制部材とが備えられており、前記羽根車により紙幣が掻き出される際に、前記傾斜部のうち第一の傾斜部と紙幣が接触し、前記押出部材が紙幣を押出す際に第二の傾斜部と紙幣が接触する位置に傾斜部を設けた前記幅方向規制部材を有することを特徴とする現金自動取引装置。
【請求項7】
請求項3記載の現金自動取引装置において、
前記入出金口は、紙幣を奥行き方向に押圧する押圧機構と、前記幅方向規制部材と、前記案内部材と、紙幣を支持する床板とにより前記入出金空間および前記集積空間を形成されることを特徴とする現金自動取引装置。
【請求項8】
請求項7記載の現金自動取引装置において、
前記押圧機構を奥行き方向に動作させることにより、前記案内部材を、紙幣の集積時の位置である第1の位置と、紙幣の分離時の位置であって前記第1の位置よりも前記奥行き方向に後方である第2の位置と、紙幣の投入または放出時の位置であって前記第1の位置よりも前記奥行き方向に前方である第3の位置と、に変位させることを特徴とする現金自動取引装置。
【請求項9】
請求項6記載の現金自動取引装置において、
前記集積空間は前記入出金空間よりも装置内部側にあり、
前記幅方向規制部材は、前記第一の傾斜部が前記集積空間側に形成され、前記第二の傾斜部が前記入出金空間側に形成されていることを特徴とする現金自動取引装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現金自動取引装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、現金自動取引装置に関し、設置場所の多様化やメンテナンス性向上を目的とした機構の小型化や、紙幣の収納可能枚数の増加化、低コスト化のための機構の簡素化が求められている。また、各国・地域毎や、金種毎に様々な寸法の紙幣を一括して整然と集積し収納することも求められている。
【0003】
特許文献1では、利用者が出金紙幣の取出しを行う紙幣放出口と、紙幣放出口内に出金紙幣を1枚ずつ収納する収納空間と、収納空間に収納される際に出金紙幣を案内する案内部材と、収納空間を構成する側壁とを有する現金自動取引装置において、案内部材が、出金紙幣を収納空間へ集積する際には側壁から突出し、出金紙幣を放出する際には側壁内に収納されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−73875号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1は、紙葉類取扱装置に利用者により入金された紙幣が投入されると共に、利用者に対して紙幣を出金する入出金口と呼ばれるユニットに関するものである。本文献中では、紙葉類の倒れ込みを防止して整然と整列した状態で紙葉類を収納することが可能で、且つ、利用者の取引時に障害になることなく、異物等が混入されない入出金口を有する現金自動取引装置を提供する技術が開示されている。
【0006】
ところで、現金自動取引装置には、入金時に入出金口から搬送された紙幣を収納保管し、出金時にその紙幣を入出金口へ放出する還流ボックスが備えられている。このような装置構成においては、一般的に下記2点の要件が存在する。
【0007】
要件1:図16(a)に示すように入出金口100の収納幅X1が還流ボックス700の出入口幅X2と同等もしくは大きいとき、入出金口100に、その幅方向に関して収納幅X1ぎりぎりの位置に偏ってセットされた場合や、搬送中に例えば紙幣の状態が悪く大きくスキューしてしまった場合に、還流ボックス700に紙幣が収納される際、ジャムや姿勢不良などの障害が発生してしまうおそれがある。そのため入出金口100の収納幅X1<還流ボックス700の出入口幅X2という寸法関係であることが望ましい。
【0008】
要件2:図16(b)に示すように入出金口100の収納幅X1が還流ボックス700の出入口幅X2と同等もしくは小さいとき、還流ボックス700に、その幅方向に関して出入口幅X2ぎりぎりの位置に偏ってセットされた場合や、搬送中に例えば紙幣の状態が悪く大きくスキューしてしまった場合には、入金口100に紙幣が集積される際にジャムや姿勢不良などの障害が発生してしまうおそれがある。
そのため入出金口100の収納幅X1>還流ボックス700の出入口幅X2という寸法関係であることが望ましい。
上2要件は、互いに矛盾しており、特許文献1にはこの課題に対する対策が為されていない。なお、ここで幅方向とは紙幣の搬送方向に対し垂直方向を指す。
