(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【技術分野】
【0001】
(メタ)アクリル酸のアルキルエステルを調製する一方法は、触媒の存在下で、(メタ)アクリル酸をアルキルアルコールと反応させることである。一部の有用な触媒は、強酸性陽イオン交換樹脂(「SAC樹脂」)である。歴史的に、SAC樹脂は、2つのタイプ:ゲル樹脂またはマクロ多孔性樹脂のうちの1つとして利用可能であった。歴史的に、典型的なゲル樹脂は、ポロゲンの使用を伴わずに作製され、比較的低レベルの架橋を伴って作製された一方、それらは、触媒として使用されるときに有効である傾向があり、それらは、乏しい物理的靭性を有する傾向があった。歴史的に、典型的なマクロ多孔性樹脂は、ポロゲンを伴って、かつ比較的高レベルの架橋を伴って作製され、それらは、触媒として使用されるときにあまり有効でない傾向があったが、それらは、良好な物理的靭性を有する傾向があった。このため、過去において、触媒が所望されたとき、ゲル樹脂とマクロ多孔性樹脂との間で選択することが必要であった。つまり、触媒有効性または物理的靭性のいずれかを犠牲にする必要があった。
【0002】
米国特許第5,866,713号は、(メタ)アクリル酸エステルを調製する方法を開示する。米国特許第5,866,713号の方法は、強酸性イオン交換樹脂の存在下で、(メタ)アクリル酸をC
1−3アルコールと反応させることを含む。米国特許第5,866,713号によって開示される樹脂はいずれも、高レベルの触媒有効性及び高レベルの物理的強度の両方を有しない。高レベルの触媒有効性及び高レベルの物理的強度の両方を有する樹脂を提供することが所望される。
【0003】
以下は、本発明の記載である。
【0004】
本発明の第1の態様は、複数の樹脂ビーズを作製する方法であり、
(a)モノビニル芳香族モノマー、マルチビニル芳香族モノマー、及びポロゲンを含む反応混合物を提供することであって、
(i)前記モノビニル芳香族モノマーの量が、前記モノビニル芳香族モノマーの重量+前記マルチビニル芳香族モノマーの重量に基づく重量で、93%〜96%であり、
(ii)前記マルチビニル芳香族モノマーの量が、前記モノビニル芳香族モノマー重量+前記マルチビニル芳香族モノマーの重量に基づく重量で、4%〜6.5%であり、
(iii)ポロゲンの量が、前記モノビニル芳香族モノマーの重量+前記マルチビニル芳香族モノマーの重量に基づく重量で、34.5%〜39%である、提供することと、
(b)前記反応混合物において水性懸濁液重合を実施して、樹脂ビーズを形成することと、
(c)前記樹脂ビーズをスルホン化することと、を含む。
【0005】
本発明の第2の態様は、第1の態様の方法によって作製される複数の樹脂ビーズである。
【0006】
本発明の第3の態様は、複数の樹脂ビーズであり、前記樹脂ビーズは、
(i)前記樹脂ビーズの重量に基づく重量で、93%〜96%のモノビニル芳香族モノマーの重合単位と、
(ii)前記樹脂ビーズの重量に基づく重量で、4%〜7%のマルチビニル芳香族モノマーの重合単位と、を含み、
前記樹脂ビーズは、15〜38m
2/gのBET表面積、及び0.7以上の体積容量を有する。
【0007】
本発明の第4の態様は、1つ以上の反応物質の化学反応の生成物を作製する方法であり、前記方法は、第2の態様または第3の態様の複数の樹脂ビーズの存在下で、前記1つ以上の反応物質を互いと反応させることを含む。
【0008】
以下は、発明を実施するための形態である。
【0009】
本明細書において使用される際、別途文脈がそうでないことを明確に示さない限り、以下の用語は、指定された定義を有する。
【0010】
