(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1のポリマーは、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(エチレンナフタレート)、ポリ(乳酸)、ポリ(トリメチレンテレフタレート)、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるポリエステルである、請求項1に記載のウェブ。
請求項1に記載の熱安定性メルトブローン繊維ウェブを含む物品であって、前記物品は、断熱物品、防音物品、流体濾過物品、又はこれらの組み合わせからなる群から選択される、物品。
【図面の簡単な説明】
【0003】
【
図1】代表的な熱安定性メルトブローン繊維ウェブの一部の側面の概略を示す側断面概略図である。
【
図2】代表的なメルトブローン多層繊維の断面スライス図である。
【
図3】別の代表的なメルトブローン多層繊維の断面スライス図である。
【
図4】別の代表的なメルトブローン多層繊維の断面スライス図である。
【0004】
特に指定されない限り、本文献における全ての図面及び図は、一定の縮尺ではなく、本発明の異なる実施形態を例示する目的で選択される。特に、様々な構成要素の寸法は、指示のない限り、例示的な用語としてのみ記述され、様々な構成要素の寸法間の関係は、図面から推測されるべきではない。様々な図面における類似参照番号は類似要素を表す。いくつかの要素は、複数存在する可能性がある;こうした場合には、1つ以上のみの代表的要素が参照番号によって指示されてもよいが、こうした参照番号が、全てのこうした要素に適用されることは理解されよう(場合によっては、表記(例えば)は、説明する目的のために、便宜上複数の等価要素を区別するために使用してもよい)。「最上部」、「底部」、「上側」、「下側」、「下」、「上」、「前」、「後ろ」、「外側に」、「内側に」、「上に」、「下に」、並びに「第1」及び「第2」などの用語が本開示中で使用され得るが、特に記載のない限りこれらの用語は相対的な意味においてのみ使用されることを理解すべきである。特に、等価の複数において発生する構成要素については、「第1の」及び「第2の」という表記は、本明細書に記載されるように、説明順序に適用してもよい(このことは、構成要素の1つが最初に説明されるように選択されるかに関しては無関係である)。
【0005】
本明細書において、ある特性又は属性に対する修飾語として用いられる「概ね」なる用語は、特に定めのない限り、その特性又は属性が当業者により直ちに認識されるものであるが、絶対的な精度又は完全な一致を必要としないことを意味する(例えば、定量化可能な特性の場合、+/−20%の範囲内)。特に定めのない限り、「ほぼ」なる用語は、高い程度の近似(例えば、定量化可能な特性の場合、+/−10%の範囲内)を意味するが、この場合もやはり絶対的な精度又は完全な一致を必要としない。同一、等しい、均一、一定、厳密になどの用語は、絶対的な精度又は完全な一致を必要とするよりむしろ、特定の環境に当てはまる通常の許容差又は測定誤差の範囲内であると理解されるべきである。当業者は、本明細書で使用する場合、「実質的にないsubstantially no)」「実質的に含まない(substantially free of)」などの用語は、例えば日常的な洗浄手順に供される大規模な生産設備を使用する場合に生じ得るように、きわめて少量(例えば0.1%以下)の材料がある程度存在することを排除するものではないことを理解するであろう。
【0006】
用語集
熱安定性ウェブとは、本明細書の実施例に記載するように、試験を行ったとき、10%未満の熱収縮を示すウェブを意味する。
【0007】
メルトブローン繊維/ウェブとは、メルトブローにより調製される繊維/ウェブを意味する。
【0008】
メルトブローとは、ダイの複数個のオリフィスを介して、溶融した繊維形成材料を押出し、溶融したフィラメントを提供することを意味する。(オリフィスを出た本質的に直後の)フィラメントを高速ガス流(例えば、空気)に接触させ、フィラメントを細化して(メルトブローン)繊維とし、その後、本明細書に詳細で後述するように回集する。
【0009】
「フィラメント」とは、一組のオリフィスから押出される熱可塑性材料の溶融ストリームを意味し、繊維とは、固化したフィラメントを意味する。ウェブとは、回収した繊維の塊を意味し、少なくともそのうちのいくつかは、ウェブが従来のロールツーロール設備で取り扱うのに十分な機械的一体性を有するのに十分な範囲で互いに結合している。
【0010】
T
mとは、本明細書の実施例に記述されるように測定された半結晶性ポリマーの結晶融点を意味する。
【0011】
半結晶性ポリマーに適用される場合、用語「結晶化が速い」及び「結晶化が遅い」は本明細書の以下で定義され、詳細に説明される。
【0012】
ポリマーとは、少なくとも約10,000の数平均分子量を有する巨大分子で作られている材料を意味する。用語「ポリマー」は、説明の便宜上で使用され、具体的にはコポリマーを含み、別段の指定がない限り、非ポリマー添加剤(多くの場合、例えば様々な目的の熱可塑性ポリマー中に存在する)を更に含んでもよい。
【0013】
非ポリマーとは、10,000未満の数平均分子量を有することを意味する。
【0014】
外側とは、多層繊維の半径方向に最も外側の部分を提供する層、表面又は縁部を意味する。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本明細書では、
図1の代表的実施形態に示すような熱安定性メルトブローン不織布繊維ウェブ1を開示する。ウェブは、複数のメルトブローン多層繊維100を含む。多層とは、繊維が少なくとも2つの層、具体的には、第1のポリマーから構成される少なくとも1つの第1の層110、及び第2のポリマーから構成される少なくとも1つの第2の層150を有することを意味する。多層とは、第1の層110の少なくとも1つ、及び第2の層150の少なくとも1つを更に意味し、それぞれが外側縁部及び/又は主要外側表面を備える。このため、定義によれば、用語「多層繊維」には、具体的にはいわゆるシースコア繊維は除外され、コア層には外側縁部又は主要外側表面は含まれない(例えば、散発的な統計上の発生及び欠陥を除く)。
【0016】
図2に、代表的な二層多層繊維100の断面スライス図(多層繊維の長軸と実質的に位置合わせされた方向に沿って見た)を示す。繊維100は第1のポリマー層110を含み、この層は、主要外側表面118及び外側縁部116を含み(この種の実施形態では、主要外側表面と称される層110の部分と外側縁部と称される部分との間の明確な境界線がなくてもよい)、主要内側表面112を更に含む。繊維100は、第2のポリマー層150を更に含み、この層は、主要内側表面152及び外側縁部156を含み、本実施形態では、主要外側表面158を更に含む。第2のポリマー層150の主要内側表面152と第1のポリマー層110の第1の主要内側表面112とは、内部境界面114で互いに直接接触している。
【0017】
図3に、別の代表的多層繊維100(この場合、五層繊維)を、ここでも断面スライス図で示す。
図3の代表的な五層繊維100は、交互する第1及び第2の層、合計3つの第1のポリマー層110及び2つの第2のポリマー層150を含む。第1の層110はそれぞれ、第2のポリマー層150の主要内側表面152に、境界面114で直接接触する少なくとも1つの主要内側表面112を含む(2つのこうした境界面更日に層110及び150の主要内部表面は
図3で114及び114’、112及び112’及び152及び152’として特定される)。こうした一般的な種類の多層繊維(例えば、少なくとも3つの第1の層110及び少なくとも2つの第2の層150を備える)では、第1の層110の少なくとも1つが内側の第1の層となり(
図3では110iとして示される)、これは、このような第1の層が、2つの第2の層150の間に挟まれていることを意味する。少なくとも1つの他の第1の層110が外側の第1の層であってもよく(
