【文献】
小村美穂 ほか,県内産農産物のHL60 細胞増殖抑制活性,宮崎県工業技術センター・宮崎県食品開発センター研究報告,2005年11月30日,平成16年度・第49号,p.81−84
【文献】
酒井美穂 ほか,県産農産物のがん細胞増殖抑制活性,宮崎県工業技術センター・宮崎県食品開発センター研究報告,2007年 2月,平成17年度・第50号,p.87−93
【文献】
長尾常敦 ほか,腫瘍細胞増殖抑制作用を有するフェノール性植物成分と構造活性相関,食品・食品添加物研究誌,2004年 1月 1日,第209巻,第1号,p.3−12
【文献】
Ceni.-Milosevi D, et al,Antiproliferative effects of Camelliasinensis, Frangula alnus and Rosmarinus officinalis,Archivesof Biological Science Belgrade,2013年,Vol.65, No.3,p.885-891
【文献】
菅沼雅美,岡部幸子,緑茶による発癌の抑制,医学のあゆみ,1996年 3月23日,第176巻,第12号,p.760−761
【文献】
茂木弘之 ほか,香辛料抽出物によるヒト白血病Molt 4B 細胞の増殖抑制作用,日本食品科学工学会誌,2002年10月15日,第49巻,第10号,p.688−691
【文献】
阿知和弓子 ほか,ウルソール酸の子宮内膜細胞に対する抗腫瘍効果と作用機序,日本農芸化学会大会講演要旨集 2002年度(平成14年度)大会[仙台],2002年 3月 5日,p.23
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態のみには限定されない。本明細書において、範囲を示す「X〜Y」は、XおよびYを含み、「X以上Y以下」を意味する。また、特記しない限り、操作および物性等の測定は室温(20〜25℃)/相対湿度40〜50%の条件で行う。
【0012】
(癌細胞増殖抑制組成物および癌細胞増殖の抑制方法)
本発明の癌細胞増殖抑制組成物は、緑茶抽出物およびローズマリー抽出物を10:1〜1:10の重量比(緑茶抽出物:ローズマリー抽出物の混合重量比)で含む。
【0013】
また、本発明の癌細胞増殖の抑制方法は、10:1〜1:10の重量比(緑茶抽出物:ローズマリー抽出物の混合重量比)で緑茶抽出物およびローズマリー抽出物を、癌細胞増殖を抑制する必要のある被検者に投与することを有する。
【0014】
本願発明者らは、様々な植物の抽出物を用いて癌細胞増殖抑制効果について鋭意研究を行った結果、ローズマリー抽出物と緑茶抽出物とを特定の混合比で併用すると、癌細胞増殖抑制効果が相乗的に向上できることを見出した。また、本発明の癌細胞増殖抑制組成物で使用される緑茶抽出物およびローズマリー抽出物は双方とも、抗酸化剤や香辛料及び機能性を有する抽出物として食品に使用され、日常的に摂取しているものであり、安全性が認められている。このため、本発明の癌細胞増殖抑制組成物は、癌を発症した後の治療目的に加えて、癌の予防を目的として、健康食品などとして、またはペットフードに混ぜて、日常的に摂取することも可能である。
【0015】
すなわち、本発明によれば、従来公知の癌細胞増殖抑制(癌の予防・治療剤)に代替しうる、安全な癌細胞増殖抑制組成物(癌の予防・治療のための組成物)が提供される。
【0016】
本発明の癌細胞増殖抑制組成物は、緑茶抽出物およびローズマリー抽出物を10:1〜1:10の重量比(緑茶抽出物:ローズマリー抽出物の混合重量比)で含む。緑茶抽出物およびローズマリー抽出物の混合比が上記範囲を外れると、緑茶抽出物単独またはローズマリー抽出物単独に比して、癌細胞増殖抑制効果の有意な差が認められない。ここで、癌細胞増殖抑制効果のより顕著な相乗効果の達成の観点から、癌細胞増殖抑制組成物は、緑茶抽出物およびローズマリー抽出物を、好ましくは5:1〜1:5、より好ましくは2:1〜1:2の重量比、特に好ましくはおおよそ1:1(実質的に等量)(緑茶抽出物:ローズマリー抽出物の混合重量比)で含む。上記混合重量比では、緑茶抽出物とローズマリー抽出物との併用による癌細胞増殖抑制効果が特に相乗的に達成できる。
【0017】
ここで、癌細胞増殖抑制組成物の治療対象(癌細胞増殖を抑制する必要のある被検者)は、特に制限されないが、哺乳動物や鳥類、好ましくは癌に罹患した哺乳動物や鳥類である。ここで、哺乳動物は、ヒト、サル、ゴリラ、チンパンジー、オランウータン等の霊長類、ならびにマウス、ラット、ハムスター、モルモット、ウサギ、イヌ、ネコ、ブタ、ウシ、ウマ、ヒツジ、ラクダ、ヤギなどの非ヒト哺乳動物双方を包含する。鳥類としては、ニワトリ、ウズラ、ハトなどが挙げられる。これらのうち、好ましくは、ヒト、ハムスター、モルモット、ウサギ、イヌ、ネコ、ブタであり、より好ましくは、ヒト及びイヌ、ネコ、ウサギ等のペット動物である。すなわち、本発明の好ましい形態によると、本発明の癌細胞増殖抑制組成物は、ヒトまたはイヌ、ネコ、ウサギからなる群より選択される少なくとも一種のペット動物に経口的に使用される。本発明のより好ましい形態によると、本発明の癌細胞増殖抑制組成物は、ヒト、イヌ、ネコに経口的に使用される。
【0018】
本発明の癌細胞増殖抑制組成物は、癌の治療および/または予防(本明細書では、単に「癌の治療/予防」とも称する)に効果がある。このため、本発明の癌細胞増殖抑制組成物は、癌治療/予防剤としても有用である。本明細書において、「癌の治療/予防」とは、癌に罹患した患者の癌の進行を抑制すること、癌や腫瘍を消失させること、癌や腫瘍の増大を抑制すること、癌の発症を予防すること、および癌の再発を予防することの少なくとも一つを満足することを意味する。ここで、「予防」とは、癌や腫瘍の発症を防止若しくは遅延させる、または癌や腫瘍の発症の危険性を低下させることを意味する。ゆえに、本明細書において、「癌治療/予防剤」とは、癌の治療に用いた際に上記癌の治療/予防効果を示す薬剤を意味する。または、本発明の癌細胞増殖抑制組成物は、癌の予防を目的として、健康食品などとして、またはペットフードに混ぜて、日常的に摂取することも可能である。すなわち、本発明の好ましい形態によると、本発明の癌細胞増殖抑制組成物は、ヒト用健康食品またはペットフード組成物である。
【0019】
ここで、(癌治療/予防のための)癌細胞増殖抑制組成物の対象となる癌の種類は、特に限定されない。例えば、神経系の癌(例えば、脳腫瘍、頚癌);消化器系の癌(例えば、口腔癌、咽頭癌、食道癌、胃癌、肝癌、胆嚢癌、胆道癌、脾臓癌、大腸癌、小腸癌、十二指腸癌、結腸癌、結腸腺癌、直腸癌、膵臓癌、肝臓癌);筋骨格系の癌(例えば、肉腫、骨肉種、骨髄腫);泌尿器系の癌(例えば、膀胱癌、腎癌);生殖器系の癌(例えば、乳癌、子宮癌、卵巣癌、精巣癌、前立腺癌);呼吸器系の癌(例えば、肺癌);造血器系の癌(例えば、急性または慢性骨髄性白血病、急性前骨髄性白血病、急性または慢性リンパ性白血病等の白血病、悪性リンパ腫(リンパ肉腫)、血管肉腫、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群、原発性骨髄線維症、血管外膜細胞腫);甲状腺癌、副甲状腺癌、舌癌、悪性黒色腫(メラノーマ)、肥満細胞腫、皮膚組織球腫、脂肪腫、毛包腫瘍、皮膚乳頭腫、皮脂腺腫、基底細胞癌などが挙げられる。これらのうち、本発明の癌細胞増殖抑制組成物は、造血器系の癌、消化器系の癌、生殖器系の癌、悪性黒色腫(メラノーマ)、肥満細胞腫、基底細胞癌に対してより高い効果を有する。すなわち、本発明の好ましい形態によると、本発明の癌細胞増殖抑制組成物は、造血器系の癌、消化器系の癌、生殖器系の癌、悪性黒色腫(メラノーマ)、肥満細胞腫および基底細胞癌からなる群より選択される少なくとも一種の疾患の予防および/または治療に使用される。
【0020】
(緑茶抽出物)