「樹脂」は、本明細書において使用される際、「ポリマー」と同義語である。「ポリマー」は、本明細書において使用される際、より小さい化学的繰り返し単位の反応生成物で構成される比較的大きい分子である。ポリマーは、直鎖、分岐、星形、ループ、超分岐、架橋、またはこれらの組み合わせである構造を有し得、ポリマーは、単一のタイプの繰り返し単位(「ホモポリマー」)を有し得るか、またはそれらは、2つ以上のタイプの繰り返し単位(「コポリマー」)を有し得る。コポリマーは、ランダムに、逐次に、ブロックで、他の構成で、またはこれらの任意の混合もしくは組み合わせで構成される、種々のタイプの繰り返し単位を有し得る。
【0011】
互いと反応して、ポリマーの繰り返し単位を形成することができる分子は、本明細書において、「モノマー」として知られる。そのように形成された繰り返し単位は、本明細書において、モノマーの「重合単位」として知られる。
【0012】
ビニルモノマーは、構造
【0013】
【化1】
【0014】
を有し、式中、R
1、R
2、R
3、及びR
4の各々は、独立して、水素、ハロゲン、脂肪族基(例えば、アルキル基等)、置換脂肪族基、アリール基、置換アリール基、別の置換もしくは非置換有機基、またはこれらの任意の組み合わせである。本明細書において使用される際、「(メタ)アクリル」は、アクリルまたはメタクリルを意味し、「(メタ)アクリレート」は、アクリレートまたはメタクリレートを意味する。本明細書において使用される際、ビニル芳香族モノマーは、R
1、R
2、R
3、及びR
4のうちの1つ以上が、1つ以上の芳香族環を含有するモノマーである。モノビニル芳香族モノマーは、1つの分子あたり厳密に1つの非芳香族炭素・炭素二重結合を有するビニル芳香族モノマーである。マルチビニル芳香族モノマーは、1つの分子あたり2つ以上の非芳香族炭素・炭素二重結合を有するビニル芳香族モノマーである。
【0015】
ビーズは、材料の粒子である。ビーズは、球状または略球状である。ビーズのサイズは、ビーズの集合体の体積基準での平均直径によって特徴付けられる。ビーズは、0.1〜2mmの平均直径を有する。樹脂ビーズは、ビーズの組成が、ビーズの重量に基づく重量で、80%以上の量でポリマーを含有するビーズである。
【0016】
ビーズの集合体の一部の特徴は、以下のとおりに評価される。表面積は、BET(ブルナウアー、エメット、及びテラー(Brunauer,Emmett and Teller))方法によって測定され、試料の単位重量あたりの特徴面積として報告される。細孔体積は、吸着分子として窒素を用いた単点吸着方法によって測定され、試料の単位重量あたりの特徴体積として報告される。細孔サイズは、平均細孔幅(BET方法による4V/A)として評価される。表面積を測定するための試料調製は、好ましくは、以下の手順によって行われる:湿潤樹脂をカラムに充填し、溶媒を逐次溶媒ステップ:メタノール、続いてトルエン及びイソオクタンで交換する;得られる樹脂を35℃〜80℃で真空乾燥させる。
【0017】
水分保持容量(Moisture Hold Capacity(MHC))は、特定の体積の樹脂を湿潤させ、Buchner漏斗で余分な水を除去することによって、測定される。余分な水の除去後、湿潤樹脂の重量を記録する。次いで、樹脂を105℃で12時間オーブン乾燥させ、乾燥重量を記録する。MHCは、以下の方程式から計算されるとおりである:
【0018】
【数1】
【0019】
式中、
MHC=水分保持容量、パーセントとして報告される
W
D=乾燥樹脂の重量(グラム)
W
M=乾燥中に除去された水の重量
【0020】
ビーズの集合体の追加の特徴は、以下のとおりに評価される。体積容量(Vol.Cap.)は、酸性型樹脂の体積を測定することによって測定される。酸性型樹脂のプロトンは、Naで溶出され、プロトンの量は、NaOHでの滴定によって判定される。体積容量の計算は、以下の方程式で行われ、
【0021】
【数2】
【0022】
重量容量(W.Cap.)は、以下の方程式において、樹脂の乾燥基準によって測定され、
【0023】
【数3】
【0024】
