(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6591886
(24)【登録日】2019年9月27日
(45)【発行日】2019年10月16日
(54)【発明の名称】粒子線治療装置
(51)【国際特許分類】
A61N 5/01 20060101AFI20191007BHJP
A61N 5/10 20060101ALI20191007BHJP
G21K 1/093 20060101ALI20191007BHJP
G21K 5/04 20060101ALI20191007BHJP
【FI】
A61N5/01 A
A61N5/10 H
G21K1/093 D
G21K5/04 A
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-243081(P2015-243081)
(22)【出願日】2015年12月14日
(65)【公開番号】特開2017-108774(P2017-108774A)
(43)【公開日】2017年6月22日
【審査請求日】2018年5月31日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】317015294
【氏名又は名称】東芝エネルギーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111121
【弁理士】
【氏名又は名称】原 拓実
(74)【代理人】
【識別番号】100118474
【弁理士】
【氏名又は名称】寺脇 秀▲徳▼
(74)【代理人】
【識別番号】100141911
【弁理士】
【氏名又は名称】栗原 譲
(74)【代理人】
【識別番号】100200137
【弁理士】
【氏名又は名称】浅野 良介
(72)【発明者】
【氏名】石山 洋
(72)【発明者】
【氏名】受川 鉄平
(72)【発明者】
【氏名】瀧口 裕司
(72)【発明者】
【氏名】松井 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】小林 英夫
【審査官】
石田 智樹
(56)【参考文献】
【文献】
実公昭44−008478(JP,Y1)
【文献】
特開昭61−031175(JP,A)
【文献】
特開平11−047287(JP,A)
【文献】
国際公開第2013/065139(WO,A1)
【文献】
特開平05−049707(JP,A)
【文献】
特開2010−158479(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 5/01
A61N 5/10
G21K 1/093
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に治療スペースを形成して第1の回転軸の周りを回転可能に支持されて粒子源から
の粒子線を前記治療スペース内の照射部に導く粒子線ガイド装置、
を備えた粒子線治療装置であって、
前記粒子線ガイド装置は、
前記粒子源からの粒子線を、前記第1の回転軸の位置に配置された上流側回転シール部
を介して受け入れて前記第1の回転軸から半径方向に離れた位置に配置された下流側回転
シール部に導く上流側ガイド部と、
前記下流側回転シール部を通る第2の回転軸の周りに回転可能に支持されて、前記上流
側ガイド部から出た前記粒子線を、前記下流側回転シール部から照射ポートを介して前記
照射部に導く下流側ガイド部と、
を有し、
当該粒子線治療装置は、
前記粒子線ガイド装置に送られる粒子線のエネルギーを一定に制御する粒子線エネルギ
ー制御装置と、
前記粒子線ガイド装置とは別に支持されて前記治療スペース内で自在に位置決め可能な治
療台と、
前記照射部での照射強度を一定にするために、前記粒子線の照射目標中心の位置に合わ
せて前記照射ポートの先端と照射部との距離が一定になるように前記治療台の位置を制御
する治療台位置制御装置と、
をさらに有すること、を特徴とする粒子線治療装置。
【請求項2】
内部に前記治療スペースを形成して前記第1の回転軸の周りを回転可能に支持された中
空円筒状の回転ガントリーをさらに有し、
前記上流側ガイド部は前記回転ガントリーに固定されていること、を特徴とする請求項
1に記載の粒子線治療装置。
【請求項3】
前記第2の回転軸が前記第1の回転軸に平行であること、を特徴とする請求項1または
請求項2に記載の粒子線治療装置。
【請求項4】
前記上流側ガイド部と前記下流側ガイド部は、それぞれが、
内部に前記粒子線が通る真空を保持可能で曲管部を備えた気密のダクトと、
