(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記電力損失量は、入力電圧と入力電流とで計算される送信電力量から、前記無線電力受信装置から受信される受信パワーパケットでデコーディングされる受信電力量を引いた値で演算される、請求項4に記載の無線電力転送方法。
直流電源を交流に変換するためのインバータ、受信装置の2次コイルとの磁気誘導結合により電力を転送するための1次コイルを含む2つ以上の共振回路、及び前記共振回路に流れる電流波形の変化を感知するためのセンシング部を含む電力変換部と、
前記2つ以上の共振回路を前記インバータに連結するためのスイッチング部と、
前記スイッチング部を制御して前記インバータに連結する共振回路を選択し、前記センシング部が感知する変化に基づいて前記受信装置が送るメッセージを抽出し、前記抽出されるメッセージに基づいて前記インバータの動作を制御して前記受信装置への電力転送を制御するための制御部とを含んで構成され、
前記制御部は、前記スイッチング部と前記電力変換部とを制御して前記2つ以上の共振回路に含まれる2つ以上の1次コイルに対して順次に前記受信装置の2次コイルとの誘導結合程度に該当する信号強度値を測定して格納し、前記信号強度値が最も大きい1次コイルを動作コイルとして選択し、前記動作コイルと隣接する1次コイルに対する信号強度値と前記動作コイルに対する信号強度値との差に基づいて電力損失を探知するためのモードに移行するための根拠となる電力損失量の基準値を調節する、無線電力転送装置。
前記制御部は、前記電力損失量を計算し、前記計算される電力損失量が前記調節される基準値より大きい時、前記電力損失を探知するためのモードに移行する、請求項6に記載の無線電力転送装置。
前記制御部は、前記動作コイルを含む共振回路に入力される電圧と入力される電流とで計算される送信電力量から、前記受信装置から受信される受信パワーパケットでデコーディングされる受信電力量を引いた値で前記電力損失量を演算する、請求項9に記載の無線電力転送装置。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係る無線電力転送装置に対する実施形態を添付する図面に基づいて詳細に説明する。
【0022】
図1は、無線電力転送装置から電子機器に電力が無線で転送されることを概念的に示す図である。
【0023】
無線電力転送装置100は、無線電力受信装置または電子機器200が必要とする電力を無線で伝達する電力伝達装置、無線で電力を伝達することによって電子機器200のバッテリーを充電するための無線充電装置、または接触していない状態で電源が必要な電子機器200に電力を伝達するさまざまな形態の装置で具現できる。
【0024】
電子機器200は無線電力転送装置100から無線で電力を受信して動作が可能な機器であって、無線で受信される電力を用いてバッテリーを充電することができる。無線で電力を受信する電子機器は携帯可能な電子機器、例えばスマートフォンやスマート端末、タブレットコンピュータ、マルチメディア端末、キーボード、マウス、映像、または音声の補助装置などの入出力装置などを含むことができる。
【0025】
無線電力転送装置100の無線電力信号による電磁気誘導現象に基づいた誘導結合方式、即ち無線電力転送装置100で転送する無線電力信号により電子機器200で共振が発生し、共振現象により無線電力転送装置100から電子機器200に接触無く無線で電力が伝達できるが、電磁気誘導現象により1次コイルで交流電流により磁場を変化させて2次コイル側に電流を誘導することによって電力を伝達する。
【0026】
無線電力転送装置100の1次コイルに流れる電流の強さが変化すれば、その電流により1次コイルまたは送信コイル(primary coil、Tx coil)を通過する磁場が変化し、変化した磁場は電子機器200の内の2次コイルまたは受信コイル(secondary coil、Rx coil)側に誘導起電力を発生させる。
【0027】
無線電力転送装置100側の送信コイルと電子機器200側の受信コイルとが近接するように無線電力転送装置100及び電子機器200を配置し、無線電力転送装置100を送信コイルの電流が変化するように制御すれば、電子機器200は受信コイルに誘導された起電力を用いてバッテリーのような負荷に電源を供給する。
【0028】
誘導結合方式による無線電力伝達の効率は、無線電力転送装置100と電子機器200との間の配置と距離の影響を受けるようになるので、無線電力転送装置100は平らなインターフェース表面を含むように構成され、インターフェース表面の下部には送信コイルが装着され、インターフェース表面の上部に1つ以上の電子機器を置くことができる。インターフェース表面の下部に装着された送信コイルとインターフェース表面の上部に位置した受信コイルとの間の空間を十分に小さくすることで、誘導結合方式による無線電力伝達の効率を高めることができる。