式中、
VC=体積容量(Vol.Cap.)(1リットル当たりの当量(eq/L))
V
NaOH=中和のために使用されたNaOH溶液の体積(ミリリットル)
V
Blank,NaOH=中和ブランク試料のために使用されたNaOH溶液の体積(ミリリットル)
N
NaOH=滴定のために使用された濃度(eq/L)
W
moist=W
m=湿潤樹脂に存在する水の重量
V
M=湿潤樹脂の体積(ミリリットル)
上の方程式中の10は、樹脂における陽イオン交換のための1,000mlの溶離液からの滴定のための100mlの試料の場合のものである。
【0025】
ビーズの集合体の更なる特徴は、以下のとおりに評価される。調和平均粒子サイズ(HMPS)は、Beckman Coulter Rapid vue Particle Shape and Size Analyzerによって測定及び報告され、mmの単位で報告される。収縮傾向(MeOH収縮)は、水中の樹脂の体積変化を、水がメタノールと交換されている樹脂の体積と比較することによって測定される。既知の体積の水中の樹脂充填ベッド樹脂は、いくつかのベッド体積のメタノールを通過させることによって交換され、したがって、樹脂から水を除去する。合計少なくとも5ベッド体積のメタノールが、樹脂構造内から水を除去するために必要とされる。樹脂の最終体積は、溶媒交換の最後に記録され、水中の初期体積と比較され、パーセント(%)の単位として報告される。見掛け密度は、水分保持容量(MHC)のように樹脂を脱水し、樹脂を計量し、カラムに充填し、次いで、水でフロープロセスを行い、樹脂ベッドを少なくとも40%膨張させ、水流を停止してから、樹脂をカラムに充填させることによって測定される。最終体積を記録し、重量対最終体積の比率を、25℃における見掛け密度(g/mL)の計算に使用する。
【0026】
化合物は、25℃の100gの溶媒に溶解するその化合物の量が1グラム以下である場合、不溶性であると見なされる。
【0027】
本発明のプロセスは、(i)モノビニル芳香族モノマーと、(ii)マルチビニル芳香族モノマーと、(iii)ポロゲンと、を含有する、反応混合物を含む。
【0028】
好ましくは、モノビニル芳香族モノマーは、非水溶性である1つまたはモノマーを含有する。好ましいモノビニル芳香族モノマーは、スチレン及びアルキル置換スチレンであり、より好ましいのは、スチレン、アルファ−メチルスチレン、エチルスチレン、及びこれらの混合物であり、より好ましいのは、スチレンである。モノビニル芳香族モノマーの量は、モノビニル芳香族モノマー及びマルチビニル芳香族モノマーの重量の合計に基づく重量で、93.5%以上、より好ましくは94%以上である。モノビニル芳香族モノマーの量は、モノビニル芳香族モノマー及びマルチビニル芳香族モノマーの重量の合計に基づく重量で、96%以下、好ましくは95.5%以下、より好ましくは95%以下である。
【0029】
好ましくは、マルチビニル芳香族モノマーは、非水溶性である1つまたはモノマーを含有する。好ましいマルチビニル芳香族モノマーは、ジビニルベンゼンである。マルチビニル芳香族モノマーの量は、モノビニル芳香族モノマー及びマルチビニル芳香族モノマーの重量の合計に基づく重量で、4%以上、好ましくは4.5%以上、より好ましくは5%以上である。マルチビニル芳香族モノマーの量は、モノビニル芳香族モノマー及びマルチビニル芳香族モノマーの重量の合計に基づく重量で、6.5%以下、より好ましくは6%以下である。
【0030】
ポロゲンは、25℃で液体であり、かつ非水溶性である、化合物である。ポロゲンは、反応混合物に存在するモノビニル芳香族モノマー及びマルチビニル芳香族モノマーの混合物において、25℃で可溶性(反応混合物に存在する量で)である。モノビニル芳香族モノマー及びマルチビニル芳香族モノマーの重合によって形成されるポリマーは、ポロゲンにおいて可溶性ではない。好ましいポロゲンは、C