本発明の癌細胞増殖抑制組成物の有効成分である緑茶抽出物は、チャノキ(Camellia sinensis)(全体または一部)を適当な溶媒を用い抽出することによって、得られる。ここで、抽出の対象となるチャノキの部分は、特に制限されず、植物体全体、葉、茎、芽、花(ガク、花弁、めしべ、おしべ等を含む)、木質部、木皮部(樹皮)、果実(花托(果肉)、子房、果皮(内果皮、中果皮、外果皮)等を含む)、種子等の地上部;根、根茎、塊茎等の地下部などの植物体の一部などを包含する。上記植物の部分は、単独で抽出に供せられてもあるいは2種以上の混合物の形態で抽出に供せられてもよい。これらのうち、癌細胞増殖抑制/防止効果、安全性などを考慮すると、チャノキの葉(茶葉)を原料として使用することが好ましい。または、チャノキの葉(茶葉)を発酵を防止するために加熱処理したものを抽出に使用してもよい。具体的には、抽出の対象となるチャノキの部分は、チャノキの生葉(茶葉)を蒸して揉み潰し、茶葉の型を整えつつ乾燥する(蒸熱⇒冷却⇒葉打ち⇒粗揉⇒揉捻⇒中揉⇒精捻⇒乾燥⇒篩分と切断⇒木茎分離)ことによって作製される。なお、本明細書では、抽出の対象となるチャノキの部分を、単に「緑茶原料」とも称する。
【0021】
また、緑茶原料は、そのままの形態で抽出に供されてもよいが、抽出に供される前に、予め乾燥および/または粉砕されてもよい。これにより、緑茶原料から所望の有効成分をより効率よく抽出できる。
【0022】
ここで、緑茶原料を予め乾燥する際の、乾燥条件は、特に制限されない。粉砕されやすさなどを考慮すると、乾燥温度は、好ましくは20〜90℃であり、より好ましくは25〜80℃である。また、乾燥時間は、好ましくは24〜120時間であり、より好ましくは48〜96時間である。または、緑茶原料を、凍結乾燥粉末化法、高圧法、超高圧法等の方法によって、乾燥してもよい。このうち、高圧法は、例えば、100〜150℃で2〜10時間(例えば、120℃で4時間)の高圧加熱処理することにより、緑茶原料中の細胞を加圧破砕する方法である。
【0023】
また、緑茶原料を予め粉砕する際の、粉砕条件もまた、特に制限されない。抽出効率などを考慮すると、0.1〜10mm程度の大きさ、より好ましくは0.5〜5mm程度の大きさにまで、所定の植物の部分(緑茶原料)を粉砕できることが好ましい。粉砕方法としては、裁断機、スライサー、カッター、ピーラー、ジョークラッシャー、ジェットミル、ブレンダーなどで細断する方法などが挙げられる。
【0024】
次に、必要であれば予め乾燥および/または粉砕した緑茶原料を、適当な溶媒を用いて抽出する。ここで使用できる溶媒は、緑茶原料から有効成分を抽出できるものであれば特に制限されず、使用される植物や植物の部分に応じて適宜選択される。具体的には、水(水道水、工業用水、蒸留水、逆浸透膜水、濾過水、滅菌水、精製水等を含む);メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール等のアルコール;酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル;アセトン等のケトン;エチルエーテル、ホルムアルデヒド、ジメチルスルホキシドなどが挙げられる。上記溶媒は、単独で使用されてもあるいは2種以上の混合溶媒の形態で使用されてもよい。これらのうち、抽出効率、安全性などを考慮すると、水、エタノールまたは水とエタノールとの混合液が抽出溶媒として好ましい。すなわち、本発明の好ましい形態では、抽出物は、前記緑茶原料の、水、エタノールまたは水とエタノールとの混合液による抽出物である。
【0025】
また、抽出は、1回のみ行われてもあるいは2回以上行われてもよい。後者の場合、各抽出工程は、いずれの溶媒を使用してもよく、また、各工程における抽出条件は同一であってもあるいは異なってもよい。水、熱水、エタノールまたは水とエタノールとの混合液による抽出を少なくとも2回行うことが好ましく、水または熱水による抽出後、エタノールまたは水とエタノールとの混合液による抽出を行うことがより好ましく、熱水による抽出後、エタノールによる抽出を行うことが特に好ましい。当該方法により有効成分(活性成分である茶ポリフェノール)の純度をさらに向上できる。
【0026】
なお、必要であれば、緑茶原料を酸性またはアルカリ性条件下で抽出してもよい、即ち、酸性またはアルカリ性の溶媒を使用してもよい。ここで、酸性溶媒を調製する際に使用できる酸としては、特に制限されないが、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸等の無機酸、酢酸、クエン酸、シュウ酸、コハク酸、ギ酸、プロピオン酸等の有機酸などが挙げられる。また、アルカリ性としては、溶媒を調製する際に使用できるアルカリとしては、特に制限されないが、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウムなどが挙げられる。緑茶原料を酸性またはアルカリ性条件下で抽出する際の溶媒のpHは、使用される植物及び植物の部分の種類、抽出条件などを考慮して、適宜選択される。また、酸性溶媒またはアルカリ性溶媒を使用した場合には、抽出後に、抽出液を中性(pH=7±1程度)になるように中和することが好ましい。
【0027】
溶媒の添加量は、緑茶原料から有効成分を抽出できるものであれば特に制限されない。具体的には、溶媒を、緑茶原料10gに対して、10〜1000mlの量、より好ましくは50〜500mlの量を添加することが好ましい。
【0028】
また、抽出条件もまた、緑茶原料から有効成分を抽出できるものであれば特に制限されない。具体的には、抽出温度は、好ましくは25〜100℃、より好ましくは40〜100℃である。また、抽出時間は、好ましくは30分〜6時間、より好ましくは1〜4時間である。このような条件であれば、緑茶原料から有効成分を効率よく抽出できる。
【0029】
上記抽出工程後は、緑茶原料及び溶媒の混合液から、固形物(緑茶原料残渣)を除去して、抽出液を分離する。ここで、分離方法としては、特に制限されないが、濾過、遠心分離などが挙げられる。さらに、この抽出液は、そのまま使用してもよいが、必要であれば、希釈液による希釈形態、濃縮によるエキス、ペースト若しくは固体形態、凍結による凍結物形態、凍結乾燥による乾燥粉末物形態など、様々な形態(抽出物)に変換してもよい。ここで、変換方法は、単独で適用してもあるいは2種以上を組み合わせて適用してもよい。好ましくは、抽出液を適当な濃度になるまで濃縮(例えば、減圧濃縮)し、得られた濃縮物を凍結した後、凍結乾燥する方法や抽出液を微細な霧状にし、これを熱風中に噴出させ、瞬間的に粉状の乾燥物を得る方法が好ましく使用される。
【0030】
また、抽出液または抽出物はさらに精製してもよい。ここで、精製方法としては、特に制限されず、公知の精製方法が使用できる。具体的には、塩化セチルピリジニウムなどの4級アンモニウム塩を添加して沈殿物を得、この沈殿物を適当な溶媒(例えば、水、アルコール)で洗浄する方法、陰イオン交換イオン交換クロマトグラフィー、陽イオン交換イオン交換クロマトグラフィー、ホスホセルロースクロマトグラフィー、疎水性反応(疎水性相互作用)によるクロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィーやレクチンクロマトグラフィーなどを用いたクロマトグラフィーを用いる方法、再結晶法などが挙げられる。
【0031】
なお、ペット動物(例えば、イヌ)にカフェインを与えると、頻脈、震え・痙攣、不整脈、過度な興奮、下痢などの症状を引き起こすことがある。このため、本発明の組成物をペットフード(例えば、イヌ用)に使用する場合には、組成物は、カフェインを可能な限り含まないことが好ましい。具体的には、緑茶抽出物中のカフェインの含有量は、好ましくは5重量%以下、より好ましくは2.5重量%以下、さらにより好ましくは1重量%以下、特に好ましくは0.5重量%以下(下限:0重量%)である。このため、上述したようにして緑茶原料から抽出する前後にカフェインを低減または除去してもよい。ここで、カフェインの低減または除去方法は特に制限されず、公知の方法が同様にしてあるいは適宜修飾して使用できる。具体的には、特開2014−140351号公報、特開2013−209428号公報、特開2008−212024号公報などの公知の方法が挙げられる。
【0032】
