(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
[全体構成]
図1は、本発明の一実施形態に係る荷受台昇降装置の側面図である。この状態は、貨物車両Vにおける荷箱Bの後部下方に荷受台昇降装置1が格納された状態、すなわち貨物車両Vが走行可能な状態を表している。一方、
図2は、荷受台昇降装置1全体を、
図1のスライド前端位置(前方位置)から荷箱Bの後方へスライドさせ、所定のスライド後端位置(後方位置)に到達させた後、荷受台19を展開および昇降させて荷物の積み降ろし作業をする使用状態を示す側面図である。
【0014】
貨物車両Vの車体2上には荷箱Bが搭載されている。本実施形態の車体2は、シャシフレーム2aと、このシャシフレーム2a上に重なるようにして配設されたサブフレーム2bとを有している。サブフレーム2bは、荷箱Bの下面に配置されており、荷箱Bを補強する機能を有している。シャシフレーム2aの後端下方には、いわゆる床下格納式の荷受台昇降装置1が格納されている。
【0015】
図2において、荷受台昇降装置1の車幅方向に左右一対設けられている固定側支持部材3は、各々、車両前後方向に水平に延びるスライドレール4と、これを車体2に架装するための複数(本例では3個)の取付ブラケット5と、左右一対のスライドレール4の前端部を連結する角パイプからなる連結部材6とによって構成されている。
スライドレール4と各取付ブラケット5とは、2本のボルト7とナット(図示せず)により締結されている(
図1参照)。スライドレール4には支持板8が車両前後方向に摺動可能に装着されている。
【0016】
左右一対の支持板8は、車幅方向に水平に延びる角パイプからなるクロスメンバ9を貫通させ(なお、両側端部は補強用に角パイプを3段重ねしているが、車幅方向に架設しているのは1本のみである。)、これらは互いに一体に溶接されている。支持板8より車幅方向の外側には、支持ブラケット10,11が、クロスメンバ9と一体に溶接されている。これらの支持ブラケット10,11も、左右一対設けられている。
【0017】
左右一対の支持板8の下部は、チャンネル材からなる連結部材12により連結されている(
図3参照)。上記の支持板8、クロスメンバ9および支持ブラケット10,11および連結部材12は、上記固定側支持部材3に対して車両前後方向にスライド可能な可動側支持部材13を構成している。
【0018】
上記支持ブラケット10には補助リンク14が一定範囲で回動可能に取り付けられており、この補助リンク14に、上アーム15およびリフトシリンダ(昇降駆動装置)16が回動可能に取り付けられている。リフトシリンダ16の先端は上アーム15の所定位置に接続されており、伸縮作動により上アーム15にトルクを付与する。また、支持ブラケット11には下アーム17が回動可能に取り付けられている。リフトシリンダ16は、例えば単動式の油圧シリンダからなる。
【0019】
上アーム15および下アーム17は、それらの支点および作用点を結ぶ四角形が平行四辺形となる平行リンクを構成し、リフトシリンダ16の伸縮作動により、その先端側を昇降作動させる。上記の補助リンク14、上アーム15、リフトシリンダ16および下アーム17は、左右一対設けられ、荷受台19を昇降させるアーム式の昇降装置18を構成している。
【0020】
荷受台19は、上アーム15および下アーム17の先端に水平に取り付けられたメインプレート(基部荷受台)191と、これに対して折り畳み・展開可能に接続されたサブプレート(先部荷受台)192と、メインプレート191とサブプレート192とを連結する連結部193とを備えている。
連結部193は、一端部がメインプレート191の先端部に回動可能に連結されるとともに、他端部がサブプレート192の基端部に回動可能に連結されたヒンジ193a(
図1も参照)を有する。
【0021】
以上の構成により、格納時にはメインプレート191上にサブプレート192が折り畳まれる。また、使用時にはサブプレート192が展開されることで、荷受台19には、メインプレート191の上面からサブプレート192の上面へ連続した荷受面19aが構成される。この荷受面19aには荷箱Bに対して積み降ろしされる荷物が載置される。
【0022】
このように荷受面19aが構成された状態でリフトシリンダ16を伸縮駆動させると、荷受台19を、荷箱Bの床面b1と荷受面19aとが略同一の高さ位置となる上昇位置(