【0009】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、入出金口から送られた紙幣を紙幣収納庫へ収納する際、もしくは紙幣収納庫から送られた紙幣を入出金口に集積させる際に、ジャムや姿勢不良等の障害発生を防止することが可能な現金自動取引装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる現金自動取引装置は、紙幣の入出金に供される入出金口と、入出金される紙幣を収納する紙幣収納庫とを備えた現金自動取引装置において、前記入出金口は、入出金される紙幣を収納する入出金空間と、出金の際に紙幣が集積される集積空間とを有し、前記入出金空間の幅が前記収納庫の出入口幅よりも狭く、前記集積空間の幅が前記収納庫の出入口幅よりも広いことを特徴とする現金自動取引装置として構成される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、入出金口から送られた紙幣を紙幣収納庫へ収納する際、もしくは紙幣収納庫から送られた紙幣を入出金口に集積させる際に、ジャムや姿勢不良等の障害発生を防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】現金自動取引装置の外観を示す斜視図である。
図2】現金自動取引装置1の機能ブロック図である。
図3】紙幣取引装置10の構成を示す側面図である。
図4】紙幣取引装置10の構成を示すブロック図である。
図5】入出金口100の側面図である。
図6】入出金口100の上面図である。
図7】集積空間の幅/入出金空間の幅と還流ボックスの出入口幅の関係を示す図である。
図8(a)】上部側板110の形状を示す図である。
図8(b)】下部側板111の形状を示す図である。
図9(a)】分離・集積ガイド106の正面図である。
図9(b)】分離・集積ガイド106の断面図である。
図10(a)】集積時の入出金口100の状態を表す図である。
図10(b)】入出金時の入出金口100の状態を表す図である
図11】集積状態の分離・集積機構の説明図である。
図12】集積状態の分離・集積機構の説明図である。
図13】紙葉類投入時及び紙葉類受渡時の分離・集積機構の側面図である。
図14】放出される紙幣P2に作用する外力の関係を示した図である。
図15】分離状態の分離・集積機構の側面図である。
図16(a)】課題の説明図である。
図16(b)】課題の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明にかかる現金自動取引装置の実施の形態について図面を用いて説明する。
【0014】
図1は、本発明にかかる現金自動取引装置(ATM: Automated Teller Machine)の外観を示す斜視図である。現金自動取引装置1は、利用者から入金(投入)された紙幣を内部に保管するとともに、内部に保管されている紙幣を利用者へ出金(放出)するもので、紙幣取引装置10と、カード・明細票処理機構20と、顧客操作部30と、金庫筐体40とを備えている。
【0015】
紙幣取引装置10は、利用者による紙幣の投入及び利用者に対する紙幣を放出する紙幣スロット10aを介して、紙幣の入金処理、出金処理、識別処理などを実行する。また、紙幣取引装置10の下部には紙幣が保管される紙幣収納庫が設けられており、紙幣収納庫は金庫筐体40で囲まれている。紙幣取引装置10の詳細な構成については、後述する。
【0016】
カード・明細票処理機構20は、現金自動取引装置1の上部右側に設けられており、カード挿入口・明細票発券口20aを介して、取引時に使用される利用者のキャッシュカードなどの挿入及び排出や、取引明細が印字された明細票の排出を実行する。また、カードに付加された磁気ストライプの情報の読取・磁気ストライプへの情報の書込、取引明細の印字を実行する。
【0017】
顧客操作部30は、現金自動取引装置1の上部左側に設けられており、LCD(Liquid Crystal Display)などの表示部とボタン式の操作部とから構成されており、現金自動取引装置1の利用者に対して、取引内容の選択画面や各種取引の実行画面等を表示し、利用者の選択を受け付ける。
【0018】
図2は、現金自動取引装置1の機能ブロック図である。現金自動取引装置1は、紙幣取引装置10と、カード・明細票処理機構20と、顧客操作部30と、外部記憶装置50とを備えている。これらの装置及び機構は、バス60を介して本体制御部70と接続されており、本体制御部70の制御の下に必要な動作を行う。また、上記各機 構及び構成部分は、電源部80より電力を供給される。
【0019】
図3は、紙幣取引装置10の構成を示す側面図である。紙幣取引装置10には、その上部左側に入出金口100が配置される。当該入出金口100では、外部から投入された紙幣を受理する「入金」と、外部に放出する紙幣が収納される「出金」が同じ場所で実施される。
【0020】
