特許第6591922号(P6591922)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6591922
(24)【登録日】2019年9月27日
(45)【発行日】2019年10月16日
(54)【発明の名称】試料保持具
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/683 20060101AFI20191007BHJP
【FI】
   H01L21/68 N
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-64958(P2016-64958)
(22)【出願日】2016年3月29日
(65)【公開番号】特開2017-183368(P2017-183368A)
(43)【公開日】2017年10月5日
【審査請求日】2018年10月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】山口 美紀
【審査官】 山口 大志
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−270454(JP,A)
【文献】 特開2011−210931(JP,A)
【文献】 特開2014−075525(JP,A)
【文献】 特開2015−124116(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/683
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
セラミックスからなり主面に試料保持面を有するセラミック積層体と、該セラミック積層体の別々の層間にそれぞれ設けられた同様の形状を有する複数の発熱抵抗体と、前記セラミック積層体中に積層方向に伸びるように設けられた複数の接続導体とを備えており、
前記複数の発熱抵抗体のそれぞれは、仮想円上にx°(x=180/n)(nは1以上の自然数)ずつ間隔を空けて配置された幅広部を具備する点対称形状の環状パターンを有するとともに、
前記複数の発熱抵抗体は、同一中心に対してx°ずつ回転させて2n箇所の層間に1つずつ設けられており、
前記幅広部のうち前記仮想円上で対向する2箇所に前記接続導体が接続されていることによって、前記複数の発熱抵抗体のうち隣り合うもの同士が接続されており、
前記接続導体が前記積層方向に伸びる複数のビアから成り、
前記接続導体の少なくとも2つが前記幅広部を挟んで連続しているとともに、前記幅広部を挟む前記接続導体の前記複数のビアが、前記積層方向に重ならないように位置していることを特徴とする試料保持具。
【請求項2】
前記複数の発熱抵抗体が、積層順にx°ずつ回転させて配置されていることを特徴とする請求項1に記載の試料保持具。
【請求項3】
請求項1または請求項に記載の試料保持具であって、前記セラミック積層体の一方の主面に前記試料保持面を有するとともに、他方の主面に金属部材が設けられた試料保持具と、貫通孔を有する筐体とを備えており、前記セラミック積層体および前記金属部材が前記貫通孔を塞ぐように前記筐体に取り付けられていることを特徴とする試料処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体集積回路の製造工程または液晶表示装置の製造工程等において、半導体ウエハ等の各試料を保持するために用いられる、試料保持具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
試料保持具として、例えば、特許文献1に開示されたウエハ保持装置が知られている。特許文献1に開示されたウエハ保持装置においては、セラミック基体の内部にほぼ同一パターン形状を有する抵抗発熱体が少なくとも2つ以上埋設されている。各抵抗発熱体は、位置をずらして配置されている。これにより、抵抗発熱体の厚みバラツキによる発熱ムラが低減されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−270454
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