前記ダクトの外側に配置されて前記粒子線の向きを変えるための磁石と、
を有し、
前記上流側ガイド部の前記ダクトと前記下流側ガイド部の前記ダクトとが前記下流側回
転シール部で連通していること、を特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に
記載の粒子線治療装置。
【請求項5】
複数個の前記粒子線ガイド装置を備え、
前記複数個の粒子線ガイド装置それぞれの前記第1の回転軸は共通であり、
複数個の前記粒子線ガイド装置それぞれの前記第2の回転軸の位置が前記第1の回転軸
の周りの周方向に異なる位置にあることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか
一項に記載の粒子線治療装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、粒子線治療に使用する粒子線治療装
置に関する。
【背景技術】
【0002】
癌などの患者の患部にアイソセンタ(照射目標中心)を設定して陽子、炭素イオン等のイオンビームを照射する治療方法が知られている。例えば、この治療に用いる粒子線治療装置は、イオンビーム発生装置、ビーム輸送系、および回転ガントリーに設置された照射装置を備えている。イオンビーム発生装置で加速されたイオンビームは、ビーム輸送系を経て照射装置に達し、照射装置から患者の患部に照射される。この際、照射装置は回転ガントリーの回転に伴って患者の周りを回転し、治療計画で定められた照射角度に基づいて患部にイオンビームを照射することが可能である。一般に、アイソセンタ(照射目標中心)は固定である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−326699号公報
【特許文献2】特開平10−94617号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術の粒子線治療装置では、粒子線を偏向するために緩やかな軌道が必要であり、磁石の軌道が長くなる。磁石軌道が長いと磁石の支持筐体も重く大きくなり、設置スペースが限られる一般病院への設置が困難になるという課題があった。
【0005】
また、たとえば患者の頭頂部をノンコプラナ照射する際にエンドリング中心にアイソセンタを固定すると、エンドリングの半径を患者の身長分とする必要があり、エンドリング径の増大を招くという課題があった。
【0006】
本発明の実施形態の目的は、小型軽量で部品点数が少ない粒子線治療装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の実施形態に係る粒子線治療装置は、内部に治療ス
ペースを形成して第1の回転軸の周りを回転可能に支持されて粒子源からの粒子線を前記
治療スペース内の照射部に導く粒子線ガイド装置、を備えた粒子線治療装置であって、前
記粒子線ガイド装置は、前記粒子源からの粒子線を、前記第1の回転軸の位置に配置され
た上流側回転シール部を介して受け入れて前記第1の回転軸から半径方向に離れた位置に
配置された下流側回転シール部に導く上流側ガイド部と、前記下流側回転シール部を通る
第2の回転軸の周りに回転可能に支持されて、前記上流側ガイド部から出た前記粒子線を
、前記下流側回転シール部から照射ポートを介して前記照射部に導く下流側ガイド部と、
を有し、当該粒子線治療装置は、前記粒子線ガイド装置に送られる粒子線のエネルギーを
一定に制御する粒子線エネルギー制御装置と、前記粒子線ガイド装置とは別に支持されて
前記治療スペース内で自在に位置決め可能な治療台と、前記照射部での照射強度を一定に
するために、前記粒子線の照射目標中心の位置に合わせて前記照射ポートの先端と照射部
との距離が一定になるように前記治療台の位置を制御する治療台位置制御装置と、をさら
に有すること、を特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の実施形態によれば、小型軽量で部品点数が少ない粒子線治療装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る粒子線治療装置の模式的縦断面図である。
【
図2】本発明の第1の実施形態に係る粒子線治療装置の
図1のII−II線矢視横断面図である。
【
図3】本発明の第1の実施形態に係る粒子線治療装置の下流側ガイド部の支持構造を示す模式的外観図である。
【