4−C
8アルカン、1分子あたり1つ以上のヒドロキシル基で置換されたC
4−C
10アルカン、アルキル脂肪酸、及びこれらの混合物;より好ましいのは、1分子あたり1つ以上のヒドロキシル基で置換されたC
4−C
10アルカン;より好ましいのは、1分子あたり厳密に1つのヒドロキシル基で置換された分岐C
4−C
8アルカン;最も好ましいのは、4−メチル−2−ペンタノール(メチルイソブチルカルビノール、またはMIBCとも呼ばれる)である。
【0031】
ポロゲンの量は、モノビニル芳香族モノマー及びマルチビニル芳香族モノマーの重量の合計に基づく重量で、34.5%以上、より好ましくは35%以上、より好ましくは35.5%以上である。ポロゲンの量は、モノビニル芳香族モノマー及びマルチビニル芳香族モノマーの重量の合計に基づく重量で、39%以下、好ましくは38%以下、より好ましくは37%以下、より好ましくは36.5%以下である。
【0032】
好ましくは、反応混合物は、1つ以上のモノビニル芳香族モノマー及び1つ以上のマルチビニル芳香族モノマー以外にモノマーを含有しない。
【0033】
本発明の方法において、水性懸濁液重合は、反応混合物において実施される。水性懸濁液重合は、樹脂ビーズが生成されるプロセスである。水性懸濁液重合のプロセスにおいて、好ましくは、反応混合物の液滴は、好ましくは撹拌しながら、水中に分散される。好ましくは、液滴を安定化させるために、1つ以上の懸濁液安定剤が使用される。好ましくは、液滴はまた、液滴において、水に不溶性であり、かつモノマー(複数を含む)に可溶性である、1つ以上の開始剤を含有する。液滴は、任意に、更に、シード粒子を含有する。シード粒子は、懸濁液重合プロセスの前に形成されたポリマー粒子である。好ましくは、開始剤は分解して、1つ以上のフリーラジカルを形成し、これは、フリーラジカルビニル重合を開始し、液滴中のほとんどまたは全てのモノマーをポリマーに変換し、ポリマービーズを形成する。好ましくは、水性懸濁液重合のプロセスは、各液滴を樹脂ビーズに変換する。好ましくは、ポリマーの重合単位に変換されるモノマーの量は、モノビニル芳香族モノマー及びマルチビニル芳香族モノマーの重量の合計に基づく重量で、80%以上、より好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、より好ましくは99%以上である。好ましくは、形成されるポリマーは、非水溶性である。
【0034】
好ましくは、樹脂ビーズの組成は、樹脂ビーズの重量に基づく重量で、93.3%以上、より好ましくは94%以上の量でモノビニル芳香族モノマーの重合単位を有する。好ましくは、樹脂ビーズの組成は、樹脂ビーズの重量に基づく重量で、96%以下、より好ましくは95%以下の量でモノビニル芳香族モノマーの重合単位を有する。
【0035】
好ましくは、樹脂ビーズの組成は、樹脂ビーズの重量に基づく重量で、4%以上、より好ましくは5%以上の量でマルチビニル芳香族モノマーの重合単位を有する。好ましくは、樹脂ビーズの組成は、樹脂ビーズの重量に基づく重量で、7%以下、好ましくは6%以下の量でマルチビニル芳香族モノマーの重合単位を有する。
【0036】
好ましくは、樹脂ビーズが形成された後、それらは、水性懸濁液重合において使用される水から分離される。好ましくは、樹脂ビーズは、熱によって、または次いで蒸発によって除去される水溶性溶媒で洗浄することによって、乾燥させる。好ましくは、ポロゲンもまた、樹脂ビーズから除去される。好ましくは、ポロゲンは、乾燥プロセス中に除去される。必要な場合、ポロゲンは、樹脂ビーズを、後に蒸発によって除去される適切な溶媒で洗浄することによって除去されてもよい。
【0037】
水性懸濁液重合によって形成される樹脂ビーズは、スルホン化される。スルホン化は、スルホン酸基(構造−SO