紙幣取引装置10の中央部には、搬送された紙幣の識別情報を取得する識別部300が配置される。ここで、紙幣の識別情報とは、例えば、紙幣の金種情報、真偽情報(真性の紙幣であるか、偽造の紙幣であるか、偽造と疑わしい紙幣であるか、又は紙幣として認識できないか等)、紙幣の状態情報(破れがあるか、しわがあるか等)を含む情報である。なお、取得した紙幣情報により、取扱紙幣は「正紙幣」、「リジェクト紙幣」及び「偽造紙幣」を分類する。ここで、「正紙幣」は、紙幣取引装置10の内部に収納及び出金処理に適切である紙幣のことである。「リジェクト紙幣」とは、例えば折れや破れ等により紙幣取引装置10の内部での取扱は可能であるが、他の利用者への出金に適さないと判断された紙幣のことである。
【0021】
また、識別部300は、上記識別情報とは異なる、各々の紙幣の固有情報(例:紙幣に印刷された記番号等)を読み取ることにより、同一の金種、真偽若しくは状態の紙幣が複数であっても、別個の紙幣として認識することが可能である。
【0022】
紙幣取引装置10の中部左上側には、入金された紙幣内の正紙幣を取引成立までの間、一時的に保管する第一の一時保管庫400が配置される。
【0023】
紙幣取引装置10の中部左下側には、入金された紙幣内のリジェクト紙幣を正紙幣の取引成立までの間、一時的に保管する第二の一時保管庫500が配置される。
【0024】
紙幣取引装置10の中部右上側には、正紙幣を取引成立した後、偽造紙幣と、入出金口100に出金され、利用者が取り忘れた正紙幣を保管する保管庫600が配置される。
【0025】
保管庫600は、入金された偽造紙幣を保管する上段部と、出金された取り忘れ正紙幣を保管する下段部と、上段部と下段部との仕切板とを備える。
【0026】
紙幣取引装置10の下部には、紙幣の収納のみを行う非還流ボックス800と、紙幣の収納及び放出を行う還流ボックス700とが配置される。これらの非還流ボックス800と還流ボックス700とを合わせて、紙幣収納庫と称する。
【0027】
非還流ボックス800は、入金処理時及び出金処理時に発生したリジェクト紙幣等を収納する収納庫である。ここで還流ボックス700及び非還流ボックス800は、例えばその収納空間が二段構成になっており、二種類に区分された紙幣を収納する二段入金庫であっても良い。還流ボックス700は、入金された紙幣内の正紙幣であって出金に適した正紙幣を収納する収納庫であり、入金処理時に金種別に紙葉類が収納され、出金処理時に指定された枚数の紙葉類が放出される。
【0028】
なお、ソフトウェアによる設定や、ディップスイッチ(図示せず)の設定等により、非還流ボックス800、還流ボックス700の設定を変更することは可能であり、例えば、非還流ボックス800を還流ボックスとしたり、還流ボックス700を非還流ボックスとして運用しても良い。
【0029】
また、非還流ボックス800、還流ボックス700は、同一の外形であり、それぞれのボックスにおける紙幣の出入口(または入口)は共通の位置に設けられている。そのため、ソフトウェアによる設定や、ディップスイッチ(図示せず)の設定等を用いなくても、それぞれのボックスの位置を相互に交換することも可能である。
【0030】
また、還流ボックス700に収納する紙幣の金種も、ソフトウェアによる設定や、ディップスイッチの設定等により可能であり、複数の還流ボックスに同一金種の紙幣を収納しても良い。 上記入出金口100と、識別部300と、第一の一時保管庫400と、第二の一時保管庫500と、偽造・取り忘れ紙幣を収納する保管庫600と、非還流ボックス800と、還流ボックス700とは、紙幣を搬送する搬送路200、210、220、230、240、250により接続される。
【0031】
これらの搬送路200、210、220、230、240、250は、図示しない駆動源により駆動される。なお、各搬送路の駆動源を別個の駆動源としたり、複数の搬送路を纏めて一つの駆動源により駆動しても良い。また、各搬送路の分岐点には、図示せぬゲートが設けられている。
【0032】
搬送路200は、 入出金口100と金庫筐体40内部を繋ぐ搬送路である。搬送路210は識別部300と搬送路200との間で紙幣を搬送する搬送路である。搬送路220は紙幣を偽造・取り忘れ紙幣保管庫600へ搬送する搬送路である。搬送路230は、識別部300と第一の一時保管庫400との間で紙幣を搬送する搬送路である。搬送路240は第二の一時保管庫500と繋がり、リジェクト紙幣を第二の一時保管庫500へ(もしくはリジェックト紙幣を第二の一時保管庫500から)搬送する搬送路である。これら搬送路の搬送方向は、図示せぬゲートによって切り替えられる。搬送路250、250aは図示せぬゲートと、非還流ボックス800、還流ボックス700との間で紙幣を搬送する搬送路である。非還流ボックス800、還流ボックス700への紙幣の収納と、還流ボックス700からの紙幣の繰出しとは、図示せぬゲートによって切り替えられる。
【0033】