図3に110eとして示す)、境界面114で第2の層150の主要内側表面152に直接接触する主要内側表面112を含み、かつ主要外側表面118である別の主要面を備える。定義によれば、多層繊維の第1の層110は、外側縁部116(2つのこうした縁部116及び116’は
図3に示す)、主要外側表面118、又はその両方を示す。(上記のとおり)例えば、わずかな層しか有さない多層繊維では、主要外側表面と称される第1の層の部分と外側縁部と称される部分との間に明確な境界線がなくてもよく、より多くの層が存在するほど、より速やかに外側縁部と主要外側表面(例えば、外側の第1の層)とを区別することができることが理解されよう。また、定義によれば、多層繊維の第2の層150は、外側縁部156(2つのこうした縁部156及び156’は
図3に示す)を示す。
【0018】
図4に、更に別の代表的多層繊維100(この場合、十五層繊維)を、ここでも断面スライス図で示す。
図4の代表的十五層繊維100は、8つの第1のポリマー層110(6つの内側層及び2つの外側層)及び7つの第2のポリマー層150を備える。更に一般的な用語では、多層繊維は、少なくともnの第1の層、及び少なくともn−1の第2の層、一対の第1の層の間に個別に挟まれる少なくともn−2の第2の層を含むことができる(nは3〜51の数字である)(本明細書で使用するとき、個別に挟まれるとは、他の第2の層が特定の一対の第1の層の間には存在しないことを意味する)。
【0019】
上記の説明から、本明細書で定義するとおり、多層繊維は、第1の層110及び第2の層150の間に少なくとも1つ、多くの場合いくつかの(例えば、5、10又はそれ以上)の内側境界面114を示し、内側境界面(複数可)は、所定の及び本質的に途切れることなく多層繊維の長軸に沿って実質的に延在することが理解されよう。すなわち、本明細書で定義する多層繊維では、第1の層及び第2の層並びにこれらの間の境界面は本質的に連続的であり、かつ、途切れることなく本質的に多層繊維の全長に沿って延在する(実際のメルトブロー工程で製造される任意の繊維中に統計上存在することが理解される散発的変動、破断などを除く)。したがって、定義によれば、本明細書で開示する多層繊維は、ポリマーブレンドを含む単層繊維とは区別される(ここでは2つのポリマー相が例えばほぼランダムに分布する(例えば、アイランド状、小球状、巻きひげ(tendrils)状などである一方のポリマー相が他方のポリマー相の間に分散する))。当業者は、ブレンドポリマー繊維は、場合により、ある範囲まで繊維の長軸に沿って延在する1つのポリマー相を示すこともあるが、こうした不安定かつ予測不能な発生は、本明細書で開示される所定の多層繊維と等しいものとはなり得ないことは理解されよう。
【0020】
多くの実施形態では、第1の層と第2の層との間の境界面114は、平均して、概ね又は更には実質的に平面状であってもよい(
図2〜4に描写されるとおり)。しかし、
図2〜4の描写は理想的なものであり、実際は、様々な層、表面、及び境界面は、いずれの位置においても必ずしも厳密に平面状でなくてもよく、繊維100の外側形状も必ずしも完全な円形でなくてもよい点を注記する。更に、2つの第1の層110、及びこれらの間に挟まれた1つの第2の層150を有する一般的な種類の多層繊維はいずれの図にも示していないが、本開示がこのような構造を含むことは理解されよう。同様に、偶数の第2の層を有する多層繊維、又は第1の層と同数若しくはそれ以上の第2の層を有する多層繊維は、これらの図には示していないが、こうした配置も本開示に包含される。
【0021】
少なくともいくつかの実施形態においては、第1の層(複数可)110及び第2の層(複数可)150は、それぞれ単一成分層である。単一成分層とは、層の厚さ、幅及び長さにわたり本質的に同一の組成を有する層を意味し、単一成分層は、その組成が繊維の厚さ、幅及び長さにわたって実質的に均一である限りは添加剤などを含んでよい(当業者が実際のあらゆる製造工程において存在すると理解する散発的な統計上の変動を除く)。いくつかの実施形態では、第1のポリマーは、第1の層110の唯一のポリマー成分であり、第2のポリマーは、第2の層150の唯一のポリマー成分である。
【0022】
メルトブローン多層繊維の平均直径(例えば、代表的繊維のサンプリングを使用して光学顕微鏡法により測定)は、任意の所望の範囲であってもよい。メルトブロー(例えば、高速「吹込」空気の傾向が原因で、溶融したフィラメントの直径を減少させる)は、特に、いわゆるマイクロファイバー(平均直径10ミクロン以下を有する繊維を意味する)の形成に好適であることが理解されよう。したがって、様々な実施形態では、メルトブローン多層繊維の平均直径は、約30、20、15、10、5、2、又は1ミクロン未満であってもよい。更なる実施形態では、メルトブローン多層繊維の平均直径は、少なくとも約0.5、1、2、又は5ミクロン未満であってもよい。
【0023】
多層繊維100は、少なくとも約200℃のT
mを有する第1のポリマーを含む少なくとも1つの層110、及び少なくとも約200℃のT
mを有する第2のポリマーを含む少なくとも1つの第2の層150から構成されている。これは、第1のポリマー及び第2のポリマーの双方が、少なくともいくつかの条件下で結晶融点T
m(少なくとも約200℃)を示すことができる必要があることを意味する。すなわち、こうしたポリマーは、有意な数の結晶性ドメインを形成できる必要があり(例えば、十分にゆっくり冷却する条件下で)、用語第1のポリマー及び第2のポリマーは、例えば、非常にゆっくり冷却しても有意な結晶性ドメインを形成することなく、したがって明確に定義された結晶融点を示すことができない本質的に非晶質のポリマーを含まない。様々な実施形態において、第1のポリマーは、少なくとも約210、220、230、240、250、又は260℃のT
mを示してもよい。様々な実施形態において、第2のポリマーは、少なくとも約210、220、230、240、250、又は260℃のT
mを示してもよい。
【0024】
第1のポリマー及び第2のポリマーは、第1のポリマーは結晶化が遅いポリマーであり、第2のポリマーは結晶化が速いポリマーであるという点で異なる。要するに、結晶化が速いポリマーとは、従来のメルトブロー工程で使用される比較的急速な冷却条件下で、固化メルトブローン繊維が、概ね、ポリマーがよりゆっくりとした冷却工程に晒される場合に示すであろう値に類似している結晶化度を示すのに十分に迅速な速度で結晶性ドメインを形成するポリマーを意味する。それとは対照的に、結晶化が遅いポリマーとは、従来のメルトブロー工程で使用される冷却条件下で、固化メルトブローン繊維が、概ね、ポリマーがよりゆっくりとした冷却工程に晒される場合に示すであろう値より有意に低い結晶化度を示すのに十分に遅い速度で、結晶性ドメインを形成するポリマーを意味する。
【0025】
ポリマーは、結晶化が遅い、及び結晶化が速いという性質に関して、次の方法でスクリーニングすることができる。ポリマー試料を、試料中に存在する全ての熱履歴を消去するように、最初に、T
mまでの又はT
mを上回る温度で第1の加熱工程に晒すことができる。標準的熱履歴を有し、このため、その熱履歴を課されてきた本試料を、その後、ゆっくりと冷却にさらしてよい(この目的のために、冷却速度10℃/分とすることができる)。この試料をT
mまで及びT
mを十分に下回るまで(例えば、室温まで)冷却する。続いて、試料をT
mまでの温度及びT
mを上回る温度で第2の加熱工程に晒す(例えば、10℃/分)。その後、溶融及び冷却結晶化の熱を第2の加熱工程から入手したデータから計算し、そこから結晶化度(結晶化度%)を計算する(上記の測定及び計算は、任意の好適な示差走査熱量計「DSC)装置を使用して、例えば、「DSC as Problem Solving Tool:Measurement of Percent Crystallinity of Thermoplastics」(Perkin−Elmer(2000))(参照によりその全体が本明細書に援用される)に概要が説明されている方法を用いて実施してもよい)。