図4】本発明の第1の実施形態に係る粒子線治療装置の治療台を回転軸にほぼ垂直に配置した状態で粒子線治療装置を動作させる状況を示す図であって、
図1のII−II線矢視横断面図である。
【
図5】本発明の第2の実施形態に係る粒子線治療装置の治療台を回転軸にほぼ垂直に配置した状態で粒子線治療装置を動作させる状況を示す図であって、
図1のII−II線矢視横断面の一部に相当する図である。
【
図6】本発明の第3の実施形態に係る粒子線治療装置の横断面図であって、
図1のII−II線矢視横断面に相当する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明に係る粒子線治療装置の実施形態について説明する。ここで、互いに同一または類似の部分には共通の符号を付して、重複説明は省略する。
【0012】
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態に係る粒子線治療装置の模式的縦断面図である。
図2は、第1の実施形態に係る粒子線治療装置の
図1のII−II線矢視横断面図である。
【0013】
図1および
図2に示すように、粒子線治療装置10は、粒子源(イオン源)11と、粒子加速器12と、粒子線ガイド装置13と、粒子線エネルギー制御装置14と、治療台15と、治療台駆動装置16と、治療台位置制御装置17とを備えている。粒子源(イオン源)11で発生した粒子(たとえば、陽子や炭素イオン)は粒子加速器12で加速され、粒子線ガイド装置13でガイドされ、照射部20に照射される。
【0014】
照射部20は、治療スペース21内に配置された治療台15に載置された患者22の患部に設定される。粒子線エネルギー制御装置14は、粒子線ガイド装置13に送られる粒子線のエネルギーを調整することができる。また、治療台駆動装置16は、治療台15の位置や姿勢が変わるように治療台15を駆動する。治療台位置制御装置17は、治療台駆動装置16を制御することができる。
【0015】
粒子線ガイド装置13は、回転ガントリー30と、ターニングローラ31(
図2参照)と、回転ガントリー30に取り付けられた上流側ガイド部32および下流側ガイド部33を含む。
【0016】
回転ガントリー30は、水平方向に延びる第1の回転軸34を軸とする円筒状であって、その両端部に、リング状のエンドリング35が形成されている。ターニングローラ31は2個を1組として2組(合計4個)が配置されている。4個のターニングローラ31は互いに同じ形状で同じ大きさの円柱状であり、第1の回転軸34と平行な軸の周りに回転可能に構成されている。各組の2個のターニングローラ31がそれぞれのエンドリング35と接触して、回転ガントリー30の荷重を支持している。
【0017】
4個のターニングローラ31の少なくとも1個は電動機(図示せず)によって回転駆動され、エンドリング35との間の摩擦によってトルクが伝えられ、回転ガントリー30が駆動される。回転ガントリー30は、たとえば、正転と逆転とを合わせて、360度回転可能に構成されている。回転可能な角度は360度未満であってもよい。
【0018】
上流側ガイド部32は、内部が真空に維持されて加速された粒子線が通過する上流側ダクト40と、上流側ダクト40の外側に配置されて粒子線を曲げるための複数の上流側磁石41とを備えている。複数の上流側磁石41は上流側ダクト40の長手方向に沿って配列されている。同様に、下流側ガイド部33は、内部が真空に維持されて加速された粒子線が通過する下流側ダクト42と、下流側ダクト42の外側に配置されて粒子線を曲げるための複数の下流側磁石43とを備えている。複数の下流側磁石43は下流側ダクト42の長手方向に沿って配列されている。上流側ダクト40と下流側ダクト42はそれぞれに曲管部を持っている。
【0019】
上流側ガイド部32は、上流側ガイド支持部材44によって、回転ガントリー30に固定支持され、回転ガントリー30とともに回転するように構成されている。上流側ガイド部32の上流側端部は第1の回転軸34上に位置して、そこに、第1の回転軸34を中心とする上流側回転シール部45が形成されている。粒子加速器12の真空容器(図示せず)の下流側端部と上流側ダクト40の上流側端部とは、上流側回転シール部45を介して、互いに連通して接続され、外気に対しては気密が維持されている。回転ガントリー30が回転するとき、上流側回転シール部45の摺動により気密が保たれる。
【0020】
上流側ダクト40の下流側端部は、回転ガントリー30の半径方向外側の位置にあり、下流側回転シール部46を介して、下流側ダクト42の上流側端部と、互いに連通して接続され、外気に対して気密が維持されている。