【0029】
インターフェース表面の上部には電子機器が置かれる位置を指示するマークが表示できるが、インターフェース表面の下部に装着された送信コイルと受信コイルとの間の配列が適合する電子機器の位置を指示することができる。電子機器の位置を案内するための突出形態の構造物がインターフェース表面の上部に形成されてもよく、インターフェース表面の下部に磁石のような磁性体を形成して電子機器の内部に設けられた異なる極の磁性体との引力により送信コイルと受信コイルとがよく配列されるように案内することもできる。
【0030】
図2は、電磁気誘導方式により電力を無線で転送するための転送装置の電力変換部の回路構成を概念的に示す図である。
【0031】
無線電力転送装置は、概して電源及びインバータと共振回路で構成される電力変換部を含んで構成できるが、電源は電圧源や電流源であってもよく、電力変換部は電源から供給される電力を無線電力信号に変換して受信装置に伝達するが、無線電力信号は共振特性を有する磁場または電磁場形態に形成され、共振回路は無線電力信号を発生させるコイルを含む。
【0032】
インバータはスイッチング素子と制御回路を通じて直流入力を所望の電圧と周波数の交流波形に変換する。
図2はフルブリッジ(Full-bridge)インバータを図示したものであるが、ハーフブリッジインバータなど、他の種類のインバータも可能である。
【0033】
共振回路は、磁気誘導方式により電力を転送する送信コイル(Lp)とキャパシタ(Cp)を含んで構成されるが、コイルとキャパシタが電力転送の基本共振周波数を決定する。送信コイルは電流の変化によって無線電力信号に該当する磁場を形成するが、平板形態またはソレノイド形態に具現できる。
【0034】
インバータにより変換された交流電流が共振回路を駆動させることによって、送信コイルに磁場が形成される。インバータが共振回路の共振周波数に近い周波数の交流を生成して転送装置の転送効率を高めることができ、インバータを制御することによって転送装置の転送効率を変更することができる。
【0035】
図3は、無線電力転送装置と受信装置が電力とメッセージをやり取りするための構成を図示したものである。
【0036】
電力変換部は、受信装置の受信状態に関わらず、一方的に電力を転送するだけであるので、受信装置の状態に合うように電力を転送するためには受信装置から受信状態と関連したフィードバックを受けるための構成が無線電力転送装置に必要である。
【0037】
無線電力転送装置100は、電力変換部110、通信部120、制御部130、及び電源部140を含んで構成することができる。無線電力受信装置200は、電力受信部210、通信部220、及び制御部230を含んで構成することができ、受信される電力が供給される負荷250をさらに含んで構成できる。
【0038】
電力変換部110は
図2のインバータと共振回路で構成され、無線電力信号を形成させるために使われる周波数、電圧、電流などの特性を調節できる回路をさらに含むように構成できる。
【0039】
通信部120は電力変換部110に連結されて、転送装置100から磁気誘導方式により無線で電力を受信する受信装置200により変調される無線電力信号を復調して電力制御メッセージを検出することができる。
【0040】
制御部130は、通信部120が検出するメッセージに基づいて、電力変換部110の動作周波数、電圧、電流のうち、1つ以上の特性を決定し、電力変換部110を制御して、電力変換部110がメッセージに適合した無線電力信号を生成するようにすることができる。通信部120と制御部130は、1つのモジュールで構成できる。
【0041】
電力受信部210は、電力変換部110の送信コイルで発生する磁場の変化によって誘導起電力が発生する受信コイルとキャパシタで構成されるマッチング回路を含み、受信コイルに流れる交流電流を整流して直流電流を出力する整流回路を含むことができる。
【0042】
受信装置の通信部220は電力受信部210に連結され、DCでの抵抗負荷及び/又はACでの容量性負荷を調節する方式により電力受信部の負荷を調節することによって、転送装置と受信装置との間の無線電力信号を変化させて電力制御メッセージを転送装置に転送することができる。
【0043】
受信装置の制御部230は受信装置に含まれた各構成要素を制御するが、電力受信部210の出力を電流または電圧形態に測定し、これに基づいて通信部220を制御して無線電力転送装置100に電力制御メッセージを伝達することができる。メッセージは無線電力転送装置100に無線電力信号の伝達を始めるか、または終了するように指示することができ、また無線電力信号の特性を調節するようにすることができる。