3Hを有する)がポリマーに付着されるプロセスである。スルホン酸基は、好ましくは、酸性型である。好ましくは、スルホン化のプロセスは、樹脂ビーズを硫酸と反応させることを含む。好ましくは、スルホン化は、樹脂ビーズを、水性懸濁液重合プロセスにおいて使用された水から分離した後に実施される。好ましくは、スルホン化は、水以外の溶媒中で実施される。好ましくは、本発明の樹脂ビーズにおいて、スルホン酸基のモル数を樹脂ビーズの重合単位中の芳香族環のモル数で除算することによって形成される商は、0.8以上、より好ましくは0.9以上である。好ましくは、本発明の樹脂ビーズにおいて、スルホン酸基のモル数を樹脂ビーズの重合単位中の芳香族環のモル数で除算することによって形成される商は、1.2以下、より好ましくは1.1以下である。
【0038】
好ましくは、本発明の樹脂ビーズは、15m
2/g以上、より好ましくは20m
2/g以上、より好ましくは25m
2/g以上、より好ましくは30m
2/g以上のBET表面積を有する。好ましくは、本発明の樹脂ビーズは、38m
2/g以下、より好ましくは35m
2/g以下のBET表面積を有する。
【0039】
好ましくは、本発明の樹脂ビーズは、0.7以上、より好ましくは0.8以上、より好ましくは0.9以上、より好ましくは0.95以上の体積容量(VC)を有する。好ましくは、本発明の樹脂ビーズは、2.0以下、より好ましくは1.7以下、より好ましくは1.3以下の体積容量(VC)を有する。
【0040】
好ましくは、本発明の樹脂ビーズは、0.1cm
3/g以上、より好ましくは0.15cm
3/g以上、より好ましくは0.18cm
3/g以上の細孔体積を有する。好ましくは、本発明の樹脂ビーズは、0.29cm
3/g以下、より好ましくは0.25cm
3/g以下、より好ましくは0.22cm
3/g以下の細孔体積を有する。
【0041】
好ましくは、本発明の樹脂ビーズは、10nm以上、より好ましくは20nm以上の平均細孔直径を有する。好ましくは、本発明の樹脂ビーズは、70nm以下、より好ましくは50nm以下、より好ましくは30nm以下、より好ましくは28nm以下の平均細孔直径を有する。
【0042】
好ましくは、本発明の樹脂ビーズは、64%以上、より好ましくは69.5%以上の水分保持容量(MHC)を有する。好ましくは、本発明の樹脂ビーズは、78%以下のMHCを有する。
【0043】
好ましくは、本発明の樹脂ビーズは、5.13%以上、より好ましくは5.17%以上の重量容量(Wt.Cap.)を有する。好ましくは、本発明の樹脂ビーズは、5.3%以下、より好ましくは5.2%以下のWt.Cap.を有する。
【0044】
樹脂ビーズの集合体の多孔性特徴を評価する別の方法は、分割試験(Partitioning Test)として本明細書において既知である。この試験は、S.J.Kugaによって、Journal of Chromatography,vol.206,pp.449−461,1981において教示されている。樹脂は、必要な場合、Na
+形態に中和され、次いで、20mMの水中のリン酸ナトリウム緩衝溶液で洗浄される。次いで、樹脂は、脱水されて、真空によって樹脂ビーズ上に100%の相対湿度の空気が引かれる、湿潤真空濾過を使用して、ビーズ間から水を除去する。種々のサイズの溶質を含有する試験溶液をビーズと接触させ、混合物を均衡に到達させる。一般的に、非常に小さい溶質は、樹脂ビーズの集合体の中へ比較的容易に拡散し、上清溶液は、その溶質が著減している。同様に、一般的に、非常に大きい溶質は、樹脂ビーズの集合体の中へあまり容易には拡散せず、上清中のその溶質の濃度は、ほぼ未変化のままである。移動相としての20mMの水中のリン酸ナトリウム緩衝溶液(樹脂を洗浄するために使用される溶液と同一)を使用したゲル浸透クロマトグラフィによって、上清を分析し、樹脂ビーズの集合体の中へ拡散した各サイズの溶質の量を判定する。これから、細孔体積(樹脂1グラムあたりのml)を、各個々のサイズの溶質に関して判定する。典型的に、樹脂ビーズの集合体は、0.5nm以下の溶質に対して0.5ml/g以上の細孔体積を有する。多くの樹脂は、あるカットオフ値を呈し、そのサイズのいずれの溶質を上回るサイズも、0.1ml/g以下の細孔体積を有する。
