特許第6591903号(P6591903)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6591903
(24)【登録日】2019年9月27日
(45)【発行日】2019年10月16日
(54)【発明の名称】搬送制御装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 7/12 20060101AFI20191007BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20191007BHJP
   B65H 7/14 20060101ALI20191007BHJP
【FI】
   B65H7/12
   B41J2/01 451
   B65H7/14
【請求項の数】1
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-15162(P2016-15162)
(22)【出願日】2016年1月29日
(65)【公開番号】特開2017-132606(P2017-132606A)
(43)【公開日】2017年8月3日
【審査請求日】2018年11月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000250502
【氏名又は名称】理想科学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(72)【発明者】
【氏名】藪根 弘和
【審査官】 冨江 耕太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−184069(JP,A)
【文献】 特開2015−6951(JP,A)
【文献】 特開2014−105088(JP,A)
【文献】 特開2009−214979(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H7/00−7/20、43/00−43/08、
B41J2/01、2/165−2/20、2/21−2/215
H04N1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成済用紙を含む複数の用紙の搬送を制御する搬送制御装置であって、
前記複数の用紙のそれぞれの表示画像を示す表示画像データを取得する取得部と、
前記表示画像データに基づいて、前記複数の用紙において表示色が共通する共通色領域を特定する領域特定部と、
前記共通色領域に照射した光の受光量に基づいて、前記用紙の重送を検知する重送検知部と、を備え、
前記画像形成済用紙の表示画像を示す前記表示画像データは、予め形成される所定画像を示す所定画像データと、前記用紙の用紙色により表される用紙画像を示す用紙画像データとを含む
ことを特徴とする搬送制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、用紙の搬送を制御する搬送制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、用紙に画像を形成する画像形成装置では、用紙を搬送する際に、複数の用紙が重なって搬送される、所謂、重送を検出する機能を備えた搬送制御装置が適用されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この種の搬送制御装置では、光学式センサである発光素子と受光素子とが、用紙の搬送経路を挟んで対向配置されており、受光素子による受光量の変化に基づいて、重送を検出する。具体的に、正常な1枚のみの搬送時に用紙を透過した光量を基準として、各用紙の搬送時の光量を比較する。重送の場合には、正常な1枚のみの搬送時よりも用紙を透過する光量が低下するため、受光素子による受光量が低下した場合に、重送が発生したものとして検出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−208087号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、搬送される複数の用紙には、白紙だけでなく予め所定画像を形成した画像形成済用紙(所謂、プレプリント用紙)が含まれることや、互いに異なる所定画像を形成した画像形成済用紙が含まれることもある。