【0044】
転送装置の電力変換部110により形成された無線電力信号は電力受信部210により受信され、受信装置の制御部230は無線電力信号を変調するように通信部220を制御するが、制御部230は通信部220のリアクタンス(reactance)を変更させることによって、無線電力信号から受信する電力量が変わるようにする変調過程を遂行することができる。無線電力信号から受信される電力量が変われば、無線電力信号を形成する電力変換部110の電流及び/又は電圧も変わり、無線電力転送装置100の通信部120は電力変換部110の電流及び/又は電圧の変更を感知して復調過程を遂行することができる。
【0045】
受信装置の制御部230は、無線電力転送装置100に伝達しようとするメッセージを含むパケットを生成し、生成されるパケットを含むように無線電力信号を変調し、転送装置の制御部130は通信部120を通じて抽出したパケットをデコーディングして電力制御メッセージを獲得することができるが、受信装置の制御部230は受信されるパワーを調節するために電力受信部210を通じて受信される電力量に基づいて無線電力信号の特性の変更を要請するメッセージを転送することができる。
【0046】
図4は、無線電力転送装置と受信装置との間の電力転送を制御するためのループをブロックに図示したものである。
【0047】
転送装置100の電力変換部110で発生する磁場の変化によって受信装置200の電力受信部210で電流が誘導されて電力が転送されるが、受信装置の制御部230は所望の制御点、即ち所望の出力電流及び/又は電圧を選択し、電力受信部210を通じて受信される電力の実際制御点を決定する。
【0048】
受信装置の制御部230は電力が転送される間、所望の制御点と実際制御点を用いて制御エラー値を計算するが、例えば2つの出力電圧または電流の差を制御エラー値として取ることができる。所望の制御点に到達するために少ない電力が要求されれば、例えばマイナス値となり、所望の制御点に到達するために、より多い電力が必要であれば、プラス(+)値になるように制御エラー値を決定することができる。受信装置の制御部230は、通信部220を通じて電力受信部210のリアクタンスを時間によって変更する方式により計算された制御エラー値を含むパケットを生成して転送装置100に転送することができる。
【0049】
転送装置の通信部120は、受信装置200により変調される無線電力信号に含まれるパケットを復調してメッセージを検出するが、制御エラー値を含む制御エラーパケットを復調することができる。
【0050】
転送装置の制御部130は、通信部120を通じて抽出した制御エラーパケットをデコーディングして制御エラー値を得て、電力変換部110に実際に流れる実際の電流値と制御エラー値を用いて受信装置が所望の電力を転送するための新たな電流値を決定することができる。
【0051】
転送装置の制御部130は、受信装置から制御エラーパケットを受信する過程からシステムが安定化されれば、送信コイルに流れる実際の電流値が新たな電流値になるように新たな動作点、即ち送信コイルに印加されるAC電圧のサイズ、周波数、デューティ比などが新たな値に達するように電力変換部110を制御し、受信装置が追加で制御情報や状態情報を通信できるように新たな動作点を続けて維持するようにする。
【0052】
無線電力転送装置100と無線電力受信装置200との間の相互作用は、選択(selection)、ピング(ping)、識別/構成(identification & configuration)及びパワー転送(power transfer)の4ステップからなるが、選択ステップは転送装置がインターフェース表面の上に置かれた対象物を発見するためのステップであり、ピングステップは対象物が受信装置を含むか否かを確認するステップであり、識別/構成ステップは受信装置に電力を送るための準備ステップであって、受信装置から適切な情報を受信し、これに基づいて受信装置と電力転送契約(Power Transfer Contract)を締結し、パワー転送ステップは転送装置と受信装置との相互作用により実際に電力を無線で受信装置に転送するステップである。
【0053】
ピングステップでは、受信装置200が送信コイルと受信コイルとの磁束結合程度を示す信号強度パケット(Signal Strength Packet:SSP)を共振波形の変調を通じて転送装置100に転送するが、信号強度パケット(SSP)は受信装置で整流した電圧をモニタリングして生成するメッセージであって、送信装置100はこれを受信装置200から受信して電力転送のための初期駆動周波数を選定することに活用することができる。
