【0021】
本発明のフィラー組成物は、熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂のいずれにも添加することができる。熱可塑性樹脂の例としては、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアクリル樹脂を挙げることができる。ポリオレフィン樹脂の例としては、エチレンの単独重合体、プロピレンの単独重合体、エチレンとプロピレンの共重合体、エチレンとα−オレフィンとの共重合体、及びプロピレンとα−オレフィンとの共重合体を挙げることができる。ポリエステル樹脂の例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートを挙げることができる。ポリアミド樹脂の例としては、6−ナ
イロン、6,6−ナイロンを挙げることができる。ポリアクリル樹脂の例としては、ポリカーボネート、ポリエーテルイミド、ポリメタクリル酸メチルを挙げることができる。熱硬化性樹脂の例としてはエポキシ樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂を挙げることができる。
【実施例】
【0024】
[比較例1]
ポリプロピレン樹脂[MFR(温度230℃、荷重2.16kg):52g/分]を85質量部、そして繊維状塩基性硫酸マグネシウム粒子(MOS A−1、宇部マテリアルズ(株)製、平均長径:15μm、平均短径:0.5μm)を15質量部の割合にて混合した。得られた混合物を、二軸溶融混練押出機(ラボプラストミルマイクロ、L/D=18、(株)東洋精機製作所製)を用いて、温度230℃、軸の回転数250rpmの条件にて溶融混練し、生成した溶融混練物をストランド状に押出した後、切断して、繊維状塩基性硫酸マグネシウム粒子を含有するポリプロピレン樹脂組成物のペレットを得た。
【0025】
得られたポリプロピレン樹脂組成物ペレットを、小型射出成形機(TE3−1E、日精樹脂工業(株)製)を用いて射出成形し、試験片を作成した。試験片はJIS−K−7162で規定する1BB型(小型ダンベル)試験片とした。
【0026】
上記の試験片を用いて下記の方法によりアイゾット衝撃強さと曲げ弾性率とを測定したところ、アイゾッド衝撃強さは3.7kJ/m
2であり、曲げ弾性率は3.5GPaであ
った。
【0027】
アイゾット衝撃強さ:ノッチングマシン((株)井元製作所製)を用い、JIS−K−7110に準拠した方法により測定した。
曲げ弾性率:万能力学試験機(ストログラフVGF、(株)東洋精機製作所製)を用いて測定した。
【0028】
[実施例1]
比較例1で用いた繊維状塩基性硫酸マグネシウム粒子を100質量部そして球状シリカ粒子(アドマナノ、(株)アドマテックス製、平均粒子径:10nm、SEMによる測定値)を0.15質量部の割合にて乾式混合して、フィラー組成物を調製した。
ポリプロピレン樹脂85質量部に、上記で調製したフィラー組成物を15質量部加えたこと以外は、比較例1と同様にしてポリプロピレン樹脂組成物のペレットを製造し、このペレットを用いて、比較例1と同様にして試験片を作成した。この試験片を用いてアイゾット衝撃強さと曲げ弾性率とを測定したところ、曲げ弾性率は、比較例1で作成した試験片と同等の値であったが、アイゾッド衝撃強さは比較例1にて作成した試験片よりもらかに高い値を示すことが確認された。
【0029】
[比較例2]
ポリプロピレン樹脂[MFR(温度230℃、荷重2.16kg):52g/分]を85質量部、そして比較例1で調製した繊維状塩基性硫酸マグネシウム粒子を15質量部の割合にて混合した。得られた混合物を、二軸溶融混練押出機(L/D=25、(株)井元製作所製)を用いて、温度230℃、軸の回転数90rpmの条件にて溶融混練し、生成した溶融混練物をストランド状に押出した後、切断して、繊維状塩基性硫酸マグネシウム粒子を含有するポリプロピレン樹脂組成物のペレットを得た。
【0030】
得られたポリプロピレン樹脂組成物ペレットを、小型射出成形機(手動式射出成形機、新興セルビット製、ハンディトライ)を用いて、シリンダ温度230℃、金型温度50℃にて射出成形し、試験片(短冊状、幅5mm×厚さ2mm×長さ50mm)を作成した。この試験片を用いて下記の方法によりアイゾッド衝撃強さと曲げ弾性率とを測定した。測定結果を表1に示す。
【0031】
アイゾッド衝撃強さ:アイゾッド衝撃試験器((株)マイズ試験機製)を用い、JIS−K−7110に準拠した方法により測定した。
曲げ弾性率:電動計測スタンド((株)イマダ製、MX−500N)+デジタルフォースゲージ((株)イマダ製、ZTA−500N)を用い、負荷速度10mm/分、支点間距離40mmの条件にて測定した。
【0032】
[実施例2]
比較例1で用いた繊維状塩基性硫酸マグネシウム粒子を100質量部そして球状シリカ粒子を0.015質量部の割合にて乾式混合して、フィラー組成物を調製した。
ポリプロピレン樹脂85質量部に、上記で調製したフィラー組成物を15質量部加えたこと以外は、比較例2と同様にしてポリプロピレン樹脂組成物のペレットを製造し、このペレットを用いて、比較例2と同様にして試験片を作成した。この試験片を用いてアイゾッド衝撃強さと曲げ弾性率とを測定した。測定結果を表1に示す。
【0033】
[実施例3]
繊維状塩基性硫酸マグネシウム粒子100質量部に混合する球状シリカ粒子を0.15質量部に変えた以外は実施例2と同様な方法にてフィラー組成物を調製し、次いで同様にしてポリプロピレン樹脂組成物のペレットを製造した。このペレットを用いて試験片を作成し、アイゾッド衝撃強さと曲げ弾性率とを測定した。測定結果を表1に示す。
【0034】
[実施例4]
繊維状塩基性硫酸マグネシウム粒子100質量部に混合する球状シリカ粒子を1.5質量部に変えた以外は実施例2と同様な方法にてフィラー組成物を調製し、次いで同様にしてポリプロピレン樹脂組成物のペレットを製造した。このペレットを用いて試験片を作成し、アイゾッド衝撃強さと曲げ弾性率とを測定した。測定結果を表1に示す。
【0035】
表1
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
アイゾッド衝撃強さ 曲げ弾性率
(kJ/m
2) (GPa)
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 比較例2 2.1 2.8
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
実施例2 2.4 3.0
実施例3 2.7 3.1
実施例4 3.0 3.1
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――