抵抗発熱体の厚みバラツキによる発熱ムラをさらに低減することを目的として、抵抗発熱体の数を増やすことが考えられる。このとき、抵抗発熱体の数が増加するに従って、抵抗発熱体に電力を供給するための端子の数が増加する。端子はセラミック体に設けられることから、この端子の数が増加するに従って、端子からの熱引きの影響が大きくなるおそれがあった。その結果、試料保持具の均熱性を更に高めることが困難であった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の試料保持具は、セラミックスからなり上面に試料保持面を有するセラミック積層体と、該セラミック積層体の別々の層間にそれぞれ設けられた同様の形状を有する複数の発熱抵抗体と、前記セラミック積層体中に積層方向に伸びるように設けられた複数の接続導体とを備えており、前記複数の発熱抵抗体のそれぞれは、仮想円上にx°(x=18
0/n)(nは1以上の自然数)ずつ間隔を空けて配置された幅広部を具備する点対称形状の環状パターンを有するとともに、前記複数の発熱抵抗体は、同一中心に対してx°ずつ回転させて2n箇所の層間に1つずつ設けられており、前記幅広部のうち前記仮想円上で対向する2箇所に前記接続導体が接続されていることによって、前記複数の発熱抵抗体のうち隣り合うもの同士が接続されており、前記接続導体が前記積層方向に伸びる複数のビアから成り、前記接続導体の少なくとも2つが前記幅広部を挟んで連続しているとともに、前記幅広部を挟む前記接続導体の前記複数のビアが、前記積層方向に重ならないように位置していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明の試料保持具は、複数の発熱抵抗体のそれぞれは、仮想円上にx°(x=180/n)(nは1以上の自然数)ずつ間隔を空けて配置された幅広部を具備する点対称形状の環状パターンを有するとともに、複数の発熱抵抗体は、同一中心に対してx°ずつ回転させて2n箇所の層間に1つずつ設けられており、幅広部のうち仮想円上で対向する2箇所に接続導体が接続されていることによって、複数の発熱抵抗体のうち隣り合うもの同士が接続されている。これにより、発熱抵抗体が接続導体によって並列に接続された状態になることから、発熱抵抗体に電力を供給するための端子の数の増加を低減できる。これにより、端子からの熱引きの影響を低減することができる。その結果、試料保持具の均熱性を更に向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の一実施形態の試料保持具およびこれを用いた試料処理装置の概略断面図である。
図2図1に示す試料保持具の縦断面図である。
図3】試料保持具内における発熱抵抗体の接続関係を示す概略斜視図である。
図4】試料保持具内における発熱抵抗体の接続関係の別の例を示す概略斜視図である。
図5】(a)発熱抵抗体のパターンの形状を示す横断面図である。(b)(a)で示した発熱抵抗体の上面を示す拡大図である。(c)(a)で示した発熱抵抗体の下面を示す拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の一実施形態の試料保持具10およびこれを備えた試料処理装置100について詳細に説明する。
【0009】
図1に示すように、試料処理装置100は、筐体5と筐体5の内部に設けられた試料保持具10とを備えている。試料処理装置100は、例えば、半導体製造装置として用いられる。この場合には、筐体5はいわゆるチャンバーとして用いられ、試料保持具10には、例えば、シリコンウエハ等が保持される。
【0010】
筐体5は、下側に開口する貫通孔50を有しており、この貫通孔50を塞ぐように試料保持具10が取り付けられている。具体的には、試料保持具10のうち金属部材4が筐体5の貫通孔50を囲んでいるとともに、金属部材4とセラミック積層体1とによって貫通孔50を塞いでいる。金属部材4は、筐体5に接合されるとともに、セラミック積層体1の試料保持面11が露出する筐体5内の空間を筐体5およびセラミック積層体1と共に封止している。
【0011】