【0026】
同様に、別のポリマー試料を、ポリマー中に存在する全ての熱履歴を消去するために、T
mまでの温度又はT
mを上回る温度で第1の加熱工程に晒すことができる。標準的熱履歴を有し、このため、その熱履歴を課されてきた本試料を、その後、急速冷却に晒すことができる(この目的のために、冷却速度200℃/分とすることができる)。次に第2の加熱工程を実施して、急速冷却した試料について、上述したのと同じ方法で結晶化度を計算ことができる。
【0027】
その後、急速冷却した試料及びゆっくり冷却した試料の結晶化度を比較することができる。ゆっくりとした冷却条件下に対する急速冷却条件下での結晶化度の差が少なくとも約20%である場合は、結晶化が遅いポリマーであることを示す。特定の例として、ポリ(エチレンテレフタレート)(PET)は、本明細書で定義する結晶化が遅いポリマーの典型である。PETは、結晶性ドメインを形成可能であり、多くの場合(例えば、溶解物からゆっくり冷却した後)、約250〜260℃の範囲の明確に定義されたT
m、及び例えば、30〜40%又はそれ以上の範囲内の結晶化度を示すことがある。しかし、例えば、上記のように溶解物から急速に冷却した場合、PETは、30%未満の(多くの場合、30%を著しく下回る)範囲の結晶化度を示すこともある。
【0028】
それとは対照的に、ポリ(ブチレンテレフタレート)は、結晶化が速いポリマーの典型であり、典型的には、急速冷却であっても遅い冷却であっても、類似した結晶化度(例えば、互いに約10%以内)を示す。
【0029】
上記のとおり、DSCスクリーニングは、潜在的に有用な第1のポリマー及び第2のポリマーの同定に有用であり得る。しかし、本明細書の目的のために、半結晶性ポリマーを第1のポリマー又は第2のポリマーと同定するための最も簡便な方法(最初の判定基準である200℃を超える同定可能なT
mに適合すると仮定した場合)は、評価対象のポリマーの単一成分(非多層)メルトブローン繊維から構成されるメルトブローンウェブを製造することである。その特定の材料のメルトブローの従来の範囲内のメルトブロー工程条件(当業者が十分に理解しているように、押出機の温度、ダイ及び吹込空気、吹込空気の容積流量及び線速度、ダイ−コレクター距離など挙げられるがこれらに限定されない)を用いて製造する必要がある。(特定のポリマーの従来のメルトブローン条件の例は、本明細書の実施例中に見出される)。
【0030】
次に、このような方法で製造された単一成分試験ウェブを、本明細書の実施例に開示するように、熱収縮試験に晒すことができる。単一成分メルトブローンウェブとして、10%未満の熱収縮を示すポリマーは、本明細書で定義される第2のポリマーである(これも、本明細書で開示されている他の判定基準に適合する限りにおいて)。様々な実施形態において、第2のポリマーは、8、6、4又は2%未満の熱収縮を示してもよい。メルトブローンホモポリマーウェブとして、10%以上の熱収縮を示すポリマーは、本明細書で定義される第1のポリマーである(これも、他の本明細書で開示されている他の判定基準に適合する限りにおいて)。様々な実施形態では、第1のポリマーは、約20、30、40、又は50%さえも超える熱収縮を示してもよい。
【0031】
好適な第1のポリマーは、例えば、ポリエステル(ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(エチレンナフタレート)、ポリ(トリメチレンテレフタレート)など)、及び200℃を超えるT
mを示し得る少なくともいくつかのポリ乳酸(例えば、比較的高い含量のD−ラクチドを有するものなど)から選択してもよい。こうした第1のポリマーの任意の所望の組み合わせを使用してもよい。好適な第2のポリマーは、例えば、ポリ(ブチレンテレフタレート)などのポリエステル、例えばポリメチルペンテンなどのポリオレフィン、及び例えば、シンジオタクチックポリスチレンなどの他のポリマー、並びにこれらの任意の所望の組み合わせから選択されてもよい。
【0032】
第1のポリマー及び第2のポリマーは、約95:5〜約45:55(第1:第2)の重量比で存在してもよく、これはウェブのメルトブローン繊維中の第1のポリマー及び第2のポリマーの総重量を基準として計算されるが、これには多層繊維に加えて存在する単一成分メルトブローン繊維中に存在し得るいずれかの種類の任意のポリマーなどは含まれるが、短繊維中に存在し得る任意の第1のポリマー又は第2のポリマーを含まれない。様々な実施形態では、第1のポリマー対第2のポリマーの重量比は、少なくとも約50:50、60:40、70:30、75:25、80:20、85:15、又は90:10であってもよい。更なる実施形態では、第1のポリマー対第2のポリマーの重量比は、約90:10、85:15、80:20、75:25、70:30、60:40、又は50:50以下であってもよい。
【0033】
詳細は後述するように、本明細書に開示される配置により、第2のポリマーを比較的少ない量(重量パーセント)を使用することができ、同時に第1のポリマーを単独で使用することで可能な性能に勝る著しい利点が達成される。多層繊維内でのこうした配置は、例えば、第2の層150のうちの少なくともいくつかの厚さ(すなわち、
図3に示すとおり、主表面152と152’との間の平均距離)を、第1の層110のうちの少なくともいくつかの厚さ(すなわち、これも
図3に示すとおり、主表面112と112’との間の平均距離)未満にすることにより達成され得る。こうした方法では、使用される第1のポリマーの全体量に対して使用される第2のポリマーの全体量を最小限に抑えながら、1つ以上の第2の層を提供することができる。このため、様々な実施形態では、第2の層(複数可)150の厚さに対する第1の層(複数可)110の厚さに対する比は、約1.2:1、1.5:1、2:1、3:1、又は4:1であってもよい(こうした計算では、弓状主表面を有する外層の厚さ(例えば、
図3の層110e)は、外層と同一の断面積を有する矩形区域の厚さとすることができる)。
【0034】
結晶化が速い第2のポリマーに1つ以上の第2の層を封入することで、現行のメルトブローで主流である比較的急速な冷却条件下であっても、結晶化が遅い第1のポリマーの結晶化を有意に加速できると考えられることが判明した。これにより、有意に増大した結晶化度を有する第1のポリマーを含む固化生成物を提供することができ、この結果、例えば、第1のポリマーの単一成分繊維から構成される場合よりも、かなり低い熱収縮を示すメルトブローンウェブを提供することができる。有利には、これは、上記のとおり、第2のポリマー対第1のポリマーの総重量比が比較的低い濃度で維持され得るように、例えば、より少ない数の第2のポリマーの層及び/又はより薄い第2のポリマーの層を用いて達成することができる。多くの場合、こうした第2のポリマーが第1のポリマーよりも著しく高価であることから、これにより有意な利点を提供することができる。
【0035】
更に、更に、本明細書に記載の1つ以上の層の形態で1つ以上の第2のポリマーを封入することで、例えばポリマーブレンドの形態で第2のポリマーと第1のポリマーとを均質に物理的に混合(例えば溶解ブレンド)した場合と比較してより良好に第1のポリマーの結晶化を加速できると考えられることが判明した。これは、驚くべき結果である。当業者は、第2のポリマーの加速効果は、第2のポリマーと第1のポリマーとの境界面で第1のポリマーの核形成部位を提供する(急速に結晶化した)第2のポリマーの表面から得られると予測するであろう。したがって、ブレンドとして第2のポリマーと第1のポリマーとを混合することによって、多数の小包の形態(例えば、巻きひげ又は小球から場合により巨大分子セグメントまでの範囲)で第1のポリマーの間に第2のポリマーが分散されることが予期され、これにより第1のポリマーの間に著しく大きい第2のポリマーの表面積が得られるため、これは本明細書にて開示される層形態で第2のポリマーを含む場合と比較して第1のポリマーの結晶化の加速に遥かにより効果的となることが予期される。しかし、本明細書に提示された実施例は、第2のポリマー対第1のポリマーの重量比が同様又は更に低い場合、本明細書で開示される多層メルトブローン繊維はブレンドポリマーメルトブローン単層繊維よりも低い熱収縮を示すと考えられることを示す。このため、この点は、予想外に有利な結果である。