【0045】
本発明の樹脂ビーズに対する好ましい使用は、化学反応のための触媒としてである。好ましくは、1つ以上の反応物質を、複数の本発明の樹脂ビーズの存在下で互いと反応させて、1つ以上の生成物を形成する。好ましい化学反応は、アルドール縮合、脱水、芳香族のアルキル化、縮合、二量化、エステル化、エーテル化、水和、及びこれらの組み合わせである。より好ましいのは、脱水、エステル化、及びこれらの組み合わせである。より好ましいのは、以下のとおりの反応物質及び生成物を有するエステル化反応であり、
【0046】
【化2】
【0047】
式中、R
5及びR
6は、有機基である。好ましくは、R
5は、構造Iに示されるカルボキシル基とともに無水物基を形成することが可能であるカルボキシル基に付着される、ヒドロカルビル基またはヒドロカルビル基のいずれかである。より好ましくは、R
5は、1〜20個の炭素原子を有するヒドロカルビル基であり、より好ましくは、R
5は、8〜20個の炭素原子を有するヒドロカルビル基であるか、または構造IVのヒドロカルビル基であり、
【0048】
【化3】
【0049】
式中、R
7は、水素またはアルキル基であり、より好ましくは、R
7は、水素またはメチルである。より好ましくは、R
5は、構造IVのヒドロカルビル基である。より好ましくは、R
7は、メチルである。好ましくは、R
6は、アルキル基である。より好ましくは、R
6は、1〜20個の炭素原子を有するアルキル基である。より好ましくは、R
6は、8〜20個の炭素原子を有するアルキル基、または1〜4個の炭素原子を有するアルキル基のいずれかである。より好ましくは、R
6は、1〜4個の炭素原子を有するアルキル基であり、より好ましくは、R
6は、メチルである。好ましくは、R
5またはR
6が8個以上の炭素原子を有する基である実施形態の中では、R
5またはR
6のうちの厳密に1つ(しかしながら、両方ではない)が8個以上の炭素原子を有する基であることが好ましい。
【0050】
一部の好ましいエステル化反応は、以下のとおりである。
【0051】
【表1】
【0052】
本発明の樹脂のための使用もまた企図され、ここでは、樹脂は、アルカリ金属またはアルカリ土類ではない金属に含浸される。かかる金属が使用されるとき、好ましいのは、Ru、Th、Pt、Pd、Ni、Au、Ag、Cu、及びこれらの混合物であり、より好ましいのは、Pd、Rh、及びCuである。樹脂がアルカリ金属またはアルカリ土類ではない金属に含浸される、本発明の樹脂のとき、樹脂の存在下で行われる好ましい化学反応は、水素化分解、硝酸塩還元、炭素・炭素結合(例えば、Heck及びSuzuki反応)、酸化、ヒドロホルミル化、アルケン、ケトン、アルコール、アルキン、または酸の選択的還元である。
【0053】
好ましくは、樹脂が触媒として使用されるとき、樹脂は、アルカリ金属またはアルカリ土類ではない金属に含浸される。好ましくは、アルカリ金属またはアルカリ土類ではない金属の量は、樹脂の重量に基づく重量で、0.1%以下、より好ましくは0.01%以下である。
【0054】
好ましくは、反応物質及び樹脂ビーズは、互いと接触させられる。例えば、反応物質及び樹脂ビーズは、容器に入れられ、撹拌される。別の例として、樹脂ビーズ及び酸は、反応器に充填され、30℃〜200℃の温度範囲の圧力または大気条件下で、水またはジメチルエーテルのような副生成物のための蒸留条件下で、高い変換が達成されるまで、半連続的添加でアルコールが添加され得る。別の例として、該プロセスはまた、連続的なフロースループロセスであり得、ここでは、原料が、充填ベッド反応器構成の樹脂ビーズと接触している反応物質を含有する。かかる連続的プロセスは、0.1〜15(h