または、緑茶抽出物は、市販品であってもよい。市販品としては、緑茶エキス末(松浦薬業(株)製)、サンフード(登録商標)末、サンフード(登録商標)100、サンフード(登録商標)CD、サンフード(登録商標)水性、サンフード(登録商標)油性等のサンフード(登録商標)シリーズ(いずれも三菱化学フーズ(株)製)、緑茶抽出物MF(丸善製薬(株)製)、サンフェノン(登録商標)30S−OP、サンフェノン(登録商標)30LB−OP、サンフェノン(登録商標)EGCG−OP、サンフェノン(登録商標)BG−3、サンフェノン(登録商標)90LB−OP、サンフェノン(登録商標)90S、サンフェノン(登録商標)90MB−OP、サンフェノン(登録商標)CF−T−OP、サンフェノン(登録商標)NB−60、等のサンフェノン(登録商標)シリーズ(いずれも太陽化学(株)製)、ポリフェノンG、ポリフェノン70A等のポリフェノン(登録商標)シリーズ、サンカテキン水性F、サンカテキン油性E、GTA−MNK−1(いずれも三井農林(株)製)、茶抽出物−40、茶抽出物−70、茶抽出物(脱カフェイン品)(いずれもタマ生化学(株)製)などが挙げられる。
【0033】
上記緑茶抽出物は、単独で使用されてもあるいは2種以上の混合物の形態で使用されてもよい。
【0034】
(ローズマリー抽出物)
本発明の癌細胞増殖抑制組成物の有効成分であるローズマリー抽出物は、ローズマリー(Rosmarinus officinalis L.)(全体または一部)を適当な溶媒を用い抽出することによって、得られる。ここで、抽出の対象となるローズマリーの部分は、特に制限されず、植物体全体、葉、茎、芽、花(ガク、花弁、めしべ、おしべ等を含む)、木質部、木皮部(樹皮)、果実(花托(果肉)、子房、果皮(内果皮、中果皮、外果皮)等を含む)、種子等の地上部;根、根茎、塊茎等の地下部などの植物体の一部などを包含する。上記植物の部分は、単独で抽出に供せられてもあるいは2種以上の混合物の形態で抽出に供せられてもよい。これらのうち、癌細胞増殖抑制/防止効果、安全性などを考慮すると、ローズマリーの葉を原料として使用することが好ましい。なお、本明細書では、抽出の対象となるローズマリーの部分を、単に「ローズマリー原料」とも称する。
【0035】
また、ローズマリー原料は、そのままの形態で抽出に供されてもよいが、抽出に供される前に、予め乾燥および/または粉砕されてもよい。これにより、ローズマリー原料から所望の有効成分をより効率よく抽出できる。
【0036】
ここで、ローズマリー原料を予め乾燥する際の、乾燥条件は、特に制限されない。粉砕されやすさなどを考慮すると、乾燥温度は、好ましくは20〜90℃であり、より好ましくは25〜80℃である。また、乾燥時間は、好ましくは24〜120時間であり、より好ましくは48〜96時間である。または、ローズマリー原料を、凍結乾燥粉末化法、高圧法、超高圧法等の方法によって、乾燥してもよい。このうち、高圧法は、例えば、100〜150℃で2〜10時間(例えば、120℃で4時間)の高圧加熱処理することにより、ローズマリー原料中の細胞を加圧破砕する方法である。
【0037】
また、ローズマリー原料を予め粉砕する際の、粉砕条件もまた、特に制限されない。抽出効率などを考慮すると、0.1〜10mm程度の大きさ、より好ましくは0.5〜5mm程度の大きさにまで、所定の植物の部分(ローズマリー原料)を粉砕できることが好ましい。粉砕方法としては、裁断機、スライサー、カッター、ピーラー、ジョークラッシャー、ジェットミル、ブレンダーなどで細断する方法などが挙げられる。
【0038】
次に、必要であれば予め乾燥および/または粉砕したローズマリー原料を、適当な溶媒を用いて抽出する。ここで使用できる溶媒は、ローズマリー原料から有効成分を抽出できるものであれば特に制限されず、使用される植物や植物の部分に応じて適宜選択される。具体的には、水(水道水、工業用水、蒸留水、逆浸透膜水、濾過水、滅菌水、精製水等を含む);メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール等のアルコール;酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル;アセトン等のケトン;エチルエーテル、ホルムアルデヒド、ジメチルスルホキシドなどが挙げられる。上記溶媒は、単独で使用されてもあるいは2種以上の混合溶媒の形態で使用されてもよい。これらのうち、抽出効率、安全性などを考慮すると、水、エタノールまたは水とエタノールとの混合液が抽出溶媒として好ましい。脂溶性画分に癌細胞増殖抑制成分がより多量に含まれている。このため、癌細胞増殖抑制効果をより向上できるとの観点から、エタノールまたは水とエタノールとの混合液でローズマリー原料から抽出することがより好ましい。すなわち、本発明の好ましい形態では、抽出物は、前記ローズマリー原料の、エタノールまたは水とエタノールとの混合液による抽出物である。
【0039】
なお、必要であれば、ローズマリー原料を酸性またはアルカリ性条件下で抽出してもよい、即ち、酸性またはアルカリ性の溶媒を使用してもよい。ここで、酸性溶媒を調製する際に使用できる酸としては、特に制限されないが、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸等の無機酸、酢酸、クエン酸、シュウ酸、コハク酸、ギ酸、プロピオン酸等の有機酸などが挙げられる。また、アルカリ性としては、溶媒を調製する際に使用できるアルカリとしては、特に制限されないが、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウムなどが挙げられる。ローズマリー原料を酸性またはアルカリ性条件下で抽出する際の溶媒のpHは、使用される植物及び植物の部分の種類、抽出条件などを考慮して、適宜選択される。また、酸性溶媒またはアルカリ性溶媒を使用した場合には、抽出後に、抽出液を中性(pH=7±1程度)になるように中和することが好ましい。
【0040】
溶媒の添加量は、ローズマリー原料から有効成分を抽出できるものであれば特に制限されない。具体的には、溶媒を、ローズマリー原料10gに対して、10〜1000mlの量、より好ましくは50〜500mlの量を添加することが好ましい。
【0041】
また、抽出条件もまた、ローズマリー原料から有効成分を抽出できるものであれば特に制限されない。具体的には、抽出温度は、好ましくは25〜100℃、より好ましくは40〜100℃である。また、抽出時間は、好ましくは30分〜6時間、より好ましくは1〜4時間である。このような条件であれば、ローズマリー原料から有効成分を効率よく抽出できる。
【0042】
上記抽出工程後は、ローズマリー原料及び溶媒の混合液から、固形物(ローズマリー原料残渣)を除去して、抽出液を分離する。ここで、分離方法としては、特に制限されないが、濾過、遠心分離などが挙げられる。さらに、この抽出液は、そのまま使用してもよいが、必要であれば、希釈液による希釈形態、濃縮によるエキス、ペースト若しくは固体形態、凍結による凍結物形態、凍結乾燥による乾燥粉末物形態など、様々な形態(抽出物)に変換してもよい。ここで、変換方法は、単独で適用してもあるいは2種以上を組み合わせて適用してもよい。好ましくは、抽出液を適当な濃度になるまで濃縮(例えば、減圧濃縮)し、得られた濃縮物を凍結した後、凍結乾燥する方法や抽出液を微細な霧状にし、これを熱風中に噴出させ、瞬間的に粉状の乾燥物を得る方法が好ましく使用される。
【0043】
また、抽出液または抽出物はさらに精製してもよい。ここで、精製方法としては、特に制限されず、公知の精製方法が使用できる。具体的には、塩化セチルピリジニウムなどの4級アンモニウム塩を添加して沈殿物を得、この沈殿物を適当な溶媒(例えば、水、アルコール)で洗浄する方法、陰イオン交換イオン交換クロマトグラフィー、陽イオン交換イオン交換クロマトグラフィー、ホスホセルロースクロマトグラフィー、疎水性反応(疎水性相互作用)によるクロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィーやレクチンクロマトグラフィーなどを用いたクロマトグラフィーを用いる方法、再結晶法などが挙げられる。
【0044】
または、ローズマリー抽出物は、市販品であってもよい。市販品としては、ローズマリー抽出液(松浦薬業(株)製)、ローズマリーエキスMF(丸善製薬(株)製)、RMキーパーMP、RMキーパーSF、RMキーパーOS、RMキーパーOSE等のRMキーパーシリーズ(いずれも三菱化学フーズ(株)製)、RM−21A、RM−21S、RM−21Aベース、RM−21Bベース等のRM−21シリーズ(いずれも三菱化学フーズ(株)製)、モルッカ(ローズマリー抽出物、アサマ化成(株)製)などが挙げられる。