【0036】
いくつかの実施形態では、ウェブ1は、
図1の代表的実施形態に示すように、追加的に任意の短繊維200を含めてもよい。ウェブ1では、短繊維200は、メルトブローン繊維の網状組織全体に分布させ、メルトブローン繊維の網状組織内で混合させる。様々な実施形態では、短繊維200は、ウェブの繊維材料(例えば、メルトブローン繊維及び短繊維)の総重量の少なくとも約5、10、20、30又は40wt%を占めてもよい。更なる実施形態では、短繊維200は、ウェブの繊維材料の総重量の約60、50、40、30又は20wt%以下を占めてもよい。
【0037】
これらの特定の製造工程又は組成に関わらず、短繊維は通常、特定の所定の長さ又は識別可能な長さに機械的切断され、固化形態で不織布ウェブに添加される。短繊維の長さは、多くの場合、メルトブローン繊維の長さよりもはるかに短く、様々な実施形態では、約1〜8cm、又は約2.5cm〜6cmであってもよい。短繊維の平均繊維直径は、多くの場合、平均して約15μmを超え、様々な実施形態では20、30、40、又は50μmを超えてもよい。このため、多くの実施形態では、短繊維の平均繊維直径は、メルトブローン多層繊維の平均直径の少なくとも約2、4又は8倍であってもよい。
【0038】
いくつかの実施形態では、短繊維は、合成ポリマー材料を含めてもよい。いくつかの実施形態では、短繊維は、(例えば、竹、綿、羊毛、黄麻、アガーベ、サイザル、ココナツ、ダイズ、麻布などに由来する繊維から選択される)天然繊維を含めてもよい。所望する場合、短繊維の少なくともいくつかの組成物は、成形工程中、これらは互いに及び/又はメルトブローン繊維にメルトボンドさせることができるように(例えば、メルトブローンウェブを含む成形物品を形成するために使用されてもよい)選択されてもよい。あるいは、成形工程の間に互いに結合しない又はメルトブローン繊維に結合しない性質(例えば、融点)を有する材料から製造することができる。
【0039】
好適な短繊維は、例えば、任意の好適なポリエステル及びこれらのコポリマー、ポリオレフィン、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン及びこれらのコポリマー、ポリアミド、又はこれらのいずれかの組み合わせなどから調製してもよい。短繊維は、例えば、米国特許第4,118,531号(Hauser)に記載の繊維のような捲縮繊維であってもよい。捲縮繊維は、連続的な波状で縮れた、又はギザギザの形状を長さに沿って有し得る。短繊維は、例えば約10〜30捲縮/cmを含む捲縮繊維を含んでもよい。短繊維は、単一成分繊維又は多成分繊維であってもよい。
【0040】
様々な他の構成成分は、様々な目的に関して必要に応じ、ウェブ1中、特に、メルトブローン多層繊維100中に存在してもよい。例えば、任意の所望の型の粒子状添加剤が、ウェブ1中に存在してもよい。特に、濾過目的でウェブ1を使用する場合、任意の好適な吸着剤、触媒剤、化学反応剤などの粒子状添加剤が存在してもよい。メルトブローン多層繊維100は、特に、その中に存在する任意の好適な補助的成分を有してもよい。このような成分は、例えば、得られたときに、上述の第1のポリマー及び/又は第2のポリマー中に存在してもよく、また、例えば、加工添加剤、酸化防止剤、紫外線安定剤、難燃添加剤類などを含んでもよい。いくつかの実施形態では、第1のポリマーは、1つ以上の非ポリマー成核剤(例えば、メルト添加剤)を含むことができ、例えば、様々なステアリン酸、カルボン酸塩、窒素含有複素環式芳香族化合物などから選択されてもよい。しかし、特定の実施形態では、第1のポリマーは、約5、2、1又は0.5wt%未満の任意の非ポリマー成核剤を含む。特定の実施形態では、第1のポリマーは、任意の非ポリマー成核剤を実質的に含まない。
【0041】
いくつかの更なる実施形態では、ウェブ1は、多層繊維の分離層の形態で添加されるか、又は第1のポリマー又は第2のポリマーとブレンドされる(例えば、融解添加剤として)かなどした、少なくとも若干量のポリマー成核剤を含んでもよい。このような材料は、例えば、ポリエステル−スルホン酸塩、特定のポリオレフィン、例えばポリプロピレン、ポリエチレン、並びにこれらのコポリマー及びこれらのブレンドを含んでもよい。しかし、このような材料のいくつかは、200℃未満のT
mを示す場合があり、このため、本明細書で開示される第2のポリマーと考えることができないことが理解されよう。しかし、それでもこのような材料は、例えば、得られたウェブの熱収縮などに許容し得ない影響を及ぼす量で存在しない限り、利点をもたらし得る。このため、様々な実施形態では、多層繊維100は、約5、2、1又は0.5wt%以下の任意のポリマー成核剤を含めてもよい。特定の実施形態では、多層繊維100は、任意のポリマー成核剤を実質的に含まない。
【0042】
いくつかの実施形態では、メルトブローン繊維ウェブにおいて200℃未満のT
mを示すポリマー材料の量を最小限に抑えることは有利であり得る。(本文脈中では、用語「200℃未満のT
mを示すポリマー材料」は、具体的には、単にポリマー材料のホモポリマー鎖だけではなく、コポリマー中に存在し得るこうした材料の任意のポリマーセグメントを含む)。このため、様々な実施形態においては、200℃未満のT
mを有する任意のポリマー材料がウェブの総繊維材料(例えば、短繊維などを含む)を基準にして、約20、10、5、2、1又は0.5wt%未満で存在する。更なる実施形態では、メルトブローン繊維ウェブは、200℃未満のT
mを有するポリマー材料を実質的に含まない。いくつかの実施形態では、特に、ウェブのメルトブローン繊維において200℃未満のT
mを示すポリマー材料の量を最小限に抑えることは有用であり得る。このため、様々な実施形態においては、200℃未満のT
mを有する任意のポリマー材料がウェブのメルトブローン繊維(任意の非多層メルトブローン繊維などを含む)中に約20、10、5、2、1又は0.5wt%未満で存在する。更なる実施形態では、ウェブのメルトブローン繊維は、200℃未満のT
mを有するポリマー材料を実質的に含まない。
【0043】
様々な実施形態では、本明細書で開示されるウェブ1は、約10、8、6、4、2又は1%未満の熱収縮(本明細書の実施例において開示されるとおりに測定)を示してもよい。本明細書で考察されるように、ある種の用途においては、このような特性が有意な利点を提供し得る。
【0044】
上記のとおり、本明細書に開示の不織布ウェブには、上記で定義されたメルトブローン繊維を使用する。当業者は、メルトブロー工程、並びにこうした工程によって形成されたメルトブローン繊維及びメルトブローン不織布ウェブは、例えば、溶融紡糸などの工程、並びに例えば溶融紡糸繊維及び溶融紡糸(例えばスパンボンドされた)不織布ウェブなどの得られた製品とは区別されることは理解されよう。用語「溶融紡糸する(meltspinning)」及び「溶融紡糸された(meltspun)」は、一組のオリフィスから溶融されたフィラメントを押出し、続いてフィラメントの冷却を補助するために空間(移動性空気流が含まれてもよい)にフィラメントを通過させてフィラメントを冷却し固化させて繊維を形成することで繊維を形成することを指す技術用語である。その後、冷却させたフィラメントを牽伸装置に通過させ、少なくとも部分的にフィラメントを牽伸させる(例えば、配向及び改良された物理的性質を引き出すように)。このため、メルトブローンは、押出オリフィスにごく近接して(例えば、1cm以内)配置される空気吹出し開口部(例えば、エアナイフ)によって導入される高速の集束気流に溶融フィラメントを押出すことを伴う点で、溶融紡糸はメルトブローンと区別することができる。当業者は、メルトブローン及び溶融紡糸は、このように異なる特性(例えば分子配向及び得られた物理的性質の)を得られた繊維及びウェブに付与する(繊維/ウェブが同様の組成である場合でも)ことを理解し、また、このために、メルトブローン繊維と溶融紡糸繊維とが互いに容易に区別可能であるということがわかるであろう。