【0021】
下流側ダクト42の上流側端部近くの外側に歯車47が形成されている。先端部駆動装置48(
図2参照)の回転駆動力を、歯車47を介して伝達することにより、下流側ガイド部33が第2の回転軸49の周りを回転駆動される。第2の回転軸49は、第1の回転軸34に平行であって、回転ガントリー30とともに回転する。
【0022】
下流側回転シール部46の軸心は第2の回転軸49上にあって、下流側ガイド部33が第2の回転軸49の周りを回転するときに摺動して、上流側ダクト40の下流側端部と下流側ダクト42の上流側端部との間の気密が維持される。
【0023】
下流側ダクト42の下流側先端には照射ポート50が取り付けられている。照射ポート50は、下流側ダクト42内の真空を維持するように気密に封止するものであって、しかも粒子線が透過しやすいように構成されている。
【0024】
回転ガントリー30の側面には下流側ガイド部33の先端部が貫通する開口部60が形成されており、照射ポート50は回転ガントリー30の内側の治療スペース21内にある。開口部60は、下流側ガイド部33が第2の回転軸49の周りに回転するさいに干渉しないだけの十分な大きさとする。
【0025】
回転ガントリー30の、第1の回転軸34をはさんで下流側ガイド部33および上流側ガイド部32の反対側の位置に、カウンターウェイト51が取り付けられている。
【0026】
図3は、第1の実施形態に係る粒子線治療装置の下流側ガイド部33の支持構造を示す模式的外観図である。ただし、
図3では、複数個の下流側磁石43を一体的に表示している。
図3に示すように、下流側ガイド部33の変形を抑制するために下流側ガイド支持部材52が取り付けられている。
【0027】
図4は、第1の実施形態に係る粒子線治療装置の治療台を回転軸にほぼ垂直に配置した状態で粒子線治療装置を動作させる状況を示す図であって、
図1のII−II線矢視横断面図である。
【0028】
図1および
図2に示す例では、患者22は、その頭頂部と足先とを結ぶ線が第1の回転軸34の方向になるように横たわるように配置されている。それに対して、
図4に示す例では、患者22は、その頭頂部と足先とを結ぶ線が第1の回転軸34に垂直な水平方向になるように横たわるように配置されている。この場合に、粒子線の照射対象となる患部は回転ガントリー30の回転中心である第1の回転軸34からずれた位置にある。このような配置で、たとえば頭頂部の照射部20に粒子線を照射する場合に、回転ガントリー30を第1の回転軸34の周りに回転させると同時に下流側ガイド部33を第2の回転軸49の周りに回転させる。
【0029】
図4において、実線で示す粒子線ガイド装置13が2点鎖線で示す粒子線ガイド装置13aの位置・姿勢に変化したときに、下流側ガイド部33a、照射ポート50a、カウンターウェイト51aの位置が示されている。同様に、粒子線ガイド装置13が破線で示す粒子線ガイド装置13bの位置・姿勢に変化したときに、下流側ガイド部33b、照射ポート50b、カウンターウェイト51bの位置が示されている。
【0030】
このような構成により、粒子線の照射対象となる照射部20が第1の回転軸34(回転ガントリー30の回転中心)からずれた位置にあっても、一定の照射部20に粒子線の照射を続けることができる。これにより、回転ガントリー30の内側半径が患者22よりも小さくても、照射部20を患者22の頭頂部とすることができ、従来に比べて、回転ガントリー30の内径を小さくすることができる。
【0031】
この場合に、回転ガントリー30の回転位置に応じて照射ポート50の先端と照射部20との距離が変動する。一般に、粒子線が照射ポート50を出て照射部20に至るまでは粒子線が空気中を通るため、粒子のエネルギーが減衰する。したがって、照射ポート50を出るときの粒子のエネルギーを一定とすると、照射ポート50の先端と照射部20との距離に応じて照射部20での照射強度が変動することになる。
【0032】
そのため、照射部20での照射強度を一定にするためには、照射ポート50の先端と照射部20との距離に応じて、粒子線エネルギー制御装置14により、粒子線エネルギーを制御すればよい。すなわち、照射ポート50の先端と照射部20との距離が大きくなるのに応じて粒子線エネルギーを増大させる。これにより、照射部20での照射強度を一定にすることができる。
【0033】
[第2の実施形態]
図5は、本発明の第2の実施形態に係る粒子線治療装置の治療台を回転軸にほぼ垂直に配置した状態で粒子線治療装置を動作させる状況を示す図であって、