図2の上側の位置)と、地面に接地した接地位置(
図2の下側の位置)との間で昇降させることができる。これにより、荷箱Bの後方(
図2の右側)において荷受台19を昇降させることで、貨物車両Vの荷箱Bに対して荷物を積み降ろすことができる。
【0023】
前述の左右一対の支持板8の各々には、後方へ突出するようにローラ取付板20が取り付けられ、その後端にガイドローラ21が回転自在に取り付けられている。このガイドローラ21に、サブプレート192の先端を乗せることができる。
【0024】
次に、荷受台昇降装置1を前方位置と後方位置との間でスライド(前後移動)させるスライドシリンダ(前後駆動装置)22について説明する。
図3は、スライドシリンダ22が最収縮した状態を示す平面図である。
図4(a)は、スライドシリンダ22が最収縮した状態を示す概略側面図であり、
図4(b)は、スライドシリンダ22が最伸長した状態を示す概略側面図である。
【0025】
図3において、上記スライドシリンダ22は、車幅方向において左右のスライドレール4の間に配置された左右一対のシリンダ23にて構成されている。シリンダ23は、例えば複動式の油圧シリンダからなる。左右のシリンダ23のシリンダ本体24は、その前後両端部が互いに前後逆向きに配置された状態で重ね合わされ、前後一対の継手部25にて一体的に連結されている。
【0026】
図3および
図4において、右側(
図3の上側)のシリンダ23では、そのピストンロッド26の先端部に一体形成されたボス部26aが、取付板27にピン28により取り付けられている。上記取付板27は、上記連結部材6の車幅方向の略中間部に固定されている。また、左側(
図3の下側)のシリンダ23では、そのピストンロッド26のボス部26aが、車両前後方向に延びる取付台29に固定された取付板30にピン31により取り付けられている。
【0027】
上記取付台29は、上面に上記取付板30が固定されている上部取付台29aと、この上部取付台29aより車両前後方向に短く形成されているとともに、上部取付台29aの下部にボルト32とナット(図示せず)より固定された下部取付台29bとから構成されている。下部取付台29bは、その後端部が上記連結部材12の車幅方向の略中間部に固定されている。また、下部取付台29bの前端部は、上記クロスメンバ9の車幅方向の略中間部に固定されている。
【0028】
上記の構成により、
図1に示す状態で格納されている荷受台19を使用する場合には、上記スライドシリンダ22を伸長作動により後方へスライドさせ、後方位置まで後退させる。次いで、リフトシリンダ16を収縮作動させると、上アーム15および下アーム17が
図2の実線に示すように下方回動し、メインプレート191が着地する。このときメインプレート191は水平であり、他方、サブプレート192はその先端がガイドローラ21に乗っているため、サブプレート192は連結部193を中心に、
図2の時計回り方向に回動する。
【0029】
次に、サブプレート192を手で起こしてメインプレート191の後方に水平に倒伏させる。このようして荷受台19が水平に展開される。この状態で、リフトシリンダ16を伸長作動させると、荷受台19を水平に維持したまま、
図2の上昇位置まで荷受台19を上昇させることができる。また、上昇位置からリフトシリンダ16を収縮作動させれば、荷受台19を元の位置まで下降させることができる。
【0030】
なお、下アーム17が着地してからさらにリフトシリンダ16を収縮作動させると、補助リンク14の作用により荷受台19はその先端(後端)を下げるようにチルト作動して地面に沿う。これにより、例えば、図示しないキャスタ付きのカート(荷物)を荷受台19の後方から前方へ移動させることでカートを荷受面19a上に容易に積み降ろしすることができる。
【0031】
荷受台19を格納するには、下アーム17が着地して荷受台19が水平である状態からサブプレート192を起立させ、さらに、ガイドローラ21に立てかける。次に、上アーム15および下アーム17を上昇させ、サブプレート192を自重によりメインプレート191上に畳み込む。そして、スライドシリンダ22を収縮作動させ、前方位置まで可動側支持部材13、昇降装置18および荷受台19を引き込み、
図1の格納状態とする。
【0032】