【0006】
このように、搬送される用紙に画像形成済用紙が含まれている場合、搬送される用紙ごとの表示色の相違に起因して、受光素子による受光量が低下してしまい、これにより重送が発生していなくとも、重送が発生したと誤検出するという問題がある。
【0007】
ここで、予め各用紙に対応する画像データごとに重送を検出するための受光量の閾値を求めておき、各用紙を搬送しているときに閾値を読み出して重送を検出することも考えられる。しかし、用紙毎に閾値を切り替えるのは、処理が煩雑になるという問題がある。
【0008】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたもので、搬送される用紙に画像形成済用紙が含まれる場合であっても、簡易な処理で重送の誤検出を低減することが可能な搬送制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明に係る搬送制御装置の第1の特徴は、画像形成済用紙を含む複数の用紙の搬送を制御する搬送制御装置であって、前記複数の用紙のそれぞれの表示画像を示す表示画像データを取得する取得部と、前記表示画像データに基づいて、前記複数の用紙において表示色が共通する共通色領域を特定する領域特定部と、前記共通色領域に照射した光の受光量に基づいて、前記用紙の重送を検知する重送検知部と、を備え、前記画像形成済用紙の表示画像を示す前記表示画像データは、予め形成される所定画像を示す所定画像データと、前記用紙の用紙色により表される用紙画像を示す用紙画像データとを含む。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る搬送制御装置の第1の特徴によれば、領域特定部は、用紙の表示画像データに基づいて、複数の用紙において表示色が共通する共通色領域を特定し、重送検知部は、共通色領域に照射した光の受光量に基づいて、用紙の重送を検知する。これにより、複数の用紙に画像形成済用紙が含まれていても、共通色領域に照射した光の受光量によって用紙の重送を検知できるため、表示色の違いに起因して受光量が低下してしまうことを防止できる。また、用紙ごとに異なる受光量の閾値を規定せずとも、各用紙で共通する共通色領域に照射した光の受光量に基づいて、用紙の重送を検知する。すなわち、各用紙で共通の受光量の閾値により重送を検出することができるため、検出処理が簡易になる。よって、搬送される複数の用紙に画像形成済用紙が含まれる場合であっても、簡易な処理で重送の誤検出を低減することができる。
【0011】
また、画像形成済用紙の表示画像を示す表示画像データは、予め形成される所定画像を示す所定画像データと、用紙色により表される用紙画像を示す用紙画像データとを含む。これにより、領域特定部は、画像形成済用紙を含む複数の用紙において、所定画像が形成される領域と、用紙色により表される用紙画像が形成される領域との両方を対象として、表示色が共通する共通色領域を特定できるため、共通色領域をより広く特定することができる。よって、重送を検出するための共通色領域をより広く確保できるので、共通色領域が狭い場合に比べて、検出する受光量のサンプル数を増やすことが可能になり、この結果、重送の検出精度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本発明の第1実施形態に係る画像形成装置の概略構成図である。
図2図2は、本発明の第1実施形態に係る画像形成装置の機能を示すブロック図である。
図3図3は、本発明の第1実施形態に係る画像形成装置の動作を示すフローチャートである。
図4図4(a)は、用紙に表示される表示画像の一例を示す説明図である。図4(b)は、用紙に表示される表示画像の一例を示す説明図である。図4(c)は、用紙に特定される共通色領域の一例を示す説明図である。
図5図5(a)は、用紙に表示される表示画像の一例を示す説明図である。図5(b)は、用紙に表示される表示画像の一例を示す説明図である。図5(c)は、用紙に特定される共通色領域の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。また、以下に示す実施形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置等を例示するものであって、この発明の技術的思想は、各構成部品の配置等を下記のものに特定するものでない。この発明の技術的思想は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