【0054】
識別/構成ステップでは、受信装置200のバージョン、製造社コード、装置識別情報などを含む識別パケット(Identification Packet)、受信装置200の最大パワー、パワー転送方法などの情報を含む構成パケット(Configuration Packet)などを受信装置200が転送装置100に転送する。
【0055】
パワー転送ステップでは、受信装置200が電力信号を受信する動作点とパワー転送契約で定めた動作点との差を示す制御エラーパケット(Control Error Packet:CEP)、受信装置200がインターフェース表面を通じて受信するパワーの平均値を示す受信パワーパケット(Received Power Packet:RPP)などを受信装置200が転送装置100に転送する。
【0056】
受信パワーパケット(RPP)は受信装置の電力受信部210の整流電圧、負荷電流、オフセット電力などを勘案した受信電力量データであって、受信装置200により電力を受信中に続けて転送装置100に転送され、転送装置100はこれを受信して電力制御のための演算因子として使用する。
【0057】
転送装置の通信部120は、各々共振波形の変化からパケットを抽出し、制御部130は抽出されるパケットをデコーディングしてメッセージを得て、これに基づいて電力変換部110を制御して受信装置200が要請するままにパワー転送特性を変えながら電力を無線で転送することができる。
【0058】
一方、誘導結合により電力を無線で伝達する方式において、その効率は周波数特性に従う影響は少ないが、転送装置100と受信装置200との間の配列と距離の影響を受けるようになる。
【0059】
無線電力信号が到達できる領域を2つに区分できるが、転送装置100が受信装置200に無線で電力を伝達する時、高い効率の磁場が通過できるインターフェース表面の部分を活動領域ということができ、転送装置100が受信装置200の存在を感知できる領域を感知領域ということができる。
【0060】
転送装置の制御部130は、受信装置200が活動領域または感知領域に配置または除去されたか否かを感知できるが、電力変換部110で形成される無線電力信号を用いるか、または別途に備えられるセンサーにより受信装置200が活動領域または感知領域に配置されたか否かを検出することができる。
【0061】
例えば、転送装置の制御部130は感知領域に存在する受信装置200によって無線電力信号が影響を受けて電力変換部110の無線電力信号を形成するための電力の特性が変化するか否かをモニタリングすることで、受信装置200の存在を検出することができる。転送装置の制御部130は、受信装置200の存在を検出した結果によって受信装置200を識別する過程を遂行するか、または無線電力転送を始めるか否かなどを決定することができる。
【0062】
転送装置の電力変換部110は位置決定部をさらに含むことができるが、位置決定部は誘導結合方式による無線電力伝達の効率を高めるために送信コイルを移動または回転させることができ、特に受信装置200が転送装置100の活動領域内に存在しない場合に使用できる。
【0063】
位置決定部は、転送装置100の送信コイルと受信装置200の受信コイルの中心との間の距離が一定範囲以内になるように送信コイルを移動させるか、または送信コイルと受信コイルの中心とが重畳するように送信コイルを移動させる駆動部を含むように構成できる。このために、転送装置100は受信装置200の位置を感知するためのセンサーや感知部をさらに備えることができ、転送装置の制御部130は感知部のセンサーから受信する受信装置200の位置情報に基づいて位置決定部を制御することができる。
【0064】
または、転送装置の制御部130は通信部120を通じて受信装置200との配列または距離に対する制御情報を受信し、これに基づいて位置決定部を制御することができる。
【0065】
また、転送装置100は2つ以上の複数の送信コイルを含むように形成され、複数の送信コイルのうち、受信装置200の受信コイルと適合するように配列される一部のコイルを選択的に用いて転送効率を高めることができる。この場合、位置決定部は複数の送信コイルのうちのどれが電力伝達のために使われるかを決定することができる。
【0066】
活動領域を通過する磁場を形成する単一送信コイルまたは1つ以上の送信コイルなどの組合を主要セル(primary cell)と指称することができるが、転送装置の制御部130は、受信装置200の位置を感知し、これに基づいて活動領域を決定し、活動領域に対応する主要セルを構成する転送モジュールを連結し、該当転送モジュールの送信コイルと受信装置200の受信コイルが誘導結合できるように制御することができる。