【0045】
上記ローズマリー抽出物は、単独で使用されてもあるいは2種以上の混合物の形態で使用されてもよい。
【0046】
(癌細胞増殖抑制組成物の用途)
本発明の癌細胞増殖抑制組成物は、医療用途(治療または予防目的)で使用されてもまたは健康食品として使用されてもよく、本発明の癌細胞増殖抑制組成物を有効成分として含む以外は、従来と同様の剤形で使用できる。すなわち、本発明の癌細胞増殖抑制組成物は、賦形剤などの製薬上許容できる添加剤と混合して非経口投与、経口投与または外部投与に適した、医薬品、医薬部外品、食品組成物の形態で使用することができる。
【0047】
ここで、本発明の癌細胞増殖抑制組成物を食品組成物の形態で使用する場合には、癌細胞増殖抑制組成物を、油脂製品、乳化製品、清涼飲料等の食品、さらにはペットフードや健康食品として添加・使用することができる。ここで、「食品組成物」とは、人間等の哺乳動物(ペットを含む)による摂取を意図した組成物を意味する。例えば、ペットフード組成物は、ペットによる摂取を意図した食品組成物である。食品組成物は、当技術分野において広く知られている。ペットフード組成物は、栄養的にバランスがとれていてもまたとれていなくてもよく、サプリメント(例えば、エサ)の他に、毎日の食事に適した栄養的にバランスがとれた組成物であってもよい。ここで、「栄養的にバランスのとれた」とは、本発明の組成物が、ペット栄養学分野において適切な量及び割合で、生命を維持するために必要な既知の栄養素を有することを意味する。
【0048】
特に本発明の癌細胞増殖抑制組成物をヒトへの健康食品(ヒト用健康食品)及びペットフードに添加・使用する場合の、癌細胞増殖抑制組成物の添加量(含有量)は、特に制限されないが、健康食品及びペットフード(固形分換算)に対して、好ましくは0.01〜30重量%、より好ましくは0.05〜20重量%程度になるような量である。または、本発明の癌細胞増殖抑制組成物を、1日に合計重量として、好ましくは0.1〜1000mg/kg 体重、より好ましくは1〜500mg/kg 体重程度投与されるような量である。このような量であれば、十分な癌の予防効果を達成できる。また、上記したような量であれば、ペットの嗜好を阻害することがなく、ペットは与えられたペットフード全量を摂取する。
【0049】
上述したように、ペット動物(例えば、イヌ)にカフェインを与えると、頻脈、震え・痙攣、不整脈、過度な興奮、下痢などの症状を引き起こすことがある。このため、本発明の組成物をペットフード(例えば、イヌ用)に使用する場合には、組成物は、カフェインを可能な限り含まないことが好ましい。具体的には、癌細胞増殖抑制組成物中のカフェインの含有量は、好ましくは10重量%以下、より好ましくは5重量%以下、さらにより好ましくは2重量%以下、特に好ましくは1重量%以下(下限:0重量%)である。
【0050】
ペットフードは、本発明の癌細胞増殖抑制組成物を含む以外は従来と同様の成分を含む。例えば、ペットフードは、本発明の癌細胞増殖抑制組成物に加えて、単糖類、オリゴ糖、多糖類、食物繊維、デンプン類(例えば、ワキシーコーンデンプン、コーンデンプン、小麦デンプン、米デンプン、糯米デンプン、馬鈴薯デンプン、甘露デンプン、タピオカデンプン、サゴデンプン、これらに化学的処理を施したものや化学修飾した加工デンプン)や穀物類(例えば、とうもろこし、大麦、小麦、ライ麦、ソルガム、米、ひえ、あわ、アマラサンサス、キヌア)等の炭水化物源;牛、豚、羊、うさぎ、カンガルー等の畜肉や獣肉、その副生成物及び加工品、鶏、七面鳥、うずら等の鳥肉、その副生成物及び家屋品、魚、白身魚等の魚肉、その副生成物及び加工品、ミートミール、ミートボーン、チキンミール、ポータリーミール、フィッシュミール等のレタリング等の、動物性タンパク質源;大豆タンパク質、小麦タンパク質、小麦グルテン、コーングルテン等の、植物性のタンパク質源;α−シトステロール、β−シトステロール、スチグマステロール、カンペステロール、α−シトスタノール、β−シトスタノール、スチグマスタノール、カンペスタノール、シクロアルテノール等のフリー体、これらの脂肪酸エステル、フェルラ酸エステル、桂皮酸エステル等のエステル体等の植物ステロール;米ぬか、ふすま等のぬか類、大豆粕等の粕類、野菜エキス等の野菜、ビタミンA、B1、B2、D、E、ナイアシン、パントテン酸、カロチン等のビタミン類などが挙げられる。上記に加えて、一般的にペットフードに使用されるゲル化剤、保型剤、pH調整剤、調味料、防腐剤、栄養補強剤等の他の添加剤を含有してもよい。上記他の添加剤に加えてまたは上記他の添加剤に代えて、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)、エトキシキン、tert−ブチルヒドロキノン(TBHQ)、プロピルガレートなどの抗酸化剤を併用することも可能である。上記した各成分の添加量(含有量)は特に制限されず、従来と同様の量が適用できる。
【0051】
ペットフードは、従来公知の方法によって製造される。例えば、本発明の癌細胞増殖抑制組成物および前記した必要成分を混合し、所望の形態にすることにより製造できる。一例としては、本発明の癌細胞増殖抑制組成物、穀物、肉ミール並びに鉄及び銅等のミネラル成分とともに、クエン酸及びクエン酸塩を混合し、十分混合したあとに、水や水蒸気で加水しながらエクストルーダーによって押出成型をする。その後に、好ましくは水分を10%以下になるまで熱風乾燥させて、ペットフードを製造する。なお、ペットフードが二重結合を二つ以上存在する脂肪酸を有する油脂を含む場合には、熱風乾燥させた後、コーティングするのが望ましい。
【0052】
ペットフードとしては、ドライタイプ、ウェットタイプ、セミモイストタイプ、ジャーキータイプ、ビスケットタイプ、ガムタイプ、粒状、粉状、スープ状等いずれの形態であってもよいが、ドライタイプであることが保存の簡便性から好ましい。ドライタイプのペットフードとしては、キブル形状、平板形状、骨形状などが挙げられる。ペットの噛み易さや扱いやすい形状を得るなどの観点からは、嵩密度が100kg/m
3以上、好ましくは300kg/m
3以上であり、そして900kg/m
3以下、好ましくは700kg/m
3以下であり、または、100〜900kg/m
3、特に300〜700kg/m
3であることが好ましい。また、ペットフードは、袋詰め、箱詰め、パック詰め、缶詰、レトルトパウチされた形態で提供され得る。
【0053】
また、本発明の癌細胞増殖抑制組成物を医療用途(治療または予防目的)で癌治療/予防剤として使用することもできる。すなわち、本発明は、10:1〜1:10の重量比(緑茶抽出物:ローズマリー抽出物の混合重量比)で緑茶抽出物およびローズマリー抽出物を癌細胞増殖を抑制する必要のある被検者(疾患を患っている患者を含む)に投与することを有する、癌細胞増殖の抑制方法をも提供する。ここで、緑茶抽出物およびローズマリー抽出物は、これらの有効成分を双方とも含む一剤の形態で投与されても、またはこれらの有効成分を別々に含む二剤の形態で同時に投与されてもよい。これらの有効成分による相乗効果の向上や投与しやすさを考慮すると、緑茶抽出物およびローズマリー抽出物双方とも含む一剤の形態で投与することが好ましい。
【0054】
本形態では、癌細胞増殖抑制組成物を経口剤、外用剤、注射剤、吸入剤、点鼻・点眼剤等に添加することができ、これらの使用方法に応じて、錠剤、液剤、注射剤、軟膏、クリーム、ローション、エアゾール剤、座剤等の所望の剤型にすることができる。また、必要に応じて賦形剤、基剤、乳化剤、安定剤、溶解助剤、矯味剤、保存剤、芳香剤、着色剤、コーティング剤などを適宜配合することができる。医薬部外品・化粧品としては、化粧水、乳液、クリーム等に添加することができ、必要に応じて油分、保湿剤、紫外線吸収剤、水溶性高分子、酸化防止剤、界面活性剤、金属イオン封鎖剤、抗菌防腐剤等が配合できる。
【0055】