図2に示すように、試料保持具10は、一方の主面に試料保持面11を有するセラミック積層体1と、セラミック積層体1の層間に設けられた複数の発熱抵抗体2とを備えている。試料保持具10は、セラミック積層体1の他方の主面に設けられた金属部材4をさらに備えている。また、図2には示していないが、試料保持具10は、隣り合う発熱抵抗体2を接続する接続導体3を備えている。
【0012】
セラミック積層体1は、試料を保持するための部材である。セラミック積層体1は積層体から成る。セラミック積層体1は、例えば、円板状の部材である。セラミック積層体1は一方の主面に試料保持面11を有する。
【0013】
セラミック積層体1は、例えば、窒化アルミニウム等のセラミック材料から成る。セラミック積層体1は、例えば、複数のグリーンシートを積層して、これを窒素雰囲気中で焼成することによって得ることができる。セラミック積層体1の内部には発熱抵抗体2および接続導体3が設けられている。また、必要に応じて、セラミック積層体1の内部に、静電吸着用電極6が設けられていてもよい。このような構成にするためには、上述した焼成前の複数のグリーンシートのうち所望のグリーンシートにスクリーン印刷法等を用いて、焼成後に発熱抵抗体2または静電吸着用電極6と成るパターンを印刷しておけばよい。また、接続導体3については、例えば、グリーンシートを貫通するようにビアホール導体を設けることによって形成してもよい。
【0014】
セラミック積層体1の寸法は、例えば、主面の直径を30〜500mm程度に、厚みを5〜25mm程度に設定できる。
【0015】
金属部材4は、セラミック積層体1を保持するための部材である。図2に示すように、金属部材4は、セラミック積層体1の他方の主面に設けられた鍔部41および鍔部41か
らセラミック積層体1から離れるように伸びる筒部42を有する。鍔部41はセラミック積層体1の他方の主面に接合されている。鍔部41および筒部42は一体的に形成することができる。鍔部41および筒部42は、例えば、Fe−Ni−Co等の耐熱性および生産性に優れた金属材料から成る。
【0016】
金属部材4において、鍔部41は、セラミック積層体1の他方の主面に接合される部位である。鍔部41は、環状の部位であって、セラミック積層体1の他方の主面に設けられている。より詳しくは、鍔部41は円環状の部位である。鍔部41の寸法は、例えば、内径を20〜450mm程度に、円環の幅を2〜20mm程度に設定できる。鍔部41と筒部42の厚みは、例えば、0.2〜2mmに設定できる。なお、鍔部41の内径は、セラミック積層体1の他方の主面に配置される各種の端子(図示せず)の配置および試料処理装置100の内部にガスを導入するためにセラミック積層体1に設けられるガス供給孔(図示せず)等の配置等を踏まえて設定される。また、鍔部41の円環の幅は、セラミック積層体1と金属部材4との接合強度を十分に確保できるように設定される。
【0017】
鍔部41とセラミック積層体1とはろう材によって接合されている。ろう材としては、例えば、銀ろう、または、銀銅ろうを用いることができる。鍔部41とセラミック積層体1との接合をより良好に行なうために、セラミック積層体1の他方の主面にはメタライズ層(図示せず)が設けられている。メタライズ層は、鍔部41の形状に対応して設けられている。具体的には、円環状の鍔部41に対応するように、メタライズ層も円環状である。メタライズ層としては、例えば、Ag−Cu−Ti系合金等を用いることができる。
【0018】
発熱抵抗体2は、セラミック積層体1の試料保持面11に保持された試料を加熱するための部材である。発熱抵抗体2は、セラミック積層体1の別々の層間に複数設けられている。発熱抵抗体2に電圧を印加することによって、発熱抵抗体2を発熱させることができる。発熱抵抗体2で発せられた熱は、セラミック積層体1の内部を伝わって、セラミック積層体1の主面(図2における上面)における試料保持面11に到達する。これにより、試料保持面11に保持された試料を加熱することができる。発熱抵抗体2は、複数の折り返し部を有する線状のパターンであって、セラミック積層体1の層間のほぼ全面に形成されている。具体的には、同心円状に配列された複数の折り返し部を有する線状パターンがセラミック積層体1の1つの層間のほぼ全体に形成されている。発熱抵抗体2は、発熱密度が一定となるように形成されている。これにより、試料保持具10の上面において熱分布にばらつきが生じることを抑制できる。