【0067】
一方、受信装置200はスマートフォンまたはマルチメディア再生端末を含むスマートフォンやスマート機器のような電子機器内に内蔵され、電子機器が転送装置100のインターフェース表面の上に垂直や水平方向に一定でない方向や位置に置かれるようになるので、転送装置は広い活動領域を必要とする。
【0068】
活動領域を広げるために複数個の転送コイルを使用する場合、転送コイルの個数だけ駆動回路が必要であり、複数個の転送コイルに対する制御が複雑になるため、製品化する時、転送装置、即ち無線充電器の費用が増加する。また、活動領域を拡大するために転送コイルの位置を変える方式を適用する場合にも転送コイルの位置を移すための移送メカニズムを具備しなければならないので、体積と重さが大きくなり、製作費用が高くなる問題がある。
【0069】
位置が固定された1つの送信コイルを有しても活動領域を拡張する方法があれば効果的であるが、単純に送信コイルのサイズを大きくすれば、送信コイルの単位面積当たりの磁束密度が落ち、送受信コイルの間の磁気結合力が弱くなり、期待するだけ活動領域が増加せず、転送効率も落ちるようになる。
【0070】
このように、活動領域の拡大と転送効率の向上のために送信コイルの適切な形状とサイズを決定することが重要である。2つ以上の送信コイルを採用する多重コイル方式が無線電力転送装置の活動領域を拡大する方法に効果的である。
【0071】
図5は、多重コイル方式の無線電力転送装置と受信装置との間に導体金属が配置される状態を図示したものである。
【0072】
多重コイル方式の無線電力転送装置は、位置を異にする2つ以上の1次コイル、
図5のようにCoil 1乃至Coil 3のように3個の1次コイルを含んで2つ以上の電子機器に同時に電力を転送することができるが、受信装置が1次コイル、例えばCoil 1の中心から外れる場合、電力転送効率が落ちるようになる。
【0073】
また、受信装置200は転送装置100から無線電力信号を受けてリアルタイムに受信される電力量情報を転送装置100に伝達するが、受信装置と転送装置との間に導体金属、例えばコインが配置される場合、導体金属に磁束が通過しながら導体金属を通過する磁気力線束の変化に従う渦流(eddy current)現象が起こり、これによって電力損失が発生するため、受信装置200から転送される受信パワーパケット(RPP)内の受信電力量と転送される電力量との間に差が発生し得る。受信電力量は導体による電力損失、1次/2次コイルの間の結合係数(相互インダクタンス)、電力受信機の整流効率など、多様な要素によって変動し得る。
【0074】
損失電力量は、送信電力量(入力電圧×入力電流)から受信電力量(RPP)を引いた値に相当するが、損失電力量が、例えば500mWを超える場合、転送装置100は1次コイルと2次コイルとの間に置かれた導体により電力損失があると判断し、電力転送を中断することができる。
【0075】
または、多重コイル方式の転送装置100は、損失電力量が所定基準(FODオフセット)より高い時、または電力転送効率が低い時、コイル重畳領域に置かれた受信装置200の位置が変わったと判断し、1次コイルを他のコイルに転換しようと試みるFOD動作を不必要に頻繁に遂行して、充電が中断されることもある。
【0076】
このような点を考慮して、本発明では、電力転送効率が低くてFODモードに移行することによる充電中断現象を改善するために、FODモードに移行するための根拠となる損失電力量の基準値を隣接するコイルとの信号強度差に基づいて調節することができる。
【0077】
例えば、多重コイル方式の転送装置における送信コイルと受信コイルとの磁束結合程度を示す信号強度値が最も高い第3コイルを電力転送コイルとして選定し、第3コイルと隣接した第2コイルの信号強度値と第3コイルの信号強度値が所定水準以内の時、FODモードに移行するために必要な損失電力量の値を高めることができる。
【0078】
従来の損失電力量が500mW以上の時にFODモードに移行する場合、受信装置がコイル重畳領域に配置されて2つのコイルの信号強度値の差が所定値以下の時、損失電力量の値が500mWより所定値(FODオフセット)以上に大きい時にのみFODモードに移行するようにすることができる。ここでFODオフセットは受信装置の受信コイルが転送装置の転送コイルの外郭に位置することによって表れる効率低下部分を補償する概念であって、FODオフセットを導入してFODモード移行によって充電中断が頻繁に発生する現象を改善することができる。
【0079】