各搬送路上には、紙幣の存在を検出するための搬送路センサ(図示せず)を備えている。搬送路センサは、例えば、赤外光発光部と、搬送路を挟んで赤外光発光部に対向する位置に設けられた赤外光受光部とから構成され、赤外光受光部のダーク/ライトを検出することにより、紙幣の存在を検出する。
【0034】
図4は、紙幣取引装置10の構成を示すブロック図である。紙幣取引装置10は、入出金口100と、識別部300と、第一の一時保管庫400と、第二の一時保管庫500と、偽造・取り忘れ紙幣保管庫600と、非還流ボックス800と、還流ボックス700と、搬送路200〜250、250aと、ゲート(図示せず)と、記憶部(図示せず)と、を備えている。これらの各機構及び構成部分は、制御部900と接続されており、制御部900の制御の下に必要な動作を行う。
【0035】
すなわち、制御部900は、本体制御部70からの指令を現金自動取扱装置1のバス60を介して受信し、当該指令に基づき各機構及び構成部分を制御する。
【0036】
記憶部(図示せず)は、例えば、RAM(Random Access Memory)等であり、識別部300により判別された紙葉類の識別情報(金種情報、真偽情報、状態情報)や、各々の紙葉類に固有の情報(例:紙葉類に印刷された記番号等)を格納する。
【0037】
続いて、紙幣の入金動作について説明する。紙幣の入出金動作は、利用者により投入された紙幣を紙幣入出金機に入金する動作(入金動作)と、紙幣入出金機に収納された紙幣を利用者に対して出金する動作(出金動作)とに分けられる。また、入金動作は、利用者により投入された紙幣を計数する動作(入金計数動作)と、計数された紙幣内のリジェクト紙幣を識別部300により識別した後に、利用者へ返却する動作(リジェクト返却動作)と、計数された紙幣を非還流ボックス800、還流ボックス700に収納する動作(入金収納動作)とに分けられる。
【0038】
以下、本実施例における入出金口100の構造について、詳細に説明する。図5は入出金口100の側面図であり、図6は入出金口100の上面図である。
【0039】
入出金口100は、利用者により投入された紙葉類を装置内部に搬送したり、装置内部から搬送された紙葉類を集積、整列させた状態で係員に対して放出する機構である。
【0040】
入出金口100は投入された紙葉類を分離し、還流ボックス700から繰り出された紙葉類を集積する分離・集積機構を有し、分離・集積機構は、紙葉類を収納載置して上方へ付勢する押圧機構1l2と、ピックアップローラ105と、フィードローラ108と、ゲートローラ109とを備えている。
入出金口100に投入された紙葉類は、押圧機構112とピックアップローラ105とで押圧されることにより、フィードローラ108とゲートローラ109との間に送られ、さらにピックアップローラ105と、フィードローラ108と、ゲートローラ109とにより一枚ずつに分離されて、入出金口100の外部であり、装置内部の搬送路200に繰り出される。
【0041】
入出金口100は、床板113と、床板113より上面で紙葉類の下面を支持するように懸架された底面ベルト114と、装置の前後方向に移動する押圧機構1l2と、天板101と、上部側板110と、下部側板111と分離・集積ガイド(ガイド部材)106と、バックアップローラ115と、ブラシローラ104と、透過センサ(紙葉類残留検出センサ)116を備えた取込放出口117と、紙葉類搬送路118と、進行規制手段102と、面外変形付与機構119と、押出しレバー107と、天板ガイド120と、スプリング(弾性部材)121と、ロックリンク機構103とを備えている。
【0042】
また、押圧機構1l2は、図示しない押板用駆動モータによって矢印A方向に駆動する構成である。
【0043】
上記分離・集積機構は、さらに、上述したフィードローラ108と、ピックアップローラ105と、ゲートローラ109と、押圧機構112との他に、バックアップローラ115と、ブラシローラ104と、分離・集積ガイド106と、透過センサ116(紙葉類残留検出センサ)を備えた取込放出口117と、紙葉類搬送路118と、進行規制手段102とを有している。
【0044】
また、フィードローラ108とゲートローラ109との近傍に、面外変形付与機構119を備えている。さらに、分離・集積ガイド106の上方には、押出機構(押出しレバー107、天板ガイド120、図9に示すようなスプリング121)を備えている。
【0045】
分離・集積ガイド106は、紙葉類搬送路118の紙葉類を取込放出口117へ案内すると共に、取込放出口117から紙葉類搬送路118に紙葉類を案内するためのガイドである。分離・集積ガイド106は、取込放出口117側の面を紙葉類案内面である集積空間側の面としている。
【0046】
バックアップローラ115は、フィードローラ108に従動して回転し、紙葉類搬送路118を挟んで対向したフィードローラ108との間にある紙葉類を挟持して、紙葉類を搬送するように構成されている。