【0045】
このため、本明細書に記載のメルトブローン繊維は、そこから溶融多層フィラメントを吐出可能なメルトブローダイ、フィラメントが細化してメルトブローン繊維となるように、メルトブローダイのオリフィスから離れた本質的な直後に、溶融多層フィラメントに高速「吹込」空気を衝突させるためのデバイス、メルトブローン繊維を回収するためのコレクター、及びメルトブローンに習慣的に使用される他の様々な装置(例えば、押出機、温度制御装置など)を使用することによって製造してもよい。
【0046】
このような装置は、例えば、「Superfine Thermoplastic Fibers」Industrial Engineering Chemistry,Vol.48、1342頁以降(et sec)(1956)」(van Wente)又は1954年5月25日公開の表題「Manufacture of Superfine Organic Fibers」(Report No.4364 of the Naval Research Laboratories、van Wente,A.、Boone,C.D.、及びFluharty,E.L)における一般的な教示であってもよい。このような装置は、多層メルトブローン繊維を製造する特定の目的のために改良してもよく、例えば、溶融ポリマーの第1及び第2のフローストリームをフィードブロックにそれぞれ供給して、フィードブロックが第1及び第2のフローストリームを単一層化フローストリームに結合し、続いて単一層化フローストリームが複数のオリフィスへと分配される、第1及び第2押出機を備えてもよい。多層メルトブローン繊維を製造するために使用可能な方法及び装置は、例えば、米国特許第5207790号及び同第5232770号(Joseph)で更に詳細に考察される。この方法で製造された多層繊維は、例えば、2つの溶融ポリマーを1台の押出機で混ぜ合わせて単一のブレンドフローストリームとし、その後、通常のオリフィスを介して押出されるブレンドポリマー単層繊維とは区別されることは明らかである。この方法で製造された多層繊維は、第1の溶融ポリマーストリームが第1の内側オリフィスから押出され、第2の溶融ポリマーストリームが、内側オリフィスを環状に取り囲む第2のオリフィスから押出される、シースコア繊維とは区別されることは更に明らかであろう。
【0047】
いくつかの実施形態では、メルトブローン多層繊維は、平面上(例えば、多孔回収ベルト若しくは網)又は単一の回収ドラムの表面上で回収されてもよい。他の実施形態では、メルトブローン多層繊維は、例えば、第1の回収ドラムと第2の回収ドラムとの間にある集束回収表面の間の間隙で回収されてもよい。こうした配置により、メルトブローン繊維100が、少なくとも一般的に又は実質的に「C」字型の断面構造で、ウェブ1に存在することができる。このような配置(本明細書において、参照によりその全体が本明細書に援用される米国特許第7476632号(Olson)に詳細に記載されている)により、例えば、嵩高性及び/又は他の有益な特性の向上などがもたらされ得る。
【0048】
いくつかの実施形態では、上述したように、任意選択的に短繊維をメルトブローンウェブに組み込んでもよい。これは、例えば、短繊維の空気浮遊流を細化フィラメント/繊維の空気浮遊流に注入することによって、実施してもよい(溶融フィラメントがダイオリフィスからコレクターに移行している間にこれらが固化して繊維を形成する工程は統計上の工程であるため、用語「フィラメント」及び「繊維」は、本工程のこの段階ではある程度同義である)。これにより、多層メルトブローン繊維と短繊維との混合空気流を形成することができ、この空気流をコレクターに衝突させて、繊維の塊としての混合された多層メルトブローン繊維及び短繊維を回収することができる。短繊維を、例えばメルトブローン繊維のストリームに注入する装置及び工程は、例えば米国特許第7989371号(Angadjivand)及び米国特許第4118531号(Hauser)に更に詳細に記載されている。
【0049】
いくつかの実施形態では、少なくともいくつかの短繊維は、前述のとおり、結合性繊維として機能し得る。あるいは、又はこれに加えて、少なくともいくつかのメルトブローン繊維は、(例えば、回収方法などに応じて)互いに結合(例えばメルトボンド)してもよい。所望の場合、任意の好適な結合後工程を使用してもよい(例えば、カレンダー加工作業などによるポイント結合)。
【0050】
本明細書に記載のメルトブローン繊維ウェブを断熱物品及び防音物品、液体フィルタ及び気体フィルタなどの製造された物品などに(例えば、任意の好適な厚さ、寸法などのウェブ、シート、スクリム、布地などとして)組み込んでもよい。任意の好適な用法が想定されるが、メルトブローンウェブの熱収縮抵抗性によって、こうした物品は比較的高温の環境下での使用に特に好適となり得る。このような物品は、保護装置又は衣類などにおいて、幅広い用途(例えば、車両又は建築用構成部品の防音及び/又は絶縁など)での用途が見出される可能性がある。このようなメルトブローンウェブは、断熱物品及び/又は高温防音物品において特に有用であり得るが、いくつかの用途では(例えば、自動車ボンネットライナー)では、このような物品が双方の役割を果たすこともある点に留意されたい。メルトブローン繊維ウェブ1は、特定の物品の形成に有利であり得るため、任意の所望の追加層(例えばスクリム層、表側層など)と組み合わせてもよい。ウェブ1は、任意のこうした追加層と共に加工されて(例えば、成形する、切断するなど)、特定の構造の物品を形成してもよい。
【0051】
例示的実施形態の一覧
実施形態1は、複数のメルトブローン多層繊維を含む熱安定性メルトブローン繊維ウェブであって、少なくとも選択されたメルトブローン多層繊維は、それぞれ、少なくとも約200℃のT
mを有する結晶化が遅いポリマーである第1のポリマーから構成される少なくとも1つの第1の層と、少なくとも約200℃のT
mを有する結晶化が速いポリマーである第2のポリマーから構成される少なくとも1つの第2の層と、を含み、メルトブローン多層繊維の第1のポリマー対第2のポリマーの平均重量比が約45:55から約95:05であり、かつ熱安定性メルトブローン繊維ウェブは約10%未満の熱収縮を示す。
【0052】
実施形態2は、実施形態1に記載のウェブであり、第1のポリマーは、少なくとも約240℃のT
mを示し、第2のポリマーは、少なくとも約240℃のT
mを示す。実施形態3は、実施形態1〜2のいずれか一項に記載のウェブであり、メルトブローン繊維の第1のポリマー対第2のポリマーの平均重量比が約60:40〜約90:10を示す。実施形態4は、実施形態1〜3のいずれか一項に記載のウェブであり、メルトブローン繊維の第1のポリマー対第2のポリマーの平均重量比が約70:30〜約80:20を示す。実施形態5は、実施形態1〜4のいずれか一項に記載のウェブであり、第1のポリマーは、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(エチレンナフタレート)、ポリ(乳酸)、ポリ(トリメチレンテレフタレート)、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるポリエステルである。実施形態6は、実施形態1〜4のいずれか一項に記載のウェブであり、第1のポリマーは、ポリ(エチレンテレフタレート)である。実施形態7は、実施形態1〜6のいずれか一項に記載のウェブであり、第1のポリマーは、非ポリマー成核剤を実質的に含まない。