図3において、クロスメンバ9の長手方向の一端部(
図3の上側)には、荷受台昇降装置1(具体的にはリフトシリンダ16及びスライドシリンダ22)の駆動を制御する制御装置41(
図7参照)を備えたパワーユニット40が取り付けられている。また、クロスメンバ9の長手方向の他端部(
図3の下側)には、荷受台19を昇降またはスライドさせるための操作指令を制御装置41に出力するための有線の主操作スイッチ(主操作器)43が収容されたスイッチボックス42が取り付けられている。
【0033】
[荷受台昇降装置の油圧回路]
図5は、上記荷受台昇降装置1の油圧回路図である。なお、
図5では、スライドシリンダ22は、説明の便宜上、2個のシリンダ23のうちの1個のみを図示している。
図5において、パワーユニット40は、荷受台昇降装置1を駆動するための多くの機器を有している。スライドシリンダ22は、このパワーユニット40に接続されている。また、一対のリフトシリンダ16は、それぞれ電磁弁46を介して、パワーユニット40と接続されている。
【0034】
パワーユニット40は、タンク47、ポンプ48、電磁弁49〜52、逆止弁53,54、絞り弁55,56、及び圧力制御弁57を図示のように接続して構成されている。電磁弁46,49,50,52は逆止弁を内蔵し、また、電磁弁51は一対の逆止弁を相対向させたダブルチェック弁を内蔵している。上記ポンプ48は、これに直結されたモータ58によって回転駆動される。上記電磁弁46,49〜52は、それぞれソレノイド46s,49s〜52sを備えている。
【0035】
スライドシリンダ22を伸長動作させるときは、ポンプ48が運転され、電磁弁50が励磁される。他の電磁弁46,49,51,52は非励磁状態である。ポンプ48から圧送される作動油は、逆止弁53,54及び絞り弁55を経てスライドシリンダ22の収縮側ポート22bに供給される。また、作動油は、励磁された電磁弁50を通ってスライドシリンダ22の伸長側ポート22aにも供給される。この結果、ピストンヘッドの受圧面積差により、スライドシリンダ22は伸長動作する。
【0036】
スライドシリンダ22を収縮動作させるときは、ポンプ48が運転され、電磁弁51が励磁される。他の電磁弁46,49,50,52は非励磁状態である。ポンプ48から圧送される作動油は、逆止弁53,54及び絞り弁55を経てスライドシリンダ22の収縮側ポート22bに供給される。また、伸長側ポート22aは、励磁された電磁弁51からタンク47に連通し、作動油の戻しが可能となる。従って、スライドシリンダ22は収縮動作する。
【0037】
リフトシリンダ16を伸長動作させるときは、ポンプ48が運転され、電磁弁49,50が励磁される。他の電磁弁46,51,52は非励磁状態である。ポンプ48から圧送される作動油は、逆止弁53、励磁された電磁弁49、非励磁状態の電磁弁46を経て、リフトシリンダ16に供給され、リフトシリンダ16は伸長(上昇)動作する。また、このとき油圧は、逆止弁54、絞り弁55及び励磁された電磁弁50を介してスライドシリンダ22の伸長側ポート22aにも供給される。これにより、上昇動作中の負荷によってスライドシリンダ22が収縮方向に戻されることを防止する。
【0038】
リフトシリンダ16を収縮動作させるときは、ポンプ48が停止となり、電磁弁50,52,46が励磁される。他の電磁弁49,51は非励磁状態である。これにより、リフトシリンダ16内の作動油は、励磁された電磁弁46、非励磁状態の電磁弁49、励磁された電磁弁52、絞り弁56を経て、タンク47に戻される。従って、リフトシリンダ16は収縮(下降)動作する。
電磁弁46が非励磁状態のとき、リフトシリンダ16内の作動油は、電磁弁46内の逆止弁によって封止され、リフトシリンダ16のピストンはその位置に保持される。
【0039】
本実施形態では、主操作スイッチ43、電磁弁46,49〜52(ソレノイド46s,49s〜52s)、モータ58、制御装置41のCPU41a(
図7参照)、及び近接センサ77,78(
図7参照)それぞれが、荷受台昇降装置1の使用に必須となる必須機器とされている。
ここで、荷受台昇降装置1の使用に必須となる「必須機器」とは、その機器が無ければ荷受台昇降装置1の使用に支障をきたす電気機器であって、下記機器群AおよびBに含まれる機器を意味する。