【0014】
[第1実施形態]
<画像形成装置の構成>
図1は、本発明の第1実施形態に係る搬送制御装置を備えた画像形成装置1の構成を示す概略構成図である。以下の説明において、図1に示すように、図1の上下左右を上下左右方向として説明する。また、図1において破線で示す経路が、印刷媒体である用紙Pが搬送される搬送経路RCであり、左から右に向かう方向が搬送方向である。以下の説明における上流、下流は、用紙の搬送経路RCにおける上流、下流を意味する。
【0015】
画像形成装置1は、給紙/搬送部10と、インクジェットヘッド部20と、用紙センサ部30と、スキャニング部50と、操作パネル部60とを備える。
【0016】
給紙/搬送部10は、搬送経路RCに沿って用紙Pを給紙及び搬送する。給紙/搬送部10は、給紙台10aと、給紙ローラ10bと、レジストローラ10c,10dと、搬送ベルト10eとを備える。
【0017】
給紙台10aは、印刷に用いられる用紙Pを積載する。
【0018】
給紙ローラ10bは、給紙台10aに積載された用紙Pを1枚ずつピックアップしてレジストローラ10c,10dに向けて搬送する。給紙ローラ10bは、給紙台10aの上側に配置されている。給紙ローラ10bは、モータ(不図示)によって回転駆動される。
【0019】
レジストローラ10c,10dは、給紙ローラ10bにより搬送されてきた用紙Pを一旦止めた後、用紙Pをニップ(挟持)しつつ、搬送ベルト10eに向けて搬送する。レジストローラ10c,10dは、給紙ローラ10bの下流側に配置されている。レジストローラ10c,10dは、モータ(不図示)によって回転駆動される。
【0020】
搬送ベルト10eは、複数のローラに掛け渡される環状のベルトである。搬送ベルト10eには、用紙Pを吸着保持するためのベルト穴(不図示)が多数形成されている。搬送ベルト10eは、ファン(不図示)の駆動によりベルト穴に発生する吸着力により、用紙Pを吸着保持する。搬送ベルト10eは、複数のローラの駆動により回転することで、吸着保持した用紙Pを搬送経路RCに沿って搬送する。
【0021】
インクジェットヘッド部20は、用紙Pの搬送方向と略直交する方向(前後方向)に複数のノズルが配列されたラインタイプの複数のインクジェットヘッドを有する。インクジェットヘッド部20は、搬送ベルト10eの上方に配置されている。インクジェットヘッド部20は、搬送ベルト10eにより搬送される用紙Pにインクジェットヘッドからインクを吐出して画像を印刷する。
【0022】
用紙センサ部30は、搬送される用紙Pの重送を検出するために用いられる。用紙センサ部30は、レジストローラ10c,10dと搬送ベルト10eとの間に配意される。用紙センサ部30は、発光部30aと、受光部30bとを備える。
【0023】
発光部30aは、レジストローラ10c,10dと搬送ベルト10eとの間の所定位置において、搬送経路RCの上方に配置されている。発光部30aは、搬送経路RCに向けて下方向に光を照射する。発光部30aは、用紙Pの搬送中に、用紙Pに対して所定ピッチ(例えば、5mm)で光を照射する。発光部30aは、LED等の発光素子からなる。
【0024】
受光部30bは、発光部30aから照射された光を受光し、受光量を示す信号を本体制御部40に出力する。受光部30bは、搬送経路RCを挟んで発光部30aに対向して配置されている。
【0025】
本体制御部40は、画像形成装置1の各部の動作を制御する。本体制御部40は、CPU、RAM、ROM、ハードディスク等を備えて構成される。なお、本体制御部40の詳細な構成については、後述する。
【0026】
スキャニング部50は、用紙Pに表される表示画像を読み取る。スキャニング部50は、読み取った表示画像を示す表示画像データを生成して、本体制御部40の記憶部430(図2参照)に記憶する。実施形態では、スキャニング部50は、用紙Pに印刷を行う前に、給紙台10aに載積される複数の用紙Pそれぞれの表示画像を示す表示画像データを生成して、本体制御部40の記憶部430に記憶する。
【0027】