【0053】
実施形態8は、実施形態1〜7のいずれか一項に記載のウェブであり、第2のポリマーは、ポリ(ブチレンテレフタレート)、ポリメチルペンテン、及びシンジオタクチックポリスチレンからなる群から選択される。
【0054】
実施形態9は、実施形態1〜8のいずれか一項に記載のウェブであり、少なくとも選択された多層繊維は、それぞれ少なくとも一対の第1の層と、それらの間に個別に挟まれている第2の層と、を備える。実施形態10は、実施形態1〜8のいずれか一項に記載のウェブであり、少なくとも選択された多層繊維は、それぞれ少なくとも3つの第1の層及び少なくとも2つの第2の層を備え、それぞれの第2の層は一対の第1の層の間に個別に挟まれている。実施形態11は、実施形態1〜8のいずれか一項に記載のウェブであり、少なくとも選択された多層繊維は、それぞれ少なくとも5つの第1の層及び少なくとも4つの第2の層を備え、それぞれの第2の層は、一対の第1の層の間に個別に挟まれている。実施形態12は、実施形態1〜8のいずれか一項に記載のウェブであり、少なくとも選択された多層繊維は、それぞれ少なくともnの第1の層及び少なくともn−1の第2の層を備え、第2の層の少なくともn−2は第1の層の間に個別に挟まれ、nは7〜51の数である。
【0055】
実施形態13は、実施形態1〜12のいずれか一項に記載のウェブであり、第1の層は単一成分層であり、第2の層は単一成分層である。実施形態14は、実施形態1〜13のいずれか一項に記載のウェブであり、複数のメルトブローン繊維は、集合的に約10マイクロメートル未満の平均繊維直径を示す。
【0056】
実施形態15は、実施形態1〜14のいずれか一項に記載のウェブであり、ウェブは短繊維を更に備え、短繊維はウェブの繊維材料の総重量に対して約5wt%〜約50wt%を占める。
【0057】
実施形態16は、実施形態1〜15のいずれか一項に記載のウェブであり、ウェブは約6%未満の熱収縮を示す。実施形態17は、実施形態1〜15のいずれか一項に記載のウェブであり、ウェブは約2%未満の熱収縮を示す。
【0058】
実施形態18は、実施形態1〜17のいずれか一項に記載のウェブであり、ウェブのメルトブローン繊維は、200℃未満のT
mを示す任意のポリマー材料を約5wt%以下含む。実施形態19は、実施形態1〜17のいずれか一項に記載のウェブであり、ウェブのメルトブローン繊維は、200℃未満のT
mを示す任意のポリマー材料を実質的に含まない。
【0059】
実施形態20は、実施形態1〜19のいずれか一項に記載の熱安定性メルトブローン繊維ウェブを含む物品であり、本物品は、断熱物品、防音物品、流体濾過物品、又はこれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0060】
実施形態21は、実施形態20に記載の物品であり、この物品は、約5%未満の熱収縮を示す防音物品である。
【0061】
実施形態22は、メルトブローダイのオリフィスから溶融多層フローストリームを押出し、溶融多層フィラメントを形成することと、高速気体流により溶融多層フィラメントを細化し、多層メルトブローン繊維を形成すること、及び繊維の塊として多層メルトブローン繊維を回収することと、を含む方法であり、繊維フローストリームが回収された塊の少なくとも選択された多層メルトブローン繊維は、それぞれ、少なくとも約200℃のT
mを有する結晶化が遅いポリマーである第1の溶融ポリマーから構成される少なくとも1つの第1の層と、少なくとも約200℃のT
mを有する結晶化が速いポリマーである第2の溶融ポリマーから構成される少なくとも1つの第2の層と、を含む。
【0062】
実施形態23は、実施形態22に記載の方法であり、細い多層フィラメントは、多層メルトブローン繊維の空気浮遊流を形成し、本方法は、短繊維の空気浮遊流を多層繊維の空気浮遊流に注入することと、混合した多層メルトブローン繊維及び短繊維を繊維の塊として回収することと、を更に含む。実施形態24は、実施形態22〜23のいずれか一項に記載の方法であり、この方法は、繊維の塊の少なくともいくつかの繊維を互いに結合して、熱安定性メルトブローン繊維ウェブを形成することを更に含む。
【0063】
実施形態25は、実施形態22〜24のいずれか一項に記載の方法により製造された、実施形態1〜19のいずれか一項に記載のウェブである。実施形態26は、実施形態22〜24のいずれか一項に記載の方法によって製造された、実施形態20〜21のいずれか一項に記載の物品である。
【実施例】
【0064】
試験法
熱収縮
熱収縮メルトブローンウェブは、10cm×10cmの3つの試料を使用して得ることができる。各試料の寸法を、180℃のFisher Scientific Isotemp Oven(又は等価物)内に15分間配置した前後に、機械方向(MD)及び横断方向(CD)の双方で測定する。各試料の収縮は、次の式を使用してMD及びCDについて計算する。
【0065】
【数1】
式中、L
0は試料の初期長さであり、Lは試料の最終長さである。平均収縮値を計算し、報告する。
【0066】
T
m(結晶融点)
ポリマー試料のT
mは、TA Instruments Q2000 Modulated Differential Scanning Calorimeter(MDSC)又は等価物を使用して得ることができる。試料の重量を計量し、適合性アルミニウム製の鍋に入れる。第1の熱を加えて、試料の推定T
mを上回る温度まで試料を加熱し、その後、十分に遅い速度(例えば、10℃/分)で試料を冷却し、結晶化を発生させる。これらの予熱/冷却工程後、例えば、10℃/分の加熱速度で第2の熱を加えて、熱流を観察する。結晶融点T
mは、当業者によって確実に理解されるように、明確に定義された一次溶融ピークの頂点として(このようなピークが存在する場合)、第2の熱データから得ることができる。
【0067】
メルトブローンウェブの製造装置及び製造方法
メルトブローンウェブは、Wente,Van A.,「Superfine Thermoplastic Fibers」((Industrial Engineering Chemistry,Vol.48、ページ1342以下(1956))及びNaval Research LaboratoriesのReport No.4364、1954年5月25日出版の表題「Manufacture of Superfine Organic Fibers」)Wente,Van.A.Boone,C.D.,及びFluharty,E.Lによる)に記載されているものと類似した装置及び工程を使用して製造された。この装置は、ギアポンプを備えた押出機を使用してポリマーのメルトフローを制御し、そのメルトフローを長さと直径との比率が5:1である輪状滑面オリフィスを有するメルトブローダイに分配した。本オリフィスを10オリフィス/cmの間隔でダイ面に直線状に配置させた。空気溶融フィラメントがメルトブローダイのオリフィスから吐出した本質的な直後に、集束方法で「吹込」空気を高速で溶融フィラメント上に衝突させるために、供給デバイス(エアナイフ)をダイ面に提供した。
【0068】
多層繊維の実施例では、装置を(概して、米国特許第5207970号の実施例1に開示されている方法に類似した方法で)、2つの押出機を備え、それぞれの押出機の吐出量を独立して制御できるようにそれぞれの押出機がギアポンプを有し、かつそれぞれの押出機が米国特許第3480502号(Chisholm)及び同第3487505号(Shrenk)に記載されているものと類似したスプリッタフィードブロックに溶融押出成形品を供給するように構成されるように、改良した。スプリッタフィードブロックを、概ね上述のように、多層溶融ポリマーストリームをメルトブローダイに送達するように構成した。
【0069】
代表的な実施例
(実施例1)
