【文献】
大野勝也,活性汚泥の代謝産物によるテトラクロロエチレン分解に関する研究,博士論文(岐阜大学機関リポジトリ),2015年 3月13日,p.1-63
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
有機塩素化合物は人為的に合成されるのみではなく、非人為的に発生し、これまでに多くの電子基板工場やドライクリーニング店などで使用されてきた揮発性有機化合物(以下、VOC)やごみ焼却など塩素系化合物を燃焼すると発生するダイオキシン、殺虫剤などの農薬として使用されてきたジクロロジフェニルトリクロロエタン(以下DDT)による土壌および地下水の汚染や処理方法が問題となっている。主な汚染VOCとしては、テトラクロロエチレン(以下、PCE)、トリクロロエチレン、シス−1,2−ジクロロエチレンなどの揮発性有機塩素化合物が挙げられ、いずれも難分解性である。さらに、VOC、ダイオキシン、DDTなどは人体への変異原性や発がん性を有する恐れがあることから、健康被害も懸念される。
【0003】
PCEやダイオキシン等の有機塩素化合物で汚染された土壌や地下水を浄化するための一つの方法として、例えば、微生物を用いたバイオレメディエーションが挙げられる(特許文献1)。このバイオレメディエーションによれば、省エネルギーかつ低コストで土壌や地下水の汚染を浄化することが期待できるが、実際の浄化対象の土壌や地下水の温度、pHや酸素濃度等は様々であり、実験室で発揮されたような微生物の増殖や分解作用が進まないことも多く、結果として浄化に長時間を要することがある。一方、ダイオキシンは焼却灰や工場排水中、また、塩素化合物燃焼ガス捕集のスクラバー廃液中にも多く含まれている。生物分解では白色腐朽菌やその酵素による分解がこれまで試されてきたが、塩素数が多いと分解が進まないという問題があった。
【0004】
そこで、本発明者らは、比較的高濃度のPCEを炭素源として好気条件下で馴養して得られた活性汚泥から所定の方法によって調製される揮発性有機化合物分解剤が、土壌や地下水の諸条件に左右されることなく、揮発性有機化合物を分解できることを見出した(特許文献2)。
【0005】
しかし、特許文献2の揮発性有機化合物分解剤も分解効率には改善の余地がある。また、特許文献2では活性汚泥の濾液から所定のタンパク質(ペプチド含む)を精製することは記載されていない。また、特許文献2では揮発性有機化合物に限定されているが、ダイオキシンなど他の有機塩素化合物についての記載はない。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の有機塩素化合物分解剤は、所定の活性汚泥から得られたペプチドおよびアルカリ土類金属塩を含む有機塩素化合物分解剤である。
【0014】
<ペプチド>
本発明におけるペプチドは、所定の馴養工程、濾過工程および精製工程を含む製造方法により製造されるペプチドであり、有機塩素化合物の分解性能を有するペプチドを含むものである。
【0015】
本発明におけるペプチドとは、アラニン・アラニン・グリシン・グリシン・グリシン・グリシン・グリシン・グリシン・グリシン・グリシン・グリシン・アラニンのように、アラニンおよびグリシンを少なくとも1個ずつ以上含有する低分子化合物である。
【0016】
ペプチドの分子量は3K以下が好ましく、0.5K〜1.5Kがより好ましい。理由としては高分子の酵素類はタンパク質が立体構造を採る事により熱やpH、有機溶媒の影響で変性しやすいと一般的に言われているが、低分子のペプチドは立体構造ではないため構造安定性が高いと考えられるからである。
【0017】
馴養工程
馴養工程は、炭素源として0.0006〜600mMのPCEを含有する条件で活性汚泥を馴養する工程である。
【0018】
本発明に用いられる活性汚泥としては、特に限定されないが、活性汚泥法を利用する廃水処理施設、例えば下水処理場やその他の産業廃棄物処理場等に由来する活性汚泥を利用することができる。馴養の際の活性汚泥の量としては、馴養期間を通して撹拌や曝気が可能な程度であれば特に限定されないが、例えば、1Lの水に対して、乾燥重量で5〜10gの範囲が好ましい。