本発明の癌細胞増殖抑制組成物を医薬品として利用する場合の投与量は、投与経路;患者の病気の性質;患者のサイズ、体重、表面積、年齢および性別;投与される他の薬剤;ならびに主治医の判断などによって異なる。適当な投与量(緑茶抽出物及びローズマリー抽出物の合計量(乾燥重量換算))は、1日当たり、1〜500mg/kg 体重である。様々な利用できる組成物および様々な投与経路の異なる有効性を考慮すると、必要な投与量は広範に変化しうると予想される。これらの投与量レベルの変動は、当該分野において既知の最適に関する標準的な経験上の手順を用いて調節できる。特に経口によるデリバリーでは、適当なデリバリーベヒクル(例えば、ポリマーミクロ粒子または移植可能な装置)への組成物のカプセル化により、デリバリー効率が上がる。また、上記投与量は、1日1回または複数回に分けてもよい。または、場合によっては、より低い頻度(例えば、週もしくは月単位)で投与されてよい。加えて、同一患者であっても、患者の症状や重篤度に応じて、投与量は変化しうる。
【0056】
医薬品(癌治療/予防剤)に使用する場合、治療上有効な量の癌細胞増殖抑制組成物が、1つまたは複数の薬学的に許容できる担体(添加剤)および/または希釈剤とともに処方される。すなわち、本発明の癌細胞増殖抑制組成物はさらに製薬上許容できる添加剤(例えば、賦形剤、担体など)を含む薬剤組成物の形態でも提供されうる。当該形態の本発明の癌細胞増殖抑制組成物は、以下で詳細に説明するように、固体または液体での投与のために具体的に処方することができる。経口投与として、例えば、水薬(水溶液もしくは非水溶液または懸濁液)、錠剤、巨丸剤、粉末薬、顆粒剤、舌に塗布するためのペーストを例示することができる。非経口投与としては、例えば、滅菌溶液もしくは懸濁液として例えば皮下、筋内もしくは静脈内注射のための製剤、あるいは、局所用として、例えば皮膚に応用されるクリーム、軟膏またはスプレーとして、または、膣内または直腸内に、例えば膣座薬、クリームまたは発泡剤として製剤化することができる。
【0057】
本明細書において、「治療上有効な量」とは、本明細書で使用される場合、いずれの医療にも適用可能な妥当な便益/リスク比で、何らかの所望の治療効果を生じるために有効な作用物質または組成物の量を意味する。例えば、本発明の癌細胞増殖抑制組成物の投与量は、対象疾患、投与対象、投与ルートなどにより差異はあるが、癌の治療/予防目的で本発明の癌細胞増殖抑制組成物を経口投与する場合、容量は対象となる者の体重等の条件によって容易に変動しうるため、当業者によって適宜選択されうる。また、最終的には、主治医が患者の症状や重篤度などを考慮して、適宜選択する。
【0058】
本明細書において、「製薬上許容できる」とは、正しい医学的判断の範囲内で、妥当な便益/リスク比に見合って、過剰な毒性、刺激、アレルギー反応等の問題や合併症なしに、治療対象(ヒト、哺乳動物など)の組織に接触しての使用に好適な、化合物、材料、組成物、および/または投薬形態を指すために使用される。
【0059】
製薬上許容できる担体とは、体の一器官または一部から体の別の器官または一部へ本発明の癌細胞増殖抑制組成物を運搬または輸送することに関与する液体または固体の充填剤、希釈剤、補形薬、溶剤またはカプセル化材料のような、製薬上許容できる材料、組成物または賦形剤を意味する。各担体は、剤形の他の成分と適合し、患者に有害でないという意味で「許容できる」ものでなければならない。製薬上許容できる担体としては、以下に制限されないが、ラクトース、グルコースおよびスクロースのような糖;トウモロコシデンプンおよびバレイショデンプンのようなデンプン;カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロースおよび酢酸セルロースのようなセルロースおよびその誘導体;粉末トラガカント;麦芽;ゼラチン;タルク;ココアバターおよび座薬ワックスのような補形薬;落花生油、綿実油、ベニバナ油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油およびダイズ油のような油;プロピレングリコールのようなグリコール;グリセリン、ソルビトール、マンニトールおよびポリエチレングリコールのようなポリオール;オレイン酸エチルおよびラウリン酸エチルのようなエステル;寒天;水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウムのような緩衝剤;アルギン酸;パイロジェンフリー水;等張食塩液;リンガー溶液;エチルアルコール;リン酸緩衝溶液;ならびに薬物処方で使用される他の非毒性の適合物質が挙げられる。いくつかの実施形態では、薬物製剤は非発熱性である。すなわち、患者の体温を上昇させないものが望ましい。その他、ラウリル硫酸ナトリウムおよびステアリン酸マグネシウムのような湿潤剤、乳化剤および潤滑剤、ならびに着色剤、放出剤、被覆剤、甘味料、香味剤および香料、保存料および酸化防止剤が本発明の癌細胞増殖抑制組成物(癌治療/予防剤)中に含まれてもよい。
【0060】
製薬上許容できる酸化防止剤としては、以下に制限されないが、アスコルビン酸、塩酸システイン、硫酸水素ナトリウム、二亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム等のような水溶性酸化防止剤;パルミチン酸アスコルビル、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、レシチン、没食子酸プロピル、α−トコフェロール等のような油溶性酸化防止剤;ならびにクエン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ソルビトール、酒石酸、リン酸等のような金属キレート剤が挙げられる。
【0061】
本発明の癌細胞増殖抑制組成物は、経口、経鼻、局所(口内および舌下を含む)、直腸、膣および/または非経口投与に等の様々な剤形で使用できる。剤形は、単位投薬形態で都合よく差し出されてもよく、薬学分野で周知のいかなる方法によって調製されてもよい。担体材料と組み合わせて単一投薬形態を作製することができる活性成分の量は、治療されるホスト、特定の投与方式に応じて変わるであろう。担体材料と組み合わせて単一投薬形態を作製することができる活性成分の量は一般に、治療効果を生じる化合物の量であるが、一般に、活性成分(緑茶抽出物及びローズマリー抽出物)の量は、癌細胞増殖抑制組成物 100重量部に対して、約0.1〜約99重量部であり、好ましくは約1重量部〜約70重量部であり、より好ましくは約5重量部〜約50重量部である。
【0062】
これらの剤形または組成物を調製する方法は、本発明の癌細胞増殖抑制組成物を担体と、随意に1つまたは複数の副成分と結びつけるステップを含む。一般に、剤形は本発明の1つまたは複数の作用物質を液体担体、もしくは微粉化した固体担体、またはその両方と均一かつ緊密に結びつけ、必要であれば製品を整形することによって調製される。
【0063】
例えば、経口投与に好適な本発明の剤形は、カプセル、カシェ(sachet)、丸薬、錠剤、ロゼンジ(味付けされた主薬、通常はスクロースおよびアラビアゴムまたはトラガカント、を用いる)、粉末、顆粒の形態でもよく、または水性もしくは非水性液体中の溶液もしくは懸濁液として、または水中油もしくは油中水液体乳剤として、またはエリキシルもしくはシロップとして、または香錠(ゼラチンおよびグリセリン、またはスクロースおよびアラビアゴムのような不活性基剤を用いる)および/または含嗽剤等としてでもよく、それぞれ活性成分として所定量の本発明の化合物を含む。本発明の作用物質は、巨丸剤、舐剤、またはペーストとして投与されてもよい。
【0064】