図6は、本発明が適用される多重コイル方式の無線電力転送装置の構成を図示したものである。
【0080】
無線電力受信装置200は、2次コイルを含むマッチング回路と整流回路で構成される電力受信部210、及び、電力受信部210の出力を電流または電圧形態に測定し、これに基づいて電力受信部210の負荷を調節することによって転送装置と受信装置との間の無線電力信号を変化させて電力制御メッセージを転送装置に転送するための制御部230を含んで構成できるが、通信部と制御部が1つに統合されたことを除いては、
図3の受信装置構成と同一である。
【0081】
電力受信部210は共振する電磁場の形態に伝達される無線電力信号を受信するための2次コイルとキャパシタを含むマッチング回路、共振しながら交流形態に受信される電力信号を直流に変換するための整流回路、及び直流変換された電力信号の電流値または電圧値を測定して電力信号の電力量を検出するためのセンシング部を含んで構成されることができ、受信される電力信号により過電圧または過電流が発生しないように防止する回路をさらに含むことができる。
【0082】
制御部230は、電力受信部210のセンシング部から検出される電力量に基づいて無線電力信号の特性を調節するためのメッセージを生成して無線電力転送装置100にメッセージを転送することができる。また、制御部230は無線電力の転送開始や転送終了を要請するメッセージを生成して無線電力転送装置100に転送することができる。
【0083】
無線電力受信装置200を含む電子機器、例えば無線充電が可能なスマート端末は、無線電力受信装置200を通じて無線電力転送装置100から伝達される電力の供給を受けて動作するか、または伝達される電力を用いて充電部を通じてバッテリーを充電し、バッテリーに充電された電力を用いて動作することができる。制御部230は、電力受信部210を通じて受信される電力を用いて充電器を充電するように充電部を制御することができる。
【0084】
図6の多重コイル方式の無線電力転送装置300は、電力を無線で転送するための1次コイルを含む電力転送モジュールを2つ以上含み、電力を転送する1つ以上のモジュールを選択し、モジュールと連結するか、または連結を切って連結されたモジュールの動作を別個に、または統合して制御するためのシステム制御部350を含んで構成できるが、
図6では2つの電力転送モジュールを含むものとして図示されている。
【0085】
各電力転送モジュールは、1次コイルの共振回路とインバータを含む電力変換部310と電力変換部310の動作を制御するための制御部330を含んで構成できるが、制御部330は
図3の転送装置構成で通信部120と制御部130を統合した形態になるか、または通信部120の機能のみで構成され、制御部130の機能はシステム制御部350が担当することもできる。
【0086】
または、多重コイル方式の無線電力転送装置300における各電力転送モジュールは1次コイルとキャパシタを含む共振回路のみで構成され、インバータは各電力転送モジュールが互いに共有し、1次コイルを流れる電流の波形の変化から受信装置が送るパケットを抽出するためのセンシング部は、各電力転送モジュールに含まれるか、または電力転送モジュールとは別個に設けられて各電力転送モジュールが共有することもできる。インバータ、2つ以上の共振回路、センシング部を電力変換部と通称することができる。電力転送モジュールとインバータ及び/又はセンシング部の連結を選択するためのスイッチング部が別途に設けられて、システム制御部350がスイッチング部を制御して電力転送モジュールを選択し、制御部330の役割を統合して遂行することもできる。
【0087】
電力転送モジュールの1次コイルは転送装置の平らなインターフェース表面の下にその位置を異にするか、一部重複した状態に配置できる。
【0088】
システム制御部350は、各モジュールを制御して、インターフェース表面の上にある受信装置から無線電力信号の強度を示す電力制御メッセージまたは受信装置の識別情報を示す電力制御メッセージを受信し、受信された結果に基づいて受信装置が1つ以上のモジュールのうち、どのモジュールの1次コイルと近いかを確認し、どのモジュールを通じて電力を転送するかを判断することができる。
【0089】
システム制御部350は受信装置200の位置を感知し、これに基づいて活動領域を決定し、活動領域に対応する主要セルを構成する転送モジュールを連結し、該当転送モジュールの1次コイルと受信装置200の2次コイルとが誘導結合できるように制御することができる。
【0090】
図7は、多重コイル方式の無線電力転送装置における無線受信装置と誘導結合するコイルを選択するための機能ブロックを概念的に図示したものである。