操作パネル部60は、ユーザの入力操作を受け付けるとともに、各種の情報等を表示する。操作パネル部60は、ユーザが各種の入力操作を行うための操作ボタンおよびタッチパネル等を有する入力部と、各種の情報等を表示する液晶表示パネル等からなる表示部(いずれも不図示)とを備える。
【0028】
<本体制御部の構成>
次に、本体制御部40の構成について、具体的に説明する。図2は、画像形成装置1の機能を示すブロック図である。
【0029】
図2に示すように、本体制御部40は、印刷制御部410と、搬送制御部420と、記憶部430とを備える。
【0030】
印刷制御部410は、インクジェットヘッド部20を制御して、用紙Pに画像を印刷する印刷処理を実行する。
【0031】
搬送制御部420は、給紙/搬送部10を制御することにより、複数の用紙Pの搬送を制御する。本発明の実施形態において、搬送制御部420は、搬送制御装置を構成する。
【0032】
搬送制御部420は、取得部421と、領域特定部422と、重送検知部423とを備える。
【0033】
取得部421は、複数の用紙Pそれぞれの表示画像を示す表示画像データを取得する。具体的に、取得部421は、記憶部430に記憶される表示画像データを取得する。表示画像は、用紙全体に表示される画像を意味する。
【0034】
領域特定部422は、表示画像データに基づいて、複数の用紙Pにおいて表示色が共通する共通色領域を特定する。具体的に、領域特定部422は、複数の用紙Pのそれぞれの表示画像データを参照し、表示画像データに含まれる同一位置の画素の画素値を比較する。
【0035】
例えば、画素値がRGB値によって表現される場合、領域特定部422は、複数の用紙Pのそれぞれの表示画像データを参照して、同一位置の画素同士のRGB値を比較する。そして、領域特定部422は、R値の差とG値の差とB値の差とが、いずれも所定の閾値以下となる画素を特定する。領域特定部422は、用紙全体の画素を対象にRGB値の差を比較し、所定の閾値以下となる画素からなる領域を共通色領域として特定する。
【0036】
重送検知部423は、用紙Pの搬送中に、用紙Pに照射された光の受光量を示す信号を取得する。そして、重送検知部423は、共通色領域に照射した光の受光量に基づいて、用紙Pの重送を検知する。重送検知部423は、重送を検知した場合、操作パネル部60にエラーを表示する。
【0037】
記憶部430は、画像形成装置1の処理に用いられる各種情報を記憶する。記憶部430は、ハードディスクなどの装置によって構成される。記憶部430に記憶される情報は、本体制御部40内の各部によって参照される。実施形態では、記憶部430は、複数の用紙Pのそれぞれの表示画像データを記憶する。
【0038】
<画像形成装置の動作>
次に、画像形成装置1の動作について説明する。具体的に、画像形成装置1が、用紙Pを搬送する際に、用紙Pの重送を検知する動作について説明する。図3は、画像形成装置1の動作を示すフローチャートである。
【0039】
ここで、画像形成装置1によって搬送される複数の用紙Pには、所定画像を形成した画像形成済用紙が含まれることにより、表示画像の相違する用紙が含まれているものとする。
【0040】
まず、ステップS10において、画像形成装置1では、用紙Pの搬送を開始する前に、取得部421が、複数の用紙Pのそれぞれの表示画像を示す表示画像データを取得する。具体的に、取得部421は、記憶部430から複数の用紙Pのそれぞれの表示画像データを取得する。
【0041】
ステップS20において、領域特定部422は、表示画像データに基づいて、複数の用紙Pにおいて表示色が共通する共通色領域を特定する。
【0042】
ここで、複数の用紙Pには、画像形成済用紙が含まれることにより、表示画像の相違する用紙が含まれる。この場合、下記に示すように第1〜第2のケースが想定される。以下に、図4〜5を参照しながら、第1〜第2のケースにおいて、領域特定部422が共通色領域を特定する動作について説明する。なお、図4〜5では、用紙Pの搬送方向がY方向により示されており、Y方向に直交する用紙幅方向(図1の前後方向)がX方向により示されている。
【0043】
まず、第1のケースは、複数の用紙Pが、何の画像も形成されていない未形成用紙(例えば、白紙又はカラー紙)と、画像形成済用紙とによって構成されるケースである。
【0044】