【0019】
かかる活性汚泥を、0.0006〜600mMのPCEを炭素源として含有する条件で馴養することにより、特定の細菌を含む微生物を含有する馴養化活性汚泥が得られる。馴養時のPCEの濃度としては、PCEを分解し得る微生物を効率的に選択する観点から、0.006〜180mMの範囲が好ましく、0.06〜60mMの範囲がより好ましい。
【0020】
活性汚泥を馴養する期間としては、特に限定されないが、1〜24週間の期間が好ましい。馴養の際の他の条件、例えば温度、溶存酸素濃度、pHとしては、以下の範囲が好ましい。温度としては、10〜40℃の範囲が好ましく、15〜30℃の範囲がより好ましい。馴養中の溶存酸素濃度としては特に限定されないが、空気、酸素等を供給しながら馴養を実施する程度でよい。従って、馴養に用いる装置としては、曝気手段を備えたものが好ましい。さらに、馴養の際のpHとしては、馴養時の温度において、例えば6.0〜9.5の範囲が好ましく、7.0〜8.5の範囲がより好ましい。
【0021】
濾過工程
濾過工程は、馴養された活性汚泥を濾過して濾液を得る工程である。
【0022】
濾過方法としては、所定の孔径を有する濾材を用いた濾過方法とすることができる。濾材としては、特に限定されず、メンブレンフィルター、セルロースフィルター、ガラス繊維フィルターなどを用いることができる。なかでも、精密濾過膜であり、孔径が小さく菌体を除去しやすいという理由からメンブレンフィルターが好ましい。
【0023】
濾材の孔径は、一般的に最も小さい菌の幅長が0.3μm前後という理由から0.025〜0.45μmが好ましく、0.10〜0.22μmがより好ましい。
【0024】
本発明の濾過工程は、さらに限外濾過膜を用いた限外濾過、例えば分子量3000以下の画分まで濾過する限外濾過工程を含んでもよい。限外濾過工程を行うことにより、精製工程に供する濾液中の不要物が少なくなり、精製工程の効率を上げることができる。
【0025】
分子量3000以下の画分を得るには、濾液を分画分子量3000の限外濾過膜による限外濾過のみを行ってもよいが、膜の目詰まりを防止するという観点からは、より大きな分画分子量の膜による限外濾過、例えば分画分子量10000の膜による限外濾過および分画分子量5000の膜による限外濾過を順に行った後、分画分子量3000の膜による限外濾過を行うことが好ましい。
【0026】
なお、濾過工程後の濾液(液体)をそのまま、次の精製工程に供することもできるが、水分が約99%あり、このまま溶媒抽出する場合は大量の溶媒が必要になるので、凍結乾燥などにより乾固させた固体を、次の精製工程に供することが好ましい。
【0027】
精製工程
精製工程は、濾過工程で得られた濾液を精製してペプチドを得る工程である。
【0028】
精製工程としては、溶媒抽出の後、カラムクロマトグラフィーなどによる精製を行うことが好ましい。また、乾燥、蒸留、濃縮などの公知の精製方法を適宜、組み合わせてもよい。
【0029】
・溶媒抽出
濾過工程で得た濾液(または固体)を、本発明に係るペプチドが可溶な溶媒に投入し、懸濁した後、遠心分離などにより沈殿と上清とに分離させ、ペプチドが溶解した上清を回収する。
【0030】
溶媒抽出に用いる溶媒としては、特に限定されないが、メタノール、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、イソプロパノール、エタノール、アセトン、ジメチルスルホキシド(DMSO)、1,4−ジオキサンなどが挙げられ、ペプチドが抽出される際に溶媒極性に依存するという理由からメタノールまたはアセトニトリルが好ましい。
【0031】
抽出に用いる溶媒の量は、一定温度における溶解度という理由から、元の濾液の量以上が好ましい。
【0032】