【0091】
受信装置に無線で電力を供給するための電力変換部には電圧ソースまたは電流ソースから電力が供給され(Input Power)、供給される電力はインバータでシステム制御部の制御によって無線転送のための制御点の周波数、電圧、デューティ比で交流電流に変換され(Inverter)、システム制御部により受信装置と磁気誘導結合される1次コイルが選択され(Coil Selection)、選択されたコイルにインバータで生成される交流電流が印加されて受信装置に無線で電力を転送し(Primary Coils)、1次コイルを通じて流れる電流や電圧を測定し、1次コイルを通じて流れる電流や電圧の波形に載せた振幅の変化を感知して(Sensing)、実際の動作点を検出し、受信装置からフィードバックされるパケットを測定し、これに基づいて受信装置との磁気誘導結合程度または損失電力量を確認し、磁気誘導結合程度が低くて損失電力量が高いと判断されれば、受信装置と結合する1次コイルを再び選択して1次コイルをそのまま維持するか、他の1次コイルに変更することができる。
【0092】
図8は、多重コイル方式の無線電力転送装置における動作コイルを選択するために各1次コイルに対してLC共振を遂行する時に測定される波形を図示したものである。
【0093】
無線電力転送装置300が、例えばCoil 1乃至Coil 3のように3個の1次コイルを有する時、全てのコイルに対して順次にLC共振を起こして、各コイルで信号強度パケット(SSP)を受信して格納するが、
図8で最初の波形はCoil 1で測定されるものであり、2番目の波形はCoil 3で測定されるものであり、3番目の波形はCoil 2で測定されるものである。また、各波形で最も先の時間のものはCoil 1をLC共振させる時に各コイルで測定されるものであり、次の時間のものはCoil 2をLC共振させる時に各コイルで測定されるものであり、その次の時間のものはCoil 3をLC共振させる時に各コイルで測定されるものである。
【0094】
このように順次に全てのコイルをLC共振させる時、各コイルで受信される信号強度パケットを格納し、これらを互いに比較して最も大きい値を受信するコイルを動作コイルとして選択するが、
図8ではCoil 3をLC共振させる時に受信される信号強度パケットが最も大きい値を有するため、Coil 3を動作コイルとして選択する。
【0095】
また、動作コイルとして選択されたコイルと隣接したコイルに対して格納された信号強度パケットを動作コイルに対して格納された信号強度パケットと差値を定めて、この差値によってFODオフセットの適用か否かを決定するが、即ちFODモードに移行するか否かを定める電力損失量の基準値を動作コイルと隣接するコイルに対する信号強度パケットとの差値によって可変することができる。
【0096】
図9は、本発明の一実施形態に従って無線電力転送装置が動作コイルを選択してFODオフセットを適用する方法に対する動作フローチャートを図示したものである。
【0097】
多重コイル方式の無線電力転送装置300のシステム制御部350は、インターフェース表面の上に受信装置200または受信装置を含む電子機器が載せられているかを感知するが(S900)、各電力転送モジュールの1次コイルに交流電流を順次に供給し、各モジュールに含まれたセンシング部から1次コイルに印加される交流電流や1次コイルで測定される電圧の波形に発生する変化を検出し、これを通じて受信装置がインターフェース表面の上に置かれているかを確認することができる。または、転送装置300は別途のセンサーを通じてインターフェース表面の上部に受信装置が載せられているかを感知することもできる。
【0098】
システム制御部350は、インターフェース表面の上に受信装置200が感知されれば(S900でYES)、2つ以上の電力転送モジュールをスイッチングしながらインバータを制御して各モジュールの1次コイルに誘導起電力を発生させることができるようにする交流電流を順次に供給して複数個の1次コイルの各々と受信装置200の2次コイルをLC共振させて誘導結合程度を示す信号強度パケット(SSP)を測定し格納するが(S910)、信号強度パケットの代わりにアナログピング(ping)電流値を測定することもできる。
【0099】
転送装置300がCoil 1乃至Coil 3の3個の1次コイル(電力転送モジュール)を含む場合、Coil 1、Coil 2、Coil 3の順に電力転送モジュールを制御してLC共振を遂行して受信装置とピングステップを遂行し、これを通じて受信装置200の2次コイルとの誘導結合程度を測定し格納するが、ピングステップで受信装置200は電力転送モジュールの1次コイルと2次コイルの誘導結合程度を示す信号強度パケット(SSP)を共振波形の変調を通じて転送し、システム制御部350は電力転送モジュールのセンシング部を通じて1次コイルを流れる電流の波形の変化から信号強度パケットを抽出し、これをデコーディングし格納することができる。