経口投与のための本発明の固体投薬形態(カプセル、錠剤、丸薬、糖衣錠、粉末薬、顆粒剤等)では、活性成分(緑茶抽出物及びローズマリー抽出物)は、クエン酸ナトリウムまたはリン酸二カルシウムのような1つまたは複数の製薬上許容できる担体、および/または以下のもののいずれかと混合される:デンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール、および/またはケイ酸のような充填剤または増量剤;例えばカルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロースおよび/またはアラビアゴムのような粘結剤;グリセロールのような保湿剤;寒天、炭酸カルシウム、バレイショまたはタピオカデンプン、アルギン酸、ある特定のケイ酸塩、および炭酸ナトリウムのような崩壊剤;パラフィンのような溶解遅延剤;4級アンモニウム化合物のような吸収促進剤;セチルアルコールおよびモノステアリン酸グリセロールのような湿潤剤;カオリンおよびベントナイト粘土のような吸収剤;タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、およびそれらの混合物のような潤滑剤;ならびに着色剤。カプセル、錠剤および丸薬の場合、癌細胞増殖抑制組成物は緩衝剤を含んでもよい。同様の種類の固体組成物が、ラクトースまたは乳糖のような補形薬と、高分子量ポリエチレングリコール等とを用いたソフトおよびハード充填ゼラチンカプセル内の充填剤としても使用可能である。
【0065】
また、錠剤は、圧縮または成形によって、随意に1つまたは複数の副成分とともに、作製されうる。圧縮された錠剤は、粘結剤(例えば、ゼラチンもしくはヒドロキシプロピルメチルセルロース)、潤滑剤、不活性希釈剤、保存料、崩壊剤(例えば、グリコール酸ナトリウムデンプンもしくは架橋型カルボキシメチルセルロースナトリウム)、表面活性剤または分散剤を用いて調製されうる。成形タブレットは、不活性液体希釈剤で湿潤化された粉末化合物の混合物を好適な機械で成形することによって作製されうる。
【0066】
糖衣錠、カプセル、丸薬および顆粒剤のような、本発明の癌細胞増殖抑制組成物の錠剤等の固体投薬形態は、随意に、刻み目を付けられ、または薬物調剤分野において周知の腸溶性被膜等の被膜および殻を用いて調製されてもよい。それらは、例えば、所望の放出プロフィールを提供するための種々の比率でのヒドロキシプロピルメチルセルロース、他のポリマーマトリックス、リポソームおよび/またはミクロスフェアを用いて、内部の活性成分の徐放性または制御された放出を提供するように調剤されてもよい。それらは、例えば、細菌保持フィルターを通す濾過によって、または使用直前に滅菌水等の滅菌注射可能媒質に溶解することができる滅菌固体組成物の形態で滅菌剤を組み込むことによって、滅菌してもよい。これらの組成物は、随意に乳白剤を含んでもよく、胃腸管のある特定の部分のみで、またはそこで優先的に、随意に遅延したやり方で、1つまたは複数の活性成分を放出する組成であってもよい。使用可能な埋込み組成物の例として、ポリマー物質およびワックスがある。活性成分は、適当であれば1つまたは複数の上記の補形薬とともに、マイクロカプセル化された形態であってもよい。
【0067】
本発明の癌細胞増殖抑制組成物の経口投与のための液体投薬形態としては、製薬上許容できる乳剤、マイクロエマルジョン、溶液、懸濁液、シロップおよびエリキシルがある。液体投薬形態は、活性成分に加えて、例えば水や他の溶媒のような当技術分野で一般に使用される不活性希釈剤、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブタジエングリコール、油(特に、綿実油、落花生油、トウモロコシ油、胚油、オリーブ油、ヒマシ油およびゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフリルアルコール、ポリエチレングリコールおよびソルビタンの脂肪酸エステルのような可溶化剤および乳化剤、およびそれらの混合物を含んでもよい。また、不活性希釈剤の他に、経口組成物は、湿潤剤、乳化剤および懸濁剤、甘味料、香味剤、着色剤、香料および保存剤のような補助薬を含んでもよい。懸濁液は、活性化合物に加えて、例えば、エトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトールおよびソルビタンエステル、微結晶セルロース、メタ水酸化アルミニウム、ベントナイト、寒天およびトラガカント、ならびにそれらの混合物のような懸濁剤を含んでもよい。
【0068】
直腸または膣投与のための本発明の癌細胞増殖抑制組成物の剤形は、座薬として提示されうる。この座薬は、例えば、ココアバター、ポリエチレングリコール、座薬ワックスまたはサリチル酸塩を含む1つまたは複数の好適な非刺激性補形薬または担体と、本発明の1つまたは複数の作用物質を混合することによって調製することが可能であり、室温で固体であるが、体温では液体であるため、直腸または膣腔で融解し、活性化合物を放出することになる。膣投与に好適な剤形はまた、当技術分野で適当であることが知られているような担体を含むペッサリー、タンポン、クリーム、ゲル、ペースト、発泡またはスプレー剤形も含む。
【0069】
本発明の1つもしくは複数の癌細胞増殖抑制組成物の局所的または経皮的投与の投薬形態は、粉末、スプレー、軟膏、ペースト、クリーム、ローション、ゲル、溶液、パッチおよび吸入薬を含む。活性成分(緑茶抽出物及びローズマリー抽出物)は、製薬上許容できる基材と、および必要であれば保存料、緩衝液、または推進剤と、滅菌条件下で混合してもよい。軟膏、ペースト、クリームおよびゲルは、活性成分(緑茶抽出物及びローズマリー抽出物)に加えて、動物脂または植物脂、油、ワックス、パラフィン、デンプン、トラガカント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコーン、ベントナイト、ケイ酸、タルクおよび酸化亜鉛、またはそれらの混合物のような補形薬を含んでもよい。
【0070】
粉末およびスプレーは、活性成分(緑茶抽出物及びローズマリー抽出物)に加えて、ラクトース、タルク、ケイ酸、水酸化アルミニウム、ケイ酸カルシウムおよびポリアミド粉末、またはこれらの物質の混合物のような補形薬を含んでもよい。スプレーは、塩化フッ化炭化水素や、ブタンおよびプロパンのような揮発性非置換炭化水素のような通例の高圧ガスをさらに含んでもよい。
【0071】
経皮的パッチは、本発明の癌細胞増殖抑制組成物を、体に制御して配送するという更なる利点を有する。このような投薬形態は、適当な媒質に本発明の癌細胞増殖抑制組成物を溶解または分散させることによってなされうる。吸収増進剤を用いて、皮膚を横切る本発明の癌細胞増殖抑制組成物を含有する物質のフラックスを上昇させることも可能である。このようなフラックスの速さは、速さ制御膜を設けるか、またはポリマーマトリックスもしくはゲル中に化合物を分散させるかのいずれかによって制御することができる。
【0072】
非経口投与に好適な本発明の癌細胞増殖抑制組成物は、当該組成物とともに、1つまたは複数の製薬上許容できる滅菌等張水溶液または非水溶液、分散剤、懸濁液もしくは乳剤、または使用直前に滅菌注射可能溶液または分散剤中で戻すことが可能な滅菌粉末を含み、これは酸化防止剤、緩衝剤、静菌剤、調剤を目的レシピエントの血液と等張にする溶質、または懸濁剤もしくは濃縮剤を含みうる。
【0073】
本発明の癌細胞増殖抑制組成物で使用可能な好適な水性および非水性担体の例としては、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール等)、およびそれらの好適な混合物、オリーブ油のような植物油、ならびにオレイン酸エチルのような注射可能有機エステルがある。固有の流動性は、例えば、レシチンのような被覆材料の使用によって、分散剤の場合には必要な粒子サイズの維持によって、および界面活性剤の使用によって、維持することができる。
【0074】
本発明の癌細胞増殖抑制組成物は、保存料、湿潤剤、乳化剤および分散剤のような補助薬を含んでもよい。微生物の活動の防止は、例えば、パラベン、クロロブタノール、ソルビン酸フェノール等の種々の抗菌剤および抗真菌剤の含有によって確保しうる。糖、塩化ナトリウム等の等張剤を組成物に含めると望ましいかもしれない。さらに、注射可能薬物形態の持続性吸収が、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンのような吸収を遅延させる作用物質の含有により引き起こされうる。
【0075】