回収された上清は、エバポレーターなどにより乾固させた固体とすることが好ましい。さらに、次のカラムによる精製に供するために超純水などに溶解させておくことが好ましい。
【0033】
・精製
溶媒抽出により得られた固体を超純水などに溶解させた後、精製することにより、本発明に係るペプチドの純度が高くなり、より有機塩素化合物の分解性能に優れた有機塩素化合物分解剤とすることができる。
【0034】
精製方法としては、カラムクロマトグラフィーによる精製、イオン交換クロマトグラフィーによる精製などが挙げられるが、粗タンパク質や粗ペプチドの中から目的のペプチドのみを分離できるという理由からカラムクロマトグラフィーによる精製が好ましい。
【0035】
カラムクロマトグラフィーとしては特に限定されず、例えば、シリカゲルカラム、イオン交換樹脂カラムなどを用いた液体クロマトグラフィーなどを適宜選択すればよい。また、送流方法も特に限定されず、オープンカラムクロマトグラフィーやフラッシュカラムクロマトグラフィーとしてもよく、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)としてもよい。
【0036】
カラムクロマトグラフィーによる精製は通常の手順で行えばよく、例えば前記の溶媒抽出で得られた固体を超純水に溶解させた溶液を、使用するカラムにロードして保持させ、その後所定の溶媒により溶出させて本発明に係る有機塩素化合物の分解性能に優れたペプチドを含む画分を回収することで行われる。なお、超純水に溶解させた溶液を、カラムにロードする前に、再度フィルター等による濾過を行うことが好ましい。
【0037】
カラムからの溶出に用いる溶媒としては特に限定されず、有機溶剤と水との混合液などを用いることができる。有機溶剤としてはアセトニトリル、メタノール、エタノール等のアルコール、DMSO、DMF等が挙げられ、なかでも極性が最適でカラムからのペプチド溶出量が多くなるという理由から、アセトニトリルが好ましい。
【0038】
溶出により回収された精製物を含む溶液は、エバポレーターなどにより乾固させることで固体の精製物とすることができる。得られた精製物は固体のまま保存することもできるが、超純水などに溶解させた後、冷凍保存等することもできる。
【0039】
得られた精製物は有機塩素化合物の分解性能を有するペプチドを含むが、活性汚泥や濾過工程後の濾液に比べて分解性能が低下する傾向がある。これは、活性汚泥や濾液には含まれていたペプチドによる分解反応の補因子のような作用を有する物質が、前記精製工程で除去されることによるものと考えられる。そこで、発明者らは鋭意検討した結果、精製物と下記のアルカリ土類金属塩とを併用することにより、活性汚泥や濾液以上の分解性能を有する有機塩素化合物分解剤とすることができることを見出した。
【0040】
<アルカリ土類金属塩>
本発明におけるアルカリ土類金属塩は、前記ペプチドと併用することによりペプチドの有する有機塩素化合物の分解性能を向上させることができる。なお、本明細書におけるアルカリ土類金属は広義のアルカリ土類金属、つまり第2族元素と同義である。
【0041】
アルカリ土類金属塩としては、水溶性であれば特に制限されるものではないが、アルカリ土類金属硫酸塩、アルカリ土類硝酸塩が分解効率に優れるという理由から好ましく、マグネシウム塩およびカルシウム塩がより好ましく、より分解効率が上昇するという理由からマグネシウム塩がさらに好ましい。
【0042】
さらに、マグネシウム塩としては、塩化マグネシウム、ギ酸マグネシウム、コハク酸マグネシウム、酪酸マグネシウム、シュウ酸マグネシウム、リン酸マグネシウム、硝酸マグネシウム、酢酸マグネシウム、乳酸マグネシウムまたは硫酸マグネシウムなどが挙げられ、カルシウム塩としては、塩化カルシウム、ギ酸カルシウム、コハク酸カルシウム、酪酸カルシウム、シュウ酸カルシウム、リン酸カルシウム、硝酸カルシウム、酢酸カルシウム、乳酸カルシウム、硫酸カルシウムなどが挙げられる。なかでも、より分解効率に優れるという理由から硫酸マグネシウムが好ましい。
【0043】