機器群A:荷受台を上昇位置と接地位置との間で昇降動作させるために使用する位置検出センサ(昇降速度を変化させるために使用する位置検出センサを除く)、電磁弁のソレノイド、モータ、主操作器、および制御装置のCPU
機器群B:荷受台を格納した状態と昇降可能な状態との間で姿勢変化させるために使用する位置検出センサ、電磁弁のソレノイド、モータ、主操作器、および制御装置のCPU
【0040】
[荷受台昇降装置の電気回路]
図6は、貨物車両Vにおける荷受台昇降装置1の概略電気配線図である。
図6において、車載のバッテリ61(電圧は例えばDC24V)はサブフレーム2bの前方(車体2の前方寄り)に取り付けられている。バッテリ61に近接してその後方に、コンタクタ等を収容したコンタクタボックス62が取り付けられている。また、サブフレーム2bの後部のクロスメンバ9(
図3参照)にはパワーユニット40が取り付けられている。パワーユニット40には、ケーブル44を介して主操作スイッチ43が接続されている。パワーユニット40は、コンタクタボックス62を介して、バッテリ61と電気的に接続されている。
【0041】
一方、貨物車両Vの運転室C内では、バッテリ61からコンタクタボックス62、ヒューズ65を経てメインスイッチ64が接続され、パワーユニット40に至る回路が形成されている。メインスイッチ64は、後述する共通電路L0を開閉操作可能とされている。なお、運転室C内には、メインスイッチ64がオン(閉路)状態であることを示すランプ66が設けられている。
【0042】
メインスイッチ64からパワーユニット40内の主操作スイッチ43に至る回路の途中には、荷箱B内に配置された有線の副操作スイッチ(副操作器)81がケーブル82を介して接続されている。副操作スイッチ81は、主操作スイッチ43とは別に、荷受台19を昇降またはスライドさせるための操作指令を制御装置41に出力するものである。本実施形態では、副操作スイッチ81は、荷受台昇降装置1の使用に必須ではない非必須機器とされている。ここで、荷受台昇降装置1の使用に必須ではない「非必須機器」とは、その機器が無くても荷受台昇降装置1を支障なく使用することができる電気機器であって、必須機器の上記機器群AおよびBに含まれる機器を除くものを意味する。
【0043】
図7は、荷受台昇降装置1の電気回路図である。
図7において、コンタクタボックス62内には2つのヒューズ67,68と、有接点開閉装置であるコンタクタ69が収容され、図示のように接続されている。主操作スイッチ43は、上げスイッチ43uと、下げスイッチ43dとによって構成され、図示のように接続されている。また、副操作スイッチ81は、主操作スイッチ43と同様に、上げスイッチ81uと、下げスイッチ81dとによって構成され、図示のように接続されている。各スイッチ43u,43d,81u,81dは、操作している間だけその操作信号が出力され、手を離すと操作信号がなくなるタイプの非保持型スイッチである。
【0044】
パワーユニット40内の電気回路要素としては、前述の各電磁弁49〜52のソレノイド49s〜52sやモータ58の他、制御装置41と、制御装置41のCPU41aによって制御される無接点開閉装置としてのFET(MOS−FET)70〜76とが設けられている。制御装置41には、電磁弁46,49〜52の各ソレノイド46s,49s〜52s(但し、ソレノイド46sはパワーユニット40の外部にある。)と、上げスイッチ43u及び下げスイッチ43dとが接続されている。
【0045】
また、電路L2には2つの近接センサ(位置検出センサ)77,78が接続されている。一方の近接センサ77は、昇降装置18がスライド後端位置にあるか否かを検知することができるように取り付けられている。他方の近接センサ78は、サブプレート192がメインプレート191の上に折り畳まれた状態であるか否かを検知することができるように取り付けられている。本実施形態では、上記近接センサ77,78は、荷受台19を床下格納した状態と昇降可能な状態との間で姿勢変化させるために使用するセンサ(上記機器群Bに含まれる機器)であるため、必須機器である。
なお、本実施形態では、位置検出センサとして、近接センサを設けているが、他のセンサを用いてもよい。
【0046】