【0047】
ブラシローラ104は、ゲートローラ109の中心軸123と同一軸上に配置され、可撓性で逆Jの字状に形成されたシート状の押込み部材を少なくとも3方向に放射状に配置した羽根車状のローラである。なお、押込み部材は4方向以上の方向に放射状に配置してもよい。
【0048】
紙葉類搬送路118は、搬送路200と連通し、分離・集積する紙葉類の通過を許容するように構成されている。
【0049】
分離・集積ガイド106の上方に配置された進行規制手段102は、紙葉類搬送路118を通り入金口100に進入し集積される紙葉類の上方位置に規制するためのアーム部102a(図5では3つ)を有して構成されており、同一軸上に2つ配置されている。また、進行規制手段102は、進行規制手段用のモータによって中心軸を中心として矢印C方向に回転駆動する構成である。
【0050】
押出しレバー107は、図示しない中心軸を中心として矢印D方向に枢動する構成である。また、ロックリンク機構103は、図示しないアクチュエータで中心軸を中心として、上下に動作する構造となっている。これらの機構の詳細な動作については後述する。
【0051】
フィードローラ108は、フィードローラ用駆動モータによって駆動され、紙葉類搬送路118を挟んで対向したバックアップローラ115と紙葉類を挟持し、集積する紙葉類を集積空間SSへ搬送し、分離する紙葉類を紙葉類搬送路118を介して搬送路200に送るように構成されている。
【0052】
ゲートローラ109は、ワンウェイクラッチなどを用いることにより、中心軸123を中心として紙葉類の集積方向に回転し、繰り出し方向には回転しないように構成したローラである。
【0053】
これらの構造により、分離・集積機構は、入金時に入出金口100に投入された紙葉類を1枚ずつ分離して確実に放出できるとともに、紙葉類搬送路118を通過した紙葉類を確実に入出金口100内へ集積することができる。
【0054】
分離・集積ガイド106は、下方の枢動軸122を枢動中心として矢印B方向に枢動する構成である。この構成によって分離・集積ガイド106は、動作に合わせて紙葉類分離時位置106a、紙葉類集積時位置106b、紙葉類投入/放出時位置106cに回動する。
【0055】
詳述すると、紙葉類集積時において、分離・集積ガイド106は、紙葉類案内面が紙葉類搬送路118の取込放出口117における紙葉類進行方向の延長上に沿い、空間形成位置として機能する紙葉類集積時位置106bまで枢動する。
【0056】
また、紙葉類分離時、分離・集積ガイド106は、紙葉類案内面からピックアップローラ105が露出するまで退避し、紙葉類搬送路118まで紙葉類を案内する誘導位置として機能する紙葉類分離時位置106aまで枢動する。なお、紙葉類分離時位置106aは、紙葉類集積時位置106bよりも装置後方である。
【0057】
また、紙葉類投入/放出時、分離・集積ガイド106は、紙葉類の投入/放出を許容する空間を形成するため、紙葉類集積時位置106bより集積空間SS側に倒れ込んだ紙葉類投入/放出時位置106cまで枢動する。
【0058】
なお、紙葉類投入/放出時位置106cは、紙葉類分離時位置106bよりも装置前方である。すなわち、分離・集積ガイド106は、紙葉類集積時位置(第1の位置)106b、紙葉類分離時位置(第2の位置)106a、紙葉類投入/放出時位置(第3の位置)106cの3ヶ所に変位するように構成されている。
【0059】
入出金口100内部に関して、利用者が入金時に紙幣を投入する空間もしくは出金時に取出す紙幣が存在する空間を入出金空間NSとし、出金時に集積中の紙幣が一時的に存在する空間を集積空間SSとする。入出金空間NSは集積空間SSよりも利用者側にあり、集積空間SSは入出金空間NSよりも装置内部側に形成される。入出金空間NS及び集積空間SSは、押圧機構112と、上部側板110と、下部側板111と、分離・集積ガイド106と、床板113で構成される。ここで、入出金空間NSの幅をXNS、奥行きをYNSとする。また、集積空間SSの幅をXSS、奥行きをYSSとする。なお、幅とは投入される紙幣の搬送方向に対し垂直の方向の長さであり、奥行きとは押圧板等の部材により紙幣を押圧する押圧機構112の動作方向の長さである。
【0060】
図7は、集積空間SSの幅XSS、入出金空間NSの幅XNSと還流ボックス700の出入口幅X2の関係を示す図である。この図に示すように、集積空間SSの幅XSSは、還流ボックス700の出入口幅X2よりも大きく設定されている(XSS>X2)。また、入出金空間NSの幅XNSは、還流ボックス700の出入口幅X2よりも小さく、且つ搬送中に紙幣がスキュー等が発生しても、その紙幣のエッジ部が還流ボックス700の出入口幅X2を超えないような寸法に設定されている(XNS<X2)。このように、本実施例の入出金口100には、同一機構内にそれぞれ幅の長さが異なる入出金空間NSと集積空間SSが存在する。