<有機塩素化合物分解剤>
本発明の有機塩素化合物分解剤は、前記のペプチドおよびアルカリ土類金属塩を含む分解剤であり、ペプチドおよびアルカリ土類金属塩のみからなる分解剤とすることが好ましい。
【0044】
ペプチドの有機塩素化合物分解剤中の含有量は、0.005nmol/L以上が好ましく、0.05nmol/L以上がより好ましく、0.5nmol/L以上がさらに好ましい。0.005nmol/L未満の場合はペプチドと有機塩素化合物との接触効率の低下から分解効率が不十分となる傾向がある。
【0045】
アルカリ土類金属塩の有機塩素化合物分解剤中の含有量は、ペプチド1分子あたりに複数のアルカリ土類金属イオンが結合することで活性化して分解速度が向上するという理由から、10mmol/L以上が好ましく、50mmol/L以上がより好ましく、100mmol/L以上がさらに好ましい。10mmol/L未満の場合はペプチドに対する含有比が低くなるため、分解効率が十分に上がらない傾向がある。また、アルカリ土類金属塩の含有量は、2100mmol/L以下が好ましく、1000mmol/L以下がより好ましく、500mmol/L以下がさらに好ましい。2100mmol/Lを超える場合は溶解度を超過してしまい、未溶解物となる傾向がある。
【0046】
本発明の有機塩素化合物分解剤の調製方法は特に限定されない。例えば、活性汚泥から得られたペプチドを、10mg以上を100mLの純水または超純水に懸濁させ、硫酸マグネシウム・七水和物などのアルカリ土類金属を含む塩、または、マグネシウムおよびカルシウムなどのアルカリ土類金属を2種類以上含有する混合物を10mM以上となるように添加し、攪拌棒やスターラーを用いて、硫酸マグネシウムなどのアルカリ土類金属塩が完全に溶解(無色透明になる)するまで撹拌する方法により調製することができる。硫酸マグネシウム七水和物などのアルカリ土類金属塩のグレードは特に問わないが、和光純薬工業(株)、関東化学(株)などから販売されている試薬1級以上のものが望ましい。
【0047】
本発明の有機塩素化合物分解剤は、金属をペプチド中に配位することにより、構造が強化されるとともに、ラジカルなどを発生させ、C−Cl結合が切断しやすくなっている。また、塩類を加えることでペプチドが水溶液中に溶解することができ、水溶液中の有機塩素化合物との反応効率を高くすることができる。
【0048】
<有機塩素化合物の分解方法>
本発明の有機塩素化合物の分解方法は、前記有機塩素化合物分解剤を用いた分解反応による分解であり、例えば、反応系中の有機塩素化合物1gに対して、2〜20gの分解剤を用いる方法とすることができる。また、排水中または廃液中または土壌中または地下水中の有機塩素化合物を分解する場合は、例えば、土壌または地下水中の有機塩素化合物1gに対して、2〜20gの分解剤を用いる方法とすることができる。
【0049】
本発明の分解方法(分解反応)における温度、pHおよび撹拌数または振盪数などの各種条件は、特に限定されず、従来の同種の分解反応と同様の条件で行うことができる。例えば、温度は2〜50℃が好ましく、5〜30℃がより好ましい。pHは、2〜12が好ましく、7〜10がより好ましい。また、撹拌数または振盪数は、ペプチド濃度などに応じて適宜調整すればよく、ペプチド濃度が低い場合などは振盪数または回転数を多くすることが、反応を促進できることから好ましい。
【実施例】
【0050】
本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明は実施例のみに限定されるものではない。
【0051】
<ペプチドの調製>
各実施例および比較例の試験用濾液を、下記の馴養工程および濾過工程により調製した。
【0052】
馴養工程
日本国岐阜県にある電子機器の製造工場に設置された、該工場に由来する廃液を活性汚泥法を利用して処理する施設から、活性汚泥を得た。リービッヒ冷却器を上部に、フラスコ内部を曝気するためのポンプを取り付けた丸底フラスコに、得られた活性汚泥(1000mL、乾燥重量は1g)を投入した。