複数のメルトブローン多層繊維を含むメルトブローン繊維ウェブを、上述の装置及び一般的な方法を使用して製造し、後述のとおりに操作した。第1のポリマーは、Nan Ya Plastics Corporation(America,Livingston,NJ)から商標名N211として得たポリ(エチレンテレフタレート)(PET;0.54固有粘度)樹脂であった。第2のポリマーは、SABIC Innovative Plastics,Pittsfield,MAから入手したポリ(ブチレンテレフタレート)(PBT)(商標名Valox−195−1001)であった。
【0070】
第1及び第2の押出機は、それぞれPET及びPBT溶融ストリームをフィードブロックに送達した。ギアポンプを、重量比75:25/PET:PBTのポリマー溶融物をフィードブロックに送達し、0.175kg/hr/cmダイ幅の合計ポリマー処理速度をメルトブローダイで維持するように調整した。ダイを約305℃保持し、フィードブロックを約305℃で保持し、第1の押出機及び第2の押出機に対しては、押出機の溶解温度(各押出機バレルの吐出端部の近位で)をそれぞれ約305℃及び270℃で保持した。吹込空気供給デバイスのエアナイフの間隙幅は約0.76mmであり、高速吹込空気の温度を、設定点である約400℃及び均一のウェブの製造に好適な圧力で維持した。溶融ストリームを、フィードブロックからの吐出時に交互に5層の溶解ストリームへと合流させ、第1、第3及び第5の層をPETとし、第2及び第4の層をPBTとした。
【0071】
このように形成したメルトブローン多層繊維を、空気透過ベルト上、約38cmのDCD(ダイ/コレクター距離)で回収した。このように形成した繊維塊は、十分な機械的一体性を示し、自立した不織布ウェブとして機能することが明らかになり、第2の結合作業は実施しなかった。メルトブローン多層繊維は、5つの交互層(3つの第1のPET層及び2つの第2のPBT層)から構成されていた。メルトブローン多層繊維は、約10マイクロメートル未満の平均直径を示し、メルトブローン繊維ウェブは、約130g/m
2の坪量を有した。
【0072】
(実施例2)
複数のメルトブローン多層繊維を含むメルトブローン繊維ウェブを、概して実施例1と類似の方法で製造した。ただし、ギアポンプは、PET対PBTの重量比が50:50の溶融ポリマーが送達されるように調整した。ダイ及びフィードブロックはいずれも約280℃に保持し、第1の押出機及び第2の押出機の溶融温度は、それぞれ約280℃及び270℃で保持した。高速吹込空気の温度は、設定点である約390℃に保持した。このように形成したメルトブローン多層繊維は、DCD(ダイ/コレクター距離)約30.5cmで回収した。メルトブローン多層繊維は、平均直径約10マイクロメートル未満を示し、メルトブローン繊維ウェブは、坪量約130g/m
2を有していた。
【0073】
(実施例3)
複数のメルトブローン多層繊維を含むメルトブローン繊維ウェブを、概して実施例1と類似の方法で製造した。ただし、第2のポリマーは、ポリ(ブチレンテレフタレート)ではなくポリメチルペンテン(PMP;Mitsui Chemicals,Rye Brook,NYから商標名TPXで入手)とした。第1のポリマー:第2のポリマー(PET:PMP)重量比は、約75:25であり、メルトブローダイでは、合計ポリマー処理速度0.14kg/hr/cmダイ幅を維持した。
【0074】
ダイ及びフィードブロックは、いずれも約300℃に保持し、第1の押出機及び第2の押出機の溶融温度は、それぞれ約285℃及び300℃であった。高速吹込空気の温度は、設定点の約400℃に保持した。このように形成されたメルトブローン多層繊維を、DCD(ダイ/コレクター距離)約15cmで回収した。メルトブローン多層繊維は、5つの交互層(3つの第1のPET層及び2つの第2のPMP層)から構成されていた。メルトブローン多層繊維は、平均直径約10マイクロメートル未満を示し、メルトブローン繊維ウェブは、坪量約90g/m
2を有していた。
【0075】
(実施例4)
複数のメルトブローン多層繊維を含むメルトブローン繊維ウェブを、概して実施例3と類似の方法で製造した。ただし、第1:第2(PET:PMP)重量比は、約90:10とした。
【0076】
(実施例5)
複数のメルトブローン多層繊維を含むメルトブローン繊維ウェブを、概して実施例3と類似の方法で製造した。ただし、第1:第2(PET:PMP)重量比は、約80:20とした。
【0077】
(実施例6)
複数のメルトブローン多層繊維を含むメルトブローン繊維ウェブを、概して実施例3と類似の方法で製造した。ただし、第1:第2(PET:PMP)重量比は、約70:30とした。
【0078】
(実施例7)
複数のメルトブローン多層繊維を含むメルトブローン繊維ウェブを、概して実施例3と類似の方法で製造した。ただし、第1:第2(PET:PMP)重量比は、約60:40とした。
【0079】
実施例4〜7のウェブを、坪量約90g/m
2を示し、平均直径約10マイクロメートル未満を有するメルトブローン多層繊維を含んでいた。
【0080】
(実施例8)
複数のメルトブローン多層繊維を含むメルトブローン繊維ウェブを、実施例3と類似の常法で製造した。ただし、スプリッタフィードブロックは、多層繊維が17の交互層(8つの第1のPET層及び9つの第2のPMP層)を含むように構成した。PET:PMP重量比は、約75:25で保持した。ダイ及びフィードブロックは、双方とも約300℃に保持し、第1の押出機及び第2の押出機の溶融温度は、それぞれ約285℃及び300℃で保持した。高速吹込空気の温度は、設定点の約400℃に保持した。このように形成したメルトブローン多層繊維を、DCD(ダイ/コレクター距離)約15cmで回収した。
【0081】
(実施例9)
複数のメルトブローン多層繊維を含むメルトブローン繊維ウェブは、実施例3と概して類似の方法で製造した。ただし、スプリッタフィードブロックは、多層繊維が2つの交互層(1つの第1のPET層及び1つの第2のPMP層)を含むように構成した。PET:PMP重量比は、約75:25で保持した。ダイ及びフィードブロックは、双方とも約300℃に保持し、第1の押出機及び第2の押出機の溶融温度は、それぞれ約285℃及び300℃で保持させた。高速吹込空気の温度は、設定点の約400℃に保持した。このように形成したメルトブローン多層繊維を、約15cmのDCD(ダイ/コレクター距離)で回収した。
【0082】
実施例4〜9のウェブは、約90g/m
2の範囲の坪量を示し、平均直径約10マイクロメートル未満を有するメルトブローン多層繊維を含んでいた。
【0083】
比較例
比較例1
メルトブローン不織布ウェブは、実施例1のものと概ね類似している加工条件を用いて製造した。ただし、スプリッタフィードブロックは使用せず、メルトブローン繊維は全て第1のポリマー、具体的には、Nan Ya Plastics Corporation(America,Livingston,NJ)から商標名N211で得たポリ(エチレンテレフタレート)(PET、固有粘度0.54)樹脂からなる単層繊維であった。
【0084】
押出機ギアポンプは、約0.175kg/hr/cmダイ幅の処理速度で溶融したPETポリマーを送達するように調整した。ダイは約305℃で保持し、かつフィードブロックは約305℃で保持し、押出機溶解温度は約305℃で保持させた。吹込空気供給デバイスのエアナイフの間隙幅は約0.76mmであり、高速吹込空気の温度は、設定点である約400℃及び均一のウェブの製造に好適な圧力で維持した。このように形成したメルトブローン多層繊維は、約38cmのDCDで回収した。
【0085】
比較例2