図1のII−II線矢視横断面の一部に相当する図である。
【0034】
前述のように、
図4に示す第1の実施形態においては、粒子線エネルギー制御装置14により、照射ポート50の先端と粒子線の照射対象となる照射部20との距離の変動に応じて粒子線エネルギーを変化させ、照射部20での照射強度を一定にする。
【0035】
それに対して、この
図5に示した第2の実施形態では、治療台位置制御装置17によって、下流側ガイド部33の照射ポート50の先端と照射部20との距離が一定となるように治療台15の位置を制御する。これにより、例えば下流側ガイド部33の照射ポート50の先端が2点鎖線で示す下流側ガイド部33aの照射ポート50aの位置または破線で示す下流側ガイド部33bの照射ポート50bの位置等、照射ポート50の先端と照射部20との距離の変動に応じて粒子線エネルギーを変化させなくても、治療台15の位置を2点鎖線で示す治療台15aの位置または破線で示す治療台15bの位置に制御し、照射部20での照射強度を一定にすることができる。
【0036】
[第3の実施形態]
図6は、本発明の第3の実施形態に係る粒子線治療装置の横断面図であって、
図1のII−II線矢視横断面に相当する図である。この第3の実施形態は第1の実施形態の変形であって、一つの回転ガントリー30に2個の粒子線ガイド装置13が取り付けられている。2個の粒子線ガイド装置13は、回転ガントリー30の周方向に互いに間隔をあけて配置されている。
図6に示す例では、これらの周方向の間隔は90度である。これらの粒子線ガイド装置13の上流側回転シール部45(
図1参照)は、1個のものを共用し、上流側ガイド部32の上流側回転シール部45の下流側に分岐部(図示せず)を設ければよい。
【0037】
第3の実施形態によれば、第1の回転軸34周りの回転ガントリー30の回転角度、および第2の回転軸49周りの下流側ガイド部33の回転角度の両方または一方を比較的小さくしても、必要な角度範囲の照射を行うことができる。また、2個の粒子線ガイド装置13からの照射を同時に行うことにより、短時間で必要な照射を行うことができる。
【0038】
上記説明では一つの回転ガントリー30に2個の粒子線ガイド装置13が取り付けられているものとしたが、一つの回転ガントリー30に3個以上の粒子線ガイド装置13を取り付けることもできる。
【0039】
[他の実施形態]
上記実施形態の説明では、第1の回転軸34と第2の回転軸49とが平行であるとした。しかし、変形例として、回転軸が平行でない場合も考えられる。また、上記実施形態の説明では、第1の回転軸34と第2の回転軸49とがともに水平であるとしたが、これらは、水平方向に対して傾斜していてもよく、また、鉛直方向でもよい。
【0040】
さらに、上記実施形態の変形として、円筒状の回転ガントリー30が存在しないものも考えられる。ただし、その場合は、上流側ガイド部32が第1の回転軸34の周りに回転できるように上流側ガイド部32を回転支持する構造と、下流側ガイド部33が第2の回転軸49の周りに回転できるように下流側ガイド部33を回転支持する構造を、回転ガントリー30とは別に備えている必要がある。
【0041】
上記第2の実施形態で、治療台位置制御装置17は、照射ポート50の先端と照射部20との距離が一定になるように治療台15の位置を制御するものとした。その変形として、治療台位置制御装置17は、単に照射部20の位置が患者22の所定の患部に一致するように治療台15の位置を制御するものであってもよい。
【0042】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0043】
10:粒子線治療装置、 11:粒子源(イオン源)、 12:粒子加速器、 13,13a,13b:粒子線ガイド装置、 14:粒子線エネルギー制御装置、 15,15a,15b:治療台、 16:治療台駆動装置、 17:治療台位置制御装置、 20:照射部、 21:治療スペース、 22:患者、 30:回転ガントリー、 31:ターニングローラ、 32:上流側ガイド部、 33,33a,33b:下流側ガイド部、 34:第1の回転軸、 35:エンドリング、 40:上流側ダクト、 41:上流側磁石、 42:下流側ダクト、 43:下流側磁石、 44:上流側ガイド支持部材、 45:上流側回転シール部、 46:下流側回転シール部、 47:歯車、 48:先端部駆動装置、 49:第2の回転軸、 50,50a,50b:照射ポート、 51,51a,51b:カウンターウェイト、 52:下流側ガイド支持部材、 60:開口部