バッテリ61からヒューズ68、ヒューズ79、運転室C内のヒューズ65及びメインスイッチ64を通って分岐点Aに至る共通電路L0(太線で表示)において、バッテリ61とヒューズ68との間から分岐した電路L1は、ヒューズ67、コンタクタ69及びFET70を介してモータ58に給電する。なお、本実施形態では、ヒューズ68,79,65は、共通電路L0の途中に配置される主電流遮断手段とされている。
【0047】
ヒューズ67は、モータ58の配線がショートしたときの過電流を防止するものであり、ヒューズ68は、その下流側の電路がショートしたときの過電流を防止するものである。また、ヒューズ79は、荷受台昇降装置1に設けられた端子台ボックス45(
図6参照)内に配置されており、ヒューズ65は、ヒューズ79よりも下流側で運転室C内に配置されている。これにより、荷受台昇降装置1の配線のうちヒューズ65よりも上流側の配線がショートしたときに、ヒューズ79がヒューズ68よりも先に切れることで、端子台ボックス45内でヒューズ79を交換することができるので、ヒューズの交換作業が容易となる。
【0048】
共通電路L0において、ヒューズ79とヒューズ65との間から分岐した電路L2は、CPU41aに常時給電するとともに、FET71〜76をそれぞれ介して各ソレノイド49s〜52s,46sを励磁するための電圧を供給する。
【0049】
共通電路L0の下流端(分岐点A)には、第1分岐電路L11と第2分岐電路L12とが分岐して接続されている。第1分岐電路L11には、上記必須機器である、CPU41a及び主操作スイッチ43が接続されており、CPU41aに給電するとともに、主操作スイッチ43の上げスイッチ43u及び下げスイッチ43dの信号入力用の電圧を供給する。
【0050】
また、第2分岐電路L12の途中には、ポリスイッチ(副電流遮断手段)83が配置されており、そのポリスイッチ83の下流側には、上記非必須機器である、荷箱B内の副操作スイッチ81が接続されている。これにより、第2分岐電路L12は、副操作スイッチ81の上げスイッチ81u及び下げスイッチ81dの信号入力用の電圧を供給する。
【0051】
ポリスイッチ83は、例えば制御装置41の基板(図示省略)上に配置されており、ショート時の過電流による温度上昇で切断し、ショート状態を解除して温度が低下すると自動的に繋がって復帰する。これにより、ポリスイッチ83が切断しても当該ポリスイッチ83を交換する必要がないので、交換する作業がし難い場所でも配置することができ、その配置自由度を高めることができる。
【0052】
共通電路L0のヒューズ68,79,65及び第2分岐電路L12のポリスイッチ83は、上流側(バッテリ61側)から下流側に配置されるに従って、定格電流が徐々に低くなるように設定されている。具体的には、ヒューズ79の定格電流は、その上流側に配置されたヒューズ68の定格電流よりも低く設定され、ヒューズ65の定格電流は、その上流側に配置されたヒューズ79の定格電流よりも低く設定されている。
【0053】
また、第2分岐電路L12のポリスイッチ83の定格電流は、その上流側に配置された共通電路L0のヒューズ65の定格電流よりも低く設定されている。
【0054】
第2分岐電路L12において、ポリスイッチ83と副操作スイッチ81との間には、検出用電路L20の一端が接続されており、この検出用電路L20の他端は、CPU41aに接続されている。CPU41aは、検出用電路L20の通電の有無に基づいて、第2分岐電路L12がポリスイッチ83により遮断されたか否かを検出する。すなわち、CPU41aは、検出用電路L20が通電されていればポリスイッチ83が遮断されていないことを検出し、検出用電路L20が通電されていなければポリスイッチ83が遮断されたことを検出する。なお、CPU41aは、ポリスイッチ83が遮断されたことを検出した際には、図示しないランプや警告音等により作業者に報知するようになっている。
【0055】
次に、上記のように構成された荷受台昇降装置1の動作について説明する。メインスイッチ64がオン操作されると制御装置41のCPU41aの動作及び主操作スイッチ43の操作が可能となり、運転室C内のランプ66が点灯する。一方、コンタクタ69は開いている。コンタクタ69のコイルはCPU41aと接続されており、CPU41aによりコンタクタ69の開閉制御が行われる。
【0056】
ここで、荷受台昇降装置1の格納状態(