【0061】
次に上部側板110と下部側板111の形状に関し詳細に説明する。図8(a)は上部側板110、図8(b)は下部側板111の形状を示している。
【0062】
上部側板110は、入出金空間NSを構成する部分(図中YNSの範囲)および集積空間SSを構成する部分(図中YSSの範囲)は平面形状であり、その中間に斜面部110aを有している。また下部側板111は、入出金空間NSを構成する部分(図中YNSの範囲)は平面で構成され、集積空間SSを構成する部分(図中YSSの範囲)の一部に斜面部111aを有している。これら斜面部110a、111aによって、入出金空間NSの幅XNSと集積空間SSの幅XSSに差異を設け、入出金空間NSの幅XNSよりも集積空間SSの幅XSSの方が大きくなるような構成となっている。
【0063】
次に、分離・集積ガイド106の上方に配置された押出し機構について、図9に示す分離・集積ガイド106の概略配置図を用いて説明する。
【0064】
図9(a)の分離・集積ガイド106の正面図に示すように、押出しレバー107は、分離・集積ガイド106の上方であって、分離・集積ガイド106の中央に配置されている。
【0065】
また、図9(b)(E−E‘断面図)に示すように、押出し機構は、押出しレバー107と、スプリング121と、天板ガイド120とから構成されている。
【0066】
分離・集積ガイド106の中央に備えられた押出しレバー107は、分離・集積ガイド106から露出せず紙幣に接触しない位置に退避し、分離・集積ガイド106と重なり合うように、分離・集積ガイド106の枢動軸122方向に伸びた形状である。この押出しレバー107の上方の先端は、フック状の形状(フック部)107aが形成されている。
【0067】
押出し機構は、押出しレバー107に取り付けられたスプリング121の付勢により、中心軸107bを中心として分離・集積ガイド106から押出しレバー107が突出したり、分離・集積ガイド106から露出しない位置に隠れたりする機構となっている。
【0068】
天板ガイド120は、天板101に備え付けられている。また、天板ガイド120には穴が設けられており、当該穴に押出しレバー107が常に重なり合うように形成されている。
【0069】
さらに、天板ガイド120にはフック状の突起部120aが形成されている。このような構成により、分離・集積ガイド106が紙葉類投入/放出時位置106cへ枢動することにより、押出しレバー107のフック部107aと、天板ガイド120のフック部120aとが引っ掛かり、分離・集積ガイド106から押出しレバー107が突出する構成である。
【0070】
次に集積時と入出金時における、入出金口100の状態について説明する。図10(a)は集積時の入出金口100の状態を表す図である。ここで集積中の紙幣P1は集積空間SSに集積される。集積空間SSは、紙葉類集積時位置106bに存在する分離・集積ガイド106と、集積動作が完了し堆積されている集積済紙幣P2の最上面と、上部側板110の幅がXSSになる幅広側の面と、下部側板111の斜面部111aもしくは幅がXSSになる幅広側の面とによって構成される。
【0071】
上述のように、集積空間SSの幅XSSは、還流ボックス700の出入口幅X2よりも大きいように設定されている。そのため、本実施例による入出金口100においては、還流ボックス700に幅方向に偏って収納された紙幣が繰出された場合であっても、ジャムや姿勢不良を発生することなく集積することが可能である。
【0072】
図10(b)は入出金時の入出金口100の状態を表す図である。ここで、利用者が入金時に投入する紙幣、もしくは出金時に取出す紙幣は入出金空間NSに存在する。入出金空間NSは、紙葉類投入/放出時位置106cに存在する分離・集積ガイド106と、押圧機構112と、上部側板110の幅がXNSになる幅狭側の面と、下部側板111の幅がXNSになる幅狭側の面とによって構成される。このような構成であると、分離・集積ガイド106が集積空間SSを完全に覆い隠して遮蔽するため、利用者が入金する際に紙幣は集積空間SS内部には入らず、必ず幅XNSの入出金空間NS内に紙幣が投入される。
【0073】
上述のように、入出金空間NSの幅XNSは、還流ボックス700の出入口幅X2よりも小さく、且つ搬送中に紙幣がスキュー等が発生しても、その紙幣のエッジ部が還流ボックス700の出入口幅X2を超えないような寸法に設定されている。そのため、本実施例による入出金口100においては、入出金口100に、その幅方向に偏った位置に利用者が紙幣をセットした場合であっても、還流ボックス700にジャムや姿勢不良を発生することなく収納することが可能である。