【0019】
発熱抵抗体2は、導体成分およびセラミック成分を含んでいる。導体成分としては、例えばタングステン又は炭化タングステンからなる金属材料を含んでいる。セラミック成分としては、窒化アルミニウム等セラミック積層体1と同じ成分からなる粉末を含んでいる。
【0020】
図2、3に示すように、本実施形態の試料保持具10は、セラミックスからなり上面に試料保持面11を有するセラミック積層体1と、セラミック積層体1の別々の層間にそれぞれ設けられた同様の形状を有する複数の発熱抵抗体2と、セラミック積層体1中に積層方向に伸びるように設けられた複数の接続導体3とを備えている。
【0021】
複数の発熱抵抗体2のそれぞれは、仮想円上にx°(x=180/n)(nは1以上の自然数)ずつ間隔を空けて配置された幅広部21を具備する点対称形状の環状パターンを有している。複数の発熱抵抗体2は、同一中心に対してx°ずつ回転させて2n箇所の層間に1つずつ設けられている。
【0022】
一般的に、発熱抵抗体2を例えば印刷で形成する場合に、厚みを均等にしようとしても
、印刷条件および装置環境に依存して、特定の部位が厚くなったり、薄くなったりする傾向にある。そのため、発熱抵抗体2の厚みにバラツキが生じてしまい、発熱の分布にムラが生じてしまうおそれがある。この傾向は、上述したとおり印刷条件および装置環境に依存するものであるため、ランダムに生じるわけではなく一定の再現性をもって生じる。
【0023】
本実施形態の試料保持具10のように、同様の形状を有する発熱抵抗体2をx°ずつずらして(回転させて)配置することによって、1つ1つの発熱抵抗体2の発熱の分布にムラがあったとしても、このムラを平面方向で見たときに、周方向に均等に分布させることができる。その結果、複数の発熱抵抗体2の全体で見たときの発熱の分布のムラを低減することができる。
【0024】
ここで、幅広部21がx°ずつずらして配置されているとともに、複数の発熱抵抗体2がx°ずつずらして配置されていることによって、隣り合う発熱抵抗体2の幅広部21同士は、セラミック積層体1の積層方向に重なるように位置することになる。
【0025】
さらに、x=180/nであることによって、幅広部21が仮想上で対向する2箇所に存在することになる。そして、発熱抵抗体2が点対称形状の環状パターンであることから、2箇所の幅広部21のそれぞれに接続導体3を接続したときに、1つの発熱抵抗体2における発熱量を一定にすることができる。具体的には、発熱抵抗体2のうち2箇所の幅広部21にそれぞれ接続導体3を接続したときには、2つの接続導体3の間には2つの電流経路が存在することになる。例えば、図3に示す発熱抵抗体2においては、接続導体3が接続された幅広部21から、時計回りに進む電流と、半時計周りに進む電流とが生じることになる。このとき、発熱抵抗体2が点対称の形状であることによって、時計回りに進む場合の抵抗と半時計周りに進む抵抗とを等しくすることができる。そのため、時計回りに進む電流量と半時計周りに進む電流量を等しくできる。これらの結果、1つの発熱抵抗体2における発熱量に偏りが生じることを低減できる。
【0026】
このような、発熱抵抗体2をx°ずつずらして複数設けるとともに、幅広部21のうち仮想円上で対向する2箇所に接続導体3が接続されていることによって、複数の発熱抵抗体2のうち隣り合うもの同士が接続されている。
【0027】
これにより、発熱抵抗体2が接続導体3によって並列に接続された状態になることから、発熱抵抗体2に電力を供給するための端子の数の増加を低減できる。これにより、端子からの熱引きの影響を低減することができる。その結果、試料保持具10の均熱性を更に向上できる。
【0028】
図3においては、n=2の場合を示している。すなわち、x=90であるとともに、4箇所の層間に発熱抵抗体2が設けられている。図3に示す、複数の発熱抵抗体2は、上側から1層目を基準として、時計回りに、2層目が1層目を90°ずらして配置されており、3層目が1層目を180°ずらして配置されており、4層目が1層目を270°ずらして配置されている。言い換えると、1層目から見て2層目は90°ずらして、2層目から3層目も90°ずらして、3層目から4層目も90°ずらして配置されている。
【0029】