図1)から下げスイッチ43d(又は下げスイッチ81d)が押されると、CPU41aは、先にコンタクタ69を閉路し、閉路動作に要する時間経過後にFET70をオンの状態にする。これにより、モータ58及びポンプ58(
図5)が運転される。また、CPU41aはソレノイド50sを励磁する。この結果、スライドシリンダ22が伸長動作し、昇降装置18の後方スライド動作が行われる。昇降装置18がスライド後端位置で後退すると(近接センサ77により検知)、CPU41aは、先にFET70をオフの状態にしてからコンタクタ69を開路する。これによりモータ58が運転停止される。
【0057】
また、CPU41aはソレノイド46s,50s,52sを励磁して、リフトシリンダ16を収縮動作させる。これにより、上アーム15及び下アーム17が下降動作して、
図2の実線に示すように着地する。このとき、メインプレート191は水平であり、他方、サブプレート192はその先端がガイドローラ21に乗っている。ここで作業者が下げスイッチ43d(又は下げスイッチ81d)から手を離すと、CPU41aはソレノイド46s,50s,52sを非励磁とする。次に作業者は、サブプレート192を手で起こして水平に倒伏させる。このようして荷受台19が水平に展開される。
【0058】
この展開完了状態から上げスイッチ43u(又は上げスイッチ81u)が押されると、CPU41aは、先にコンタクタ69を閉路し、閉路動作に要する時間経過後にFET70をオンの状態にする。これにより、モータ58及びポンプ58が運転される。また、CPU41aはソレノイド49s,50sを励磁する。この結果、リフトシリンダ16が伸長動作し、荷受台19を水平に維持したまま上昇位置まで上昇させることができる。ここで作業者が上げスイッチ43u(又は上げスイッチ81u)から手を離すと、CPU41aは、FET70をオフの状態にしてからコンタクタ69を開路し、モータ58及びポンプ58を停止させる。また、CPU41aはソレノイド49s,50sを非励磁とする。
【0059】
また、荷受台19が上昇位置にある状態で下げスイッチ43d(又は下げスイッチ81d)が押されると、CPU41aはソレノイド46s,50s,52sを励磁して、リフトシリンダ16を収縮動作させ、荷受台19を下降させることができる。なお、下アーム17が着地してからさらにリフトシリンダ16が収縮動作することで、補助リンク14の作用により荷受台19はその先端を下げるようにチルト動作して地面に沿い、荷物の積み下ろしが容易にできるようになる。
【0060】
一方、荷受台19を格納するには、下アーム17が着地して荷受台19が水平である状態からサブプレート192を起立させ、さらに、ガイドローラ21にもたせかける(
図2)。ここで、上げスイッチ43u(又は上げスイッチ81u)が押されると、CPU41aは、先にコンタクタ69を閉路し、閉路動作に要する時間経過後にFET70をオンの状態にする。これにより、モータ58及びポンプ58が運転される。また、CPU41aはソレノイド49s,50sを励磁する。この結果、リフトシリンダ16が伸長動作し、上アーム15及び下アーム17が上昇する。
【0061】
上アーム15及び下アーム17の上昇によりサブプレート192がメインプレート191上に折り畳まれると(近接センサ78により検知)、CPU41aはソレノイド49s,50sを非励磁として上昇を停止させるとともに、今度はソレノイド51sを励磁してスライドシリン22を収縮動作させる。これにより可動側支持部材13、昇降装置18及び荷受台19が格納位置まで引き込まれ、
図1の状態となる。ここで作業者が上げスイッチ43u(又は上げスイッチ81u)から手を離すと、CPU41aは、FET70をオフの状態にしてからコンタクタ69を開路し、モータ58及びポンプ58を停止させる。また、CPU41aはソレノイド51sを非励磁とする。
【0062】
[作用効果]
上記のように構成された本実施形態の荷受台昇降装置1によれば、主電流遮断手段(ヒューズ65等)が途中に配置された共通電路L0の下流端から、第1分岐電路L11と、副電流遮断手段(ポリスイッチ83)が途中に配置された第2分岐電路L12とに分岐される。そして、第1分岐電路L11には荷受台昇降装置1の使用に必須となる必須機器(主操作スイッチ43,CPU41a)が接続され、第2分岐電路L12のポリスイッチ83よりも下流側に荷受台昇降装置1の使用に必須ではない非必須機器(副操作スイッチ81)が接続される。このため、非必須機器が接続された第2分岐電路L12がショートした場合には、ポリスイッチ83が切れるので、共通電路L0のヒューズ65が切れるのを防止することができる。これにより、共通電路L0から分岐する第1分岐電路L11に接続されている必須機器には電流が流れ続けるので、荷受台昇降装置1を支障なく使用することができる。