【0074】
次に、現金自動取引装置1の入出金口100に紙葉類を集積する集積処理について説明する。図11は、本実施例における集積状態の分離・集積機構の説明図である。
【0075】
分離・集積機構の分離・集積ガイド106が、ロックリンク機構103により紙葉類集積時位置106bに規制された状態で、紙葉類搬送路118の両側に配置したフィードローラ108とゲートローラ109とを回転させ、紙葉類Pを集積空間SSまで搬送する。この時、紙葉類Pは、分離・集積ガイド106の紙葉類案内面に沿って搬送される。
【0076】
紙葉類搬送路118を通過し、外部から取り込んだ紙葉類Pに対しフィードローラ108とゲートローラ109の挟持力から解放された紙葉類は後続の紙葉類との衝突を防止するために回転している羽根車であるブラシローラ104により、フィードローラ108とゲートローラ109との挟持点から掻き出される。
【0077】
集積空間SSに集積され、フィードローラ108とゲートローラ109との挟持から外れた紙葉類Pは、その進行方向における先端部が進行方向規制手段102のアーム部102aにより形成される凹部に衝突して停止する。以上の動作を連続で行うことにより、紙葉類Pが集積される。集積された紙葉類Pは、押圧機構112と底面ベルト114によって、分離・集積ガイド106から遠ざかる方向(すなわち、図中矢印A1方向)に移動される。なお、集積動作時、押出しレバー107は、紙葉類Pの集積動作を阻害しないように分離・集積ガイド106から露出しない位置に退避している。
【0078】
図12は、上述の集積処理動作に関連して、集積中の紙幣P1に作用する外力の関係を示した図である。集積中の紙幣P1には、ブラシローラ104からの外力F1が作用する。ここで集積中の紙幣P1が図に示すように、集積空間SSの幅XSSぎりぎりの位置で集積される場合、集積中の紙幣P1の端部が下部側板111の斜面部111aに接触する。
【0079】
このとき、集積中の紙幣P1には斜面部111aからの接触力F2が作用するために、集積中の紙幣P1は、図中矢印Xsの方向へ移動する。そして、最終的に端部が入出金空間NSの幅XNSの位置に揃い、堆積される。このとき、図11に示すブラシローラ104からの外力F1と斜面部111aからの接触力F2の力の作用線距離が離れていると、図11中時計周りのモーメントが集積中の紙幣P1に作用するため紙幣が回転し、上述の幅方向への移動が阻害されるおそれがある。しかし、本実施例の構成であると、上部側板110の斜面部110aは下部側板111の斜面部111aよりも奥側(図12中下側)に存在するため、斜面部111aに紙幣が接触する際は、上部側板に接触することは無い。そのために上述の回転モーメントは、下部側板の高さhを規定することで、その最大値が制限される。
【0080】
次に、入出金口100に投入された紙葉類を収納する場合の動作、及び集積された紙葉類を利用者に放出する場合の動作について説明する。図13は、本実施例における紙葉類投入時及び紙葉類受渡時の分離・集積機構の側面図である。
【0081】
図13に示すように、紙葉類Pが矢印G方向に入出金空間NSへ投入されたとき、押圧機構112は最も後退した位置に配置されるとともに、分離・集積ガイド106は紙葉類投入/放出時位置106cに配置され、分離・集積ガイド106の押出しレバー107が突出した状態である。このとき、押圧機構112と押出しレバー107とにより形成される空間は、紙葉類Pが内部に投入されることを許容するとともに、紙葉類Pが集積されることが可能な空間を形成する。
【0082】
また、紙葉類Pを矢印H方向に取り出すことが可能なとき(すなわち、紙葉類受渡時)には、押圧機構112が装置前方方向(図中矢印A2の方向)に移動することにより、押出しレバー107が装置前方に出てくることで、紙葉類Pの動きを規制し、紙葉類Pが倒れないようにして利用者に対して紙葉類を受け渡すことが可能となる。このとき、進行規制手段102のアーム部102aは、紙葉類の投入、紙葉類の受け渡しを妨げない位置に回転する。
【0083】
図14は、上述の集積された紙葉類を利用者に放出する動作に関連して、放出される紙幣P2に作用する外力の関係を示した図である。放出される紙幣P2には、押出しレバー107からの外力F3が作用する。ここで放出される紙幣P2が図に示すように、スキュー状態で集積されていた場合、放出される紙幣P2の角部が上部側板110の斜面部110aに接触する。このとき、放出される紙幣P2には斜面部110aからの接触力F4が作用するために、放出される紙幣P2は、図中矢印Xs2の方向へ移動する。そして最終的に角部が入出金空間NSの幅XNSの位置に揃い、放出される。
【0084】
次に、入出金口100に投入された紙葉類を分離する場合の動作について説明する。