第1のケースでは、未形成用紙の表示画像Aは、図4(a)に示すように、用紙Pの用紙色により表される用紙画像NPからなる。よって、表示画像データは、用紙画像NPを示す用紙画像データのみを含む。また、画像形成済用紙の表示画像Bは、図4(b)に示すように、所定画像PAと用紙画像NPとによって構成される。よって、表示画像Bを示す表示画像データは、用紙Pに予め形成される所定画像PAを示す所定画像データと、用紙Pの用紙色により表される用紙画像NPを示す用紙画像データとを含む。
【0045】
そして、第1のケースでは、領域特定部422は、図4(c)に示すように、未形成用紙の表示画像Aを示す表示画像データと、画像形成済用紙の表示画像Bを示す表示画像データとを比較して、用紙画像NPの領域の中で表示色が共通する共通色領域Tを特定する。
【0046】
一方、第2のケースでは、複数の用紙Pの全てが、画像形成済用紙によって構成されるケースである。具体的に、第2のケースでは、複数の用紙Pが、所定画像を形成した第1画像形成済用紙と、所定画像を形成した第2画像形成済用紙とによって構成される。
【0047】
第1画像形成済用紙の表示画像Aは、図5(a)に示すように、第1所定画像PAと用紙画像NPとによって構成される。よって、第1画像形成済用紙の表示画像Aを示す表示画像データは、第1所定画像PAを示す所定画像データと、用紙画像NPを示す用紙画像データとを含む。また、第2画像形成済用紙の表示画像Bは、図5(b)に示すように、第2所定画像PAと用紙画像NPとによって構成される。よって、第2画像形成済用紙の表示画像Bを示す表示画像データは、第2所定画像PAを示す所定画像データと、用紙画像NPを示す用紙画像データとを含む。
【0048】
そして、第2のケースでは、領域特定部422は、図5(c)に示すように、第1画像形成済用紙の表示画像Aを示す表示画像データと第2画像形成済用紙の表示画像Bを示す表示画像データとを比較して、用紙画像NPの領域の中で表示色が共通する共通色領域T1〜T2と、第1〜第2所定画像PAの領域の中で表示色が共通する共通色領域T3とを、共通色領域Tとして特定する。
【0049】
ステップS30において、画像形成装置1では、給紙/搬送部10が、用紙Pの搬送を開始する。
【0050】
ステップS40において、重送検知部423は、用紙Pの搬送中に、共通色領域Tに照射された光の受光量を示す信号を取得する。そして、重送検知部423は、領域特定部422によって特定された共通色領域Tに照射した光の受光量に基づいて、用紙Pの重送を検知する。
【0051】
具体的に、重送検知部423は、1枚目(最初)に搬送される用紙Pの共通色領域Tに照射された光の受光量を基準受光量として設定する。そして、重送検知部423は、2枚目以降に搬送される用紙Pの共通色領域Tに照射された光の受光量と基準受光量とを比較して、重送を検知する。
【0052】
例えば、2枚目以降に搬送された用紙Pの受光量と基準受光量との差が所定閾値以下である場合、重送検知部423は、2枚目以降に搬送された用紙Pに重送が発生したものとして検知する。
【0053】
また、重送検知部423は、用紙Pの搬送中に、用紙センサ部30を制御して、共通色領域Tのみに光を照射させて、共通色領域Tに照射した光の受光量を示す信号のみを取得してもよい。また、重送検知部423は、用紙Pの搬送方向に連続して照射された光の受光量を示す信号を取得した後、共通色領域Tに照射された光の受光量を示す信号のみを抽出してもよい。
【0054】
ステップS50において、画像形成装置1では、給紙/搬送部10が、用紙Pの搬送を完了した場合(ステップS50“Yes”)、動作を終了する、一方で、給紙/搬送部10が、用紙Pの搬送を完了していない場合(ステップS50“No”)、ステップS40の動作を繰り返す。
【0055】
<作用及び効果>
以上のように、本発明の第1実施形態に係る画像形成装置1では、領域特定部422は、用紙Pの表示画像データに基づいて、複数の用紙Pにおいて表示色が共通する共通色領域Tを特定し、重送検知部423は、共通色領域Tに照射した光の受光量に基づいて、用紙Pの重送を検知する。これにより、複数の用紙Pに画像形成済用紙が含まれていても、共通色領域Tに照射した光の受光量によって用紙Pの重送を検知できるため、表示色の違いに起因して受光量が低下してしまうことを防止できる。
【0056】