【0063】
特に、本実施形態の荷受台昇降装置1は、副操作スイッチ81の荷箱B内から延びるケーブル82が、荷箱B後部の開閉扉を閉鎖するときや荷受台19が上昇位置まで上昇したときに荷箱Bとの間に挟まれたり、荷箱B内の壁部と荷物との間で挟まれたりすることによって断線して第2分岐電路L12がショートする場合に有効である。
【0064】
また、荷受台昇降装置1を使用しないときには、メインスイッチ64により共通電路L0を開路することで、主操作スイッチ43又は副操作スイッチ81を操作しても共通電路L0は通電せず、CPU41aにも電力が供給されないので、FET70〜76はオフのままである。したがって、メインスイッチ64により共通電路L0を開路することで、荷受台昇降装置1の誤操作を防止することができる。
また、共通電路L0のメインスイッチ64よりも下流側で第2分岐電路L12が分岐し、その第2分岐電路L12にポリスイッチ83を介して副操作スイッチ81が接続されている。このため、第2分岐電路L12がショートしてポリスイッチ83が切れたとき、メインスイッチ64により共通電路L0を開路した後に上記ショートを修復することで、電流は上記ショート部分に流れないので安全に修復作業を行うことができる。さらに、ショート修復時に副操作スイッチ81に何らかの入力がされていたとき、ショート修復直後にポリスイッチ83が自動復帰し、副操作スイッチ81に直ちに電流が流れて誤操作してしまうのを防止することができる。
また、CPU41aは、検出用電路L20の通電の有無に基づいて、第2分岐電路L12がポリスイッチ83により遮断されたか否かを検出することができるので、第2分岐電路L12が遮断されたことを迅速に把握することができる。
【0065】
[変形例]
図8は、荷受台昇降装置1の電気回路図の変形例である。
図7との主な違いは、共通電路L0の上流端を、バッテリ61に直接接続せず、車両側の機器が接続される電路L3に接続した点である。電路L3は、バッテリ61から運転室C内のヒューズ91及びキースイッチ(イグニッションスイッチ)92を通って予備電源端子93に接続されており、この予備電源端子93に共通電路L0の上流端が接続されている。このように、共通電路L0の上流端は、バッテリ61に直接接続するのではなく、バッテリ61に繋がっている電路L3(バッテリ側)に接続されていてもよい。
【0066】
本変形例の共通電路L0は、予備電源端子93から、ヒューズ65およびメインスイッチ64を通って分岐点Aに至る。ヒューズ65は、運転室C内のキースイッチ92の近くに配置されており、車両側のヒューズ91の定格電流よりも低い定格電流に設定されている。これにより、荷受台昇降装置1側のヒューズ65が、車両側のヒューズ91よりも先に切れることで、車両の電気系統が使用できなくなるのを防止することができる。
【0067】
上記電路L3のバッテリ61とヒューズ91との間には、電路L1が分岐して接続されている。そして、電路L1における電路L3の分岐点とヒューズ67との間から電路L2が分岐して接続されている。電路L2は、ヒューズ68、ヒューズ79を通ってCPU41aに接続されている。したがって、本変形例では、共通電路L0におけるヒューズ65が、共通電路L0の途中に配置された主電流遮断手段とされている。その他の回路構成については、上記実施形態と同様である。
【0068】
なお、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味、及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
例えば、上記実施形態(変形例も含む)では、主電流遮断手段として、ヒューズを用いているが、ポリスイッチやブレーカスイッチ等を用いてもよい。また、副電流遮断手段として、ポリスイッチを用いているが、ヒューズやブレーカスイッチ等を用いてもよい。
【0069】
また、