−1)の原料の線形毎時空間速度(linear hourly space velocity(LHSV))で、30℃〜200℃の温度範囲(触媒熱安定限界に適合)、及び0.1〜10MPaの圧力において実行することができる。好ましくは、反応物質が樹脂ビーズと接触している間、反応物質は互いと反応して、生成物を形成する。好ましくは、反応は、35℃以上、より好ましくは50℃以上で行われる。好ましくは、反応は、130℃以下で行われる。
【0055】
以下は、本発明の実施例である。
【0056】
実施例1:樹脂ビーズを形成するための水性懸濁液重合及びスルホン化の方法
水性懸濁液重合は、300gの水相(水及び懸濁剤)、270gの有機相(モノマー(スチレン(STY)及びジビニルベンゼン(DVB)、開始剤、及びポロゲン)を使用した、標準的な技術を使用して行った。使用したポロゲンは、総有機相に基づいて34〜40%のメチルイソブチルカルビノール(MIBC)であった。合成ステップに対して、典型的な混合、時間、及び温度を使用した。重合後、得られるポリマービーズを余分な水で洗浄し、オーブン乾燥させた。この樹脂のスルホン化は、標準的なスルホン化方法によって実施した。結果は、架橋ポリ(STY−co−DVB)スルホン化樹脂である。
【0057】
実施例2:酸性型への変換
一部の商業的樹脂は、ナトリウム型で得た。触媒としての使用の前に、これらの樹脂を以下のとおりに、酸性型に変換した。70mLの樹脂を脱イオン水とともにカラムに充填した。1リットルのHCl 4%(重量で)の溶液を250mL/時で、続いて、2リットルの脱イオン水を250mL/時でダウンフローさせた。流出液の最終pHは、2〜3内であると確認された。
【0058】
実施例3:メタノールとメタクリル酸との反応
60mLの酸性型の触媒を、120mL/時間でのダウンフロープロセスとともに、カラムにおいて、600mLの脱イオン水で洗浄した。触媒をBuchner漏斗で乾燥させて、余分な水を除去し、MeOHを含むカラムの中へ再度充填した。2000mLのメタノールを、120mL/時でのダウンフロープロセスにおいて、カラムを通じて流した。プロセスの最後に、触媒をメタノール中のスラリとしてメスシリンダに移し、体積を登録した。次いで、触媒をBuchner漏斗で乾燥させて、余分なメタノールを除去した。150.0gのメタノールを計量及び使用して、触媒及びメタノールを500mLの反応器に充填した。40mgの阻害剤、MEHQを計量し、反応器に充填し、実行中はずっと300rpmで撹拌した。反応器を30分内に60℃まで加熱した。40gのメタクリル酸(GMAA)を反応器に充填し、反応を60℃で6時間保持した。ガスクロマトグラフィのための1mLの試料を、以下の反応時間:10秒、1時間、2時間、3時間、及び4時間で採取した。原位置での赤外線測定は、GMAAを充填する前に開始し、試料は、4時間の実行中に30秒毎に測定した。原位置での赤外線測定を使用して、実行中の動態を追跡調査し、反応速度の観察される定数を推定した。
【0059】
実施例4:BET方法による多孔性測定。
樹脂実施例11は、実施例1にあるように作製した。樹脂実施例11は、35%のMIBCで作製された、6%のDVBを有する、スチレン/ジビニルベンゼンコポリマーである。比較実施例C12は、実施例1にあるように7%のDVB及び35%のMIBCで作製した。また、Mitsubishi ChemicalからのDiaion(商標)PK−208樹脂及びDiaion(商標)PK−212樹脂;ならびにDow Chemical CompanyからのDowex(商標)CM−4樹脂も試験した。
【0060】
試料は、以下のとおりに調製した。水で湿潤させた60mlの樹脂を、垂直カラムにおいて調製した。500mlのメタノールを2BV/時で、続いて、500mlのトルエンを2BV/時で、続いて、500mlのイソオクタンを2BV/時で、カラムに流下させた。次いで、樹脂を24時間、真空下で45℃で乾燥させた。