【0053】
次いで、炭素源としてのPCE(和光純薬工業(株)製)のエタノール溶液を、PCEの終濃度が12mMとなるように、該フラスコに添加した。該エタノール溶液を一週間ごとに追加し、最終的にフラスコ内のPCEを60mMの濃度とした。リン源および窒素源としてのリン酸水素二アンモニウムを終濃度が37.88mMとなるように該フラスコに添加した。さらに、ミネラル源およびビタミン源としての少量の酵母エキス(Difco、細胞培養用)も該フラスコに添加した。該フラスコ内の温度を20℃、pHを6.8〜8.0の範囲とし、ポンプから空気をフラスコ内に曝気しながら、好気的条件下で2週間の馴養を行い、活性汚泥を得た。
【0054】
活性汚泥の細菌叢の分析
馴養後の活性汚泥の細菌叢の分析を、Genome Sequencer FLX(タカラバイオ(株)に委託)により行った。結果を表1に示す。
【0055】
【表1】
【0056】
表1に示す結果より、馴養後の活性汚泥中の細菌叢はAlcaligenesに属する微生物が支配的であることがわかる。
【0057】
濾過工程
馴養工程後の活性汚泥をメンブレンフィルター(孔径:0.2μm、ADVANTEC製)で濾過し、500mLの濾液を調製した。
【0058】
メタノール抽出
濾過工程で得られた濾液を凍結乾燥させて得られた乾燥物を500mLのメタノール(和光純薬工業(株)製)に懸濁させ、懸濁液を遠心分離(3000×g、10分)により沈殿物と上清に分離した。上清を回収後、エバポレーターにより乾固させて得たメタノール抽出物を100mLの超純水(日本ミリポア(株)製のDirectQシステムにて製造)に溶解させた。
【0059】
精製
メタノール抽出物を溶解させた溶液を、再度メンブレンフィルター(孔径:0.2μm、ADVANTEC製)で濾過した後、ODSカラム((株)YMC製のYMC-DispoPackAT ODS-25)およびペリスタリックポンプを用いたフラッシュカラムクロマトグラフィーによる精製を行った。まず、前記フィルター濾過後の濾液をODSカラムに10mL/minの流速で通液することで保持させ、500mLの0.5%メタノールで通液洗浄した後、500mLの99.5%アセトニトリルにより溶出させた。回収したアセトニトリルをエバポレーターにて乾固させることで固体の精製物を得た。精製物は超純水に溶解させた。
【0060】
実施例および比較例
20mg/Lのトリクロロベンゼンを含む20mLの超純水をバイアル瓶(100mL容量)に分注し、各バイアル瓶に表2および3に示すアルカリ土類金属および前記精製工程で得た精製物(ペプチド)を、表2および3に示す濃度となるように添加した。添加した試薬(MgSO
4・7H
2O)の濃度をカッコ内に示す。そして、テフロン(登録商標)コートブチル栓およびアルミニウムキャップにより密栓した各バイアル瓶を22℃±2℃で24時間振盪した。
【0061】
24時間振盪後、液相中のトリクロロベンゼンの濃度を下記条件でガスクロマトグラフィー((株)島津製作所製のGC−FID)により測定した。測定結果および分解率を表2および3に示す。分解率が高いほどトリクロロベンゼンの分解性能に優れることを示す。
【0062】
ガスクロマトグラフィー分析条件
カラム:GCキャピラリーカラムRt−Q−BOND(30m×0.53mm×20μm)
カラム初期温度:120℃
カラム昇温速度:15℃/min
カラム最終温度:220℃
カラム最終温度保持時間:14.0min
検出器温度:240℃
気化室温度:200℃
キャリアガス:He(0.55kg/cm
2)
H
2圧:0.56kg/cm
2
空気圧:0.41kg/cm
2
【0063】
【表2】
【0064】
【表3】
【0065】
MgSO
4・7H
2O:和光純薬工業(株)製の特級
【0066】
表2および3に示す結果より、本発明の所定の活性汚泥から得られたペプチドおよびアルカリ土類金属塩を含む有機塩素化合物分解剤が、分解性能に優れた分解剤であることがわかる。