図15は、分離状態の分離・集積機構の側面図である。紙葉類の分離時において、準備動作として押圧機構112を矢印A3方向に駆動させて、紙葉類を分離・集積ガイド106に押し付ける。このとき、押圧機構112または集積紙葉類Pにより分離・集積ガイド106が押されることで、分離・集積ガイド106から突出していた押出しレバー107は露出しない位置に退避される。また、分離・集積ガイド106が紙葉類分離時位置106aに動作するため、ピックアップローラ105が紙葉類案内面から露出し、ピックアップローラ105が紙葉類Pと接触する。
【0085】
その後、ピックアップローラ105を回転させ、紙葉類Pを一枚ずつ分離しながら紙葉類搬送路118に搬送する。このとき、ブラシローラ104は、紙葉類Pの分離を阻害しない様にシート状の押込み部材が丸まりながら回転する。さらに、押圧機構112と底面ベルト114とは、ピックアップローラ105に所定の圧力がかかるように連動する。このようにして、分離・集積機構は分離時において入出金空間NSに投入された紙葉類Pを1枚ずつ分離して確実に放出することが可能となる。
【0086】
以上説明したように、本実施例における現金自動取引装置では、その入出金口100には、入金される紙幣と出金される紙幣を収納する入出金空間NSと、利用者に紙幣を出金する際に、紙幣が一時的に集積される集積空間SSが存在し、入出金空間NSの幅XNSが前記集積空間SSの幅XSSよりも狭い構成となっている。
【0087】
そのため、本実施例による入出金口100においては、還流ボックス700内部で幅方向に偏って収納された紙幣が繰出され、その紙幣を集積する場合であっても、ジャムや姿勢不良等の障害が発生することが無い。更に、入出金口100でその幅方向に偏った位置に利用者が紙幣をセットした場合であっても、還流ボックス700にジャムや姿勢不良を発生することなく収納することが可能である。
【0088】
また、入出金時には、分離・集積ガイド106が紙葉類投入/放出時位置106cに存在するため、分離・集積ガイド106が集積空間SSを完全に覆い隠し、利用者が入金する際に、必ず幅XNSの範囲内に紙幣が投入される。
【0089】
さらに、集積空間SSを構成する一要素である下部側板111は斜面部111aを有しているため、集積中の紙幣は幅方向にその位置を規制され、最終的に紙幣の端部が入出金空間NSの幅XNSの位置に揃い堆積されることが可能である。
【0090】
すなわち、入出金口の紙幣が入金される空間の幅方向の長さを紙幣収納庫の入口幅よりも狭く、かつ出金される紙幣が集積する空間の幅方向の長さを紙幣収納庫の出口幅よりも広くしているため、入出金口から送られた紙幣を紙幣収納庫へ収納する際、もしくは紙幣収納庫から送られた紙幣を入出金口に集積させる際に、ジャムや姿勢不良等の障害発生を防止できる。また、集積空間と入出金空間を構成し、紙幣幅方向の位置を規制する幅方向規制部材に傾斜部を有することで、集積中および集積空間から入出金空間に紙幣を移動させる際に、紙幣幅方向の位置を所定の出金空間の幅内に収め、整然とした状態で紙幣を出金することが可能である。
【0091】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものでなく、本発明の趣旨の範囲内において種々変形可能である。
【0092】
変形例1:上記実施例では、押出しレバーを1箇所に配置しているが、紙葉類の押出しが可能であれば、押出しレバーの配置数はこれに限定されない。
【0093】
変形例2:上実施例では、上部側板と下部側板の2要素に分割しているが、それぞれの機能を一つの側板に持たせても良い。
【符号の説明】
【0094】
1:現金自動取引装置、10:紙幣取引装置、20:カード・明細票処理機構、30:顧客操作部、40:金庫筐体、50:外部記憶装置、60:バス、70:本体制御部、80:電源部、100:入出金口、300:識別部、400:第一の一時保管庫、500:第二の一時保管庫、600:保管庫、700:還流ボックス、800:非還流ボックス、900:制御部、101:天板、102:進行規制手段、103:ロックリンク機構、104:ブラシローラ、105:ピックアップローラ、106:分離・集積ガイド、107:押出しレバー、108:フィードローラ、109:ゲートローラ、110:上部側板、111:下部側板、112:押圧機構、113:床板、114:底面ベルト、115:バックアップローラ、116:透過センサ、117:取込放出口、118:紙葉類搬送路、119:面外変形付与機構、120:天板ガイド、121:スプリング。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8(a)】
図8(b)】
図9(a)】
図9(b)】
図10(a)】
図10(b)】
図11
図12
図13
図14
図15
図16(a)】
図16(b)】