【0061】
多孔性は、細孔の表面積(SA)、総細孔体積(PV)、及び平均直径(diam)を含んだ。結果は、以下のとおりであった。
【0062】
【表2】
【0063】
実施例5:物理的靭性
樹脂の物理的靭性は、触媒の体積膨張効果によって実施される、浸透圧衝撃摩耗(OSA)によって実施される、浸透圧衝撃摩耗(OSA)によって評価され、樹脂の充填ベッドのカラムを作製し、次いで、カラムを通じて、以下の溶液:脱イオン水(deonized water)、次いで、希釈酸(4重量%のHCl水溶液)、次いで、脱イオン水、次いで、4重量%のNaOH水溶液を流し、脱イオン水洗浄で仕上げた。40サイクルを行い、樹脂の破損をプロセスの最後に測定した。樹脂の破損は、顕微鏡観察によって測定し、ここでは、合計100個のビーズを計数し、破損したものをパーセントとして記録した。樹脂が有する物理的靭性がより低いほど、破損%はより高かった。
【0064】
以下のスチレン/ジビニルベンゼンコポリマー樹脂を、実施例1:比較樹脂C1−C2、及び実施例樹脂3〜5にあるように作製した。また、Mitsubishi ChemicalからのDiaion(商標)PK−212樹脂も試験した。比較樹脂C1及びC2は、MIBCのレベルが低すぎるため、比較上のものである。Diaion(商標)PK−212樹脂は、それが、15m
2/g未満のBET表面積を有するため、比較上のものである。
【0065】
これらの樹脂を試験し、OSA結果は、以下のとおりであった。
【0066】
【表3】
【0067】
比較樹脂C1は、0%のMIBCを有した。ポロゲンが無かったため、それは、非常に低い多孔性を有し、かつ非常に高い破損%を有した。比較樹脂C2は、34%のMIBCのみを有した。その多孔性は、依然として十分に高くなく、それは、許容不可能に高い破損%を有した。PK−212は、6.38m
2/g(表面積)、0.0304cm
3/g(細孔体積)、微多孔性0.0010cm
3/g、及び19.01nm(細孔直径4V/A)の多孔性を有し、許容不可能に高い破損%を有した。
【0068】
実施例6:メタクリル酸のメタクリル酸メチルへの変換
上で説明される紫外線測定は、変換%をもたらし、これは、反応の開始時に存在するメタクリル酸のモルで除算される、生成されたメタクリル酸メチルのモルである。変換%(「%Conv」)は、触媒の有効性の尺度であると見なされる。
【0069】
試料は、実施例1にあるように作製し、実施例3に説明されるように試験した。結果は、以下のとおりであった(「nt」は、試験せずを意味する)。比較C21は、少な過ぎるDVBを有した。比較C26は、多過ぎるMIBCを有した。
【0070】
【表4】
【0071】
実施例樹脂22〜24は、比較C25及びC26に勝る触媒有効性を示す。実施例樹脂22〜24は、同等のMIBCにおいて、DVBの増加が、変換%の減少につながるという傾向を示し、この傾向から、より高いレベルのDVBを有する試料が、更により低い変換%を有するであろうということが結論付けられる。したがって、7%以上のDVBを有する試料が、許容不可能に低い変換%を有するであろうということが結論付けられる。比較C21は、許容可能な触媒有効性を示すが、許容不可能に低い物理的靭性を示すこともまた予想される。C21とほぼ同一であった試料を作製し、以下のとおりに試験した。
【0072】
【表5】
【0073】
実施例7:特徴
以下の特徴を有する種々の樹脂を作製した。「unk」は不明を意味し、「nt」は試験せずを意味する。
【0074】
【表6】
【0075】
実施例8:分割試験
分割試験を使用して、種々の試料を測定した。それを上回ると細孔体積が0.1ml/gを下回る「カットオフ」サイズは、以下に示される。
【0076】
【表7】