ここで、複数の用紙Pに画像形成済用紙が含まれている場合に重送を検出する手法としては、画像データごとに重送を検出するための受光量の閾値を予め求めておき、搬送しているときに閾値を読み出して重送を検出することも考えられる。しかし、この場合、用紙P毎に閾値を切り替える処理となるため、検出処理が煩雑になる。一方、本発明の第1実施形態に係る画像形成装置1では、共通色領域Tに照射した光の受光量によって用紙Pの重送を検知する。すなわち、各用紙で共通の受光量の閾値により重送を検出することができるため、検出処理が容易になる。このように、搬送される複数の用紙Pに画像形成済用紙が含まれる場合であっても、簡易な処理で重送の誤検出を低減することができる。
【0057】
また、本発明の第1実施形態に係る画像形成装置1では、画像形成済用紙の表示画像を示す表示画像データは、予め形成される所定画像を示す所定画像データと、用紙色により表される用紙画像を示す用紙画像データとを含む。これにより、領域特定部422は、画像形成済用紙を含む複数の用紙Pにおいて、所定画像が形成される領域と、用紙色により表される用紙画像が形成される領域との両方を対象として、共通色領域Tを特定できるため、いずれか一方の領域のみを対象とする場合に比べて、共通色領域Tをより広く特定できる。よって、重送を検出するための共通色領域Tをより広く確保できるので、共通色領域Tが狭い場合に比べて、検出する受光量のサンプル数を増やすことが可能になり、この結果、重送の検出精度を高めることができる。
【0058】
[本発明のその他の実施形態]
以上、上述の実施形態を用いて本発明について詳細に説明したが、当業者にとっては、本発明が本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。
【0059】
例えば、上述した実施形態では、画像形成装置1は、インクジェット方式による印刷装置である場合を例に挙げて説明したが、これに限定されない。画像形成装置1は、孔版印刷方式により印刷する孔版印刷装置であってもよいし、電子写真方式(所謂、トナー方式)により印刷するトナー印刷装置であってもよい。
【0060】
また、例えば、上述した実施形態では、搬送制御装置が、画像形成装置1に備えられている場合を一例として説明したが、これに限定されない。搬送制御装置は、用紙を搬送する様々な装置に適用することが可能である。
【0061】
また、例えば、上述した実施形態では、受光部30bが、搬送経路RCを挟んで発光部30aに対向して配置されていたが、発光部30aと同一側に配置されていてもよい。この場合、受光部30bは、発光部30aから照射された光の反射光を受光することにより、受光量を示す信号を出力する。
【0062】
また、例えば、上述した実施形態では、領域特定部422は、用紙Pの片面に表示される表示画像を示す表示画像データに基づいて、共通色領域Tを特定していたが、用紙Pの両面に表示される表示画像を示す表示画像データに基づいて、共通色領域Tを特定してもよい。
【0063】
この場合、表面に表示される表示画像を示す表示画像データから第1共通色領域を特定し、裏面に表示される表示画像を示す表示画像データから第2共通色領域を特定する。ここで、第1共通色領域の座標系と第2共通色領域との座標系とは、表裏のそれぞれで異なるため、領域特定部422は、両座標系を共通化させる。具体的に、領域特定部422は、所定軸(例えば、図4に示すY軸)を基準とした鏡映変換により、第2共通色領域(又は第1共通色領域)の座標を変換する。そして、領域特定部422は、第1共通色領域と変換後の第2共通色領域との重複領域(又は第2共通色領域と変換後の第1共通色領域との重複領域)を重送検知するための共通色領域として特定する。
【0064】
このように、本発明は上記実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。
【符号の説明】
【0065】
1…画像形成装置
10…給紙/搬送部
10a…給紙台
10b…給紙ローラ
10c,10d…レジストローラ
10e…搬送ベルト
20…インクジェットヘッド部
30…用紙センサ部
30a…発光部
30b…受光部
40…本体制御部
50…スキャニング部
60…操作パネル部
410…印刷制御部
420…搬送制御部
421…取得部
422…領域特定部
423…重送検知部
430…記憶部

図1
図2
図3
図4
図5