収縮データは、全ての繊維が、第2のポリマー、具体的にはSABIC Innovative Plastics(Pittsfield,MA)から商標名Valox−195−1001で入手したポリ(ブチレンテレフタレート)(PBT)からなる単層繊維であるメルトブローン不織布ウェブから得た。工程条件は得られなかったが、従来(単層繊維)のメルトブローン装置及び工程条件を用いたものと考えられた。また、本材料の報告された熱収縮測定値は、上述の手順とはわずかに異なる熱収縮試験(PCT特許出願番号第PCT/CN2014/080901(Chenら)、代理人整理番号75424WO003、表題「THERMALLY STABLE NONWOVEN WEB COMPRISING MELTBLOWN BLENDED−POLYMER FIBERS」に記載されている)を用いて得た。例えば、試料は、180℃で15分間ではなく、170℃で15分間保持した。したがって、比較実施例2の収縮数は、他のデータと正確に比較できなくてもよいが、比較実施例2は、依然として、本明細書にて開示された一般的な傾向を示すにあたって有用である。
【0086】
様々な実施例及び比較実施例の熱収縮を表1に報告する。
【0087】
【表1】
【0088】
その他の実施形態
前述の実施例は、利用可能な記録により提供され、明確に理解するためにのみ提供され、これらによって不要な限定をするものと理解されるべきではない。実施例に記載した試験及び試験結果は予測的なものではなく、例示的なものであることが意図され、試験方法の変更により、得られる結果も異なるものと予想され得る。実施例の全ての定量的値は、使用された手順に含まれる周知の許容差の観点から近似値であると理解されるべきである。
【0089】
本明細書に開示される特定の例示的な要素、構造、特徴、詳細、構成等を、多くの実施形態において修正及び/又は組み合わせることができることは、当業者には自明であろう。全てのかかる変形例及び組み合わせは、発明者によって、考えられた発明の境界内であると企図され、例示的な図示として役立つように選択された単なる代表的な設計ではない。したがって、本発明の範囲は、本明細書に記載される特定の例示的構造に限定されるべきではないが、むしろ少なくとも請求項の言語によって説明される構造、及びそれらの構造に相当する構造にまで拡大する。本明細書に代替物として積極的に引用される要素はいずれも、所望の任意の組み合わせにおいて、特許請求の範囲に明確に含まれる場合も、又は特許請求の範囲から除外される場合もある。オープンエンド言語で本明細書に記載されているいずれの要素又は要素の組み合わせ(例えば、を含む及びその派生体)は、クローズエンド言語(例えば、からなる及びその派生体)並びに一部クローズエンド言語(例えば、から本質的になる、及びその派生体など)で更に記載されると考えられる。様々な理論及び考えられ得る機序が本明細書で考察され得るが、いかなる場合も、こうした考察が特許請求可能な主題を制限するものではないものとする。記載されたとおりの本明細書と、参照により本明細書に組み込まれている全ての文書の開示内容との間にいかなる不一致又は矛盾が存在する場合も、記載されたとおりの本明細書が優先する。
本発明の実施態様の一部を以下の項目[1]−[24]に記載する。
[1]
複数のメルトブローン多層繊維を含む熱安定性メルトブローン繊維ウェブであって、少なくとも選択されたメルトブローン多層繊維は、それぞれ、少なくとも約200℃のTmを有する結晶化が遅いポリマーである第1のポリマーから構成される少なくとも1つの第1の層と、少なくとも約200℃のTmを有する結晶化が速いポリマーである第2のポリマーから構成される少なくとも1つの第2の層と、を含み、
前記メルトブローン多層繊維は、前記第1のポリマー対前記第2のポリマーの平均重量比が約45:55〜約95:05を示し、かつ前記熱安定性メルトブローン繊維ウェブは、約10%未満の熱収縮を示す、熱安定性メルトブローン繊維ウェブ。
[2]
前記第1のポリマーは、少なくとも約240℃のTmを示し、前記第2のポリマーは、少なくとも約240℃のTmを示す、項目1に記載のウェブ。
[3]
前記メルトブローン繊維の、第1のポリマー対第2のポリマーの平均重量比が約60:40〜約90:10を示す、項目1に記載のウェブ。
[4]
前記メルトブローン繊維の、第1のポリマー対第2のポリマーの平均重量比が約70:30〜約80:20を示す、項目1に記載のウェブ。
[5]
前記第1のポリマーは、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(エチレンナフタレート)、ポリ(乳酸)、ポリ(トリメチレンテレフタレート)、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるポリエステルである、項目1に記載のウェブ。
[6]
前記第1のポリマーは、ポリ(エチレンテレフタレート)である、項目1に記載のウェブ。
[7]
前記第1のポリマーは、非ポリマー成核剤を実質的に含まない、項目1に記載のウェブ。
[8]
前記第2のポリマーは、ポリ(ブチレンテレフタレート)、ポリメチルペンテン、及びシンジオタクチックポリスチレンからなる群から選択される、項目1に記載のウェブ。
[9]
少なくとも選択された多層繊維は、それぞれ、少なくとも一対の第1の層、及びそれらの間に個別に挟まれている第2の層を含む、項目1に記載のウェブ。
[10]
少なくとも選択された多層繊維は、それぞれ、少なくとも
3つの第1の層及び少なくとも2つの第2の層を含み、それぞれの第2の層は、一対の第1の層の間に個別に挟まれている、項目1に記載のウェブ。
[11]
少なくとも選択された多層繊維は、それぞれ、少なくとも5つの第1の層及び少なくとも4つの第2の層を備え、それぞれの第2の層は、一対の第1の層の間に個別に挟まれている、項目1に記載のウェブ。
[12]
少なくとも選択された多層繊維は、それぞれ、少なくともnの第1の層及び少なくともn−1の第2の層を備え、前記第2の層のうち少なくともn−2は、第1の層の間に個別に挟まれ、nは、数字7〜51である、項目1に記載のウェブ。
[13]
前記第1の層は単一成分層であり、前記第2の層は単一成分層である、項目1に記載のウェブ。
[14]
前記複数のメルトブローン繊維は、集合的に、平均繊維直径約10マイクロメートル未満を示す、項目1に記載のウェブ。
[15]
前記ウェブは、短繊維を更に備え、前記短繊維は、前記ウェブの前記繊維材料の総重量に対して、約5重量%〜約50重量%を占める、項目1に記載のウェブ。
[16]
前記ウェブは、約6%未満の熱収縮を示す、項目1に記載のウェブ。
[17]
前記ウェブは、約2%未満の熱収縮を示す、項目1に記載のウェブ。
[18]
前記ウェブの前記メルトブローン繊維は、200℃未満のTmを示す任意のポリマー材料を約5重量%以下含む、項目1に記載のウェブ。
[19]
前記ウェブの前記メルトブローン繊維は、200℃未満のTmを示す任意のポリマー材料を実質的に含まない、項目1に記載のウェブ。
[20]
項目1に記載の熱安定性メルトブローン繊維ウェブを含む物品であって、前記物品は、断熱物品、防音物品、流体濾過物品、又はこれらの組み合わせからなる群から選択される、物品。
[21]
前記物品は、約5%未満の熱収縮を示す防音物品である、項目20に記載の物品。
[22]
メルトブローダイのオリフィスを通して溶融多層フローストリームを押出し、溶融多層フィラメントを形成することと、
高速気体流により前記溶融多層フィラメントを細化し、多層メルトブローン繊維を形成することと、
繊維の塊として前記多層メルトブローン繊維を回収することと、を含む、方法であって、
前記回収された繊維の塊のフローストリームの少なくとも選択された多層メルトブローン繊維は、それぞれ、少なくとも約200℃のTmを有する結晶化が遅いポリマーである溶融した第1のポリマーから構成される少なくとも1つの第1の層と、少なくとも約200℃のTmを有する結晶化が速いポリマーである溶融した第2のポリマーから構成される少なくとも1つの第2の層と、を含む、方法。
[23]
前記細化された多層フィラメントは多層メルトブローン繊維の空気浮遊流を形成し、かつ短繊維の空気浮遊流を前記多層繊維の空気浮遊流に注入することと、前記混合した多層メルトブローン繊維及び短繊維を繊維の塊として回収することと、を更に含む、項目22に記載の方法。
[24]
前記繊維の塊のうち少なくともいくつかの前記繊維を互いに結合して、熱安定性メルトブローン繊維ウェブを形成することを更に含む、項目22に記載の方法。