また、本発明の癌細胞増殖抑制組成物は、食品(食品組成物)としても利用することができる。この際、本発明の癌細胞増殖抑制組成物をそのまま用いてもよく、液状、ゲル状あるいは固形状の食品、例えばジュース、清涼飲料、茶、スープ、豆乳、サラダ油、ドレッシング、ヨーグルト、ゼリー、プリン、ふりかけ、育児用粉乳、ケーキミックス、粉末状または液状の乳製品、パン、クッキー等に添加したり、必要に応じてデキストリン、乳糖、澱粉等の賦形剤や香料、色素等とともにペレット、錠剤、顆粒等に加工したり、またゼラチン等で被覆してカプセルに成形加工して健康食品や栄養補助食品等として利用できる。これらの食品類あるいは食用組成物における本発明の癌細胞増殖抑制組成物の配合量は、当該食品や組成物の種類や状態等により一律に規定しがたいが、食品の全重量に対して、0.01〜90重量%、より好ましくは0.1〜80重量%である。このような配合量であれば、風味を損なうことなく、癌細胞増殖抑制組成物による効能を十分発揮できる。また、食品を容易に調製できる。
【0076】
さらに、本発明の癌細胞増殖抑制組成物は、化粧品(化粧料組成物)としても利用することができる。この際、化粧品(化粧用組成物)の形態としては、ローション、乳液、クリーム、パウダーなどが挙げられるが、特にこれらに限定はされない。本発明の癌細胞増殖抑制組成物を含有するこのような化粧品(化粧料組成物)は、当業者に公知の手法を用いて製造されうる。本発明の癌細胞増殖抑制組成物を化粧品(化粧料組成物)として用いられる場合の形態としては、ローション、乳液、クリーム、パウダーなどが挙げられるが、特にこれらに限定はされない。本発明の癌細胞増殖抑制組成物を含有するこのような化粧料組成物は、当業者に公知の手法を用いて製造されうる。
【実施例】
【0077】
本発明の効果を、以下の実施例および比較例を用いて説明する。ただし、本発明の技術的範囲が以下の実施例のみに制限されるわけではない。なお、下記実施例において、特記しない限り、操作は室温(25℃)で行われた。また、特記しない限り、「%」および「部」は、それぞれ、「重量%」および「重量部」を意味する。
【0078】
実施例1〜7および比較例1〜5:白血病細胞に対する細胞増殖抑制効果の評価1
ローズマリー抽出物(三菱化学フーズ(株)製、RM−21Bベース)および緑茶抽出物(三井農林(株)製、ポリフェノン(登録商標)70A、カフェイン含有量:0.5%以下)を、ローズマリー抽出物と緑茶抽出物の重量比(ローズマリー抽出物:緑茶抽出物の混合重量比)が20:1(比較例1)、10:1(実施例1)、5:1(実施例2)、2:1(実施例3)、1:1(実施例4)、1:2(実施例5)、1:5(実施例6)、1:10(実施例7)および1:20(比較例2)となるようにジメチルスルホキシド(DMSO)で調製した(ローズマリー抽出物および緑茶抽出物の混合物の濃度(合計濃度):10mg/ml)。また、比較対象として、ローズマリー抽出物(比較例3)および緑茶抽出物(比較例4)をそれぞれ、DMSOで10mg/mlに調製した。
【0079】
ヒト慢性骨髄性白血病由来K562細胞を、10%FBS含有RPMI1640培地を用いて、5体積%CO
2雰囲気下で37℃で培養した。この培養細胞を、24ウェルプレートに1ウェルあたり5×10
4個になるように1ml播種した後、上記で調製された各抽出物の混合物の溶液を、最終濃度が10μg/mlとなるように、培地に1μl添加した。また、比較対象として、ローズマリー抽出物と緑茶抽出物もそれぞれ単独で、10μg/mlとなるように、培地に1μl添加した。コントロール(比較例5)には、溶媒のDMSOのみを1μl添加した。
【0080】
各抽出物溶液またはDMSOを添加してから48時間、K562細胞を、5体積%CO
2雰囲気下で37℃で培養した。所定時間培養後、生存細胞数をトリパンブルー染色法により測定し、下記に示す式(1)により各サンプルの細胞増殖率(%)を算出した。なお、下記式(1)において、「各サンプルの生存細胞数」は各抽出物溶液(サンプル)を添加・培養した際のK562細胞の生存細胞数を示し、「コントロールの生存細胞数」は、DMSOを添加・培養した際のK562細胞の生存細胞数を示す。なお、上記操作は、各4サンプルについて行った。
【0081】
【数1】
【0082】
結果を
図1に示す。なお、
図1において、各値は、平均値+標準偏差(n=4)として表される。また、「*」は、ローズマリー抽出物単独及び緑茶抽出物単独と比較した場合、特に有意差がある(p<0.05である)ことを示す。
【0083】
図1から明らかなように、実施例1〜7の組成物は、ローズマリー抽出物単独(比較例3)、緑茶抽出物単独(比較例4)、ローズマリー抽出物および緑茶抽出物を20:1で含む場合(比較例1)ならびにローズマリー抽出物および緑茶抽出物を1:20で含む場合(比較例2)に比して、癌細胞増殖率が有意に低いことが分かる。当該結果から、本発明の組成物を用いることによって、癌細胞増殖抑制効果を相乗的に向上できると考察される。
【0084】
また、
図1から、ローズマリー抽出物および緑茶抽出物を5:1〜1:5の重量比(ローズマリー抽出物:緑茶抽出物の混合重量比)で含む組成物(実施例2〜6)では、相乗的な癌細胞増殖抑制効果がより顕著に発揮できることが示される。
【0085】
なお、本実施例では、ヒト細胞について癌細胞増殖抑制効果を評価したが、イヌ、ネコなどのペット動物にたいしても同様の結果が得られると推測される。
【0086】
実施例8〜10および比較例6〜12:白血病細胞に対する細胞増殖抑制効果の評価2
ローズマリー抽出物と緑茶抽出物の重量比(ローズマリー抽出物:緑茶抽出物の混合重量比)が1:1になるようにDMSOで調製した(ローズマリー抽出物および緑茶抽出物の混合物の濃度(合計濃度):5mg/ml、10mg/mlおよび15mg/ml)。また、比較対象として、ローズマリー抽出物と緑茶抽出物をそれぞれ、DMSOで5mg/ml、10mg/ml、15mg/mlに調製した。なお、本例において、ローズマリー抽出物として、三菱化学フーズ(株)製、RM−21Bベースを使用し、および緑茶抽出物として、三井農林(株)製、ポリフェノン(登録商標)70A(カフェイン含有量:0.5%以下)を使用した。
【0087】
ヒト慢性骨髄性白血病由来K562細胞を、10%FBS含有RPMI1640培地を用いて、5体積%CO
2雰囲気下で37℃で培養した。この培養細胞を、24ウェルプレートに1ウェルあたり5×10
4個になるように1ml播種した後、上記で調製された各抽出物の混合物の溶液を、最終濃度が5μg/ml(実施例8)、10μg/ml(実施例9)及び15μg/ml(実施例10)となるように、培地に1μl添加した。また、比較対象として、ローズマリー抽出物と緑茶抽出物もそれぞれ単独で、5μg/ml(ローズマリー抽出物:比較例6、緑茶抽出物:比較例7)、10μg/ml(ローズマリー抽出物:比較例8、緑茶抽出物:比較例9)及び15μg/ml(ローズマリー抽出物:比較例10、緑茶抽出物:比較例11)となるように培地に1μl添加した。コントロール(比較例12)には、溶媒のDMSOのみを1μl添加した。
【0088】
上記したようにして作製された各サンプルについて、実施例1と同様にして、細胞増殖率(%)を算出し、下記方法に従って、30%阻害濃度(30% inhibitory concentration)(IC30)(μg/ml)、40%阻害濃度(40% inhibitory concentration)(IC40)(μg/ml)および50%阻害濃度(half maximal (50%) inhibitory concentration)(IC50)(μg/ml)を測定した。また、各阻害濃度値から、混合重量比1:1における併用係数(combination index)(CI)を下記方法によって算出した。
【0089】
結果を下記表1に示す。なお、表1において、各阻害濃度において、併用係数(CI)が1未満(CI<1)である場合には、相乗効果があると判断し、併用係数(CI)が小さいほど相乗効果が高いと判断する。
【0090】
(阻害濃度の測定)
生存率50%をはさんでいる2種の濃度溶液の細胞生存率から下記式(2)に示す計算式により算出する。
【0091】
【数2】
【0092】
IC30およびIC40についても上記方法に準じ算出する。
【0093】
(併用係数(CI)の測定)
ローズマリー抽出物および緑茶抽出物をそれぞれ単独で使用した場合の癌細胞増殖抑制率がx%に達した時の濃度を(Dx)
1、(Dx)
2とし、同じく癌細胞増殖抑制率がx%に達した時の混合物におけるローズマリー抽出物と緑茶抽出物の濃度をD