図7に示す電気回路では、第2分岐電路L12は、メインスイッチ64よりも下流側から分岐しているが、ヒューズ79とヒューズ65との間や、ヒューズ68とヒューズ79との間から分岐してもよい。この場合、バッテリ61から第2分岐電路の分岐点までが共通電路となり、当該分岐点から必須機器に接続される分岐電路が第1分岐電路となる。
【0070】
また、本発明の荷受台昇降装置1は、非必須機器として有線の副操作スイッチ81を用いる場合を例示しているが、これに替えて又はこれに加えて、無線の副操作スイッチ、夜間に荷受台昇降装置1を安全に使用できるように荷受台19に設けられるランプ、又は荷受台昇降装置1を使用するときに周囲に注意を促す音声警報機などを非必須機器として用いる場合にも適用することができる。その際、複数の非必須機器を用いる場合には、少なくとも1つの非必須機器を、副電流遮断手段が設けられた第2分岐電路に接続すればよい。上記実施形態では、ランプ66は、上記機器群AおよびBのいずれの機器にも該当しない非必須機器であるが、副電流遮断手段が設けられた第2分岐電路には接続されていない。
【0071】
また、本発明の荷受台昇降装置1は、床下格納式の荷受台昇降装置に適用する場合について説明したが、起立格納式や垂直昇降式など他の種類の荷受台昇降装置にも適用することができる。この場合、例えば、荷箱の後方に荷受台を起立格納する起立格納式の荷受台昇降装置では、荷箱の後方に荷受台を起立格納するときに、荷箱の後部扉と荷受台との間に、副操作スイッチ81のケーブル82が挟まれて断線することにより第2分岐電路L12がショートした場合でも、荷受台昇降装置1を支障なく使用することができる。
【0072】
また、本実施形態の床下格納式の荷受台昇降装置1における必須機器は、主操作スイッチ43、電磁弁46,49〜52(ソレノイド46s,49s〜52s)、モータ58、制御装置41のCPU41a、及び近接センサ77,78とされているが、上記のように他の種類の荷受台昇降装置に適用するときに、その仕様によって上記以外の機器が必須機器として追加または削減される場合にも適用することができる。
【0073】
例えば、起立格納式の荷受台昇降装置において、荷受台を駆動手段を用いて自動的に起立格納する仕様とする場合には、荷受台を起立格納位置と水平展開位置(上昇位置)との間で姿勢変更するためのシリンダと、そのシリンダへの作動油経路を切り替える電磁弁が追加されることになる。このため、上記電磁弁のソレノイドは、上記機器群Bに含まれる機器となるため、必須機器として追加される。したがって、このような場合には、共通電路L0から分岐した第1分岐電路L11に上記ソレノイドを接続するようにすればよい。なお、起立格納式の荷受台昇降装置では、上記実施形態における床下格納式の荷受台昇降装置の近接センサ77,78は使用しないため、必須機器には含まれない。
【0074】
また、上記起立格納式の荷受台昇降装置において、起立格納させた荷受台が荷箱の後部扉を兼ねる仕様とする場合には、起立格納位置にある荷受台が下降するのを防止するために、荷受台が起立格納位置にあることを検知する近接センサ等の検知手段が追加される。この検知手段は、上記機器群AおよびBのいずれの機器にも含まれないため、非必須機器として追加される。したがって、このような場合には、共通電路L0から分岐した第2分岐電路L12に上記検知手段を接続するようにすればよい。
【0075】
また、各種の荷受台昇降装置において、荷受台の昇降動作時にスロースタートやスローストップさせるための近接センサを追加する場合、これらの近接センサは、荷受台の昇降速度を変化させるためのセンサであり、上記機器群AおよびBのいずれの機器にも該当しないため、非必須機器として追加される。したがって、このような場合には、共通電路L0から分岐した第2分岐電路L12に上記近接センサを接続するようにすればよい。
【0076】
また、垂直昇降式の荷受台昇降装置において、上昇中の荷受台と荷箱の底部との間で荷物が挟み込まれるのを防止するために、セーフティバーが押されたことを近接センサが検知して荷受台の上昇を停止させる仕様とする場合には、上記近接センサは、上記機器群AおよびBのいずれの機器にも該当しないため、非必須機器として追加される。したがって、このような場合には、共通電路L0から分岐した第2分岐電路L12に上記検知手段を接続するようにすればよい。