そして、1層目と2層目とが接続導体3で接続されるとともに、3層目と4層目とが接続導体3で接続されている。発熱抵抗体2が4つの層に設けられているが、1層目と2層目および3層目と4層目とが接続されていることによって、発熱抵抗体2に接続される端子の数を少なくすることができる。これにより、端子からの熱引きの影響を低減できる。
【0030】
なお、ここでいう環状パターンとは、それぞれの発熱抵抗体2のパターンが一回りしていることを意味している。そのため、発熱抵抗体2の形状を限定するものではない。具体
的には、発熱抵抗体2は、円状であってもよいし、四角状であってもよい。
【0031】
また、図3に示すように、試料保持具10は、複数の発熱抵抗体2が、積層順にx°ずつ回転させて配置されていてもよい。これにより、仮に発熱抵抗体2に厚みのバラツキが生じたとしても、厚い箇所と薄い箇所を徐々にずらしながら配置することができるので、試料保持具10を全体としてみたときに、歪が生じてしまうおそれを低減できる。
【0032】
また、図4に示すように、接続導体3が幅広部21を挟んで連続していてもよい。これにより、少なくとも3つの発熱抵抗体2を接続導体3で接続することができるので、発熱抵抗体2に接続される端子の数をさらに少なくできる。その結果、端子からの熱引きの影響を低減できる。
【0033】
次に接続導体3について説明する。1つの接続導体3は、例えば、セラミック積層体1の積層方向に伸びる複数のビア31(ビアホール導体)から成る。具体的には、図5に示すように、1つの接続導体3は例えば4つのビア31から成る。なお、図5の(b)および(c)は、発熱抵抗体2の上面および下面を示す図であるため、厳密にはビア31は見えないはずであるが、理解を助けることを目的として、発熱抵抗体2における接続導体3(複数のビア31)との接続部分を「ビア31」として示している。
【0034】
1つの接続導体3が複数のビア31から成ることによって、仮に、ビア31のうちの1つに導通不良が生じたとしても、他のビア31で導通を確保できる。その結果、試料保持具10の信頼性を向上できる。加えて、複数のビア31で導通を確保していることによって、1つ1つのビア31を細くすることができる。その結果、ビア31の熱膨張によるセラミック積層体1への熱応力の発生を低減できる。
【0035】
また、接続導体3の少なくとも2つが幅広部21を挟んで連続しているとともに、幅広部21を挟む接続導体3の複数のビア31が、セラミック積層体1の積層方向に重ならないように位置していてもよい。ヒートサイクル下において、幅広部21にクラックが生じるおそれを低減できる。
【0036】
具体的には、ビア31がセラミック積層体1の積層方向に熱膨張したときに、ビア31が幅広部21を押すことによって幅広部21に熱応力が生じる。このとき、ビア31がセラミック積層体1の積層方向に重なるように位置していると、ビア31に挟まれた幅広部21に両方のビア31から押されることによって幅広部21に生じる熱応力が大きくなり、クラックが生じるおそれがある。そこで、セラミック積層体1の積層方向に重ならないようにビア31を位置させておくことによって、接続導体3により3つ以上の発熱抵抗体2を接続しつつも、幅広部21にクラックが生じるおそれを低減できる。
【0037】
例えば、図5に示すように、幅広部21の上側に位置する接続導体3における4つのビア31が、4つのビア31の中心から見て、上下左右に配置されている。また、幅広部21の下側に位置する接続導体3における4つのビア31が、4つのビア31の中心から見て、右上、右下、左下、左上に配置されている。言い換えると、4つのビア31の位置関係が、幅広部21の上側と下側とで45°ずらして(回転させて)配置されている。このように、ビア31がセラミック積層体1の積層方向に重ならないように位置していることによって、熱応力を低減することができる。また、複数のビア31を円周上に等間隔に配置するとともに、幅広部21の上側と下側とで同じ円周上にずらして配置することによって、熱応力が偏って発生することを低減できる。
【符号の説明】
【0038】
1:セラミック積層体
2:発熱抵抗体
21:幅広部
3:接続導体
31:ビア
4:金属部材
5:筐体
10:試料保持具
100:試料処理装置
図1
図2
図3
図4
図5