1、D
2とし、下記式(3)に示す計算式より算出する。
【0094】
【数3】
【0095】
【表1】
【0096】
表1から明らかなように、ローズマリー抽出物および緑茶抽出物を1:1で含む組成物は、いずれの濃度(投与量)でも、ローズマリー抽出物単独及び緑茶抽出物単独に比して、有意に細胞増殖を抑制できることが示される。また、上記表1の併用係数から、本発明の組成物は、ローズマリー抽出物単独及び緑茶抽出物単独に対して、驚くべきほど高い相乗効果が認められることが分かる。
【0097】
上記結果から、本発明の組成物は、白血病等の造血器系の癌の治療に使用できると考察される。また、本発明の組成物を構成する緑茶抽出物およびローズマリー抽出物は双方とも酸化防止剤、香辛料、機能性を有する抽出物として食品に使用されており、安全性が認められている。このため、本発明の組成物を含む食品やペットフードは、白血病等の造血器系の癌の予防用の健康食品としても有用であると期待される。
【0098】
実施例11〜17および比較例13〜17:大腸癌細胞に対する細胞増殖抑制効果の評価1
ローズマリー抽出物(三菱化学フーズ(株)製、RM−21Bベース)および緑茶抽出物(三井農林(株)製、ポリフェノン(登録商標)70A)を、ローズマリー抽出物と緑茶抽出物の重量比(ローズマリー抽出物:緑茶抽出物の混合重量比)が20:1(比較例13)、10:1(実施例11)、5:1(実施例12)、2:1(実施例13)、1:1(実施例14)、1:2(実施例15)、1:5(実施例16)、1:10(実施例17)および1:20(比較例14)となるようにジメチルスルホキシド(DMSO)で調製した(ローズマリー抽出物および緑茶抽出物の混合物の濃度(合計濃度):10mg/ml)。また、比較対象として、ローズマリー抽出物(比較例15)および緑茶抽出物(比較例16)をそれぞれ、DMSOで10mg/mlに調製した。
【0099】
ヒト結腸腺癌由来DLD−1細胞を、10%FBS含有RPMI1640培地を用いて、5体積%CO
2雰囲気下で37℃で培養した。この培養細胞を、12ウェルプレートに1ウェルあたり1×10
4個になるように1ml播種した。5体積%CO
2雰囲気下で37℃で24時間、DLD−1細胞を培養した後、上記で調製された各抽出物の混合物の溶液を、最終濃度が10μg/mlとなるように、培地に1μl添加した。また、比較対象として、ローズマリー抽出物と緑茶抽出物もそれぞれ単独で、10μg/mlとなるように培地に1μl添加した。コントロール(比較例17)には、溶媒のDMSOのみを1μl添加した。
【0100】
各抽出物溶液またはDMSOを添加してから48時間、DLD−1細胞を、5体積%CO
2雰囲気下で37℃で培養した。所定時間培養後、生存細胞数をトリパンブルー染色法により測定し、下記に示す式(4)により各サンプルの細胞増殖率(%)を算出した。なお、下記式(4)において、「各サンプルの生存細胞数」は各抽出物溶液(サンプル)を添加・培養した際のDLD−1細胞の生存細胞数を示し、「コントロールの生存細胞数」は、DMSOを添加・培養した際のDLD−1細胞の生存細胞数を示す。なお、上記操作は、各4サンプルについて行った。
【0101】
【数4】
【0102】
結果を
図2に示す。なお、
図2において、各値は、平均値+標準偏差(n=4)として表される。また、「*」は、ローズマリー抽出物単独及び緑茶抽出物単独と比較した場合、特に有意差がある(p<0.05である)ことを示す。
【0103】
図2から明らかなように、実施例11〜17の組成物は、ローズマリー抽出物単独(比較例13)、緑茶抽出物単独(比較例14)、ローズマリー抽出物および緑茶抽出物を20:1で含む場合(比較例11)ならびにローズマリー抽出物および緑茶抽出物を1:20で含む場合(比較例12)に比して、癌細胞増殖率が有意に低いことが分かる。当該結果から、本発明の組成物を用いることによって、癌細胞増殖抑制効果を相乗的に向上できると考察される。
【0104】
また、
図2から、ローズマリー抽出物および緑茶抽出物を5:1〜1:5の重量比(ローズマリー抽出物:緑茶抽出物の混合重量比)で含む組成物(実施例12〜16)では、相乗的な癌細胞増殖抑制効果がより顕著に発揮できることが示される。
【0105】
実施例18〜20および比較例18〜24:大腸癌細胞に対する細胞増殖抑制効果の評価2
ローズマリー抽出物と緑茶抽出物の重量比(ローズマリー抽出物:緑茶抽出物の混合重量比)が1:1になるようにDMSOで調製した(ローズマリー抽出物および緑茶抽出物の混合物の濃度(合計濃度):5mg/ml、10mg/mlおよび15mg/ml)。また、比較対象として、ローズマリー抽出物と緑茶抽出物をそれぞれ、DMSOで5mg/ml、10mg/ml、15mg/mlに調製した。なお、本例において、ローズマリー抽出物として、三菱化学フーズ(株)製、RM−21Bベースを使用し、および緑茶抽出物として、三井農林(株)製、ポリフェノン(登録商標)70A(カフェイン含有量:0.5%以下)を使用した。
【0106】
ヒト結腸腺癌由来DLD−1細胞を、10%FBS含有RPMI1640培地を用いて、5体積%CO
2雰囲気下で37℃で培養した。この培養細胞を、12ウェルプレートに1ウェルあたり1×10
4個になるように1ml播種した後、上記で調製された各抽出物の混合物の溶液を、最終濃度が5μg/ml(実施例18)、10μg/ml(実施例19)及び15μg/ml(実施例20)となるように、培地に1μl添加した。また、比較対象として、ローズマリー抽出物と緑茶抽出物もそれぞれ単独で、5μg/ml(ローズマリー抽出物:比較例18、緑茶抽出物:比較例19)、10μg/ml(ローズマリー抽出物:比較例20、緑茶抽出物:比較例21)及び15μg/ml(ローズマリー抽出物:比較例22、緑茶抽出物:比較例23)となるように培地に1μl添加した。コントロール(比較例24)には、溶媒のDMSOのみを1μl添加した。
【0107】
上記したようにして作製された各サンプルについて、実施例1と同様にして、細胞増殖率(%)を算出し、実施例8と同様にして、30%阻害濃度(30% inhibitory concentration)(IC30)(μg/ml)、40%阻害濃度(40% inhibitory concentration)(IC40)(μg/ml)および50%阻害濃度(half maximal (50%) inhibitory concentration)(IC50)(μg/ml)を測定した。また、実施例8と同様にして、各阻害濃度値から、混合重量比1:1における併用係数(combination index)(CI)を算出した。
【0108】
結果を下記表2に示す。なお、表2において、各阻害濃度において、併用係数(CI)が1未満(CI<1)である場合には、相乗効果があると判断し、併用係数(CI)が小さいほど相乗効果が高いと判断する。
【0109】
【表2】
【0110】
表2から明らかなように、ローズマリー抽出物および緑茶抽出物を1:1で含む組成物は、いずれの濃度(投与量)でも、ローズマリー抽出物単独及び緑茶抽出物単独に比して、有意に癌細胞の増殖を抑制できることが示される。特に5〜10μg/mlの低濃度(低投与量)にて、結腸癌に対して顕著な癌細胞増殖抑制の向上効果が認められることから、本発明の組成物は低投与量で消化器癌に対して治療・予防効果を奏するものと考察される。
【0111】
また、上記表2の併用係数から、本発明の組成物は、ローズマリー抽出物単独及び緑茶抽出物単独に対して、驚くべきほど高い相乗効果が認められることが分かる。
【0112】
上記結果から、本発明の組成物は、結腸癌等の消化器系の癌の治療に使用できると考察される。また、本発明の組成物を構成する緑茶抽出物およびローズマリー抽出物は双方とも酸化防止剤、香辛料、機能性を有する抽出物として食品に使用されており、安全性が認められている。このため、本発明の組成物を含む食品やペットフードは、結腸癌等の消化器系の癌の予防用の健康食品としても有用であると期待される。
【0113】
本出願は、2014年12月22日に出願された日本特許出願番号2014−258968号に基づいており、その開示内容は、参照され、全体として、組み入れられている。