【0100】
システム制御部350は、信号強度値のうちの最も大きい値に測定された電力転送モジュールの1次コイルを動作コイルとして選択することができる(S920)。
【0101】
また、システム制御部350は、動作コイルとして選択された1次コイルに隣接したコイルで測定された信号強度値を動作コイルに対する信号強度値と比較して受信装置200がインターフェース表面のうち、どの電力転送モジュールに対応する活動領域に置かれているかを確認するが(S930)、動作コイルで測定された信号強度値と隣接するコイルで測定された信号強度値の差が大きければ、受信装置200が動作コイルに対応する活動領域に置かれていると判断し、差が小さければ受信装置200が動作コイルと隣接コイルとの間の重畳領域に置かれていると判断することができる。
【0102】
動作コイルで測定された信号強度値と隣接するコイルで測定された信号強度値の差が所定値より小さい時(S930でYES)、受信装置200が動作コイルと隣接コイルとの間の重畳領域に置かれていると判断し、不必要にFODモードに頻繁に移行することを防ぐために、FODモードに移行するための根拠となる電力損失量の基準値にFODオフセットを適用してFODモードに移行するための根拠となる電力損失量のFOD基準値を上向き調節することができる(S940)。
【0103】
以後、システム制御部350は、受信装置に電力を送るための準備ステップとして識別/構成ステップを遂行して、受信装置から適切な情報を受信し、これに基づいて受信装置と電力転送契約を締結するが、受信装置から受信装置のバージョン、製造社コード、装置識別情報などを含む識別パケット、及び受信装置の最大パワー、パワー転送方法などの情報を含む構成パケットなどを受信することができる。
【0104】
また、システム制御部350は、受信装置200の相互作用として実際に電力を無線で受信装置に転送する電力転送ステップを遂行するが(S950)、受信装置200が電力信号を受信する動作点とパワー転送契約で定めた動作点との差を示す制御エラーパケットを転送すれば、これを受信し、これに基づいて電力転送モジュールを制御して共振回路の動作点を変更することができる。
【0105】
システム制御部350は、電力を無線で転送しながら受信装置200から受信パワーパケット(RPP)を受けて、これをデコーディングして受信装置200が受信する受信電力量を計算し、入力電圧と入力電流で計算する送信電力量から受信電力量を引いて損失電力量を演算し、これをFOD基準値と比較する(S960)。
【0106】
FOD基準値はFODモードに移行するための根拠となる電力損失量の基準値であって、動作コイルで測定された信号強度値と隣接するコイルで測定された信号強度値との差が所定値より小さい時、即ち受信装置200が動作コイルと隣接コイルとの間の重畳領域に置かれている時、FODオフセットが追加できる。
【0107】
システム制御部350は、損失電力量がFOD基準値より大きければ(S960でYES)、転送装置300のインターフェースの上部と受信装置200との間に異質物が介入したか否かを探知するためのFOD機能を遂行することができ(S970)、損失電力量がFOD基準値より小さければ(S960でNO)、FOD機能が遂行できなくなる。
【0108】
システム制御部350は、制御エラーパケットに含まれた制御エラー値が小さければ受信装置200が電力受信動作の動作点を変更するなどの正常な電力転送に従う制御エラー値の変化と判断し、パワー転送ステップを続けて遂行して無線電力転送を維持することができるが、制御エラー値が大きい場合、受信装置200がインターフェースの表面から移動したと判断し、現在のモジュールを通じて受信装置に電力を転送する動作を暫定的に中止し、動作コイルを決定するためにステップS910からまた遂行することができる。
【0109】
このように、本発明に従う多重コイル方式の無線電力転送装置は、受信装置が動作コイル及びその隣接コイルの重畳領域に置かれて損失電力量が大きくなってもFOD動作が頻繁に遂行されることを防いで不要なFOD動作による充電中断現象を防げるようにする。
【0110】
本発明は、記載された実施形態に限定されるものでなく、本発明の思想及び範囲を逸脱することなく、多様に修正及び変形できることは、この技術の分野で通常の知識を有する者に自明である。したがって、そのような修正例または変形例は本発明の特許請求の範囲に属するというべきである。